その日が来る前に、2
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#1 [愛華]
:10/10/06 00:43
:840SH
:ZQKECwM.
#2 [愛華]
次の日。
俺はいつもどおり学校へ向かった
「おっはよタカ!お土産は?」
梓がいつものように背中を叩く。
本当にいつもどおりの朝。
「おぅ、ほれ。『むにチョコ』」
「なにそれ〜?あ、本当にむにむにしてる。ありがとー」
:10/10/06 22:10
:840SH
:ZQKECwM.
#3 [愛華]
梓はチョコを食べながら言った。
怪しげなチョコをこんなに喜んでくれるとは…梓、いいやつ。
「てゆーかさ、普通って宿泊研修とかの次の日って休みなんじゃないの?」
「そうなんだよなーひどいよな。
まぁ午前だけで終わりだし。
明日から休みだからいいけどー」
「ふーん。明日さ、タカんち
遊びいってもいいかなぁ?」
:10/10/06 22:28
:840SH
:ZQKECwM.
#4 [愛華]
「あぁ……明日ならいーよ。
ゲームするか。久々に」
「やった♪」
小さいころからよく家には
梓がいた。いつもいた。
いつのまにか父さんと母さんとも梓は仲良くなっていった。
「ほら、直純いっちゃうぞ」
「あ、うんそれじゃあね」
だいじょうぶ。いつもどおり。
:10/10/06 22:50
:840SH
:ZQKECwM.
#5 [愛華]
学校へつき、下駄箱へ向かう。
……なんだろう。
いつもどおりなのに
いつもと違う気がするんだ。
教室の前につくと、それは明らかに
強く俺を包んだ。
入った瞬間にその正体はわかった
ガラッ
「たっかのりー!!
お前やるなぁ!!女子が苦手とか言っといてよー!!」
:10/10/07 00:39
:840SH
:N/hOSzgk
#6 [愛華]
「………え?」
黒板を見ると、そこには
『赤石隆則×水沢真理菜の
熱愛発覚!!宿泊研修の夜、
キス!!お幸せにー!!』
な、んだよこれ。なんで?
真理菜ちゃんのほうを見ると、
真理菜ちゃんは恥ずかしそうに
赤くなり照れるように笑っていた
頭の中は真っ白だ。
意味がわからない。
わかりたくもない。
:10/10/07 00:43
:840SH
:N/hOSzgk
#7 [愛華]
「おまえらいつから出来てたんだよー!?白状しろよー!!」
「ち、ちが……」
「照れんなよー!二人して真っ赤になってやんのー!!」
クラスのみんなが騒ぎ立てる。
「……うっせーな……」
騒ぎ声に混じって聞こえた。
冷たい声。
……………………達也。
:10/10/07 00:47
:840SH
:N/hOSzgk
#8 [愛華]
「達也!!」
俺は達也のもとに走った。
「俺は………」
言おうとして気づいた。
何を言っても言い訳でしかない。
そんなつもりなかった
隠す気なんてなかったんだ
なにを言っても同じだ。
俺は……達也を陰で裏切ってた。
その事実は変わらない。
:10/10/07 00:53
:840SH
:N/hOSzgk
#9 [愛華]
「……なんだよ?言いたいことあんなら言えよ。言い訳するなら今のうちだぞ?」
達也の冷たい目。
教室がシンとなる。
わけもわからないみたいだ。
「………ないよ。でも俺……」
「でも……なに?」
「俺、したくてしたわけじゃねんだよ!!これは嘘じゃねぇ!」
:10/10/07 00:57
:840SH
:N/hOSzgk
#10 [愛華]
「………それだけ?」
「え………」
次の瞬間。
ドカッ!!
頬に痛みが走った。
「きゃあ!!」
「達也、おまえ何してんだよ!」
クラスのみんなの声が聞こえる。
俺は衝撃で起き上がれない。
:10/10/07 01:01
:840SH
:N/hOSzgk
#11 [愛華]
「んなこと聞いてねぇよ……
なんで隠して黙ってた?
陰で笑ってたんだろ俺のこと」
「ちげぇよ……」
「違くねぇだろ!!」
達也はさらに腕を振り上げた。
ドカッ!!
でも殴ったのは……俺だった。
:10/10/07 16:32
:840SH
:N/hOSzgk
#12 [愛華]
「人の話聞いてたかよ!!
俺はしたくてしたわけじゃねぇ!
勝手にきめつけんなよ!
俺だって意味わかんねぇよ!」
達也はゆっくり立ち上がった。
「……逆ギレしてんなよ。
結局、隠してんだから一緒だろ」
二人で睨み合う。
誰も止めない。止められない。
:10/10/07 16:35
:840SH
:N/hOSzgk
#13 [愛華]
ドカッ!!
バキッ!!
