その日が来る前に、
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#601 [愛華]
「へ……あ…」
「…なんですか?隣に来いって
誨さんが言ったんですよ?」
「あ、そーでしたね……はい…」
ザクザク…………
「………誨さん」
「んー?なに?」
:10/09/02 23:39
:840SH
:DaCdVZQA
#602 [愛華]
あたしは自分が誨さんを呼んだ
ことに驚いた。
知らないうちに…呼んでた。
「……タカの中学時代
知ってます?」
「え……知らねぇけど」
「………ひどかったんですよ」
「ひどい……?」
:10/09/02 23:42
:840SH
:DaCdVZQA
#603 [愛華]
「毎晩血だらけで帰ってきて。
お父さんとお母さん亡くした
ショックからなのかな?
わかってたのに……
あたしはなんもできなかった。
なにひとつ」
「んなこと……」
誨さんも言葉が見つからない
みたいだった。
「毎晩ケンカに狂って。
髪も染めて。…どんどん離れて…
それが怖くてなにもできなくて。
そのままアメリカに留学」
:10/09/03 01:45
:840SH
:0qduYiP6
#604 [愛華]
「あたし逃げたんです、タカから
なにもできない自分がいやで
でも、帰ってきたらもしかしたら
前のタカに戻ってるかも…って」
何が言いたいんだろ、あたし。
でも……とまんない。
吐き出さなきゃ、潰れちゃうよ。
「………ダメでしたけどね」
:10/09/03 01:48
:840SH
:0qduYiP6
#605 [愛華]
「……梓ちゃん」
「……あたしは何もできなかった
のに……今は那佑のことを話す
だけでタカを止められる。
タカの心を動かせるのは
これからも那佑だけなんです」
そう。わかってた。
そして納得もしてた。
だから笑ってられた。
だから、よかったねって言えた。
でも………でもね。
:10/09/03 01:52
:840SH
:0qduYiP6
#606 [愛華]
「たまに思っちゃうんです。
自分のほうが……って。
そんな自分が………たまらなく
嫌になるんです……」
ずっとずっと溜めてた想い。
今さらなのに、こんなの。
「幸せだとか嘘ばっかついて…
自業自得でしょーそんなの。
自分で自分傷つけてんじゃん」
「うるさいですねっ!!
言っただけですよ!!
吐き出すために!全部!」
:10/09/03 01:56
:840SH
:0qduYiP6
#607 [愛華]
「俺には無理だねー
そんなボロボロの恋愛」
「……ボロボロで悪いですか」
「…………」
だまんないでよ!
なんか言えよばーか!!
「………悪くないんじゃん?」
「え…?」
:10/09/03 01:59
:840SH
:0qduYiP6
#608 [愛華]
「傷ついてばっかも悪くないよ。
うん。今そー思った」
「……なんですか、それ」
「さぁ?どーゆー意味でしょ?」
……意味わかんない。
でもさ、いいんだよね、まだ。
ボロボロでも、傷だらけでも
大切な人の幸せをひたすら願う
そんな形の恋愛があっても。
:10/09/03 02:03
:840SH
:0qduYiP6
#609 [愛華]
そのおまけとして、
………私も幸せになりたい。
「なんかお腹すいたなー」
「そだなーなんか食いに行くか。
おにーさんがおごっちゃるよ」
「いいですね〜……ってか
なんで誨さん、あたしの家の前に
いたんですか?」
「細かいことはいーの!!」
いつか、私も誰かと。
:10/09/03 02:07
:840SH
:0qduYiP6
#610 [理沙]
失礼します
<<1-100
<<101-200
<<201-300
<<301-400
<<401-500
<<501-600
<<601-700
<<701-800
<<801-900
<<901-1000
:10/09/03 20:54
:N01B
:kH1/GW5I
#611 [理沙]
:10/09/03 21:04
:N01B
:kH1/GW5I
#612 [愛華]
理沙様
アンカーありがとうございます

