You & Me
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#1 [luna.]
.
You & Me
傍に居れるなら
それでよかったんだ。
ただ、それだけで……
>>2 [アンカー,感想板]
:10/09/23 01:14
:F906i
:chzkPp/g
#2 [luna.]
:10/09/23 01:18
:F906i
:chzkPp/g
#3 [luna.]
.
「とおやぁ〜っ!!」
「……っ!?」
突然の大声と体の揺れに
目を開けると
俺を肩を激しく揺する
…パジャマ姿の女。
普段ならば目覚ましで
穏やかな朝を迎える
……のに。
最悪の目覚めだ。
:10/09/23 01:37
:F906i
:chzkPp/g
#4 [luna.]
.
「……おい。」
「なに!?その超ちょ〜う不機嫌な顔はっ!!」
なに!?…だと?
穏やかな眠りをこんな形で
妨げられりゃイライラするだろ。
当然の反応で
俺は奴を冷ややかな
目で睨みつけていた。
「あはっ…ごめんごめん。」
そうやって笑う奴の顔には
反省の色が1%も
表れていない。
:10/09/23 01:50
:F906i
:chzkPp/g
#5 [luna.]
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「人の部屋に勝手にあがって……しかも、パジャマ姿ってどうなの?」
何とか精神を落ち着け
上体を起こしながら問う。
「今更。いつものことじゃんかっ!!」
「はぁ〜理央、お前なぁ〜」
溜め息しかでない。
だが、言ってることは
間違いはない。
確かに毎度の事だ。
:10/09/23 02:05
:F906i
:chzkPp/g
#6 [luna.]
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当たり前の様に
人の部屋へ上がり込み
俺の前で偉そうにニヤッと
笑うこの女は
アイザワ リ オ
相沢 理央。
家が真隣である上に
親同士の仲が深く
本当に小さい頃からの
腐れ縁というか
幼なじみだ。
:10/09/23 02:15
:F906i
:chzkPp/g
#7 [luna.]
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理央がこうして時間も気にせず、家に来ることは日常茶飯事である。
しかも俺の前では、パジャマでものこのことやって来るような始末…。
「……幼馴染って厄介な存在だな。」
「…は?」
思わず口に出して呟いてしまった。
:10/09/23 09:21
:F906i
:chzkPp/g
#8 [luna.]
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「で?今日は何の要件?」
「学校まで2ケツして!ついでに放課後はあっくん家までお願い!!」
「お願い"します"だろ?」
「お願いしますっ」
「なら、支度早めにな。出る時メールする。」
俺が承諾の言葉を述べると理央はぴょんっと飛び跳ねて、支度をしに家を出た。
:10/09/23 09:36
:F906i
:chzkPp/g
#9 [luna.]
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このお願い何回目だ?
と、考えつつ家着を脱ぎ、シャツに腕を通す。
理央は突然くる。
いつもいつも、小さい頃から。
中3の時
「十夜っあたし決めた!!やっぱり十夜と同じ高校目指す。」
頭の弱い理央が成績の良い俺と同じ高校に行くと言い出したのも突然。
:10/09/23 09:48
:F906i
:chzkPp/g
#10 [luna.]
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そして、
理央自身の努力なのか、何の奇跡なのかは分からないが同じ高校に入学。
高校1年の時、
「十夜と同じバスケ部に入るっ!!バスケ教えて。」
と、良い言い出したのも突然。
:10/09/23 10:02
:F906i
:chzkPp/g
#11 [luna.]
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「見て見て十夜!髪の毛ショートにしたんだ。短い方が似合ってる?」
と、今までずっと髪の長かった理央がいきなり髪をバッサリ切ったのも突然。
「十夜〜っ離れちゃうよ!!離れるのなんか絶対嫌だよ…」
と、部屋に飛び込んでテスト勉強中の俺に泣きついてきたのも突然。
:10/09/23 10:10
:F906i
:chzkPp/g
#12 [luna.]
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でも、どれだけ突然でも忙しくても俺は理央を拒めない。
俺は馬鹿だ……。
身支度をし、朝食を食べ終えて、理央に「下に来い」とだけ打ってメールを送った。
「じゃ、行ってくるわ。」
俺は家を出ると自転車に跨って理央の家の前で待つ。
:10/09/23 17:54
:F906i
:chzkPp/g
#13 [luna.]
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「おっまたせ〜」
「遅い。メール送ってから何分待たせんだよ。」
「だって星座占いちゃんと見とかなきゃ、あたしの1日は始まらないし。遅刻しそーなら十夜が早く漕げばいーだけの話っ!!」
「それが人にモノを頼む態度か?」
「早く!はいっ出発〜」
「…………。」
呆れて言葉もでない。
:10/09/23 18:01
:F906i
:chzkPp/g
#14 [luna.]
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本当に自由奔放な奴…。
振り回されるこっちの身にもなってほしい。
「本当に十夜身長伸びたよね〜。高1で急成長遂げたって感じ。小学校の時はあたしと同じだったのに……。」
「いつの話だよ。」
後ろで1人ベラベラと賑やかだ。
もう俺達は高3で、すっかり成長はストップしている。
:10/09/23 18:15
:F906i
:chzkPp/g
#15 [luna.]
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「チビだったくせにー!」
「お前なんかずっとチビだろ。なのに体重は増えてるんじゃない?2ケツかなりしんどい。」
「さいてーっ!!ムカつく」
「……うっ…」
背中に鉄が飛んできた。
こいつチビだけど、力は案外強いらしい。
:10/09/23 18:25
:F906i
:chzkPp/g
#16 [luna.]
