その日が来る前に、3
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#1 [愛華]
引き続きよろしくお願いします!
>>2その日が来る前に、
>>3その日が来る前に、2
>>4感想板
>>5アンカー
読んでもらえたら嬉しいです。
感想、アドバイス待ってます!
:11/01/05 18:32
:840SH
:22xhhoZo
#2 [愛華]
:11/01/05 18:34
:840SH
:22xhhoZo
#3 [愛華]
:11/01/05 18:35
:840SH
:22xhhoZo
#4 [愛華]
:11/01/05 18:36
:840SH
:22xhhoZo
#5 [愛華]
:11/01/05 18:39
:840SH
:22xhhoZo
#6 [愛華]
-直純side-
:11/01/05 22:46
:840SH
:22xhhoZo
#7 [愛華]
ありがとう、好きだった。
その一言でいい。
また友達に戻れる。
白石は幸せになれる。
隆兄と………幸せになる。
:11/01/06 15:51
:840SH
:GihfELn6
#8 [愛華]
「おぃ品野ぉ。おまえ日曜日
空いてっか?合コンあんだよ。
お前いれば女の子集まるからさ」
クラスメイトが怠そうに
話しかけてきた。
………そんなひがむなよな。
「わりーな。俺日曜日は用事
あんだよ。すげー大事な」
「なに?白石とデートかよ?
うらやましいよなーあんな
可愛い子とつきあえてさぁ」
:11/01/06 15:56
:840SH
:GihfELn6
#9 [愛華]
「つきあってねーし。
デートでもないし」
「え、違うの?」
「…………『決別』、だよ」
「なに、意味わかんねぇな。
じゃ合コン来れないのかよ?」
「俺いても変わんねーよ。お前も鏡みてみろよ。けっこう
味のある顔してるから」
:11/01/06 16:00
:840SH
:GihfELn6
#10 [愛華]
「でも彼女できねんだよ……」
「元気だせって!!」
俺はクラスメイトの背中を
バンバンと叩き、前を向く。
……変わったな、俺。
自分でもわかるくらいの変化。
清々しい気持ちだった。
:11/01/06 16:03
:840SH
:GihfELn6
#11 [愛華]
俺を変えてくれたのは
天使みたいに笑う女の子。
苦しさと闘いながら
強く強く
光をくれた子。
俺もなにか与えられただろうか。
:11/01/06 16:06
:840SH
:GihfELn6
#12 [愛華]
-隆則side-
:11/01/06 16:07
:840SH
:GihfELn6
#13 [愛華]
暑くなってきた昼の午後。
俺は墓参りにきていた。
母さんと、父さんの。
「…………久しぶり」
風が応えてくれた気がした。
:11/01/06 16:09
:840SH
:GihfELn6
#14 [我輩は匿名である]
ワロタw
:11/01/06 23:10
:W53S
:cYDuppDk
#15 [ゆん]
>>14何が笑えるのか全く分からないんですけど。
この小説好きなのにそういうしょーもない書き込みはやめてください。
見ている人や作者さんの邪魔になります。
:11/01/06 23:57
:SH001
:vZBttPec
#16 [愛華]
>>15様
ありがとうございます。
きっと色々な意見あるんだと
思います。でも最後まで書き上げたいと思いますので、
よろしくお願いします。
>>14様
文章力なくて申し訳ないです。
アドバイスなどあれば感想板に
お願いします。
:11/01/07 01:04
:840SH
:ACJDVPUs
#17 [愛華]
>>13どこかで見てるんだろうか。
こんな情けない俺を見て
笑ってるんだろうか。
持ってきた花を添えて、
手を合わせる。
俺はいつからこんなに弱く
なったんだろう。
:11/01/07 01:07
:840SH
:ACJDVPUs
#18 [愛華]
あいつと出会う前の俺は
もっと強かったように思う。
この世の何にも勝る気がした。
いや、強がってただけか。
失うものが何もなかった。
何もかもを失った後だったから。
ほんとにダサい。
弱くなってしまったのは
あいつのせいじゃなくて……
俺のせいだ。
:11/01/07 01:13
:840SH
:ACJDVPUs
#19 [愛華]
「…………わかんねぇわ」
何をするべきか。
わからない。
『直純くんとつきあったら…
どうする?』
:11/01/07 20:36
:840SH
:ACJDVPUs
#20 [愛華]
知るかよそんなもん。
辛いにきまってんじゃん。
今すぐにでも奪いに行きてぇよ。
ほんとにただの自業自得、か。
:11/01/07 20:50
:840SH
:ACJDVPUs
#21 [愛華]
直純の側にいてくれって
俺が頼んだのに。
そしていつか、直純と那佑が
一緒になること。
それも望んでたはずなのに。
何度同じことを考えたっけ。
俺はどうやったら強くなれる?
どうすれば立ち直れる?
:11/01/07 20:58
:840SH
:ACJDVPUs
#22 [愛華]
「…………わかんねぇ…」
もう一度同じ言葉をつぶやく。
母さん。父さん。
教えてくれよ。
どうすればいい?
何度問い掛けても
強い風が吹くだけだった。
:11/01/07 21:02
:840SH
:ACJDVPUs
#23 [愛華]
-那佑side-
:11/01/07 21:02
:840SH
:ACJDVPUs
#24 [愛華]
日曜日がやってきた。
曇り、のち雨。
天気予報を聞いて少しだけ
気分が落ちた。
………雨かぁ。
鏡の前で笑ってみる。
:11/01/07 21:21
:840SH
:ACJDVPUs
#25 [愛華]
「…………不細工な顔」
まるでこの世の終わりみたいな。そんな情けない顔してる。
クリスマスの朝もこうやって
鏡の前で笑ってみた。
あの時はもっと素敵に笑えた。
なのに今は………。
:11/01/07 21:29
:840SH
:ACJDVPUs
#26 [愛華]
そんなこと考えちゃダメだ。
あたしは直純くんと
つきあうんだから。
そうすれば…………みんな
幸せになるはずなんだから。
隆則がそう言ったんだから。
「あれ、那佑はやいのね」
:11/01/08 00:01
:840SH
:VTNxykz.
#27 [愛華]
「うわ!!お母さん!!
勝手に入ってこないでよ……」
「今日はなに?デート?」
「違うよ」
あたしがそういうと、お母さんは微笑んでみせた。
「………無理しないでね」
…………無理?
:11/01/08 00:08
:840SH
:VTNxykz.
#28 [愛華]
「無理なんてしてないよ?
最近調子もいいしさ」
「病気じゃなくって………
ま、いいんだけど………」
「………?なんかよくわかんないけど、わかったよ」
変なお母さん。
心配してくれてるんだろうけど…
お母さんに言うようなことでも
ないしなぁ………
:11/01/08 00:17
:840SH
:VTNxykz.
#29 [愛華]
「それじゃ、いってくるね」
「ん。いってらっしゃい」
外は蒸し暑かった。
風も吹いてないから余計に…
あ、そっか。もう梅雨だ。
最近一日一日が早過ぎて
そんなことさえ忘れてた。
……直純くん、もう来てるかな
:11/01/08 00:23
:840SH
:VTNxykz.
#30 [愛華]
ほんとにいいんだろうか。
こんな気持ちで直純くんと
つきあって………
直純くんは迷惑じゃないかな。
いや、今さら迷ったって
しかたないか………
空を見上げると今にも雨が
降りそうな感じだった。
………嫌な天気だなぁ……
:11/01/08 21:07
:840SH
:VTNxykz.
#31 [愛華]
街に出てたくさんの人に
紛れると、いろんな人たちの
声が頭に雑音として響く。
………気分が悪いなぁ……
うるさいし………
人ゴミはあまり好きじゃない。
こういうところを歩くときは
いつも隣に………
思い出しかけてやめた。
何考えてんだろ………馬鹿。
:11/01/08 21:23
:840SH
:VTNxykz.
#32 [愛華]
人ゴミにいたせいなのか、
気分が悪くなってきた。
ちょっと座って休もう。
あたしはゆっくりと近くの
ベンチに腰掛けた。
あ、ここ…………。
:11/01/08 21:40
:840SH
:VTNxykz.
#33 [愛華]
クリスマスの日。
隆則に指輪もらったとこだ。
血だらけで駆け付けてくれて。
約束してくれたっけ。
『必ずあたしのところに……
もどってきてね』
涙が止まらなかったあの日。
:11/01/08 22:05
:840SH
:VTNxykz.
#34 [愛華]
何年も前のことみたいだな。
あれ、あたし……………。
「あっれ〜君ひとり〜?」
「……………え?」
:11/01/08 22:22
:840SH
:VTNxykz.
#35 [愛華]
顔を上げると、男の人がふたり
立っていた。日焼けしていて
いかにも遊んでますって感じ。
「顔色悪いよ?なんかあった?」
「俺たちがなぐさめてあげる〜」
そう言って笑う男たち。
……うるさいな。どっかいってよ
:11/01/08 22:27
:840SH
:VTNxykz.
#36 [愛華]
「すいません、用事あるんで」
「そんなこと言わないでさー
お茶だけでもさ。ね?」
「……よく見るとかわいいじゃんこの子。ラッキー」
なにがラッキーなんだよ。
あたしは立ち上がって、ふたりと
は目を合わせずに方向転換した。
「ちょっと待ってってば〜」
:11/01/08 22:40
:840SH
:VTNxykz.
#37 [愛華]
一人の男が腕をつかむ。
「ちょっとしつこいですよ!」
「いーからさ。ちょっとこっち
行こうよ。ねっ?」
まずい………目、笑ってない。
「離してってば!!」
あたしは腕をはらって走る。
どうか追ってきませんように…!
:11/01/08 23:03
:840SH
:VTNxykz.
#38 [愛華]
「はははー待ってよー」
男たちは笑いながら、
追いかけてきた。
「はぁっはぁっはぁ………」
やばい。
こんなに走ったことなんか
何年ぶりだろうか。
息のしかたが……わからない。
:11/01/08 23:12
:840SH
:VTNxykz.
#39 [愛華]
人気のない路地にはいりこむ。
ここまで来れば………
ドクンッ
「………………はっ!?」
:11/01/08 23:14
:840SH
:VTNxykz.
#40 [愛華]
「はっはっ………やっ……」
違う。今までと違う。
体に力がはいらない。
苦しい。苦しい。苦しい……
「あ、いたいたー……」
「あれ、なんか様子………」
:11/01/08 23:20
:840SH
:VTNxykz.
#41 [愛華]
「や………助け………」
追いついた男たちに必死で
助けを求める。
もう目も見えない。
「………おい、やべーよ……」
「なんかヤバいって!!
行こうぜ!!」
パタパタ…………
走り去る足音が暗い路地に響く。
:11/01/08 23:26
:840SH
:VTNxykz.
#42 [愛華]
'
今までの発作と、違う。
感覚でわかる。
あたし…………死ぬんだ。
:11/01/08 23:29
:840SH
:VTNxykz.
#43 [愛華]
まだ、やってないこと。
いっぱいあったのに。
伝えてないことも、いっぱい。
手足の感覚も、もうないや。
:11/01/08 23:31
:840SH
:VTNxykz.
#44 [愛華]
なんか冷たい…………
なんだ、雨か。
今なら泣いてもばれないよね。
…………ばれないよね。
:11/01/08 23:33
:840SH
:VTNxykz.
#45 [愛華]
あたし、幸せだったかな。
誰かを幸せにできたかな。
雨が強くなってきた。
直純くん、まだ待ってるかな。
ごめんね。
:11/01/08 23:37
:840SH
:VTNxykz.
#46 [愛華]
神様。
苦しいのは嫌なんです。
でも、もしできるなら。
あの一瞬が戻るなら。
もう一度だけ、 あの手で。
:11/01/08 23:41
:840SH
:VTNxykz.
#47 [愛華]
強く、
強く、
強く。
抱きしめてください。
:11/01/08 23:48
:840SH
:VTNxykz.
#48 [愛華]
今日の更新分
>>30-48感想、アドバイスあれば
感想板にて待ってます。
:11/01/09 00:28
:840SH
:Sc8ldkxg
#49 [愛華]
'
ここは、どこだろう?
真っ白だ。なにもない。
:11/01/09 21:31
:840SH
:Sc8ldkxg
#50 [愛華]
なんか苦しいけど…………
気のせいかな。
あたし、なんでここにいるの?
………………思い出せない。
:11/01/09 21:40
:840SH
:Sc8ldkxg
#51 [愛華]
ふ、と遠くを見つめた。
あれは…………
「………………隆則?」
隆則だ。
:11/01/09 21:42
:840SH
:Sc8ldkxg
#52 [愛華]
あたしは隆則のもとに走った。
「……………隆則っ!」
…………あれ。
隆則はなにか話しているけど
なにも聞こえない。
さわれない。
:11/01/09 21:44
:840SH
:Sc8ldkxg
#53 [愛華]
すぐそこにいるのに。
ガラスの壁があるみたい。
………あたしが見えないの?
目の前にいるのに。
声も聞こえないの?
「………隆則っ……隆則!」
:11/01/09 22:09
:840SH
:Sc8ldkxg
#54 [愛華]
ガラスの壁をどんどん叩く。
隆則はちっともあたしを見ない。
………ねぇ………見てよ。
あたしここにいるんだよ。
隆則………
「…………泣かないでよ、馬鹿」
:11/01/09 22:18
:840SH
:Sc8ldkxg
#55 [愛華]
隆則は泣いてた。
前にも見た。こんな夢。
夢?
これも……………夢?
:11/01/09 22:25
:840SH
:Sc8ldkxg
#56 [愛華]
夢ならいいのかな。
「…………隆則………
どうして泣いてるの、ねぇ…」
あたし、やだよ。
隆則が泣いてるのやだよ……
でも声は、 届かない。
:11/01/09 22:54
:840SH
:Sc8ldkxg
#57 [愛華]
目の前にいるのに触れられない。
目の前にいるのに話せない。
もう声は届かない。
届かないんだ…………。
もう抱きしめてなんてもらえない
:11/01/09 23:01
:840SH
:Sc8ldkxg
#58 [愛華]
あの病院で出会って
あなたに恋をした。
闇しかなかった私の毎日を
光で満たしてくれた。
いや、違うね。
隆則は私の光そのものだった。
:11/01/09 23:04
:840SH
:Sc8ldkxg
#59 [愛華]
「……………那佑………」
聞こえてるよ、隆則。
ありがとう。
「隆則。好きだよ。大好きだよ」
:11/01/09 23:07
:840SH
:Sc8ldkxg
#60 [愛華]
やっと聞こえた………隆則の声。
あたしの声は届いてる?
「那佑、もどってこい」
隆則が優しくあたしに言う。
いつのまにかガラスの壁は
なくなっていた。
:11/01/09 23:09
:840SH
:Sc8ldkxg
#61 [愛華]
涙でにじんでみえないよ。
「隆則………好き………好き…」
大好き。
それだけは言えるよ。
空回りしてばかりだったけど
やっぱり大好きなんだよ。
多分、これからもずっと。
:11/01/09 23:12
:840SH
:Sc8ldkxg
#62 [愛華]
戻りたい。あの場所に
帰りたい。あの場所で……
もう一度光が見たい。
あなたと一緒に
生きたい。
:11/01/09 23:14
:840SH
:Sc8ldkxg
#63 [愛華]
:11/01/09 23:15
:840SH
:Sc8ldkxg
#64 [愛華]
'
「…………那佑!!……」
「那佑!!…………那佑…!」
誰か、あたしを呼んでる?
:11/01/10 17:08
:840SH
:xC/okvn6
#65 [愛華]
目を開けると、目の前には
ぼんやりと二人の影が見えた。
「…………おとー…さん」
「那佑!!わかるか!!」
………ってことは……
だんだん視界がはっきりと
してきた。
「…………おかーさん……」
:11/01/10 17:10
:840SH
:xC/okvn6
#66 [愛華]
「那佑…………よかった……」
お母さんとお父さんは寄り添って
泣いていた。
あたし………生きてる。
まだ生きてた。
「那佑……あなた路地で
倒れててね。それで…………」
:11/01/10 17:30
:840SH
:xC/okvn6
#67 [愛華]
「隆則の声が聞こえたの……」
「え…………隆則…さん?」
隆則の声が聞こえてたんだ。
ずっと…………頭の中で。
もどってこいって言ってくれた。
:11/01/10 17:41
:840SH
:xC/okvn6
#68 [愛華]
「………………那佑?」
「…………え……」
愛しい声。
何度この声に救われただろう。
「………………隆則……?」
:11/01/10 17:51
:840SH
:xC/okvn6
#69 [愛華]
隆則は、 お母さんとお父さんの
後ろに立っていた。
すごく懐かしく感じるのは
なんでだろう。
「………隆則さんがね、那佑を
見つけて救急車を呼んでくれた
んだよ」
隆則が……………あたしを?
:11/01/10 18:14
:840SH
:xC/okvn6
#70 [愛華]
「…………那佑………」
隆則は一歩一歩あたしに
近寄ってきた。
「………………はは。また
泣いてるし…………」
「また、ってなんだよ」
隆則は涙をぬぐいながら言った。
そっか……泣いてたのは夢だった
:11/01/10 18:29
:840SH
:xC/okvn6
#71 [愛華]
「お母さん……二人にして」
お父さんとお母さんは病室から
でていった。
あたし、また戻ってこれた。
この場所にまた。
戻してくれたのは………。
:11/01/10 18:39
:840SH
:xC/okvn6
#72 [愛華]
「………隆則……………」
「お前心配かけてんじゃねーよ。
マジこっちが心臓止まるから」
「うん…………ありがとう」
隆則はゆっくりと椅子に腰掛けた
窓の外は少し明るかった。
夜が明ける。
:11/01/10 22:09
:840SH
:xC/okvn6
#73 [愛華]
「隆則………どうして、あたしを見つけられたの?」
「…………」
隆則は口を開こうとしない。
「隆則…………教えてよ」
隆則ははぁーっと息をはいてから
覚悟を決めたように話し始めた。
:11/01/10 22:14
:840SH
:xC/okvn6
#74 [愛華]
「……………止めに、いった」
…………止めに?あたしを?
「お前言っただろ。直純と
つきあったらどうするか、って。
俺 嬉しい なんて言ったけど。
嬉しいわけねぇじゃんか」
これは…………夢かな。
だとしたらあの夢の続き?
:11/01/10 22:19
:840SH
:xC/okvn6
#75 [愛華]
「だから…………止めにいった。
でも家に行ったらもういねーし。
探しにいったら……倒れてて」
隆則は、あたしが本当に
会いたい時いつも来てくれる。
それが叶わない時もあった。
でも………また自惚れていいの?
