その日が来る前に、
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#351 [愛華]
久しぶりの外の世界。
景色が違って見えた。
ちょっとだけ
未来が明るく照らされた気がした
あたしには隆則がいる。
初めて親友と思えた梓もいる。
居場所はちゃんとある。
だから大丈夫。大丈夫だよ。
私はまだ……強くいられる。
:10/07/21 20:31
:840SH
:5gF9MWWw
#352 [愛華]
梓は
「タカの大切な人は
あたしにとっても大切なんだ。
あたしは那佑を支えたい」
そう言ってくれた。
隆則をまだ好きなことが
痛いほど伝わってきた。
だから精一杯生きようと思った。
隆則の笑顔のために。
:10/07/21 20:35
:840SH
:5gF9MWWw
#353 [愛華]
「ただいま」
「あ…那佑おかえり!!
今日はごちそう用意したの。
三人でお祝いしましょ?」
「那佑。席につきなさい」
……またか。べつにいーのに。
「いらないよ。あたし疲れたから
もう寝るね。明日学校だし」
「あ…そっか…おやすみなさい」
バタン!!
:10/07/21 20:40
:840SH
:5gF9MWWw
#354 [愛華]
あれから何も変わらない。
何も。
変わったのはあたしだけ。
お母さんとお父さんを拒絶
しつづけて……
ふたりの傷ついた顔も見飽きた。
傷つけばいい。
苦しめばいい。
あんたたちなんか、私が苦しんだ
何倍も………何十倍も。
:10/07/21 20:45
:840SH
:5gF9MWWw
#355 [愛華]
あんたたちが病気のあたしを
おいてアメリカに戻ったあと
あたしがどんなに苦しんだか
きっと一生わからないでしょ?
あの一年は……あたしにとっての
闇そのものだった。
助けをもとめても誰も
助けてくれない。地獄の日々。
あたしは真っ暗闇の道を
一人で歩いてきたんだ。
それを望んだのはあたし自身。
:10/07/21 20:52
:840SH
:5gF9MWWw
#356 [愛華]
あなたたちなんか頼らない。
絶対に……頼らない。
あたしの心にはまだ……
深い傷跡が残っていた。
でも隆則には言わない。
これはあたしが望んで
自分でつけた傷だから。
:10/07/21 20:56
:840SH
:5gF9MWWw
#357 [愛華]
……朝日がまぶしい。
朝だ。
今日から…新しい日々が始まる。
クローゼットにしまったままの
パリパリの制服。
それに身を包むと、
自分でも、よくわからない
気持ちが溢れてきた。
不安と期待。
……ちゃんと上手くできるかな。
:10/07/21 21:37
:840SH
:5gF9MWWw
#358 [愛華]
「那佑!おはよう。
朝ごはん食べたらお母さんが
送ってあげるから」
「いいよ。歩きたいから」
「そっ……か」
罪悪感。でも心は痛まない。
かばんを持って外に飛び出した。
いつもと違う朝。
青空が限りなく広がってて
雲が近く見える。つかめそう。
:10/07/21 21:49
:840SH
:5gF9MWWw
#359 [愛華]
「がんばんなきゃ…」
自分で自分に喝を入れる。
通学路を歩いていると
後ろからドンっと誰かが
ぶつかってきた。
「おーはよっ!那佑!
びっくりしたぁ?」
「梓!おはようー」
梓は心配して、わざわざ
遠回りして迎えにきてくれた
みたい。
……悪いことしちゃったかな。
:10/07/21 22:00
:840SH
:5gF9MWWw
#360 [愛華]
「那佑あんた制服似合うねぇ」
「そう?ありがとー」
「同クラだから一緒に
教室行こ?久しぶりだから
わかんないっしょ?」
「うん。ありがとー」
梓の心遣いが嬉しかった。
学校に入るとこれでもか、
ってくらいの視線が刺さる。
:10/07/21 23:36
:840SH
:5gF9MWWw
#361 [愛華]
「…あれって白石…でしょ?」
「なんで今さら…ったのかな?」
おーおーなんか言ってるな(笑)
でも気にしない。
正直ヒソヒソ話されるのは
嫌だったけどね?
