その日が来る前に、2
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#288 [愛華]
「………那佑!!」
「…………ん?」
夢から引き戻される。
机は日の熱をたっぷり蓄えて
あたたかくなっていた。
「あんた寝すぎ。大丈夫?」
「………うん。平気だ、よ?」
あくびが混ざって変な声になる。
…………色々疲れてきたな……
:10/11/15 20:57
:840SH
:MWLvGU.k
#289 [愛華]
「それより、梓。頼んだもの…
大丈夫だった?」
「あぁ………うん、一応」
そう言って梓は一枚の紙をくれた
それは直純くんの住所。
数日前、先生に直純くんの住所を聞いて会いに行った。
でもそこは虐待していた直純君のおじいさんの家だった。
かなり大きな家で、一人では
入る勇気もなく………
直純くんは家を出たと言っていた
どうやらここにまだ住んでいる
ことになっているらしい。
:10/11/15 21:06
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:MWLvGU.k
#290 [愛華]
……でも、会いたかった。
会わなければならなかった。
あたしは梓に、おじいさんから
直純くんの住所を聞いてくれる
ように頼んだ。
見ず知らずのあたしよりも、
小さいころ面識のある梓の方が
いいと思ったから。
……直純くんに、会いたかった。
:10/11/15 21:14
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#291 [愛華]
'
「……1週間来てないもんね…」
「そだね……あ、梓。おじいさんに何も言われなかった?」
あたしは住所が書かれた紙を
ポケットにしまい、尋ねた。
「あー……なんか久しぶりとか
なんとか? あと…………」
「あと………?「
:10/11/15 21:22
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#292 [愛華]
「…あんなクソガキに構うのは
やめたほうがいい……とか」
梓は言いずらそうに言う。
悔しかったんだろうな……
あたしがそこにいてもきっと
同じ気持ちになっただろう。
「……那佑、あたしも行かなくて
ほんとにいいの?」
「大丈夫だよ。………1人で、
行きたいの。会いたいの」
ひとりで会いに行く。
直純くん。 だから待っていて。
:10/11/15 21:43
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#293 [愛華]
きっと直純くんもいっぱい悩んだはずだよ。
辛かったのは隆則も直純くんも
同じだったはずだよ。
そうだよね?直純くん。
だから、隆則を憎まないで。
大切な人を傷つけて
自分も傷ついたりしないで。
「……………で、でか……」
:10/11/15 22:57
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#294 [愛華]
梓にもらった紙を頼りに、放課後
あたしは直純くんの住むアパートに向かった。
方向音痴なあたしは四苦八苦
しながらもなんとかたどり着いた。 でも着いたそこは……
「マ、マンション………?」
すごく立派なマンション。
え……?アパート……??
:10/11/15 23:08
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#295 [愛華]
あれ?話とは違う…………
梓は確かボロいアパートだって
言ってたような………
マンションの周りを何周も回る。
どれくらい繰り返したのか……
道行く人がさすがに怪しがる。
でもここで諦めるわけには……
泣きそうになってきた。
……梓と来ればよかったかなぁ…
地べたに座り込む。
動きようがない。
どこだかわかんないんだもん。
:10/11/15 23:16
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:MWLvGU.k
#296 [愛華]
あたりも暗くなってきた。
このままだと帰れなくなる。
人に道を聞いて駅まで………
明日、梓ともう一度来よう。
立ち上がりかけたその時。
「………なにやってんの」
「……………へ?」
後ろを振り向くと、そこには
スーパーの袋を持った直純くんが
立っていた。
:10/11/15 23:20
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#297 [愛華]
「……直純くん………」
「え、ちょ、なに泣いてんの」
直純くんはオロオロする。
「み、道……直純くんの。
アパート……マンションになってて。わかんないし………
暗いし……帰ろうと…思っ…」
一気に話したけど、多分言葉に
なってなかったと思う。
直純くんだ。
1週間会えなかった……
直純くんだ。
:10/11/15 23:25
:840SH
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