その日が来る前に、
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#1 [愛華]
辛かった。
苦しかった。
だから、生きたかった。
いつだって、願ったことは
ただひとつ。
「ただ一人、誰かの為に生きたい。」
それが君だったらいいな って
幼い心の中で思った。
まだ17才の春。
:10/06/19 19:31
:840SH
:hMWSntJM
#2 [愛華]
その時わたしは
まだ17才。
毎日が苦しかった。
見える景色は毎日同じ。
いつか。
って何度も願ったけど
その思いは音をたてて
その度くずれていった。
:10/06/19 19:37
:840SH
:hMWSntJM
#3 [愛華]
「だーかーら!!!
俺はなんもしてねぇっつってるだろがよ!!!」
「…お前いつもそういってるだろ……」
ここは病院。
そこに昨日入院した男
赤石隆則(あかいしたかのり)
19才。
:10/06/19 19:44
:840SH
:hMWSntJM
#4 [愛華]
「だからさぁ!!
俺はケンカ止めただけだって」
「止めただけ……?
ホントか?」
「……まぁ一発二発…」
「殴ってんじゃねーか!!」
そう隆則を追い詰めるのは
長谷充(はせみつる)
警察官であり、
今となっては隆則が起こす
事件の専門となりつつある
かわいそうな30才のオッサン。
:10/06/19 19:53
:840SH
:hMWSntJM
#5 [愛華]
「お前なぁ。
骨折で済んだからいーけど。
相手、ナイフ持ってんだぞ?
もし刺さってたらどーする?」
「刺さってねーからいーだろ」
「まぁそーだな。
結果オーライってことで♪
んなわけねーだろボケ!!!」
:10/06/19 19:58
:840SH
:hMWSntJM
#6 [愛華]
長谷の顔は疲れというか呆れ
というか怒りというか…
まぁそんなマイナスの感情が
たっぷり現れていた。
「そんなイライラすんなよ
ハゲつるつる」
「長谷充だ!!
おもしろくねーわ!!」
:10/06/19 20:02
:840SH
:hMWSntJM
#7 [愛華]
「お前なぁ、毎回
呼び出される俺の身にもなれ!
今回だってな。
俺、なんて呼び出された
と思う?」
「え…さぁ?」
「赤石がまたやらかした。
めんどくせーから長谷よろ〜
ふざけんな!!俺の
日曜日返せコラァ!!」
あー………
もう隆則にはどうしようも
なかった。
:10/06/19 20:07
:840SH
:hMWSntJM
#8 [愛華]
ひととおり、長谷の説教
&やつあたりが終わった
ところで、長谷は
帰ることになった。
「今回も先に手だしたの
向こうだし、ナイフも持って
たからお前は大丈夫だよ多分」
「おーわかった」
「…毎回、悪いのはあっち
だけどな。
あんま心配かけんな。
骨折だけじゃ済まなくなる事も
あるかもしれねーぞ」
:10/06/19 20:14
:840SH
:hMWSntJM
#9 [愛華]
毎回、長谷はこういう。
「じゃーな」
「長谷」
「…ん?」
「さんきゅな。…いつも」
「そー思うなら日曜に
ケンカすんな。
ただでさえ寝不足なんだぞ」
「おーわかった。」
少し胸が、温かかった。
:10/06/19 20:18
:840SH
:hMWSntJM
#10 [愛華]
〜隆則side〜
:10/06/19 20:21
:840SH
:hMWSntJM
#11 [愛華]
赤石隆則19才。
キンパツのせいで
必要以上にケンカに絡まれる。
昨日は道端でケンカしてたのを
止めようとして、
案の定絡まれ、階段から落下。
足首を骨折。
後に待ってたのは、いつもの
長谷の説教。
:10/06/19 20:27
:840SH
:hMWSntJM
#12 [愛華]
長谷はいーやつだ。
親のいない俺にとって
ただひとり信頼してる男でもある。
メーワクかけてるけど
その度ちゃんと後始末
してくれる。
:10/06/19 20:30
:840SH
:hMWSntJM
#13 [愛華]
その日もいつものように
長谷の説教を受け、
俺は暇だったので院内を
散歩することにした。
:10/06/19 20:33
:840SH
:hMWSntJM
#14 [愛華]
この日。君と出会ったんだ。
ケンカばっかだった俺に
光をくれた君。
でも君自身は闇を抱えて
今日という日を
苦しみの中、生きていた。
:10/06/19 20:37
:840SH
:hMWSntJM
#15 [愛華]
「うわ、足がちがち!
うごかねぇ!!」
散歩しようとしたのはいーが
骨折してたの忘れてたな。
うーん。絶対安静って
看護師言ってたけど。
…あ、トイレいきたくなった。
:10/06/19 20:41
:840SH
:hMWSntJM
#16 [愛華]
ビー
「赤石さん、呼びました?」
「あートイレいきたい
ですけどー…」
「じゃあ車椅子つかって
下さい」
俺はナースコールで看護師を
呼び、車椅子を借りた。
:10/06/19 20:43
:840SH
:hMWSntJM
#17 [愛華]
「よいしょ」
車椅子は思ったより小さく
なんか違和感があった。
廊下に出ると、さっきの
看護師がいた。
「さっき赤石さんと
しゃべっちゃった☆
あの人カッコイイよねー」
「えーうらやましい☆」
くだらねぇ。
俺は昔から女が苦手だった。
:10/06/19 20:49
:840SH
:hMWSntJM
#18 [愛華]
女は顔だけで男を判断する。
女のつけた香水の匂いを
嗅ぐと、具合が悪くなる。
なにがうらやましいだ…
気分が悪いまま廊下を
進んでいると、
ドンッッ!!!
誰かが俺にぶつかった。
:10/06/19 21:30
:840SH
:hMWSntJM
#19 [愛華]
「いってぇ……」
「いたた…あ、ごめんね!!
大丈夫!?」
俺にぶつかったのは女だった。
「こらぁー!!那佑ちゃん!
待ちなさい!!」
「げ!!」
女は後から追ってきた看護師に
捕まった。
:10/06/19 21:34
:840SH
:hMWSntJM
#20 [愛華]
「ほんっっとに
すいません!!
ほら、那佑ちゃんも!!」
「ごめんなさい…」
女は15才くらいに見えた。
しかし、廊下を走って怒られる
くらいに元気なのに…
どこが悪くて入院してんだ?
:10/06/19 21:37
:840SH
:hMWSntJM
#21 [愛華]
「那佑ちゃん、はやく
病室もどりましょ?」
「い や だ!!」
那佑とかいう女は、
病室に戻らないと駄々を
こねはじめた。
…俺、関係ねーし……
病室に戻ろうとすると、
那佑に腕を掴まれた。
:10/06/19 21:41
:840SH
:hMWSntJM
#22 [愛華]
「じゃあこの人の部屋に
遊びに行く!!
いいでしょ?隆則」
「なにいってんだよ!
ダメにきまって…って え!?
なんで俺の名前…」
「昨日から噂だよ?
カッコイイ人が入院したって。
あなたでしょ?赤石隆則さん」
コイツ……
:10/06/19 21:46
:840SH
:hMWSntJM
#23 [愛華]
「ガキがなにいってんだ!
俺関係ねーだろ!」
「ガキって…あたし17才
だよ??」
17!?
二つしか違わねぇじゃん…
「那佑ちゃん!!
赤石さんにメーワクかけないで
病室もどるわよ!!」
:10/06/19 21:49
:840SH
:hMWSntJM
#24 [愛華]
看護師もイライラしてるみたいだ。
やれやれ……
とんでもないとこに
巻き込まれた……
ケンカよりやっかいかも?
