その日が来る前に、
最新 最初 🆕
#801 [愛華]
でも、脱がせていくとき、
あることに気づいた。


「……この傷……なに?」

那佑の胸には大きな傷が。


「あ、これは…小さいころに
手術して……その傷なんだ」


手術。心臓の。


那佑は……普通の女の子じゃない

⏰:10/09/18 10:55 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#802 [愛華]
俺は傷跡にキスを落とす。

「隆則……くすぐったい…」

那佑は悲しそうに笑う。


那佑は普通の女の子じゃ、ない。
普通には生きてゆけない。





守りたい。愛したい。

⏰:10/09/18 10:59 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#803 [愛華]
なんとなく、これが
一生の最初で最後の恋になると
わかっていたから。

愛したい。ゆっくりでいい。
守りたい。俺の命に懸けて。


本当に本当に愛しいひとだから。



俺は那佑の服のボタンを
閉めていった。

⏰:10/09/18 11:29 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#804 [愛華]
「……隆則………?」

「………やめよっか」

那佑が見てわかるほどに
落ち込んだ顔をした。



「傷が……あるから?」

まずい!!泣くパターンだ!!


「ちげぇよ!!んなわけねぇ!
俺だって男だし色々したいに
決まってんだろ!!」

⏰:10/09/18 11:32 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#805 [愛華]
「じゃあなんで……?」


……そんな顔すんなってば…
せっかく我慢できたのに
また理性とんじゃうから。


「……ゆっくりでいいよ。
一緒にいれるだけで俺はいい。
なんか、こんななんとなーくで
那佑とするのは……嫌なんだ」


嘘です。本当はしたいです。

⏰:10/09/18 11:35 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#806 [愛華]
「大事にしたいの。多分俺さ
那佑が思ってるよりもっともっと
那佑のこと好きだから。
こーゆーのも……大事にしたい」


やべ、言ってから照れた。
言わなきゃよかった……
や、本当のことなんだけどな?


那佑は顔を赤く染めて、
こてんと俺に倒れ込む。

………それはまずいっすよ。

⏰:10/09/18 11:39 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#807 [愛華]
「あの、さ、那佑?今日は…
帰ってくんねぇかな?」

「………なんでー?」

「……あの、我慢がね……
俺もね、自信ないわけ」


那佑は、わけわからんという
顔をして、やっと意味がわかった
のか真っ赤になって俺から離れた

……ホッ ちょっとガクッ……

⏰:10/09/18 11:43 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#808 [愛華]
「じゃ、きょ 今日は帰るよ」

「うん。またメールする、な」

上手く話せない……
ダサいなぁ俺………はぁ……



カチャン。


ドアのしまった音を確認する。


「………っっぶなかった…」

⏰:10/09/18 11:55 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#809 [愛華]
マジあぶなかった。
あんなことやこんなことで
終わらなくなるとこだった…



…俺なんで今まで我慢して
いられたんだろう………

焦ってんのかな?俺。
だとしたら なにに?

見えないなにかに焦ってる。




ひとりじめしたい。那佑を……

⏰:10/09/18 11:59 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#810 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/09/18 12:06 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#811 [愛華]
びっくりして
ちょっと悲しくて
すごく嬉しかった。

隆則。ありがとう。
あたし、大事にされてる。


あたしが病気じゃなかったら
あなたはあの時どうしたかな

どっちにしても同じだったかな


ありがとうね、隆則。

⏰:10/09/18 12:08 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#812 [愛華]




「ぜっったい反対!!!」

「賛成賛成!!」

男子vs女子のバトル。


くっそー!!なぜお約束!!


隆則の言うことは当たった。

⏰:10/09/18 12:11 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#813 [愛華]
黒板には

『メイド&ホストカフェ』
『和風喫茶』 の文字。


「じゃ、多数決とりまーす」

男子と女子真っ二つに分かれる
でもこのクラスは男子が多い。
つまり……


「2−5はメイド&ホスト喫茶に
決定しましたー!」

…………お約束。

⏰:10/09/18 12:17 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#814 [愛華]
「他のクラスやればいいのに…」