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それから学校に着くまで、ずっとこんな調子だった。
正門をくぐり抜けると
「ひゅ〜♪今日もお暑いねーお前らはっ!」
常時テンション高き男、
本庄 真 [ホンジョウ マコト]に出くわした。
「暑いどころか暑苦しいよ…こんな女。」
俺は素早く嫌味を吐く。
:10/09/23 18:46
:F906i
:chzkPp/g
#17 [luna.]
▼ 訂正です。
>>15×→鉄
○→鉄拳
すみません(>_<)
:10/09/23 18:49
:F906i
:chzkPp/g
#18 [luna.]
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「そんな照れんなって。2ケツしてる上に理央ちゃんがそんなに十夜にしがみついてる所みたら、そりゃ言いたくもなるよ。」
「こいつの行動にそんな深い意味なんかあるわけないだろ。」
自転車を止めて、理央に早く降りろと促しながら真に言葉を返す。
「そぅだよ、まこっちゃん!!十夜は超がつくほどの幼馴染なんだから深い意味はないのっ。これが普段!普通!」
:10/09/23 19:05
:F906i
:chzkPp/g
#19 [luna.]
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「え〜お似合いなのにー。」
「誰がこんな口の悪い男なんかっ。もっと優しくて包んでくれる人がいーの。」
理央は舌をだして、俺を挑発してくる。
「あっそ。俺もお前なんかごめんだね。」
そうだよ、こんな奴…。
言い争いしてるうちに教室についていた。
:10/09/23 19:53
:F906i
:chzkPp/g
#20 [luna.]
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「おはよー。」
「あ、のんちゃーんっ!!おはよぉっ。」
表れたのは理央の友人、
上原 和花 「ウエハラ ノドカ」こと、のんちゃん。
理央よりも数十倍しっかりしていて、頼りになる奴だ。
「今日は一ノ瀬と登校?ほんとラブラブだね?」
一ノ瀬とは俺の名字だ。
:10/09/23 21:25
:F906i
:chzkPp/g
#21 [luna.]
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「もぅっみんなして朝から何?十夜は関係ないよ!!幼馴染だってばぁ。」
「…………。」
いつも何かあれば出てくる『幼馴染』という言葉。
毎回その言葉が鉛となって俺の気持ちを沈めていくんだ。
理央は何かと俺にひっついてくるし、頼りにする…
それは理央にとって
単なる『幼馴染』という関係で収まってしまうらしい。
:10/09/23 21:37
:F906i
:chzkPp/g
#22 [luna.]
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「はいはい。幼馴染ねっ。」
「分かればよしっ。あたしにはちゃ〜んとれっきとした想い人がいるんだからっ!!!あたしは……」
上原と理央の会話が耳を伝って、俺の鼓膜を震わせる。
理央が次に口にする言葉なんて、自然と脳裏に浮かんだ。
あの時の
「十夜と同じ高校目指す!!」
この言葉だって…
:10/09/23 21:48
:F906i
:chzkPp/g
#23 [luna.]
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「十夜と同じバスケ部に入る!!」
この言葉だって…
「髪の毛ショートにしたんだ。」
この言葉だって…
「離れるのなんか絶対嫌だよ!!」
この言葉さえも……。
いつも、
いつだってそうだ。
:10/09/23 21:56
:F906i
:chzkPp/g
#24 [luna.]
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理央が放つ言葉の先にいるのは……俺なんかじゃないんだ。
あの人なんだ。
「あ、あたしは、あっくんだけが好きなのっ!!」
目の前にいるのは、俺の部屋にパジャマで上がり込んでも平然としていて、
2ケツしても何食わぬ顔で俺に抱きつくようにしがみつける……
そんな奴なはずなのに。
:10/09/23 22:02
:F906i
:chzkPp/g
#25 [luna.]
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『あっくんだけが好き』
と、俺達の前でありったけの想いを零す理央は、頬が薄く赤らんでいて、他の奴になんか見せたことのない、
……恋する女の顔をしていた。
「……っ…。」
それに胸の奥底で押し込めていた気持ちがチクリと痛んだ。
:10/09/23 22:07
:F906i
:chzkPp/g
#26 [luna.]
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「はいはい。あっくんが好きなのねー。」
火照った理央をなだめるように上原が頭を撫でる。
「あっくんといえば、あの人気の椎名 淳さんか!!また随分と大物だな。」
真はヘラヘラと笑っている。
あっくん……
椎名 淳[シイナ アツシ]
今は二十歳の大学2年生。
:10/09/24 00:20
:F906i
:N1XnsXxg
#27 [luna.]
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理央が俺と同じ高校にきたのは、淳がいてる高校だからだ。
バスケ部に入ったのも、淳が入っていたから。
ずっと長いままを維持してきた髪の毛を短く切ったのは、ある日淳が短い子がタイプだと会話してるのを聞いたから。
離れたくないと俺に泣きついてきたのは、淳が大学に進学し、一人暮らしをするといって俺達の向かいの家から居なくなってしまう事を知ったからだった。
:10/09/24 00:28
:F906i
:N1XnsXxg
#28 [luna.]
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理央はずっと淳のことが好き。
今までも。
そして、これからも。
理央と俺はずっと幼馴染。
今までも。
そして、
きっとこれからも……
俺は、ずっと『幼馴染』という関係に縛られたまま。
:10/09/24 00:37
:F906i
:N1XnsXxg
#29 [luna.]
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▽side Rio
.
:10/09/24 00:47
:F906i
:N1XnsXxg
#30 [luna.]
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あたしが生まれたときから、あたしの家の隣は十夜のいる一ノ瀬家、お向かいは椎名家だった。
そんな事もあり親同士の親睦も深く、あっくんと十夜とはいつも一緒。
笑顔の絶えない環境と家庭に恵まれた私は、本当に幸せに包まれていた。
でもそんな日常を突然失う日がやってきた。
:10/09/24 03:08
:F906i
:N1XnsXxg
#31 [luna.]