「…いいじゃん。
どーせそのうち死ぬんだし」
空気が凍った。
:10/06/19 21:51
:840SH
:hMWSntJM
#25 [愛華]
「那佑ちゃん、なに言って…」
「あれ?あたし
間違った事言った?」
そのうち死ぬ……?
なんで…
看護師、なんもいわねぇの?
「那佑ちゃん!!
違うよ!まだきまってな…」
ごんっっ!!
:10/06/19 21:55
:840SH
:hMWSntJM
#26 [愛華]
「いったぁ!!
なにすんの!!?」
俺は那佑にゲンコツした。
「ふざけて言うことじゃねえ。
なにが死ぬだ」
「ふざけて…?
ふざけてないよ」
那佑はそう言うと、
走ってどこかへ行った。
え…?あれ?
まだ話おわってねーし……
:10/06/19 22:00
:840SH
:hMWSntJM
#27 [愛華]
「赤石さん……」
看護師が申し訳なさそうに
言った。
「あーいーですよ、別に。
てか、いつもあんな
感じなんですか??」
「はい……」
なんだ??なんか…
様子が変??
俺の中で
ひとつの疑問が浮かんだ。
:10/06/19 22:05
:840SH
:hMWSntJM
#28 [愛華]
「さっきの……嘘ですよね?」
「……えと……」
なんで詰まるんだ?
「私から言うことじゃないです
仕事に戻りますね」
汗が流れた。
:10/06/19 22:09
:840SH
:hMWSntJM
#29 [愛華]
看護師の様子はあきらかに
おかしい。
もし、アイツの言ってる事が
本当だったら……?
「どうせそのうち…」
どんな気持ちで
「ふざけてないよ」
あの言葉を……
:10/06/19 22:11
:840SH
:hMWSntJM
#30 [愛華]
その夜は眠る気になれなかった
昼に出会った彼女は
まだ17才で……
もし本当だったら……
「ふざけて言うことじゃねえ」
俺は……最悪の言葉を……
彼女は今……
どんな気持ちで………
:10/06/19 22:15
:840SH
:hMWSntJM
#31 [愛華]
「な……ゆ……」
気がつくと声に出していた。
なに考えてんだよ、俺。
あんな女、俺には
関係ねーじゃん。
気にすることじゃない。
そう言い聞かせた。
:10/06/19 22:17
:840SH
:hMWSntJM
#32 [愛華]
ふと窓の外を見ると、桜が
咲いていた。
月明かりに照らされ、
花びら一枚一枚が宝石のように
輝いていた。
すげぇ…
俺の部屋は2階だから、
桜が近くで見れる。
窓から手を伸ばせば
枝に手が届きそうだ。
:10/06/19 23:38
:840SH
:hMWSntJM
#33 [愛華]
窓を開けてみた。
桜をよく見ようと顔を窓から
出すと………
人影が見えた。
え??こんな時間に誰だ?
どうやらそいつも桜を見ている
らしい。
目を凝らしてよく見ると……
「なゆ……?」
:10/06/19 23:42
:840SH
:hMWSntJM
#34 [愛華]
那佑は泣いていた。
声を押し殺して。
なぜかわからないけど
行かなくちゃって思った。
はやく、行かなきゃ って。
:10/06/19 23:45
:840SH
:hMWSntJM
#35 [愛華]
足をひきずって車椅子に乗り
部屋から出た。
絶対みつかるだろこんなの…
案の定、見つかった。
「赤石さん、こんなとこで
なにしてるんですか…?」
ほらな。だが、幸い。
その看護師は昼間
ナースコールで呼んだ
看護師だった。
:10/06/19 23:54
:840SH
:hMWSntJM
#36 [愛華]
しめた!!
「…すいません看護師さん。
実は昼間、姉がこの病院に
来てたんですけど。
外に忘れ物したらしくて。
すごい大事な物らしいので
取りにいきたいんですけど…」
「そーなの?でも無理よ。
あたしがとってきてあげる」
「いや、俺が!!
……お願いします」
今まで生きてきて一番の
作り笑顔。
「……だめです」
ちっっ
:10/06/20 00:00
:840SH
:D6pBQqE2
#37 [愛華]
結局、その日は行けなかった。
部屋に戻って窓の外を見ると
アイツはもういなかった。
どうして……泣いてたんだ?
心がもやもやする。
……くそっっ
頭の中はアイツでいっぱい。
今日会ったばかりのアイツ。
明日……もう一度会いたい。
:10/06/20 00:05
:840SH
:D6pBQqE2
#38 [まあ]
〜那佑side〜
:10/06/20 11:42
:840SH
:D6pBQqE2
#39 [まあ]
「那佑、いい子にしてるのよ」
「うん…でもママ、
いつ帰ってくるの?パパも…
外国から帰ってこない…」
「那佑がいい子にしてたら
いつか帰ってくるから」
いつか?
いつかって………いつ?
:10/06/20 11:45
:840SH
:D6pBQqE2
#40 [愛華]
すいません

上のふたつは
名前間違ってました

:10/06/20 11:46
:840SH
:D6pBQqE2
#41 [愛華]
私は、その いつか を信じて
待ち続けた。
寂しさに押し潰されそうな日も
悲しみに支配されそうな日も。
お母さんが言った「いつか」
を信じて。
:10/06/20 11:49
:840SH
:D6pBQqE2
#42 [愛華]
毎月、膨大な生活費が
お母さんから送られてきた。
お父さんもお母さんも、
外国で大きな仕事をしていて
帰ってこれないらしい。
お金なんていらない。
私が欲しいのは……
:10/06/20 11:51
:840SH
:D6pBQqE2
#43 [愛華]
温もりを忘れた私の心は
少しずつ…冷たくなっていった
でも、泣かなかった。
いつも笑って明るく過ごした。
いい子にしててねって……
言ってたから。
:10/06/20 11:54
:840SH
:D6pBQqE2
#44 [愛華]
そんなある日。
確か……小学四年生の頃。
お母さんがいなくなって
ちょうど一年たった、春。
「ご両親…呼んでもらえる?」
「え……」
最近、体の調子がかなり悪く
風邪かな と思い病院へ行った。
そこで色々検査して……
たかが風邪で……と思ってた。
でも……違った。
:10/06/20 11:59
:840SH
:D6pBQqE2
#45 [愛華]
「…両親は今、外国にいます。」
「旅行かなにか?」
「いえ…一年前から仕事で、
それから帰ってきません」
「君……ひとりを残して?」
改めて言われると…辛かった。
:10/06/20 12:02
:840SH
:D6pBQqE2
#46 [愛華]
「ご両親と話がしたい。
呼んでもらえる?」
「…わかりました」
その夜、お母さんに電話した。
「お母さん…あのね。
お医者さんがね………」
私は全部話した。
「ただの風邪じゃないの?」
「違うみたい。だから
お医者さんが来てって。」
お母さんとお父さんは、すぐ
帰って来てくれた。
:10/06/20 12:08
:840SH
:D6pBQqE2
#47 [愛華]
次の日の夜。
お母さんとお父さんは帰ってきた。
「那佑〜久しぶり!!」
「大きくなったなあ」
お父さんとお母さんは
私を抱きしめてくれた。
次の日、病院に行く事になった。
私はお母さんたちが
帰ってきてくれた事が
うれしくて………
まだこの時は、
未来を予測できなかった
:10/06/20 12:14
:840SH
:D6pBQqE2
#48 [愛華]
「ご両親はこちらへ…」
お母さんたちは医者に呼ばれ
個室に入っていった。
……なんかこれ、見た事ある。
あれ??なんで…お父さんたち
帰ってきたんだっけ?
そうだ。私の為。
私、ただの風邪じゃないって…
ただの風邪じゃない……?