「ばかだねー那佑。
男子たちは那佑のメイド姿を
見たいんだよー似合うよ多分」

……隆則になんて言おう……

「あ、でもタカは喜ばないかな」

はぁ……
でもきまったものはしかたがない

⏰:10/09/18 12:20 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#815 [愛華]
「おーい女子ーサイズはかるよー
男子は隣でスーツはかってー」

どうやらメイド服やスーツは
演劇部で使っていたのを
使うらしい。


「あんま数ないねー。
残りの人は裏にまわろっか」

「あたし裏!!」

「あたしも!!」

⏰:10/09/18 21:18 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#816 [愛華]
メイド服なんか着てたまるか!
とばかりに女子が裏を希望。

正直このヒラヒラのメイド服を
見ると、あたしも…着たくない。

「あたしも裏がい……」

「白石はダメ!メイド!!
料理とかできねぇだろ!な!」

男子が猛烈なる反対。

「那佑のメイド、男子どもが
楽しみにしてるんだってさ!!
那佑………どうするぅ?」

⏰:10/09/18 22:37 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#817 [愛華]
梓の期待の目。
周りの目がこれでもかってほど
強く突き刺さる。…イタい。

「……あたし…は……」

「白石は………??」



「う…あ、…メイドでいっ…
…………かな?」



「「………っしゃぁぁ!!」」

⏰:10/09/18 23:07 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#818 [愛華]
男子の歓声。

「白石さん、ありがとぉぉ!」

女子が涙ながらの感謝。



………もういーや…メイドで…


「楽しみだねー白石のメイド」

「あ、そ……あたしは別に
楽しみじゃないよ。
直純くんのホスト姿なんか」

⏰:10/09/18 23:13 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#819 [愛華]
「あはは、ズバっと言うねー」

「隆則がくるのに……ハァ」

その言葉にピクッと直純くんが
反応する。
 …………………なに?


「なに?なんか言いたそうな顔」

「そんな顔してねーよ!!」

「ふぅん?へんなのー」

なんだろ?隆則のことを話した時
直純くんに感じる違和感。

⏰:10/09/18 23:26 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#820 [愛華]
このときあなたは

何を考えていたんだろう

このとき気づいていたら

あんなに傷つけなくて済んだ?

あんなに傷つかなくて済んだ?

それはわがままでしかないけれど

私に未来を予知できる能力が

あればよかったのにって。

子供みたいに夢に見るんだ。

⏰:10/09/18 23:41 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#821 [愛華]
読んでくださってる読者の皆様
いつもありがとうございます
愛華です


実は、携帯の都合で1週間と
ちょっとの間更新できません
待っていてくださったら
うれしいです

応援よろしくお願いします

⏰:10/09/18 23:49 📱:840SH 🆔:ezr.uR82


#822 [愛華]
明日から更新できるので
頑張っていきたいと思います
待ってて下さった方
いるでしょうか??

⏰:10/09/24 22:42 📱:840SH 🆔:N7TUsSno


#823 [ゆん]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900

失礼しました(´・ω・`)

⏰:10/09/24 23:31 📱:F906i 🆔:sj89jz/k


#824 [美華]
まってましたイ
いつも楽しみにしてます。
頑張って下さい(^w^)

⏰:10/09/24 23:32 📱:W65T 🆔:mA9DDT6c


#825 [我輩は匿名である]
待ってました

⏰:10/09/25 08:51 📱:SH004 🆔:iH665fM2


#826 [愛華]
ゆん様
アンカーありがとうございます

美華様
楽しみにしてくださってて
嬉しいですがんばりますね

>>825

待たせてしまってスイマセン
更新がんばります

⏰:10/09/25 14:24 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#827 [愛華]
>>820


「……結局お約束かよ……」

「あたしのせいじゃないもん!」

隆則は思ったとおり嫌そうな顔。
だってしょうがないじゃんか。
あたしだって嫌だもん
あんなフリフリスカート……

「あ、てかさ、俺手伝い
行けなくなっちゃったから」

「え、なんかあるの?」

⏰:10/09/25 14:40 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#828 [愛華]
「課題おわってないのと、
あとバイト。ごめんな」

「バイト始めたの?」

「うん。誨と同じとこなんだ。
時給いいし生活費かせぐのに」

そっか……隆則は誨さんと
二人暮らしなんだっけ。
両親が亡くなって、おじいさんが
一人いるのは聞いたことある。
どうしておじいさんと暮らさない
のか……
なんか事情があったんだろうな。

