その日が来る前に、
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#620 [愛華]
「……………」

那佑は黙ったまま俯いてる。
やっぱり怒ってるのか?
いや、当たり前だろ……
でも、どうすればいい?
謝るだけじゃダメなのか?


「隆則……?」

「あ、え……何?」

「ちょっとこっちむいて?」

「え?あ、うん……」

俺は那佑のほうに向き直った。
次の瞬間。


バシンッッ

⏰:10/09/04 14:58 📱:840SH 🆔:O1wN.WdE


#621 [愛華]
………え?

ビンタ?俺、ビンタされた。




「………ばか。ばか隆則」


頬が赤くなりジンジン痛む。
それよりももっともっと
心がジンジン痛くなった。

那佑が泣いていたから。

⏰:10/09/05 01:36 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#622 [愛華]
俺のせいで涙を流す那佑を
何回みてきただろう。

泣き顔なんて見たくないのに。
ほんとに人生うまくいかない。


「那佑………ごめん。ごめんな」

「ばかぁ……どんだけ心配したと
思ってんのー…?ばかばか!!」

ポカポカ俺の頭を殴る那佑。
その目から涙が次々あふれる。

⏰:10/09/05 01:40 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#623 [愛華]
「うん………ごめん」

「クリスマスになぁ!!
ケンカなんかすんなぁ!!」

「うん………ごめん」

「マリア様とイエス様も
いい迷惑だっつの!!」

「うん………ごめん」

「あ……あと長谷さんもか」

「うん………あとで謝るよ」

「…………ばか」

⏰:10/09/05 01:46 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#624 [愛華]
那佑はそう言うと、ぽすっと
俺の胸に頭をくっつけた。


いつのまにか、人はいなくなって
いて、俺と那佑だけになった。

さっきまであんなに人が
いたのに?

という疑問はもはやなかった。

今日はイヴ。
きっと不思議なことが起こるんだ

⏰:10/09/05 01:50 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#625 [愛華]
「隆則。約束覚えてる?」

頭をつけ下を向いたまま
那佑が言う。

「……覚えてるよ」


那佑と心が通じたあの日。
病院で那佑と交わした『約束』。


それは那佑がいなくなる時
ぜったいに泣かないこと。

⏰:10/09/05 02:19 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#626 [愛華]
『私がいなくなっちゃう時は…
絶対泣かないで。その時だけは…
絶対に。』


お前はそう言ったな。


俺はそれがいつになるのかなんて
わからないけれど。
それが
那佑が25になるまえに訪れる
なんて認めるつもりはない。

⏰:10/09/05 02:25 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#627 [愛華]
「約束ね、もう一個」

「……うん?」

「もう一個、ふやしてもいい?」

そう行って那佑は顔をあげた。
潤んでいる瞳は赤かった。


「………なに?」

⏰:10/09/05 12:10 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#628 [愛華]
那佑はもう一度、頭を俺の胸に
つけた。震えていた。


「……ケンカしたっていい。
血だらけになったって
足が折れたって、別にいい」


別にいいのかよ……




「…ボロボロになってもいい。
でも……ぜったいに帰ってきて。
最後は私のとこに帰ってきてね」

⏰:10/09/05 17:47 📱:840SH 🆔:1433GB1M


#629 [愛華]
「…………」


「置いてかれるのはもう嫌。
置いてかないで。一人はやだ。
だから帰ってきてね」


泣きながら言う那佑。

俺の目の前で
『置いてかないで』
といった17歳の女の子は

とても幼く見えて。
とても愛しく見えた。

⏰:10/09/05 17:52 📱:840SH 🆔:1433GB1M


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