お母さんたちがいなくなった事で
さっきまで感じなかった
不安が広がってゆく。
:10/06/20 12:19
:840SH
:D6pBQqE2
#49 [愛華]
怖い…怖い…
お母さん…お父さん…
はやく来て……
30分くらいして、二人と医者は
出てきた。
お母さん……なんで泣いてるの?
:10/06/20 12:21
:840SH
:D6pBQqE2
#50 [愛華]
「お母さん…どしたの?」
「…なんでもっっない…の」
嘘。だって………
私だって馬鹿じゃない。
「私……なんの病気??」
「大した事ないって」
「じゃあなんでお母さんは
泣いてるの!!??」
私は叫んだ。
:10/06/20 12:23
:840SH
:D6pBQqE2
#51 [愛華]
「もう子供じゃないの。
教えてよ」
「……ご両親にお任せします
遅かれ早かれわかりますが…
それは今ではなくとも
よいと思います」
「…ありがとうございました」
私たちは家へ帰った。
お母さんはずっと泣いたまま。
お父さんは黙っていた。
:10/06/20 12:27
:840SH
:D6pBQqE2
#52 [愛華]
「私……なんの病気?」
「那佑……」
お父さんは覚悟を決めたようで
話し始めた。
そこからの事は、
あまりよく覚えてない。
覚えてるのは
私は心臓の病気で
25才まで生きられない
そう伝えられたって事だけ。
:10/06/20 12:34
:840SH
:D6pBQqE2
#53 [愛華]
それから、毎日のように
お父さんとお母さんは
ケンカした。
「お前は那佑が心配じゃないのか!」
「そんな訳ないでしょ!!
でも仕事が……」
どうやら二人とも
仕事を残して帰国したようで…
:10/06/20 12:39
:840SH
:D6pBQqE2
#54 [愛華]
「…二人とも戻っていーよ。
今すぐ、どーにかなる訳じゃ
ないし。
仕事かたしてから……
帰ってきて?」
「…だ、だめよ、そんなの!」
「無理に決まってるだろう!」
もう………いいよ
いいんだよ
:10/06/20 12:41
:840SH
:D6pBQqE2
#55 [愛華]
心が冷えてゆく。
二人は……私よりも仕事?
私と仕事を比べて……
ケンカしないで。
「大丈夫だから。戻って。
私………大丈夫だから」
私は 大丈夫 としか言わなかった。
:10/06/20 16:32
:840SH
:D6pBQqE2
#56 [愛華]
二人は結局、外国に戻った。
悲しくなんかない。
不思議と……
余命を告げられた事よりも
二人がいなくなった事の方が
私を苦しめた。
私ひとりだけの家。
「信じらんない…」
自分がお願いしたこととはいえ…
それでも、やっぱり
残って欲しかった。
:10/06/20 16:36
:840SH
:D6pBQqE2
#57 [愛華]
その日、
私は数年かぶりに泣いた。
声を出さずに静かに。
二人への気持ちは、
やがて憎しみへと変わり、
二人は一年後、帰国したけど
「あなたたちは私の親なんか
じゃない」
と言ってやった。
もう誰も信じてなんかやらない。
:10/06/20 20:33
:840SH
:D6pBQqE2
#58 [愛華]
それからは入退院の繰り返し。
退院する度、お母さんたちは
お祝いしてくれたけど…
嬉しくもなんともなかった。
病院の中が私の居場所。
たくさんの人と話をして…
私はいつも笑顔を忘れなかった。
:10/06/20 22:31
:840SH
:D6pBQqE2
#59 [愛華]
どーせ、もうすぐ死ぬんだし…
なら、笑顔で生きようと思った。
私が死ぬその日が来るまで
長くてあと8年。
そんな17才の春、
あなたに出会ったんだよね。
:10/06/20 22:35
:840SH
:D6pBQqE2
#60 [愛華]
出会いは最悪だった。
いきなりキンパの男に
ゲンコツされるんだもん。
でも、初めてみたときから
あたしは
他の人とは違うなにかを
あなたに感じていたのかも
しれないね。
:10/06/20 22:37
:840SH
:D6pBQqE2
#61 [愛華]
ごんっっ!!
「いったぁ!!なにすんの!?」
「ふざけて言うことじゃねぇ。
何が死ぬだ」
ふざけて…?
違うよ。本当の事だもの。
:10/06/20 22:40
:840SH
:D6pBQqE2
#62 [愛華]
あたしは、すぐ逃げ出した。
なによ…知ったよーな事……
でも……初めてだな、あんな人。
「那佑ちゃん……」
「純さん……何??」
純さんとは看護師さん。
純菜とゆーので、あたしは
そう呼んでる。
:10/06/20 22:44
:840SH
:D6pBQqE2
#63 [愛華]
ベッドにねっころがりながら
あたしは純さんと話していた。
「…今日も……会わないの?」
「会うも会わないも……
あんな人たち、親でも
なんでもないよ。
面会なんてする必要なし」
「…ん。わかった」
純さんは私の家族の事情を
知ってる。
あたしは売店で買ったアイスを
食べながら外をながめた。
:10/06/20 22:49
:840SH
:D6pBQqE2
#64 [愛華]
桜が咲いていた。
下にはたくさんの花びら。
この桜が咲いて…散るのを
何度も繰り返し見てきた。
なんか色々……しんどいなぁ…
人は生きる事に意味や価値を
見いだせなくなった時、
何を思うんだろう。
:10/06/21 00:14
:840SH
:mstfc2eg
#65 [愛華]
感想板たてました

来てくれたらうれしいです

bbs1.ryne.jp/t.php?b=novel
:10/06/21 01:04
:840SH
:mstfc2eg
#66 [愛華]
その夜遅く。
私はいつものように病室を
ぬけだし、
庭へ出た。
面会用の玄関は、夜は閉まる
のだけれど
その裏にある従業員用の玄関から
簡単にでることができる。
誰にもナイショ。
自分との秘密の時間。
:10/06/21 20:27
:840SH
:mstfc2eg
#67 [愛華]
今日も…気付かれなかったな。
よかった。
上を見上げると桜が咲いていた。
綺麗だ。宝石みたい。
桜も……散ってゆくんだよね
:10/06/21 23:03
:840SH
:mstfc2eg
#68 [愛華]
綺麗だけど……儚い。
ううん、違うね。
儚いから……綺麗なんだ。
私の命はきっと……
こんなに綺麗には散れない。
:10/06/21 23:05
:840SH
:mstfc2eg
#69 [愛華]
誰にも愛されず、ひとりで。
誰の記憶に残ることもなく。
切ない。 淋しい。
:10/06/21 23:07
:840SH
:mstfc2eg
#70 [愛華]
私は泣いた。
死への恐怖からじゃない。
私が消えたあとで
自分の存在がなくなったあとで
自分が何を思われるのか
すごく不安で。
:10/06/21 23:10
:840SH
:mstfc2eg
#71 [愛華]
忘れられちゃう。
存在が消える。
今までなんとも思わなかった
自分の死への道のり。
私はこの日はじめて
自分の死に、そして生に
光を 求めた。
25才まであと8年。
私は記憶に残りたいのです。
:10/06/21 23:14
:840SH
:mstfc2eg
#72 [愛華]
〜隆則side〜
:10/06/23 02:27
:840SH
:JQjK9wkY
#73 [愛華]
あの日から三日。
病院内を意味もなく散歩したり
してるけど、いまだあの子とは
会えないまま。
あれからいろいろ看護師に聞いて
ちょっとだけあの子のことが
わかった。
:10/06/23 19:08
:840SH
:JQjK9wkY
#74 [愛華]
白石那佑(しらいしなゆ)
17才。
9才の頃から入退院を繰り返し
現在は6回目の入院。
心臓の病気(詳しくは教えてくれなかった)
を小四の春に発症。
今のままだと余命は長くて8年。
:10/06/23 19:13
:840SH
:JQjK9wkY
#75 [愛華]
でも、そのことに触れるのは
タブー。
しかし、那佑自身はそのことを
気にしていないようで
しょっちゅう、
「どーせもうすぐ死ぬ」
と口に出すらしい。
:10/06/23 19:16
:840SH
:JQjK9wkY
#76 [愛華]
気にしていない…?