⏰:10/09/25 14:46 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#829 [愛華]
「そっかー当日は来れる??」

「うん。来週だよな?」


いろいろ隆則と話したあと
あたしは家に帰った。
帰る途中、メールが来た。


『明日の準備にリボン使うから
買ってきて。By速水』

………直純くんだ。
あれ?まだ続きがある。

⏰:10/09/25 14:58 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#830 [愛華]
『……言い忘れたけど
メイド、ホストのそれぞれの
代表が、俺と白石になった。
明日から準備がいろいろある。
よろしく』

………はぁ!?なんで!?
てか代表ってなんやねん!!
まぁ、たいした仕事ないと
思うけど……勘弁してよね〜

あたしはトボトボと帰宅した。



リボン……家にあったっけ……

⏰:10/09/25 15:04 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#831 [愛華]
次の日から本格的に準備が
始まった。
小規模の学園祭みたいなもの
だけど準備はやっぱり大変。


「リボンたりないよ〜」

「テーブルってここでいいのー」

「メニューの値段ってさー」

あっちこちで声が飛ぶ。
あたしもメニューを考えてる
真っ最中。

⏰:10/09/25 15:09 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#832 [愛華]
「那佑と品野くんさー
そっちもういいから
演劇部から余ったいらない衣装
もらってきてー!!」

「えー!なにに使うの!?」

「メイド服やっぱ足りない。
衣装リメイクしてメイド服に
見えるようにするの!」

なるほど。たしかに時間ないし
それはいい考えかもしれない。

「直純くーん!!行くよー!」

「わかった!ちょっと待ってー」

⏰:10/09/25 15:17 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#833 [愛華]
私たちは演劇部の部室に走った。

「すいません、リメイクしても
いいようないらない衣装
ありますか?何着かでいいので」

「あるにはあるけど汚いよ?
なににリメイクするの?」

「メ……メイド服です……」

くそぅ!!恥ずかしい!!
横では直純くんが笑ってる。

⏰:10/09/25 15:22 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#834 [愛華]
「メイドかーなんとかなるかなー
その部屋の中にかけてある衣装
勝手に持っていっていーよ。
終わったあと戻しといてー」

「ありがとうございます!!」

部長からOKをもらえたので
あたしたちは衣装部屋らしき
部屋にはいった。

………ほこりくさっっ!!

こりゃけっこうキツイ……

⏰:10/09/25 15:26 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#835 [愛華]
「直純くん、そっちのほう
探してくれる?あたしコッチ」

「んー、うん。ほこりヤベー…」

あたしたちはクローゼット、
ダンボールの中から衣装を
次々に引っ張りだしていく。

あー…ほこりまみれじゃん…
こりゃ一回洗濯しないと……

黙々と作業を進めてゆく。

⏰:10/09/25 16:51 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#836 [愛華]
「……ねぇ白石」

突然、直純くんが私を呼んだ。

「ん?なに?」

「あのさー…彼氏どんなひと?」

「……え?なに突然に!
てか、前もそんなこと
聞かなかったっけ??」

「…そうだっけ。や、別に…」

⏰:10/09/25 17:04 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#837 [愛華]
……どうして直純くんは
こんなに私の彼氏のことを
気にするんだろうか?

………あ!!


「そーだ!!直純くんって
あたしのこと好きなんだった!」

「………えぇ!?」


言ったあとにハッとした。
しまった……これは自分で
言うことじゃなかったんだ…

⏰:10/09/25 17:18 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#838 [愛華]
「あ、うんまぁね。
好きなやつの彼氏だし……
気になるの当然だろ?」

「ふぅん…でも本気じゃない
でしょう?」

「……なんでそう思うの」

なんでって……

「本気であたしのことを、
好きでいてくれてる人を……
ちゃーんと知ってるから」

そうでしょう?隆則。

⏰:10/09/25 17:22 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#839 [愛華]
「……そんなのわかんないよ?
もしかしたら陰で……」

「隆則はそんな器用なことは
できないよ。
絶対……そんなことしない」


わかる。わかるんだよ。
通じ合う言葉なんかなくたって
今なら信じられるんだよ。

直純くんは目を私から反らした。

「……なんで、わかるの?」

⏰:10/09/25 17:44 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#840 [愛華]
直純くんは弱くつぶやいた。