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私が11歳の時だった。
「パパ帰り遅いねー。」
「仕事の飲み会でも突然誘われたのかしら?」
いつも決まって仕事から返ってくるはずの私の父が、連絡もいれずに帰りが遅いなんておかしい……。
数時間経ってリビングに電話の音が鳴り響いた。
:10/09/24 12:27
:F906i
:N1XnsXxg
#32 [luna.]
.
…………………
………………
電話を出た母は、泣き崩れた。
こんな母の泣く姿を見たのは初めてで、説明されても状況の理解に頭がついていかなった。
でも、次に父の姿をみた時いやでも理解できた。
「……パ…パっ…パパっ。」
………父は亡くなった。
トラックの運転手の不注意運転に巻き込まれて。
:10/09/24 12:32
:F906i
:N1XnsXxg
#33 [luna.]
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小さすぎた私には、ショックが大きすぎて目の前が真っ暗闇に覆われた。
涙を止めることもできなかった。
父が亡くなってから数週間経って、母は1日中働きだした。
笑顔を必死で繕って、家庭を保とうと懸命だった。
「お父さんの為に笑って生きなきゃ。」
それが口癖だった。
:10/09/24 12:40
:F906i
:N1XnsXxg
#34 [luna.]
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家計や私の費用なと、祖父祖母が支えてくれて大丈夫だったが、甘えてばかりなのが嫌な母は仕事熱心だった。
だから、私も我慢しないといけない。
母が仕事に力を入れてからは、毎晩一人だった。
最初はすごく怖かったけど、それぐらい我慢しなきゃいけないと思った。
「……っ…。」
暗闇に包まれたベッドの中で唇を噛み締めた。
:10/09/24 12:47
:F906i
:N1XnsXxg
#35 [luna.]
.
でも、やっぱり怖くて…
そんな時支えてくれたのが
「理央、遊びに来たぞ〜。」
あっくんと、十夜だった。
2人は毎晩のように、家にきたり、誘ってくれたりして私が寂しくならないようにしてくれた。
他愛もない話をして、
ゲームをしたりして。
:10/09/24 12:54
:F906i
:N1XnsXxg
#36 [luna.]
.
お父さんは亡くなっちゃって、暗闇の中で独りぼっちなんだと考える。
何もかも暗闇が奪っていきそうな気がして、怖かった。
でも2人のおかげで、どんどん恐怖が薄れていった。
そして、そんな生活に少しずつ慣れてきて迎えた14歳の秋ー…。
:10/09/24 13:00
:F906i
:N1XnsXxg
#37 [luna.]
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「理央、あのね……お母さん…この人と再婚してもいいかな?」
「え……。」
不意に突きつけられた再婚の話。
お母さんの隣には、人柄良さそうな男のヒト。
「うんっいいよ。お母さんが良いと思ったんだもんね。これからよろしくお願いします!!」
私は笑顔でそれを受け入れた。
…………その時は。
:10/09/24 13:07
:F906i
:N1XnsXxg
#38 [luna.]
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わかっていた。
お母さんがちゃんと本当のお父さんを愛していたことも、
お父さんがいなくなって母1人で私を養っていくことが大変だという事も、
私がいつか家をでてしまえば、母が独りきりになってしまうことも、
私達の幸せのために再婚に踏み出したという事も、
中学2年の私の頭の中では理解できていた。
:10/09/24 13:18
:F906i
:N1XnsXxg
#39 [luna.]
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でもやっぱり心のどこかでモヤモヤが積もって、
ある日私は家を飛び出した。
家から少し遠い公園の中、真夜中まで草陰に身を潜めてしゃがみこんでいた。
暗くて、寒くて、静かで……震える身を自分で抱えながら。
「…………。」
怖いという感情が、浮かび始めていく。
:10/09/24 13:31
:F906i
:N1XnsXxg
#40 [luna.]
.
「……あ。」
携帯が震えだし、ランプがチカチカと点滅している。
私が家を飛び出してから、携帯は頻繁に光っていた。
あ、当たり前か。
お母さん、新しいお父さん、中学から仲の良いのんちゃんの他にも何人か心配してメールや着信をくれていた。
迷惑や心配をかけてしまっていることは分かっている。
:10/09/26 22:46
:F906i
:n3JU2X9I
#41 [luna.]
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でも、自分から飛び出してしまった以上、引き下がれなくなってしまった。
「……どう…しよ。」
光り続ける携帯に目をやると、十夜からの着信だった。
何件も履歴がある。
通話ボタンに指は触れているものの押す勇気もない。
……無理だ。
:10/09/26 22:53
:F906i
:n3JU2X9I
#42 [luna.]
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携帯を閉じようとした時ー、
「なにしてんの?」
草を掻き分ける音と共に、後ろから響くよく聞き慣れた声。
すぐ、振り向くと
「あ、あっ…くん!?なっなんで?ここがわかっ…」
「なにしてんの?」
あっくんがいた。
私の声は先ほどよりワントーン低くなった声にねじ伏せられる。
:10/09/26 23:09
:F906i
:n3JU2X9I
#43 [luna.]
.
グイッ−
「いっ…!?」
しゃがみこんでいた私は片腕をあっくんに掴まれ、強く上へと引っ張られた。
無理やり立ち上がらされた瞬間に、私の目にはっきりと映るあっくんの目……。
……怒っている。
それに少し乱れた呼吸。
掴まれている腕から伝わる熱い体温。
:10/09/26 23:19
:F906i
:n3JU2X9I
#44 [luna.]