ほんとに?
じゃあ、あの夜の涙は??
あれから夜に那佑を見ることは
ない。
それどころか、あの日以来
一度も姿を見かけていない。
:10/06/23 19:19
:840SH
:JQjK9wkY
#77 [愛華]
今日は会えるかなー……
あの日から。
なぜか那佑のことが
頭から離れない。
深入りするべきじゃない。
それは自分が一番わかってる。
でも、
もう一度あいたいって
思ったんだ。
:10/06/23 19:23
:840SH
:JQjK9wkY
#78 [愛華]
車椅子で病院内をうろついていた。
喉が乾いたので、自販機で
ジュースを買うことにした。
が、届かない。
飲みたいジュースは一番上。
車椅子では届かない。
:10/06/23 19:26
:840SH
:JQjK9wkY
#79 [愛華]
……立つか……
バランスをとりながら立とうと
すると、
ギプスのせいで、よろめいた。
やべっ……
がしっ
:10/06/23 19:28
:840SH
:JQjK9wkY
#80 [愛華]
「あぶな〜てかばかじゃん?
車椅子から立とうとか(笑)」
「!!那……佑 」
支えてくれたのは那佑だった。
「名前…覚えてくれたんだ」
那佑は、にひっと笑った。
:10/06/23 19:31
:840SH
:JQjK9wkY
#81 [愛華]
びっくりした……
数日前に会ったばっかなのに
なんか……久しぶりに感じる。
「この前はゲンコツをどーも」
「あ…どーいたしまして…」
なにを言ってんだ俺は。
上手くしゃべれねぇ……
:10/06/23 21:20
:840SH
:JQjK9wkY
#82 [愛華]
俺たちは庭のベンチで少し話を
することにした。
「…この前…悪かったな」
「…ん?ふざけて言うことじゃねー
とかゆーやつ?
気にしてないよそんなの」
「…そか……」
「…そう言うってことは……
もう知ってるんだね?
……私のこと」
:10/06/23 21:25
:840SH
:JQjK9wkY
#83 [愛華]
ドキっとした。
「なんか噂でね〜
誰かさんが、色々な看護師さんに
あたしのこと聞きまわってるって
あくまで噂ね?あくまで。」
……バレてんのかよ……
てか、コイツ情報網広いな。
それも長い間入院してるから
なのか… かもしんねーな。
:10/06/23 21:29
:840SH
:JQjK9wkY
#84 [愛華]
「……別にいーんだよあたし」
何が……いいんだ?
だって泣いてたじゃねーかよ。
「…終わりが見えてるだけ。
それが、ちょっと人より
はやいってだけ。
……時々しんどいけどね」
「…しんどい?」
:10/06/23 21:33
:840SH
:JQjK9wkY
#85 [愛華]
那佑は悲しそうにわらった。
「終わりが見えてると…
たまに生きるのがしんどくて。
でも、あたし不思議と
怖くないの。死ぬことが」
「…なんで?
フツー怖いだろ?」
:10/06/23 21:37
:840SH
:JQjK9wkY
#86 [愛華]
「…んーなんてゆーか。
慣れちゃったからかな」
「慣れ…?え?なに?」
「……苦しいのとか
悲しいのとか。
そーゆー感情に」
頭をガツンとやられた気がした。
:10/06/23 21:41
:840SH
:JQjK9wkY
#87 [愛華]
俺が出会った彼女は
まだ17才で。
その子は闇につつまれ
今日という日を生きていた。
苦しみや悲しみに慣れて
「恐怖」という感情を忘れて
しまうほどに
真っ暗な道を歩いていた。
:10/06/23 21:45
:840SH
:JQjK9wkY
#88 [愛華]
「…しゃべりすぎちゃったな」
那佑は、白い歯を見せて笑った。
……もう戻れない。
深入りするべきじゃない…?
そんなの知るか。後悔はしてない
この子の闇に触れてしまったから
:10/06/23 21:48
:840SH
:JQjK9wkY
#89 [愛華]
「……楽にすればいーよ」
俺はこの子の…
「…なんかあったら話きくし」
この子が抱えている闇を
…少しでも…減らしたい。
:10/06/23 21:50
:840SH
:JQjK9wkY
#90 [愛華]
「…ありがと。…隆則」
「…隆則かぁ…。
じゃあ、俺も那佑でいい?」
「…いーけど…
隆則って何歳?本名は?」
:10/06/23 21:53
:840SH
:JQjK9wkY
#91 [愛華]
そういえば……
俺のこと何も話してねーや。
「赤石隆則。19才。」
「えー!!二つしか
違わないんだ!
もっと上かと思ってた。
キンパだし」
「キンパ関係ねーだろ!
俺、そんな老けてっか?」
「赤石かー私、白石だよ!」
……人の話きけよ。
なにげ傷ついてんだぞ。
スルーすんな。
:10/06/23 21:57
:840SH
:JQjK9wkY
#92 [愛華]
「赤と白!なんか対っぽくない?
赤と白が出会えたことに
かんぱーい!!」
そういうと那佑は缶ジュースを
カチンと当ててきた。
赤と白か……
出会ったことは
確かに運命だったかもな。
「……ガキ(笑)」
「なっ!ひど!!」
:10/06/23 22:01
:840SH
:JQjK9wkY
#93 [愛華]
ただ俺は君の笑顔が見たくて。
それだけだった。
君の苦しみをわかってあげたい。
いつも思っていたから。
この気持ちが恋と気づくのに
さほど時間はかからなかった。
:10/06/23 22:05
:840SH
:JQjK9wkY
#94 [愛華]
〜那佑side〜
:10/06/24 01:58
:840SH
:WjcdUaN2
#95 [愛華]
初めて
たくさんの事を人に話した。
自分のこと。
なぜかは自分でも分からない。
でも、この人になら
ちょっとだけ自分を
ちょっとだけ私の心を
見せても大丈夫なんじゃないかな
って 思ったんだ。
:10/06/25 20:39
:840SH
:I/HA.bV2
#96 [愛華]
あの人が、私の事ききまわってる
って聞いた時、
ちょっと嬉しかった。
自分の事を知ろうと
してくれてる人がいる。
好奇心?同情?単なる気まぐれ?
暇つぶし?
そんなの、どーでもよかった。
…………よかったんだよ、隆則。
:10/06/25 20:51
:840SH
:I/HA.bV2
#97 [愛華]
「たーかーのーり!!」
「……またお前かよ(笑)」
あれから私は毎日のように
隆則に会いにいった。
看護師さんには怒られたけど
完全無視(笑)
隆則もメーワクではない
(…と思う)ようだった。
:10/06/25 22:52
:840SH
:I/HA.bV2
#98 [愛華]
「毎日きてていーわけ?」
「隆則はあたしが来たら
メーワクなの??」
「んな事いってねーだろ…」
あ、ちょっと顔が赤くなった。
なんだろ。変な感じ。
「ねー隆則、顔あかいよ?」
「え!!き、気のせいだろ!」
:10/06/25 22:55
:840SH
:I/HA.bV2
#99 [愛華]
赤くなる隆則はなんか
可愛かった。
照れてんのかな??
