レイン
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#210 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 
 「うーわ、雨やんけ」
 
 「もう梅雨の時期やで」
 
 しとしとと止む事のない雨に
 俺はしかめっつらをして、部屋から
 見える窓の外の雨に溜息を零した
 
 そんな俺とは裏腹に、窓に張り付いて
 じっと、少しばかり嬉しそうな
 表情を混ぜたアイはふふっと笑みを
 零した。偉く機嫌がいい

⏰:10/09/20 06:27 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#211 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 「何やねん、きっしょ
 雨やで?」
 
 「この季節が1番好きやねん」
 
 「病んでんなー、でもお前
 雨ん中びしょ濡れで立ってそうやもん」
 
 「阿呆‥なぁ、傘さして
 ちょっと外に出てもええ?」
 
 「はぁ?わざわざ風邪引きに行くん」
 
 「紫陽花、見に行きたいねん」

⏰:10/09/20 06:28 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#212 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 ぼつりと呟いたアイを連れて
 家の近くにある花壇にしゃがみこんだ
 
 色とりどりの紫陽花、
 何にも興味の沸かん俺とは別に
 ずっと紫陽花をアイはぼんやりと
 見つめとった
 
 
 

⏰:10/09/20 06:28 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#213 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 「ほな帰ろか、そろそろ風邪引く」
 
 「ん」
 
 「満足したんー?」
 
 「なぁ、紫陽花の花言葉知ってる?」
 
 花を見てた筈のアイが
 顔をあげて俺を見とった。
 
 どきりとして、視線を逸らしてしまう
 そして、すぐに苦笑すれば
 何ていうん?と口を開いた
 
 

⏰:10/09/20 06:28 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#214 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「アナタは冷たい」
 
 何かを諦めるかのように
 笑うアイに俺は何も言えへんかった




⏰:10/09/20 06:29 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#215 [◆It9is9ljoQ]


 「雨は嫌いや」

 歯を食いしばって
 溢れそうな涙を堪える

 格好悪、そう言い聞かせて
 俺はゆっくりと立ち上がり洗面所へ
 向かった


⏰:10/09/20 06:30 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#216 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 鏡に写ったんは
 窶れた顔して、目の下に偉い隈
 作った俺の姿やった。
 
 思い返せば可笑しい点は
 いくつもあった
 
 只それを、可笑しいとは
 思うたりせんくて、
 
 変わった女で片付けとったんや。
 日常が麻痺しとった

⏰:10/09/20 22:22 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#217 [◆It9is9ljoQ]





 

 
 「時々、むっちゃ
 朔也のことが嫌いになるねん」
 
 「そら困るわ」
 
 「困る?」
 
 「おん、俺はアイが好きやから」
 
 「へぇ」

⏰:10/09/20 22:40 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#218 [◆It9is9ljoQ]




 
 
 彼女は、変わっとった。
 
 ノリが悪いわけやない
 (けしてノリがええ訳でもない)
 
 コントローラーを渡せば、
 何時間でもやり込むし、
 甘いもんを差し出せば微笑んで
 口に運び、間食する
 

⏰:10/09/20 22:41 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#219 [◆It9is9ljoQ]







 時々奇妙なことを尋ねれば
 満足したように笑うんやった



⏰:10/09/20 22:53 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#220 [◆It9is9ljoQ]

 


 
 「あの子、最後まで
 俺には理解出来ひん子やったわ。」
 
 で、少しは整理出来たんか?
 そう穏やかな声が受話器越しに聞こえる
 

⏰:10/09/20 23:15 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#221 [◆It9is9ljoQ]

 
 「‥いや、変わらへん。少しもや
 あかんなー、あいつな
 俺の頭ん中から片時も離れてくれへん」
 
 「もう二週間、か」
 
 「実感がな、沸かへんねん。
 いつもみたいに会える気ぃして
 メールが、電話が来る気がして」
 
 苦笑した俺は、譫言のように
 呟いていた。

⏰:10/09/20 23:15 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#222 [◆It9is9ljoQ]




女々しい、そう呼ぶのだろうか
でも、それでも構わんかった


⏰:10/09/20 23:16 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#223 [◆It9is9ljoQ]




 「様子が可笑しかったとか、遺書とか
 それらしきもんは一つも?」
 
 「あぁ、家では
 見つかってへんみたいやわ」
 
 「携帯ん中は?」
 
 「携帯?」
 
 「1番自分が肌身離さず持っとるんは
 携帯な筈やろ?残ってないん
 メモとか、未送信メールとか」

⏰:10/09/20 23:16 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#224 [◆It9is9ljoQ]