ガラッ
教室に入ると視線が集まる。
みんな穴があくほどあたしを
見つめる。
ぶっちゃけ名前なんて覚えてない
:10/07/21 23:55
:840SH
:5gF9MWWw
#362 [愛華]
「那佑、気にすんなよ。
席つきな」
「…んー?うん」
……じろじろ見んなよ。
刺さるような視線の中
朝のホームルームが終わり
あたしは職員室へ向かった。
そこには担任の尾川先生がいた。
:10/07/22 00:18
:840SH
:nv6xPfQQ
#363 [愛華]
「おー久しぶりだなぁ白石。
調子はどうだ?」
「悪くないです。
先生も元気そうで安心しました」
先生だけは何も変わらずに
接してくれた。
それが何より嬉しかった。
「ご両親から話は聞いてるよ。
周りの目も気にはなるだろうが
すぐ慣れる。気にするなよ」
「……ありがとうございます」
あたしは職員室をでた。
:10/07/22 20:46
:840SH
:nv6xPfQQ
#364 [愛華]
いつもと違う日。
時間がたつのが遅く感じる。
……隆則に会いたいなぁ…
そんなことを考えてるうちに
お昼になった。
お昼になっても周りの視線は
消えないまま……
正直、疲れる。
聞きたいことあんなら聞けばいい
言いたいことあんなら言えばいい
:10/07/22 20:54
:840SH
:nv6xPfQQ
#365 [愛華]
「那佑、ごはん食べよーか?」
「あーうん。そうだね」
「疲れてるっぽいけど大丈夫?」
「大丈夫だよ!ほら食べよ」
梓に無理矢理笑顔を見せ
さっき購買で買ったパンと
お茶を取り出した。
:10/07/22 21:00
:840SH
:nv6xPfQQ
#366 [愛華]
二人でご飯を食べていると、
前から二人の女子が
近づいてきた。
見るからにケバい感じ。
化粧が濃くて、近くにくると
香水のキツイ臭いがした。
「白石……だっけ?
ちょっとどいてくんない?」
ひとりの女子が言った。
髪はロングで巻いてる。
猫みたいな感じ。
:10/07/22 21:13
:840SH
:nv6xPfQQ
#367 [愛華]
「はぁ?どーゆー意味?
ご飯食べてんじゃん?」
あたしが言うと、もうひとりの
女子が、
「あんたが何で速水と仲いい
のか知らないけど。
あんたに用ないから。
速水に用があんの。」
とイライラした様子で言った。
こっちの女子はショートのボブ。
ピアスの穴が5個くらい空いてる
これまたケバい。
:10/07/22 21:20
:840SH
:nv6xPfQQ
#368 [愛華]
あたしは、二人の態度と
周りの女子、男子の反応を見て、
この二人がこのクラスの
女子のリーダーだということが
わかった。
「…なに?あたし あんたらに
なんかしたっけ?」
あたしが何かを言う前に
梓が口を開いた。
その瞬間。
ガンッッ!!!
:10/07/22 21:37
:840SH
:nv6xPfQQ
#369 [愛華]
「とぼけてんじゃねーよ!!
あんた、あたしの彼氏に手ぇ
だしただろーがよ!!」
ショートの女子が机を
蹴っ飛ばし、怒鳴る。
あたしはビビったけど
梓は微動だにしない。
「……手ぇだす?
あたしは告られただけ。
んで振っただけ。
手なんか出すわけないじゃん。
自分の非を人のせいにしないで」
ガンッッ!!
:10/07/22 21:41
:840SH
:nv6xPfQQ
#370 [愛華]
梓の言葉が気に障ったのか
今度はロング女子が椅子を
思い切り蹴っ飛ばす。
……公共物〜大事にしてよ〜
「ここまで来て言い訳?
マジむかつくんだけど」
……ムカつくのはあんたたちだよ
あたしは心の中で呟いた。
あたしがどーにかできる
問題じゃないと悟った。
:10/07/22 21:46
:840SH
:nv6xPfQQ
#371 [愛華]
「今、那佑とご飯食べてるから。
話なら後にしてよ」
「んなわけねーだろ!!
それなら白石、どっかいけよ
邪魔なんだよ!!」
……はぁ!?
…………やば、限界くるぞー
:10/07/22 21:53
:840SH
:nv6xPfQQ
#372 [愛華]
「白石もさぁ、こんな奴と
つるむなよ。
久しぶりに来て無理矢理
友達にさせられた感じ?」
「病気の那佑ちゃんに
優しいフリしてるだけだって」
教室がざわつく。
…こいつら…どこまで知ってる?
なんで知ってる?
:10/07/22 21:56
:840SH
:nv6xPfQQ
#373 [愛華]
あたしは無言で二人を睨んだ。
……なんで?
ほとんど初対面のあんたらに
なんでそこまで言われなきゃ
ならないわけ?
「…那佑は関係ないでしょ?
てか、こんなとこで……
馬鹿なんじゃないの?」
パンッ!!