あたしと隆則は他愛もない
話をたくさんした。
「あたしねープリン食べたい」
「好きなの?プリン」
「うん。退院したら
バケツプリンってゆーの
食べてみたいなぁ」
「たべりゃいーじゃん」
:10/06/25 23:00
:840SH
:I/HA.bV2
#100 [愛華]
「退院…できるかなぁ」
「できるにきまってんだろ」
隆則はハッキリ言い切った。
無理しなくていーのに。
子供じゃないんだから
完全な退院なんて無理だって
知ってるのに。
私はここで一生を終えるのに。
:10/06/25 23:03
:840SH
:I/HA.bV2
#101 [愛華]
でも……隆則がいうと
もしかしたら…って思えた。
「…うん。がんばる」
隆則はニッコリ微笑んだ。
隆則が笑うと、胸がきゅってなる
なんだろう?
胸が温かくて、もっと
笑ってほしい。
あなたの為に笑いたいって
思うの。
:10/06/26 18:52
:840SH
:dev.iGAs
#102 [あい]
:10/06/27 09:56
:P03A
:☆☆☆
#103 [愛華]
>>102様
ありがとうございます

つたない文章ではありますが
精一杯がんばります!!
最後まで読んでくれると
とても嬉しいですF
:10/06/27 17:38
:840SH
:hAwrbAMo
#104 [愛華]
「那佑ちゃーん。
検査の時間だから病室もどって」
隆則と雑談していると、
純さんが、呼びにきた。
「えー…もう…?」
「またあとで来ればいーだろ。」
あ、また。
胸がきゅってなった。
:10/06/27 21:07
:840SH
:hAwrbAMo
#105 [愛華]
「またくるね!!」
「おー…」
私はそう言って、病室に
純さんと戻った。
「なかいーんだねー
……赤石さんと」
突然、純さんがいった。
「はい??そーかなぁ」
「うん。なんか、
那佑ちゃんも赤石さんには
心ひらいてるかんじ。」
:10/06/27 21:41
:840SH
:hAwrbAMo
#106 [愛華]
そんなつもりなかったけど…
でも。
「隆則と話してるとね。
なんか安心するの。
お腹のあたりが
ほわーってあったかくなるんだ」
「ほほう。恋ですなぁ」
「………!?」
:10/06/27 22:04
:840SH
:hAwrbAMo
#107 [愛華]
こい……??
「…ええええ!?
そんなの!違うよ!
隆則は…隆則は……」
「赤石さんは……なに?」
純さんはニヤニヤしながら
聞いてくる。
私にとって隆則は……
:10/06/27 22:18
:840SH
:hAwrbAMo
#108 [愛華]
私が答えに詰まっていると
純さんはニコッと笑った。
「最近の那佑ちゃん、楽しそう。
前までは…なんていうか
生きるのに疲れきってるかんじ
だったけど……
赤石さんと出会ってからかな?」
隆則と……会ってから?
:10/06/27 22:21
:840SH
:hAwrbAMo
#109 [愛華]
「…うん。そーかも。
最近ちょっと……楽しい」
「そっかー那佑ちゃんも
恋かぁ……」
「だから違うってば!!」
「那佑ちゃん可愛い〜(笑) 」
:10/06/27 22:29
:840SH
:hAwrbAMo
#110 [愛華]
確かにね。
最近、ちょっと
ちょっとだけ、毎日が
楽しいんだ。
自分のことを少しだけ
さらけだして、認めて。
……………隆則と出会ってから。
:10/06/27 22:31
:840SH
:hAwrbAMo
#111 [愛華]
死ぬことへの恐怖なんて
いつだって感じなかった。
人間はいずれ死ぬ。
だからべつにいーんだって。
どこかで諦めてた。
:10/06/27 22:45
:840SH
:hAwrbAMo
#112 [愛華]
それは今も変わらない。
だってどーしようもないでしょ?
どんなに願っても
どんなに祈っても
変えられない運命だから
運命を呪ったって意味はない。
ただね。どーせなら。
誰かの記憶に残って
楽しく生きて
潔く………死にたいなって。
:10/06/27 22:53
:840SH
:hAwrbAMo
#113 [愛華]
小さい小さい私の存在。
17才の私はあまりに
ちっぽけだけれども
誰かの心に
私の存在を 残してから……。
:10/06/27 22:57
:840SH
:hAwrbAMo
#114 [愛華]
「隆則ー!!
遊びにきたよー☆」
「…毎日きてんじゃん…(笑)」
隆則はベッドにねっころがって
タバコを吸っていた。
「……」
「……なした?」
「……タバコ。
未成年なのに。ダメじゃん」
「ばーか。余計なお世話
だっつの。今時みんな
吸ってるだろ」
:10/06/27 23:01
:840SH
:hAwrbAMo
#115 [愛華]
そーなのかな??
そんなもんなのかなぁ??
「……純さんに
言い付けてやろー……」
「……お前、あの看護師と
なかいーよな」
「純さんのこと?
まぁね。家族みたいなもんだよ」
:10/06/27 23:04
:840SH
:hAwrbAMo
#116 [愛華]
「…家族?」
「うん。あたしのとこの事情
いろいろ知ってて……
初めて入院したころから
お世話になってる。
お姉ちゃんみたいな存在。」
「へー……
てか、事情って?」
しくった。
またしゃべりすぎた。
なんだろ。隆則の前だと
スルスル言葉がでてくる。
:10/06/27 23:31
:840SH
:hAwrbAMo
#117 [愛華]
「…あたしんとこは……
お父さんとお母さん
いないから……」
「ふーん……」
隆則はそれ以上きいて来なかった
もっと探られると思ってたのに。
:10/06/27 23:34
:840SH
:hAwrbAMo
#118 [愛華]
「でね、隆則がねー」
「もー那佑ちゃん、
赤石さんの話ばっか(笑)」
「……べつにいーじゃーん
それより純さん!!
次の休みいつ??」
「私、多忙だからね〜
今週の日曜日だったかな?」
:10/06/27 23:40
:840SH
:hAwrbAMo
#119 [愛華]
「……そっか」
「どーしたの??
なんかあるの??」
「……純さん、日曜日さ
誕生日じゃん?
お祝いしてあげよーと思って…」
「……ありがとー!!
じゃあ月曜日!!
期待してるよ☆」
:10/06/28 16:05
:840SH
:EX.tF6FY
#120 [愛華]
純さんはニコッと微笑んだ。
純さんとの出会いは……
入院したてのころ。
「えっとー……那佑ちゃん!
今日からよろしくね」
:10/06/28 16:13
:840SH
:EX.tF6FY
#121 [愛華]
他の看護師は
いつもあたしに同情や冷たい目
ばかりむけていた。
病気のことや両親のことで
いつも可哀相だね って。
でも純さんだけは違った。
患者はみんな平等だって。
:10/06/28 16:17
:840SH
:EX.tF6FY
#122 [愛華]
あたしは、純さんを姉のように
慕うようになった。
そんなあたしを純さんも
可愛がってくれた。
純さんは25才の若い女性。
未来に溢れている人。
そんな純さんが私は……
羨ましかったのかもしれない。
:10/06/28 16:26
:840SH
:EX.tF6FY
#123 [我輩は匿名である]
「ふんふんふーん♪」
「………やけにご機嫌だな」
今日は土曜日。
明日は純さんの誕生日♪
プレゼントは腕時計。
壊れたって言ってたから。
「なんでもないよーだ」
「あっそ」
あれ??ちょっと怒った??
………怒った顔、かわいーな。
「隆則おこってる?」
「べつに………」
:10/06/28 22:14
:840SH
:EX.tF6FY
#124 [我輩は匿名である]
じゃあなんで機嫌わるいんだよ…
私も張り合って機嫌を悪くした
ふりをして、そっぽ向いて
オレンジジュースを飲んだ。
残り少ないジュースは
ズコッという音をたてた。
:10/06/28 22:18
:840SH
:EX.tF6FY
#125 [我輩は匿名である]
「……おこってないって。
純さんの誕生日なんだろ?