「自分が好かれてるって…
愛されてるって……
どうやったらわかるの?
理解できない自分がおかしい?」

直純くんは急に言い出した。
感情をむきだしにしている。
見つめられたその瞳の奥に
深い闇が見えた気がした。


「……ど……うしたの?」

⏰:10/09/25 17:50 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#841 [愛華]
「………」


沈黙が流れる。
自分でもびっくりするほど
かすれた声しか出なかった。

怖い。怖いよ。
このひとは……愛を知らない?


目をそらせない。
まるで催眠術みたいに
瞳の闇に吸い込まれてゆく。
逃げられない。
闇がすぐそこに迫ってるのに…

⏰:10/09/25 17:54 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#842 [愛華]
「………なんのつもり」

「ち……ダメだったか」


気がついたら、目の前に直純君の
顔があり、あたしは壁に
追い詰められていた。


「あとちょっとでちゅー
できたのになぁ……」

「甘くみないでよね。
てゆーかさっきのセリフなに?」

⏰:10/09/25 17:58 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#843 [愛華]
「あ、それはコレコレ!!」

直純くんの手には
『愛の蜘蛛の巣』と書かれた
劇の台本。演劇部のものだろう。
愛の蜘蛛の巣って……

しかし危ない。直純くんの演技に
つられてしまうところだった。

でも……

理解できない自分がおかしい?


あの言葉は演技じゃない。
なぜかそんな気がしたんだ。

⏰:10/09/25 18:03 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#844 [愛華]
「じゃあ直純くんは?」

「え、なにが?」

「どういう時に……
自分は好かれてるって
愛されてるって感じるの?」

「だからそれセリフ……」

「いいから答えてよ」


自分でもわかんない。
なんでこんなことを聞いたのか
でもこのひとの瞳の奥の闇。
あれは………わたしと似てる。
小さいころの私の目そっくり。

⏰:10/09/25 18:28 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#845 [愛華]
「………そうだなぁ……」

ただ黙って直純くんの言葉を待つ






「……女の子とベッドにいる時
………かな」


……………はいぃぃぃ!?

⏰:10/09/25 20:15 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#846 [愛華]
「な、なにそれっっ!!」

「えー?そのまんまだよー?
女の子ってあったかいしさー」


はぁ……深く考えすぎたな…
単なる気のせいかぁ……


「あれ?白石顔赤いよ?
……もしかしてまだ彼氏とは…」

「関係ないでしょ馬鹿っっ!!
結局スケベやろーじゃんか!」

あたしは衣装を手当たり次第
直純くんに投げつける。

⏰:10/09/25 20:29 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#847 [愛華]
「ケホケホッ!!
だって愛の感じかたなんて
人それぞれでしょー」

「……真面目に答えてよー…」


確かにそうかもしんないけど
でも…やっぱり違うんだ。
これは直純くんの本音じゃない。
それは直感でわかるんだ。

あたしだって直純くんに本音は
見せない。
自分の中の弱いところなんか
大事な人にしか見せれないよ。

⏰:10/09/25 20:44 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#848 [愛華]
だって直純くんと私は
そこまで深い関係じゃない。
あたしだって望んでない。

でも……なんだろう。
人が自分にたいして線をひいてる
ことに気づいた時。
その人との間の壁に気づいた時。
自分と同じものを持っている
ことに気づいた時。


ちかづきたい って思う。
それは恋という形じゃなくって。

⏰:10/09/25 20:51 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#849 [愛華]
ただ純粋に。


隆則も、あたしにたいして
こんな気持ちだったのかな。



あたしは使えそうな衣装を
袋に詰めていった。


「……白石おこった?」

怒ってなんかない。
だってわかってるのに。
この人は過去の自分と同じ闇を
持ってるって。わかるのに。

⏰:10/09/25 20:56 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#850 [愛華]
あたしは本音をきけるほど
深くかかわれていないから。

