レイン
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#1 [◆It9is9ljoQ]
:10/09/17 17:47
:SH706i
:DNLPCdoc
#2 [◆It9is9ljoQ]
人間はエゴの塊
追い詰められるとその部分が
剥き出しになる
表面やたてまえの上では
誠実でありたい、理性的でいたい
:10/09/17 17:49
:SH706i
:DNLPCdoc
#3 [◆It9is9ljoQ]
どんなにエゴイストになりたなくても
きっと私には無理、
絶対に無理
:10/09/17 17:50
:SH706i
:DNLPCdoc
#4 [◆It9is9ljoQ]
さて、問題です。
どうして人は尚、エゴイストに
なれないと解っていて
取り繕うのでしょうか。
:10/09/17 17:50
:SH706i
:DNLPCdoc
#5 [◆It9is9ljoQ]
「"アイ"」
そうふわりとした柔らかな声に呼ばれ、
私は無意識にゆっくりと顔をあげた
彼の瞳は、ゆらゆらと―――‥
「阿呆、何見とんねん」
くすりと笑った。
彼が笑うと、その表情で周りはまるで
花に溢れたようになる
そんな笑い
:10/09/17 17:51
:SH706i
:DNLPCdoc
#6 [◆It9is9ljoQ]
はっとした。
音が消えていた私の脳内に
ようやく音が戻ってきた
時刻は5時を過ぎた所、
窓の外から聞こえる、運動部の掛け声
:10/09/17 17:51
:SH706i
:DNLPCdoc
#7 [◆It9is9ljoQ]
「いや、何もない」
そういって手元にあった本を
閉じれば頭上から手が伸びてきて
ひょいとそれを掴んだ
「っ、と‥またくっそ真面目な本読んで
自分哲学者にでもなるん?」
「好きなんよ、はよ返して」
けらけらと笑い出す彼から本を
取り返せば制鞄へと終い、席を立つ
:10/09/17 17:52
:SH706i
:DNLPCdoc
#8 [◆It9is9ljoQ]
先に教室を出ようとすれば
先程と変わらぬ、見なくても解るような
笑みを張り付けてにたにたと
私の後ろを追っている。
「怒んなやー、ごめんって。
今日お前俺んちで飯食うて帰るやろ?」
「せやね」
「‥っぷ、そこ偉い素直やん」
:10/09/17 17:52
:SH706i
:DNLPCdoc
#9 [◆It9is9ljoQ]
上機嫌な彼と並んで歩く。
朔也と付き合い始めて今月で半年。
ちらりとふいに彼へ視線を向けた。
色素の薄い金色の髪
毎朝器用に熱しているのであろうにも
関わらず、まるで傷んだようには
見えない彼の外ハネの髪は
放課後になっても継続している様
:10/09/17 17:53
:SH706i
:DNLPCdoc
#10 [◆It9is9ljoQ]
彼のことは、どちらかと云えば好き
恋愛対象ではある、筈
愛してるといわれれば私もだと云う
抱きしめられれば、背中に腕を回す
キスをせがまれれば、それに応える
ごく、自然なカップルである。
只彼が不意に、稀に、汚れてみえる
:10/09/17 17:54
:SH706i
:DNLPCdoc
#11 [◆It9is9ljoQ]
それは自分がいかに綺麗かと
いう訳じゃない
只、凄く汚れて見える彼が
私の視界に写れば
酷く滑稽にみえてしまう。
:10/09/17 18:00
:SH706i
:DNLPCdoc
#12 [◆It9is9ljoQ]
「"アイ"、むっちゃ好きやで」
彼の部屋に着いた瞬間
彼は後ろから私を抱きしめる
抱きしめて、しがみついて
首筋に舌を這わせる
それをいつものことだと言わんばかりに
私は只々それを受け入れる
:10/09/17 18:01
:SH706i
:DNLPCdoc
#13 [◆It9is9ljoQ]
やっぱり、貴方を汚れたように思う
愛だとか、愛しい気持ちだとか
離さないで欲しい、とか
傍に居たい、傍に居てほしい
なんて
なにひとつ沸いて来やしない
:10/09/17 18:02
:SH706i
:DNLPCdoc
#14 [◆It9is9ljoQ]
行為自体、好ましくはない。
只、彼が求めるから応えるだけ
所謂、私には愛がないのかもしれない
"人を愛し、人にも愛されるように"
そう名付けられた名前とは
まるで正反対の人間になってしまった様
:10/09/17 18:06
:SH706i
:DNLPCdoc
#15 [◆It9is9ljoQ]
私は知ってる、
彼が私だけを見ていない事
抱きしめられた時に伝わる彼の体温も、
柔らかな髪も、花のようなその笑みも
私だけのものじゃないって事を。
もう一つ、
その原因が私だということも
何もかも解っている。
:10/09/17 18:07
:SH706i
:DNLPCdoc
#16 [◆It9is9ljoQ]
「やから、こうやって!