………知ってるよ」
そういうと隆則はあたしの頭を
くしゃくしゃなでた。
隆則の手は大きくてあったかい。
「………ちょっとやきもち
やいたんだよ。
うらやましーっつーの……」
ん??今なんて??
:10/06/28 22:21
:840SH
:EX.tF6FY
#126 [我輩は匿名である]
「隆則、今なんて言ったの?
きこえなかったんだけど」
「きこえなくていーの!!」
隆則はまた頭をなでた。
あ、また。胸がきゅってなる。
純さんの言葉を思い出す。
:10/06/28 22:24
:840SH
:EX.tF6FY
#127 [我輩は匿名である]
「那佑ちゃんも恋かぁー」
それはわかんない。
でも隆則の存在は確実にあたしの
中で大きくなっていた。
冷たかったあたしの心を
隆則が少しだけ溶かしてくれた。
どうして……隆則なんだろう
:10/06/28 22:28
:840SH
:EX.tF6FY
#128 [愛華]
「那佑どした?顔赤いぞ」
ふいに隆則があたしの顔を
のぞきこんだ。
「わっ…… 」
自分でも顔が赤くなるのが
わかった。
顔覗きこまれただけで………
あたしって……子供(泣)
「がぁーき(笑)」
「うるさい!!
馬鹿隆則!!」
「そんな怒んなー
ほら、ゼリーやるから」
「やった♪」
ほんと………子供(笑)
:10/06/28 22:33
:840SH
:EX.tF6FY
#129 [愛華]
隆則。
あたしね。
夢をみてた。幸せな夢。
隆則が側にいてくれて。
最近あまりにも楽しいから
忘れてたんだ。
ちょっとだけ期待もしてた。
もしも病気が治ったら……って。
あたしの運命が代わりはじめた
のはこの次の日。
:10/06/28 22:38
:840SH
:EX.tF6FY
#130 [愛華]
その日は終わろうとしていた。
明日は純さんに会える。
一日遅れたけどプレゼント
渡すんだ。
……大好きな純さんに。
あたしは廊下を散歩していた。
「……うそ……純が!?」
「…そんな!!間違いじゃ…」
看護師たちが話してる。
純さんの話…?なんだろ?
:10/06/28 22:43
:840SH
:EX.tF6FY
#131 [愛華]
「ねー純さんがなしたの?
今日やすみでしょ?純さん」
「…!那…佑ちゃん…!」
……なに?なんか……
様子が変。
「……純さん、どーしたの?」
看護師は泣いていた。
「那佑ちゃん、病室に戻…」
「純さんに……
なんかあったの?」
:10/06/28 22:47
:840SH
:EX.tF6FY
#132 [愛華]
「…那佑ちゃん……
なんでもないの!!」
看護師は怒鳴るように言って
無理矢理あたしを
病室に戻した。
なに?なに?なんなの?
……嫌な予感がするよ。
帰りの廊下、看護師用のトイレで
話し声が聞こえてきた。
:10/06/28 22:51
:840SH
:EX.tF6FY
#133 [愛華]
「…そじゃ……いんでしょ?」
「…かんない…どそく……って」
……なんだろ?よく聞こえない。
「……純が……死んだなんて…
信じたくないよ………」
「…………………え?」
:10/06/28 22:54
:840SH
:EX.tF6FY
#134 [愛華]
〜隆則Side〜
:10/06/29 00:00
:840SH
:khB4iVoE
#135 [愛華]
今日、那佑はすこぶる
機嫌がよかった。
どうやら、明日は純さんとかゆー
看護師の誕生日らしい。
那佑は純さんのことを
姉のように慕っている。
純さんが、那佑の支えに
なってることも、あるんだろう。
:10/06/29 19:49
:840SH
:khB4iVoE
#136 [愛華]
那佑は今まで
想像を絶する苦しみを
味わってきたんだろう。
そんな那佑が今ふつうに
笑っていられるのは……
純さんのおかげだったの
かもしれない。
:10/06/29 19:52
:840SH
:khB4iVoE
#137 [愛華]
それは知っているけど……
「やっぱムカつく!!」
「いてっ!!枕なげんなよ」
俺はイライラを
お見舞いにきていた長谷に
ぶちかましていた。
↑最悪(笑)
:10/06/29 19:54
:840SH
:khB4iVoE
#138 [愛華]
那佑の苦しみは……
俺はちょっとしか理解できない
のかもしれないけど。
それでも、俺だけが
わかってあげたい。
そーゆーもんじゃねーの?
「……うらやましーなぁ」
俺はつぶやいた。
あー情けな(泣)
:10/06/29 19:58
:840SH
:khB4iVoE
#139 [愛華]
「……そんなに悩むってことは…
女のことか?」
「……!!」
「図星かよ(笑)」
長谷にはなんでも
お見通しだ。
:10/06/29 19:59
:840SH
:khB4iVoE
#140 [愛華]
「そっかーお前の
女ギライも治ったか」
「そーゆー訳じゃねーけど…
……可愛い子なんだよ。すっげ。
守ってあげたくなるっつーか」
長谷は見透かしたように笑った。
:10/06/29 20:02
:840SH
:khB4iVoE
#141 [愛華]
「…でも、あと八年しかない」
長谷はつぶやいた。
「!?」
どうして長谷が……?
:10/06/29 20:03
:840SH
:khB4iVoE
#142 [愛華]
「……なんで知ってる?」
「…昨日もきたんだけどな。
病室はいったら、お前ねててな。
……あと八年……って
寝言でつぶやいてた」
俺……そんなことを?
:10/06/29 20:06
:840SH
:khB4iVoE
#143 [愛華]
「その言葉の意味は……
まぁなんとなく分かるけど。
………覚悟はできてんのか?」
覚悟??そんなのとっくのまに
できてる。
那佑に恋した……あの日から。
:10/06/29 20:14
:840SH
:khB4iVoE
#144 [愛華]
「あたりまえだろ。
後悔なんか、これっぽっちも
してねぇよ」
初めてなんだよ。こんなの。
誰かひとりのことを
こんなにも大事に思う。
君の苦しみごと全部抱きしめて
あげたいって……思うんだ。
:10/06/29 20:26
:840SH
:khB4iVoE
#145 [愛華]
「若いねぇ。
あぁ、それが原因でイライラ
してたのか」
「……ガキなもんで」
長谷はタバコに火をつけた。
「…覚悟きめたんなら
最期まで想ってやれ。
死んだあとなら思い出になる。」
……いわれねぇでも。
そのつもりだよ。ばーか。
:10/06/29 20:37
:840SH
:khB4iVoE
#146 [愛華]
できるかぎりの愛を君に。
できるかぎりの苦しみを君から。
クサいかもしんねぇけど。
これが俺にできるすべて。
:10/06/29 20:39
:840SH
:khB4iVoE
#147 [愛華]
あれから二日。
那佑はまだ病室に来ない。
……変だな。
昨日は純さんの誕生日だったはず
那佑なら、一目散に報告
してくるはずなのに……
:10/06/29 20:45
:840SH
:khB4iVoE
#148 [愛華]
……なんか……あったのか?
胸がざわつく。
嫌なかんじがする。
「スイマセン!!
聞きたいことあるんですけど」
俺は通りすがりの看護師の
腕をつかんだ。
:10/06/29 20:48
:840SH
:khB4iVoE
#149 [愛華]
那佑に出会って、
もうすぐ、一ヶ月。
いつのまに、こんなに
君のことを好きになったんだろ。
こんな時にも、桜は
綺麗に咲いていた。
それはそれは 綺麗に。
:10/06/29 20:51
:840SH
:khB4iVoE
#150 [愛華]
「……那佑」
今、なにを想ってる?