あたしの側にいてくれるって。
信じてもいいの?
:11/01/10 22:34
:840SH
:xC/okvn6
#76 [愛華]
苦しい夜は抱きしめてほしい。
嬉しい時は一緒に笑いたい。
悲しい時は一緒に泣いてほしい。
何度も思ったこの願いを
また、願ってみてもいいの?
もう正直になっていいの?
:11/01/10 22:56
:840SH
:xC/okvn6
#77 [愛華]
「………那佑。俺は………」
「すき」
やっぱり、大好き。
誰よりも大好き。
大好きより、もっともっとすき。
「隆則…………あたしダメだよ。やっぱりダメだ………」
:11/01/10 23:05
:840SH
:xC/okvn6
#78 [愛華]
「ダメって………」
隆則がいないと強くなれない。
隆則がいないとあたしじゃない。
「………隆則と、いたいよ」
今はそれだけでいい。
だからこの願いを、叶えて下さい
:11/01/10 23:11
:840SH
:xC/okvn6
#79 [愛華]
とめどなく溢れる涙を、
隆則は優しくぬぐってくれた。
ふわっと隆則のにおいがした。
ずっと求めていた隆則の腕。
この温もりがいつもあたしを
あたためてくれるんだよ。
隆則の腕に包まれたまま、
朝がきた。
:11/01/10 23:15
:840SH
:xC/okvn6
#80 [愛華]
「………あー…もういいや……」
「………どういう意味?」
「もう周りとかどーでもいい。
もうどっか行ったりすんな」
隆則が笑いながら言った。
だから、あたしも笑った。
:11/01/10 23:48
:840SH
:xC/okvn6
#81 [愛華]
「最初に約束破ったのは
隆則じゃん…………」
「それは言うなよ………」
光がまた足元を照らす。
20歳まで あと2年。
:11/01/11 00:52
:840SH
:MVin1ViA
#82 [愛華]
そんな言葉が頭をよぎった。
今はいい。
神様、お願いです。
隆則の側にいさせてください。
それ以外なにも望まない。
望みませんから。
隆則の腕のなかでひたすら願った
私はまた、幸せになれますか?
:11/01/11 01:05
:840SH
:MVin1ViA
#83 [愛華]
:11/01/11 01:07
:840SH
:MVin1ViA
#84 [愛華]
-隆則side-
:11/01/11 13:31
:840SH
:MVin1ViA
#85 [愛華]
何度も何度も考えた。
直純の幸せを奪って
その罪から逃れるために
那佑を裏切った。
俺はどうしたら救われる?
心にぽっかり穴が空いたまま
ふさがることはなかった。
:11/01/11 13:34
:840SH
:MVin1ViA
#86 [愛華]
俺はこれからもこうして
生きていくのかよ。
そんなの耐えらんねぇよ。
自分の気持ちを隠したまま
直純と那佑の前で笑って……
つきあうことになった二人に
『おめでとう』なんて言えるか。
言えるわけねーじゃん。
:11/01/11 13:37
:840SH
:MVin1ViA
#87 [愛華]
そう。言えるわけない。
あぁ。俺は……もう。
那佑なしじゃ生きてけねーわ。
:11/01/11 13:40
:840SH
:MVin1ViA
#88 [愛華]
直純のこととか
そんなの全部なしにして考えた
時
やっぱり側にいたいって思う。
「……………いかなきゃ」
止めなきゃ。
直純のとこになんか…行かせない
:11/01/11 13:49
:840SH
:MVin1ViA
#89 [愛華]
ただそれしか考えてなかった。
それ以外は考えないように。
考えたらきっと止まってしまう。
だから、それだけを考えて。
走った。
:11/01/11 13:56
:840SH
:MVin1ViA
#90 [愛華]
家にいったら那佑はもう出た後。
那佑の母さんに挨拶だけして
すぐに飛び出す。
……初対面なのに、絶対変に
思われた……
でも今はどうでもいい。
直純と行くところなんか見当も
つかない。
それでも、探さなきゃいけない。
:11/01/11 14:00
:840SH
:MVin1ViA
#91 [愛華]
那佑。
那佑。
ごめん。ごめん。
俺には……お前がいればいい。
お前しかいらない。
:11/01/11 14:06
:840SH
:MVin1ViA
#92 [愛華]
それを 伝える。
「…………すき」
:11/01/11 14:17
:840SH
:MVin1ViA
#93 [愛華]
病室で那佑に言われた言葉。
やっと見つけた那佑はボロボロで
なにがなにやらわからないまま
救急車を呼んだ。
あとはあまり覚えてない。
ただ心を支配してたのは"恐怖”
:11/01/11 14:24
:840SH
:MVin1ViA
#94 [愛華]
那佑がいなくなったら
いなくなったら?
那佑が いなくなる。
初めて那佑の『死』を意識した。
死にそうなほど苦しくなった。
:11/01/11 14:43
:840SH
:MVin1ViA
#95 [愛華]
いやだ。
那佑が死ぬ?
認めてたまるか、そんなもん。
俺がそんなこと、させない。
だから、那佑。
側にいて。
:11/01/11 14:54
:840SH
:MVin1ViA
#96 [愛華]
「………周りとかどーでもいい。もうどっかいったりすんな」
もう離れることのないように。
強く抱きしめた。
…………まだ好きでいてくれた。
それがなにより嬉しかったから。
今度こそ守るって誓った。
朝の光が俺達を照らしていた。
:11/01/11 21:00
:840SH
:MVin1ViA
#97 [愛華]
この日のことを後悔する日が
来るかもしれない。
それでもいい。那佑がいる。
みっともないけど、それだけが
全てだった。
涙が止まらなくなるほどに
那佑は、 あたたかったんだ。
:11/01/12 15:42
:840SH
:grMj3a42
#98 [愛華]
-那佑side-
:11/01/12 15:43
:840SH
:grMj3a42
#99 [愛華]
「隆則!!それとって!!」
「なに、これ?」
「ちーがーう!!その隣!!」
あれから2日。
隆則とはつきあっていた頃と
なんら変わりなく過ごしていた。
まぁ病院で、だけど………。
:11/01/12 15:46
:840SH
:grMj3a42
#100 [愛華]
「隆則くん、ごめんね。那佑の
わがままひどくて……」
「あー全然!慣れてますから」
「隆則そこは否定してよ!」
お母さんも相当隆則が気に入ったみたいで、隆則に母親がいない
ことを知って、まるで自分の
息子みたいに接してる。
やっぱり自分の母親と彼氏が
仲いいとうれしいもの。
:11/01/12 15:51
:840SH
:grMj3a42
#101 [愛華]
お父さんは知らないけど(笑)
でもあたしの恩人ってことも
あって感謝はしてるみたい。
「じゃあ、那佑。帰るわね。
隆則くん那佑をよろしくね」
「はい」
「まったねー」
お母さんが帰ってふたりきりに
なると、さっきまで賑やかだった病室が急に静かになる。
:11/01/12 15:54
:840SH
:grMj3a42
#102 [愛華]
誰かがいる時はいいけど、
ふたりになると………
離れていた時間があると
こうなっちゃうのかな。
「………那佑?どうした?」
「ん?なんでもないよ」
そんなことを考えてると、
隆則が心配そうにあたしの顔を
覗きこんだ。
:11/01/12 15:58
:840SH
:grMj3a42
#103 [愛華]
「まーた変なこと考えてんの?」
「…………へ?」
隆則はあたしの隣にボスッと
腰を下ろした。
「……もうどこにも行かない」
もう、どこにも。
「ほんと?」
:11/01/12 16:00
:840SH
:grMj3a42
#104 [愛華]
「ほんとだっつの」
「なら頭なでて」
「ん。いくらでも」
隆則はこうやってあたしの
不安をいつも壊してくれる。
いとも、簡単に。
:11/01/12 16:13
:840SH
:grMj3a42
#105 [愛華]
「那ー佑ー!!」
バンッ!!とドアを開けて
入ってきたのは梓だった。
「あず………」
「大丈夫!?あたし話きいて
心臓止まりそうになったよ!」
「うん、わかったから……」
梓はあたしをぎゅーっと
抱きしめた。
:11/01/12 16:24
:840SH
:grMj3a42
#106 [愛華]
梓には入院してから会って
いなかったけど隆則とのことは電話で話していた。
梓は「そっか」とだけ
言ってくれた。
多分、同じこと考えてたんだ。
直純くんのこと…………。
:11/01/12 19:00
:840SH
:grMj3a42
#107 [愛華]
「あ、タカ久しぶり!!」
「あ、うん」
「結局あんたはいっつも、いい
とこ持ってっちゃうんだね〜
憎いなぁ!!この!!」
そういって首をしめる梓。
「ちょ、苦しいから!やめろ!」
「あはははは!今度こそ、那佑を傷つけたら容赦しないから!」
:11/01/13 18:45
:840SH
:1CBM2/bQ
#108 [愛華]
梓、嬉しそうだな。
心配かけて、ごめんね。
「あ、タカ」
「ん?」
「…………直純、外にいるから」
:11/01/13 18:50
:840SH
:1CBM2/bQ
#109 [愛華]
「…………ん、わかった」
………え?なに………?
直純くんが……来てるの?
隆則はそういって病室から
出ていってしまった。
「梓………どういうこと?
直純くん、来てるの?」
:11/01/13 20:59
:840SH
:1CBM2/bQ
#110 [愛華]
「うん。一緒に来たよ」
「じゃああたしも話さなきゃ。あたし、直純くんに言わなきゃ
ならないことがあるの」
「それは那佑の心配すること
じゃないから大丈夫だよ」
梓はにこっと笑った。
意味がわかんないよ。
あたし直純くんにまだ謝ってない
ひどいこといっぱいしたのに。
怖くて、連絡もしてなかった。
:11/01/13 21:03
:840SH
:1CBM2/bQ
#111 [愛華]
「……………梓、あたしね…
あの日直純くんに言うつもり
だったんだよ」
「………何を?言ってごらん」
「………つきあおう って」
そのほうが幸せになれるかもって
信じたかったから。
:11/01/13 21:07
:840SH
:1CBM2/bQ
#112 [愛華]
「でもあたし………隆則が好きで
やっぱりダメで……それで…」
「だーいじょうぶ!!
那佑はなんも気にしないで。
あとはタカと直純の問題だから」
隆則と……直純くんの?
そこにあたしはいないの?
「タカだって男だもん。
けじめくらいちゃんとするよ
もちろん、直純もね」
:11/01/13 21:22
:840SH
:1CBM2/bQ
#113 [愛華]
梓はなにもかもわかってる
みたいだけど、あたしはなにも
わからない。
…………隆則と直純くんは
何を話してるんだろ………
「ほら、そんな顔しないの。
大丈夫だよ。またみんなで
笑えるから。ねっ」
梓がそういうと、本当にそう
なる気がした。
:11/01/13 21:39
:840SH
:1CBM2/bQ
#114 [愛華]
悩んで悩んで出した答え。
後悔はしてないけれど……
できるなら誰も傷つかない
ほうがいい。
そんなの無理だって知ってても
やっぱり思ってしまうんだ。
どうかまた、みんなで
笑えますように。
涙を流さないですみますように。
:11/01/13 22:17
:840SH
:1CBM2/bQ
#115 [愛華]
-隆則side-
:11/01/14 20:36
:840SH
:7yGY5lfg
#116 [愛華]
ジリジリと蝉が鳴いてた。
もう夏なんだ。
「…………あ、直純いた」
「ん、きたきた!おせーよ!」
病院の中庭のベンチに直純は
座っていた。
だるそうに振り向く。
:11/01/14 20:39
:840SH
:7yGY5lfg
#117 [愛華]
長い時間ここにいたのか、
汗でびっしょりだ。
「あっちーなー……」
「どっか移動すっか?」
「いや。ここでいい。隆兄は?」
「俺もここでいいよ」
焼き付くような陽射しが、
今日は心地好く感じた。
:11/01/14 20:43
:840SH
:7yGY5lfg
#118 [愛華]
那佑の側にいる。
もう一度そう決心したときに
直純の顔が浮かんだ。
直純、ごめんな。
俺から那佑を手放したのに。
話さなくちゃ、と思った。
直純ともう一度。
直純も同じ気持ちだったんだな。
:11/01/14 20:53
:840SH
:7yGY5lfg
#119 [愛華]
「………梓から、聞いたよ。
白石と戻ったんだろ?」
「…………ああ」
決めていたとはいえ、
何を言えばいいんだろう。
でも………『ごめん』は
言うべきじゃない。
そう思った。
「………………よかったじゃん」
:11/01/14 21:39
:840SH
:7yGY5lfg
#120 [愛華]
コーラを飲み干しながら、
直純が小さな声で言った。
「…………悔しいけどさ。まぁ、しゃーないわな。オメデトウ」
「…………え」
「なに?罵られると思った?
漫画みたいに殴るとか?」
「いや……でもそれくらい
されるかも…………みたいな」
:11/01/15 01:23
:840SH
:4SniUugs
#121 [愛華]
文句のひとつでも言えば
いいのに………。
なんで、何も言わないんだ?
俺は直純から那佑を奪った
のも同然なのに。
「なんで……なんも言わない?」
「なんだよ、言ってほしいの?」
:11/01/15 01:27
:840SH
:4SniUugs
#122 [愛華]
そう言って笑った直純は
6年振りに再会した時とは全く
違う、真っ直ぐな目をしていた。
昔のころの、直純だった。
「…………あの日もさ、俺は
白石に告白だけして隆兄のとこ
行かせるつもりだったの!!」
「え…………えぇ!?」
:11/01/15 01:30
:840SH
:4SniUugs
#123 [愛華]
「まぁ白石がまだ隆兄のこと
好きなのは知ってたし。
敵わねぇなーって思ったから。
まさかこんなふうになるとは
思ってなかったけど、結果は
同じだったんだよ。
よって、予想もしてたわけで。
そんなに傷ついてないっす。」
………嘘ついてんじゃねーよ…
:11/01/15 01:33
:840SH
:4SniUugs
#124 [愛華]
でもそれは。
直純の俺のための強がりだって
わかってたから。
苦しくなった。
だから何も言わなかった。
言葉にはしないけど思う。
直純、 ありがとう。
:11/01/15 01:34
:840SH
:4SniUugs
#125 [愛華]
「今度こそ!白石よろしく!」
「おぅ!まかせとけよ!」
そういって笑いあった。
こんな日が来るなんて、
思いもしてなかったな。
『隆則も直純くんも大切なんだ』
那佑の…………おかげだ。
:11/01/15 01:37
:840SH
:4SniUugs
#126 [愛華]
「………それから、隆兄」
「なに?」
「…………白石に手術を決心
させられるのも…………
隆兄しかいないよ」
……………え?
那佑の………手術………?
:11/01/15 01:39
:840SH
:4SniUugs
#127 [愛華]
一瞬なにを言われたのか
全く理解できなかった。
あんなに暑かったのに、今は
空気がひんやりする。
那佑の、手術?
なんだよそれ、聞いてねぇよ。
:11/01/15 14:34
:840SH
:4SniUugs
#128 [愛華]
俺の表情で、直純は俺がなにも
知らないことを悟ったらしい。
「……そっか。隆兄まだ……」
「どーいうことだ?」
「いや、あの………」
「言えよ」
直純は しまった という顔を
している。
………直純が知ってて
俺は知らなかった那佑のこと。
:11/01/15 14:42
:840SH
:4SniUugs
#129 [愛華]
「………多分、白石も言うのに
決心がいることだと思う。
ごめん。てっきりもう知ってる
と思ってたんだ。
俺からは………言えない」
「なんだよ、それ………」
「白石から隆兄が直接聞いてよ」
那佑から直接?
なんだよ……そんな、重要な
ことなのかよ………
:11/01/15 15:43
:840SH
:4SniUugs
#130 [愛華]
心がモヤモヤとしたまま、直純と病室に戻った。
「…………直純くん!!」
「おー元気そうじゃん」
「うん!………日曜日、行け
なくってごめんね」
直純と那佑が笑って話してる。
嬉しいはずなのに………
俺の頭は別のことでいっぱいで。
:11/01/15 15:47
:840SH
:4SniUugs
#131 [愛華]
「直純くん、それと………」
「隆兄とまたつきあいはじめ
たんだろ?よかったじゃん」
「…………うん。ありがとう」
「………ね、タカどしたの?」
直純と那佑の会話をぼーっと
しながら聞いていると、梓に
不思議そうに話し掛けられた。
:11/01/15 15:51
:840SH
:4SniUugs
#132 [愛華]
「直純とちゃんと話したみたい
だね。一件落着だねー……」
梓は嬉しそうにつぶやいた。
一難去ってまた一難、が
正しい気がするんだけど……
「………さて、俺らは用事
あるからもう帰るわ」
「え、二人とももう帰るの?」
:11/01/15 15:56
:840SH
:4SniUugs
#133 [愛華]
「直純?あたしもぉ?」
「いーから梓!帰んぞ!
