その日が来る前に、
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#927 [愛華]
しばらく歩くと、後ろから
ドンッとぶつかられた。
「いでっっ!!」
「おっはよタカ!!」
「おまえ背中いてぇよ……」
ぶつかってきたのは梓。
直純と同い年で、幼なじみ。
小さい頃から一緒にいるので
一部のやつからは、付き合ってる
と思われてるけど、実際
そんなことは全くない。
:10/10/01 23:00
:840SH
:8kcPpCes
#928 [愛華]
「直純もう行ったぞ?」
「今から追いかける!!
タカお土産よろしくね〜
ばいばーい」
そう言うと、梓は俺が歩いてきた
道を走っていった。
朝から騒がしいやつだな……
なんだかんだしてるうちに
学校へつき、宿へ出発。
:10/10/01 23:03
:840SH
:8kcPpCes
#929 [愛華]
バスの中では、友達である
達也(たつや)と話していた。
「俺、今回の研修で告るわ」
スルメを食べながら達也が言う。
「え、もう好きなやつできたの」
「うん。真理菜ちゃん。
めちゃかわいいだろ?」
かわいい?うーん。普通?
まぁ中の上くらい?
……って俺はどこの立場から
言ってんだ。ばかか俺。
:10/10/01 23:08
:840SH
:8kcPpCes
#930 [愛華]
「まぁ頑張れよ。」
「ムフフ。見とけ俺の勇姿」
べつにお前の勇姿に期待は
してないけど………。
一日目は登山やらなんやらを
やった。疲れたぁ……
「隆則ー風呂いくぞ風呂ー」
「おー行くかぁ」
:10/10/01 23:15
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:8kcPpCes
#931 [愛華]
ここの宿は温泉で有名。
かなり広い露天風呂があり
学年全員の男子が入れる。
「隆則……お前デカイな」
「え?普通じゃね?」
「イヤ、だって……(省略)」
……………お約束な話。
風呂からあがると廊下で女子
たちが固まっていた。
:10/10/01 23:19
:840SH
:8kcPpCes
#932 [愛華]
きゃっきゃしながらアイスを
食べていた。
お、なんか近づいてきた。
「あの、隆則くん……
ちょっと……いいかな?」
見たこともない女子。
違うクラスだな。知らないもん。
俺たちはテラスへ移動した。
ひんやりした風が心地よかった
:10/10/01 23:23
:840SH
:8kcPpCes
#933 [愛華]
なんとなーく雰囲気でわかった
けど……
「あのね……好きなの。」
えと……はい。
何回言われてもやっぱ慣れない。
なんて言えばいーのか詰まる。
「あのな……うれしんだけど…
名前も知らないしさ。俺あんま
女子好きじゃないし…わりぃな」
俺、こんなんでいいんだろうか
:10/10/01 23:26
:840SH
:8kcPpCes
#934 [愛華]
年頃の男子が、女子が苦手。
そりゃまぁ男だから
色々したい、て思ったりもする。
でも実際の女の子を見ると、
やっぱり無理だなって思う。
……こんなんで大丈夫か、俺。
将来、結婚とかできんのかな。
ちゃんと好きな人とかできんの?
結局この日は、知らない女子
3人に告られた。
:10/10/01 23:31
:840SH
:8kcPpCes
#935 [愛華]
なんとなーく将来に不安を覚え、
部屋に戻った。
「ただいまぁー」
「おー隆則!どーだった?」
「どーもこーもねぇよ。だって
知らねぇやつだし。断った」
「またかよ〜もったいねぇ〜」
達也はそういって、スルメを
リュックからドサッと出した。
どんだけ持ってきてんだ、スルメ
:10/10/01 23:36
:840SH
:8kcPpCes
#936 [愛華]
夜は部屋の男子たちで輪になり
先生が来るかもしれないスリル
の中で話したりする。
これ、鉄則。
んで怪談とかを……
「…でさ、俺が生まれたのは…」
……話さなかった。
え?違うの? 怪談は違うの?