月が綺麗だった。
あの日も………こんなふうに
月と桜が綺麗な夜だったな。
なんとなく、那佑が泣いてる
ような気がした。
:10/06/29 20:54
:840SH
:khB4iVoE
#151 [愛華]
ふっと、窓の下をみた。
もしかしたら、また君が……
「……那佑」
俺は階段を下りていった。
松葉杖で、踏み外さないように
気をつけながら。
見つからないように
細心の注意を払って。
:10/06/29 20:57
:840SH
:khB4iVoE
#152 [愛華]
はやく、はやく行かなきゃ。
今度こそ。
近くに、従業員用の小さな
玄関があった。
その時、運よく近くには
誰もいなかった。
俺は迷わず、そこから出た。
:10/06/29 21:01
:840SH
:khB4iVoE
#153 [愛華]
こんなに簡単に抜け出せる
ものなのか
とか思いながら、
俺は中庭に急いだ。
「……那佑」
那佑は桜を見ていた。
………あの日のように。
:10/06/29 21:18
:840SH
:khB4iVoE
#154 [愛華]
「……あれ、隆則じゃん。
どーやってココに?」
那佑はゆっくり振り向いた。
目が少し赤かった。
「…泣いてんじゃないかって…
思って。」
「泣く……?私が?
……そっか、知ってるんだ。
……純さんが死んだこと」
:10/06/29 21:30
:840SH
:khB4iVoE
#155 [愛華]
「……」
俺は何も言わなかった。
…ううん。言えなかった。
那佑があまりにも悲しそうで
……美しかったから。
「……私……泣けなかった」
:10/06/29 21:33
:840SH
:khB4iVoE
#156 [愛華]
「純さんが死んだって知った時。
だって急すぎるよ。
この前まで……笑ってたのにさ」
「……うん」
「純さんには…私と違って
未来がいっぱいあったのに。
:10/06/29 21:37
:840SH
:khB4iVoE
#157 [愛華]
なのに。
神様はひどいよね、ほんと」
「…うん」
那佑は桜の木に手をあてた。
「この桜ね。あたしが入院
したてのころは、もう少し
低かったんだよ」
あ……ちょっと笑ってくれた。
:10/06/29 21:40
:840SH
:khB4iVoE
#158 [愛華]
「あたしより後に入院したのに
あたしより先に退院してく人を
………何人も見てきた。
ってゆーかほとんどそう
だったんだけどね」
那佑は…話し続けた。
「でも……あたしより先に
死んじゃう人もいて。
その度に
あたしもいつか、こうなるんだ
って思ってた。」
:10/06/29 21:46
:840SH
:khB4iVoE
#159 [愛華]
「……冷たい人間だよあたし。
死ぬことなんか、ちっとも
怖くなんかないって……
思ってた」
「……うん」
「……純さんね、
腕時計壊れてたの」
………腕時計??
:10/06/29 21:49
:840SH
:khB4iVoE
#160 [愛華]
「それを知ったのは、
一ヶ月くらい前。
考えてみればさ、
すぐ買えばよかったのに……
純さんは不便な生活で我慢して
一ヶ月過ごした」
那佑は……なにが言いたいんだ?
:10/06/29 21:52
:840SH
:khB4iVoE
#161 [愛華]
「…純さん知ってたんだよ。
あたしが誕生日プレゼントに
腕時計、買ってあげること。
だから一ヶ月ずっと
腕時計かわなかったんだよ」
那佑は一呼吸おいた。
「…ばかだよね。ほんと。
居眠りトラックなんかに……
ひかれちゃってさ……」
那佑はいつのまにか泣いていた。
:10/06/29 21:55
:840SH
:khB4iVoE
#162 [愛華]
「…あたし……
泣けなかったんだよ……」
大粒の涙が那佑の小さい瞳から
次々あふれていく。
「……あたしも……
いつか……死ぬ………」
もう……いいよ、那佑。
「あたしっ……」
「もういーよ」
俺は那佑を抱きしめた。
:10/06/29 21:59
:840SH
:khB4iVoE
#163 [愛華]
「……もういーんだよ。
お前は……優しいな」
「隆則っ……ばかじゃんっ…」
「……そーかもな」
「………あたしの事………
隆則も忘れちゃう?」
「……忘れねーよ。こんなばか」
:10/06/29 22:03
:840SH
:khB4iVoE
#164 [愛華]
「……出会ってちょっとしか
たってないのに……?」
「時間なんかどーでもいーよ。
お前のことは忘れない。
存在は絶対きえない。」
那佑は強く頷いた。
:10/06/29 22:07
:840SH
:khB4iVoE
#165 [愛華]
「……たかの……りっ…」
あれ、なんか頬っぺた熱いな。
ああ……俺が泣いてんのか。
:10/06/29 22:12
:840SH
:khB4iVoE
#166 [愛華]
「あたし…っっ………
………死にたくないよ……」
それは君が初めて見せた
『弱音』という名の『本音』。
生まれて初めて
誰かの為に 涙を流した。
:10/06/29 22:14
:840SH
:khB4iVoE
#167 [愛華]
〜那佑Side〜
:10/06/30 00:10
:840SH
:FZ/7f0dI
#168 [愛華]
私のすぐ近くで
その人の存在は消えた。
不思議と涙はでなくて。
襲ってくるのは喪失感だけ。
純さん…………なんで?
:10/06/30 18:56
:840SH
:FZ/7f0dI
#169 [愛華]
聞いたところによると
バスに乗るため急いで
道路を渡っているところを、
居眠り運転していたトラックに
正面衝突。
即死。
私は純さんを見ることは
できなかった。
:10/06/30 21:47
:840SH
:FZ/7f0dI
#170 [愛華]
人間ってなんて もろいんだろう。
昨日まで当たり前のように
存在していた命が
今日には、消えている。
悲しくて、儚くて。
だから、余計に辛くて。
:10/06/30 21:52
:840SH
:FZ/7f0dI
#171 [愛華]
死ぬのが怖くない なんて
ただの強がりだったんだ。
ほんとは、怖くて怖くて
たまらなかった。
毎日が恐怖の連続で。
そんな日々からの自己防衛。
「どうせ、そのうち死ぬ」
ってひたすら自分に言い聞かせた。
:10/06/30 21:55
:840SH
:FZ/7f0dI
#172 [愛華]
どーしようもないことなんだ。
そう言い聞かせて。
恐怖から自分を守っていた。
でもほんとは違ったんだよ。
ほんとは気付いて欲しかったんだ。
………私の気持ち。ちょっとでも。
:10/06/30 21:59
:840SH
:FZ/7f0dI
#173 [愛華]
自分で自分に嘘ついてたんだ。
ほんとは怖くてたまらないくせに
……あたし、ばかだね。
隆則。あたしね…………
死にたくないよ。やっぱり。
:10/06/30 22:03
:840SH
:FZ/7f0dI
#174 [愛華]
ぜいたく言わない。
百歳まで、なんて言わない。
ただ、普通に。
大切な人と一緒になって
お母さんになって
おばあちゃんになって。
それだけでいいの。
それは………
……………わがままでしょうか?
:10/06/30 22:12
:840SH
:FZ/7f0dI
#175 [愛華]
-----------------------------
どのくらい泣いただろう。
隆則の腕の中は安心して。
私はいつのまにか眠っていた。
:10/07/01 08:19
:840SH
:8QiiEpMI
#176 [愛華]
夢をみた。
しあわせなゆめ。
純さんがいる。笑ってる。
あ、いやだよ。行かないでよ。
純さんはゆっくり振り向いて
なにかをつぶやいた。
でも、それがなにかは
聞こえなかった。
:10/07/01 08:24
:840SH
:8QiiEpMI
#177 [愛華]
隆則の胸はあったかくて
心地好くて。
ずっと人の温もりを忘れていた
あたしに『安心』
をあたえてくれた。
隆則は……いろいろなものを
あたしにくれるね。
:10/07/01 08:26
:840SH
:8QiiEpMI
#178 [愛華]
「………ん。」
「……お、起きた」
ここ…………まだ庭?