そんな関係を望んでるわけじゃ
ないけど。でも。
なんか悔しいんだ。

あたし……矛盾しまくりじゃん…


もやもやをごまかすように
作業に没頭した。

⏰:10/09/25 21:02 📱:840SH 🆔:5FchwyJA


#851 [愛華]
「………おこってないよ。
気にしなくていいから。
ほら、はやく終わらせよう」

「……うん」



二人で沈黙の中作業を進める。

沈黙を破ったのは直純くんだった



「……愛されてるって感じた時
なんか、もう覚えてないよ」

⏰:10/09/26 00:07 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#852 [愛華]
「………え」

「好かれてるって実感も。
もう忘れちゃったかなー…


俺、両親いないしさ」

両親が、いない。

「それからは、じいちゃんと
住んでんだけど……
そんな実感少しもなかったし」

昔のあたしと……同じ。

⏰:10/09/26 00:11 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#853 [愛華]
「………今だけだよ、そんなの」

「……なに、それ」

「今はそう感じなくても
絶対に『自分は愛されてる』って
感じる時がくるんだよ。
じゃないと生きていけないから。
直純くんにも絶対に……
そう感じる瞬間が来るから。」

「…………」

直純くんは黙ってうつむいた。

⏰:10/09/26 00:17 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#854 [愛華]
「…それも『愛の蜘蛛の巣』?」

「ち、ちがうよ!!………
ごめん、偉そうなこと言って」

「あはは、別にいーよ。
………うん、ありがとな。」

そう言って直純くんは笑った。


笑った感じが……隆則にそっくり

つられてあたしも笑顔になった。

⏰:10/09/26 00:22 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#855 [愛華]
「……なんで、あたしに
こんなこと話してくれたの?」

「んー……さぁ?わかんね。
同情してもらいたかったのかな」


これでよかったのかな?
過去の自分そっくりな直純くんが
あたしに本音を話す。
あたしはそれに応えた。

なんか……嬉しかったんだ。

自分にもなにかできるのかもって

⏰:10/09/26 00:27 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#856 [愛華]
ただの自己満足だ。
自分は自分のこと何も
話さないくせに……

これは同情なのかな?

でも、自分は抜け出せたから。
闇から抜け出せたから。

だからあなたもきっと大丈夫って
伝えたかった。
それだけだったんだ。

⏰:10/09/26 00:31 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#857 [愛華]
-直純side-

⏰:10/09/26 00:35 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#858 [愛華]
なんだよ。

なんでそんな顔するんだよ。

自分はなんも話さないくせに

人の心を見透かすような

そんな目で見るなよ。


でも、なんとなくわかるんだ。


白石は……俺の傷に気づいてる。

⏰:10/09/26 13:13 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#859 [愛華]
気がついたら、話してた。

自分の心の傷の…根元。

正直、ばれるかと思った。

ここでばれるわけにはいかない。

なのに、話してしまった。


俺はなにしてる?

俺の目的はなんだ?

同情を買うことなんかじゃねぇ。

⏰:10/09/26 13:17 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#860 [愛華]
「今だけだよ、そんなの」


……なんだよ、それ。

俺にも『愛されてる』って

感じる時が来るっていうのか?

そんなのただの気休めだろ。



いや、違う。

白石は………俺と同じだ。

⏰:10/09/26 13:21 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#861 [愛華]
俺と同じ傷を持っていて……

そこから抜け出したんだ。

それを助けたのは……

多分、あの男。


ずるいよ。

なんであんただけ幸せに……

憎んでも憎みきれねぇよ。

⏰:10/09/26 13:23 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#862 [愛華]
目の前にいる女の子は……

女神みたいに笑っている。


……この子なら。

俺を救ってくれるだろ?


奪ってやる。奪ってやる。


あの男に 制裁を。

あいつだけ幸せになるなんて

絶対に許さない。

⏰:10/09/26 13:26 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#863 [愛華]
この子の笑顔は俺を癒す。

今まで感じたことのない

落ち着いた気分になれる。

でもその笑顔は

あの男によって守られている。

そう思うと気分が悪くなる。

はらわたが煮え繰り返るほどに。

なにが『罪』でなにが『正義』か

それさえもわからない世界。

そんな世界で俺は生きてんだよ。

⏰:10/09/26 18:59 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#864 [愛華]
もうすぐあんたに会えるよ。

ちゃんと白黒つけようよ。

あんたが正しくて

俺が間違っていたのか。

………あるいは、その逆か。

誰が罪をつぐなうべきか。



なにもかもが……これでわかる。

⏰:10/09/26 19:15 📱:840SH 🆔:xATRfJAg


#865 [愛華]
-隆則side-

⏰:10/09/27 00:08 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#866 [愛華]
最近よく夢を見る。

同じ夢。

見たことのある風景が広がり

懐かしいにおいがする。

でも心はからっぽで。

何も考えられない。


なにか大切なものを失ったような

喪失感。

⏰:10/09/27 18:37 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#867 [愛華]
そのうち泣き声が聞こえてくる。

誰だ?なんで泣いてる?