白石また来るからな」
「う、うん…………」
どうやら直純が気をきかせた
らしいな。
2人で話せってことか……
「んじゃな!隆兄!白石!」
:11/01/15 16:02
:840SH
:4SniUugs
#134 [愛華]
パタン…………
さっきまで騒がしかった病室が
一気に静かになる。
「隆則、座れば?」
「え、あぁうん………」
俺はいつも座る椅子に座った。
:11/01/15 16:17
:840SH
:4SniUugs
#135 [愛華]
「直純くん、よかったねって
言ってくれた。嬉しい」
「そっか…………」
夏は日が長い。
チリチリ肌が焼けるような暑さ。
「………なぁ、那佑」
「んー?」
「………手術、受けるの?」
:11/01/15 17:13
:840SH
:4SniUugs
#136 [愛華]
「…………え」
那佑の動きが止まった。
「……直純から少し話聞いた。
詳しいことは那佑から聞けって。な、手術ってなに?」
「……………」
那佑は下をむいたまま。
何か考えてるみたいだ。
:11/01/15 17:18
:840SH
:4SniUugs
#137 [愛華]
「…………隆則、あのね……」
「うん?」
「……あたし、今のままだと20歳まで心臓もたないんだって。
手術受けないと………あと2年
しか生きられないんだって……」
:11/01/15 17:23
:840SH
:4SniUugs
#138 [愛華]
那佑はなんでもないように、
でも少し悲しそうに言った。
どうしようもないんだから。
そう言っているようだった。
お前は諦めていたのかもしれない
諦めたくなくっても
頑張ることが怖かったんだな。
:11/01/15 17:26
:840SH
:4SniUugs
#139 [愛華]
どうしたらその苦しみから
お前を救えるのか。
あの時の俺はわからなかった。
暑い暑い日だった。
俺達の最後の闘い。
長い夏が始まろうとしていた。
:11/01/15 17:32
:840SH
:4SniUugs
#140 [愛華]
-那佑side-
:11/01/16 18:17
:840SH
:82k1wrAk
#141 [愛華]
暑い暑い夏。
去年の夏も確かベッドの上。
来年は海へいきたい
とか思っていたっけ。
真っ青な空を見ながら、
そんなことを思い出していた。
来年は………あたしは
どこにいて、何をして、
誰といるんだろうか。
:11/01/16 18:21
:840SH
:82k1wrAk
#142 [愛華]
「…………あついなぁ……」
思わず口をついた。
壁にある鏡をなんとなく見ると
点滴されている自分の姿が映る。
………なんか、やだな。
病状は確実に悪化していた。
:11/01/16 18:25
:840SH
:82k1wrAk
#143 [愛華]
医者もお母さんもお父さんも。
何もいわない。
でも自分のことだよ。
自分が1番よくわかる。
多分、あたしはもう長くない。
:11/01/16 18:27
:840SH
:82k1wrAk
#144 [愛華]
何度も言われた。
『全力をつくす。必ず治して
みせるから、手術を受けてくれ』
お母さんお父さんにも
何度も説得された。
…………でも、無理なんだよ。
あたしには、無理だよ………。
:11/01/16 18:29
:840SH
:82k1wrAk
#145 [愛華]
死ぬことは怖い。
みんなに会えなくなるのは嫌。
でも。
手術に失敗してひとりで死ぬなら
みんなに見守られて死ぬ
ほうがいい。
あたしの笑顔がみんなの心に
残るように。
決して消えないように。
:11/01/16 18:35
:840SH
:82k1wrAk
#146 [しずく]
この話大好き!!
がんばって!!
:11/01/16 19:14
:PC
:C.gezF26
#147 [愛華]
>>146 しずく様
ありがとうございます!
更新がんばります(^O^)/
:11/01/16 19:29
:840SH
:82k1wrAk
#148 [愛華]
>>145ガラッ
「おぃーっす。起きろー」
「…………寝てないし」
「そう言うなって。ほら、
プリンあるからさー」
「やったー。隆則も食べよ」
「え、1つしか買ってねーよ」
:11/01/16 20:53
:840SH
:82k1wrAk
#149 [愛華]
いつもと同じように隆則が
来てくれた。
………あの日から。
隆則は前よりも頻繁に会いに
来てくれるようになった。
『あたし今のままだと、あと
2年しか生きられないんだ…』
『手術すれば…よくなるのか?』
:11/01/16 20:56
:840SH
:82k1wrAk
#150 [愛華]
『多分ね。でも成功する確率が
かなり低いんだって。だから
あたしは受けないよ』
『受けないって………』
『手術を受けなくたって、
他の方法があるはずだよ。
あたしは諦めない。
でも手術は………受けない』
隆則はなにも言わなかった。
:11/01/16 21:00
:840SH
:82k1wrAk
#151 [愛華]
何も変わらない。
前と同じ毎日。
でもあたしたちの頭から
病気のことが離れることはなく。
苦しみは心をむしばんでいく。
あたしはそれを隠すので
精一杯だったんだ。
:11/01/16 21:23
:840SH
:82k1wrAk
#152 [愛華]
「那佑?聞いてんの?」
「え、あぁ………何?」
「最近お前ぼーっとしすぎ」
「自覚ないけど……そう?」
「うん。体調どうだよ?」
「悪くないよ」
でも良くもない。
それが本音。
言えないけどね。
:11/01/16 22:28
:840SH
:82k1wrAk
#153 [愛華]
もう普通の生活はできないのかな
また誰かのために動くことは
できないんだろうか。
「………那佑、何考えてる?」
「ん?なんも」
「お前が1人で抱え込む問題
じゃないんだ。なんでも話せよ」
ありがたいのに………苦しい。
:11/01/16 22:31
:840SH
:82k1wrAk
#154 [愛華]
「……なーんでもなーいよ!!」
あたしはニヒッと笑った。
「あ、隆則!明日はさー売店の
イチゴチョコミルクバナナプリン買ってきて!!二つね!!」
「甘そうな名前だなおい……
つか俺はいらないっつの」
「違うよーあたしが二つとも
食べちゃうんだもーん」
:11/01/17 14:38
:840SH
:ZDXgRsOI
#155 [愛華]
『なんでもない』
が口癖になった気がする。
不安を口にすることすらも不安。
強がることが上手くなった。
最近よく思う。
明日もあたしは…………
ここに在られるんだろうか。
:11/01/17 14:43
:840SH
:ZDXgRsOI
#156 [愛華]
あたしが笑っている。
そこに隆則がいる。
そんな未来が上手く想像できない
「…………マジでヤバいかも」
あたしは本当に………
『諦めてない』の?
:11/01/17 14:45
:840SH
:ZDXgRsOI
#157 [愛華]
庭にある桜の木を見ると、
今までの隆則との想い出が
よみがえってくる。
……これって、余命が短い人間
にありがちなことのような……
ドラマとかでよく見るよなぁ。
なんて1人の病室で思って
笑ってたりする。
:11/01/17 14:50
:840SH
:ZDXgRsOI
#158 [愛華]
隆則といると安心する。
でもそれはあたしだけ。
隆則は不安なんだよね。
あたしはいなくなっちゃえば
それでおしまい。
でも隆則は………苦しみ続ける。
:11/01/17 14:53
:840SH
:ZDXgRsOI
#159 [愛華]
あ…………まただ。
涙が頬を静かにつたう。
隆則といる時は絶対に流さない
のに。1人の時に出るんだ。
………どうすればいい。
:11/01/17 15:02
:840SH
:ZDXgRsOI
#160 [愛華]
もし、あたしが死んだとして。
そのあとのあたしの記憶が
隆則を苦しめるのだとしても。
あたしは隆則の中に残りたい。
時々思い出してくれればいい。
そして笑ってくれればいい。
:11/01/17 15:05
:840SH
:ZDXgRsOI
#161 [愛華]
ぎゅうっと胸に手をあてる。
そして1つのことを決める。
やっぱり少し怖いけど。
あたしが隆則の記憶に残る。
1つの方法。
:11/01/17 15:09
:840SH
:ZDXgRsOI
#162 [愛華]
'
「…………え…外出許可…?」
「うん!!一泊二日だけどね」
「よく出たなー許可なんて…」
「最近調子そこまで悪くないし。贅沢言えないけどねー」
:11/01/17 19:18
:840SH
:ZDXgRsOI
#163 [愛華]
今、じゃなくてもいいのかも
しれない。
でもこれが最後になったり
したら……きっと後悔する。
あたしが上手に笑えるうちに。
「そっかーよかったな!!
家族で過ごすのか?」
:11/01/17 19:20
:840SH
:ZDXgRsOI
#164 [愛華]
嬉しそうに隆則が言う。
いつも通り、 なんだけど。
「………ううん、違うの」
「ん?なんだって?」
あたしは隆則のほうに向き直る。
:11/01/17 19:22
:840SH
:ZDXgRsOI
#165 [愛華]
「……………この日は。
隆則とずっと一緒にいたい」
「……………?」
「2日間…………隆則といる。
ずっといる。どこでもいいから」
だから。
:11/01/17 19:25
:840SH
:ZDXgRsOI
#166 [愛華]
「『なんとなく』じゃなくて…」
ずっと前の、隆則の言葉。
『こんななんとなくで那佑と
するのは嫌なんだよ』
なんとなく、じゃなくて…
:11/01/17 19:28
:840SH
:ZDXgRsOI
#167 [愛華]
「……………那佑?」
上手く言葉にできない。
なんか………顔あつい……
「……えと……あの、その……」
顔が熱くなるのがわかる。
あたし………何言ってんの…
:11/01/17 19:32
:840SH
:ZDXgRsOI
#168 [愛華]
頭が真っ白だ。
なんも考えられない。
「…………えっとね、つまり…」
「…………無理しなくていーよ」
隆則が静かに言った。
:11/01/17 19:35
:840SH
:ZDXgRsOI
#169 [愛華]
……………無理……?
隆則はあたしの言いたいことが
わかったのか、微笑んだ。
「………那佑のことだろーから
多分色々考えて、その答えに
なったんだろーけどさ。
そりゃ俺は嬉しいけど。
無理してる那佑と無理矢理
やるのはなんか違うだろ……?」
:11/01/17 19:39
:840SH
:ZDXgRsOI
#170 [愛華]
優しい隆則の声。あたしを
気遣ってくれてるのがわかる。
でも、あたしは………。
ゆっくり隆則に抱き着いた。
隆則の体温を確かめるように
腕に力をこめる。
「………無理なんかしてないよ」
:11/01/17 19:51
:840SH
:ZDXgRsOI
#171 [愛華]
「……………」
隆則は黙ったまま。
「無理なんかじゃない……!
無理なんかしてない……」
ぽろぽろ涙が流れる。
悲しいわけでもないのに。
:11/01/17 19:53
:840SH
:ZDXgRsOI
#172 [愛華]
隆則の呼吸が聞こえる。
無理なんかじゃ、ないよ……
「…………………いいの?」
「いい。隆則がいい。」
初めては隆則がいい。
隆則じゃなきゃやだ。
:11/01/17 19:57
:840SH
:ZDXgRsOI
#173 [愛華]
あたしはもう、いついなくなる
のかわからないから。
いつまで笑顔でいられるのか
自分でもわからないから。
だから、その前に…………
隆則と、結ばれたいの。
:11/01/17 20:30
:840SH
:ZDXgRsOI
#174 [愛華]
「………………うん」
隆則は優しくうなずいた。
時間が止まればいいって。
そう本気で願った。
でもそんなの叶うわけなくて。
まるであたしを嘲笑うかのように
時間は、過ぎていった。
:11/01/17 21:01
:840SH
:ZDXgRsOI
#175 [愛華]
:11/01/17 21:51
:840SH
:ZDXgRsOI
#176 [愛華]
「えぇ………!?」
「もう決めたの」
1泊2日の仮退院前日。
梓が久しぶりに病院に来た。
直純くんは補習だそうで……
「………タカの家で過ごすって……2日間?」
「だからそうだってば」
「へ…………へぇ……」
:11/01/19 15:34
:840SH
:dBmqpBCQ
#177 [愛華]
「へぇ………ってなによ」
「ま、まぁさ。タカも入院中の
彼女をその……どうもしないと
思うけど。でも一応男だし…?
てゆーか……………我慢?」
「我慢しなくてもいーの、もう」
「あ、そう。そりゃタカ喜ぶわ。
…………ってえぇ!?」
:11/01/19 15:46
:840SH
:dBmqpBCQ
#178 [愛華]
漫画みたいに飛びあがる梓。
なんて古典的な………
「それって……そういう意味?」
「そういう意味」
「タカはなんていったの?」
「うん、ってだけ言った」
「マジすか…………」
梓はぐったりうなだれた。
:11/01/19 15:50
:840SH
:dBmqpBCQ
#179 [愛華]
まぁ予想通りの反応だけど……
「…………でもなんで……今?」
梓は不思議そうに聞いた。
なんで今かって…………
今しかないからだよ。
「ちゃんと正式に退院してから
じゃダメなの?」
:11/01/19 15:55
:840SH
:dBmqpBCQ
#180 [愛華]
「………退院できるか……
わかんないもの」
「…………は?」
「これが最後の外出になるかも
しれないし………だから」
「なに…………それ?」
梓の声色が変わる。
「ごめん、なんでもない」
:11/01/19 15:59
:840SH
:dBmqpBCQ
#181 [愛華]
「なんでもなくないよ。
最後の外出ってどういう意味?」
「そのまんまだよ」
「なにそれ。退院できないって
あんた自分で認めてんの?」
梓の口調がきつくなる。
「そんな、ことない………」
「嘘。あんた今言ったじゃん。
諦めてんの?治らないって」
:11/01/19 16:14
:840SH
:dBmqpBCQ
#182 [愛華]
諦める。
治るわけないから、諦める。
「……諦めてなんか………」
その先が出なかった。
あたしは、闘うことに疲れた。
毎日たくさんの薬を飲んで
それでも良くなんかならなくて。
:11/01/19 16:21
:840SH
:dBmqpBCQ
#183 [愛華]
苦しくて、悲しくて。
あと2年もない。
そう思うと、ぷっつりと
なにかがきれた気がした。
あたしは……諦めてた。
だから焦ってた。
何かを残さなきゃって。
あたしはもう長くないんだから……………って。
:11/01/19 16:26
:840SH
:dBmqpBCQ
#184 [愛華]
「あたしもタカも直純も!!
那佑が治るって信じてるのに
あんたは諦めてんの?
それはあたしたちを裏切ってることになるんだってわかんない?」
「だってわかっちゃうんだ。
もう無理なんだって。
疲れたんだよ、もう……」
梓は泣いてた。
あたしの、せい。
:11/01/19 16:31
:840SH
:dBmqpBCQ
#185 [愛華]
こんなこと話すつもりなかった。
でも溜め込みすぎた不安は
無意識にもれてしまう。
「………………那佑」
「信じたいよ。治るって。
でも、あたしが死んだあとに
苦しむのは隆則なんだよ?
『もしあたしが死んだら』って
やっぱり考えちゃうよ……」
現実と理想。
理想を夢みて現実に苦しむ。
:11/01/19 16:39
:840SH
:dBmqpBCQ
#186 [愛華]
「…………タカに言えない
不安はあたしに出して。だから
…
もうそんなこと言わないで」
「梓…………」
梓の気持ちは痛いほどわかる。
でも不安とか、そんなものだけ
じゃないんだよ。
だからあたしは…安心が欲しい。
:11/01/19 20:24
:840SH
:dBmqpBCQ
#187 [愛華]
「さて、この話は終わり!!那佑わかった?わかったら返事!」
「あ………はい」
「うん!」
こんなに側にいるのにあたしは
梓にさえ全てを吐き出せない。
心配かけたくないから?
そんなのきれいごとだ。
:11/01/19 20:38
:840SH
:dBmqpBCQ
#188 [愛華]
不安を口に出すと自分が弱い
人間になった気がして。
自己嫌悪しちゃう。
それはまた周りの人たちに
迷惑をかけてることになるの?
強くなりたい。
強くなりたいよ……
:11/01/20 01:11
:840SH
:LqmMWU32
#189 [愛華]
拳をぎゅっと握りしめる。
梓の顔が見れない。
申し訳ない気持ちでいっぱいで
また苦しくなった。
「梓……………ごめんね」
「………それは何に対して?」
「話終わりって言って戻っちゃうんだけどさ……あたし諦め
てるなんて自覚なかったんだよ」
:11/01/20 01:16
:840SH
:LqmMWU32
#190 [愛華]
「うん」
「でもどうやったらここから
抜け出せるのかわかんなかった。
受け入れちゃってたのかも。
しょうがないのかなって」
梓はゆっくりしゃがんで
ベッドに座ってるあたしに
目線を合わせた。
「……あたし那佑が大好き。
だからいなくなったら困るの」
:11/01/20 01:22
:840SH
:LqmMWU32
#191 [愛華]
「いなくなったら……?」
「困るの!でもあたしがどんなに
祈ったって那佑が諦めたら
そこで終わっちゃうよ。
闘ってるのは那佑だけじゃ
ないんだからね。わかってる?」
梓の言葉が心を潤す。
あたしと同じくらい、梓も
苦しいんだ……。
:11/01/20 01:28
:840SH
:LqmMWU32
#192 [愛華]
不謹慎かもしれないけど、
嬉しかった。温かかった。
明日はあたしにとって特別な日
になる。きっと。
その記憶があたしにとっての
光になるのなら
あたしはまた闘えるかな。
「絶対治すから」って自信を
持って言えるようになるかな。
:11/01/20 01:33
:840SH
:LqmMWU32
#193 [愛華]
今日の更新分です。
多めに更新したのですが
文章おかしいところあったら
すいません………
感想待ってます。
>>176-193
:11/01/20 01:36
:840SH
:LqmMWU32
#194 [愛華]
あるひとはいいました。
幸せとは願うことであり、
その行為の核に
他者が存在することである。
隆則。
あたしの願いの中には
いつだって隆則がいたよ。
:11/01/21 00:06
:840SH
:FLDDbvz.
#195 [愛華]
他者が存在する願い。
それは絶望の中で
強制されないにもかかわらず
誰もが持つものだ。
ゆえに、人間特有の行為である。
他者が干渉する人生を歩めば
願うことは当然のことなのだ。
たとえ叶わなかったとしても
それが消えることはない。
:11/01/21 00:24
:840SH
:FLDDbvz.
#196 [愛華]
叶わなかった願いは記憶として
必ず残るからだ。
叶った願いは自分の一部として
やがて忘れてゆく。
量でいえば圧倒的に前者が
多いかもしれないが
量より質である。
あたしは本を閉じた。
:11/01/21 00:29
:840SH
:FLDDbvz.
#197 [愛華]
『愛の蜘蛛の巣』
と表紙に書かれた本。
以前、送別祭の準備のときに
衣装部屋で見つけた台本の
小説バージョンらしい。
………こんな内容だったんだ…
気まぐれに病院内にある図書室
から借りた本。
:11/01/21 00:36
:840SH
:FLDDbvz.
#198 [愛華]
あたしは冒頭部分で読む気が
失せてしまった。
流れからすると、この続きは
叶わなかった願いの質について
書かれてるみたいだ。
そんなの読みたくないっつの。
時刻は午前1時。
眠れない。
:11/01/21 00:39
:840SH
:FLDDbvz.
#199 [愛華]
叶わない願いのほうが圧倒的に
多い。そんなの当たり前。
叶わないようなことだから、
願ってんじゃんか。
努力でなんとかなるようなこと
なら神様任せなんかにしない。
いるかいないかもわかんない
信用できない架空の人物に
頼るなんて馬鹿なことしない。
:11/01/21 00:45
:840SH
:FLDDbvz.
#200 [愛華]
叶わない願いを神様に。
叶わない確率のほうが高くても
もし、叶ったら。
そんな奇跡を信じて願う。
:11/01/21 02:00
:840SH
:FLDDbvz.
#201 [愛華]
何十個ものお願いをして
その中の絶対に叶いそうにない
願いが叶ったとしたら?
それが幸せに繋がる。
と、思う。
多分。
:11/01/21 02:05
:840SH
:FLDDbvz.
