その日が来る前に、2
最新 最初 🆕
#17 [愛華]
「お前つよすぎ。なんだよマジ。
明らか俺よりお前のほうが
怪我軽いじゃんか」

「あ……空手やってたから」

俺は小学校のころ空手を少し
やっていた。確かに冷静に
なってみれば達也のほうが傷の
数が多かった。

「むかつく………んだよ……」

達也はうつむいた。

俺もうつむいた。

⏰:10/10/08 23:48 📱:840SH 🆔:NTikCQwA


#18 [愛華]
「人なぐるのって……痛いな」

俺は自分の拳をさすった。
手の甲は真っ赤になっていた。
皮がめくれて空気がしみる。

「そうだな……」


窓が空いていて風がはいる。
優しい沈黙。
もしかしたら………

まだ戻れるかもしれない。

俺たちはまだ子供だから

まだ……………

⏰:10/10/08 23:52 📱:840SH 🆔:NTikCQwA


#19 [愛華]
「戻れねぇから」



もう、だめなんだ。


幼いが故の反抗。
ほどけることのない痛み
認めることは間違い。
認めないことが最後の強がり。

「仲直りしよう。悪かったな」

言ってしまえば終わる。
元に戻れる。
またいつもの日々に。

⏰:10/10/08 23:58 📱:840SH 🆔:NTikCQwA


#20 [愛華]
でも俺たちはまだ13歳で

過ちの終わらせかたを知らない


後悔することを選んだとしても

それでも俺たちは知らないから

壊れたものは治っても跡が残る。

だから俺たちは戻れなかった

幼い俺は

俺たちは

⏰:10/10/09 00:04 📱:840SH 🆔:.z2.R1DM


#21 [愛華]




夕暮れの赤い道を、
母さんと歩いて帰った。

母さんは喧嘩の理由は聞かずに隣のヒロくんがどーだかこーだかとか話していた。

きっと励ましてくれてる。

わかってたから何も言わなかった

ただ黙って聞いていた

⏰:10/10/09 00:08 📱:840SH 🆔:.z2.R1DM


#22 [愛華]
「……隆則、アイスたべよっか」

「……べつにいい」

母さんはかばんを俺に預けて
アイスを買ってきてくれた。

誰もいない公園のベンチで

母さんと並んでアイスを食べた

甘くて冷たい。

夕日の光に照らされて

テカテカとアイスが光る。

⏰:10/10/09 00:12 📱:840SH 🆔:.z2.R1DM


#23 [愛華]
「………隆則」

ドキッとした。

怒られるのだろうか。

だとしたらなんて?

謝りにいけ、とか?


俺は母さんの言葉を待った。


「強くなったねー。母さん、
達也くんの傷見てびっくりしたよ
隆則より全然ひどいんだもん」

⏰:10/10/09 00:17 📱:840SH 🆔:.z2.R1DM


#24 [愛華]
「………うん」

「強いことはいいことだよ。
絶対どこかで誰かの役に立つから
その時までとっておきなさい。
こんなことに使っちゃだめ。」

「……………うん」

「隆則が傷だらけになるのやだな
あんたの取り柄は顔でしょ?」

ひでぇこと言う母親だな。
でも あたたかい。

あんたは大丈夫だよ って

言ってくれてるみたいで

⏰:10/10/09 00:56 📱:840SH 🆔:.z2.R1DM


#25 [愛華]
「自分の大切なものはね、
自分だけのものじゃないの。
もったいないでしょう?
だからね、誰かのために使うの」

アイスが夕日の暖かさで
少しずつとけてゆく。

「たまには喧嘩してもいいよ。
だって男の子だもんね。でも、
その強さは……いつか隆則に守るべき人ができた時に使いなさい」


もうアイス、しょっぱくて
食べれないな。

⏰:10/10/09 01:06 📱:840SH 🆔:.z2.R1DM


#26 [愛華]
「泣いちゃだめだよ。その涙も
いつかにとっておくの。
そのほうが素敵でしょう?」

俺は鼻水と涙をぬぐった。
カッコ悪い。やだ、こんな自分。

「たくさんの人に会って
たくさんの人と話して……
いつか誰かのために泣きなさい」

母さんはティッシュを俺にくれた
なんで箱ティッシュなんか持ち歩いてんだよ。ばかじゃねぇの…

⏰:10/10/09 01:12 📱:840SH 🆔:.z2.R1DM


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194