『うぁああん……うぁあん』

泣くなよ。泣かないでくれ。

泣きたいのは俺だって同じだ。


でも泣き声は収まらない。


『助けてよぉ……うぁああん』

⏰:10/09/27 18:40 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#868 [愛華]
誰に助けを求めてるんだ?

なんで泣いてるんだよ。


やがて姿が見えてくる。


小さい………男の子。

見たこともない男の子。


いや、ある。

俺はこの男の子を知ってる。

誰だっけ……わからない。

⏰:10/09/27 18:46 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#869 [愛華]
『助けてよぉ………』

誰だ?君は誰だ?

どうして泣いてるんだ?


誰を………呼んでいるんだ?


『助けて…………

  隆兄……』


……………俺?……………………

⏰:10/09/27 18:49 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#870 [愛華]
「………隆則、大丈夫か?」


「………誨……か?」



同じところで目が覚める。
最近、ほぼ毎日のように。


夢の中のあいつは……


ちくしょう……なんで今さら
こんな夢を?

⏰:10/09/27 18:52 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#871 [愛華]
「すげぇ汗かいてるぞ。バイト
無理しすぎてんじゃないか?」

「いや、なんでもねぇよ。
最近あんま寝れなくてさ…
シャワー浴びてくるな」

俺はタオルを手にとり
バスルームへ向かった。

「……明日は送別祭だろ?
メシつくっといてやるから。
あんま無理すんじゃねぇぞ」

「ん。さんきゅな」

頭がガンガンする。
多分あの夢のせいだ。

⏰:10/09/27 18:58 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#872 [愛華]
熱いお湯を浴びると
少しは気が楽になった。

…大丈夫。ただの夢だろう?


俺は頭をブンブンと振り
夢の余韻を消す。

でもあの男の子の声は
いつまでも消えずに俺の頭に

深く、深く刻み込まれた。

⏰:10/09/27 20:00 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#873 [愛華]
-那佑side-

⏰:10/09/27 20:01 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#874 [愛華]
「那佑ー!!カップ足りない!」

「はぃはーい!!」

「誰か絵の具とテープ!!」

「はぃはーい!!」


あぁ……忙しい(泣)


送別祭が明日に迫る中
あたしたちは準備に追われていた

⏰:10/09/27 20:35 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#875 [愛華]
限られた時間の中で、
凝って凝りまくったため
準備が全然おわらない!!

代表であるあたしと直純くんは
本当に辛かった……


「梓!!あとメイド服何着!?」

「今2着終わったー!!」

猫の手を借りたいとはこのこと。

⏰:10/09/27 20:50 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#876 [愛華]
準備がだいたい終わり、
ちらほらと人が帰りだす。

「あとの準備は明日やろっか。
那佑!!まだ残る?」

「あ、あたし自分の分やってから
帰るね。先帰ってて」

「了解〜」


………ふぅ。
あたしはチクチクとメイド服を
慣れない手つきで縫っていく。

⏰:10/09/27 20:54 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#877 [愛華]
静かな教室の中で、
時計の針の音だけが響く。




……あの日から、直純くんへの
見方はガラリと変わった。
見かけだけで人の全てを判断
してしまっていたけれど
それは間違いだったね。

あなたは私と同じ傷を持ってた。
同情なんかじゃないよ。

⏰:10/09/27 21:00 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#878 [愛華]
「おーつーかれ!!」

急に後ろから声がした。
びくっとなり振り返ると…

「直純くん!帰ってなかったの」

「白石残ってたしさ。差し入れ」

直純くんはポイッとプリンを
あたしのほうへ投げた。

…プリンが好きって知ってたんだ

⏰:10/09/27 21:05 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#879 [愛華]
「……ありがとう」

あたしはプリンを食べ始めた。

「メイド服おわったの?」

「うん。あたしの分はねー」

「そっかー…よかったね」

「うん」


チクチク……


時計の音が響く。

⏰:10/09/27 21:17 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#880 [愛華]
「……明日、彼氏くるの?」

「え?あ、うん……」

なんとなく気まずくなる。
正直あたしは直純くんの告白を
本気だとは思っていない。

でも……なんでそんな顔するの?