#202 [愛華]
「ばからし……………」
我ながら馬鹿みたいなこと
考えたな。
奇跡を信じる、とか。
ドラマかっつの。
神様なんか信じないよ。
:11/01/21 02:07
:840SH
:FLDDbvz.
#203 [愛華]
今まで何回も神様にお願いして
裏切られてきたんだし。
目をつぶってると、ウトウト
まどろんできた。
………寝よう。
明日起きれなくなっちゃうし。
頭に最後に浮かんだのは隆則。
………おやすみなさい。
:11/01/21 02:11
:840SH
:FLDDbvz.
#204 [愛華]
-隆則side-
:11/01/22 00:01
:840SH
:tdgufmR.
#205 [愛華]
それを望んでいなかった
わけじゃない。
『無理なんかしてない』
そういった那佑の瞳の奥に
強い決心が見えた気がして。
『時間がない』と言ってるようで
なにも言えなかった。
:11/01/23 00:18
:840SH
:1GT4RiK6
#206 [愛華]
今まで怖かった。
大切で、大切すぎて。
その腕のなかに那佑を収めると
那佑が壊れてしまう気がした。
だから今まで、ずっと自分を
理性でおさえてた。
:11/01/23 00:28
:840SH
:1GT4RiK6
#207 [愛華]
今じゃなくてもいい。
時間はあるんだから。
焦んなくてもいい。
…………時間?
焦ってるのは俺じゃなくて那佑。
:11/01/23 00:32
:840SH
:1GT4RiK6
#208 [愛華]
那佑はどうして『時間がない』
なんて思ってるのか。
ないわけないだろ。
だからゆっくりでいいんだ。
そう言ってやりたかった。
でも俺は。
那佑を…………抱きたいって。
:11/01/23 00:46
:840SH
:1GT4RiK6
#209 [愛華]
こんなこと言ったら、
怒られるかもしれないけどさ。
目の前で精一杯抱きしめて
くれてる那佑をかわいいと
思った。ちょっと震えてたけど。
那佑が何に焦ってるのかなんて
俺は知ってるんだろうけど…
今は知らないふりでいい。
本能に忠実なままでいい。
:11/01/23 00:53
:840SH
:1GT4RiK6
#210 [愛華]
そう思った。
………俺ってダメなやつかな。
外は明るくなりはじめていた。
:11/01/23 00:55
:840SH
:1GT4RiK6
#211 [我輩は匿名である]
あああああああーーー
頑張れぇぇぇぇぇぇーーって
あは
はよ下記な
:11/01/23 01:53
:PC
:SRQ4syZM
#212 [愛華]
>>211様
んと……がんばりますね!
感想板のほうにもぜひ来て
下さい。ありがとうございます。
:11/01/23 15:35
:840SH
:1GT4RiK6
#213 [愛華]
:11/01/24 00:08
:840SH
:XeKd0N62
#214 [愛華]
「んじゃ先生。いってきます」
「いってらっしゃい。
くれぐれも………」
「ハイハイ。運動は厳禁ね」
「それだけじゃないでしょ」
「…………なんだっけ?」
「ほら、もう忘れてるし!!」
久しぶりの、外の世界。
:11/01/24 00:10
:840SH
:XeKd0N62
#215 [愛華]
青空を直接見上げるなんて
本当に久しぶりなんだ。
「あ、思い出した!!薬ね!」
「毎朝忘れないでね。咳が
酷いときは別の薬あるから」
「はいはーい」
先生と別れを告げると、
お母さんがトイレから
戻ってきた。
:11/01/24 00:15
:840SH
:XeKd0N62
#216 [愛華]
「あ、お母さんおかえり。
先生いっちゃったよ」
「今あいさつしたから平気よ。
それより………
本当に大丈夫なの?
隆則くんのところで一泊する
なんて………」
「大丈夫だってば。納得して
くれたんでしょ、お父さんも」
「そりゃそうだけど………」
:11/01/24 00:18
:840SH
:XeKd0N62
#217 [愛華]
お母さんの顔から不安の色が
消えない。
「………お母さん。あたしだって『女の子』なんだよ?」
「……………万が一、なにか
あったらすぐ連絡してね?
夜にも電話すること。」
「うん。わかってるよ」
あたしはVサインを出した。
:11/01/24 00:22
:840SH
:XeKd0N62
#218 [愛華]
お母さんが心配でたまらないのは痛いほどにわかる。
でもお母さんとお父さんは、
あたしじゃなくて、隆則を
信頼してくれたんだよね。
それも嬉しいことだ。
「あ、もう出てたのか」
「隆則!!こんにっちはー♪」
:11/01/24 00:25
:840SH
:XeKd0N62
#219 [愛華]
お母さんと玄関の前にいると、
隆則が来た。
「こんにちは、隆則くん」
「こんにちは。遅れてすいませんでした」
「いいのよそんなの。今日と
明日、那佑をよろしくね」
「はい」
お母さんと隆則が話してる……
なんか変な感じするなぁ………
:11/01/24 00:29
:840SH
:XeKd0N62
#220 [愛華]
そういえば、あたしが倒れた時
って救急車呼んでくれたのは
隆則なんだったっけ………
あの時、隆則はお母さんたちと
何話してたんだろう?
「那佑さんとお付き合いさせて
もらってます」 とかかな…?
あ、でもあの時は別れたまま
だったし………
:11/01/24 00:32
:840SH
:XeKd0N62
#221 [愛華]
「…………なーゆ!行くぞ!」
「へぁ?あ、うん!」
ま、いっか。
あとで聞いてみよう。
「んじゃね、お母さん」
「うん。また明日」
「失礼します」
お母さんと別れると、たまらず
あたしは吹き出した。
:11/01/24 00:34
:840SH
:XeKd0N62
#222 [愛華]
「オイ、なに笑ってんの?」
「だって失礼します、とか!
隆則似合ってないんだもん」
「やかましい」
あ。
隆則と二人になると、急に
現実感が沸いてきた。
明日まで、隆則とずっと二人きりなんだ………ずっと。
:11/01/24 00:37
:840SH
:XeKd0N62
#223 [愛華]
あたしだってさ。
緊張しないわけじゃない。
初めてだし………女の子、だし。
そう。
明日まであたしは普通の女の子。
病気のことは考えなくていい。
隆則のことだけでいいんだよね。
:11/01/25 20:42
:840SH
:kjUW4466
#224 [愛華]
「………たーかのり♪」
「え、なに急に。歩きにくいし」
「そう言うなって!」
あたしは隆則の腕にぎゅうっと
抱き着く。
隆則と並んで歩くのも久しぶり。
やっぱり………嬉しいな。
:11/01/25 20:45
:840SH
:kjUW4466
#225 [愛華]
「あ、俺車取りに行かなきゃ」
歩きながら、隆則が思い出した
ようにいった。
「………車!?隆則、免許
なんか持ってたっけ?」
「うん。この前取った」
「え、車買ったの…?」
「うーん……と。もらった?」
「もらったぁ!?」
:11/01/25 20:54
:840SH
:kjUW4466
#226 [愛華]
「うん」
いやいや………免許取ってた
ことも知らなかったし。
おまけに車もらった?
誰に?
「あたし知らないんだけど。
そんなこと聞いてないし……」
「あー免許取ったのは言い忘れ
てたんだけどさ。車もらったのは3年くらい前だから」
:11/01/25 20:56
:840SH
:kjUW4466
#227 [愛華]
「3年………前?」
頭の中が?でいっぱいに
なっていると、いつの間にか
駐車場についていた。
そこにあった隆則の車は
フツーの車。
「……てか誰にもらったの?」
「あー…高校の時にケンカ
売られた族のやつに」
………………。
:11/01/25 21:01
:840SH
:kjUW4466
#228 [愛華]
「まぁ俺も荒れてたし。
そしたらブッ飛ばしたやつが
族だかヤクザだかのお偉い人
だったみたいでさー。
組に入れとか言われて、断ったら
車やるから免許取ったら乗れって車くれたんだよ。
なんかよくわかんないけ……ど
って那佑どうした?」
:11/01/25 21:17
:840SH
:kjUW4466
#229 [愛華]
「いや……なんかリアルすぎて。あたし若干ひいてるよ……」
「んなこと言ったって!!
返しようもないだろ今さら!
その時だって正直組入るの
断るので精一杯だったし!!」
ヤクザブッ飛ばしといて
何言ってんだか………。
でも。そっか。
あたし隆則の高校時代、
よく知らないんだ。
:11/01/25 21:43
:840SH
:kjUW4466
#230 [愛華]
車に乗ると、新車特有の
シートのにおいがした。
「………あれ、新車?」
「んーみたいだな。乗ったの
昨日が初めてだし」
「大丈夫なのそれ………」
まだ知らない、隆則のこと。
知りたい。
:11/01/25 21:51
:840SH
:kjUW4466
#231 [愛華]
「………さて、どこ行く?」
運転席に乗り込んだ隆則が
キーを差し込んだ。
「………どこでも、いいよ」
「行きたいとこあるだろ?
車だから遠出もできるけど」
久しぶりの外出だけど、
ほんとうはね。
隆則がいるならどこだっていい。
:11/01/25 21:59
:840SH
:kjUW4466
#232 [愛華]
「………じゃあね、ドライブ」
「ドライブ?そんなんでいい?」
「うん。ぶらぶらするだけで」
「りょーかいしましたー」
ブゥン!!
「発進ー!!」
小さな子供みたいに。あの時のあたしはワクワクしてた。
:11/01/25 22:03
:840SH
:kjUW4466
#233 [愛華]
隆則といる時だけだよ。
あたしは子供に戻れる。
強がってばかりだったあの時。
甘えることを知らなかった
子供時代。
隆則は簡単にあたしの心を
持っていっちゃうんだよ。
それだけは
出会ったころと何も変わらない。
:11/01/26 19:57
:840SH
:xNQnfUXU
#234 [愛華]
「ねー隆則」
「んー?」
「隆則の高校時代ってどんなの?あたし知らないんだよねー」
「え?俺の話聞きたいの?」
「うん!!ダメ?」
「ダメじゃねーけど……
聞いてもつまんねーよ多分」
「それでもいーいーの!」
「えー……」
:11/01/26 20:04
:840SH
:xNQnfUXU
#235 [愛華]
隆則は嫌そうな顔だ。
あ。ケンカばっかだったって
言ってたし……嫌な過去なのかな
「……高校、嫌だったの?」
「嫌っつーか…つまんなかった。金髪だから目立ってたしさ。
友達っつー友達も誨ぐらいしか
いなかったしなぁ。」
「高校の時から金髪だったの?」
:11/01/26 20:26
:840SH
:xNQnfUXU
#236 [愛華]
「うん。なんかカッコつけたい
時期とかだったんじゃん?
あとは大体、那佑の想像通り
だと思うけど」
「ケンカばっかしてたの?」
「まーね。俺強かったよ〜」
隆則は笑いながら言った。
…………なんか、オトナ。
:11/01/26 21:56
:840SH
:xNQnfUXU
#237 [愛華]
「…………隆則と、もっと前に
会いたかったなぁ………」
「え、なんで」
「なんとなく」
「なんだそりゃ」
「…………」
「なんだそりゃ」
「なんで2回言うのさ」
「いや、意味わからんから」
「………うん。そっか……」
:11/01/26 22:03
:840SH
:xNQnfUXU
#238 [愛華]
「一人で納得すんなっつの!」
………なんか、もったいない。
そう思ったんだ。
あたしが知らない隆則の部分が
いっぱいありすぎて。
隆則に出会ってなかった時間が
もったいなかったなって。
そんなこと言えるわけないけど。
:11/01/26 22:16
:840SH
:xNQnfUXU
#239 [愛華]
「それよりさ、今看板で
ナントカ海岸って書いてたよ!」
「海岸?海ってことか?」
「行きたい!!海!!」
「海ぃ?行きてーの?」
「行きたい!行きたいっす!」
「わかったわかった」
隆則はあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
:11/01/26 22:53
:840SH
:xNQnfUXU
#240 [愛華]
「………へへっ」
「なに笑ってんだよ」
「もー隆則だいすきー」
「……知ってるってば」
こんな穏やかな時間を
あとどれくらい過ごせる……?
考えようとしてやめた。
:11/01/26 22:58
:840SH
:xNQnfUXU
#241 [愛華]
………なに考えてんの。
今日はそんなことは
考えないって決めたじゃん。
窓の外に海が見えてきた。
太陽の光を反射して、
キラキラしてる。
…海ってこんな綺麗だったっけ。
:11/01/26 23:09
:840SH
:xNQnfUXU
#242 [愛華]
そんなことを考えながら
海を眺めていた。
でも1時間ほど走っても、
ナントカ海岸、なんて文字の
書かれた看板は見えない。
「ねー隆則ーなんか遠くない?
通りすぎたりとかしちゃった?」
「俺に言われてもなぁ………
すぐ横に海あんのにまだ先
なんかな?」
:11/01/27 23:04
:840SH
:DBi3AEWQ
#243 [愛華]
今さら引き返すのもなんか嫌。
途中でお昼を食べ、再出発。
海沿いに走るのも飽きてきた頃。
看板が見えた。
「…………あ、隆則!今看板に
『金城海岸100キロ』って!」
「100キロぉ!?遠っ!!」
:11/01/27 23:09
:840SH
:DBi3AEWQ
#244 [愛華]
「この際だから行こうよ!」
「………俺はいいけどさぁ」
隆則はふぅ、と息をついた。
「………疲れたの?運転」
「いや、別に?」
「かわったげよーか」
「ばーか」
:11/01/27 23:12
:840SH
:DBi3AEWQ
#245 [愛華]
あ、なんか………
隆則やっぱりオトナ。
あたしが子供になったの?
それとも隆則が大人になったの?
どっちにしても……
隣にいるのに遠い。
そんな気がした。
:11/01/30 18:54
:840SH
:JIvfWBzg
#246 [愛華]
そりゃあたしみたいな我が儘で
自己中な女の子と付き合えば、
誰だって大人になるのかも。
おまけに病気もち。
隆則の笑顔はまるで子供を
なだめるような感じだった。
……………気がする。
とか思っちゃうあたしが子供。
:11/01/30 18:58
:840SH
:JIvfWBzg
#247 [愛華]
「…………那佑ー?なした?
急に黙りこんで……」
「チョコで酔った………」
「え?コレお酒はいってた?」
「なんか味変だったもんー」
「てゆーかお前酒弱いの?」
「その前にあたし未成年」
「がーき。今どきみんな飲む
だろー。子供だなー」
………トドメをあんたが刺すか。
:11/01/30 19:06
:840SH
:JIvfWBzg
#248 [愛華]
なんなんだよー…
もやもやする。
なんでこんな日にこんなこと
考えちゃうんだろう?
なんかネガティブになってる…
今日は楽しくいたいのに。
:11/01/30 21:40
:840SH
:JIvfWBzg
#249 [愛華]
どれくらい時間が過ぎただろ。
なんとなく、さみしかった。
切なくて、もどかしくて。
隆則との距離。たった数十センチ
それがすごく遠く感じて。
:11/02/03 20:42
:840SH
:a8wAIOCc
#250 [愛華]
あたしは病気になってから、
弱くなったみたいだね。
強くなりたいけれど……
距離を感じる度にあなたが
足りなくなってしまう。
それは……わがままなのかな。
:11/02/03 20:44
:840SH
:a8wAIOCc
#251 [愛華]
たとえばあたしが隆則と
出会わなかったとして。
ひとりでこの日を迎えたとして。
あたしは、何を思っただろう?
隆則じゃない、誰かほかのひとを見つけられたの?
未来に絶望したりしてない?
:11/02/03 20:50
:840SH
:a8wAIOCc
#252 [愛華]
そんなことあるわけない。
今のあたしは隆則がつくって
くれたんだよ。
隆則がいなきゃ生きてゆけない。
隆則は側にいるけれどー……
それでも足りなくなるのは
あたしがおかしいのかな。
:11/02/03 21:01
:840SH
:a8wAIOCc
#253 [愛華]
'
「……………那佑ー起きろー」
「…………へぁ………ん……」
:11/02/03 21:07
:840SH
:a8wAIOCc
#254 [愛華]
「お前ねー寝てんなよ……」
「あたし………寝てた?」
いつの間にか寝てたらしい。
昨日寝なかったせいか………
てゆーかこんな日に昼寝って…
「あたし変な顔してなかった?」
「あーヨダレふいてやった」
:11/02/03 22:19
:840SH
:a8wAIOCc
#255 [愛華]
「うそばっかついて……」
「わはは。ほら。外見てみ」
あたしは窓の外に目をやった。
まだまどろむ目をこする。
「……………すご……」
それしか言葉が出なかった。
:11/02/03 22:22
:840SH
:a8wAIOCc
#256 [愛華]
最後に海を見たのは
確か6歳の時。
お父さんとお母さんと一緒に
海に入って遊んだ。
少し寒かったけど、嬉しくて。
楽しくて。
こんな幸せが続くって信じた。
幼かった、あの頃。
:11/02/03 22:29
:840SH
:a8wAIOCc
#257 [愛華]
「隆則!!早く早く!!」
「そんな急いで転ぶなよー」
隆則が呆れたように笑う。
あたしは波打際まで走った。
……冷たい。海の水って冷たい。
:11/02/03 22:32
:840SH
:a8wAIOCc
#258 [愛華]
夕陽が海に沈んでいた。
映画とかで見慣れた感じ。
でもその景色は言葉が出ない
くらいに綺麗で。
夕陽ってほんとに海に沈むんだ…
なんて馬鹿なこと考えた。
:11/02/03 22:34
:840SH
:a8wAIOCc
#259 [愛華]
「………隆則、ありがと」
「なにが?」
「連れて来てくれて。海見たの
10年ぶりくらいだから嬉しい」
「あー…俺もそんくらいかな…」
隆則はニッと笑った。
たまらなく、愛しいひと。
:11/02/03 22:38
:840SH
:a8wAIOCc
#260 [愛華]
「ひといねーなぁ」
「もう夕方だしねー……」
あたしたちは砂の上に座った。
長い時間車に乗っていたので、
砂がやわらかく感じた。
あたたかかった。
「………綺麗だ、ね」
「うん。ありがたいわ」
:11/02/03 22:44
:840SH
:a8wAIOCc
#261 [愛華]
「ありがたいってなに?」
「俺前までは景色とか見て
感動することとかないって
思ってたからさー…」
「なるほどー心が荒んでたのね」
「うるせーな!」
2人で声を上げて笑った。
笑い声は波の音に消えていった。
:11/02/03 22:51
:840SH
:a8wAIOCc
#262 [愛華]
幸せだな。あたし。
でも、もしもあたしが。
病気じゃなかったら?