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必死に走り回って、探してくれていた事が目に見えてわかった。
「理央は馬鹿か?連絡にはでないし、こんな時間に外出てたら危険だろ。それぐらい分かるよな?」
「ごめん…なさい。」
「みんな心配してるし、迷惑もかけたのもわかるよな?」
「ごめん…なさい。」
目にはまだ少し怒りの色が浮かんでいたが、あっくんは優しくゆっくりと私を叱りつける。
:10/09/26 23:43
:F906i
:n3JU2X9I
#45 [luna.]
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「お前なんかに、不良娘の真似は百万年早いよ。」
「……ごめんなさい。」
申し訳なくて俯きながら言うと、突然鼻をつままれた。
「ばーかっ。ごめんなさいだけで済むと思うなよ?後であーんなこと、こーんなことしてもらうからな。」
「……ははっ…あっくんスッゴい悪そうな顔なってる。」
あっくんの明るい口調に思わず笑いが零れた。
:10/10/03 08:32
:F906i
:gdbVMx3Y
#46 [luna.]
.
「さ、帰るぞ。」
あっくんが私の頭をポンポン叩きながら言った。
「嫌っ!!今は帰りたくない。こんな気持ちのまま帰りたくない。」
涙ぐんでしまって視界がぼやけ始めた。
それほど私は必死に抵抗する。
「はぁ……理央?ちょっと場所かえよっか。」
:10/10/03 22:36
:F906i
:gdbVMx3Y
#47 [luna.]
.
――――…………
あれから街灯や灯りのない見晴らしのいい所に連れてこられた私。
辺りは真っ暗で暗闇が苦手な私はオロオロしていた。
「あの…あっくん?」
「ん?」
「ここ……どこ?」
そう尋ねるとあっくんは凄く優しく笑った。
そして、下に座り込んでから、あたしも隣に座るようにと促す。
:10/10/03 22:43
:F906i
:gdbVMx3Y
#48 [luna.]
.
「覚えてないん?小さい頃に理央と十夜と俺とか、みんなの家族できたじゃん?」
「あっ…一度お父さんが連れてってくれた所?」
「正解。俺はその時がきっかけでこの場所が好きになって何回か来てる。」
そう言ってあっくんは空を見上げる。その横顔と表情がとても綺麗で、私の視線は囚われたかの様に反らせなくなった。
「理央……何があったん?無理にとは言わんけど吐き出したらいい。」
:10/10/03 22:53
:F906i
:gdbVMx3Y
#49 [luna.]
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「……あ…たしっ…」
あっくんの視線があたしの視線と重なった瞬間、想いがこみ上げ言葉として紡がれていく。
「親が再婚しちゃう事が怖い。お母さんがお父さんを消しちゃったら……誰が、だれがお父さんのことを想い続けるの?あたし…しかいないのにっ……あたしが新しいお父さんを認めちゃったら……っ…そん…なの……」
プツリと鎖が切れたかのように涙が次々と零れて頬を濡らしていく。
声も震えていく。
:10/10/03 23:03
:F906i
:gdbVMx3Y
#50 [luna.]
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「…苦しいっ!!…かな…しい……もうわかっ…ないよっ!!」
あっくんは声を張り上げるあたしを泣き顔を隠すように、抱きしめてあやす。
私はしばらく赤ちゃんのように泣いていた。
「……落ち着いた?」
「…ちょっとだけスッキリしたよ。」
:10/10/03 23:09
:F906i
:gdbVMx3Y
#51 [luna.]
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「理央……理央のお母さんは、お父さんのこと絶対忘れるはずないよ。それはきっと理央もどっかで理解してるだろ?」
まだあたしはあっくんに包まれたまま。
暖かい温度が心地いい。あたしはゆっくり頷く。
「それに理央自身が2人の愛の証拠だろ?」
私は、顔をあげて目を見開く。
「俺さ…初めてこの場所来たとき、この景色に釘付けになった。な、理央…上見てみ?」
:10/10/03 23:16
:F906i
:gdbVMx3Y
#52 [luna.]
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あっくんの目から視線を外し、空に向けてみる。
「……えっ…うわぁっ!!」
私はおもわず立ち上がる。
空一面に降り注ぐ流星群。
まるで夢の世界に来たかのようにキラキラと輝いている。
感動しすぎて開いた口が塞がらない。
「これなっオリオン座流星群だよ。」
:10/10/03 23:45
:F906i
:gdbVMx3Y
#53 [luna.]
.
「俺さ、初めてこの場所でこの流星群見てから、もうやばいくらい綺麗で星に興味持ってさー。動機はちっぽけかもしれないし、今は自力の勉強だけど大学では天文学に力をいれよーとしてんだ。」
「はずかしーから内緒っな?」とはにかむあっくんは可愛かった。
「あっくんヘラヘラしてそーに見えてしっかりしてるんだ……ね。」
「失礼だろ。せっかく人がいろいろ調べてサプライズで見せてやろーと計画してたのに、誰かさんが家飛び出したおかげでこんな形になるとはねー。あーあー。」
:10/10/03 23:56
:F906i
:gdbVMx3Y
#54 [luna.]
.
「うぅ…っ。」
申し訳なくて言葉もでない。
「まっ結局見せれたし結果オーライか。」
「あははっそだね。」
「笑った…な。よかった……。」
あっくんはほっと安堵の息をもらした。
思えばいつしか、あたしの頬の涙の跡は枯れていた。
:10/10/04 00:00
:F906i
:APRZbFKU
#55 [luna.]
.
「理央のお父さんは星が大好きでさ、名前、流星[リュウセイ]って言うだろ?でさ、オリオン座流星群って名前の中にある秘密を見つけたんだ。」
「秘密?」
私にはワケがわからない。
「オリオン。オ…リオ…ン。…リオ。理央。」
「…………。」
「…理央。」
「…私の名前…だ。」
:10/10/04 00:05
:F906i
:APRZbFKU
#56 [luna.]