「白石の彼氏かぁ………
会うの楽しみだねぇ」

そう言って笑った直純くんは
何かを決心したように見えた。

⏰:10/09/27 21:35 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#881 [愛華]
--------------送別祭当日------


午前中は授業で、午後から
翌日まで送別祭は続く。


なんとなくその日の朝は、
いつもと違った気がしたよ。


キーンコーンカーンコーン…

午前の授業終了のチャイム。

⏰:10/09/27 22:54 📱:840SH 🆔:kPb8K36.


#882 [愛華]
「那佑ータカはいつ来るの?」

「えーとね。多分1時くらい」

「じゃあもうすぐじゃん!!
はやく着替えといで。
あたしらテーブルセッティング
しとくから!」

「はぁーい」

あたしは昨日仕上げたばかりの
メイド服に身を包む。

最初のヒラヒラに比べると
全然マシになり可愛くなった。

⏰:10/09/28 00:08 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#883 [愛華]
「白石ー!!……わ!!
着替えたんだ?」

「あ、直純くんもスーツじゃん。
へーカッコイイねー」

特に深い意味はなくって。
ただ単純にもてそー…みたいな。
なのに。

「え、あ……ありがとう…」

直純くんは真っ赤になった。

⏰:10/09/28 17:56 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#884 [愛華]
「白石も似合ってるねー。
男子が喜びそうなスカートの丈」

「え、そんな短い??」

「ん、ちょっと待って」

直純くんはあたしの腰に目線を
合わせてリボンをゆるめて
スカートの長さを調節した。

「あ、こうすると長くなるんだ」

「俺は短いほうがよかったけど…
男子どもに見られんのは嫌だし」

⏰:10/09/28 18:00 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#885 [愛華]
……え。
なんか直純くんて…
どこからが本気なのかわかんない

「…直純くんて子犬みたいだね」

「……犬ぅ??」

「うん。前も思っ……」

あたしはそれ以上声を出せず。

直純くんがあたしに抱き着いて
きたから。

⏰:10/09/28 18:06 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#886 [愛華]
「ちょ、なにすんの!!
ヘンタイ!!ヘンタイ!!」

「犬とかゆーからじゃん。
犬は甘えるんだよー」

「……え、甘えてんのコレ」

「うん♪」

………なるほど……。

「……だからいいってわけ
ないだろーがぁ!!」

あたしは直純くんを殴り飛ばした

⏰:10/09/28 18:09 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#887 [愛華]
「あー…いたたた」

「スキンシップ禁止だって
言ったでしょーが!ばか!!」

あたしは熱くなった顔をパタパタ
あおぎながら教室へ向かった。




「……気づけよ、ばーか……」

⏰:10/09/28 18:12 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#888 [愛華]
「え?なんか言った直純くん?」

「なーんも!ほらはやくいこ!
多分もう始まってるよ!」

あたしと直純くんは走って
教室に戻った。戻るとちゅう
大勢の三年生とすれ違ったので
多分もう開店してる。


「梓ごめん遅れたぁ!!」

「遅いー!!はやく手伝って!」

⏰:10/09/28 23:07 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#889 [愛華]
送別祭はなんとなーく始まる。
開祭式とかめんどくさいものは
ないので、授業終了とともに
祭は開催される。


「おかえりなさいませご主人様」

「かわいいねー君!名前は?」

「なゆりんです♪」

「彼氏とかいるのー?」

「あはは内緒でーすよ♪♪」

あぁ………顔から火がでる!!

