その日が来る前に、
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#101 [愛華]
でも……隆則がいうと
もしかしたら…って思えた。
「…うん。がんばる」
隆則はニッコリ微笑んだ。
隆則が笑うと、胸がきゅってなる
なんだろう?
胸が温かくて、もっと
笑ってほしい。
あなたの為に笑いたいって
思うの。
:10/06/26 18:52
:840SH
:dev.iGAs
#102 [あい]
:10/06/27 09:56
:P03A
:☆☆☆
#103 [愛華]
>>102様
ありがとうございます

つたない文章ではありますが
精一杯がんばります!!
最後まで読んでくれると
とても嬉しいですF
:10/06/27 17:38
:840SH
:hAwrbAMo
#104 [愛華]
「那佑ちゃーん。
検査の時間だから病室もどって」
隆則と雑談していると、
純さんが、呼びにきた。
「えー…もう…?」
「またあとで来ればいーだろ。」
あ、また。
胸がきゅってなった。
:10/06/27 21:07
:840SH
:hAwrbAMo
#105 [愛華]
「またくるね!!」
「おー…」
私はそう言って、病室に
純さんと戻った。
「なかいーんだねー
……赤石さんと」
突然、純さんがいった。
「はい??そーかなぁ」
「うん。なんか、
那佑ちゃんも赤石さんには
心ひらいてるかんじ。」
:10/06/27 21:41
:840SH
:hAwrbAMo
#106 [愛華]
そんなつもりなかったけど…
でも。
「隆則と話してるとね。
なんか安心するの。
お腹のあたりが
ほわーってあったかくなるんだ」
「ほほう。恋ですなぁ」
「………!?」
:10/06/27 22:04
:840SH
:hAwrbAMo
#107 [愛華]
こい……??
「…ええええ!?
そんなの!違うよ!
隆則は…隆則は……」
「赤石さんは……なに?」
純さんはニヤニヤしながら
聞いてくる。
私にとって隆則は……
:10/06/27 22:18
:840SH
:hAwrbAMo
#108 [愛華]
私が答えに詰まっていると
純さんはニコッと笑った。
「最近の那佑ちゃん、楽しそう。
前までは…なんていうか
生きるのに疲れきってるかんじ
だったけど……
赤石さんと出会ってからかな?」
隆則と……会ってから?
:10/06/27 22:21
:840SH
:hAwrbAMo
#109 [愛華]
「…うん。そーかも。
最近ちょっと……楽しい」
「そっかー那佑ちゃんも
恋かぁ……」
「だから違うってば!!」
「那佑ちゃん可愛い〜(笑) 」
:10/06/27 22:29
:840SH
:hAwrbAMo
#110 [愛華]
確かにね。
最近、ちょっと
ちょっとだけ、毎日が
楽しいんだ。
自分のことを少しだけ
さらけだして、認めて。
……………隆則と出会ってから。
:10/06/27 22:31
:840SH
:hAwrbAMo
#111 [愛華]
死ぬことへの恐怖なんて
いつだって感じなかった。
人間はいずれ死ぬ。
だからべつにいーんだって。
どこかで諦めてた。
:10/06/27 22:45
:840SH
:hAwrbAMo
#112 [愛華]
それは今も変わらない。
だってどーしようもないでしょ?
どんなに願っても
どんなに祈っても
変えられない運命だから
運命を呪ったって意味はない。
ただね。どーせなら。
誰かの記憶に残って
楽しく生きて
潔く………死にたいなって。
:10/06/27 22:53
:840SH
:hAwrbAMo
#113 [愛華]
小さい小さい私の存在。
17才の私はあまりに
ちっぽけだけれども
誰かの心に
私の存在を 残してから……。
:10/06/27 22:57
:840SH
:hAwrbAMo
#114 [愛華]
「隆則ー!!