.
「名前は親からくれる一番最初のプレゼントってゆーだろ。愛されてるんだよ、理央は。……お父さんがいなくなった今もその名前を通じてさ。だから大丈夫だ、絶対。理央はお父さんの愛を忘れない。」
枯れていた涙がまたじわじわと溢れ出してきた。
「……っ…」
顔を隠すために両手で覆う。
「お父さんは星になっていつも理央を見守ってるはずだ。」
:10/10/04 00:11
:F906i
:APRZbFKU
#57 [luna.]
.
「星はいつも光ってるけど、その輝きは夜にしか光となって現れないし、そう思えば夜だって怖くないだろ?」
「……っ…。」
私は頭をゆっくりと下に下ろした。
「…あっくん、ありっ…が…とっ…。」
私の心はすごく軽くなった。あっくんのおかげで凄く大事な事に気付けた。
もう、きっと大丈夫
:10/10/04 00:17
:F906i
:APRZbFKU
#58 [luna.]
.
「もうこんな、ロマンチストっぽい発言一生しねーから、自分で覚えとけよ!!あー…まじ、恥ずかしい…。」
あっくんは片手を頭に持って行きガシガシと、照れを隠すために頭をかいた。
「ありがとっ。」
私は感謝の言葉に気持ちをいっぱいいーっぱい込めて飛ばした。
言葉だけじゃ足りなくて、ぎゅーっとしがみついた。
「うぉっ…ギブ!!ギブっ!!」
:10/10/04 00:23
:F906i
:APRZbFKU
#59 [luna.]
.
――――………
その後は、あっくんが密かに十夜に連絡をとってたみたいでお母さんと十夜と新しいお父さんが車で迎えに着てくれた。
私は、ありのままに思いを伝えて
今度こそ、素直に再婚について認める事ができたんだ。
この時からなのかな?
私が新しいお父さんに対して、いい方向に見る目が変わったのは。
:10/10/04 00:33
:F906i
:APRZbFKU
#60 [luna.]
.
そしてこの時からだ。
私があっくんに対して
特別な感情を抱き始めたのは……。
それは、高3になってもちっとも変わらない。
むしろ
どんどん男らしく、格好良くなっていくあっくんに対して、"好き"の気持ちは膨らんでいく一方で……
今だってずっとずっと
好き。
大好きなんだ。
:10/10/04 07:43
:F906i
:APRZbFKU
#61 [luna.]
.
▼side toya
.
:10/10/05 22:55
:F906i
:zj/ritoo
#62 [luna.]
.
「………。」
授業中ふと隣を見ると、机の上で気持ちよさそうに寝ている理央。
よだれたれてんのは、女としてどーなんだか。
でもすっげぇ幸せそうな表情で寝てるから、なんか起こせない。
……たとえ今、理央が先生に酷く睨まれているとしても。
:10/10/05 23:02
:F906i
:zj/ritoo
#63 [luna.]
.
「あーいーざーわーっ!!」
バコッ……
「ふぇっ!?…なにっ…雷!?」
理央は先生の教科書で殴られた衝動で、眠りの世界から引き戻された。
「俺の雷を落とされたくなかったら寝ぼけてないで、しっかり起きてろ。よだれたらしてみっともねーぞ!!」
「えっ!?……ぎゃっ。」
自分のよだれに気付き慌ててすぐ口元を覆う馬鹿な奴。
:10/10/05 23:10
:F906i
:zj/ritoo
#64 [luna.]
.
みんなクスクス笑っていた。
「……十夜の馬鹿!!何で起こしてくんないのよっ。」
「どーせ起こしてても、あっくんの夢見てたのにー!とかってお前うるさいだろ。」
「……なっ!」
顔が少し火照る理央。
図星かよっ。
「脳内年中無休であっくんあっくん…。お前の考えてることなんかいつもスケスケなんだよ。」
:10/10/05 23:19
:F906i
:zj/ritoo
#65 [luna.]
.
「みっ見ないでよ、えっち!」
そう言って頭を隠そうと手を振り回す姿がまたアホらしい。
俺はそのまま無視し、そのまま黒板へと視線を移した。
:10/10/05 23:25
:F906i
:zj/ritoo
#66 [luna.]
.
………………………
「今日は、あっくんデーですか?」
「うんっ!!」
「楽しんでおいで。じゃ、またねっ理央。」
「のんちゃん、まこっちゃんバイバイっ」
放課後になり自転車に跨りながら、少し離れた所で真と上原と会話をする理央を待つ。
今から理央を淳のいる大学へ送らなければならない。
:10/10/09 11:58
:F906i
:obC7VrzI
#67 [luna.]
.
淳が大学生になってから、都合の合う日には必ず会いに行く理央。そんな日の帰りは夜遅いので淳が車で送り届けるようになった。
そして、いつの間にか理央の足にされている俺。
理央を後ろにのせて、大学へと自転車を進ませた。
:10/10/09 12:17
:F906i
:obC7VrzI
#68 [luna.]
……………………
「ありがと〜!!」
「今度から送迎料有料にしようか?」
俺はニヒルな笑みを浮かべながら、いつもの様に大学の前で理央を降ろしてやる。
そして、帰ろうと方向を変えてペダルを踏み込もうとしたとき
「……理央?あと、十夜か?」
久しぶりに聞いた声。
「あっくんっ!!」
:10/11/03 22:01
:F906i
:x/d2h6gA
#69 [luna.]
.