達也は輪の中心で『命の神秘』
について話していた。
え、なにこの展開。
:10/10/01 23:52
:840SH
:8kcPpCes
#937 [愛華]
みんな、聞いたこともない話
だからか聴き入っていた。
かくいう俺も達也の話のおもしろさに引き込まれていった。
途中、「生まれてきてよかった」
と涙を流しそうになったりもした
ていうか話してる達也が泣いてた
なんだコレ。どういう状況?
泣きながら命について語る男子達
多分、俺達だけだろう。
:10/10/01 23:56
:840SH
:8kcPpCes
#938 [愛華]
「じゃあ俺達が生まれたのは
奇跡なんだよな……ズズッ」
スルメ食べながら鼻すするな。
「まぁな。親がいての、俺等
だからな。感謝だよな」
「俺達もいつか親になんのかぁ」
みんなでしみじみと想像する。
未来の自分。
俺はいつか……出会えるかな?
自分の全てを捧げられる
命をその人に懸けてもいいって
そう思えるような人に。
:10/10/02 00:03
:840SH
:RaeIpkp6
#939 [愛華]
「……てかさ、親になるためには
子供を作るだろ?
子供を作るためには……」
「あぁ……まぁそうなるよな…」
お?
「じ、実際どんなかんじ
なんだろうなぁ…そういうの」
なんか話が180度変わるぞ。
どこいった、命の神秘。
:10/10/02 00:35
:840SH
:RaeIpkp6
#940 [愛華]
「でも俺達の両親も、それを
やってるわけじゃん?」
「あぁ…………」
「……お前今、キモチワル…って思っただろ?」
「そりゃ、ちょっとは……」
まぁ所詮、中一の男子。
この辺の知識はあまりない。
俺の父さんと母さんも……
そう思うと急に恥ずかしくなった
:10/10/02 00:39
:840SH
:RaeIpkp6
#941 [愛華]
父さんと母さんは大学で出会い
すぐに恋に落ちた。
父さんがベタボレだったらしい。しかし、つきあい始めて3ヶ月で
俺を腹に授かってしまった。
父さんは母さんに結婚を
申しこんだ。
母さんはそれを受けて、母さんの
両親も納得したらしいが、
父さんの方の両親は納得しなかった。父さんには婚約者がいた。
:10/10/02 00:44
:840SH
:RaeIpkp6
#942 [愛華]
といっても漫画でよくあるような
親同士が決めた婚約者。
実際、父さんは一度も会ったことがなく顔も知らなかったらしい。
父さんと母さんは駆け落ちした。
今の土地で俺を産み、
直純も産んだ。母さんの方の
じいちゃん、ばあちゃんは
昔からよくしてくれたけど
父さんの方のじいちゃん、ばあちゃんには一度も会ったことはない。
:10/10/02 00:50
:840SH
:RaeIpkp6
#943 [愛華]
父さんはじいちゃんを憎み、
じいちゃんも父さんを憎んでいたからだ。
やがて、父さんの方のばあちゃんが亡くなったことを知った。
俺が7歳の時だった。
父さんと母さんは葬式に行ったが
じいちゃんに追い返されたらしい
それからも父さんはじいちゃんを憎み続けて、俺と直純もじいちゃんに会うことはなかった。
:10/10/02 00:53
:840SH
:RaeIpkp6
#944 [愛華]
今こそ、二人は当時のことを笑って話すが、本当はかなり
辛かったんだと思う。
それでも乗り越えられたのは
『二人』だったからだ。
互いに支えあっていたから
乗り越えられたんだと思う。
一度だけ、父さんに
「どれくらいじいちゃんが憎たらしい?」って聞いたことがある。父さんは笑顔で
「崖から突き落としたいくらい」
って言った。冗談か本気か
わからなくて怖かったのを
今でも覚えている。
:10/10/02 01:28
:840SH
:RaeIpkp6
#945 [愛華]
父さんとじいちゃんの間に
どんなことがあったのかは知らないけれど、父さんいわく
「あの男から俺が生まれたという事実を消してしまいたい」
らしい。相当憎んでるんだろう。
それでも俺は父さんを尊敬してる
いつか、父さんと母さんのような
夫婦になれたらいい。
俺はみんなが寝静まった部屋の
布団の中で思った。
:10/10/02 01:33
:840SH
:RaeIpkp6
#946 [愛華]
:10/10/02 01:38
:840SH
:RaeIpkp6
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