その日が来る前に、
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#554 [愛華]
「……小さい頃からですよ。
それがなんですか?」

梓は、誨に嘘をつく気には
なれなかった。

だって嘘じゃないし。
ほんとうのことだし。


「ふーん…那佑ちゃんとのことは
知ってるの?」

梓はやっと理解できた。

⏰:10/08/31 19:54 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#555 [愛華]
誨さんは釘を刺しに来たんだ。
親友は今、大事な恋人がいる。
あたしが隆則を好きなのを知って

手をだすな。余計なことするな。

と。

でも、あたしは……


「…知ってます。那佑は…
あたしの親友です」

「親友?じゃ、病気のことも?」

「もちろん、です」

⏰:10/08/31 20:00 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#556 [愛華]
誨は驚いた顔をした。
てっきり、知らないとばかり。
知らなくて想いを寄せていると…

「……なのに、好きなの?」

「ダメなんですかね?」

「いや、ダメじゃないけど…」

面くらったかんじだ。
本当はもっと別のことを言う
つもりでいたのに……

「叶わないってわかってるのに、
好きでいるの?」

⏰:10/08/31 20:04 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#557 [愛華]
梓はにっこり微笑んだ。

「あたしは、隆則が幸せなら、
那佑が幸せならそれでいい。
どちらか一個なんて嫌です。
どっちとも幸せになってほしい。
想ってるだけでいいんですよ」

誨には理解できなかった。

だって傷つくじゃん、そんなの。
現に今、悲しそうな顔
してんじゃんか。


自分の中の、何かが
壊されたような。
でも心地好い痛み。

⏰:10/08/31 20:09 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#558 [愛華]
「……つらくないの?」

「さっきから聞いてばっか」

梓はふっと笑った。

「たまに辛いかな?ぐらい。
二人の笑ったとこみると、
安心するし。

あたしはそれで充分。
充分すぎるくらいですよ?」

「君はしあわせに……」

なりたいと、思わないの?

でも言葉が出てこなかった。

⏰:10/08/31 20:38 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#559 [愛華]
誨の中に一瞬だけ、ひとつの
想いがめぐっていった。

「ん?なんですか?」

「あ、いや……」

なんだ?今の…?

いつのまにか梓の家に着いていた

「電車のほうが早かったのにー」

そういって笑った彼女。
女神みたいな。
なんか、そーゆー系の。
すっごい綺麗な笑顔だった。

⏰:10/08/31 20:42 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#560 [愛華]
「送ってくれて、ありがと。
一応いっときますね?一応」

「なんかムカつくなー」

「……」

ん?急に黙った。

「……大丈夫ですからね!
あたし、タカをとる気なんか
砂粒ほどもないですから!!」

「……うん、わかったってば。
てか、寒いから部屋はいんな」

「はい。……さよならっ」

⏰:10/08/31 20:47 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#561 [愛華]
カチャン


家の中から
「さっぶかった〜」
などと、梓の声が聞こえ、
たまらず誨は吹き出す。


……オッサンかよ。



あの時、頭にめぐったひとつの
一瞬の、想い。

⏰:10/08/31 20:49 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#562 [愛華]
誰だって幸せになりたいと思う。
そんなの当たり前。
でも、そんな想いが叶わない時
だってある。

なら……
俺が 君を しあわせに。


「……ばかみてぇ、俺」

傷つくの、わかってるし。
もう傷つくのはうんざりだ。

痛みから逃げて、逃げすぎて。
とうの昔に、恋の仕方なんて
忘れちまった。

⏰:10/08/31 20:53 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


#563 [愛華]
ってゆーか
これは恋じゃないだろ。

なんつーか
同情?みたいな?

うん。傷ついてんのに
痛みに我慢しちゃってさ。

なんか、かわいそーだなって。
俺には絶対無理だもん。


それだけ。
ただ、それだけ。


雪が降ってきた。

世間は恋人達のクリスマス。

⏰:10/08/31 20:57 📱:840SH 🆔:GnwUTjmo


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