遊びにきたよー☆」
「…毎日きてんじゃん…(笑)」
隆則はベッドにねっころがって
タバコを吸っていた。
「……」
「……なした?」
「……タバコ。
未成年なのに。ダメじゃん」
「ばーか。余計なお世話
だっつの。今時みんな
吸ってるだろ」
:10/06/27 23:01
:840SH
:hAwrbAMo
#115 [愛華]
そーなのかな??
そんなもんなのかなぁ??
「……純さんに
言い付けてやろー……」
「……お前、あの看護師と
なかいーよな」
「純さんのこと?
まぁね。家族みたいなもんだよ」
:10/06/27 23:04
:840SH
:hAwrbAMo
#116 [愛華]
「…家族?」
「うん。あたしのとこの事情
いろいろ知ってて……
初めて入院したころから
お世話になってる。
お姉ちゃんみたいな存在。」
「へー……
てか、事情って?」
しくった。
またしゃべりすぎた。
なんだろ。隆則の前だと
スルスル言葉がでてくる。
:10/06/27 23:31
:840SH
:hAwrbAMo
#117 [愛華]
「…あたしんとこは……
お父さんとお母さん
いないから……」
「ふーん……」
隆則はそれ以上きいて来なかった
もっと探られると思ってたのに。
:10/06/27 23:34
:840SH
:hAwrbAMo
#118 [愛華]
「でね、隆則がねー」
「もー那佑ちゃん、
赤石さんの話ばっか(笑)」
「……べつにいーじゃーん
それより純さん!!
次の休みいつ??」
「私、多忙だからね〜
今週の日曜日だったかな?」
:10/06/27 23:40
:840SH
:hAwrbAMo
#119 [愛華]
「……そっか」
「どーしたの??
なんかあるの??」
「……純さん、日曜日さ
誕生日じゃん?
お祝いしてあげよーと思って…」
「……ありがとー!!
じゃあ月曜日!!
期待してるよ☆」
:10/06/28 16:05
:840SH
:EX.tF6FY
#120 [愛華]
純さんはニコッと微笑んだ。
純さんとの出会いは……
入院したてのころ。
「えっとー……那佑ちゃん!
今日からよろしくね」
:10/06/28 16:13
:840SH
:EX.tF6FY
#121 [愛華]
他の看護師は
いつもあたしに同情や冷たい目
ばかりむけていた。
病気のことや両親のことで
いつも可哀相だね って。
でも純さんだけは違った。
患者はみんな平等だって。
:10/06/28 16:17
:840SH
:EX.tF6FY
#122 [愛華]
あたしは、純さんを姉のように
慕うようになった。
そんなあたしを純さんも
可愛がってくれた。
純さんは25才の若い女性。
未来に溢れている人。
そんな純さんが私は……
羨ましかったのかもしれない。
:10/06/28 16:26
:840SH
:EX.tF6FY
#123 [我輩は匿名である]
「ふんふんふーん♪」
「………やけにご機嫌だな」
今日は土曜日。
明日は純さんの誕生日♪
プレゼントは腕時計。
壊れたって言ってたから。
「なんでもないよーだ」
「あっそ」
あれ??ちょっと怒った??
………怒った顔、かわいーな。
「隆則おこってる?」
「べつに………」
:10/06/28 22:14
:840SH
:EX.tF6FY
#124 [我輩は匿名である]
じゃあなんで機嫌わるいんだよ…
私も張り合って機嫌を悪くした
ふりをして、そっぽ向いて
オレンジジュースを飲んだ。
残り少ないジュースは
ズコッという音をたてた。
:10/06/28 22:18
:840SH
:EX.tF6FY
#125 [我輩は匿名である]
「……おこってないって。
純さんの誕生日なんだろ?
………知ってるよ」
そういうと隆則はあたしの頭を
くしゃくしゃなでた。
隆則の手は大きくてあったかい。
「………ちょっとやきもち
やいたんだよ。
うらやましーっつーの……」
ん??今なんて??
:10/06/28 22:21
:840SH
:EX.tF6FY
#126 [我輩は匿名である]
「隆則、今なんて言ったの?