「……淳。」
久しぶりに見る淳の姿。
理央はよく顔を合わしているが、俺にとっては数ヶ月ぶり。
オレンジ系ブラウンの髪、
整った顔、
俺より高い身長。
そして、人から愛される人格。
それらを兼ね備えた淳は正に容姿端麗という言葉そのもの。
:10/11/06 23:04
:F906i
:6co0Hv1A
#70 [luna.]
.
「淳先輩と呼べっ。」といって口角を上げる淳。
何もかもが周りとは勝っていて、視界に入ればその存在は光を放って見える。
――眩しい。
そんな淳は、今も尚理央の視線をひいている。
「理央、ごめん。今日は星見に行けねぇ。なんか急に俺ん家で飲み会する事になっちまって……。今度埋め合わせするから、飲み会参加するか?」
「するっ!!」
:10/11/13 22:08
:F906i
:XVfu9xCo
#71 [luna.]
.
未成年の理央に普通に飲み会に誘う淳に、即応じる理央。
2人合わせて呆れる。
「十夜も来いっ!!」
「俺はいい。」
「強制参加だ。理央の送迎役いるだろ?」
「……。」
そんなこんなで、俺は強制的に押された。
「えー十夜もぉ?」って皮肉を零す理央に鋭い視線をおくるとすぐに口をきつく閉じた。
:10/11/13 22:15
:F906i
:XVfu9xCo
#72 [luna.]
―――――――
―――――
強制参加になった俺はまた自転車に跨り、鍵を淳から預かった理央を乗せて淳の家へと向かった。
「ここがあっくんち。」
先に俺達2人は家で待つことになった。
理央は慣れたようにキッチンに行き飲み物を出した。
清潔感のある部屋で大人しい黒、白などの色で統一されていた。
少し見渡すと本棚には、天文に関わるものばかり。
それに小型のプラネタリウムの機械、望遠鏡などがあり、見るだけで淳の興味の中心が理解できた。
:10/11/13 22:33
:F906i
:XVfu9xCo
#73 [luna.]
.
「2人ともお待たせ〜!!」
夜前になると、淳が大学の友達を連れて帰宅し、鍋パーティー及び酒パーティーが開かれる事に。
………
「ほんっとこんな可愛い女子高生にべったりされて、羨ましいったらないよぉ〜。お前が憎い。」
「石田!!ひがむな。俺ほどの男になると仕方ないんだよ。」
石田さんという淳の友達がお酒を飲みながら淳を肘で小突く。
一体机の上に何本の空けられた缶があるんだろうか。
相変わらず淳は調子ノリの馬鹿だ。
:10/11/13 22:47
:F906i
:XVfu9xCo
#74 [luna.]
.
馬鹿といえば……。
可愛い女子高生と言われて頬を染める馬鹿が横に1人。
「えへへ〜っく…。」
ちゃんと様子を伺えば、照れているだけではなくお酒にやられている様だ。
「理央何本飲んだの?」
「え〜?ん〜とねぇ?……ふふっ。」
「結構飲んだのか。」
口元が常にヘラヘラしているし、顔が赤い。
俺は、理央から酎ハイの缶を取り上げた。
:10/11/13 22:54
:F906i
:XVfu9xCo
#75 [luna.]
.
「十夜くんだっけ?面倒み良いんだね。」
そんな時、から大人びた笑みを浮かべて、酎ハイを勧めにくる綺麗な女の人。
「あ、俺は烏龍茶で結構です。」と、丁寧に断りをいれながら
「幼馴染なんで…。」
という言葉を無意識に出してしまい、自分で自分の首を締めてしまう。
:10/11/13 23:03
:F906i
:XVfu9xCo
#76 [luna.]
.
「そうかぁ〜2人は幼馴染なんだ。…あ、私は楠 亜梨沙って言うの。よろしくね。」
「はい、俺は一ノ瀬 十夜です。」
軽く自己紹介を交わせ、俺は小さく会釈する。
楠さんはいかにも年上だという雰囲気を漂わせていた。
香水の甘い匂いが微かに香る。
「なんか十夜くん、高校生には見えないね。すごく大人びてるし、しっかりしてそう。」
「いえ、別に。きっと理央といてたらそう見えるんでしょーね。」
:10/11/13 23:29
:F906i
:XVfu9xCo
#77 [luna.]
.
「2人は、幼馴染だけあって兄妹みたいなものなんだろーね。」
「…………あー…手のかかる奴なんで。」
淳達と笑っている理央を横目に苦笑しながら言葉を返す。
「勝手で自由奔放、振り回されるし、呆れたり腹立つ事ばっかで……」
楠さんはうんうんと頷いて、静かに聞くもんだから
「……でも、目が離せない奴で。」
知らないうちに語ってしまっていた。
:10/11/13 23:42
:F906i
:XVfu9xCo
#78 [luna.]
.
そんな自分に気がつけば、何言ってるんだと動揺し
「……大切なんだね。」
という楠さんの一言にも
「…………。」
否定も肯定も出来なかった。
きっと言葉にしなくてもバレている。
なのにできない。
認めれない。
情けない。
:10/11/13 23:50
:F906i
:XVfu9xCo
#79 [luna.]
.
♪〜
飲み会が始まって数時間経った頃、楠さんの携帯が鳴り、席を立つ。
電話のようだ。
そして戻ってきた。
「……美月?」
「……っ…。」
淳が楠さんに問いかける。
その瞬間に理央の体が微かにピクリと跳ねた。
:10/11/14 01:16
:F906i
:os6TloOI
#80 [luna.]
.