ちゃうちゃう、右!そっちは左!」
「あーもう煩い、静かにしてや」
「お前絶対免許取らん方がええ」
「普通の道路にバナナの皮なんか
落ちてへんよ」
彼の間に挟まれて、もう数時間。
彼の予定では
今夜は朝までゲームらしい。
:10/09/17 18:16
:SH706i
:DNLPCdoc
#17 [◆It9is9ljoQ]
私の自宅は彼の済むマンションから
徒歩で15分程の所。
帰りが遅くなろうとも焦る距離ではない
終電に乗り遅れることもない
泊まりにでようが、親は夜勤
幸い明日は学校も休みで
朝方まで彼の部屋に居ることになる。
:10/09/17 18:37
:SH706i
:DNLPCdoc
#18 [◆It9is9ljoQ]
風呂に入ってくる、と言い残して
部屋を出た彼を見送って
ソファーへと移動した私は無防備にも
放り出された彼の携帯電話に
視線をやる
慣れた手つきでそれを手に取れば
ロックすらかかっていない
メールフォルダに目を通す
:10/09/17 18:38
:SH706i
:DNLPCdoc
#19 [◆It9is9ljoQ]
芹沢 なのは
受信ボックス、明朝体の字で
並んだその名前
"ハートマーク"の絵文字
目がちかちかする
私が使うことのない、カラフルな絵文字
私が打つことのない、愛してるの文字
:10/09/17 18:38
:SH706i
:DNLPCdoc
#20 [◆It9is9ljoQ]
それらが
ざっと私の名前を挟んで数十件
「だあいすき、はよ会いたい」
「ぎゅってされな寝られへん」
「次は何時泊まり来れるん?」
:10/09/17 18:39
:SH706i
:DNLPCdoc
#21 [◆It9is9ljoQ]
芹沢なのは、
芹沢なのは、
芹沢なのは、
聞き覚えのない名前、
他校の女子生徒だろうか
:10/09/17 18:39
:SH706i
:DNLPCdoc
#22 [◆It9is9ljoQ]
はじめに彼の携帯を見たのは二ヶ月前
不意に、出来心だった
ショックだとか、最低だとか
その前に沸いて来たのは
"あぁ、やっぱり"
諦めだった。
:10/09/17 18:39
:SH706i
:DNLPCdoc
#23 [◆It9is9ljoQ]
相変わらず彼女との関係は
続いているようだ
絶望感はない
逆に少しの安心
きっと彼も私がメールを
見たことを知っている、もしくは
見られたがっている。
普通ならロックなり何なりつける筈
元にあった場所に携帯を
直すと、私は溜息を一つ零した
:10/09/17 18:44
:SH706i
:DNLPCdoc
#24 [◆It9is9ljoQ]
彼と別れず付き合っているのは
彼が私の寂しさを埋めてくれるから。
依存している。
朔也にではなく、"彼氏"に。
:10/09/17 18:44
:SH706i
:DNLPCdoc
#25 [◆It9is9ljoQ]
多分きっと、彼もそうじゃないのか
私だけの温もりじゃ
きっと足りないから
他を探してる。
"君じゃなきゃ駄目"なんて
君は嘘つかないから
:10/09/17 20:12
:SH706i
:DNLPCdoc
#26 [◆It9is9ljoQ]
「暑、たーだーいーま。
アイも風呂入って帰るん?」
「私はええよ、着替えないし
帰って化粧落としたりしやなあかん」
「ほんならもっかい!