きこえなかったんだけど」
「きこえなくていーの!!」
隆則はまた頭をなでた。
あ、また。胸がきゅってなる。
純さんの言葉を思い出す。
:10/06/28 22:24
:840SH
:EX.tF6FY
#127 [我輩は匿名である]
「那佑ちゃんも恋かぁー」
それはわかんない。
でも隆則の存在は確実にあたしの
中で大きくなっていた。
冷たかったあたしの心を
隆則が少しだけ溶かしてくれた。
どうして……隆則なんだろう
:10/06/28 22:28
:840SH
:EX.tF6FY
#128 [愛華]
「那佑どした?顔赤いぞ」
ふいに隆則があたしの顔を
のぞきこんだ。
「わっ…… 」
自分でも顔が赤くなるのが
わかった。
顔覗きこまれただけで………
あたしって……子供(泣)
「がぁーき(笑)」
「うるさい!!
馬鹿隆則!!」
「そんな怒んなー
ほら、ゼリーやるから」
「やった♪」
ほんと………子供(笑)
:10/06/28 22:33
:840SH
:EX.tF6FY
#129 [愛華]
隆則。
あたしね。
夢をみてた。幸せな夢。
隆則が側にいてくれて。
最近あまりにも楽しいから
忘れてたんだ。
ちょっとだけ期待もしてた。
もしも病気が治ったら……って。
あたしの運命が代わりはじめた
のはこの次の日。
:10/06/28 22:38
:840SH
:EX.tF6FY
#130 [愛華]
その日は終わろうとしていた。
明日は純さんに会える。
一日遅れたけどプレゼント
渡すんだ。
……大好きな純さんに。
あたしは廊下を散歩していた。
「……うそ……純が!?」
「…そんな!!間違いじゃ…」
看護師たちが話してる。
純さんの話…?なんだろ?
:10/06/28 22:43
:840SH
:EX.tF6FY
#131 [愛華]
「ねー純さんがなしたの?
今日やすみでしょ?純さん」
「…!那…佑ちゃん…!」
……なに?なんか……
様子が変。
「……純さん、どーしたの?」
看護師は泣いていた。
「那佑ちゃん、病室に戻…」
「純さんに……
なんかあったの?」
:10/06/28 22:47
:840SH
:EX.tF6FY
#132 [愛華]
「…那佑ちゃん……
なんでもないの!!」
看護師は怒鳴るように言って
無理矢理あたしを
病室に戻した。
なに?なに?なんなの?
……嫌な予感がするよ。
帰りの廊下、看護師用のトイレで
話し声が聞こえてきた。
:10/06/28 22:51
:840SH
:EX.tF6FY
#133 [愛華]
「…そじゃ……いんでしょ?」
「…かんない…どそく……って」
……なんだろ?よく聞こえない。
「……純が……死んだなんて…
信じたくないよ………」
「…………………え?」
:10/06/28 22:54
:840SH
:EX.tF6FY
#134 [愛華]
〜隆則Side〜
:10/06/29 00:00
:840SH
:khB4iVoE
#135 [愛華]
今日、那佑はすこぶる
機嫌がよかった。
どうやら、明日は純さんとかゆー
看護師の誕生日らしい。
那佑は純さんのことを
姉のように慕っている。
純さんが、那佑の支えに
なってることも、あるんだろう。
:10/06/29 19:49
:840SH
:khB4iVoE
#136 [愛華]
那佑は今まで
想像を絶する苦しみを
味わってきたんだろう。
そんな那佑が今ふつうに
笑っていられるのは……
純さんのおかげだったの
かもしれない。
:10/06/29 19:52
:840SH
:khB4iVoE
#137 [愛華]
それは知っているけど……
「やっぱムカつく!!」
「いてっ!!枕なげんなよ」
俺はイライラを
お見舞いにきていた長谷に
ぶちかましていた。
↑最悪(笑)
:10/06/29 19:54
:840SH
:khB4iVoE
#138 [愛華]
那佑の苦しみは……
俺はちょっとしか理解できない
のかもしれないけど。
それでも、俺だけが
わかってあげたい。
そーゆーもんじゃねーの?