今までにも何度も考えたっけ。
:11/02/03 22:54
:840SH
:a8wAIOCc
#263 [愛華]
もっと幸せになれたかも。
苦しむこともなかった。
それでもあたしは。
この病気のおかげで隆則に会えた
あぁ……………あたしは。
:11/02/03 22:55
:840SH
:a8wAIOCc
#264 [愛華]
「………………隆則」
「ん?」
「約束、絶対守ってね。」
『あたしがいなくなる時、
泣かないで。その時だけは……
…………絶対に』
:11/02/03 22:58
:840SH
:a8wAIOCc
#265 [愛華]
「絶対に絶対に守って。」
あたしはゆっくり隆則の目を
見つめる。
そして、手を握りしめる。
その目で、腕で。
いっぱいの幸せをあたしにくれた
:11/02/03 23:01
:840SH
:a8wAIOCc
#266 [愛華]
あたしはもうすぐいなくなる
かもしれないけれど。
もう、充分だよ。
一生ぶんの幸せをもらったよ。
だからお願い。
あたしが死んじゃう時は
「またね」って笑ってね。
:11/02/03 23:06
:840SH
:a8wAIOCc
#267 [愛華]
「………那佑、なした……?」
期待することはもうやめた。
『諦めない』なんて
きれいごとはもういい。
現実をただ一点に見つめる。
『あたしはいなくなる』
という事実。
:11/02/03 23:10
:840SH
:a8wAIOCc
#268 [愛華]
「………今日だけは。病気のこと忘れようって思った。
でも無理だった。
あたしはそんなとこまできてる。
隆則も、気づいてるでしょ?
あたしには時間がないの」
口に出すのが辛かった『事実』
:11/02/03 23:12
:840SH
:a8wAIOCc
#269 [愛華]
「なに………それ」
隆則の瞳には色がなかった。
悲しみも苦しみも。なにもない。
わかってるよ。
同じ気持ちなんだよ。
「ごめんね…………隆則」
:11/02/03 23:15
:840SH
:a8wAIOCc
#270 [愛華]
涙を流すことにも慣れた。
自分を受け入れなきゃ。
「………あたしはもうすぐ…」
次の言葉は出なかった。
:11/02/03 23:18
:840SH
:a8wAIOCc
#271 [愛華]
やわらかくてあたたかい
隆則のぬくもりが一瞬で
あたしを包み込んだ。
「…………なに弱ってんの?
んなもん誰がきめたんだよ?」
隆則はあたしを抱きしめたまま
うなるように声を出す。
:11/02/03 23:21
:840SH
:a8wAIOCc
#272 [愛華]
波の音が消えた。
「…………隆則…………」
「勝手なこと言ってんな。
お前後悔するぞ、絶対。
お前の寿命なんて誰がどこで
きめたんだよ?自分が生きたい
だけ生きれよ!」
まっすぐな、言葉。
:11/02/03 23:25
:840SH
:a8wAIOCc
#273 [愛華]
苦しいほどに、心にしみる。
じわじわ、広がってく。
「あたし、は…………隆則を
幸せにはできな……もしれない」
「俺はもう幸せだからいい。
お前の番だろーが今は。俺が
ちゃんと幸せにしてやるから」
:11/02/03 23:27
:840SH
:a8wAIOCc
#274 [愛華]
言葉になっていないのに、
ちゃんと聞き取ってくれる。
「ちゃんと泣け。なんで
頼らないんだよ?不安なら
いくらでも言ってやるから。
お前はいなくならない」
ほら。また。
あたしを期待させるんだね。
:11/02/03 23:30
:840SH
:a8wAIOCc
#275 [愛華]
なんの根拠もないくせに。
わたしはあなたの言葉に
期待を抱いてしまうの。
大切なものを見つけると
ひとは欲深くなる。
それを生きる力に変えるのは
あたしにとってはすごく
難しかったんだよ。
それでも、力になる。
:11/02/03 23:33
:840SH
:a8wAIOCc
#276 [愛華]
明日を生きる、あたしの。
「………苦しいよ………」
「うん」
「辛いんだよ…………」
「うん」
「どうしてあたしなの?」
「うん」
:11/02/03 23:35
:840SH
:a8wAIOCc
#277 [愛華]
隆則の手は、震えていたね。
いや、震えてたのはあたしかも。
「隆則…………やだよ……」
「うん」
「生きたい…………」
死にたくない、じゃなくて。
:11/02/03 23:42
:840SH
:a8wAIOCc
#278 [愛華]
生きたい。
それだけ。
神様なんか信じない。
願ったりしないよ。
ただ、思うだけだよ。
:11/02/03 23:44
:840SH
:a8wAIOCc
#279 [愛華]
「こわい………やだ………」
「…………ん。」
隆則は抱きしめる手に力を込める
「………俺もこえーや」
:11/02/03 23:45
:840SH
:a8wAIOCc
#280 [愛華]
神様なんか、信じないから。
心に思うだけ。
隆則の側で生きたいです。
叶うなんて期待は、しない。
絶対に、してやるもんか。
:11/02/03 23:48
:840SH
:a8wAIOCc
#281 [愛華]
辛かった。
苦しかった。
だから、生きたかった。
いつだって願ったことは
ただひとつ。
「ただ一人誰かの為に生きたい」
それが君なんだと信じた。
18歳の夏。
:11/02/03 23:52
:840SH
:a8wAIOCc
#282 [愛華]
今日の更新分
>>249-282久しぶりの大量更新なので
文章おかしいかもしれないです。すいません……
感想待っています。
:11/02/03 23:54
:840SH
:a8wAIOCc
#283 [愛華]
'
ずっとずっと夢見てた。
あたしは、女の子として。
普通の女の子として生きれるのか
:11/02/04 21:11
:840SH
:Hg7.qx02
#284 [愛華]
大切なひとを見つけて
キスをして
…………ひとつになって。
そんな幸せを手に入れられるのか
病気になってからも考えた。
:11/02/04 21:13
:840SH
:Hg7.qx02
#285 [愛華]
あたたかいあなたの腕の中で
あたしはそんな昔のことを
思い出していたんだよ。
今日あたしは。
あなたとひとつになれます。
:11/02/04 21:15
:840SH
:Hg7.qx02
#286 [愛華]
'
「…………ひっ……」
首に隆則の熱を感じた。
チクリとした痛み。
熱くて、でも優しい。
:11/02/04 21:31
:840SH
:Hg7.qx02
#287 [愛華]
「…………しるし」
隆則は優しく笑いながら言った。
ゆっくりベッドが沈んだ。
隆則に見下ろされてる……
なんか、変な感じ。
:11/02/04 21:36
:840SH
:Hg7.qx02
#288 [愛華]
震えてるのが自分でわかった。
「……………こわい?」
「大丈夫。へいき」
「無理してんなら………」
あたしは思い切り隆則を
抱きしめた。
「いいの」
:11/02/04 21:38
:840SH
:Hg7.qx02
#289 [愛華]
いいんだ。
隆則なら。
きっと、大丈夫だから。
そうでしょう?
「…………馬鹿」
:11/02/04 21:47
:840SH
:Hg7.qx02
#290 [愛華]
「馬鹿ってなにさ。隆則もだよ」
「俺が馬鹿?」
「…………隆則、熱い」
隆則はゆっくりキスしてくれた。
少しタバコのにおいがした。
それすらも安心する。
:11/02/04 21:50
:840SH
:Hg7.qx02
#291 [愛華]
「いんじゃん?馬鹿で」
「うん。そーだね」
あたしは
隆則の
隆則のすべてで
幸せになれるの。
:11/02/04 22:05
:840SH
:Hg7.qx02
#292 [愛華]
幸せだった。
きっと、こんな幸せな夜は
初めてだったよ。
隆則もそうだったのかな?
だと嬉しいな。
まるで宝物にさわるみたいに
不器用な手であたしに触れる。
愛しい手。
:11/02/04 22:25
:840SH
:Hg7.qx02
#293 [愛華]
暗い闇の中でいつも
あなたの声がしていた。
あたしの名前を呼んで
笑顔で手をふってくれる。
ずっと前から
こうなることは決まっていた。
そんな気がするの。
そう信じたいの。
:11/02/04 22:52
:840SH
:Hg7.qx02
#294 [愛華]
隆則。
大好きなんかじゃない。
愛してるよ。
ずっとずっと愛してるよ。
長くて、温かくて。
少しだけ切ないような。
幸せな夜が明けようとしていた。
:11/02/04 22:56
:840SH
:Hg7.qx02
#295 [愛華]
:11/02/04 22:59
:840SH
:Hg7.qx02
#296 [我輩は匿名である]
'
太陽は東から昇る。
そして西に沈む。
当たり前のような
神様がずっと昔に決めた決まり。
:11/02/05 22:39
:840SH
:qulkQi8.
#297 [我輩は匿名である]
きっと誰もが感じている。
そんなの当たり前だって。
でもあたしは違ったんだ。
太陽が昇って沈むまで
明日への恐怖に怯えていた。
光を見ることが怖かった。
なのに夜の闇にも怯えていた。
居場所がどこにもなかった。
:11/02/05 22:47
:840SH
:qulkQi8.
#298 [我輩は匿名である]
まぶしいのは嫌い。
自分がどんなに醜い心をしてるか
全て照らされてしまうから。
でも暗いのも嫌い。
自分がどこにいるかわかんなくて
闇にのまれそうになるから。
じゃああたしは、
どこに在ればいい?
:11/02/05 22:52
:840SH
:qulkQi8.
#299 [我輩は匿名である]
そんなあたしを連れ出してくれた
隆則。
自分の中のぜんぶが
あなたでうめつくされた。
:11/02/05 23:02
:840SH
:qulkQi8.
#300 [我輩は匿名である]
光がこんなに心地好いなんて
知らなかった。
夜がこんなに穏やかだったなんて知らなかった。
全部隆則が教えてくれた。
言葉にできないくらいに
温かくて、楽しくて。
つまりね。
幸せなの。
:11/02/05 23:08
:840SH
:qulkQi8.
#301 [我輩は匿名である]
'
あたしは大好きなぬくもりを
隣で感じながら目を覚ました。
いつもと違うにおいがした。
それが嬉しかった。
:11/02/05 23:16
:840SH
:qulkQi8.
#302 [愛華]
名前なくてすみませんでした。
全部愛華が書いたものなので
疑問に思った方がいたら
申し訳ありませんでした。
更新します。
:11/02/06 12:19
:840SH
:KxCQl9Ns
#303 [愛華]
…………なんだろ?
横を見ると、そこには
目をつぶったままあたしの
頭をなでている隆則がいた。
だからあたたかかったんだ……
そうだ、あたし昨日………
:11/02/06 12:21
:840SH
:KxCQl9Ns
#304 [愛華]
昨日のことを思い出し、一人で
赤面する。体温が上がるのが
自分でもわかった。
………ひゃー……
なんか……すごい恥ずかしい…
「………なんだ、起きてたのか」
隆則がゆっくり目を開けた。
:11/02/06 12:24
:840SH
:KxCQl9Ns
#305 [愛華]
「あ…………おはよ、う……」
「うん。おはよ」
隆則はにっこり笑った。
すごく優しい笑顔。
その視線の先には………
「あ、あんま見ないで……」
あたしはシーツで自分の体を
ぐるぐる巻きにした。
:11/02/06 12:29
:840SH
:KxCQl9Ns
#306 [愛華]
は、恥ずかしい…………!!
「………え、今さら恥ずいの?
んなことしなくても昨日……」
「あーうるさいうるさい!」
「思い切り見ちゃっ……」
「お願いだからやめて!!」
一晩明けると恥ずかしさが
一気にこみあげてきた。
:11/02/06 12:32
:840SH
:KxCQl9Ns
#307 [愛華]
「ぷはっ……わかったよ」
「………もー……」
「叶わないなーほんと……」
隆則はあたしをぎゅうっと
抱きしめた。
「かわいすぎ」
「そ……そう言われましても…」
二人で迎える朝はまぶしくて。
:11/02/06 12:36
:840SH
:KxCQl9Ns
#308 [愛華]
「隆則、寝癖ついてる」
「ん、ほんと?」
あたしはシーツから手を出して
隆則の髪にちょいっと触れた。
あれ、今までこんなに近くで
隆則の顔を見たことあったっけ?
びっくりするくらい綺麗な顔
してるなー……
:11/02/06 12:39
:840SH
:KxCQl9Ns
#309 [愛華]
「……………へへっ」
「なーに笑ってんの」
「だって寝癖とか
かわいんだもん」
そう言うと隆則は少し顔を
しかめた。面白くなさそう。
「かわいいとか嬉しくない」
「えーほめてるのになぁ」
「んなこと言ってるとベッドから落としちまうぞ」
:11/02/06 12:44
:840SH
:KxCQl9Ns
#310 [愛華]
「ちょ、今動けないんだけど!」
「自分でぐるぐる巻きに
なったんだろ………馬鹿か」
あ、そうでした………。
枕もとの時計を見ると、
9時をまわっていた。
今日、また戻らなきゃ
いけないんだ…………。
:11/02/06 13:01
:840SH
:KxCQl9Ns
#311 [愛華]
変なの。
昨日まで不安でたまらなかった。
「生きたい」なんて隆則に
泣きついて。
隆則はなにも言わずに
ただ抱きしめてくれてたけど…
それだけで私の力になったよ。
:11/02/06 13:08
:840SH
:KxCQl9Ns
#312 [愛華]
大丈夫。
もう、怖くないよ。
「隆則」
「ん?」
「キスして」
:11/02/06 13:16
:840SH
:KxCQl9Ns
#313 [愛華]
隆則は一瞬びっくりした顔をして
あたしを真っ直ぐに見つめると
ゆっくり唇を重ねた。
今までできっと、
1番幸せなキス。
唇が離れると淋しさを感じた。
:11/02/06 13:19
:840SH
:KxCQl9Ns
#314 [愛華]
「…………足りないの?」
「…………」
あたしはその気持ちを悟られて
しまったようで………
それをごまかすようにもう一度
隆則にキスをした。
甘くて、ちょっと苦くて。
知らないうちに涙が流れた。
:11/02/06 13:23
:840SH
:KxCQl9Ns
#315 [愛華]
隆則はあたしの涙をぬぐい、
目にキスをしてくれた。
「………なんで泣いてるの」
「言ったら馬鹿にされる」
「しないよ。言ってみ?」
あたしは涙もろくなった。
でもね、またこんな風に
あなたの前で泣きたい。
「…………幸せすぎて………」
:11/02/06 13:28
:840SH
:KxCQl9Ns
#316 [愛華]
「……………なんだそりゃ…」
隆則はあたしのまぶたに唇を
つけたままつぶやいた。
くすぐったい。
「…俺も、今なら泣けっかも」
震える声でそう言った。
:11/02/06 13:33
:840SH
:KxCQl9Ns
#317 [愛華]
あなたもあの時幸せだったの?
そんなこと聞けなかったけれど
あの時のあたしは確かに。
全力で幸せだったの。
『幸せってなに?』
いつか直純くんは言っていた。
:11/02/06 13:35
:840SH
:KxCQl9Ns
#318 [愛華]
きっと一生わからない。
わからないから生きるの。
その日が来る前に、
頑張って幸せになろうって
あなたが隣にいるから思えるの。
この日々をいつか思い出して
:11/02/06 13:40
:840SH
:KxCQl9Ns
#319 [愛華]
そして笑いあうために。
神様。
もしいるのなら。
もう一度信じてみていいですか?
奇跡は存在するのだと。
願いは叶うのだと。
:11/02/06 13:43
:840SH
:KxCQl9Ns
#320 [愛華]
明日は決して見えないけれど。
それでも道しるべはあるの。
向こうで待っていてくれる人が
いるから………
あたしは胸張って進めるの。
信じることは簡単じゃない。
それでも強さになるから。
あなたはあの日
そう言いたかったのでしょうか。
:11/02/06 14:00
:840SH
:KxCQl9Ns
#321 [愛華]
長くなったので一旦きります。
>>302-321夜にまた更新します。
感想あれば、待っています!
:11/02/06 14:03
:840SH
:KxCQl9Ns
#322 [愛華]
-隆則side-
:11/02/06 20:08
:840SH
:KxCQl9Ns
#323 [愛華]
俺のすぐ側で
「苦しい」と言って泣いてくれた
強がってばかりだった君が
久しぶりに見せてくれた弱さ。
どうしようもないくらい嬉しくて
どうしようもないくらい愛しい。
:11/02/06 20:12
:840SH
:KxCQl9Ns
#324 [愛華]
那佑の体は驚くほど細くて。
そして、冷たかった。
今までどんなことをこの体で
感じてきたんだろう。
きっと俺じゃ一生かかっても
理解できない、そんな思い。
それでも分け合うことはできる。
:11/02/06 20:27
:840SH
:KxCQl9Ns
#325 [愛華]
震える手を握りしめた。
俺の全部が伝わるように。
こんな理不尽な運命を呪った
日もあったけれど
それでも今、ここで。
「幸せだ」と泣いている。
ひとって幸せな時も
涙出るんだ。
:11/02/06 20:57
:840SH
:KxCQl9Ns
#326 [愛華]
なんてことを泣きながら
笑っている那佑を見て思った。
絶対に、離さない。
絶対にずっと側にいる。
そう自分に誓った。
那佑の容態が急変したのは
それから4日後のことだった。
:11/02/06 21:04
:840SH
:KxCQl9Ns
#327 [愛華]
'
なん、だ、これ。
:11/02/07 21:09
:840SH
:I4D24sKM
#328 [愛華]
'
脳が、拒否する。
考えることを。
認めることを。
どうして、今なん、だよ。
:11/02/07 21:14
:840SH
:I4D24sKM
#329 [愛華]
那佑が病院に戻ってから
4日目の夜中。
午前2時半。
那佑の母さんから電話が入った。
何を言われたのかは覚えてない。
ただ、移動中に何回もタクシーの運転手にどなったのは
なんとなく覚えてる。
:11/02/07 21:19
:840SH
:I4D24sKM
#330 [愛華]
思い出していたのは今までの
那佑との思い出。
…………やめろよ。
浮かんでくるなよ……
こんなのまるで…………
那佑が死んじまうみたいじゃんか
:11/02/07 21:21
:840SH
:I4D24sKM
#331 [愛華]
震える手を必死で抑えながら、
エレベーターがあるのも忘れ
階段で病室まで走った。
何を考えていたか。
それも覚えてない。
ただ、那佑が助かりますように。
それだけを祈ってたと思う。
俺は今、裏庭にいる。
那佑との始まりの、あの木の下。
:11/02/07 21:27
:840SH
:I4D24sKM
#332 [愛華]
'
蒸し暑い、夜。
昼にはきれいな緑の葉も
夜には漆黒に塗り潰される。
:11/02/07 21:30
:840SH
:I4D24sKM
#333 [愛華]
「…………なにやってんだろ俺」
涙さえも出ない。
本当に一瞬の出来事だった。
頭に焼き付いて、消えない。
:11/02/07 21:47
:840SH
:I4D24sKM
#334 [愛華]
「……………タカ?」
消え入るような声。
心なしか震えてる。
「病室もどろう?とりあえずは
安定したっていうから……」
「………………」
「先生が………ご両親に話が
あるっていってたみたいでさ」
「………………」
:11/02/07 21:56
:840SH
:I4D24sKM
#335 [愛華]
暗くて見えないけれど、多分
泣きそうな顔してるんだろう。
いや、泣いてるかもしれない。
俺はゆっくりベンチに座った。
那佑とジュースで乾杯したっけ。
『赤と白が出会ったことに
かんぱーい!!』
:11/02/07 21:59
:840SH
:I4D24sKM
#336 [愛華]
「……那佑の、お母さんがね。
話ならタカにも一緒に聞いて
ほしいって言ってて…」
時刻は、午前4時。
「…………タカ」
「………………」
「なんか言ってよぉ………」
:11/02/07 22:04
:840SH
:I4D24sKM
#337 [愛華]
梓は、泣いていた。
静かに。
どうしてお前はそんなに
強いんだよ。
教えてくれよ。なぁ。
いつのまにか明るくなっていた。
:11/02/07 22:07
:840SH
:I4D24sKM
#338 [愛華]
「………那佑のとこ、行こ?」
「見れないよ」
たくさんの管に繋がれていた。
今にも消えそうな。
そんな呼吸をしていた那佑。
もう一度なんて見れない。
「話だって………聞けない」
余命?これからの治療法?
