その日が来る前に、2
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#301 [愛華]
「暗いのやだけど………
道聞きながら帰るもん」
「…そーゆー意味じゃねっつの」
直純くんはあたしの髪をくしゃっ
と撫でてまた歩きだした。
……ついていっていいのかな?
ついたアパートは一本道路を
はさんだ交差点の角にあった。
………確かに……ぼろい。
:10/11/17 00:28
:840SH
:.5HozOI.
#302 [愛華]
「…なにおどろいてんの?
入るの?入んないの?」
「あ、入る。入るよ」
キィー……
ドアのきしむ音。
すごく静かだ。
直純くんは……こんなところで
一人で暮らしているんだ。
「てきとーに座って。コーヒーか
緑茶しかないけどどっち?」
「あ………緑茶で……」
:10/11/17 18:33
:840SH
:.5HozOI.
#303 [愛華]
テレビもないし……静かだな。
勝手についてきちゃったけど…
でも伝えたいことがある。
「………はい」
「あ、ありがとう」
あたたかい緑茶。
直純くんはスーパーの袋から
買ったものを出していく。
インスタントばかりだ。
「いつもこんなの食べてるの?」
「料理、めんどくさいし」
:10/11/17 18:39
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:.5HozOI.
#304 [愛華]
……似てるな、隆則に。
「………で。話ってなに?」
「あ………うん」
いつのまにか直純くんは自分の分の緑茶を持ってソファに座っていた。……なんか、痩せた。
前の直純くんじゃないみたい。
「……どうして学校こないの」
:10/11/17 18:48
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:.5HozOI.
#305 [愛華]
「…めんどくさかったから」
「………ちゃんと学校来て。
それがひとつめのお願い」
「ひとつめって……まだあんの」
直純くんは反らしていた目を
あたしに向けた。
あたしのするべきこと。
今ははっきりわかるよ。
「………復讐なんてやめて」
:10/11/17 18:58
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:.5HozOI.
#306 [愛華]
強い風が窓をたたいた。
強い風は神様が風邪をひいている
昔誰かが言っていたっけ。
「………無理。」
直純くんは小さくつぶやいた。
冷たくて………哀しい声。
「無理じゃない。直純くんは
隆則を憎んでなんていない。
どうして嘘つくの?」
「嘘なんかついてねぇよ!」
:10/11/17 19:05
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:.5HozOI.
#307 [愛華]
「じゃあどうして………
まだ『隆兄』なんて呼んでるの」
「は……………?」
直純くん………
嘘なんかつかないでよ。
「隆則のこと………お兄さん
として慕っているからでしょ?」
つぶれていた痛みを。
ほぐれなかった苦しみを。
ゆっくり解き明かす。
:10/11/17 19:09
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:.5HozOI.
#308 [愛華]
「隆則だってそうだよ。直純くんが必要なんだよ。直純くんも
そうでしょう?」
直純くん。
私の声を、聞いて。
「直純くんが………」
「綺麗事ばっか言うなよ!!」
窓が、また叩かれた。
息が止まっていたことに気づいた
直純くんから目は反らさない。
:10/11/17 19:14
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:.5HozOI.
#309 [愛華]
「結局白石は隆兄を救いたいってだけだろ?俺なんか少しも関係ないだろ?もう構うなよ!」
「あたしは……隆則も直純くんも同じくらい大切なんだよ」
大切な人の大切な人は
いずれ自分にとっても大切な人になってゆく。
梓。今なら気持ちがわかるよ。
直純くんは大切な人。
だから、助けたい。
余計なお世話だって思われても
綺麗事だって言われてもいい。
:10/11/17 19:20
:840SH
:.5HozOI.
#310 [愛華]
「………ばかじゃねーの……」
『愛されてるっていう実感なんて
もう忘れちゃったし………』
それは違う。気づいてよ。
「直純くん……お願いだよ」
「なんで……………
泣くの」
:10/11/17 19:38
:840SH
:.5HozOI.
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