「……うらやましーなぁ」
俺はつぶやいた。
あー情けな(泣)
:10/06/29 19:58
:840SH
:khB4iVoE
#139 [愛華]
「……そんなに悩むってことは…
女のことか?」
「……!!」
「図星かよ(笑)」
長谷にはなんでも
お見通しだ。
:10/06/29 19:59
:840SH
:khB4iVoE
#140 [愛華]
「そっかーお前の
女ギライも治ったか」
「そーゆー訳じゃねーけど…
……可愛い子なんだよ。すっげ。
守ってあげたくなるっつーか」
長谷は見透かしたように笑った。
:10/06/29 20:02
:840SH
:khB4iVoE
#141 [愛華]
「…でも、あと八年しかない」
長谷はつぶやいた。
「!?」
どうして長谷が……?
:10/06/29 20:03
:840SH
:khB4iVoE
#142 [愛華]
「……なんで知ってる?」
「…昨日もきたんだけどな。
病室はいったら、お前ねててな。
……あと八年……って
寝言でつぶやいてた」
俺……そんなことを?
:10/06/29 20:06
:840SH
:khB4iVoE
#143 [愛華]
「その言葉の意味は……
まぁなんとなく分かるけど。
………覚悟はできてんのか?」
覚悟??そんなのとっくのまに
できてる。
那佑に恋した……あの日から。
:10/06/29 20:14
:840SH
:khB4iVoE
#144 [愛華]
「あたりまえだろ。
後悔なんか、これっぽっちも
してねぇよ」
初めてなんだよ。こんなの。
誰かひとりのことを
こんなにも大事に思う。
君の苦しみごと全部抱きしめて
あげたいって……思うんだ。
:10/06/29 20:26
:840SH
:khB4iVoE
#145 [愛華]
「若いねぇ。
あぁ、それが原因でイライラ
してたのか」
「……ガキなもんで」
長谷はタバコに火をつけた。
「…覚悟きめたんなら
最期まで想ってやれ。
死んだあとなら思い出になる。」
……いわれねぇでも。
そのつもりだよ。ばーか。
:10/06/29 20:37
:840SH
:khB4iVoE
#146 [愛華]
できるかぎりの愛を君に。
できるかぎりの苦しみを君から。
クサいかもしんねぇけど。
これが俺にできるすべて。
:10/06/29 20:39
:840SH
:khB4iVoE
#147 [愛華]
あれから二日。
那佑はまだ病室に来ない。
……変だな。
昨日は純さんの誕生日だったはず
那佑なら、一目散に報告
してくるはずなのに……
:10/06/29 20:45
:840SH
:khB4iVoE
#148 [愛華]
……なんか……あったのか?
胸がざわつく。
嫌なかんじがする。
「スイマセン!!
聞きたいことあるんですけど」
俺は通りすがりの看護師の
腕をつかんだ。
:10/06/29 20:48
:840SH
:khB4iVoE
#149 [愛華]
那佑に出会って、
もうすぐ、一ヶ月。
いつのまに、こんなに
君のことを好きになったんだろ。
こんな時にも、桜は
綺麗に咲いていた。
それはそれは 綺麗に。
:10/06/29 20:51
:840SH
:khB4iVoE
#150 [愛華]
「……那佑」
今、なにを想ってる?
