その日が来る前に、
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#1 [愛華]
辛かった。
苦しかった。
だから、生きたかった。
いつだって、願ったことは
ただひとつ。
「ただ一人、誰かの為に生きたい。」
それが君だったらいいな って
幼い心の中で思った。
まだ17才の春。

⏰:10/06/19 19:31 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#2 [愛華]
その時わたしは
まだ17才。
毎日が苦しかった。
見える景色は毎日同じ。
いつか。
って何度も願ったけど
その思いは音をたてて
その度くずれていった。

⏰:10/06/19 19:37 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#3 [愛華]
「だーかーら!!!
俺はなんもしてねぇっつってるだろがよ!!!」
「…お前いつもそういってるだろ……」
ここは病院。
そこに昨日入院した男
赤石隆則(あかいしたかのり)
19才。

⏰:10/06/19 19:44 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#4 [愛華]
「だからさぁ!!
俺はケンカ止めただけだって」
「止めただけ……?
ホントか?」
「……まぁ一発二発…」
「殴ってんじゃねーか!!」
そう隆則を追い詰めるのは
長谷充(はせみつる)
警察官であり、
今となっては隆則が起こす
事件の専門となりつつある
かわいそうな30才のオッサン。

⏰:10/06/19 19:53 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#5 [愛華]
「お前なぁ。
骨折で済んだからいーけど。
相手、ナイフ持ってんだぞ?
もし刺さってたらどーする?」
「刺さってねーからいーだろ」
「まぁそーだな。
結果オーライってことで♪


んなわけねーだろボケ!!!」

⏰:10/06/19 19:58 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#6 [愛華]
長谷の顔は疲れというか呆れ
というか怒りというか…
まぁそんなマイナスの感情が
たっぷり現れていた。
「そんなイライラすんなよ
ハゲつるつる」
「長谷充だ!!
おもしろくねーわ!!」

⏰:10/06/19 20:02 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#7 [愛華]
「お前なぁ、毎回
呼び出される俺の身にもなれ!
今回だってな。
俺、なんて呼び出された
と思う?」
「え…さぁ?」

「赤石がまたやらかした。
めんどくせーから長谷よろ〜

ふざけんな!!俺の
日曜日返せコラァ!!」


あー………
もう隆則にはどうしようも
なかった。

⏰:10/06/19 20:07 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#8 [愛華]
ひととおり、長谷の説教
&やつあたりが終わった
ところで、長谷は
帰ることになった。
「今回も先に手だしたの
向こうだし、ナイフも持って
たからお前は大丈夫だよ多分」
「おーわかった」
「…毎回、悪いのはあっち
だけどな。
あんま心配かけんな。
骨折だけじゃ済まなくなる事も
あるかもしれねーぞ」

⏰:10/06/19 20:14 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#9 [愛華]
毎回、長谷はこういう。
「じゃーな」
「長谷」
「…ん?」
「さんきゅな。…いつも」
「そー思うなら日曜に
ケンカすんな。
ただでさえ寝不足なんだぞ」
「おーわかった。」
少し胸が、温かかった。

⏰:10/06/19 20:18 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#10 [愛華]
〜隆則side〜

⏰:10/06/19 20:21 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#11 [愛華]
赤石隆則19才。
キンパツのせいで
必要以上にケンカに絡まれる。
昨日は道端でケンカしてたのを
止めようとして、
案の定絡まれ、階段から落下。
足首を骨折。
後に待ってたのは、いつもの
長谷の説教。

⏰:10/06/19 20:27 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#12 [愛華]
長谷はいーやつだ。
親のいない俺にとって
ただひとり信頼してる男でもある。
メーワクかけてるけど

その度ちゃんと後始末
してくれる。

⏰:10/06/19 20:30 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#13 [愛華]
その日もいつものように
長谷の説教を受け、
俺は暇だったので院内を
散歩することにした。

⏰:10/06/19 20:33 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#14 [愛華]
この日。君と出会ったんだ。
ケンカばっかだった俺に
光をくれた君。
でも君自身は闇を抱えて
今日という日を
苦しみの中、生きていた。

⏰:10/06/19 20:37 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#15 [愛華]
「うわ、足がちがち!
うごかねぇ!!」
散歩しようとしたのはいーが
骨折してたの忘れてたな。

うーん。絶対安静って
看護師言ってたけど。
…あ、トイレいきたくなった。

⏰:10/06/19 20:41 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#16 [愛華]
ビー

「赤石さん、呼びました?」
「あートイレいきたい
ですけどー…」
「じゃあ車椅子つかって
下さい」
俺はナースコールで看護師を
呼び、車椅子を借りた。

⏰:10/06/19 20:43 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#17 [愛華]
「よいしょ」
車椅子は思ったより小さく
なんか違和感があった。
廊下に出ると、さっきの
看護師がいた。
「さっき赤石さんと
しゃべっちゃった☆
あの人カッコイイよねー」

「えーうらやましい☆」


くだらねぇ。
俺は昔から女が苦手だった。

⏰:10/06/19 20:49 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#18 [愛華]
女は顔だけで男を判断する。
女のつけた香水の匂いを
嗅ぐと、具合が悪くなる。

なにがうらやましいだ…

気分が悪いまま廊下を
進んでいると、


ドンッッ!!!