:11/02/07 22:25
:840SH
:I4D24sKM
#339 [愛華]
そんな話聞けない。
聞きたくない。
わかってた。
いつかこんな時が来るって。
でも、なんで今なんだよ?
俺は…………弱いから。
:11/02/07 22:43
:840SH
:I4D24sKM
#340 [愛華]
那佑の側にいたって。
どんなに祈ったって。
那佑を救う方法はわからない。
どうすればいいかわからない。
苦しみに、押し潰されそうだ。
:11/02/07 22:55
:840SH
:I4D24sKM
#341 [愛華]
「……………タカ………」
「梓。俺、どうすればいい?」
自分の弱さが嫌になる。
神様でも誰でもいい。
誰でもいいから。
那佑を連れていかないで。
:11/02/07 23:02
:840SH
:I4D24sKM
#342 [愛華]
「こんなとこでなにしてんの」
「…………え」
玄関から出てきたのは
那佑なんかなわけなくて。
ましてや神様なんかじゃなくて。
「直純……………」
「さっさと病室戻れよ。隆兄」
:11/02/07 23:06
:840SH
:I4D24sKM
#343 [愛華]
息をきらして、短パンにTシャツのままの直純。
よほど急いで来たんだろう。
「…………白石に会ったよ。
安定してるけど、いつまた急変
してもおかしくないんだって?
で、そんな時にあんたは
何やってんだよ?」
鋭くて、突き刺さるような言葉。
:11/02/07 23:11
:840SH
:I4D24sKM
#344 [愛華]
その通りだ。でも………
「………那佑の姿、見れない」
「見れなくても見ろよ。
最後かもしれねぇんだぞ」
「直純、あんたなに言って…」
「梓は黙ってろよ」
直純の言葉も。
するすると通り抜けてく。
心を強くえぐって。
:11/02/07 23:15
:840SH
:I4D24sKM
#345 [愛華]
「ぼろぼろな白石なんか
見たくないのかよ?」
「そんなんじゃねぇ」
「逃げてんだろ」
「てめぇ何言って………」
「現実見ねぇふりしてんなよ!」
見ない、フリ?
那佑を見ないふり………?
:11/02/07 23:18
:840SH
:I4D24sKM
#346 [愛華]
「どんなに隆兄が辛くてもな。
今、この瞬間に端っこで
苦しんでんのは誰だよ?
闘ってんのは誰だよ?」
闘ってるのは誰?
俺?だとしたら何と?
……………違う。
闘ってるのは…………
:11/02/07 23:21
:840SH
:I4D24sKM
#347 [愛華]
『生きたい』と言って泣いた。
今も苦しんでる那佑だ。
俺は拳をにぎりしめた。
涙がこぼれないように。
泣くな、泣くな。
:11/02/07 23:23
:840SH
:I4D24sKM
#348 [愛華]
「…………隆兄にしかできない
ことがあるだろ?」
「え…………」
直純はなんの迷いもないように
言い放った。
「白石に手術受けさせろ」
生きるか、死ぬか。
那佑が拒んだ手術。
:11/02/07 23:26
:840SH
:I4D24sKM
#349 [愛華]
「そんなの………」
「無理じゃないだろ?
もう死ぬか治るか、どっちか
しかないんだよ!
このまんま放置かよ?
そんなの白石がよくても
俺が許さねぇから」
那佑、わかってるお前?
お前の周りにはこんなにお前を
想ってくれてるやつがいるんだ。
:11/02/07 23:32
:840SH
:I4D24sKM
#350 [愛華]
「殴ってでも蹴り飛ばしてでも!白石に手術受けさせろよ!」
どうすればよかったかなんて
多分一生わからないけれど。
それでもこの過去を振り返って
後悔するのだけは嫌だ。
流した涙が無駄になるのは
もう嫌なんだ。
:11/02/07 23:35
:840SH
:I4D24sKM
#351 [愛華]
あふれる涙をぬぐった。
………大丈夫だ。
まだ、頑張れるだろ。
情けない顔してんな。
また君と笑いあうために。
一歩を踏み出す。
:11/02/07 23:43
:840SH
:I4D24sKM
#352 [愛華]
:11/02/07 23:45
:840SH
:I4D24sKM
#353 [愛華]
-那佑side-
:11/02/08 22:56
:840SH
:RObCb5To
#354 [愛華]
またあの夢なんだね。
隆則が泣いていて
あたしはどうすることもできず。
ただ、もがき苦しむ夢。
でも今度は夢じゃないの……?
:11/02/08 22:59
:840SH
:RObCb5To
#355 [愛華]
'
目が覚めると、前にも見た天井。
薬のツンとする大嫌いな臭い。
:11/02/08 23:01
:840SH
:RObCb5To
#356 [愛華]
しぶといね、あたしも…………
何回死にかけてんだか。
鼻に違和感があったので、
触ろうとしたけれど、
手に力が入らなかった。
………違う人の体みたい………
:11/02/08 23:08
:840SH
:RObCb5To
#357 [愛華]
まぶたがすごく重くて。
あたし、生きてんのか。
まだ生きてんのか。
確実に命は擦り減ってるけど。
まだこらえつづけてるんだ。
手にぎゅっと力をいれた。
:11/02/08 23:11
:840SH
:RObCb5To
#358 [愛華]
あたし、どうしたんだっけ……
あ、また発作おきたのか。
体の調子からいくと
けっこう危なかったっぽいな。
静まりかえった病室。
ここは天国なんかじゃないよね?
お願いだから、
誰か証明して……………。
:11/02/08 23:14
:840SH
:RObCb5To
#359 [愛華]
今度は右手に力を入れた。
……………あれ?
ゴツゴツしてて大きくて。
それでもいつもあたたかい。
間違えるわけない。
あの手を。
:11/02/08 23:18
:840SH
:RObCb5To
#360 [愛華]
私の右手を包んでるその手は。
「……………たか……の、り」
ツーッと一筋涙が流れた。
頬をつたい落ちたそれは
枕に小さなシミをつくった。
:11/02/08 23:22
:840SH
:RObCb5To
#361 [愛華]
会いたかった。
会いたかったんだよ。
ずっとずっと会いたかった。
隆則はあたしの右手を握りしめ、その手に頬を寄せるようにして眠っていた。
寝息が伝わってくる。
:11/02/08 23:24
:840SH
:RObCb5To
#362 [愛華]
「……………隆則?」
「………………」
「隆則…………」
「………………」
何回呼んでも起きない。
3回目に隆則を呼ぼうとした時。
「たか…………」
:11/02/08 23:27
:840SH
:RObCb5To
#363 [愛華]
「……………ん……」
「わっ…………」
隆則は何も言わずに、
ムクッと起き上がった。
目は空いているけれど、
焦点があっていない。
ただ、その手は痛いほどに
あたしの右手を握りしめていた。
:11/02/08 23:33
:840SH
:RObCb5To
#364 [愛華]
「隆則、手いたい………」
「え……………」
すごく久しぶりに言葉を
発した気がする。
そして………すごく久しぶりに
隆則を見たような気もする。
嬉しい。
:11/02/08 23:41
:840SH
:RObCb5To
#365 [愛華]
「え、え……………那佑?」
「そ、そうだよ………」
隆則はパッと手を離すと
両手であたしの頬を包んだ。
さっきまで焦点があっていなかった瞳が真っ直ぐ私に向かう。
「那佑?那佑だよな?」
:11/02/08 23:45
:840SH
:RObCb5To
#366 [愛華]
「だからそうだってば」
「そっか…………」
「うん。戻ってきたんだよ」
あたしが笑うと、隆則は
ホッとしたように手を離し、
今度はあたしの手を自分の頬に
持っていった。
隆則の頬はやっぱりあたたかくて
あたしは戻ってきたんだなって
実感させてくれた。
:11/02/08 23:50
:840SH
:RObCb5To
#367 [愛華]
「…………よかった。
もう、戻ってこねぇかと思っ…」
「ばか。あたしはそんな簡単に
くたばりませんよーだ」
隆則は優しく笑いながら、
あたしの手のひらにキスをした。
神様、覚えていますか?
:11/02/08 23:54
:840SH
:RObCb5To
#368 [愛華]
きっと毎日、何千何万という人があなたに願いを託すのだろう
けれど。
その中で私の願いは届いてる?
信じない、なんて言わない。
だって私はこうやってここに
戻ってこれたんだから。
だから贅沢をいうならば。
ずっとここにいたいです。
:11/02/08 23:59
:840SH
:RObCb5To
#369 [愛華]
それからは忙しかった。
お母さんとお父さんが泣いて。
検査を受けて。
そして、次にまたいつ発作が
起こるかわからないことを
告げられた。
なんとなくわかってたから、
何も言わなかった。
:11/02/09 00:05
:840SH
:GPZpAJBk
#370 [愛華]
何を感じることもなくて。
気がつくと、
目覚めてから5日たっていた。
『次』って……いつだろ?
そんなことばかり
考えていた気がする。
隆則は、そんなあたしを朝から晩まで一緒にいて支えてくれた。
:11/02/09 00:11
:840SH
:GPZpAJBk
#371 [愛華]
なんでもないように過ぎる時間
これからもこんな風に
あたしの残り時間は減っていく。
ここに戻ってこれたことが
すごくすごく嬉しいのに
未来が見えない不安に
あたしは限界を感じていた。
光が遠すぎて………見えない。
:11/02/09 00:17
:840SH
:GPZpAJBk
#372 [愛華]
隆則。
今考えてみてもさ。
あたしに希望を与えるのも
絶望を与えるのも
全部隆則だったんだよ。
それが、嬉しかったよ?
涼しくなりはじめた日
運命を決めたのもあなたでした。
:11/02/09 00:20
:840SH
:GPZpAJBk
#373 [愛華]
:11/02/09 00:22
:840SH
:GPZpAJBk
#374 [愛華]
-隆則side-
:11/02/09 22:37
:840SH
:GPZpAJBk
#375 [愛華]
那佑がまた戻ってきた。
嬉しかった。
もう会えないかも、って
眠る度に考えたから。
これはきっと、神様がくれた
最後のチャンス。
これが最後だから
俺のできることをしなさいって。
そう言ってる気がした。
:11/02/09 22:40
:840SH
:GPZpAJBk
#376 [愛華]
那佑。
お前が何考えてるのか
俺は知らないけど。
俺は俺ができる精一杯のこと。
それをやる。
俺のすべてを懸けて。
泣いてもいいから。
どうか最後まで聞いて。
:11/02/09 22:43
:840SH
:GPZpAJBk
#377 [愛華]
-那佑side-
:11/02/09 22:43
:840SH
:GPZpAJBk
#378 [愛華]
夏が終わりを告げていた。
目覚めてから1週間たちました。
自分が自分じゃなくなっていく
感覚。
何かを考えるのも
めんどくさくなっていた。
:11/02/09 22:46
:840SH
:GPZpAJBk
#379 [愛華]
このままでいい。
隆則が側にいて。
あたしの最期を見てくれるなら
それでいいよ。
それがあたしが望んでいた
最期なんだから。
未来を見透かすのはやめよう。
涙を流すことにも飽きたね。
:11/02/09 22:49
:840SH
:GPZpAJBk
#380 [愛華]
あたしはゆっくりと起き上がり
深呼吸した。
……………お風呂入りたい。
自分にもまだ人間らしい感情が
残っていたことを知り、
なんとなく嬉しい。
テーブルに置いてあるケータイがぴかぴか点滅していた。
:11/02/09 22:52
:840SH
:GPZpAJBk
#381 [愛華]
-新着メール3件-
『今日はテストがあったよ。
やばい。英語はできたよー。
なんか食べたいものある?
明日3時ごろに行くね』
梓からだ。
ケータイには梓がお守りだと
言ってあたしにくれた
小さなストラップが揺れてる。
『那佑が元気になりますよーに』
:11/02/09 22:56
:840SH
:GPZpAJBk
#382 [愛華]
そう書かれた紙が、お守りの中に入っていた。
すごく嬉しかった。
もう1件は直純くんから。
『学校疲れた(´ε`)
これありえなくね?明日、梓と
一緒に持っていくから』
下には真っ赤な色のカップが
写った写メ。
:11/02/09 23:03
:840SH
:GPZpAJBk
#383 [愛華]
『キムチプリン』と書かれていて唐辛子の絵が書いてある。
……直純くんらしいな。
すごく自然に笑顔がにじみ出た。
最後の1件。
『4時ごろ行く。寝るなよ?』
:11/02/09 23:09
:840SH
:GPZpAJBk
#384 [愛華]
たったそれだけの文章。
もう慣れたことなのに、
いつだって嬉しくなるの。
「あ、もう4時になる……」
もっと早くにメールに気づけば
よかった。
あたしはくしで長い髪をとかし
鏡で身嗜みを確認する。
:11/02/09 23:13
:840SH
:GPZpAJBk
#385 [愛華]
好きなひとの前ではやっぱり
かわいくいたいけれど。
今のあたしでは難しいね。
大分痩せたしなぁ………。
隆則はそんなこと気にしない
んだろう。でもやっぱり
女の子だから。
もうすぐいなくなるとしても
最後まで女の子だから。
隆則だけの女の子でいたいから。
:11/02/09 23:18
:840SH
:GPZpAJBk
#386 [愛華]
あたしはベッドで隆則が来るのをいつものように待っていた。
運命とはタイミング。
カチツと音をたてて。
一瞬で変わってゆく。
いいほうにも悪いほうにも
それは神様の気まぐれで。
きっとあの日の運命もあなたの
気まぐれで決まったのかな。
:11/02/09 23:23
:840SH
:GPZpAJBk
#387 [愛華]
今日の更新分
>>374-387感想待っています。
多分、今週末までに本編は
終わると思います。
超長編になってしまいましたが
応援してくださってる皆様、
改めて本当に感謝感謝です…
最後までよろしくお願いします!
:11/02/09 23:30
:840SH
:GPZpAJBk
#388 [愛華]
'
「うーっす。あ、起きてた!」
「隆則が寝るなって言ったん
じゃんかよーばか」
「ははは」
バイトから真っ直ぐきた感じで
額には汗がにじみでていた。
:11/02/11 10:02
:840SH
:zJ6xm7Y6
#389 [愛華]
変なの。
いつもどおりに隆則が来ただけ
なのに……………
なんだか懐かしい気がするのは
どうしてだろう?
「バイトから真っ直ぐ来たの?」
「そ。疲れたよー」
いつもと同じ、はずなのに……
:11/02/11 10:05
:840SH
:zJ6xm7Y6
#390 [愛華]
今日の空気はなにか違った。
なんだろ?
なんか嫌な予感がするよ………
微妙な空気の違いをあたしが
感じとったことに気づいたのか
隆則はいつもよりも多く、
あたしに笑いかけていた。
安心させようとしてくれてた
んだよね。きっと。
:11/02/11 10:09
:840SH
:zJ6xm7Y6
#391 [愛華]
世間話もほどほどに、
隆則が急にあたしに言った。
「具合どうだ?」
これも、いつもと同じセリフ。
なのに今日はいつもと重みが
全然違う気がした。
茶化しちゃいけない気がした。
:11/02/11 10:12
:840SH
:zJ6xm7Y6
#392 [愛華]
ベッドがぎしぎしときしむ。
その音が妙に耳に響く。
「絶好調ですよーだ」
「ほんとに?」
あ、今…………。
空気が冷える感覚。
:11/02/11 10:16
:840SH
:zJ6xm7Y6
#393 [愛華]
なに?なに?
こわい。こわいよ。
隆則は真っ直ぐにあたしを
見つめる。
強い決意のようなものが見える。
「今日は重大な話がありますっ」
:11/02/11 10:20
:840SH
:zJ6xm7Y6
#394 [愛華]
「重大な………はなし?」
あたしが聞き直すと、隆則は
またにっこり笑ってVサインを
出した。
「ふたつ。話があるから。
聞いてくれるか?」
聞きたくない。
でもそれは声にならなくて。
頭の中は嫌なことしか思い
浮かばなくて。
:11/02/11 10:26
:840SH
:zJ6xm7Y6
#395 [愛華]
「……………」
「那佑。俺を見て」
あたしも隆則がしてくれたように真っ直ぐと隆則を見つめる。
「…………いいよ」
「うん。ありがとな」
わしわしとあたしの頭をなでる。
:11/02/11 10:29
:840SH
:zJ6xm7Y6
#396 [愛華]
この手さえあれば。
なんでものりこえてゆける。
そんな気がするよ。
「じゃーひとつめの話」
「うん」
隆則は座っていた椅子から、
あたしのいるベッドに移った。
:11/02/11 10:33
:840SH
:zJ6xm7Y6
#397 [愛華]
空けていた窓から、夕方特有の
涼しくて少ししょっぱい風が
はいってくる。
優しくて、切なくて、でも
あたたかくて、さみしい。
「那佑、手術受けよう」
:11/02/11 10:37
:840SH
:zJ6xm7Y6
#398 [愛華]
'
手術?
