その日が来る前に、
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#623 [愛華]
「うん………ごめん」
「クリスマスになぁ!!
ケンカなんかすんなぁ!!」
「うん………ごめん」
「マリア様とイエス様も
いい迷惑だっつの!!」
「うん………ごめん」
「あ……あと長谷さんもか」
「うん………あとで謝るよ」
「…………ばか」
:10/09/05 01:46
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#624 [愛華]
那佑はそう言うと、ぽすっと
俺の胸に頭をくっつけた。
いつのまにか、人はいなくなって
いて、俺と那佑だけになった。
さっきまであんなに人が
いたのに?
という疑問はもはやなかった。
今日はイヴ。
きっと不思議なことが起こるんだ
:10/09/05 01:50
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#625 [愛華]
「隆則。約束覚えてる?」
頭をつけ下を向いたまま
那佑が言う。
「……覚えてるよ」
那佑と心が通じたあの日。
病院で那佑と交わした『約束』。
それは那佑がいなくなる時
ぜったいに泣かないこと。
:10/09/05 02:19
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#626 [愛華]
『私がいなくなっちゃう時は…
絶対泣かないで。その時だけは…
絶対に。』
お前はそう言ったな。
俺はそれがいつになるのかなんて
わからないけれど。
それが
那佑が25になるまえに訪れる
なんて認めるつもりはない。
:10/09/05 02:25
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#627 [愛華]
「約束ね、もう一個」
「……うん?」
「もう一個、ふやしてもいい?」
そう行って那佑は顔をあげた。
潤んでいる瞳は赤かった。
「………なに?」
:10/09/05 12:10
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#628 [愛華]
那佑はもう一度、頭を俺の胸に
つけた。震えていた。
「……ケンカしたっていい。
血だらけになったって
足が折れたって、別にいい」
別にいいのかよ……
「…ボロボロになってもいい。
でも……ぜったいに帰ってきて。
最後は私のとこに帰ってきてね」
:10/09/05 17:47
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#629 [愛華]
「…………」
「置いてかれるのはもう嫌。
置いてかないで。一人はやだ。
だから帰ってきてね」
泣きながら言う那佑。
俺の目の前で
『置いてかないで』
といった17歳の女の子は
とても幼く見えて。
とても愛しく見えた。
:10/09/05 17:52
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#630 [愛華]
その言葉を聞いただけで
今までの彼女の孤独とか
悲しみとか痛みとか。
彼女の心についた無数の
傷をつけたものの正体が
すべてわかった気がして。
目の前の彼女が
ひどく小さく見えて。
:10/09/05 17:59
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#631 [愛華]
心の傷は治せないから。
だから。
君の前で、今誓う。
「あたりまえじゃん。
那佑のとこに帰るから。
帰ってくるから」
「………うん。うん……」
一生懸命うなずく那佑。
俺の帰る場所は………ここ。
:10/09/05 18:03
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#632 [愛華]
「………那佑。手、だして」
「……なんかくれるの?」
「まぁそんなとこ。目つぶって」
静かな時間。
やさしくて、あったかい。
「………なんかしてる?
指、冷たい感じするんだけど…」
「………目、あけていーよ」
:10/09/05 18:14
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