:10/09/04 00:54
:840SH
:O1wN.WdE
#613 [愛華]
>>609俺は走った。ひたすらに。
那佑が待ってる。急がなきゃ。
頭の傷が痛む。
血の味がする。
でも今はどうでもいいんだ。
:10/09/04 00:59
:840SH
:O1wN.WdE
#614 [愛華]
約束の時間から1時間半
たっていた。
もう那佑はいないかもしれない。
それでもいかなくちゃいけない。
那佑。俺は弱いんだ。
弱いから自分を抑えるすべを
知らなくて。
自分を守るために自分に支配され
そして人をまた傷つけてしまった
:10/09/04 02:38
:840SH
:O1wN.WdE
#615 [愛華]
お前は許してくれるだろうか。
こんな弱い俺を。でもダメなんだ。
俺は……那佑がいなきゃ
ダメなんだ。
みちゆく人が俺を見る。
額に流れていた血は固まって
カサブタのようになっていた。
ぱっと見、なにかの映画の
撮影みたいに見えなくもない。
:10/09/04 02:43
:840SH
:O1wN.WdE
#616 [愛華]
足がもつれても構わず走った。
明日は筋肉痛だ。
とか思いながらも走る。
汗が傷にしみて痛い。
「はぁはぁはぁ……」
待ち合わせ場所に着いて、
那佑を探す。
「…………那佑っっ!!」
:10/09/04 13:40
:840SH
:O1wN.WdE
#617 [愛華]
′
那佑はいた。
寒そうに身を縮めていて
耳、頬は真っ赤になっていた。
那佑は俺の方を見た。
ボロボロの俺を見て
一瞬驚いた顔をしたけど
すぐに真顔に戻った。
:10/09/04 13:55
:840SH
:O1wN.WdE
#618 [愛華]
那佑のもとに走る。
「…………ごめんっっ!!
その……ちょっと色々あって。
説明するから、とりあえず……」
「…………血。」
「………え?」
「血、出てる。」
那佑が俺の頭を指差す。
「あ、これは……だから説明する
から、どっか入ろう?」
:10/09/04 14:46
:840SH
:O1wN.WdE
#619 [愛華]
「服にも………ついてる」
那佑に言われて、見てみると
上着に血が点々とついていた。
「あ……これは俺じゃないんだ」
「………そうなんだ」
沈黙が流れる。
「………ごめんな?
寒かったよな?……ごめん」
:10/09/04 14:51
:840SH
:O1wN.WdE
#620 [愛華]
「……………」
那佑は黙ったまま俯いてる。
やっぱり怒ってるのか?
いや、当たり前だろ……
でも、どうすればいい?
謝るだけじゃダメなのか?
「隆則……?」
「あ、え……何?」
「ちょっとこっちむいて?」
「え?あ、うん……」
俺は那佑のほうに向き直った。
次の瞬間。
バシンッッ
:10/09/04 14:58
:840SH
:O1wN.WdE
#621 [愛華]
………え?
ビンタ?俺、ビンタされた。
「………ばか。ばか隆則」
頬が赤くなりジンジン痛む。
それよりももっともっと
心がジンジン痛くなった。
那佑が泣いていたから。
:10/09/05 01:36
:840SH
:1433GB1M
#622 [愛華]
俺のせいで涙を流す那佑を
何回みてきただろう。
泣き顔なんて見たくないのに。
ほんとに人生うまくいかない。
「那佑………ごめん。ごめんな」
「ばかぁ……どんだけ心配したと
思ってんのー…?ばかばか!!」
ポカポカ俺の頭を殴る那佑。
その目から涙が次々あふれる。
:10/09/05 01:40
:840SH
:1433GB1M
#623 [愛華]
「うん………ごめん」
「クリスマスになぁ!!
ケンカなんかすんなぁ!!」
「うん………ごめん」
「マリア様とイエス様も
いい迷惑だっつの!!」
「うん………ごめん」
「あ……あと長谷さんもか」
「うん………あとで謝るよ」
「…………ばか」
:10/09/05 01:46
:840SH
:1433GB1M
#624 [愛華]
那佑はそう言うと、ぽすっと
俺の胸に頭をくっつけた。
いつのまにか、人はいなくなって
いて、俺と那佑だけになった。
さっきまであんなに人が
いたのに?
