( xxx ... love drug )
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#83 [紀瀧]
心の中の言葉が
声に出さずに伝わるなんて
所詮妄想、綺麗事
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xxx... love drug #07
:10/10/10 02:30
:W61P
:☆☆☆
#84 [紀瀧]
○月×日(△)a.m.03:40
たったいま入ったニュースです。街の店から金を盗んだ男が、少女を人質に逃亡。現在行方を捜索中。近辺の皆様、十分にご注意を…
こんなことして、何になると思ってるの?
うるさい
狭い部屋には、少女と青年が二人きり。
:10/10/10 02:33
:W61P
:☆☆☆
#85 [紀瀧]
「ねぇ警察に行ったほうがいいわ。貴方がしてることって、歴とした犯罪よ。それに誘拐って、結構罪重いみたいだし」
「……怖くないのか?」
「怖い?なにが?今ここで起きてるのが誘拐事件で、貴方が加害者で、私が被害者ってこと?」
「…殺されるかもしれないんだぞ」
「死なないわよ、わたし」
:10/10/10 02:34
:W61P
:☆☆☆
#86 [紀瀧]
「…お前いくつだ」
「永遠の9歳」
「はっ…最近の子は、ませてるねぇ」
「え、どうして?」
:10/10/10 02:34
:W61P
:☆☆☆
#87 [紀瀧]
「永遠ってのはな、20歳も越えた女が、老いていく自分を畏れて、使う言葉なんだ。年齢を聞かれて、永遠の20歳で〜す…、なんてな」
「くす、貴方犯人の癖に面白いのね」
「お前は9つの癖に、大人びてる」
「だって永遠の9歳だもの」
「まだ言うか」
「ふふ…ねぇ、何であたしを選んだの?」
:10/10/10 02:35
:W61P
:☆☆☆
#88 [紀瀧]
「は?」
「貴方が昔おこした事件を模倣してるのかと思って」
「…知ってるのか…?」
「…だって、有名だもの。当時は随分騒がれたわ。貴方の顔なんてこの街の住民みんな知ってる。よく戻ってこれたわね」
:10/10/10 02:37
:W61P
:☆☆☆
#89 [紀瀧]
「…色々理由があって、な……せっかく人が少ない明け方を選んだのに…まさか顔でバレるなんて、傑作だ」
「それで昔と同じように、警察に追われて、人質をとって、この狭い家に立てこもってるのね」
「お前が家に案内してくれたんだろう」
「だって、誰もいないから」
:10/10/10 02:37
:W61P
:☆☆☆
#90 [紀瀧]
「はは…でも俺みたいな怪しい奴、ほいほい家に入れちゃいけない。」
「だって、警察に追われてる、助けてくれって言ったのは貴方よ」
「ふ…確かに。変わった奴だな…それよりお前、なんでこんな明け方に、町の路地裏なんかにいたんだ?」
「働きに行った帰りに、人を待ってたの」
:10/10/10 02:38
:W61P
:☆☆☆
#91 [紀瀧]
「若いのに大変だね…この街は、お前みたいなガキでも働くことが多いのか?」
「うん、街全体が、貧しいから。」
「そうか…」
「何故?」
「いや…あの時、俺がさらった子も確か、明け方まで働いた帰りだと…言ってた…あの事件、どこまで知ってる?」
:10/10/10 02:39
:W61P
:☆☆☆
#92 [紀瀧]
「…詳しくは知らないわ。ただ…貴方が子どもを一人誘拐して、その子の家にたてこもって、最終的にその子どもを殺した、くらいしか」
「…あぁ…よく知ってるな…」
「それほどでもないわ。ねぇ、どうして殺したの?」
:10/10/10 02:40
:W61P
:☆☆☆
#93 [紀瀧]
「分からない…気が動転してて…あの日、明け方の3時頃…街の店で金を盗んだんだ。そしたら店の従業員にバレて…逃げ出した…
…近くにいた子どもを人質にとって、最初は路地裏に隠れてたんだが…
その子が泣き出して…『家に帰りたい』って…だから連れて帰った。」
:10/10/10 02:40
:W61P
:☆☆☆
#94 [紀瀧]
「あら、優しいのね」
「違う…怖くなったんだ。外はどんどん明るくなるし、パトカーの音も聞こえだして…
…だから、その子の家に隠れた」
:10/10/10 02:41
:W61P
:☆☆☆
#95 [紀瀧]
「家の人はいなかったの?」
「普通親が家にいたら、あの子みたいな子どもが明け方3時なんかに外にいる訳ないと思ったんだ」
「冷静だったのね」
「はは…いっそ、もっと興奮してれば良かった…あのまま、気が動転したままずっと路地裏に隠れていれば、警察に見つかっただろう。そしたら…あんなことには…」
:10/10/10 02:42
:W61P
:☆☆☆
#96 [紀瀧]
「…殺さなかった、ってこと?」
「…あぁ……それにしてもこの家、あのときの家に似てる」
「こんな狭い家だったの?」
:10/10/10 02:43
:W61P
:☆☆☆
#97 [紀瀧]
「いや確かあのときは…その子の…弟や妹がいたんだ…6人だったかな…
…だから、もっと狭く感じたよ。そうだ、俺が誘拐した子は、一番上のお姉さんだと言っていた」
「みんな幼かったのね」
:10/10/10 02:43
:W61P
:☆☆☆
#98 [紀瀧]
「あぁ…そうだ。その家族の親は、何年か前に死んだと言っていたな。それで兄弟姉妹で働いて、生計を立てているとか…」