今度こそみっちり教えたるわ」
ふっと笑って、私の額にキスを落とすと
私の隣に腰を下ろした。
:10/09/17 20:18
:SH706i
:DNLPCdoc
#27 [◆It9is9ljoQ]
何も変わらない
芹沢なのはに嫉妬もない
次の瞬間には
私の頭の中から彼女の存在なんて
遠に消えていた
そんなもの
:10/09/17 20:18
:SH706i
:DNLPCdoc
#28 [◆It9is9ljoQ]
帰路についた、
玄関を開ければ薄暗い
当たり前だろう、もう翌朝の6時前
母子家庭、只でさえ寂しい親一人
子一人、母親が戻るまで後1時間弱
その間にシャワーを浴びて
ベッドに入る
:10/09/17 20:23
:SH706i
:DNLPCdoc
#29 [◆It9is9ljoQ]
疚しいことがある訳じゃない
実質この朝帰りがばれた事も
数えきれない
叱られることもない、
だけど最近じゃこうして
誰も居ない家に戻ることで
ほっとしていた
:10/09/17 20:23
:SH706i
:DNLPCdoc
#30 [◆It9is9ljoQ]
ベッドに入り、不意に思い出す、
手と手が触れ合った感触
キスなんかよりも、sexなんかよりも
私にとっては大事な愛情確認
17になったばかりの私には
身体で感じる温もりなんか要らなかった
:10/09/17 20:39
:SH706i
:DNLPCdoc
#31 [◆It9is9ljoQ]
昔は純粋に、手を繋いだりするだけで
満足だった。相手が欲しいとか
そんなもの微塵も感じない
身体で応えることは出来ても
心がついていかない
:10/09/17 20:40
:SH706i
:DNLPCdoc
#32 [◆It9is9ljoQ]
窓の外から聞こえる、
雨の音にうっすらと目をあけた
曇った空に、雨の日のにおい
穏やかな気持ちになった
チカチカと光る、枕元の携帯電話
着信が2件、メールが1件
どれも朔也から。
:10/09/17 20:57
:SH706i
:DNLPCdoc
#33 [◆It9is9ljoQ]
溢れる程の愛情は受けている
それを信じきれていないだけ
:10/09/17 20:57
:SH706i
:DNLPCdoc
#34 [◆It9is9ljoQ]
甜言蜜語も要らない
もしも私が泣いていたら
彼は真っ先に駆け付ける?
愛の言葉を吐いて安心させて
抱きしめてくれる?
試したくなった
:10/09/17 20:58
:SH706i
:DNLPCdoc
#35 [◆It9is9ljoQ]
所詮綺麗事を並べる
目の前の男に、傷ついてほしかった
:10/09/17 20:58
:SH706i
:DNLPCdoc
#36 [◆It9is9ljoQ]
好きだというなら私に騙されて
好きだというなら心乱されて
好きだというなら、
泣いて縋ってエゴじゃないって
感じさせて
そんな自分に、苦笑が漏れた
:10/09/17 20:59
:SH706i
:DNLPCdoc
#37 [◆It9is9ljoQ]
「やっとかかってきたわ、
おはよーさん」
「んー」
「相変わらず低血圧やなー
ちゃんと寝れたん?」
「んー」
「今日雨やしどっこも
出かけられそうないしDVDでも
見にけーへん?」
:10/09/17 21:21
:SH706i
:DNLPCdoc
#38 [◆It9is9ljoQ]
クスクスと笑う声が受話器越しに
伝わる、急な誘い
従順だった私は、彼を困らせたくなった
:10/09/17 21:21
:SH706i
:DNLPCdoc
#39 [◆It9is9ljoQ]
「今日はやめとくわ」
「‥‥は?本間に言うてるん?
熱出ても会いにきとったお前が。
今度こそ風邪でも引いたん?」
「読みかけの本溜まってるし
またにする、」
「あー‥、さよか
ほなまた明日学校でやな」
残念そうな声を残して電話が切れた。
:10/09/17 21:21
:SH706i
:DNLPCdoc
#40 [◆It9is9ljoQ]
そんな事が、何度も続いた
会う日数を減らした、彼の家に寄るのを
辞めた、学校の行き帰りだけを
過ごすようにした
苦しめて、でも離れていく気配のない
彼に酷く苛立った
:10/09/17 21:22
:SH706i
:DNLPCdoc
#41 [◆It9is9ljoQ]
「話、あんねやけど」
苛立った声を隠したような
彼に呼び止められたのは
彼を傷付け始めて2週間が経った頃。
やはり、何時も通り
放課後の教室でのこと。
やっぱりそろそろ限界?