という疑問はもはやなかった。
今日はイヴ。
きっと不思議なことが起こるんだ
:10/09/05 01:50
:840SH
:1433GB1M
#625 [愛華]
「隆則。約束覚えてる?」
頭をつけ下を向いたまま
那佑が言う。
「……覚えてるよ」
那佑と心が通じたあの日。
病院で那佑と交わした『約束』。
それは那佑がいなくなる時
ぜったいに泣かないこと。
:10/09/05 02:19
:840SH
:1433GB1M
#626 [愛華]
『私がいなくなっちゃう時は…
絶対泣かないで。その時だけは…
絶対に。』
お前はそう言ったな。
俺はそれがいつになるのかなんて
わからないけれど。
それが
那佑が25になるまえに訪れる
なんて認めるつもりはない。
:10/09/05 02:25
:840SH
:1433GB1M
#627 [愛華]
「約束ね、もう一個」
「……うん?」
「もう一個、ふやしてもいい?」
そう行って那佑は顔をあげた。
潤んでいる瞳は赤かった。
「………なに?」
:10/09/05 12:10
:840SH
:1433GB1M
#628 [愛華]
那佑はもう一度、頭を俺の胸に
つけた。震えていた。
「……ケンカしたっていい。
血だらけになったって
足が折れたって、別にいい」
別にいいのかよ……
「…ボロボロになってもいい。
でも……ぜったいに帰ってきて。
最後は私のとこに帰ってきてね」
:10/09/05 17:47
:840SH
:1433GB1M
#629 [愛華]
「…………」
「置いてかれるのはもう嫌。
置いてかないで。一人はやだ。
だから帰ってきてね」
泣きながら言う那佑。
俺の目の前で
『置いてかないで』
といった17歳の女の子は
とても幼く見えて。
とても愛しく見えた。
:10/09/05 17:52
:840SH
:1433GB1M
#630 [愛華]
その言葉を聞いただけで
今までの彼女の孤独とか
悲しみとか痛みとか。
彼女の心についた無数の
傷をつけたものの正体が
すべてわかった気がして。
目の前の彼女が
ひどく小さく見えて。
:10/09/05 17:59
:840SH
:1433GB1M
#631 [愛華]
心の傷は治せないから。
だから。
君の前で、今誓う。
「あたりまえじゃん。
那佑のとこに帰るから。
帰ってくるから」
「………うん。うん……」
一生懸命うなずく那佑。
俺の帰る場所は………ここ。
:10/09/05 18:03
:840SH
:1433GB1M
#632 [愛華]
「………那佑。手、だして」
「……なんかくれるの?」
「まぁそんなとこ。目つぶって」
静かな時間。
やさしくて、あったかい。
「………なんかしてる?
指、冷たい感じするんだけど…」
「………目、あけていーよ」
:10/09/05 18:14
:840SH
:1433GB1M
#633 [愛華]
「わ…………」
那佑の指には小さな小さな
指輪がはめられていた。
ハートのモチーフの
キラキラ輝く指輪。
「…………」
「なんか………言えよ」
わ、俺ぜってぇ顔赤い。
はずっっ……
頼むからなんか言ってくれ……
:10/09/05 18:17
:840SH
:1433GB1M
#634 [愛華]
「すごい………かわいい。
すごいすごい………かわいい」
「あ、えと………よかった」
「隆則………ありがとう。
大好き。大好きだからね」
「あ、うん」
「嘘じゃないよ。嘘じゃない」
「なんで2回ずつ言うんだよ」
俺はふっと笑った。
:10/09/05 18:25
:840SH
:1433GB1M
#635 [愛華]
「うー……」
「わっっなんで泣くの!」
「や、嬉しすぎて…とまんない」
「ばかじゃねーの……」
そういって那佑を抱きしめる。
「寒いから……帰ろっか」
「…帰んの?クリスマスだよ?」
:10/09/05 18:30
:840SH
:1433GB1M
#636 [愛華]
「だって隆則、血だらけだし。
あたしもう満足だし」
「え〜いいのかよ……」
そう言って、手をつなぎ
那佑と歩きだす。
…………まぁいっか。
:10/09/05 18:32
:840SH
:1433GB1M
#637 [愛華]
嬉しい時も涙って出るのか。
流したことないからわかんないな
でも、よろこんでくれるなら…
