その日が来る前に、
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#30 [愛華]
その夜は眠る気になれなかった
昼に出会った彼女は
まだ17才で……
もし本当だったら……
「ふざけて言うことじゃねえ」
俺は……最悪の言葉を……
彼女は今……
どんな気持ちで………
:10/06/19 22:15
:840SH
:hMWSntJM
#31 [愛華]
「な……ゆ……」
気がつくと声に出していた。
なに考えてんだよ、俺。
あんな女、俺には
関係ねーじゃん。
気にすることじゃない。
そう言い聞かせた。
:10/06/19 22:17
:840SH
:hMWSntJM
#32 [愛華]
ふと窓の外を見ると、桜が
咲いていた。
月明かりに照らされ、
花びら一枚一枚が宝石のように
輝いていた。
すげぇ…
俺の部屋は2階だから、
桜が近くで見れる。
窓から手を伸ばせば
枝に手が届きそうだ。
:10/06/19 23:38
:840SH
:hMWSntJM
#33 [愛華]
窓を開けてみた。
桜をよく見ようと顔を窓から
出すと………
人影が見えた。
え??こんな時間に誰だ?
どうやらそいつも桜を見ている
らしい。
目を凝らしてよく見ると……
「なゆ……?」
:10/06/19 23:42
:840SH
:hMWSntJM
#34 [愛華]
那佑は泣いていた。
声を押し殺して。
なぜかわからないけど
行かなくちゃって思った。
はやく、行かなきゃ って。
:10/06/19 23:45
:840SH
:hMWSntJM
#35 [愛華]
足をひきずって車椅子に乗り
部屋から出た。
絶対みつかるだろこんなの…
案の定、見つかった。
「赤石さん、こんなとこで
なにしてるんですか…?」
ほらな。だが、幸い。
その看護師は昼間
ナースコールで呼んだ
看護師だった。
:10/06/19 23:54
:840SH
:hMWSntJM
#36 [愛華]
しめた!!
「…すいません看護師さん。
実は昼間、姉がこの病院に
来てたんですけど。
外に忘れ物したらしくて。
すごい大事な物らしいので
取りにいきたいんですけど…」
「そーなの?でも無理よ。
あたしがとってきてあげる」
「いや、俺が!!
……お願いします」
今まで生きてきて一番の
作り笑顔。
「……だめです」
ちっっ
:10/06/20 00:00
:840SH
:D6pBQqE2
#37 [愛華]
結局、その日は行けなかった。
部屋に戻って窓の外を見ると
アイツはもういなかった。
どうして……泣いてたんだ?
心がもやもやする。
……くそっっ
頭の中はアイツでいっぱい。
今日会ったばかりのアイツ。
明日……もう一度会いたい。
:10/06/20 00:05
:840SH
:D6pBQqE2
#38 [まあ]
〜那佑side〜
:10/06/20 11:42
:840SH
:D6pBQqE2
#39 [まあ]
「那佑、いい子にしてるのよ」
「うん…でもママ、
いつ帰ってくるの?パパも…
外国から帰ってこない…」
「那佑がいい子にしてたら
いつか帰ってくるから」
いつか?
いつかって………いつ?
:10/06/20 11:45
:840SH
:D6pBQqE2
#40 [愛華]
すいません

上のふたつは
名前間違ってました

:10/06/20 11:46
:840SH
:D6pBQqE2
#41 [愛華]
私は、その いつか を信じて
待ち続けた。
寂しさに押し潰されそうな日も
悲しみに支配されそうな日も。
お母さんが言った「いつか」
を信じて。
:10/06/20 11:49
:840SH
:D6pBQqE2
#42 [愛華]
毎月、膨大な生活費が
お母さんから送られてきた。
お父さんもお母さんも、
外国で大きな仕事をしていて
帰ってこれないらしい。
お金なんていらない。
私が欲しいのは……
:10/06/20 11:51
:840SH
:D6pBQqE2
#43 [愛華]
温もりを忘れた私の心は
少しずつ…冷たくなっていった
でも、泣かなかった。
いつも笑って明るく過ごした。
いい子にしててねって……
言ってたから。
:10/06/20 11:54
:840SH
:D6pBQqE2
#44 [愛華]
そんなある日。
確か……小学四年生の頃。
お母さんがいなくなって
ちょうど一年たった、春。
「ご両親…呼んでもらえる?」
「え……」
最近、体の調子がかなり悪く
風邪かな と思い病院へ行った。
そこで色々検査して……
たかが風邪で……と思ってた。
でも……違った。
:10/06/20 11:59
:840SH
:D6pBQqE2
#45 [愛華]
「…両親は今、外国にいます。」
「旅行かなにか?」
「いえ…一年前から仕事で、
それから帰ってきません」
「君……ひとりを残して?」
改めて言われると…辛かった。
:10/06/20 12:02
:840SH
:D6pBQqE2
#46 [愛華]
「ご両親と話がしたい。
呼んでもらえる?」
「…わかりました」
その夜、お母さんに電話した。
「お母さん…あのね。
お医者さんがね………」
私は全部話した。
「ただの風邪じゃないの?」
「違うみたい。だから
お医者さんが来てって。」
お母さんとお父さんは、すぐ
帰って来てくれた。
:10/06/20 12:08
:840SH
:D6pBQqE2
#47 [愛華]
次の日の夜。
お母さんとお父さんは帰ってきた。
「那佑〜久しぶり!!」
「大きくなったなあ」
お父さんとお母さんは
私を抱きしめてくれた。
次の日、病院に行く事になった。
私はお母さんたちが
帰ってきてくれた事が
うれしくて………
まだこの時は、
未来を予測できなかった
:10/06/20 12:14
:840SH
:D6pBQqE2
#48 [愛華]
「ご両親はこちらへ…」
お母さんたちは医者に呼ばれ
個室に入っていった。
……なんかこれ、見た事ある。
あれ??なんで…お父さんたち
帰ってきたんだっけ?