 
 一樹は、そう口を開いた。
 遺言無しにぽっくり死ぬかいな、そう
 小さく呟き確認したんか、とだけ続け
 た彼は二言三言続け、電話を切った
 
 考えもしぃひんかった、
 彼女の携帯電話は待ち受け画面にしか
 手をつけたりせんくて
 震える手で、携帯電話を開いた

⏰:10/09/20 23:19 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#225 [◆It9is9ljoQ]





 
 笑顔の俺と、不機嫌そうなアイの姿
 それを見てしまえば
 
 踏み込む勇気が、手の震えが
 とまらへんくて、うなだれるように
 ベッドに横になった

⏰:10/09/20 23:21 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#226 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 「‥‥、アイ」
 
 小さく口を開いた
 息がしにくい、ゆっくりと
 開いた未送信ボックスには
 
 "朔也"
 
 
 
 
 そうタイトル付けられた
 メールが1件
 
 

⏰:10/09/20 23:21 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#227 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 「朔也が好き、大好き。」

 そう、始まった文章に
 周りが少しずつ音を無くしていった








⏰:10/09/20 23:36 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#228 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 朔也が好き、大好き。

 正確に云うと朔也の悲しそうな顔や
 苦しそうな顔や、泣いた顔が好き
 
 こんな事を言う私に朔也はまた
 本に洗脳されたん?って
 言うたりするんやろうな(笑)




⏰:10/09/20 23:37 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#229 [◆It9is9ljoQ]







 
 昔は私朔也の笑うた時に
 周りが花に溢れるような笑顔が
 ほんまに大好きやったんやで

⏰:10/09/20 23:38 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#230 [◆It9is9ljoQ]




 
 
 それが、何時からなんかな
 それだけじゃ物足りひんくなって
 私の事で頭がいっぱいになればいい
 そう考えるようになってん。
 
 喧嘩したら、苛立ちでも
 私のことで頭いっぱいになるやろ?
 私が別れようっていうたり
 そっけなくしたりしたら
 不安で胸が押し潰されそうになるやろ?

⏰:10/09/20 23:38 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#231 [◆It9is9ljoQ]



朔也を私でいっぱいにしたくなった。



⏰:10/09/20 23:39 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#232 [◆It9is9ljoQ]





 
 好きって何?
 そう聞いた事があったやんな
 私が異常なんか、怖くなって
 確かめたくなった。
 
 朔也がいった、傍に居りたいとか
 抱きしめたいとか
 そんなものは一つも、私の理想の
 恋愛の中には無かったんよ。
 

⏰:10/09/20 23:40 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#233 [◆It9is9ljoQ]

 

 
 


 やから、一緒に居たら
 私はもっと朔也を泣かせてしまうし
 
 朔也がしんどくなってしまう。
 
 私はそれを喜ぶから。
 嫌いって、そう突き放された方が
 愛しさが増すから
 
 私らは一緒に居たらあかんのよ。

⏰:10/09/20 23:40 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#234 [◆It9is9ljoQ]



 
 だからサヨナラ
 リセットしたくなった、ゲームみたいに
 
 なにもかも、朔也のことも
 忘れたくなった
 
 こんな私を嫌って憎んで。
 朔也がそうしてくれたら私
 
 多分ずっと朔也を愛してる
 
 

⏰:10/09/20 23:40 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#235 [◆It9is9ljoQ]



醜い私はね、きっと
朔也を手放したりしたくないから

縛り付けていたいから
永遠に、

だから私、サヨナラを選ぶの

⏰:10/09/20 23:41 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#236 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 
 
 
 
 
 そう微笑んで、メールを打ち終わった
 私は道路へと足を進めた
 
 きっと私、これで満たされるの
 
 

⏰:10/09/20 23:44 📱:SH706i 🆔:gbbzVp4g


#237 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 きっと彼は気付くでしょう
 
 私の目論みに。
 
 それでも構わない
 終わりがあるって、永遠なんて
 信じられない私は 自分から
 断ち切る事を選んだ
 

⏰:10/09/21 00:03 📱:SH706i 🆔:iLMUWuL.


#238 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
  
 
 
 人間はエゴの塊
 追い詰められるとその部分が
 剥き出しになる
 
 表面やたてまえの上では
 誠実でありたい、理性的でいたい
 

⏰:10/09/21 00:03 📱:SH706i 🆔:iLMUWuL.


#239 [◆It9is9ljoQ]

 




 
 どんなにエゴイストになりたくても
 
 きっと私には無理、
 
 絶対に無理
 

⏰:10/09/21 00:04 📱:SH706i 🆔:iLMUWuL.


#240 [◆It9is9ljoQ]

 
 
 
 
 
 さて、問題です。
 
 どうして人は尚、エゴイストに
 なりたいのにも関わらず
 弱い自分を取り繕うのでしょうか。
 
 

⏰:10/09/21 00:04 📱:SH706i 🆔:iLMUWuL.


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