その日が来る前に、2
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#544 [愛華]
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「久しぶりだな。元気か?」
それが隆兄にかけられた
最初の言葉だった。
学園祭以来なんだ。隆兄と会うの
:10/12/17 20:27
:840SH
:JGd1mE7k
#545 [愛華]
隆兄は、笑っていた。
だから俺も笑った。
「……俺は学園祭以来だけどさ
隆兄は違うよな?」
「……え?」
「見舞い……来てくれたろ?
事故った時………」
「……はは。一回だけな」
:10/12/17 21:15
:840SH
:JGd1mE7k
#546 [愛華]
隆兄は笑いながら、ベンチに
座った。
あの日と同じ公園なのに
違うように見えるんだ。
「………那佑から聞いた。
虐待とかのこと。全部」
「そっか。あ、でも今はなんも
ないからな?あのジジイに恩
なんかこれっぽっちも感じて
ないから」
:10/12/17 21:28
:840SH
:JGd1mE7k
#547 [愛華]
「話聞いた時、殴りに行こうか
とか思ったけどさ」
「はは、マジで?」
「……まぁそんな権利ないし」
『権利がない』
隆兄は自分を責めてたんだ。
この6年間…………ずっと。
知らなかった俺はなんて
幼かったんだろう。
:10/12/17 21:48
:840SH
:JGd1mE7k
#548 [愛華]
「………学園祭じゃないよ?」
「ん?なにが?」
隆兄は不思議そうに俺を見た。
そう。6年振りに会ったのは…
学園祭じゃない。
「ほんとはクリスマスん時に
会ってるんだよ?俺ら」
「……………えぇ!?」
:10/12/17 21:52
:840SH
:JGd1mE7k
#549 [愛華]
「隆兄、なんか知らんけど
すっげ酔ってたから………」
「ぜ………全然覚えてねぇ…」
だろうな。
「……俺、隆兄を憎んでるわけ
じゃないから。もう違うよ」
「え……なにそれ。憎めよ」
「憎まない。俺は………
隆兄がうらやましかった」
:10/12/18 00:04
:840SH
:AYlUKGrk
#550 [愛華]
俺の欲しいものを持ってる。
うらやましくて、うらやましくて
仕方なかったんだ。
「………ひとつ聞いていい?」
「なに?那佑のこと?」
「…白石と別れたのは俺の為?」
:10/12/18 00:08
:840SH
:AYlUKGrk
#551 [愛華]
答えは知ってる。
でも確かめたい。
隆兄は……嘘をつくだろうか。
「………違うよ」
「嘘つくなよ」
「嘘じゃない」
いや、嘘だろーが。
思い切り未練たらたらのくせに。
:10/12/18 00:15
:840SH
:AYlUKGrk
#552 [愛華]
「……なぁ、直純」
「なんだよ?」
「那佑の、側にいてやってな」
胸が、痛んだ。
針で刺されたみたいに。
でも隆兄は……
もっと痛かっただろ?