:10/09/17 21:34
:SH706i
:DNLPCdoc
#42 [◆It9is9ljoQ]
「何?」
「"アイちゃん"俺に最近冷たない?」
「冷たいんは今始まった事やないやん」
"ちゃん"付けで私を呼ぶ彼
緊張を隠せない彼の癖
怯えている彼、こんな性癖が
自分の中にあったのか、なんて
心中自分を嘲笑した
:10/09/17 21:34
:SH706i
:DNLPCdoc
#43 [◆It9is9ljoQ]
「そんなん言うてるんちゃうわ」
苛立った声
苦痛に顔を歪める彼に、
私はふわりと笑みを見せる
:10/09/17 21:35
:SH706i
:DNLPCdoc
#44 [◆It9is9ljoQ]
「何が可笑しいねん」
「なあ、何が可笑しいねんって
言うてんのが聞こえへんのか!」
身体を震わせて笑う私は
やっぱり異常なのかもしれない
その異常さに 溺れるのが、
どうしようもなく快楽で―――‥
:10/09/17 21:35
:SH706i
:DNLPCdoc
#45 [◆It9is9ljoQ]
ガタ―――‥
鈍い音がした。
近くにあった椅子が音を立てて
床にたたき付けられる
:10/09/17 21:41
:SH706i
:DNLPCdoc
#46 [◆It9is9ljoQ]
「何やねん、お前‥最近可笑しいわ
どないしてん、何かされたんか!?」
肩を捕まれ、揺すられて
その彼の瞳はゆらゆらと揺れている
:10/09/17 21:41
:SH706i
:DNLPCdoc
#47 [◆It9is9ljoQ]
悲しそうな目に、やはり浮かぶのは
笑みだけ。
半年も付き合いを続けて、
今程感情が高ぶったことはなかった
:10/09/17 21:42
:SH706i
:DNLPCdoc
#48 [◆It9is9ljoQ]
「‥‥もう、冷めたん?」
「そんなんやないよ」
「じゃあ何やねん!何でそんなんやねん
お前が無愛想なんも今始まったこと
ちゃうんも解ってるわ、」
「うん」
「でも、何時もとちゃう」
:10/09/17 22:30
:SH706i
:DNLPCdoc
#49 [◆It9is9ljoQ]
「うん」
「不安やねん、お前が、アイが
どっかに行ってまいそうで怖いんや。
俺どないしたらええんか解らんわ」
しゃがみ込んで震える彼が
愛しくて。
小さな笑みを浮かべた私は
そっと彼を抱きしめた
:10/09/17 22:30
:SH706i
:DNLPCdoc
#50 [◆It9is9ljoQ]
:10/09/17 22:31
:SH706i
:DNLPCdoc
#51 [◆It9is9ljoQ]
"アイ"
"愛"
重なってる間中、愛しそうに
彼は私の名前を呼んだ
その度薄れてく
さっきまで満タンだった愛の感情が。
崩れてく、抱きしめられてる
間中ずっと、私は冷めた瞳をしていた
:10/09/17 22:35
:SH706i
:DNLPCdoc
#52 [◆It9is9ljoQ]
愛の満たし方を知らないのか。
何度も私の髪を撫でる
何度も私の額にキスする
彼をぼんやりと見つめる
:10/09/17 22:40
:SH706i
:DNLPCdoc
#53 [◆It9is9ljoQ]
重なった後、彼は幸福そうな
顔をする。
それが不思議で仕方ない
気持ちなんてないのに
幸福そうな顔をする彼が、
羨ましくも感じた
:10/09/17 22:40
:SH706i
:DNLPCdoc
#54 [◆It9is9ljoQ]
:10/09/17 22:42
:SH706i
:DNLPCdoc
#55 [◆It9is9ljoQ]
"つまらない" それだけ。
"単純な男" それだけ。
何時も通り無防備に放り出された携帯
それはもう、見てほしいと
言わんばかりに。
:10/09/18 18:46
:SH706i
:uqv1p28Y
#56 [◆It9is9ljoQ]
メールは一件すら残っていない
アドレス帳からも消えている
溜息を一つ零した私、浮かぶのは落胆
感心のない表情(カオ)
:10/09/18 18:46
:SH706i
:uqv1p28Y
#57 [◆It9is9ljoQ]
トキメキが足りない?
