その日が来る前に、
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#628 [愛華]
那佑はもう一度、頭を俺の胸に
つけた。震えていた。
「……ケンカしたっていい。
血だらけになったって
足が折れたって、別にいい」
別にいいのかよ……
「…ボロボロになってもいい。
でも……ぜったいに帰ってきて。
最後は私のとこに帰ってきてね」
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#629 [愛華]
「…………」
「置いてかれるのはもう嫌。
置いてかないで。一人はやだ。
だから帰ってきてね」
泣きながら言う那佑。
俺の目の前で
『置いてかないで』
といった17歳の女の子は
とても幼く見えて。
とても愛しく見えた。
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#630 [愛華]
その言葉を聞いただけで
今までの彼女の孤独とか
悲しみとか痛みとか。
彼女の心についた無数の
傷をつけたものの正体が
すべてわかった気がして。
目の前の彼女が
ひどく小さく見えて。
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#631 [愛華]
心の傷は治せないから。
だから。
君の前で、今誓う。
「あたりまえじゃん。
那佑のとこに帰るから。
帰ってくるから」
「………うん。うん……」
一生懸命うなずく那佑。
俺の帰る場所は………ここ。
:10/09/05 18:03
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#632 [愛華]
「………那佑。手、だして」
「……なんかくれるの?」
「まぁそんなとこ。目つぶって」
静かな時間。
やさしくて、あったかい。
「………なんかしてる?
指、冷たい感じするんだけど…」
「………目、あけていーよ」
:10/09/05 18:14
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#633 [愛華]
「わ…………」
那佑の指には小さな小さな
指輪がはめられていた。
ハートのモチーフの
キラキラ輝く指輪。
「…………」
「なんか………言えよ」
わ、俺ぜってぇ顔赤い。
はずっっ……
頼むからなんか言ってくれ……
:10/09/05 18:17
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#634 [愛華]
「すごい………かわいい。
すごいすごい………かわいい」
「あ、えと………よかった」
「隆則………ありがとう。
大好き。大好きだからね」
「あ、うん」
「嘘じゃないよ。嘘じゃない」
「なんで2回ずつ言うんだよ」
俺はふっと笑った。
:10/09/05 18:25
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#635 [愛華]
「うー……」
「わっっなんで泣くの!」
「や、嬉しすぎて…とまんない」
「ばかじゃねーの……」
そういって那佑を抱きしめる。
「寒いから……帰ろっか」
「…帰んの?クリスマスだよ?」
:10/09/05 18:30
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#636 [愛華]
「だって隆則、血だらけだし。
あたしもう満足だし」
「え〜いいのかよ……」
そう言って、手をつなぎ
那佑と歩きだす。
…………まぁいっか。
:10/09/05 18:32
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#637 [愛華]
嬉しい時も涙って出るのか。
流したことないからわかんないな
でも、よろこんでくれるなら…
そんな涙もいいかもしれない。
素直にそう思った。
「……さっきさ、人めっちゃ
いたのに、急にいなくなったよね
なんでかなぁ?」
「ほら、イヴだからさ
不思議なことが起こるんだよ。
:10/09/05 18:41
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