誰かが俺にぶつかった。

⏰:10/06/19 21:30 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#19 [愛華]
「いってぇ……」
「いたた…あ、ごめんね!!
大丈夫!?」

俺にぶつかったのは女だった。

「こらぁー!!那佑ちゃん!
待ちなさい!!」

「げ!!」
女は後から追ってきた看護師に
捕まった。

⏰:10/06/19 21:34 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#20 [愛華]
「ほんっっとに
すいません!!
ほら、那佑ちゃんも!!」

「ごめんなさい…」

女は15才くらいに見えた。
しかし、廊下を走って怒られる
くらいに元気なのに…
どこが悪くて入院してんだ?

⏰:10/06/19 21:37 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#21 [愛華]
「那佑ちゃん、はやく
病室もどりましょ?」

「い や だ!!」

那佑とかいう女は、
病室に戻らないと駄々を
こねはじめた。


…俺、関係ねーし……
病室に戻ろうとすると、
那佑に腕を掴まれた。

⏰:10/06/19 21:41 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#22 [愛華]
「じゃあこの人の部屋に
遊びに行く!!
いいでしょ?隆則」

「なにいってんだよ!
ダメにきまって…って え!?
なんで俺の名前…」

「昨日から噂だよ?
カッコイイ人が入院したって。
あなたでしょ?赤石隆則さん」

コイツ……

⏰:10/06/19 21:46 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#23 [愛華]
「ガキがなにいってんだ!
俺関係ねーだろ!」

「ガキって…あたし17才
だよ??」

17!?
二つしか違わねぇじゃん…

「那佑ちゃん!!
赤石さんにメーワクかけないで
病室もどるわよ!!」

⏰:10/06/19 21:49 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#24 [愛華]
看護師もイライラしてるみたいだ。

やれやれ……
とんでもないとこに
巻き込まれた……
ケンカよりやっかいかも?

「…いいじゃん。


どーせそのうち死ぬんだし」

空気が凍った。

⏰:10/06/19 21:51 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#25 [愛華]
「那佑ちゃん、なに言って…」

「あれ?あたし
間違った事言った?」


そのうち死ぬ……?
なんで…
看護師、なんもいわねぇの?

「那佑ちゃん!!
違うよ!まだきまってな…」



ごんっっ!!

⏰:10/06/19 21:55 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#26 [愛華]
「いったぁ!!
なにすんの!!?」
俺は那佑にゲンコツした。

「ふざけて言うことじゃねえ。
なにが死ぬだ」

「ふざけて…?
ふざけてないよ」
那佑はそう言うと、
走ってどこかへ行った。

え…?あれ?
まだ話おわってねーし……

⏰:10/06/19 22:00 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#27 [愛華]
「赤石さん……」
看護師が申し訳なさそうに
言った。

「あーいーですよ、別に。
てか、いつもあんな
感じなんですか??」

「はい……」


なんだ??なんか…
様子が変??
俺の中で
ひとつの疑問が浮かんだ。

⏰:10/06/19 22:05 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#28 [愛華]
「さっきの……嘘ですよね?」


「……えと……」


なんで詰まるんだ?


「私から言うことじゃないです
仕事に戻りますね」


汗が流れた。

⏰:10/06/19 22:09 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#29 [愛華]
看護師の様子はあきらかに
おかしい。

もし、アイツの言ってる事が
本当だったら……?


「どうせそのうち…」

どんな気持ちで

「ふざけてないよ」

あの言葉を……

⏰:10/06/19 22:11 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#30 [愛華]
その夜は眠る気になれなかった

昼に出会った彼女は
まだ17才で……



もし本当だったら……

「ふざけて言うことじゃねえ」


俺は……最悪の言葉を……
彼女は今……
どんな気持ちで………

⏰:10/06/19 22:15 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#31 [愛華]
「な……ゆ……」
気がつくと声に出していた。



なに考えてんだよ、俺。
あんな女、俺には
関係ねーじゃん。
気にすることじゃない。
そう言い聞かせた。

⏰:10/06/19 22:17 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#32 [愛華]
ふと窓の外を見ると、桜が
咲いていた。
月明かりに照らされ、
花びら一枚一枚が宝石のように
輝いていた。


すげぇ…
俺の部屋は2階だから、
桜が近くで見れる。
窓から手を伸ばせば
枝に手が届きそうだ。

⏰:10/06/19 23:38 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#33 [愛華]
窓を開けてみた。
桜をよく見ようと顔を窓から
出すと………

人影が見えた。

え??こんな時間に誰だ?