⏰:10/09/28 23:12 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#890 [愛華]
2−4 メイドあんどホストカフェ
〜とびっきりの夢をプレゼント〜
での絶対のルール。

1.スキンシップ禁止!
2.夢はこの場限りだけ♪
ナンパ厳禁!!
3.笑顔がメイド(ホスト)の
パワーの源デス☆


看板に書かれた文を読み、ため息

三番目のルールなにあれ…
ルールでもなんでもないじゃん…

⏰:10/09/28 23:20 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#891 [愛華]
「那佑ー!はやくー!」

「はぁーい!」

あたしは気合いを入れて教室に
戻る。 指名されたっぽいな。

「お待たせしましたご主人様」

「あーやっぱかわいいじゃん!
なゆりん……だっけ?」

「なゆりんかわいいねぇ〜♪」

三年生男子のグループ。
うわ……苦手だなこーゆーの。

⏰:10/09/28 23:25 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#892 [愛華]
注文をとり席に座る。

「なゆりん彼氏とかいるー?」

「んーどうでしょうねー?」

いるともいないとも言わない。
上手く会話をすりぬける。

少し話をして、裏に戻ろうと
した時。一人に腕をつかまれた。

「まだいいじゃーん♪」

あー…これタチ悪いやつだなぁ…

⏰:10/09/28 23:29 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#893 [愛華]
「でもまだ仕事が……」

「ジュースに魔法かけて♪
したら帰っていいから!」

ぎゃはははと仲間たちが笑う。

完全からかわれてる……
でも三年生だし逆らえない。
だからメイドなんて嫌なんだ!

「わっかりましたぁ〜♪」

あたしはその場にあるスプーンを
サイダーの中に突っ込み、
思いっきり掻き混ぜた。

⏰:10/09/28 23:33 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#894 [愛華]
当然のごとく泡を出し、
サイダーは溢れ出す。

「ちょ、なゆりん!?」

「……はい♪おいしくなりました
なゆりん炭酸苦手なんです…」

あーすっきり。
砂糖水でも飲んでれば。

あたしは戻ろうとした。…が。

「なゆりん〜制服汚れた〜」

⏰:10/09/28 23:39 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#895 [愛華]
……はぁ?

確かに三年生の制服にポツンと
ジュースが飛んでいた。
……汚れたっていう?コレ。

「……メアドおしえて♪
したら本当に終わり!ねっ!」

「……そーゆーことは禁止です」

「ばれないよー大丈夫!!」


……どーしよ。
今さらながら焦ってきちゃった。

⏰:10/09/28 23:42 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#896 [愛華]
「汚したおわびってことでさ!」

男の手があたしの肩にのびる。
その瞬間。


「……すいませんお客様。
スキンシップ禁止ですし
情報交換も禁じられてますので」

三年生の手が力強くつかまれた。

⏰:10/09/28 23:45 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#897 [愛華]
「誰だよ、てめぇ!!」

「ナオ(仮名)といいます。
めんどうごとは避けましょう?
せっかくの送別祭ですしね」

にっこり微笑みながらも
ぎりぎりとつかんだ手を離そうと
しない直純くん。


「……はなせよ」

「あ、これは失礼」

直純くんが手を離すと、
三年生は足早に教室を出ていった

⏰:10/09/28 23:49 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#898 [愛華]
「おー…すごいね直純くん。
ありがと、助かったよー」

「……白石は自覚持ちなよ。
毎回なんて助けれないからね」

「うん。ありがとう」

あたしはニコッと笑った。

直純くんはぷいと目を反らすと
あかくなり「別に」と呟いた。

……照れてんのかな?

⏰:10/09/28 23:53 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#899 [愛華]
「あ、お礼にこれあげるよ」

あたしはラムネを二つ直純くんの
ポケットに入れた。

「なにいれたの?」

「休憩時間に食べて!」

「俺、今休憩時間だから食べる」

入れた瞬間に出された。
なんだろ、この屈辱感。

⏰:10/09/28 23:56 📱:840SH 🆔:lxjRegMc


#900 [愛華]
直純くんは見たとたんに
「……ラムネ。ガキくさー…」

「失礼な!おいしいじゃん!」

「まぁ、ありがと。それじゃ
休憩いってくるわ。あとでな」

嬉しそうに微笑んだあと
直純くんはネクタイをゆるめ
教室から出ていった。

……よし!がんばるぞ!

⏰:10/09/29 00:00 📱:840SH 🆔:BD2ubYYQ


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