その日が来る前に、3
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#300 [我輩は匿名である]
光がこんなに心地好いなんて
知らなかった。

夜がこんなに穏やかだったなんて知らなかった。


全部隆則が教えてくれた。


言葉にできないくらいに
温かくて、楽しくて。


つまりね。




幸せなの。

⏰:11/02/05 23:08 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#301 [我輩は匿名である]
'









あたしは大好きなぬくもりを
隣で感じながら目を覚ました。


いつもと違うにおいがした。


それが嬉しかった。

⏰:11/02/05 23:16 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#302 [愛華]
名前なくてすみませんでした。
全部愛華が書いたものなので
疑問に思った方がいたら
申し訳ありませんでした。
更新します。

⏰:11/02/06 12:19 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#303 [愛華]
…………なんだろ?



横を見ると、そこには
目をつぶったままあたしの
頭をなでている隆則がいた。




だからあたたかかったんだ……



そうだ、あたし昨日………

⏰:11/02/06 12:21 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#304 [愛華]
昨日のことを思い出し、一人で
赤面する。体温が上がるのが
自分でもわかった。


………ひゃー……


なんか……すごい恥ずかしい…





「………なんだ、起きてたのか」

隆則がゆっくり目を開けた。

⏰:11/02/06 12:24 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#305 [愛華]
「あ…………おはよ、う……」

「うん。おはよ」


隆則はにっこり笑った。
すごく優しい笑顔。


その視線の先には………



「あ、あんま見ないで……」


あたしはシーツで自分の体を
ぐるぐる巻きにした。

⏰:11/02/06 12:29 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#306 [愛華]
は、恥ずかしい…………!!



「………え、今さら恥ずいの?
んなことしなくても昨日……」

「あーうるさいうるさい!」

「思い切り見ちゃっ……」

「お願いだからやめて!!」


一晩明けると恥ずかしさが
一気にこみあげてきた。

⏰:11/02/06 12:32 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#307 [愛華]
「ぷはっ……わかったよ」

「………もー……」

「叶わないなーほんと……」


隆則はあたしをぎゅうっと
抱きしめた。



「かわいすぎ」

「そ……そう言われましても…」

二人で迎える朝はまぶしくて。

⏰:11/02/06 12:36 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#308 [愛華]
「隆則、寝癖ついてる」

「ん、ほんと?」


あたしはシーツから手を出して
隆則の髪にちょいっと触れた。



あれ、今までこんなに近くで
隆則の顔を見たことあったっけ?


びっくりするくらい綺麗な顔
してるなー……

⏰:11/02/06 12:39 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#309 [愛華]
「……………へへっ」

「なーに笑ってんの」

「だって寝癖とか
かわいんだもん」


そう言うと隆則は少し顔を
しかめた。面白くなさそう。


「かわいいとか嬉しくない」

「えーほめてるのになぁ」

「んなこと言ってるとベッドから落としちまうぞ」

⏰:11/02/06 12:44 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#310 [愛華]
「ちょ、今動けないんだけど!」

「自分でぐるぐる巻きに
なったんだろ………馬鹿か」



あ、そうでした………。



枕もとの時計を見ると、
9時をまわっていた。


今日、また戻らなきゃ
いけないんだ…………。

⏰:11/02/06 13:01 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#311 [愛華]
変なの。


昨日まで不安でたまらなかった。



「生きたい」なんて隆則に
泣きついて。


隆則はなにも言わずに
ただ抱きしめてくれてたけど…


それだけで私の力になったよ。

⏰:11/02/06 13:08 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#312 [愛華]
大丈夫。



もう、怖くないよ。






「隆則」

「ん?」

「キスして」

⏰:11/02/06 13:16 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#313 [愛華]
隆則は一瞬びっくりした顔をして
あたしを真っ直ぐに見つめると
ゆっくり唇を重ねた。





今までできっと、

1番幸せなキス。




唇が離れると淋しさを感じた。

⏰:11/02/06 13:19 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#314 [愛華]
「…………足りないの?」

「…………」


あたしはその気持ちを悟られて
しまったようで………

それをごまかすようにもう一度
隆則にキスをした。



甘くて、ちょっと苦くて。



知らないうちに涙が流れた。

⏰:11/02/06 13:23 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#315 [愛華]
隆則はあたしの涙をぬぐい、
目にキスをしてくれた。


「………なんで泣いてるの」

「言ったら馬鹿にされる」

「しないよ。言ってみ?」



あたしは涙もろくなった。
でもね、またこんな風に
あなたの前で泣きたい。


「…………幸せすぎて………」

⏰:11/02/06 13:28 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#316 [愛華]
「……………なんだそりゃ…」


隆則はあたしのまぶたに唇を
つけたままつぶやいた。

くすぐったい。









「…俺も、今なら泣けっかも」


震える声でそう言った。

⏰:11/02/06 13:33 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#317 [愛華]
あなたもあの時幸せだったの?