「そんな幼い子たちが?」
:10/10/10 02:44
:W61P
:☆☆☆
#99 [紀瀧]
「そういえばあのとき、家から出ようとはしていたが、警察に電話はしなかったな…電話もないくらい、貧しい暮らしだったんだろうか」
「その子たち、必死で生きてたんでしょうね。貴方が誘拐した子どもも、そんな時間まで働いてたのかしら」
:10/10/10 02:44
:W61P
:☆☆☆
#100 [紀瀧]
「今思うと、そうなんだろうな…」
「…あら…泣いてるの?」
「……いや……俺は本当に、取り返しのつかないことを…」
:10/10/10 02:45
:W61P
:☆☆☆
#101 [紀瀧]
「…殺してしまったこと、後悔しているの?」
「…あぁ…本当に、殺すつもりなんかなかった。殺すつもりなんか…泣き声が、うるさくて。目を話すとすぐに家から出ようとして…外からはパトカーの音がして…」
「近所の人が、通報したのかしら?」
:10/10/10 02:47
:W61P
:☆☆☆
#102 [紀瀧]
「俺も、そうだと思った…また外が暗くなったら、違う街に逃げるつもりだったのに!一日だけ!一日だけ大人しくしててくれれば良かったんだ!!そしたら……!!」
「…殺さなかった…?」
「…あぁ、きっと…まぁ今更言っても遅いがな。冷静になって、本当に後悔した…」
:10/10/10 02:47
:W61P
:☆☆☆
#103 [紀瀧]
「後悔したのに、また今日も同じこと繰り返してるじゃない」
「…いや、今日はいいんだ。警察に追われているのは誤算だが…
…ちゃんと、望んだままに進んでいる」
:10/10/10 02:48
:W61P
:☆☆☆
#104 [紀瀧]
「………ねぇ貴方、本当はこの街になにしにきたの?」
「………謝りに、きた。あのときと同じ時間に、同じ場所を辿って。なんの罪もないのに俺みたいな奴に殺されてしまった、あの子どもたちに…」
:10/10/10 02:48
:W61P
:☆☆☆
#105 [紀瀧]
「……」
「忘れられないんだ…あの子どもたちの顔も、声も。謝って、許されることじゃないけども。―――……幽霊でもいい、直接謝りたかったんだ」
「……何を…」
:10/10/10 02:49
:W61P
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#106 [紀瀧]
「……噂が、あったんだ。
あの日以来十年間起こり続けている謎の連続殺人事件…被害者は男ばかりだろう?
あれは、あの日殺された子の幽霊が、犯人に似ている男を選んで、殺しているんじゃないかって、ね…」
:10/10/10 02:50
:W61P
:☆☆☆
#107 [紀瀧]
「……」
「……できることなら…あんなことをした俺が言うのもなんだが……
……その幽霊に伝えたい。殺すのは、俺で最後にして欲しい」
:10/10/10 02:51
:W61P
:☆☆☆
#108 [紀瀧]
「……きっと貴方の声、その子どもに届いてるわ」
「……そうか……有難う……じゃあ一つだけ、俺から君に、質問していいかい?」
:10/10/10 02:51
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#109 [紀瀧]
:10/10/10 02:52
:W61P
:☆☆☆
#110 [紀瀧]
「…そうか、……あのな、俺が事件を起こしてから、丁度今日で10年なんだ…
……君は随分、物知りだね……本当に、ませた子どもだ…」
「―……私ませてなんかないわ」
少女が男に抱きついた。
:10/10/10 02:53
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#111 [紀瀧]
:10/10/10 02:53
:W61P
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#112 [紀瀧]
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警部、遺体の身元確認とれました…やはり十年前の、あの事件の加害者なようで…十年間続いている連続殺人も、この男の犯行なんでしょうか?
:10/10/10 02:54
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#113 [紀瀧]
さあなぁ…それにしても、不思議なものだなぁ…何の由縁か…あの男が殺人事件を起こした、あの家で死んでるなんて……それにしても何で、あんな幸せそうな顔で死んでいたのか
遺体近くには、別の人物のものと思われる、……涙らしき水滴も発見されています
:10/10/10 02:54
:W61P
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#114 [紀瀧]
死ぬ直前に、昔あの家で殺してしまった子どもに許しでも貰えたんだろうかね?
ちょ、警部!怖いこと言わないでくださいよ!!
はは…誰が、何故涙なんか流したんだろうねぇ…本当に人間は……本当に不思議な生き物だ
- end -
:10/10/10 02:55
:W61P
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