ショート女子が梓の頬を
ひっぱたいた。
教室は騒然。
:10/07/22 22:20
:840SH
:nv6xPfQQ
#374 [愛華]
あたしの病気のカミングアウト、
目の前での女子同士の喧嘩。
そこにあたしが何故か
加わってるっていうことも
クラスのみんなを混乱
させてるんだと思う。
「ムカつくんだよ!!」
ショート女子が梓に掴みかかって
取っ組み合いの喧嘩になる。
さすがにヤバいと、
あたしが止めようとすると…
:10/07/22 22:26
:840SH
:nv6xPfQQ
#375 [愛華]
ドカッ!!
ロング女子が
「黙って見てろ」的な目で睨み、
あたしを突き飛ばした。
クラスメートもどうにもできず
黙って見ているだけ。
…………なにこれ。
そんなにこの二人が怖いの?
あんたたち、あたま おかしいよ
:10/07/22 22:31
:840SH
:nv6xPfQQ
#376 [愛華]
あたしの中の何かがキレる。
それをこらえていると…
「あんたなんか死ねばいい!!」
ショート女子が叫んだ。
…………なんて言った?
シネバイイ?
誰が?
梓が?
………………シネバイイ?
:10/07/22 22:34
:840SH
:nv6xPfQQ
#377 [愛華]
「………ふざけんなよ!!」
あたしは気がつくと叫んでいた。
その場にあったお茶を
ショート女子の頭にぶちまけた。
「冷たっっ…なにすんのぉ!?」
「何も知らないくせに!!
梓とあたしのことなんか…
なにも知らないくせに!!」
こんなこと言うつもりなかった。
でも本当にムカついた。
ムカついたんだ。
:10/07/22 22:53
:840SH
:nv6xPfQQ
#378 [愛華]
「死ねばいい…?
そんな言葉カンタンに言うな!」
みんなが私を見る。梓も。
でも、今はどうでもいい。
どうでもいいんだよ。
「…こんなことして……
どうなるかわかってるわけ?」
ロング女子が冷めた目で
あたしを見る。
:10/07/22 22:58
:840SH
:nv6xPfQQ
#379 [愛華]
「なんでもすれば?
あたしはあんたたちの何十倍もの
地獄を味わってきたんだ。
本当の恐怖を知らない
あんたたちなんか…恐くない」
そうだよ、恐くなんかない。
あんたたちは知らないでしょ?
朝日を見ることが苦痛になる日々
明日が来ることへの恐怖。
そんな日々から救いだしてくれる
本当に大切な大切な人の存在。
:10/07/22 23:04
:840SH
:nv6xPfQQ
#380 [愛華]
あたしの後ろには隆則がいるの。
だから頑張れるの。
「……行こう」
ショート女子とロング女子は
教室からでていった。
緊迫の空気が解かれる。
クラスメートは何もなかったか
のようにお昼を再開した。
「………なんだよ、こいつら」
:10/07/23 16:42
:840SH
:viZu.MVU
#381 [愛華]
「那佑…ごめんね?
なんか巻き込んじゃって…」
「そんなの別にいーよ。
ってかさ。なんであいつら
あたしのこと知ってんの?」
「…あいつらだけじゃない。
学校の人ほとんどが
噂で那佑の病気のこと知ってる」
:10/07/25 01:05
:840SH
:fMnZyN5s
#382 [愛華]
噂って怖いなって思った。
「あんま心配かけたくなくて
黙ってたの。……ごめん。」
「梓は悪くないよ。
……あたしの余命のことも?」
「それはみんな知らない。
噂も曖昧なもんでさ。
那佑がなんかの病気らしい…って
ことぐらいしか」
梓はひそひそと話した。
:10/07/25 01:09
:840SH
:fMnZyN5s
#383 [愛華]
「さっきのあいつらは?」
「この学年の女子のリーダー。
ショートのほうが
相沢れな っていって、
ロングのほうが、
京極みさと ってゆーの」
学年の女子のリーダーか…
やっかいなやつらに
喧嘩売っちゃったなぁ…
久々の学校なのに(泣)
:10/07/25 01:13
:840SH
:fMnZyN5s
#384 [愛華]
「二人の怒りは完璧
那佑のほうに向いちゃってる
と思う。…なにおこるか
あたしにもわかんない。
でも、あたしが那佑のそばに
いるから」
「……ありがとう。」
久々の学校初日。
これから一波乱おこりそうな
そんな予感がした。
人生って楽にいかないなぁ…
:10/07/25 01:17
:840SH
:fMnZyN5s
#385 [愛華]
その日の放課後。
梓と校門でわかれ、
あたしは隆則と会うために
喫茶店へ向かった。
そこにいたのは…
「えーと……誰?」
「あ?なんだそのボケ」
隆則は髪を真っ黒に染めていた。
:10/07/25 13:03
:840SH