「美月、元カレから連絡あってそっち行ってたみたい。もう用事すんだから今からいけるって。迎えにいかなきゃ。」
「おー…そっか」
「じゃあっ丁度お酒も食べ物も無くなってきたし、美月迎えに行くついでに買いにいくぞ〜!!!」
淳のやるせない声を覆い隠すように響く石田さんのテンションの高い声。
その声に従って買い出しと車出し係として、俺、淳、理央以外の数人が家から出ていった。
:10/11/14 01:26
:F906i
:os6TloOI
#81 [luna.]
.
「あいつら、迎えと買い出しで1時間半ぐらいかかると思うし、ちょっとシャワー浴びてくる。湯船もつかろっかな〜。」
と、淳はバスタオル片手に部屋を出て行く。
「はぁっー…。」
俺はというと、酒の匂いで充満した部屋の空気に少し気持ち悪くなり、ソファーの背もたれを背にして横になった。
ゆっくりと瞼を落とし、
そして静かに眠りの世界に導かれるのを待ったー……。
:10/11/14 01:38
:F906i
:os6TloOI
#82 [luna.]
.
▽side Rio
.
:10/11/14 01:45
:F906i
:os6TloOI
#83 [luna.]
.
まだ酔いの抜けていない耳にしっかりと聴こえた楠さんとあっくんの声。
『美月』
その単語を聞くだけで、全身で大きく脈うつ。
酔いが一気に覚めた気がした。
この名前を忘れるはずがない……。
その名前がでてからのあっくんの声は少し掠れていて、そこから想いが溢れ出ていた。
それに酷く切なくなった。
:10/11/14 01:51
:F906i
:os6TloOI
#84 [luna.]
.
あっくんはお風呂へ、十夜が寝てから
「……っ…。」
軋む胸を、痛む胸を惑わせようと手当たり次第に残ったお酒を口に注いでいく……。
喉を通るそれは冷たくて、それとは対照的に体は体温を上昇させ火照っていく。
美月さん……。
あっくんが愛してやまない人。
ちゃんと見たことはないけど、名前だけは知っている。
:10/11/14 01:58
:F906i
:os6TloOI
#85 [luna.]
.
あっくんの口からよく聞いていた名前。
大学一年の初め、あっくんは美月さんに恋心を抱いた。
それは花咲くことなく枯れたけど…。
それは、美月さんに彼氏がいたから。
でも、半年前に別れたらしい。
諦めきれないあっくんは必死に頑張って、頑張って……。
でも、ずっと美月さんは深く引きずっていて。
:10/11/14 02:06
:F906i
:os6TloOI
#86 [luna.]
.
そして今に至る。
私はあっくんが好きで、
あっくんは美月さんが好きで、
美月さんは元カレが好きで……。
そんな埒のあかない状況にみんな苦しんでいる。
あっくんに想われている美月さんを酷く妬んだこともあった。
自分の汚い部分を知った。
あっくん美月さんを諦めればいい……
とずっと願っていた。
:10/11/14 02:12
:F906i
:os6TloOI
#87 [luna.]
.
でも気づいた。
あっくんが美月さんを好きでも、諦めきれない自分がいるように、
あっくんにとっても簡単に諦めきれない恋だということー…。
でも叶わない苦しみの穴は大きくて、痛くて…
弱り切ってしまったそんなあっくんの穴に、
私は数ヶ月前につけ込んでしまった……。
それは、お互いにとって決して良くないことなのに……。
:10/11/14 02:17
:F906i
:os6TloOI
#88 [luna.]
―――――――――
―――――――
「……うぅ〜」
お酒を飲みすぎたのか頭がグラグラし、思考回路が自分のものでなくなってしまう…。
もう何もかも、考えれない。
理性なく思いのままに体が動く。
そんな状態で、歩く私はフラフラだろう。
ソファーに近づく私は、漆黒の髪と整った顔をもつ男の綺麗な寝顔に触れる。
「あっ…くぅぅん…っ」
:10/11/14 02:25
:F906i
:os6TloOI
#89 [luna.]
.
「だいしゅ…ぅ…き」
そして理性が外れてしまったまま、自分の唇をきれいな形の唇に近づけていったー……。
ペチ…
「こぉーら、理央ちゃん?とーや君の寝込み襲っちゃダメでしょ?」
頭の上に暖かい手のひらの温度と、愛しい声が降ってきた。
:10/11/14 02:30
:F906i
:os6TloOI
#90 [luna.]
.
「……うぅ〜、あ。」
そこでかろうじて、十夜とあっくんの人物判断が確認できた。
グィッ
あっくんに片腕を引っ張られ、ソファーから離されて、力なくカーペットにへたり込む。
そんな私の前で床に寝転ぶあっくんは、可愛くて。
「……っ…」
でも瞳の色は、とてもくすんでいて憂いを帯びていた。
:10/11/14 02:38
:F906i
:os6TloOI
#91 [luna.]
.
「……あっ…くん?」
「…………ん?」
「辛いんでしょおー…?みつ…きさんのこ、と。」
「…………ん。」
悲しさを押し込めるように無理矢理笑うあっくんに、胸がぎゅっと痛いくらい締め付けられた。
そして、思わず自分から顔を近付けた。
「……んっ…。」
唇と唇がくっつく。
:10/11/14 02:45
:F906i
:os6TloOI
#92 [luna.]
.
「……理央?お酒のみすぎぃー。」
あっくんがあたしの頭を撫でる。
「あっくんがすきぃ、大好きぃっ…。」
少し離れた唇の隙間に、ありったけの想いが溢れ出す。
そして、視界が滲む。
「あっくん……あたしが埋め…るからぁ、美月さん…だと思って辛さを吐き出してぇ。」
そして次は深く口づける。
あたしは、数ヶ月前と同じ言葉であっくんを黒い沼へと引きずり込んだ……。
:10/11/15 00:55
:F906i
:j1mLKAmM
#93 [luna.]