頭が真っ白になった。
どうして、そんなこと………
:11/02/11 10:39
:840SH
:zJ6xm7Y6
#399 [愛華]
何度も堅く拒んだ。
絶対に嫌だったの。
手術室の中でひとりで死を
迎えるなんて絶対に。
隆則はそれを知ってるのに
今さらどうして……………?
どうしてそんなこと言うの?
:11/02/11 10:42
:840SH
:zJ6xm7Y6
#400 [愛華]
「……なに言ってんの?
するわけないじゃん手術なんか」
「今のまんまじゃダメだ」
「今のままでいいよ」
声が震える。
隆則はわかってくれてると
思ってた。
話ってそれなの……?
手術を受けろって話?
:11/02/11 14:16
:840SH
:zJ6xm7Y6
#401 [愛華]
「俺は、いやだよ」
隆則はゆっくり、あたしを
なだめるような口調で言った。
「隆則………あたしだって
自分がいなくなるのやだよ」
目を合わせられない。
悪いことをしてるような気分
になってしまう。
:11/02/11 14:21
:840SH
:zJ6xm7Y6
#402 [愛華]
「那佑。ダメだよ」
「やだ。やだよ………」
涙があふれそうだ。
だって嫌なんだよ。
こわいんだよ。
自分から死へ向かう。
そんな気がしてこわいの。
:11/02/11 14:50
:840SH
:zJ6xm7Y6
#403 [愛華]
「俺の目見て………」
「やだ!手術は受けない!!
そんな話なら帰ってよ!
聞きたくない!」
隆則は泣き叫ぶあたしの手を
思い切りひっぱると、
自分のほうに抱き寄せた。
小さいあたしの体は全部
隆則の中におさまる。
このあたたかさが今は残酷だよ。
:11/02/11 14:56
:840SH
:zJ6xm7Y6
#404 [愛華]
「はなしてよ!!」
「那佑、泣いてもいいから聞け」
隆則の声、震えてる。
隆則も、泣いてるの?
何回あたしのせいで泣いたの?
一緒に泣いてくれたこともあった
:11/02/11 14:59
:840SH
:zJ6xm7Y6
#405 [愛華]
今もあたしのせいで………
「……俺の両親が死ぬときさ。
」
「…………ん」
「直純は俺に『助けて』って
言ったんだ。でも俺は医者
なんかじゃない。無力だった。
どうすることもできなかった」
:11/02/11 15:03
:840SH
:zJ6xm7Y6
#406 [愛華]
「自分の無力さを呪った。
直純が苦しんでた時も、俺は
何もできなかったし、
あげくの果てに逃げた。」
隆則は自分の過去を悔いてる。
他人からみればどうしようも
ないことだったとしても、
隆則にはそうじゃないんだ。
今も責め続けてるんだ。
:11/02/11 15:09
:840SH
:zJ6xm7Y6
#407 [愛華]
「もうやだ。だいじなやつが
どっかいくのも。
なんもできないのもやだ」
まるで小さい子供がおねだり
するみたいに。
強くあたしを抱きしめる。
苦しくて、怖くて。
あたしは、どうすればいい?
:11/02/11 15:12
:840SH
:zJ6xm7Y6
#408 [愛華]
「こわ、い…………
会えないのこわい………」
「わかってる。でも大丈夫。
成功したって失敗したって
ずっと一緒にいてやるから」
「それって………」
「俺が一緒に死んでやる」
「馬鹿すぎ…………」
進むべき道はあるのに。
踏み出せない。
ゴールがあるのかないのかさえ
わからない道を進むのがこわい。
:11/02/11 15:17
:840SH
:zJ6xm7Y6
#409 [愛華]
「那佑、夢教えて」
あたしを抱きしめて、肩に顔を
埋めたまま隆則が言う。
あたしの、夢………?
「………バケツプリン食べる」
「まだ食べてなかったのか」
:11/02/11 15:21
:840SH
:zJ6xm7Y6
#410 [愛華]
「うん」
「あとは?」
前までは何も望まないはずだった
でも今は………
「学校卒業してね」
「うん」
「振袖とか着てね」
「うん」
:11/02/11 18:44
:840SH
:zJ6xm7Y6
#411 [愛華]
「夏は祭に行って花火見たい」
「ん………」
「一緒にプールも行きたいし
お花見もしてみたいよ。
初詣も行きたい………」
行きたいところ、したいこと
まだまだたくさんあるの。
その全部を
隆則と、過ごしたいんだ……
:11/02/11 18:48
:840SH
:zJ6xm7Y6
#412 [愛華]
ああ、あたしはまだ。
満足なんかしてないよ。
まだまだ足りないよ。
「……おっきな家におっきな犬。カッコイイ犬がいい」
「……………」
:11/02/11 18:50
:840SH
:zJ6xm7Y6
#413 [愛華]
「………子供は、3人。
男の子ふたりと女の子。」
「……………ん……」
「………隆則の、お嫁さんに
なりたいよ…………」
あたしは、欲張りですか?
:11/02/11 18:53
:840SH
:zJ6xm7Y6
#414 [愛華]
生きたいのに、手術はこわい。
やるせない思いは涙となって
あたしの中から溢れてゆく。
「…………那佑。」
「ん……」
隆則はあたしを離すと、
真っ正面に向き直った。
:11/02/11 18:55
:840SH
:zJ6xm7Y6
#415 [愛華]
:11/02/11 18:57
:840SH
:zJ6xm7Y6
#416 [
]
うわあ


めちゃ良いところで切りますね…



笑
続き気になる

主さん応援してます

:11/02/11 23:07
:F09A3
:C76X2MNo
#417 [愛華]
>>416様
ありがとうございます!
がんばりますね!
:11/02/11 23:30
:840SH
:zJ6xm7Y6
#418 [我輩は匿名である]
>>414隆則はあたしの涙を指ですくうと
あたしを強い瞳で見つめる。
「もうひとつのほうの話ね?」
「なに…………?」
あたしの頬から手を離すと
ポケットからなにかを取り出す。
:11/02/12 13:40
:840SH
:/rqsAvKY
#419 [我輩は匿名である]
隆則の手の中のそれは。
ちいさなちいさなしるし。
「手術が終わったら。
俺と結婚してください。」
:11/02/12 14:06
:840SH
:/rqsAvKY
#420 [我輩は匿名である]
なんの迷いもない。
そこに存るのは
いつだってたったひとつだけの
大切な大切な気持ちでした。
神様、見ていますか?
:11/02/12 14:30
:840SH
:/rqsAvKY
#421 [我輩は匿名である]
この人があたしの大切なひと。
命を懸けたっていい。
そう思えるくらい大切なひと。
きっと世界中であなただけ。
だから世界一のひとなんです。
:11/02/12 14:36
:840SH
:/rqsAvKY
#422 [我輩は匿名である]
「…………っえっ…ひっ…」
「え、なんで泣くの………」
嬉しいんだよ、ばか。
隆則の肩に顔を埋める。
ぐちゃぐちゃな顔見られたくない
:11/02/12 14:42
:840SH
:/rqsAvKY
#423 [我輩は匿名である]
涙が止まらなかった。
「………子供3人だっけ?」
「ん………」
「花見に祭に初詣……」
「ん………」
「全部終わったら行こう」
:11/02/12 14:50
:840SH
:/rqsAvKY
#424 [我輩は匿名である]
隆則の涙はあたたかくて。
「約束な」
「うん」
全部終わったら
したいこと全部しよう。
それまで待っててね。
:11/02/12 14:54
:840SH
:/rqsAvKY
#425 [我輩は匿名である]
左の薬指に指輪がはめられる。
「待ってるから。戻ってきて?」
「うん。約束する」
優しく唇が重なる。
これはお別れじゃないよ。
:11/02/12 15:03
:840SH
:/rqsAvKY
#426 [我輩は匿名である]
いってきます、のキスだよ。
こんなこと言ったら怒るかな?
きっとあなたは怒るね。
でも言わせて。
あたしはあなたと出会えて
すごくすごく幸せでした。
:11/02/12 15:06
:840SH
:/rqsAvKY
#427 [我輩は匿名である]
もし約束が守れなくても、
それだけは変わらない。
あなたもそうであってほしい。
想いは共に、胸の……中に。
あなたの明日が
私の明日と重なりますように。
:11/02/12 15:09
:840SH
:/rqsAvKY
#428 [我輩は匿名である]
-隆則side-
:11/02/12 21:10
:840SH
:/rqsAvKY
#429 [愛華]
その日は、
雲ひとつない晴天だった。
涼しくて、日差しが心地好い。
ムカつくぐらいにいい天気。
おまけに小鳥まで鳴いてた。
昨日はよく眠れた?那佑。
:11/02/12 21:14
:840SH
:/rqsAvKY
#430 [愛華]
「んーいい天気だねぇ」
「緊張感なさすぎ、白石…」
「那佑らしくていーじゃん」
手術の直前だというのに、
楽しそうに談笑…………
俺はひとり入れないでいた。
「隆則、どしたの?暗っ」
「へ?いや寝不足でさぁ」
:11/02/12 21:19
:840SH
:/rqsAvKY
#431 [愛華]
「あはは、ばっかだー」
「うるせ」
それを複雑そうな笑顔で見守る
那佑のご両親。
不安が伝わって来るようで
こっちまで緊張してくる。
那佑も口に出さないだけで
本当はそうなんだろうか。
不安じゃないわけないよな。
:11/02/12 21:25
:840SH
:/rqsAvKY
#432 [愛華]
「………白石さん、そろそろ…」
「あ、はい」
「横になられていきますか?」
「………いえ、歩いていきます」
心臓がドクンと脈打った。
なんだよ、これ。
今さらこんな、………
那佑の瞳に迷いはないのに。
:11/02/12 21:32
:840SH
:/rqsAvKY
#433 [愛華]
那佑はゆっくりベッドから、
点滴に気を遣いながら立ち上がる
その仕草がまた俺の不安を煽る。
「………よいしょっと」
「手、貸そうか?」
「んーん。一人で歩きたいの」
那佑は梓の言葉を断ると、
一人で歩きだした。
:11/02/12 21:38
:840SH
:/rqsAvKY
#434 [愛華]
その歩く後ろ姿は凛としていて
本当に綺麗だった。
お前はいつからこんなに強く
なったんだろうか?
お前のために何度も泣いた俺は
強くなれたんだろうか?
今になってこんなことを思うのはやっぱり弱いのかもしれない。
それでもいい。
:11/02/12 21:43
:840SH
:/rqsAvKY
#435 [愛華]
手術室の前まで来ると、那佑は
看護士の手を借りて横になった。
「………んじゃ、行くかぁ」
「那佑、待ってるからね」
「ありがとお母さん。お父さん」
「………頑張ってね」
「うん。頑張るよ、梓」
:11/02/12 21:48
:840SH
:/rqsAvKY
#436 [愛華]
「が、んばっ……て」
「…言うならちゃんと言ってよ、直純くん………」
みんなに一言ずつ言い終えると、
那佑は俺のほうに向き直った。
………やばい、泣きそう。
でも那佑ですら泣いてないのに
泣くわけにはいかない。
かっこわるすぎる。
:11/02/12 21:52
:840SH
:/rqsAvKY
#437 [愛華]
「………そんな顔すんな!!」
「わかってるよ」
強がってみたけど、上手く
言葉が出ないのがもどかしい。
いや、もう言葉はいらないんだ。
「待っててね、隆則」
「うん。待ってる。ずっと」
:11/02/12 21:57
:840SH
:/rqsAvKY
#438 [愛華]
ずっと、待ってる。
ここで。
「隆則、手貸してくれる?」
「え?」
「これ、預かってて」
そう言って手渡されたのは
あの日渡した、指輪。
:11/02/12 21:59
:840SH
:/rqsAvKY
#439 [愛華]
「戻ってきたらまたはめて
くれる?…………教会で!」
「…………わかった……」
「あ、最後にもうひとつ!」
那佑は思い出したように俺の
耳をぐいっと引っ張り、自分の
顔に近づけた。
「もしあたしがいなくなっても。隆則はこっち来ちゃダメだよ」
:11/02/12 22:05
:840SH
:/rqsAvKY
#440 [愛華]
「……え…」
「生きるの。大事な人見つけてねんで幸せにしてあげんの!」
驚くほど小さくて、早口な。
きっと悩みに悩んで出した
那佑の言葉。
なんでこんなときまで、
後の俺の心配してんだよ?
馬鹿かよお前…………。
:11/02/12 22:10
:840SH
:/rqsAvKY
#441 [愛華]
「………わかったよ……」
「返事が小さいですよ」
「わかったよ!!」
「ん、よろしい」
那佑は満足したように笑った。
その笑顔は少し淋しそうで。
後ろでは梓の嗚咽が聞こえる。
「………白石さん行きますね」
:11/02/12 22:13
:840SH
:/rqsAvKY
#442 [愛華]
「はい」
白石の手が離れる。
扉が空いて、那佑が遠くなる。
その時間は一瞬にも感じられたし
まるで永遠のようにも感じた。
ただ、那佑が遠くて。
:11/02/12 22:18
:840SH
:/rqsAvKY
#443 [愛華]
'
「…………いってきます!!」
そう言って那佑は満面の笑顔で
Vサインを突き出した。
その時の那佑の笑顔を
俺は一生忘れない。
:11/02/12 22:20
:840SH
:/rqsAvKY
#444 [愛華]
今日の更新分
>>418-444とうとう明日で最後です。
大量更新になることが予想
されますが、最後までよろしく
お願いします!
感想よければ待っています。
:11/02/12 22:29
:840SH
:/rqsAvKY
#445 [愛華]
人生なにがあるかわからない。
それでも生きてる。
多分明日も生きてる。
生きてる意味とか、そんな
小難しいものを探してるうちに
すぐに明日はやってくる。
だから俺は生きるよ。
何よりも大事なひとのために。
:11/02/13 10:57
:840SH
:DGZtWYG.
#446 [愛華]
'
「…………おそっ……」
約束の時間から20分。
あたしのイライラは最高潮。
:11/02/13 11:00
:840SH
:DGZtWYG.
#447 [愛華]
携帯を取り出すと、打ち慣れた
番号に電話をかける。
イライラしすぎて、何度も
打ち間違えた。
「…………もしもし…」
「もしもしじゃないですよ…
誨さん今どこですか!?」
「渋滞に引っ掛かっちゃって…」
よりによってこんな日に……
なにやってんだろあの人。
:11/02/13 11:04
:840SH
:DGZtWYG.
#448 [愛華]
「あたし、那佑のお母さんに
手伝い頼まれてるから先に行ってますけどいいですか?」
「梓、そりゃないでしょう…
俺、道知らないんだもん…」
「なんとかしなさい」
ブチッ
あたしは一方的に電話をきると
急いでバスに乗り込んだ。
:11/02/13 11:10
:840SH
:DGZtWYG.
#449 [愛華]
誨さんはいつのまにかあたしを
呼び捨てにするようになった。
嬉しいようなムカつくような…
てか、告白の返事結局もらって
ないしね。ふざけんなっつの。
あれから、2年たったね。
今日もあの日みたいな晴天。
あたしはバスの窓から空を
眺めていた。ずっと。
:11/02/13 11:17
:840SH
:DGZtWYG.
#450 [愛華]
「あ、梓ちゃん!」
入口のところで、那佑のお母さんが手をふってるのが見えた。
「こんにちは。遅れてしまって…すいませんでした」
「いいのよ、そんなの。
2階にいるから…いってあげて」
「…………はい」
あたしは強く頷くと、ホールにあるでっかい階段に向かう。
:11/02/13 11:22
:840SH
:DGZtWYG.
#451 [愛華]
階段を上がる間、あたしは
今まで感じたことのない寂しさをすぐ側で感じていた。
大切なひとの大切なひと。
いつからかあたしにとっても
大切なひとになった。
あんたはあたしを優しいと
言ったけれど、それは違うよ。
那佑が、優しすぎるから。
ひねくれてる自分が馬鹿みたいに思えたんだよ。
:11/02/13 11:28
:840SH
:DGZtWYG.
#452 [愛華]
あたしは今すごく幸せです。
那佑も今幸せですか?
ガチャ…………
あたしはゆっくりドアを開けた。
:11/02/13 11:29
:840SH
:DGZtWYG.
#453 [愛華]
目に1番に飛び込んできたのは
純白のドレス。
それに身を包んでいるのは……
「………梓!!びっくりした!」
「那佑………めちゃくちゃ綺麗」
「ありがとーへへ」
:11/02/13 11:33
:840SH
:DGZtWYG.
#454 [愛華]
あたしはわけもわからず、
泣きたい気分になった。
そんなあたしを見て、那佑は
にっこり微笑む。
「………おめでとう!!」
「へへ………照れますねー」
那佑も泣きそうな顔してるけど
メイクが崩れるので、必死で
我慢してるみたいだ。
:11/02/13 11:36
:840SH
:DGZtWYG.
#455 [愛華]
那佑の細い肩がチョコンと
出された、キラキラと宝石が
ちりばめられたドレス。
それを着ている那佑は本当に
幸せそうだった。
今まで頑張ったねって
抱きしめてあげたかった。
でもそれはあたしの役じゃない。
たまらなく悔しかったり。
:11/02/13 11:40
:840SH
:DGZtWYG.
#456 [愛華]
「………タカは?もう見た?」
「さっきお披露目したの!!
そしたら直純くんと一緒に
顔真っ赤にして
どっかにいっちゃった。
あたしに見とれたんじゃないの?なんてねー」
…あながち、それは嘘じゃない
ような気がするな………
タカ、直純。
気持ちはわかるよ。
この那佑を見たら大抵の男は
真っ赤になっちゃいますって。
:11/02/13 11:46
:840SH
:DGZtWYG.
#457 [愛華]
「………タカも大変かなー
結婚してから……」
「え?なにが?」
「綺麗な奥さん持っちゃうと
気が気じゃないんじゃない?」
「まさか。むしろあたしが不安」
「はい?」
「隆則、フラフラ浮気しそう…」
タカに断じてそれはない!
そう言おうとするとドアが開いた
:11/02/13 11:50
:840SH
:DGZtWYG.