そんな涙もいいかもしれない。
素直にそう思った。
「……さっきさ、人めっちゃ
いたのに、急にいなくなったよね
なんでかなぁ?」
「ほら、イヴだからさ
不思議なことが起こるんだよ。
:10/09/05 18:41
:840SH
:1433GB1M
#638 [愛華]
「そっかぁ。そーかもね」
はぁーっと息をはく那佑。
……寒そうだ。
「………なんでケンカしたの」
うっ…いきなりキター…
「や、あの……絡まれてさ」
「誰に」
「いや…わる〜い人にさ」
:10/09/05 18:48
:840SH
:1433GB1M
#639 [愛華]
「…今の隆則は絡まれたぐらいで
ケンカなんかしないよ。なんで」
………全部おみとおしかよ。
「………あの時のヤローがさ。
逆恨みしてやりかえしにきた。
こーゆーやつは本気で痛い目に
あわせないとわかんないから
しょーがないからやっただけ」
「……ほんとは怖かったくせに」
:10/09/05 18:55
:840SH
:1433GB1M
#640 [愛華]
那佑には……全部ばれてしまう。
「………うん。超こわかった」
「………ほらね」
「でも……俺がにげて
また那佑のとこに行くかもって
思ったら……そっちのほうが
何倍もこわかったから」
那佑は俺の手を少しだけ
強く握りなおした。
:10/09/05 18:59
:840SH
:1433GB1M
#641 [愛華]
「……指輪くれたから許す」
「うん。ありがと」
てゆか俺、頭割られてて本当は
こんなことしてらんないけどな…
とか思うけど……
でも今日は。今だけは。
ちょっとだけこのままで……
:10/09/05 22:51
:840SH
:1433GB1M
#642 [愛華]
-那佑side-
:10/09/06 15:45
:840SH
:MHBXlxoo
#643 [愛華]
心がひきちぎれそうな。
そんな長い時間だった。
もしかしたら来ないかもしれない
事故にでもあったのかもしれない
不安と恐怖。
心が闇に押し潰されそうで。
:10/09/06 15:53
:840SH
:MHBXlxoo
#644 [愛華]
こんな気持ち、前にもあった。
お父さんとお母さんに
置いていかれた、あの春。
辛くて、苦しくて。
そこから抜けだせなくて。
隆則。はやくきて。
わたしはここにいるよ。
ひとりはやなんだよ。
待つことしかできなかったの。
:10/09/06 15:57
:840SH
:MHBXlxoo
#645 [愛華]
嫌な不安がつのって……
それは当たってしまって。
やっと来た隆則は血だらけだった
すぐにケンカだってわかった。
ほっとしたのと同時に湧いた…
ひとつの不安。
隆則はあたしを一人にしない?
:10/09/06 16:00
:840SH
:MHBXlxoo
#646 [愛華]
今日みたいに
突然に
あたしを置いていかない?
………もう置いてかれたくない。
あたしは隆則と『約束』をした。
あたしたちだけの、約束。
わがままかもしれないけど…
でも……約束だからね?
:10/09/06 16:04
:840SH
:MHBXlxoo
#647 [愛華]
あたしは隆則のところに帰る。
ぜったいに帰ってくるから。
だから隆則も………
あたしのところに帰ってきてね。
約束だよ、隆則。
:10/09/06 16:11
:840SH
:MHBXlxoo
#648 [愛華]
人はひとりじゃ生きていけない。
いつも孤独と隣り合わせなんだ。
だから、その不安から
抜け出すために、形を。
つながりを求める。
それは『結婚』とか『束縛』とか。
……『約束』とか。
:10/09/06 20:52
:840SH
:MHBXlxoo
#649 [愛華]
形は人それぞれだけど
自分がひとりじゃないという
ひとつの証明の形なんだよ。
神様。
どうかあたしのつながりを
たったひとつのつながりを
………奪わないでください。
あたしが消えるその日まで
………強く、生きられるように。
:10/09/06 21:00
:840SH
:MHBXlxoo
#650 [愛華]
-隆則side-
:10/09/06 21:04
:840SH
:MHBXlxoo
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