その日が来る前に、2
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#162 [愛華]
それが正直な気持ちだった。
自分でも知らないうちに泣いてたんだから……わかんない。
「………そっか」
それっきり直純くんは黙った。
すぐ近くに直純くんの顔がある。
なんか不思議な気持ちだ。
風は冷たいのに……あたたかい
:10/10/24 20:00
:840SH
:bSBAkyn2
#163 [愛華]
「……あのさ、聞いていい?」
直純くんが消えるような声で
言った。小さな小さな声。
「……なんで白石は……
隆兄のことなんにも聞かないの?
梓は問い詰めたのに…なんで?」
「……わかんない。
いつもどおりにしたかったけど無理だよね、そんなの……」
:10/10/24 20:09
:840SH
:bSBAkyn2
#164 [愛華]
「………白石」
「あたし、隆則が大事だよ。
1番すきで、1番大切。
でも直純くんもほっとけない。
直純くんは…あたしと同じだから
直純くんも気づいてるでしょ?」
「……うん」
「でも同情じゃないよ。
あたしは……今のままじゃ
直純くんを責めることも助けることもできないよ。
傷ついてるのわかってるのに」
:10/10/24 23:06
:840SH
:bSBAkyn2
#165 [愛華]
「………」
直純くんは黙ったまま
あたしの目を見つめる。
あたしは起き上がって続けた。
「……だから、教えてほしい」
6年間の間に何があったのか。
その、真実を。
直純くんはゆっくりと
ふーっと息をはいた。
:10/10/24 23:12
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:bSBAkyn2
#166 [愛華]
直純くんは遠くを見つめた。
隆則のあの時の目。
……過去の自分を見つめる目。
.
「……俺、虐待されてたんだ」
「…………え?」
そこに隠された真実に
つながれていく未来。
誰が予想できただろうか。
:10/10/24 23:21
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:bSBAkyn2
#167 [愛華]
′
………声が聞こえる。
いつもと同じ怒鳴り声。
外から閉ざされたこの世界で
俺は………光を失った。
:10/10/25 18:22
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:4aP1MYX6
#168 [愛華]
「直純!!勉強しろ!!」
経営学を徹底的に学ばされる。
意味もわからないもの。
じいさんにとって俺は……
跡取りのための道具。ここへ来て二ヶ月でそれがわかった。
隆兄とも会わせてもらえず
学校も行けなくなり
地名も知らない場所へ引っ越した
:10/10/25 18:26
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#169 [愛華]
やがて手紙も出せなくなり
電話番号も変えられて……
今に至る。
「……じいちゃん。外に出たい」
「口答えすんな、クソガキ。
これ終わってからにしろ」
外には高い塀。
越えられそうもない……
:10/10/25 18:28
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#170 [愛華]
やっと今わかったよ。
じいちゃんが隆兄を引き取りたくなかったわけ。
俺を扱うのに……隆兄は邪魔だったんだね。
俺はいままで隆兄に頼ってばかりで………
隆兄がいないと反抗もできない。
そういう俺のほうがじいちゃんは扱いやすかったんだ。
:10/10/25 18:32
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#171 [愛華]
手にはアザがいっぱい。
痛いという感覚も忘れた。
毎日のようにふるわれる暴力。
今では体じゅうにできた。
空気の味もわからない。
逃げたい。
逃げられない。
地獄のような……現実。
:10/10/25 18:35
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