忘れないから
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#7 [ュィ]
結城は思わず手を離した。

怜奈はにっこり笑うと去っていった。



『あいつ誰だよ?』

結城は怜奈とぶつかったあと、屋上で煙草を吸いながら、いつもつるんでいる太一に聞いた。

太一と結城は学校1、2の問題児で、誰も手をつけられないほどの不良だった。この辺りの地域でも名の知れた不良である。

⏰:10/09/23 02:09 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#8 [ュィ]
『結城しらねーの?あいつ‥』

結城は白に近い金髪、太一は坊主頭。二人ともかなりの美男子だが、恐ろしさゆえに誰も寄り付かない。

『アイスドール』
『あ?』

太一が煙草を消し、少し考え込みながら言った。

⏰:10/09/23 02:11 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#9 [ュィ]
『両親は外国にいて、確かどっちかがアメリカ人だったか。1人でこっちにいるらしい。あの美貌と冷たい青い目から、この辺じゃアイスドールで有名らしいぜ。』


『なんだそれ』

結城は吹き出した。
アイスドールか。確かにあいつの目。

『怖いもんなしで、この前他校のやつに絡まれても張り倒したらしいぞ』

⏰:10/09/23 02:14 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#10 [ュィ]
『ふーん。あいつうぜーな』

あのバカにしたような笑顔とあの目。それに怖いもんなしときた。一発痛い目見せなきゃ示しがつかねぇな

そんなことを思いながら結城も煙草の火を消した。

⏰:10/09/23 02:16 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#11 [ュィ]
『怜奈ちゃん』

里奈が怜奈を見つけて走ってきた。
『あ、おはよ。てか遅刻じゃん』

『じゃなくて!浅川くんと喧嘩したって、本当に!?』

『あさかわ?だれそれ』

あぁあいつか。
あのハゲ。
朝から怒っててうっとーしかったな。

怜奈はそんなことを思っていた。

『浅川君、超ヤンキーなんだからね!女とか男関係なしに手上げるし!危ないんだから!』

里奈は声を荒げる。

⏰:10/09/23 02:19 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#12 [ュィ]
『別にどうでもいい。興味ないし。てか里奈、テスト赤点だって。』

里奈の顔面から血の気が引いていく。

『高3なのにこれじゃ、進路ないって湯川先生が言ってたよ。』

『‥終わった』

『早く先生んとこいってきなよ。あたし煙草吸ったら教室行くし、一時間目、日本史だよね?出ないって言っといて』

怜奈は笑顔で、肩を落とす里奈を励まし、屋上へ向かった。

⏰:10/09/23 02:23 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#13 [ュィ]
里奈と怜奈は一年生のときから同じクラスで、成績優秀な怜奈と違い、里奈は学年最下位。まったく正反対な2人だった。


あれ?誰かいる?

怜奈が屋上のドアをあけ、二つの後ろ頭を見つけた。

『あ、』
『あ!』

怜奈と結城の目が合う。
結城は朝の出来事を思い出し、怜奈に近づいた。

⏰:10/09/23 02:26 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#14 [ュィ]
『てめー朝はよくも』
『たばこ』

『は?』

太一と結城が驚いた顔で怜奈を見る。

『吸いにきただけだから。』

それだけ言うと、太一たちがいた場所に行き、煙草に火をつけた。

⏰:10/09/23 02:28 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#15 [ュィ]
『お前、なめてんだろ』

太一が怜奈の肩をつかむ。

『だれを?』
『俺たちに決まってんだろ!』

怜奈は動じず、煙を吐き出した。

『別にあんたたちのことなんか知らないし興味ない。どーでもいいし、関係ない。』

動じない怜奈に、太一が殴りかかる。

⏰:10/09/23 02:31 📱:N02A 🆔:☆☆☆


#16 [ュィ]
『あち!』

『煙草の火は600度。あんたたち女でも構わず殴るんだってね。本当人間のカスね。暴力振りかざして俺は強いんだって超だっさ。ださすぎて眼中にもなかったのにわざわざご丁寧に挨拶してくれてどうもありがとう。あんたたちが今まで殴った人たちはねぇ、そんな火なんかより何倍も痛い思いしたの。わかる?』

太一の頬に煙草の火のあとがついた。

⏰:10/09/23 02:34 📱:N02A 🆔:☆☆☆


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