月が綺麗だった。
あの日も………こんなふうに
月と桜が綺麗な夜だったな。
なんとなく、那佑が泣いてる
ような気がした。
:10/06/29 20:54
:840SH
:khB4iVoE
#151 [愛華]
ふっと、窓の下をみた。
もしかしたら、また君が……
「……那佑」
俺は階段を下りていった。
松葉杖で、踏み外さないように
気をつけながら。
見つからないように
細心の注意を払って。
:10/06/29 20:57
:840SH
:khB4iVoE
#152 [愛華]
はやく、はやく行かなきゃ。
今度こそ。
近くに、従業員用の小さな
玄関があった。
その時、運よく近くには
誰もいなかった。
俺は迷わず、そこから出た。
:10/06/29 21:01
:840SH
:khB4iVoE
#153 [愛華]
こんなに簡単に抜け出せる
ものなのか
とか思いながら、
俺は中庭に急いだ。
「……那佑」
那佑は桜を見ていた。
………あの日のように。
:10/06/29 21:18
:840SH
:khB4iVoE
#154 [愛華]
「……あれ、隆則じゃん。
どーやってココに?」
那佑はゆっくり振り向いた。
目が少し赤かった。
「…泣いてんじゃないかって…
思って。」
「泣く……?私が?
……そっか、知ってるんだ。
……純さんが死んだこと」
:10/06/29 21:30
:840SH
:khB4iVoE
#155 [愛華]
「……」
俺は何も言わなかった。
…ううん。言えなかった。
那佑があまりにも悲しそうで
……美しかったから。
「……私……泣けなかった」
:10/06/29 21:33
:840SH
:khB4iVoE
#156 [愛華]
「純さんが死んだって知った時。
だって急すぎるよ。
この前まで……笑ってたのにさ」
「……うん」
「純さんには…私と違って
未来がいっぱいあったのに。
:10/06/29 21:37
:840SH
:khB4iVoE
#157 [愛華]
なのに。
神様はひどいよね、ほんと」
「…うん」
那佑は桜の木に手をあてた。
「この桜ね。あたしが入院
したてのころは、もう少し
低かったんだよ」
あ……ちょっと笑ってくれた。
:10/06/29 21:40
:840SH
:khB4iVoE
#158 [愛華]
「あたしより後に入院したのに
あたしより先に退院してく人を
………何人も見てきた。
ってゆーかほとんどそう
だったんだけどね」
那佑は…話し続けた。
「でも……あたしより先に
死んじゃう人もいて。
その度に
あたしもいつか、こうなるんだ
って思ってた。」
:10/06/29 21:46
:840SH
:khB4iVoE
#159 [愛華]
「……冷たい人間だよあたし。
死ぬことなんか、ちっとも
怖くなんかないって……
思ってた」
「……うん」
「……純さんね、
腕時計壊れてたの」
………腕時計??
:10/06/29 21:49
:840SH
:khB4iVoE
#160 [愛華]
「それを知ったのは、
一ヶ月くらい前。
考えてみればさ、
すぐ買えばよかったのに……
純さんは不便な生活で我慢して
一ヶ月過ごした」
那佑は……なにが言いたいんだ?
:10/06/29 21:52
:840SH
:khB4iVoE
#161 [愛華]
「…純さん知ってたんだよ。
あたしが誕生日プレゼントに
腕時計、買ってあげること。
だから一ヶ月ずっと
腕時計かわなかったんだよ」
那佑は一呼吸おいた。
「…ばかだよね。ほんと。
居眠りトラックなんかに……
ひかれちゃってさ……」
那佑はいつのまにか泣いていた。
:10/06/29 21:55
:840SH
:khB4iVoE
#162 [愛華]
「…あたし……
泣けなかったんだよ……」
大粒の涙が那佑の小さい瞳から
次々あふれていく。
「……あたしも……
いつか……死ぬ………」
もう……いいよ、那佑。
「あたしっ……」
「もういーよ」
俺は那佑を抱きしめた。
:10/06/29 21:59
:840SH
:khB4iVoE
#163 [愛華]
「……もういーんだよ。
お前は……優しいな」
「隆則っ……ばかじゃんっ…」
「……そーかもな」
「………あたしの事………
隆則も忘れちゃう?」
「……忘れねーよ。こんなばか」
:10/06/29 22:03
:840SH
:khB4iVoE
#164 [愛華]
「……出会ってちょっとしか
たってないのに……?」
「時間なんかどーでもいーよ。
お前のことは忘れない。
存在は絶対きえない。」
那佑は強く頷いた。
:10/06/29 22:07
:840SH
:khB4iVoE
#165 [愛華]
「……たかの……りっ…」
あれ、なんか頬っぺた熱いな。
ああ……俺が泣いてんのか。
:10/06/29 22:12
:840SH
:khB4iVoE
#166 [愛華]
「あたし…っっ………
………死にたくないよ……」
それは君が初めて見せた
『弱音』という名の『本音』。
生まれて初めて
誰かの為に 涙を流した。
:10/06/29 22:14
:840SH
:khB4iVoE
#167 [愛華]
〜那佑Side〜
:10/06/30 00:10
:840SH
:FZ/7f0dI
#168 [愛華]
私のすぐ近くで
その人の存在は消えた。
不思議と涙はでなくて。
襲ってくるのは喪失感だけ。
純さん…………なんで?