そんなこと聞けなかったけれど

あの時のあたしは確かに。



全力で幸せだったの。



『幸せってなに?』


いつか直純くんは言っていた。

⏰:11/02/06 13:35 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#318 [愛華]
きっと一生わからない。


わからないから生きるの。



その日が来る前に、


頑張って幸せになろうって


あなたが隣にいるから思えるの。


この日々をいつか思い出して

⏰:11/02/06 13:40 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#319 [愛華]
そして笑いあうために。





神様。

もしいるのなら。


もう一度信じてみていいですか?


奇跡は存在するのだと。

願いは叶うのだと。

⏰:11/02/06 13:43 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#320 [愛華]
明日は決して見えないけれど。

それでも道しるべはあるの。


向こうで待っていてくれる人が
いるから………

あたしは胸張って進めるの。



信じることは簡単じゃない。

それでも強さになるから。


あなたはあの日
そう言いたかったのでしょうか。

⏰:11/02/06 14:00 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#321 [愛華]
長くなったので一旦きります。
>>302-321

夜にまた更新します。
感想あれば、待っています!

⏰:11/02/06 14:03 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#322 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/02/06 20:08 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#323 [愛華]
俺のすぐ側で

「苦しい」と言って泣いてくれた


強がってばかりだった君が

久しぶりに見せてくれた弱さ。



どうしようもないくらい嬉しくて

どうしようもないくらい愛しい。

⏰:11/02/06 20:12 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#324 [愛華]
那佑の体は驚くほど細くて。

そして、冷たかった。




今までどんなことをこの体で
感じてきたんだろう。

きっと俺じゃ一生かかっても
理解できない、そんな思い。



それでも分け合うことはできる。

⏰:11/02/06 20:27 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#325 [愛華]
震える手を握りしめた。
俺の全部が伝わるように。



こんな理不尽な運命を呪った
日もあったけれど


それでも今、ここで。


「幸せだ」と泣いている。



ひとって幸せな時も
涙出るんだ。

⏰:11/02/06 20:57 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#326 [愛華]
なんてことを泣きながら
笑っている那佑を見て思った。



絶対に、離さない。

絶対にずっと側にいる。


そう自分に誓った。






那佑の容態が急変したのは
それから4日後のことだった。

⏰:11/02/06 21:04 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#327 [愛華]
'

















なん、だ、これ。

⏰:11/02/07 21:09 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#328 [愛華]
'









脳が、拒否する。

考えることを。

認めることを。



どうして、今なん、だよ。

⏰:11/02/07 21:14 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#329 [愛華]
那佑が病院に戻ってから
4日目の夜中。

午前2時半。



那佑の母さんから電話が入った。




何を言われたのかは覚えてない。

ただ、移動中に何回もタクシーの運転手にどなったのは
なんとなく覚えてる。

⏰:11/02/07 21:19 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#330 [愛華]
思い出していたのは今までの
那佑との思い出。



…………やめろよ。
浮かんでくるなよ……



こんなのまるで…………




那佑が死んじまうみたいじゃんか

⏰:11/02/07 21:21 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#331 [愛華]
震える手を必死で抑えながら、
エレベーターがあるのも忘れ
階段で病室まで走った。



何を考えていたか。
それも覚えてない。



ただ、那佑が助かりますように。

それだけを祈ってたと思う。



俺は今、裏庭にいる。
那佑との始まりの、あの木の下。

⏰:11/02/07 21:27 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#332 [愛華]
'















蒸し暑い、夜。

昼にはきれいな緑の葉も
夜には漆黒に塗り潰される。

⏰:11/02/07 21:30 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#333 [愛華]
「…………なにやってんだろ俺」





涙さえも出ない。




本当に一瞬の出来事だった。



頭に焼き付いて、消えない。

⏰:11/02/07 21:47 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#334 [愛華]
「……………タカ?」


消え入るような声。
心なしか震えてる。



「病室もどろう?とりあえずは
安定したっていうから……」

「………………」

「先生が………ご両親に話が
あるっていってたみたいでさ」

「………………」

⏰:11/02/07 21:56 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#335 [愛華]
暗くて見えないけれど、多分
泣きそうな顔してるんだろう。