刺激が足りない
苛立ち、一人強く舌を噛んだ
:10/09/18 18:46
:SH706i
:uqv1p28Y
#58 [◆It9is9ljoQ]
「好きやで、"アイ"」
へらりと、彼は笑う
頬杖を付き、机を挟んだ私の手前
いつものように額へキスを落とした。
漆黒の腰まで伸びた髪が揺れる。
読んでいた本をぱたりと閉じ
顔をあげた
:10/09/18 18:47
:SH706i
:uqv1p28Y
#59 [◆It9is9ljoQ]
彼は何時からだろうか
私の唇にキスを落とすことが無くなった
額や頬
いや、全然問題はない
:10/09/18 18:47
:SH706i
:uqv1p28Y
#60 [◆It9is9ljoQ]
「なぁー、」
「んー」
:10/09/18 18:48
:SH706i
:uqv1p28Y
#61 [◆It9is9ljoQ]
「なぁー、なぁー、なぁー、」
「何よ、どないしたん?」
「好きやで」
「知ってる」
普通は逆なもんじゃないの?
彼はにこにこと笑っていた筈なのに
ふと、切なそうに目を細めた
:10/09/18 18:48
:SH706i
:uqv1p28Y
#62 [◆It9is9ljoQ]
それ、その表情――――‥
「ス・キ」
無意識に、笑みが零れた
:10/09/18 18:49
:SH706i
:uqv1p28Y
#63 [◆It9is9ljoQ]
一人は寂しい、だから
二人がいい。それ以上は要らない
「ね、朔也のいう好きって何?」
「どないしたんや、いきなり」
「答えたくないなら別にええんよ」
「"YES or はい"やん、アイちゃん」
:10/09/18 21:00
:SH706i
:uqv1p28Y
#64 [◆It9is9ljoQ]
昔は、出会った頃は、彼の笑顔が
眩しかった。スキだった。
くすりとまた、彼が笑う。
最近はそれが"エゴイスト"の象徴
‥‥じゃないかなんて、
むかつく。
:10/09/18 21:00
:SH706i
:uqv1p28Y
#65 [◆It9is9ljoQ]
「せやなあ、傍に居りたいとか
こうしたいとか」
立ち上がった彼は柔らかな笑みを
浮かべ机を挟んだ私の手前、
くるりと回り込めば背中に伝わる体温
:10/09/18 21:00
:SH706i
:uqv1p28Y
#66 [◆It9is9ljoQ]
"愛してる"
耳元で囁かれた甘い台詞
何時もより、彼の体温が高く感じる
背中が熱い、抱きしめる力が強く
感じるのは私の気のせいなのか
:10/09/18 21:01
:SH706i
:uqv1p28Y
#67 [◆It9is9ljoQ]
「で、満足シマシタカ?」
「‥‥ね、」
「んー?」
「一人の寂しさを埋めるためやないん?
誰でもええ、一人が寂しいから
二人がいいんやないの?」
「せやなあ‥アイちゃん
ついに本に洗脳でもされたんか?」
:10/09/18 21:01
:SH706i
:uqv1p28Y
#68 [◆It9is9ljoQ]
茶化してみせる彼に、ふわりと笑う
「朔也、終わりしよ」
ゆっくりと、目を見開いた朔也に
冗談やろ、そう唇を小さく震わす彼に
冗談なんかやないんよと目を細めた
夕日が差し込む、二人が決まって
視線を交じ合わせるのはこの時刻
この場所か、少し固い、ベッドの上
:10/09/18 21:02
:SH706i
:uqv1p28Y
#69 [◆It9is9ljoQ]
そんな毎日に退屈を感じた
愛を知らない、愛せない
だから、リセットしたくなった
それには彼は要らない
:10/09/18 21:07
:SH706i
:uqv1p28Y
#70 [◆It9is9ljoQ]