:10/06/30 18:56
:840SH
:FZ/7f0dI
#169 [愛華]
聞いたところによると
バスに乗るため急いで
道路を渡っているところを、
居眠り運転していたトラックに
正面衝突。
即死。
私は純さんを見ることは
できなかった。
:10/06/30 21:47
:840SH
:FZ/7f0dI
#170 [愛華]
人間ってなんて もろいんだろう。
昨日まで当たり前のように
存在していた命が
今日には、消えている。
悲しくて、儚くて。
だから、余計に辛くて。
:10/06/30 21:52
:840SH
:FZ/7f0dI
#171 [愛華]
死ぬのが怖くない なんて
ただの強がりだったんだ。
ほんとは、怖くて怖くて
たまらなかった。
毎日が恐怖の連続で。
そんな日々からの自己防衛。
「どうせ、そのうち死ぬ」
ってひたすら自分に言い聞かせた。
:10/06/30 21:55
:840SH
:FZ/7f0dI
#172 [愛華]
どーしようもないことなんだ。
そう言い聞かせて。
恐怖から自分を守っていた。
でもほんとは違ったんだよ。
ほんとは気付いて欲しかったんだ。
………私の気持ち。ちょっとでも。
:10/06/30 21:59
:840SH
:FZ/7f0dI
#173 [愛華]
自分で自分に嘘ついてたんだ。
ほんとは怖くてたまらないくせに
……あたし、ばかだね。
隆則。あたしね…………
死にたくないよ。やっぱり。
:10/06/30 22:03
:840SH
:FZ/7f0dI
#174 [愛華]
ぜいたく言わない。
百歳まで、なんて言わない。
ただ、普通に。
大切な人と一緒になって
お母さんになって
おばあちゃんになって。
それだけでいいの。
それは………
……………わがままでしょうか?
:10/06/30 22:12
:840SH
:FZ/7f0dI
#175 [愛華]
-----------------------------
どのくらい泣いただろう。
隆則の腕の中は安心して。
私はいつのまにか眠っていた。
:10/07/01 08:19
:840SH
:8QiiEpMI
#176 [愛華]
夢をみた。
しあわせなゆめ。
純さんがいる。笑ってる。
あ、いやだよ。行かないでよ。
純さんはゆっくり振り向いて
なにかをつぶやいた。
でも、それがなにかは
聞こえなかった。
:10/07/01 08:24
:840SH
:8QiiEpMI
#177 [愛華]
隆則の胸はあったかくて
心地好くて。
ずっと人の温もりを忘れていた
あたしに『安心』
をあたえてくれた。
隆則は……いろいろなものを
あたしにくれるね。
:10/07/01 08:26
:840SH
:8QiiEpMI
#178 [愛華]
「………ん。」
「……お、起きた」
ここ…………まだ庭?