:10/12/18 00:19
:840SH
:AYlUKGrk
#553 [愛華]
「……俺も白石の側にいたい」
「そか?そんならよかった。
那佑はさみしがりやだけど…
お前が思ってるより強いから。」
うん。でなければきっと
隆兄との別れは乗り越えられ
なかっただろう。
「那佑と………いつかまた会う」
:10/12/18 00:26
:840SH
:AYlUKGrk
#554 [愛華]
その言葉は、隆兄自身が自分に
言い聞かせてるみたいだった。
「那佑の病気のことは?」
「梓から聞いた」
「ん。なら安心」
安心って…………
ほんと、最後まで俺と白石の
心配しかしてねーじゃん。
「話は、それで終わり」
:10/12/18 00:29
:840SH
:AYlUKGrk
#555 [愛華]
「終わり?」
「直純が1番好きなやつと
絶対に幸せになれ。絶対に」
隆兄の瞳は強くて、鋭くて。
「当たり前だろ。隆兄もな」
だから俺も、それに応えるように
強く、強く答えた。
:10/12/18 00:33
:840SH
:AYlUKGrk
#556 [愛華]
ひどいことをしてるかもしれない
好きあってる二人を引き離して
それでもいい、と思う。
隆兄の願いを無駄にしたくない。
なんてのはきれいごとかも
しれないけれど。
梓は「そのままでいい」と
言ってくれたから。
わがままでいよう。
:10/12/18 00:36
:840SH
:AYlUKGrk
#557 [愛華]
「………遊びに来いよ」
「うん。金なくなったら行く。
隆兄今、なにやってんの?」
「大学行きながらバイト」
「そっか……」
近いうちに、また会いたい。
隆兄は、俺の兄さんだから。
:10/12/18 00:40
:840SH
:AYlUKGrk
#558 [愛華]
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隆兄と別れたあとも考えてた。
幸せって………なんだろ…?
:10/12/18 00:41
:840SH
:AYlUKGrk
#559 [愛華]
「幸せになれ」
「幸せになるなら側にいる」
隆兄も、白石もそう言った。
でも今はわかんないんだ。
俺の幸せがなんなのか。
ただ、白石の側にいたい。
笑った顔が見たい。
そう思うんだ。
:10/12/18 00:43
:840SH
:AYlUKGrk
#560 [愛華]
桜が咲き乱れる道を歩いてた。
………もう春も終わりかぁ…
すぐに夏が来る。
秋が来て……冬が来て……
また春が来る。
時間は待ってはくれない。
いつもおいてかれる。
ひとり、残される。
:10/12/18 00:46
:840SH
:AYlUKGrk
#561 [愛華]
「…………あれ、直純くん?」
その季節の中に、君がいること。
「白石?なんでここに……」
「や、ケーキつくったからさ
直純くんにも分けてあげよーと
思って来たんだけど………
直純くん家にいなくってさ」
「ずっと待ってたのか?ここで」
:10/12/18 00:50
:840SH
:AYlUKGrk
#562 [愛華]
「あ、うん。すぐ帰るから!」
「帰るな」
「へ?いや………」
気づいたら抱きしめてた。
いつか、白石がそうしたように。
「な…………おずみくん」
:10/12/18 00:53
:840SH
:AYlUKGrk
#563 [愛華]
「……ん、ちょっとこのままで」
「なんか………あった?」
白石は小さく尋ねた。
見なくても心配そうな顔を
しているのがわかってしまう。
「………なんでもない」
「そっか……」
「な、白石」
:10/12/18 00:56
:840SH
:AYlUKGrk
#564 [愛華]
「なに?」
「キスしていい?」
そう言った瞬間、体が
引きはがされた。
そりゃもう、思いっ切り。
「いいわけあるか!!ってか
最初からそれが狙いだったの?
弱ってるふりして!!」
「あ、バレタ」
:10/12/18 01:00
:840SH
:AYlUKGrk
#565 [愛華]
道の真ん中なのも忘れて叫ぶ
白石を笑ってごまかす。
弱ってなんかないよ。
抱きしめたかったから
抱きしめたんだよ。
なんて言えないけどさ。
「……叫んだらお腹すいた」
「なに、ご飯食べてないの?」
「いや、食べたけど………」
:10/12/18 01:04
:840SH
:AYlUKGrk
#566 [愛華]
白石はじーっとケーキを見つめる
「………食べる?」
「食べる!!」
いや、俺にくれたんだろ……
まぁ、いっか。
ゆっくり、好きになってもらおう
:10/12/18 01:06
:840SH
:AYlUKGrk
#567 [愛華]
今は、白石の笑顔だけでいい。
あ、そっか。
「じゃー家で食うか」
「食う!!」
これが、『幸せ』なんだ。
:10/12/18 01:07
:840SH
:AYlUKGrk
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