いや、泣いてるかもしれない。




俺はゆっくりベンチに座った。


那佑とジュースで乾杯したっけ。




『赤と白が出会ったことに
かんぱーい!!』

⏰:11/02/07 21:59 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#336 [愛華]
「……那佑の、お母さんがね。
話ならタカにも一緒に聞いて
ほしいって言ってて…」



時刻は、午前4時。




「…………タカ」

「………………」




「なんか言ってよぉ………」

⏰:11/02/07 22:04 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#337 [愛華]
梓は、泣いていた。

静かに。


どうしてお前はそんなに
強いんだよ。



教えてくれよ。なぁ。




いつのまにか明るくなっていた。

⏰:11/02/07 22:07 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#338 [愛華]
「………那佑のとこ、行こ?」

「見れないよ」


たくさんの管に繋がれていた。
今にも消えそうな。
そんな呼吸をしていた那佑。


もう一度なんて見れない。



「話だって………聞けない」


余命?これからの治療法?

⏰:11/02/07 22:25 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#339 [愛華]
そんな話聞けない。


聞きたくない。




わかってた。
いつかこんな時が来るって。


でも、なんで今なんだよ?




俺は…………弱いから。

⏰:11/02/07 22:43 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#340 [愛華]
那佑の側にいたって。


どんなに祈ったって。




那佑を救う方法はわからない。



どうすればいいかわからない。



苦しみに、押し潰されそうだ。

⏰:11/02/07 22:55 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#341 [愛華]
「……………タカ………」


「梓。俺、どうすればいい?」



自分の弱さが嫌になる。


神様でも誰でもいい。

誰でもいいから。





那佑を連れていかないで。

⏰:11/02/07 23:02 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#342 [愛華]
「こんなとこでなにしてんの」

「…………え」



玄関から出てきたのは
那佑なんかなわけなくて。
ましてや神様なんかじゃなくて。




「直純……………」

「さっさと病室戻れよ。隆兄」

⏰:11/02/07 23:06 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#343 [愛華]
息をきらして、短パンにTシャツのままの直純。
よほど急いで来たんだろう。



「…………白石に会ったよ。
安定してるけど、いつまた急変
してもおかしくないんだって?


で、そんな時にあんたは
何やってんだよ?」


鋭くて、突き刺さるような言葉。

⏰:11/02/07 23:11 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#344 [愛華]
その通りだ。でも………



「………那佑の姿、見れない」

「見れなくても見ろよ。
最後かもしれねぇんだぞ」

「直純、あんたなに言って…」

「梓は黙ってろよ」


直純の言葉も。
するすると通り抜けてく。

心を強くえぐって。

⏰:11/02/07 23:15 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#345 [愛華]
「ぼろぼろな白石なんか
見たくないのかよ?」

「そんなんじゃねぇ」

「逃げてんだろ」

「てめぇ何言って………」


「現実見ねぇふりしてんなよ!」


見ない、フリ?


那佑を見ないふり………?

⏰:11/02/07 23:18 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#346 [愛華]
「どんなに隆兄が辛くてもな。
今、この瞬間に端っこで
苦しんでんのは誰だよ?

闘ってんのは誰だよ?」






闘ってるのは誰?

俺?だとしたら何と?



……………違う。

闘ってるのは…………

⏰:11/02/07 23:21 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#347 [愛華]
『生きたい』と言って泣いた。





今も苦しんでる那佑だ。





俺は拳をにぎりしめた。
涙がこぼれないように。


泣くな、泣くな。

⏰:11/02/07 23:23 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#348 [愛華]
「…………隆兄にしかできない
ことがあるだろ?」

「え…………」


直純はなんの迷いもないように
言い放った。





「白石に手術受けさせろ」



生きるか、死ぬか。
那佑が拒んだ手術。

⏰:11/02/07 23:26 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#349 [愛華]
「そんなの………」

「無理じゃないだろ?
もう死ぬか治るか、どっちか
しかないんだよ!

このまんま放置かよ?
そんなの白石がよくても
俺が許さねぇから」



那佑、わかってるお前?



お前の周りにはこんなにお前を
想ってくれてるやつがいるんだ。

⏰:11/02/07 23:32 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#350 [愛華]
「殴ってでも蹴り飛ばしてでも!白石に手術受けさせろよ!」





どうすればよかったかなんて
多分一生わからないけれど。


それでもこの過去を振り返って
後悔するのだけは嫌だ。


流した涙が無駄になるのは
もう嫌なんだ。

⏰:11/02/07 23:35 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


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