「…あたし……寝ちゃった?」
「……2時間くらいな。
今、夜中の3時。
さすがに松葉杖じゃお前
運べねーからさ。どーしよーか
悩んでたとこだった」
:10/07/01 08:34
:840SH
:8QiiEpMI
#179 [愛華]
「……ありがとう」
「…ん?なにがだよ?」
そばにいてくれて…
その言葉は飲み込んだ。
ポケットに手を入れると、
ゴツッとした感触があった。
:10/07/01 15:02
:840SH
:8QiiEpMI
#180 [愛華]
「……あ」
「………それって…」
純さんにあげるはずだった時計。
……もう必要なくなっちゃった。
私は時計を池に投げようと
振りかぶった。
:10/07/01 15:06
:840SH
:8QiiEpMI
#181 [愛華]
「ちょっと!!待てって!!」
隆則は止めた。
「……それ、俺もらってい?」
「はぁ??なんで??」
「捨てるくらいなら、もらう」
隆則はあたしから時計を奪った。
:10/07/01 15:08
:840SH
:8QiiEpMI
#182 [愛華]
「……似合うか?」
似合うわけないじゃん。
それ、女物だし。
「似合うわけないでしょ
ばーか!!」
「…んだと!?このやろ!」
さりげない、優しさ。
胸が苦しくなる。すっごく。
どうして…こんなに優しく
してくれるの?
:10/07/01 15:12
:840SH
:8QiiEpMI
#183 [愛華]
私は出会ったばかりのこの人に
甘えてばかりだね。
「隆則あのさ、今日いったこと…
あまり……気にしないで?」
「なんで?
俺は嬉しかったけど?」
え?迷惑かけてるのに……
:10/07/01 15:15
:840SH
:8QiiEpMI
#184 [愛華]
「会ったばっかの俺に
ほんとの事いってくれたし…
お前、いつも笑ってっけど
なんか違う気がしてたからさ」
隆則は……気付いてたんだね。
また胸が苦しくなる。
「明日もまた来いよ!!
元気ださねぇと純さんに
笑われっぞ!」
不器用な優しさでいっぱいの人。
:10/07/01 15:20
:840SH
:8QiiEpMI
#185 [愛華]
隆則……
私にとってあなたは特別みたい。
それがなんていう名前の
気持ちなのかわかんないけど
あなたが笑って欲しいなら
あたし、笑うよ。いっぱい。
あなたの笑顔がみたいから。
:10/07/01 15:23
:840SH
:8QiiEpMI
#186 [愛華]
次の日。
私はいつもどおりの朝を
迎えた。
その日は検査とかで色々
ドタバタしてて、隆則のところに
行くのは3時ごろになって
しまった。
:10/07/01 15:26
:840SH
:8QiiEpMI
#187 [愛華]
はやく、隆則に会いたい。
子供みたいにはやる気持ち。
あたしはスキップで廊下を進んだ
「隆則ーきたよー!!」
ガラッと病室のドアを開けると、
そこには隆則がいて。
その隣には綺麗な女の人がいた。
:10/07/01 15:29
:840SH
:8QiiEpMI
#188 [愛華]
…………誰?
「あ、はじめまして。
隆則の………友達ですよね?」
「…あ、えと……」
「速水梓(はやみあずさ)
といいます。もしかして…
あなたが那佑さんですか?」
:10/07/01 15:33
:840SH
:8QiiEpMI
#189 [愛華]
「えと……そうですけど」
「私も同じ17才なの!
隆則からいつも話はきいてるよ」
いつも? ……いつも来てるの?
「自己紹介とかいーから、梓。
那佑、わりーな。コイツ、
幼なじみなんだ」
:10/07/01 15:35
:840SH
:8QiiEpMI
#190 [愛華]
隆則が付け加えるように言った。
「あ、そなんだ。えと……
よろしくね、速水さん」
「あはは、梓でいーよー
タメなんだし。
それより、タカきいてよー」
一通りあいさつを終えると
梓は隆則と話し出した。
:10/07/01 15:42
:840SH
:8QiiEpMI
#191 [愛華]
タカ……って呼んでるんだ。
あたしは意味のわからない
モヤモヤでいっぱいだった。
目の前で仲良さそうに話す
二人は……まるで恋人のようで。
ほんとに…ただの幼なじみ?