「…あたし……寝ちゃった?」
「……2時間くらいな。
今、夜中の3時。
さすがに松葉杖じゃお前
運べねーからさ。どーしよーか
悩んでたとこだった」
:10/07/01 08:34
:840SH
:8QiiEpMI
#179 [愛華]
「……ありがとう」
「…ん?なにがだよ?」
そばにいてくれて…
その言葉は飲み込んだ。
ポケットに手を入れると、
ゴツッとした感触があった。
:10/07/01 15:02
:840SH
:8QiiEpMI
#180 [愛華]
「……あ」
「………それって…」
純さんにあげるはずだった時計。
……もう必要なくなっちゃった。
私は時計を池に投げようと
振りかぶった。
:10/07/01 15:06
:840SH
:8QiiEpMI
#181 [愛華]
「ちょっと!!待てって!!」
隆則は止めた。
「……それ、俺もらってい?」
「はぁ??なんで??」
「捨てるくらいなら、もらう」
隆則はあたしから時計を奪った。
:10/07/01 15:08
:840SH
:8QiiEpMI
#182 [愛華]
「……似合うか?」
似合うわけないじゃん。
それ、女物だし。
「似合うわけないでしょ
ばーか!!」
「…んだと!?このやろ!」
さりげない、優しさ。
胸が苦しくなる。すっごく。
どうして…こんなに優しく
してくれるの?
:10/07/01 15:12
:840SH
:8QiiEpMI
#183 [愛華]
私は出会ったばかりのこの人に
甘えてばかりだね。
「隆則あのさ、今日いったこと…
あまり……気にしないで?」
「なんで?
俺は嬉しかったけど?」
え?迷惑かけてるのに……
:10/07/01 15:15
:840SH
:8QiiEpMI
#184 [愛華]
「会ったばっかの俺に
ほんとの事いってくれたし…
お前、いつも笑ってっけど
なんか違う気がしてたからさ」
隆則は……気付いてたんだね。
また胸が苦しくなる。
「明日もまた来いよ!!
元気ださねぇと純さんに
笑われっぞ!」
不器用な優しさでいっぱいの人。
:10/07/01 15:20
:840SH
:8QiiEpMI
#185 [愛華]
隆則……
私にとってあなたは特別みたい。
それがなんていう名前の
気持ちなのかわかんないけど
あなたが笑って欲しいなら
あたし、笑うよ。いっぱい。
あなたの笑顔がみたいから。
:10/07/01 15:23
:840SH
:8QiiEpMI
#186 [愛華]
次の日。
私はいつもどおりの朝を
迎えた。
その日は検査とかで色々
ドタバタしてて、隆則のところに
行くのは3時ごろになって
しまった。
:10/07/01 15:26
:840SH
:8QiiEpMI
#187 [愛華]
はやく、隆則に会いたい。
子供みたいにはやる気持ち。
あたしはスキップで廊下を進んだ
「隆則ーきたよー!!」
ガラッと病室のドアを開けると、
そこには隆則がいて。
その隣には綺麗な女の人がいた。
:10/07/01 15:29
:840SH
:8QiiEpMI
#188 [愛華]
…………誰?
「あ、はじめまして。
隆則の………友達ですよね?」
「…あ、えと……」
「速水梓(はやみあずさ)
といいます。もしかして…
あなたが那佑さんですか?」
:10/07/01 15:33
:840SH
:8QiiEpMI
#189 [愛華]
「えと……そうですけど」
「私も同じ17才なの!
隆則からいつも話はきいてるよ」
いつも? ……いつも来てるの?
「自己紹介とかいーから、梓。
那佑、わりーな。コイツ、
幼なじみなんだ」
:10/07/01 15:35
:840SH
:8QiiEpMI
#190 [愛華]
隆則が付け加えるように言った。
「あ、そなんだ。えと……
よろしくね、速水さん」
「あはは、梓でいーよー
タメなんだし。
それより、タカきいてよー」
一通りあいさつを終えると
梓は隆則と話し出した。
:10/07/01 15:42
:840SH
:8QiiEpMI
#191 [愛華]
タカ……って呼んでるんだ。
あたしは意味のわからない
モヤモヤでいっぱいだった。
目の前で仲良さそうに話す
二人は……まるで恋人のようで。
ほんとに…ただの幼なじみ?
:10/07/01 15:45
:840SH
:8QiiEpMI
#192 [愛華]
「……タカ、喉かわかない?
あたし、那佑ちゃんと
ジュース買ってくるね!!」
「「え?」」
あたしと隆則の声が重なった。
「じゃ、いってきまーす」
あたしは強引に梓に
連れてかれた。……なんで!?
:10/07/01 15:48
:840SH
:8QiiEpMI
#193 [愛華]
「〜♪」
鼻歌を歌いながらジュースを
選ぶ梓。
……なんなの、いったい。
「ねー那佑ちゃん、コレでい?」
「あ、うん……」
:10/07/01 15:50
:840SH
:8QiiEpMI
#194 [愛華]
「ねー那佑ちゃんとタカって
どーゆー関係?」
梓は小銭を入れながら聞いてきた
「どういうって……」
どーゆー関係なんだろう?
友達なんて大層なもんじゃない。
といって、知り合いってほど
薄い関係ではない。
………ましてや恋人なんかじゃ
絶対にない。
:10/07/01 15:54
:840SH
:8QiiEpMI
#195 [愛華]
そんなあたしの気持ちを
知ってか知らずか。
梓は
「ふーん」 とだけ呟いた。
ジュースを買うと、梓は
近くのベンチに腰掛けた。
……あれ?病室もどらないの?
:10/07/01 15:56
:840SH
:8QiiEpMI
#196 [愛華]
「…ほら、那佑ちゃんも座って!
ちょっと話さない?」
「…別に部屋もどってからで…
それじゃダメなの?」
あたしはあくまで、突っぱねた。
あたしの本能がいってる。
これは………『裏』の顔。
:10/07/01 16:00
:840SH
:8QiiEpMI
#197 [愛華]
「…冷たいなぁ。
………そのためにわざわざ
二人になったのに」
この女………
「…いいよ、ちょっと話そうか」
あたしはあえて話にのった。
なに話すのか見当もつかない。
出会ってまだ1時間も
たっていない女と……
楽しくおしゃべりなんて事
あるはずがないのは
馬鹿でもわかる。
:10/07/01 16:03
:840SH
:8QiiEpMI
#198 [愛華]
梓はジュースを一口飲むと、
ふぅ、と一息ついた。
「単刀直入に言うね。
もう、タカに関わらないで」
「……は?」
なにを言ってるの…この人。
:10/07/01 16:06
:840SH
:8QiiEpMI
#199 [愛華]
「……どーゆー意味?」
声が震える。
……なんであんたなんかに。
「まんまの意味だけど?
………目障りなんだよね。
タカとたいした関係もないくせに
つきまとってさ。
那佑ちゃんタカの事すきなの?」
「……えっ……」
「あたしはすきなの。タカが。
……小さいころからずっと。
:10/07/02 00:24
:840SH
:SveFRjbc
#200 [愛華]
「タカが見てくれなくたって
そばにいられればいい。
……ねぇ、那佑ちゃんにとって
タカはどんな存在なわけ?」
どんな存在……?
大切な人だよ。苦しい時、
そばにいてくれて。
気持ちを聞いてくれた。
隆則だから……本音を話せた。
でも、きっとそれは恋じゃない。
……ほんとうに?
自問自答して答えられずにいると
梓が言い捨てた。
:10/07/02 00:30
:840SH
:SveFRjbc
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