ゲームのデータのようにセーブ出来ない
上書きも出来ない
リセットするには、
周りは全て崩さなきゃならない
:10/09/18 21:07
:SH706i
:uqv1p28Y
#71 [◆It9is9ljoQ]
「俺も、二人がええ」
「でも、もう終わり」
「‥俺の何処があかんの?」
強いて云うなら、彼の笑った顔
:10/09/18 21:17
:SH706i
:uqv1p28Y
#72 [◆It9is9ljoQ]
「何もないんよ」
それは少し酷過ぎるから。
「じゃあ‥何、やねん
なあ、急過ぎんねんお前」
縋り付くように、今にも泣きそうな
私が居なくちゃ生きていけないと
そんな表情
:10/09/18 21:18
:SH706i
:uqv1p28Y
#73 [◆It9is9ljoQ]
「さよなら」
もっと早く気付けばよかった
もっと早く、こうしていれば
私は満たされていた
:10/09/18 21:24
:SH706i
:uqv1p28Y
#74 [◆It9is9ljoQ]
「なあ、理由云うてくれな
俺どないにも出来ひんやんけ」
「嫌い」
「‥‥嫌、い?本間に言うてるん」
「嫌い、笑った顔も
愛しそうに私を見るその瞳も全部」
:10/09/18 21:25
:SH706i
:uqv1p28Y
#75 [◆It9is9ljoQ]
「それ‥どういう意味やねん」
「んー、その通りの意味」
苦笑が漏れた。
そしてそのあと
立ちすくむ彼に、笑みを向けた
:10/09/18 21:25
:SH706i
:uqv1p28Y
#76 [◆It9is9ljoQ]
「憎んで、憎んで、嫌って?」
充血させた瞳で私を見つめる
その姿ではまだ、駄目
:10/09/18 21:26
:SH706i
:uqv1p28Y
#77 [◆It9is9ljoQ]
「お前なんか要らない、そう
突き放してくれたら私
朔也のこと好きになるかもしれない」
最後にきいた、彼女の言葉
:10/09/18 21:26
:SH706i
:uqv1p28Y
#78 [◆It9is9ljoQ]
side "ai" end
side "sakuya" start
:10/09/18 21:27
:SH706i
:uqv1p28Y
#79 [◆It9is9ljoQ]
人は、独りやと生きられへん
"好きやで"、"愛してる"
"ずっと傍に居てや"
そないに言葉並べて、
人を縛り付ける
:10/09/18 21:47
:SH706i
:uqv1p28Y
#80 [◆It9is9ljoQ]
理由は簡単
独りが怖いから。
必要とされたいから。
:10/09/18 21:47
:SH706i
:uqv1p28Y
#81 [◆It9is9ljoQ]
「"アイ"」
この名前が、好き
ゆっくりと顔をあげた、
彼女と目が合う
:10/09/18 21:48
:SH706i
:uqv1p28Y
#82 [◆It9is9ljoQ]
ぼうっと俺を見る、俺の瞳を見る
やけど、こいつは空気みたいや
始めて会った時からそう
ふわふわしとって、ツンケンしとって
気ぃついたらどっかに
飛んでってしまいそうなこの女
:10/09/18 21:48
:SH706i
:uqv1p28Y
#83 [◆It9is9ljoQ]
「阿呆、何見とんねん」
じっと見られて、照れた
苦笑を交えて呟けば口角をあげた
「いや、何もない」
喋ったら、ぶすっとしよる。
:10/09/18 21:49
:SH706i
:uqv1p28Y
#84 [◆It9is9ljoQ]
難しそーな顔して何読んでんねん
直ぐに閉じられたアイの手元にあった
本を手にとった‥うわ、漢字ばっかやん
エゴ、イスト?