:10/07/01 15:45
:840SH
:8QiiEpMI
#192 [愛華]
「……タカ、喉かわかない?
あたし、那佑ちゃんと
ジュース買ってくるね!!」
「「え?」」
あたしと隆則の声が重なった。
「じゃ、いってきまーす」
あたしは強引に梓に
連れてかれた。……なんで!?
:10/07/01 15:48
:840SH
:8QiiEpMI
#193 [愛華]
「〜♪」
鼻歌を歌いながらジュースを
選ぶ梓。
……なんなの、いったい。
「ねー那佑ちゃん、コレでい?」
「あ、うん……」
:10/07/01 15:50
:840SH
:8QiiEpMI
#194 [愛華]
「ねー那佑ちゃんとタカって
どーゆー関係?」
梓は小銭を入れながら聞いてきた
「どういうって……」
どーゆー関係なんだろう?
友達なんて大層なもんじゃない。
といって、知り合いってほど
薄い関係ではない。
………ましてや恋人なんかじゃ
絶対にない。
:10/07/01 15:54
:840SH
:8QiiEpMI
#195 [愛華]
そんなあたしの気持ちを
知ってか知らずか。
梓は
「ふーん」 とだけ呟いた。
ジュースを買うと、梓は
近くのベンチに腰掛けた。
……あれ?病室もどらないの?
:10/07/01 15:56
:840SH
:8QiiEpMI
#196 [愛華]
「…ほら、那佑ちゃんも座って!
ちょっと話さない?」
「…別に部屋もどってからで…
それじゃダメなの?」
あたしはあくまで、突っぱねた。
あたしの本能がいってる。
これは………『裏』の顔。
:10/07/01 16:00
:840SH
:8QiiEpMI
#197 [愛華]
「…冷たいなぁ。
………そのためにわざわざ
二人になったのに」
この女………
「…いいよ、ちょっと話そうか」
あたしはあえて話にのった。
なに話すのか見当もつかない。
出会ってまだ1時間も
たっていない女と……
楽しくおしゃべりなんて事
あるはずがないのは
馬鹿でもわかる。
:10/07/01 16:03
:840SH
:8QiiEpMI
#198 [愛華]
梓はジュースを一口飲むと、
ふぅ、と一息ついた。
「単刀直入に言うね。
もう、タカに関わらないで」
「……は?」
なにを言ってるの…この人。
:10/07/01 16:06
:840SH
:8QiiEpMI
#199 [愛華]
「……どーゆー意味?」
声が震える。
……なんであんたなんかに。
「まんまの意味だけど?
………目障りなんだよね。
タカとたいした関係もないくせに
つきまとってさ。
那佑ちゃんタカの事すきなの?」
「……えっ……」
「あたしはすきなの。タカが。
……小さいころからずっと。
:10/07/02 00:24
:840SH
:SveFRjbc
#200 [愛華]
「タカが見てくれなくたって
そばにいられればいい。
……ねぇ、那佑ちゃんにとって
タカはどんな存在なわけ?」
どんな存在……?
大切な人だよ。苦しい時、
そばにいてくれて。
気持ちを聞いてくれた。
隆則だから……本音を話せた。
でも、きっとそれは恋じゃない。
……ほんとうに?
自問自答して答えられずにいると
梓が言い捨てた。
:10/07/02 00:30
:840SH
:SveFRjbc
#201 [愛華]
「…その程度の気持ちなら
もう隆則に近づかないで。
……どーせ退屈しのぎくらい
の存在なんでしょ?
退院したら終わる関係なんだし」
退屈しのぎ?あたしにとっての
隆則は…ほんとにそうだったの?
あたしは…何も言えなかった。
:10/07/02 00:35
:840SH
:SveFRjbc
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