どうやらそいつも桜を見ている
らしい。

目を凝らしてよく見ると……


「なゆ……?」

⏰:10/06/19 23:42 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#34 [愛華]
那佑は泣いていた。
声を押し殺して。


なぜかわからないけど
行かなくちゃって思った。
はやく、行かなきゃ って。

⏰:10/06/19 23:45 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#35 [愛華]
足をひきずって車椅子に乗り
部屋から出た。

絶対みつかるだろこんなの…

案の定、見つかった。

「赤石さん、こんなとこで
なにしてるんですか…?」

ほらな。だが、幸い。
その看護師は昼間
ナースコールで呼んだ
看護師だった。

⏰:10/06/19 23:54 📱:840SH 🆔:hMWSntJM


#36 [愛華]
しめた!!
「…すいません看護師さん。
実は昼間、姉がこの病院に
来てたんですけど。
外に忘れ物したらしくて。
すごい大事な物らしいので
取りにいきたいんですけど…」

「そーなの?でも無理よ。
あたしがとってきてあげる」

「いや、俺が!!
……お願いします」
今まで生きてきて一番の
作り笑顔。
「……だめです」


ちっっ

⏰:10/06/20 00:00 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#37 [愛華]
結局、その日は行けなかった。
部屋に戻って窓の外を見ると
アイツはもういなかった。

どうして……泣いてたんだ?

心がもやもやする。


……くそっっ

頭の中はアイツでいっぱい。
今日会ったばかりのアイツ。


明日……もう一度会いたい。

⏰:10/06/20 00:05 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#38 [まあ]
〜那佑side〜

⏰:10/06/20 11:42 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#39 [まあ]
「那佑、いい子にしてるのよ」

「うん…でもママ、
いつ帰ってくるの?パパも…
外国から帰ってこない…」

「那佑がいい子にしてたら
いつか帰ってくるから」

いつか?

いつかって………いつ?

⏰:10/06/20 11:45 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#40 [愛華]
すいません上のふたつは
名前間違ってました

⏰:10/06/20 11:46 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#41 [愛華]
私は、その いつか を信じて
待ち続けた。
寂しさに押し潰されそうな日も
悲しみに支配されそうな日も。

お母さんが言った「いつか」
を信じて。

⏰:10/06/20 11:49 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#42 [愛華]
毎月、膨大な生活費が
お母さんから送られてきた。

お父さんもお母さんも、
外国で大きな仕事をしていて
帰ってこれないらしい。


お金なんていらない。
私が欲しいのは……

⏰:10/06/20 11:51 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#43 [愛華]
温もりを忘れた私の心は
少しずつ…冷たくなっていった

でも、泣かなかった。
いつも笑って明るく過ごした。

いい子にしててねって……
言ってたから。

⏰:10/06/20 11:54 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#44 [愛華]
そんなある日。
確か……小学四年生の頃。
お母さんがいなくなって
ちょうど一年たった、春。

「ご両親…呼んでもらえる?」

「え……」


最近、体の調子がかなり悪く
風邪かな と思い病院へ行った。
そこで色々検査して……

たかが風邪で……と思ってた。

でも……違った。

⏰:10/06/20 11:59 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#45 [愛華]
「…両親は今、外国にいます。」

「旅行かなにか?」

「いえ…一年前から仕事で、
それから帰ってきません」

「君……ひとりを残して?」

改めて言われると…辛かった。

⏰:10/06/20 12:02 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#46 [愛華]
「ご両親と話がしたい。
呼んでもらえる?」

「…わかりました」

その夜、お母さんに電話した。

「お母さん…あのね。
お医者さんがね………」

私は全部話した。

「ただの風邪じゃないの?」

「違うみたい。だから
お医者さんが来てって。」

お母さんとお父さんは、すぐ
帰って来てくれた。

⏰:10/06/20 12:08 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#47 [愛華]
次の日の夜。
お母さんとお父さんは帰ってきた。
「那佑〜久しぶり!!」

「大きくなったなあ」

お父さんとお母さんは
私を抱きしめてくれた。
次の日、病院に行く事になった。

私はお母さんたちが
帰ってきてくれた事が
うれしくて………

まだこの時は、
未来を予測できなかった

⏰:10/06/20 12:14 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#48 [愛華]
「ご両親はこちらへ…」

お母さんたちは医者に呼ばれ
個室に入っていった。


……なんかこれ、見た事ある。

あれ??なんで…お父さんたち
帰ってきたんだっけ?

そうだ。私の為。
私、ただの風邪じゃないって…

ただの風邪じゃない……?


お母さんたちがいなくなった事で

さっきまで感じなかった
不安が広がってゆく。

⏰:10/06/20 12:19 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#49 [愛華]
怖い…怖い…

お母さん…お父さん…
はやく来て……

30分くらいして、二人と医者は
出てきた。


お母さん……なんで泣いてるの?

⏰:10/06/20 12:21 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


#50 [愛華]
「お母さん…どしたの?」

「…なんでもっっない…の」

嘘。だって………
私だって馬鹿じゃない。

「私……なんの病気??」

「大した事ないって」

「じゃあなんでお母さんは
泣いてるの!!??」
私は叫んだ。

⏰:10/06/20 12:23 📱:840SH 🆔:D6pBQqE2


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