そうだ。私の為。
私、ただの風邪じゃないって…
ただの風邪じゃない……?
お母さんたちがいなくなった事で
さっきまで感じなかった
不安が広がってゆく。
:10/06/20 12:19
:840SH
:D6pBQqE2
#49 [愛華]
怖い…怖い…
お母さん…お父さん…
はやく来て……
30分くらいして、二人と医者は
出てきた。
お母さん……なんで泣いてるの?
:10/06/20 12:21
:840SH
:D6pBQqE2
#50 [愛華]
「お母さん…どしたの?」
「…なんでもっっない…の」
嘘。だって………
私だって馬鹿じゃない。
「私……なんの病気??」
「大した事ないって」
「じゃあなんでお母さんは
泣いてるの!!??」
私は叫んだ。
:10/06/20 12:23
:840SH
:D6pBQqE2
#51 [愛華]
「もう子供じゃないの。
教えてよ」
「……ご両親にお任せします
遅かれ早かれわかりますが…
それは今ではなくとも
よいと思います」
「…ありがとうございました」
私たちは家へ帰った。
お母さんはずっと泣いたまま。
お父さんは黙っていた。
:10/06/20 12:27
:840SH
:D6pBQqE2
#52 [愛華]
「私……なんの病気?」
「那佑……」
お父さんは覚悟を決めたようで
話し始めた。
そこからの事は、
あまりよく覚えてない。
覚えてるのは
私は心臓の病気で
25才まで生きられない
そう伝えられたって事だけ。
:10/06/20 12:34
:840SH
:D6pBQqE2
#53 [愛華]
それから、毎日のように
お父さんとお母さんは
ケンカした。
「お前は那佑が心配じゃないのか!」
「そんな訳ないでしょ!!
でも仕事が……」
どうやら二人とも
仕事を残して帰国したようで…
:10/06/20 12:39
:840SH
:D6pBQqE2
#54 [愛華]
「…二人とも戻っていーよ。
今すぐ、どーにかなる訳じゃ
ないし。
仕事かたしてから……
帰ってきて?」
「…だ、だめよ、そんなの!」
「無理に決まってるだろう!」
もう………いいよ
いいんだよ
:10/06/20 12:41
:840SH
:D6pBQqE2
#55 [愛華]
心が冷えてゆく。
二人は……私よりも仕事?
私と仕事を比べて……
ケンカしないで。
「大丈夫だから。戻って。
私………大丈夫だから」
私は 大丈夫 としか言わなかった。
:10/06/20 16:32
:840SH
:D6pBQqE2
#56 [愛華]
二人は結局、外国に戻った。
悲しくなんかない。
不思議と……
余命を告げられた事よりも
二人がいなくなった事の方が
私を苦しめた。
私ひとりだけの家。
「信じらんない…」
自分がお願いしたこととはいえ…
それでも、やっぱり
残って欲しかった。
:10/06/20 16:36
:840SH
:D6pBQqE2
#57 [愛華]
その日、
私は数年かぶりに泣いた。
声を出さずに静かに。
二人への気持ちは、
やがて憎しみへと変わり、
二人は一年後、帰国したけど
「あなたたちは私の親なんか
じゃない」
と言ってやった。
もう誰も信じてなんかやらない。
:10/06/20 20:33
:840SH
:D6pBQqE2
#58 [愛華]
それからは入退院の繰り返し。
退院する度、お母さんたちは
お祝いしてくれたけど…
嬉しくもなんともなかった。
病院の中が私の居場所。
たくさんの人と話をして…
私はいつも笑顔を忘れなかった。
:10/06/20 22:31
:840SH
:D6pBQqE2
#59 [愛華]
どーせ、もうすぐ死ぬんだし…
なら、笑顔で生きようと思った。
私が死ぬその日が来るまで
長くてあと8年。
そんな17才の春、
あなたに出会ったんだよね。
:10/06/20 22:35
:840SH
:D6pBQqE2
#60 [愛華]
出会いは最悪だった。
いきなりキンパの男に
ゲンコツされるんだもん。
でも、初めてみたときから
あたしは
他の人とは違うなにかを
あなたに感じていたのかも
しれないね。
:10/06/20 22:37
:840SH
:D6pBQqE2
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