.
「……っ…り…お」
「……んんっ…ふっ…」
あっくんの何かがプツリと切れたらしい。
頭を撫でていたあっくんの手は、後頭部に回りあたしの頭を強く引き寄せた。
絡み合う舌と舌。
息つく暇もないように
口付けはさらに深さを増す。
ドサッ
視界が反転する。
:10/11/15 01:01
:F906i
:j1mLKAmM
#94 [luna.]
.
◎
もし読んで下さってる方が
おられましたら
感想頂けると
とてつもなく私が喜びます←
心優しい方よろしければ
パワーの源を下さい(笑)
(*´ω`*)ノ
.
:10/11/15 19:52
:F906i
:j1mLKAmM
#95 [我輩は匿名である]
読んでます^^*
頑張って書いてください♪
:10/11/16 00:09
:SH01B
:3SPXlGoo
#96 [我輩は匿名である]
読んでます(^ω^)

同級生の男の子の気持ち切ないです><
:10/11/29 10:40
:F01A
:FFWERsKQ
#97 [luna.]
.
comment有難うございますっ★
嬉しくってとても心がポカポカしました(*´д`*)
しばらく更新できずに申し訳ないです(>_<)
忙しくて、話をたてたり考えたりする時間の余裕がありませんでした

これからも不定期亀更新になりそーですが、暖かく見守って下されば嬉しいです(^O^)/
また宜しければ、

感想版

の方にもお越しください★
:10/11/29 22:12
:F906i
:sEBrRMXU
#98 [luna.]
.
目に映るのは、私に覆い被さるあっくんの顔。
「……っ…。」
顔を歪ませ、悲痛な表情を浮かべている。
そんな表情さえも、キレイで……
見るだけで胸の奥がキュッとキツく疼く……
欲しくて―…
欲しくて、欲しくて
:10/11/29 22:21
:F906i
:sEBrRMXU
#99 [luna.]
.
どうしようもない気持ちが溢れ流れて、止める術もない……。
止めたいとも思わない。
このままあっくんをこの想いに沈めて、独り占めしてしまいたい――。
「…ぁっ……」
シャツの下から弄る手に、思わず反応してしまう。
指先、舌、吐息……
あっくんのだと思うだけで
体が溶けてしまいそう。
:10/12/05 16:52
:F906i
:K7.7FDbc
#100 [luna.]
.
「やぁっ…んんっ―…」
「声出すの今禁止。」
あっくんの手で口が塞がれる。
「……っ…あ…」
でも、体は素直で止める事なんて出来ない。
あっくんの片手が、私を酔わせるんだ……
「……んっ―」
尚、声の漏れる私の唇を唇で塞ぐ。
:10/12/05 17:00
:F906i
:K7.7FDbc
#101 [luna.]
.
どんな形でもいい。
あっくんなら
幸せなの……。
「……っ…。」
頬にポタリと落ちる水滴に目を見開いた。
あっくんの涙……
それとも髪の毛から滴る水なのか……
それを判断する思考も今はない。
ただ、今という時間に酔いしれて、
「……み…つき…」
:10/12/05 17:06
:F906i
:K7.7FDbc
#102 [luna.]
.
「………。」
あっくん聞こえてるんだよ?
酷くかすれて、蚊の鳴くようなか細い声でも私の鼓膜を、神経を震わせるには充分すぎるよ……
『……み…つき…』
そんなに愛おしそうな声で呼ばれると、胸が潰れそう。
私は、一気に現実に引き戻される。
:10/12/05 17:11
:F906i
:K7.7FDbc
#103 [luna.]
.
「……っつ…」
こみ上げる涙を隠そうと片腕を使って目を覆った。
それでも、手遅れで一筋の涙が私の頬を伝う――。
「……り、お」
あっくんはそれに気付いて
「ごめん、頭冷やしてくる。」
と、一言添えて私から離れて違う部屋へ入っていった。
:10/12/05 17:15
:F906i
:K7.7FDbc
#104 [luna.]
.
……覚悟はしていたはず
なのに、
自分が情けない。
「……ははっ」
渇いた笑いが零れる。
胸がズキズキと音をたてて痛む。
誰か――
今すぐ私の息の根を止めてくれないだろうか。
:10/12/05 17:20
:F906i
:K7.7FDbc
#105 [luna.]
.
▼side toya
.
:10/12/05 17:25
:F906i
:K7.7FDbc
#106 [かんな]
この小説凄い好きです!
頑張って下さい柳N
:10/12/12 14:40
:SA002
:FWuBWWC.
#107 [luna.]
.
◎かんなさん
読んで下さって
有難うございます!!
すごく好きと
言ってもらえて
とても胸が弾んでおります♪
亀更新ですが頑張りますっ
(*´д`*)
.
:10/12/15 15:16
:F906i
:HNFeB6fU
#108 [luna.]
.
誰か――
今すぐ俺の息の根を止めてくれないだろうか。
.
:10/12/15 15:17
:F906i
:HNFeB6fU
#109 [luna.]
.
「………」
何が起こっていたのかー…
鈍器で殴られた後ように眩暈がしそうだ。
その中で真っ先に思ったこと……
誰か、俺の息の根を止めろと。
そう思わずにはいられない。
:10/12/15 15:21
:F906i
:HNFeB6fU
#110 [luna.]
.
もしくは、何故すぐに寝付けなかったのか、
と、自分に腹立たしくなった。
そんな目を瞑っていただけの俺の前に、理央が近づいてきた時は心臓が大きく跳ねてしまった。
それが何故わかったのか……
……理央の香り。
俺の前に残るわずかなせっけんの香りがその証
:10/12/15 15:27
:F906i
:HNFeB6fU
★コメント★
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