よーわからんわ、
:10/09/18 21:49
:SH706i
:uqv1p28Y
#85 [◆It9is9ljoQ]
「っ、と‥またくっそ真面目な本読んで
自分哲学者にでもなるん?」
「好きなんよ、はよ返して」
けらけらと笑えば、瞬時に
本を取り返せされれば鞄へと終う、
席を立つ時ふらりと揺れた
危な、ちゃんと立たれへんのか。
:10/09/18 21:50
:SH706i
:uqv1p28Y
#86 [◆It9is9ljoQ]
アイと並んで歩く
見れば見る程こいつ白い
髪が真っ黒なせいか、余計に白い
夏やて焼けてる様子ない
日焼け止めなんか塗ってるとこも
みてへん。
:10/09/18 21:50
:SH706i
:uqv1p28Y
#87 [◆It9is9ljoQ]
ぼんやりと、歩くアイと目があった
何も言わんとすぐに
逸らしよった、ほんまかわええ
出会ったんは高校一年の春
付き合うたんは高校二年の春
きっかけ?一目惚れして一年片思い
言うたらそんな感じ。
:10/09/18 21:51
:SH706i
:uqv1p28Y
#88 [◆It9is9ljoQ]
放ってたら先教室を出ようとする
「怒んなやー、ごめんって。
今日お前俺んちで飯食うて帰るやろ?」
「せやね」
「‥っぷ、そこ偉い素直やん」
そう笑えば彼女の頭を撫でる
大人しく撫でられる彼女は猫。
:10/09/18 21:58
:SH706i
:uqv1p28Y
#89 [◆It9is9ljoQ]
最初程刺々しいなくなったし
にやってした企んだ笑いやて
見せてくるようなったし
やっぱ、かわええ
:10/09/18 21:58
:SH706i
:uqv1p28Y
#90 [◆It9is9ljoQ]
「"アイ"、むっちゃ好きやで」
部屋に着いてすぐ
後ろからアイを抱きしめる
甘い匂いがする
落ち着く、すっかりこの匂いに
俺は堕ちてた
首筋に舌を這わせる、小さく甘い声を
漏らしたアイに抱きしめる力を強めた
:10/09/18 21:58
:SH706i
:uqv1p28Y
#91 [◆It9is9ljoQ]
こんな時でさえ、
此奴の瞳は何処か遠くを見ている。
抱きしめる力を強めたところで、
それは何も変わらない
人形のようで、冷たいガラスのような瞳
:10/09/19 08:27
:SH706i
:uijvO.N2
#92 [◆It9is9ljoQ]
目が合えば、曖昧に笑う
本当に俺の事を好きだと
思っているのだろうか
つきあい始めて二ヶ月が経った頃から、
俺はそんな風に思っていた。
:10/09/19 08:28
:SH706i
:uijvO.N2
#93 [◆It9is9ljoQ]
自分ばかりが此奴に
嵌ってしまっているのではないか
自分ばかりが堕ちているんやないか
そう考えたら
どうしようもなくやりきれない。
:10/09/19 08:29
:SH706i
:uijvO.N2
#94 [◆It9is9ljoQ]
好き、一言でいえばそう。
それ以上は有るかも知れない、
けどそれ以下じゃないって
事くらいは解ってる。
只、此奴は…アイは。
好きだと俺が口に出せば私もだという
抱きしめれば、背中に腕を回し、
拒絶もない
キスをせがめばそれに応える
:10/09/19 08:29
:SH706i
:uijvO.N2
#95 [◆It9is9ljoQ]
何の問題もないのかもしれない
ごく、普通の恋人同士なのかも知れない
だけど、その瞳は何時も近くを見ない
俺を見たりせん
もっと他の、俺なんかよりも
難しい漢字ばかりの本を
愛しているように思うし
一人で過ごし、自分の世界に入ることに
没頭しているかのように見えてしまう。
:10/09/19 08:32
:SH706i
:uijvO.N2
#96 [◆It9is9ljoQ]
それはもしかすれば俺の推測なのかも
知れんけど、彼女の行動はそれを匂わす
不安、そればかりが俺を取り囲んだ
:10/09/19 08:33
:SH706i
:uijvO.N2
#97 [◆It9is9ljoQ]
「なぁ、アイ」
汗ばんだ手で、彼女の髪を撫でた
それに気持ちが良さそうに目を
閉じていた彼女は、どないしたん?
そうふわりと曖昧に笑った。
どれだけ距離を縮めて、1cmの隙間すら
無くしたとしても
彼女の心は此処にはない
:10/09/19 08:33
:SH706i
:uijvO.N2
#98 [◆It9is9ljoQ]
ブーッ ブーッ
放り出していた携帯電話が光る、
ちかちかと青い点滅、女からのメール
:10/09/19 08:33
:SH706i
:uijvO.N2
#99 [◆It9is9ljoQ]
どうせまた会いたいだとか、
好きだとかそんなもの。
アイが居ない夜は一人が寂しくて
やりきれなくなって、
そんなメールに安心している自分が
居るのとは裏腹に今俺は満たされてる
:10/09/19 08:34
:SH706i
:uijvO.N2
#100 [◆It9is9ljoQ]
だから、
そんな安堵をくれるメールすら疎ましい
都合の良い存在
アイがくれない"愛情"、それを
違う誰かから貰う
:10/09/19 08:35
:SH706i
:uijvO.N2
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