殴り合う音だけが響く。
こんなに人を殴ったのは初めてで
自分の拳の皮も剥けてきて。
痛くて痛くて痛くて。
先生が教室に来て止めに入るまで
喧嘩は続いた。
誰も 止められなかったんだ
:10/10/08 01:11
:840SH
:NTikCQwA
#14 [愛華]
′
どこで間違ったんだろう
どうしてこうなったんだ
そんなつもりなかったのに
ごめんな、達也。
遅いかもしれないけど
ごめんな
:10/10/08 23:32
:840SH
:NTikCQwA
#15 [愛華]
「………なにがあったの?」
「…………」
先生が問いただす。
俺たちは何も答えない。
「……ここで待ってなさい。
お母さん方に電話してくるから」
先生はため息をついて保健室から
でていった。
カラカラ………
:10/10/08 23:35
:840SH
:NTikCQwA
#16 [愛華]
「「………」」
沈黙が続く。
どうしよう。なんて言えば……
「………なぁ」
「………あ!?」
いきなり達也に話し掛けられて
声が裏返ってしまった。
び、びっくりした……
:10/10/08 23:40
:840SH
:NTikCQwA
#17 [愛華]
「お前つよすぎ。なんだよマジ。
明らか俺よりお前のほうが
怪我軽いじゃんか」
「あ……空手やってたから」
俺は小学校のころ空手を少し
やっていた。確かに冷静に
なってみれば達也のほうが傷の
数が多かった。
「むかつく………んだよ……」
達也はうつむいた。
俺もうつむいた。
:10/10/08 23:48
:840SH
:NTikCQwA
#18 [愛華]
「人なぐるのって……痛いな」
俺は自分の拳をさすった。
手の甲は真っ赤になっていた。
皮がめくれて空気がしみる。
「そうだな……」
窓が空いていて風がはいる。
優しい沈黙。
もしかしたら………
まだ戻れるかもしれない。
俺たちはまだ子供だから
まだ……………
:10/10/08 23:52
:840SH
:NTikCQwA
#19 [愛華]
「戻れねぇから」
もう、だめなんだ。
幼いが故の反抗。
ほどけることのない痛み
認めることは間違い。
認めないことが最後の強がり。
「仲直りしよう。悪かったな」
言ってしまえば終わる。
元に戻れる。
またいつもの日々に。
:10/10/08 23:58
:840SH
:NTikCQwA
#20 [愛華]
でも俺たちはまだ13歳で
過ちの終わらせかたを知らない
後悔することを選んだとしても
それでも俺たちは知らないから
壊れたものは治っても跡が残る。
だから俺たちは戻れなかった
幼い俺は
俺たちは
:10/10/09 00:04
:840SH
:.z2.R1DM
#21 [愛華]
′
夕暮れの赤い道を、
母さんと歩いて帰った。
母さんは喧嘩の理由は聞かずに隣のヒロくんがどーだかこーだかとか話していた。
きっと励ましてくれてる。
わかってたから何も言わなかった
ただ黙って聞いていた
:10/10/09 00:08
:840SH
:.z2.R1DM
#22 [愛華]
「……隆則、アイスたべよっか」
「……べつにいい」
母さんはかばんを俺に預けて
アイスを買ってきてくれた。
誰もいない公園のベンチで
母さんと並んでアイスを食べた
甘くて冷たい。
夕日の光に照らされて
テカテカとアイスが光る。
:10/10/09 00:12
:840SH
:.z2.R1DM
#23 [愛華]
「………隆則」
ドキッとした。
怒られるのだろうか。
だとしたらなんて?
謝りにいけ、とか?
俺は母さんの言葉を待った。
「強くなったねー。母さん、
達也くんの傷見てびっくりしたよ
隆則より全然ひどいんだもん」
:10/10/09 00:17
:840SH
:.z2.R1DM
#24 [愛華]
「………うん」
「強いことはいいことだよ。
絶対どこかで誰かの役に立つから
その時までとっておきなさい。
こんなことに使っちゃだめ。」
「……………うん」
「隆則が傷だらけになるのやだな
あんたの取り柄は顔でしょ?」
ひでぇこと言う母親だな。
でも あたたかい。
あんたは大丈夫だよ って
言ってくれてるみたいで
:10/10/09 00:56
:840SH
:.z2.R1DM
#25 [愛華]
「自分の大切なものはね、
自分だけのものじゃないの。
もったいないでしょう?
だからね、誰かのために使うの」
アイスが夕日の暖かさで
少しずつとけてゆく。
「たまには喧嘩してもいいよ。
だって男の子だもんね。でも、
その強さは……いつか隆則に守るべき人ができた時に使いなさい」
もうアイス、しょっぱくて
食べれないな。
:10/10/09 01:06
:840SH
:.z2.R1DM
#26 [愛華]
「泣いちゃだめだよ。その涙も
いつかにとっておくの。
そのほうが素敵でしょう?」
俺は鼻水と涙をぬぐった。
カッコ悪い。やだ、こんな自分。
「たくさんの人に会って
たくさんの人と話して……
いつか誰かのために泣きなさい」
母さんはティッシュを俺にくれた
なんで箱ティッシュなんか持ち歩いてんだよ。ばかじゃねぇの…
:10/10/09 01:12
:840SH
:.z2.R1DM
#27 [愛華]
母さんがくれた言葉
今でも覚えているよ
強さは守りたい人のために
笑顔は幸せにしたい人のために
涙は 愛したい人のために
その全てが重なる時
自分を全部その人に懸けてもいい
そう思えた時
:10/10/09 12:42
:840SH
:.z2.R1DM
#28 [愛華]
その人はきっとあなたにとって
1番大切な人になるよ。
その時まで
男の子は泣いちゃだめだよ。
中一の夏 友達を失った。
罪による罰を知った。
:10/10/09 12:47
:840SH
:.z2.R1DM
#29 [愛華]
そしてその日の夜
俺の父さんと母さんは死んだ。
買い物に行った帰り道に
信号無視したワゴンに衝突。
俺と直純が病院に着いた時には
意識不明の重体。
父さんと母さんは傷だらけだった
:10/10/09 12:55
:840SH
:.z2.R1DM
#30 [愛華]
′
「御家族の方はこちらへ……」
「……隆兄、隆兄なんなの?
父さんと母さんは?どこ?」
「……いいから。直純おいで」
俺は直純の手を強く握った。
病室に入るとたくさんの管に
繋がれた二人がいた。
………なんだよこれ。なんだ。
:10/10/09 13:00
:840SH
:.z2.R1DM
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