:fMnZyN5s
#386 [愛華]
「な、なにがあったの?」
「金髪だと目立つし、不良どもに
絡まれっからさ。めんどいんだ。
これだと絡まれなくて済むだろ」
あたしは隆則の気遣いがわかった。
あたしが退院して、一緒に
いることが多くなると
絡まれるとことか、あたしに
見られちゃうから。
:10/07/25 13:08
:840SH
:fMnZyN5s
#387 [愛華]
ケンカはしないけど
そーゆーの、あたしに
見られたくないんだよね。
………ありがとう。
それにしても……
「似合うね、黒。金髪より
全然いーよ!」
「マジ?」
:10/07/25 13:11
:840SH
:fMnZyN5s
#388 [愛華]
そう。隆則は黒が似合う。
びっくりしたけど、ほんとに
似合っていた。
……つまり、かっこいいんです。
あたしが見とれていると、
「そんな見んな」と、
デコピンされた。
その時の隆則は顔が赤くて。
でもそれを言ったら、今度は
ゲンコツされそうだったので
やめておいた。
:10/07/25 13:15
:840SH
:fMnZyN5s
#389 [愛華]
「久々の学校はどーだった?」
あ…そうだった。
すっかり忘れてた(泣)
でもあたしは。
「んー普通かな?周りの目は
多少痛かったけどねー」
隆則には黙っておく事にした。
:10/07/25 18:18
:840SH
:fMnZyN5s
#390 [愛華]
心配かけたくなかった
っていうのもあるし。
なにより、隆則にばかり
甘えていたくなかったんだ。
隆則がいなくたって…
自分でまいた種なんだから。
自分でなんとかしなくちゃ。
梓には口止めしておいた。
:10/07/25 18:21
:840SH
:fMnZyN5s
#391 [愛華]
隆則に黙ってることに対して
梓は反対したけど、
あたしの気持ちをわかって
くれたのか、
最後はしぶしぶ了解してくれた。
「明日学校まで迎えにいくか?」
「いーよ、恥ずかしいし。
また連絡するから」
そう言って、その日は別れる
ことにした。
:10/07/25 18:26
:840SH
:fMnZyN5s
#392 [愛華]
バス停まで来ると、隆則が
いきなりぎゅっとしてきた。
「………隆則?
ひと、見てるよ?」
「んーうん……
……なんかあったら言えな?」
「………うん。」
隆則はわかってたんだね。
でも優しいから。
………優しすぎるから。
だから私はいつも甘えちゃうの。
:10/07/25 18:36
:840SH
:fMnZyN5s
#393 [愛華]
次の日。
朝、学校に来ると、女子から
とてつもなく白い目で見られた。
下駄箱へ行くと、靴がなかった。
………予想はしてたけど。
でも、こんなもんで
終わるはずがないのが
高二の女子のイジメである。
:10/07/25 23:13
:840SH
:fMnZyN5s
#394 [愛華]
誰か見てくれてますかー?


:10/07/25 23:15
:840SH
:fMnZyN5s
#395 [りぃ]
見てます\^^/
:10/07/25 23:17
:W65T
:ZJ1NuiSc
#396 [愛華]
:10/07/26 16:33
:840SH
:VJ1QiRnE
#397 [愛華]
教室に行くと、昨日のように
視線が集まる。
でも、昨日とは明らかに
違う冷たい視線。
あたしの机には…
『死ねドブス』『消えろや』
などの言葉。
:10/07/26 16:37
:840SH
:VJ1QiRnE
#398 [愛華]
相沢、京極のほうを見ると
ニヤニヤ笑っていた。
その目は
『まだ、こんなもんじゃないよ』
と言ってるようで
恐ろしかった。
人間って、ここまで冷たい目を
できるんだなぁって。
そんな恐怖を覚えた。
:10/07/26 16:40
:840SH
:VJ1QiRnE
#399 [愛華]
机の落書きを消していると
梓が息をきらして
教室にはいってきた。
「…っ那佑!!
なんで先行ったの!!」
「え…だって梓遠回りに
なっちゃうし……」
「ばか!!ほんとばか!!
これからは絶対ひとりに
なっちゃダメだからね!!」
:10/07/26 16:44
:840SH
:VJ1QiRnE
#400 [愛華]
梓は心配して、こんなにも
息をきらして駆け付けてくれた。
それは嬉しかったし
申し訳なかったけど……
この時、ちゃんと梓の言うこと
聞いていれば
あんなことにならなかったのかな
あたしはまだ相沢と京極の
本当の狂気に
気づいてなかったんだ。
:10/07/26 16:48
:840SH
:VJ1QiRnE
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