#458 [愛華]
ガチャッ
「てめーマジふざけんなよ!」
「いててて!冗談だろー!!」
「お前の場合、冗談に
聞こえないんだよボケ!!」
「新郎がそんなんでいいのか!」
取っ組み合いをしながら転がるようになって入ってきたのは
タカと直純だった。
:11/02/13 11:54
:840SH
:DGZtWYG.
#459 [愛華]
「ちょっとなにやってんのタカ」
「梓!来てくれてありがとうな」
「な・に・を・やってんの!?
直純、あんたも!!」
直純は大袈裟に痛がりながら、タカから離れると首を鳴らす。
「………俺が今からでも白石
ねらっちゃおっかなー愛人枠で。…………って言ったらコレ」
:11/02/13 11:59
:840SH
:DGZtWYG.
#460 [愛華]
「もう白石じゃねーし。愛人枠ってなんだよ!!」
「隆兄が与えられない温もりを
俺が補ってあげるの!」
「ふっっざけるなー!!」
タカが叫んだと同時にまた
取っ組み合いが始まった。
あー…。こんな日に……。
でもこれは直純なりの優しさ。
緊張してガチガチになってる兄をなんとかしようとしてる。
:11/02/13 12:04
:840SH
:DGZtWYG.
#461 [愛華]
…………多分。
ちょっとぐらい本気が入って…………………ないよね、うん。
一時期は周りを巻き込みながら
憎んで、憎まれて………
2人の間に壊せない壁があって。もう昔みたいには戻れない。
そう思い悩んだ夜もあった。
でも今は違うね。
二人の未来にはお互いの姿がある
:11/02/13 12:14
:840SH
:DGZtWYG.
#462 [愛華]
もう、離れたりしない。
那佑、あんたの周りには
いいひとがいっぱいだね。
幸せだね。
あたしは、幸せだよ。
那佑が幸せなら幸せなの。
:11/02/13 12:17
:840SH
:DGZtWYG.
#463 [愛華]
自分以外の誰かの幸せを
こんなに嬉しく思うのは
那佑に出会ってからだね。
自分にとって大事な人ができて
その人の幸せを願って
あたし、優しくなれた。
でも、願わくば……………
:11/02/13 12:19
:840SH
:DGZtWYG.
#464 [愛華]
「おぃーっす!!」
「おー!!誨!!」
「誨さん、ちわーっす」
誨さんは急いできたらしく、
汗でびしょびしょだ。
「……あれ、直純。お前誨と
面識あったっけ?」
「面識もなにもメル友だよ」
「はぁぁ!?」
:11/02/13 12:22
:840SH
:DGZtWYG.
#465 [愛華]
「へへー仲良しだよな、俺ら!」
「な、なんで?いつの間に?」
「「ないしょー」」
タカが頭をひねらせていると、
誨さんはあたしと那佑のもとに
やってきた。
「那佑ちゃん綺麗だねー!!
本当におめでとう!!」
「ありがとうございます!!
次は誨さんですよ。」
:11/02/13 12:25
:840SH
:DGZtWYG.
#466 [愛華]
「ん?うん」
………?なんの話?
那佑は意味ありげに微笑むと、
まだ首を傾げてるタカのもとに
歩いていった。
「……ずいぶん遅かったですね」
「うん。渋滞だけじゃなくて
誰かさんに置いてかれたせいで
道もわかんなくってさぁ」
:11/02/13 12:27
:840SH
:DGZtWYG.
#467 [愛華]
嫌味言うのほんっっとに
得意だよね、このひと。
「…………嬉しい?」
「なにがですか?」
「隆則と那佑ちゃんの結婚」
「当たり前じゃないですか」
このひと、まだあたしがタカの
こと好きだとでも思ってるの?
あたしはあんたが好きだって
言っただろーが!!
:11/02/13 12:30
:840SH
:DGZtWYG.
#468 [愛華]
………三年くらい前だけど。
「…………じゃ、するか」
急に誨さんがポツリと言った。
「なにを?」
「結婚式」
「誰と誰の」
「俺と梓の」
:11/02/13 12:32
:840SH
:DGZtWYG.
#469 [愛華]
………………………。
「なんですかその冗談」
「え、真面目だけど……」
なに言ってんの、このひと。
「いろいろ順番吹っ飛ばし
すぎじゃないですかね?」
「え、そう?………そっか」
:11/02/13 12:34
:840SH
:DGZtWYG.
#470 [愛華]
前からだけど、このひとの考え
ってほんとにわからない。
冗談でもそんなこと言わないで。
あたしは傷ついちゃうから。
「……誨さんはどーせ……」
「ん?」
「どーせあたしなんか見てない。
親友の幼なじみとしてからかって遊んでただけでしょ?
わかってるけどさぁ………」
:11/02/13 12:38
:840SH
:DGZtWYG.
#471 [愛華]
わかってるけど。
こんな男を好きになった自分に
腹がたつ。腹がたつ!!
「……結婚とかは彼女に
言わなきゃダメですよ」
ほら。あたしは強いから。
強がることなんて簡単なの。
「え、なに言ってんの?」
誨さんはわけがわからないと
言ったように首を傾げる。
:11/02/13 12:41
:840SH
:DGZtWYG.
#472 [愛華]
「俺の彼女って梓でしょ?」
………………は?
「………なに、それ……」
「え、わかってなかっ…た?」
誨さんは驚いた顔で停止。
え、え…………なにそれ?
:11/02/13 12:44
:840SH
:DGZtWYG.
#473 [愛華]
「あたし、彼女……?誨さんの」
「そう。だから梓って呼ぶようにしてたんだけど………」
「だ、だって!!なんも
言ってくれなかったし……」
「言わなくてもわかるだろ!」
「言ってくれなきゃわからん!」
あたしは……ずっと悩んで
たのに!!三年ずっと!!
:11/02/13 12:47
:840SH
:DGZtWYG.
#474 [愛華]
「言わなきゃわからん!」
あたしはもう一度繰り返す。
誨さんは顔を真っ赤にして、
あたしの目を見つめた。
「見えてんのは梓だけ。
だから結婚を前提に…………
つつつつつきあってください」
…………つ、多過ぎ………。
:11/02/13 12:49
:840SH
:DGZtWYG.
#475 [愛華]
しかも超早口。
「………俺ださくない?
ずっと俺だけがつきあってる
気でいたんだよ………」
「あたしだってダサいです。
ずっと片思いだと思ってました」
二人で笑いあった。
:11/02/13 12:52
:840SH
:DGZtWYG.
#476 [愛華]
どちらからともなく、手を繋ぐ。
「…………縁起いいね」
「なにがですか?」
「親友の結婚式に告白成功!」
「馬鹿ですね……いつもながら」
「クールですね…いつもながら」
大好きなひとの手は
こんなにも暖かい。
:11/02/13 12:55
:840SH
:DGZtWYG.
#477 [愛華]
願わくば………あたしの願いも
どうか叶えてください。
そう願う夜ももう終わり。
次の願いは。
誰かのためじゃなくて
自分のためじゃなくて
二人で願えたらいいね。
あたしはそんな未来はそう
遠くない気がして
幸せな未来を、垣間見ていた。
:11/02/13 13:01
:840SH
:DGZtWYG.
#478 [愛華]
:11/02/13 13:03
:840SH
:DGZtWYG.
#479 [
]
:11/02/13 15:34
:F09A3
:Ui/LtYtU
#480 [愛華]
>>479様
そんな風に言ってくださって
嬉しいです。
ありがとうございます!
:11/02/13 15:49
:840SH
:DGZtWYG.
#481 [愛華]
>>477あの日の願いを
あなたとの約束を
私は今日果たそうとしています。
たくさんの人にかこまれて。
:11/02/13 15:51
:840SH
:DGZtWYG.
#482 [愛華]
隆則。
苦しいとき、悲しいとき
嬉しいとき、楽しいとき
寂しいとき、切ないとき
一緒にいてくれてありがとう。
そして、これからも。
隆則が泣きたいときは
あたしが側にいるからね。
隆則が、そうしてくれたように。
:11/02/13 15:59
:840SH
:DGZtWYG.
#483 [愛華]
初めての出会いは春でした。
桜の木の下で一緒に泣いて
くれたね。嬉しかったよ。
純さん?天国から見てる?
私、今日お嫁さんになるよ。
夢に出てきて、励ましてくれた
こともあったよね。
ありがとう。
:11/02/13 16:03
:840SH
:DGZtWYG.
#484 [愛華]
クリスマスには約束をした。
指輪で誓いをたてた。
信じることが怖かったあたしは
『約束』でしか安心できなくて。
すごくすごくうれしかった。
そして春が来る前に
初めての別れを知った。
大切なものを失う痛みには
慣れているはずだったのに
やっぱり痛かったよ。
:11/02/13 16:07
:840SH
:DGZtWYG.
#485 [愛華]
苦しくて、苦しくて。
それでもどうしようもないくらい好きで。大好きで。
隆則じゃなきゃダメだった。
追いかけてきてくれて
ありがとう。
あの時の隆則の気持ち、
今ならよくわかるから。
:11/02/13 16:15
:840SH
:DGZtWYG.
#486 [愛華]
だから別れを告げた隆則を
責めたりなんかしないよ。
隆則は直純くんもあたしも
守りたかったんだよね。
優しい隆則が、あたしは好きだよ
ありがとう。
あたしの元に戻ってきてくれて。
:11/02/13 16:20
:840SH
:DGZtWYG.
#487 [愛華]
初めて隆則とつながったのは夏。
幸せすぎて涙が出たよ。
あなたと1つになれたことが
女の子として。
1番嬉しかったの。
私の季節の全てには
いつも当たり前のように
隆則がいた。
:11/02/13 16:27
:840SH
:DGZtWYG.
#488 [愛華]
手術の直前。
大切な人を見つけて、なんて
かっこつけたけど
本当はすごく嫌だったよ。
ないしょだけどね。
でも今は。
隆則を幸せにできるのは
あたしだけなんだって
胸張って、言えます。
:11/02/13 16:30
:840SH
:DGZtWYG.
#489 [愛華]
きっと私を幸せにできるのも
世界中で隆則だけだから。
だからずっと側にいてね。
約束だよ。
それが、わたしの全てです。
:11/02/13 16:33
:840SH
:DGZtWYG.
#490 [愛華]
「…………なに考えてんの?」
「ん?ちょっとね」
「なにそれ、教えろよ」
「………今までのこといろいろ
思い出してたの。
長かったなぁって」
あたしがそう言うと、隆則は
嬉しそうに微笑んで、背筋に
力をいれた。
「……これからも長いぞ?」
:11/02/13 16:36
:840SH
:DGZtWYG.
#491 [愛華]
「そうだね。嬉しいね」
「うん」
「てか隆則さ、指輪交換の時
手震えてたでしょ?」
「げ、ばれてたの…?」
「うん。笑いそうになった」
「緊張してたんだよ!那佑だってヴァージンロード歩いてる時
泣きそうになってたじゃん」
「見てんじゃないわよ!!」
「えぇ!そんな無茶苦茶…」
:11/02/13 16:41
:840SH
:DGZtWYG.
#492 [愛華]
「……そろそろ参りましょうか」
牧師さんが申し訳なさそうに
微笑みながら言う。
おかしくてたまらない
といった顔をしている。
「みなさんお待ちですよ」
「………はい」
あたしは隆則の手に組まれている手に少しだけ力をいれる。
:11/02/13 16:47
:840SH
:DGZtWYG.
#493 [愛華]
「………んじゃ」
「行きますか」
ギィ……………
扉が開くのと同時にたくさんの
花が降ってきた。
待ちわびたと言うような歓声。
鳴り響く鐘の音。
たくさんの、笑顔。
:11/02/13 16:51
:840SH
:DGZtWYG.
#494 [愛華]
「那佑おめでとーっ!!」
………梓、泣きすぎじゃん。
いつもあたしの幸せを1番に
祈ってくれてた。
今度は梓も幸せになってね。
何も言わないで、ただ力一杯
拍手をおくってくれてる
直純くん。
いっぱい傷つけてごめんね。
何度もあなたの優しさに
助けられたよ。
:11/02/13 16:54
:840SH
:DGZtWYG.
#495 [愛華]
あなたは、大切なひとです。
これからも。
笑顔でちょっと遠慮気味に
寄り添いながら見つめる
お父さんとお母さん。
いつもあたしの意思を尊重
してくれてありがとう。
傷つけあった日々もあったけど
あたしは二人から産まれてこれて
すごくすごく、幸せです。
:11/02/13 16:57
:840SH
:DGZtWYG.
#496 [愛華]
「…………隆則、すごいね」
「ん?」
「あたしは、幸せものだ……」
大好きな人たちがいて
支えられて。
今のあたしがいるんだ。
そして隣にはあなたがいて。
:11/02/13 16:59
:840SH
:DGZtWYG.
#497 [愛華]
「そうだな。俺も。」
空が綺麗だった。
空気がスンとしてて
息をすいこむと
体の奥がひんやりとした。
「……これから頑張ろうね」
「うん。二人で頑張ろうな」
:11/02/13 17:06
:840SH
:DGZtWYG.
#498 [愛華]
「二人じゃないよ?」
「え?あ、そうだな。
梓や直純もみんな一緒に……」
「いや、そうじゃなくて」
「はい?」
そして、あたしたちの間には。
「3ヶ月。だそうです」
:11/02/13 17:08
:840SH
:DGZtWYG.
#499 [愛華]
「あ、そうですか……………
…………………ってえぇ!?」
これ以上ないってくらいの
リアクション。
「いつ!?いつわかったの!?」
「2週間くらい前かな」
「言えよその時に!」
:11/02/13 17:11
:840SH
:DGZtWYG.
#500 [愛華]
「だってどーせなら特別な日に
言いたいなって思ったんだもん」
「マジかよ〜……」
「あれ、嬉しくない?」
「嬉しいにきまってんじゃん!」
隆則は満面の笑顔であたしを
思い切り、でも優しく
抱きしめた。
:11/02/13 17:14
:840SH
:DGZtWYG.
#501 [愛華]
「だからね、二人じゃないよ。
三人で頑張るんだよ!」
「そうだな。頑張んなきゃな」
「おーい、二人とも!!
こっちおいでよー!!」
遠くからシャンパンを飲み過ぎて少し酔っ払い気味の梓が叫ぶ。
………梓お酒弱いくせにー…
:11/02/13 17:19
:840SH
:DGZtWYG.
#502 [愛華]
「今いくよー!」
あたしがそう言って階段を
降りようとすると、目の前に
手が差し出された。
「………妊婦さんなんだから」
「えーまだ大丈夫だよ」
「いいから!」
「はいはい」
あたしはその手をとって
階段を一緒に降りていく。
:11/02/13 17:24
:840SH
:DGZtWYG.
#503 [愛華]
'
「……………」
「ん?那佑どうした?
急に止まったりして」
「んーん。なんでもない!」
:11/02/13 17:27
:840SH
:DGZtWYG.
#504 [愛華]
聞こえた気がしたの。
あたしと、隆則と。
そしてその間にはあたしたちの
大切な宝物。
三人で手を繋いで歩く。
その道に響く
重なる足音。
途切れることがないその音は
明日のあたしたちの胸に
ずっと、永遠に。
End
:11/02/13 17:37
:840SH
:DGZtWYG.
#505 [愛華]
:11/02/13 17:51
:840SH
:DGZtWYG.
#506 [愛華]
こんにちは、愛華です。
長かった『その日が来る前に、』
もとうとう終わりを迎えました。
知らず知らずのうちに
こんなに長くなってしまい……
ついてきて下さった読者の方々
本当にありがとうございました!
何回言っても足りません。
:11/02/13 17:58
:840SH
:DGZtWYG.
#507 [しずく]
おつかれさまです!!
感動しました〜^-^
:11/02/13 18:03
:PC
:EIRL11zg
#508 [愛華]
ここで物語は終わりますが
いつかその後の話とか
書きたいな、と思っています。
隆則のことなので子供産まれてもいろいろ苦労しそうだし。
那佑も変な意地はって隆則を
困らせるだろうし。
人生は本当に何があるか
わかりません。
それはこの物語で伝えたかった
ことにも繋がります。
:11/02/13 18:04
:840SH
:DGZtWYG.
#509 [愛華]
この物語から何かを感じて
くれたら嬉しいです。
最後にもう一度。
今まで応援してくださった方々
本当にありがとうございました!
:11/02/13 18:07
:840SH
:DGZtWYG.
#510 [愛華]
>>507 しずく様
今まで御愛読ありがとう
ございました!
:11/02/13 18:10
:840SH
:DGZtWYG.
#511 [あゆみ]
一気に全部読みました

何回泣いたことやら...
胸がぎゅーって
痛くなったり
ドキドキで

ホントおもしろかったです

違うお話や
結婚後のお話や
2人の間に産まれた
子供を主人公に
また物語書いてください

楽しみにしています

:11/02/13 21:22
:P08A3
:x9jbdniQ
#512 [愛華]
>>511 あゆみ様
今まで応援してくださって
ありがとうございました!!
次回作は実はもう何を書くか
決めているんですが、
あゆみさんがいうように
二人の子供の話とかもいつか
書いてみたいな、と思います。
次回作でまた会えたら
嬉しいですo(^-^)o
:11/02/13 21:58
:840SH
:DGZtWYG.
#513 [D]
感動の超大作が終わって、
淋しい気持ちもありますが、
楽しんで読んでました。
また次回作期待しております
:11/02/13 22:36
:N03A
:Ufye4hbk
#514 [愛華]
>>513 D様
楽しんで読んでくださって
とても嬉しいです!
次回作もよろしく
お願いします(^-^)/
:11/02/13 22:58
:840SH
:DGZtWYG.
#515 [みるく]
ずっと読んでました!このお話大好きでした(^^)次回作と続編楽しみにしてます。書き始めたらここにもURL載せてください☆
:11/02/14 00:11
:P02A
:☆☆☆
#516 [愛華]
>>515 みるく様
今まで読んでくださって
本当にありがとうございました!
次回作はいつ書きはじめるかは
まだ未定ですが、その時には
ここにものせますね。
次回作でも会えたら嬉しいです!
:11/02/14 00:24
:840SH
:Q9lPggD2
#517 [
]
:11/02/14 00:31
:F09A3
:3xMDuoO2
#518 [愛華]
>>517様
今までありがとうございました。
次回作もよろしくお願いします!
:11/02/14 01:29
:840SH
:Q9lPggD2
#519 [愛華]
:11/02/16 20:23
:840SH
:30baR7.c
#520 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/19 20:20
:Android
:A4ZzuHng
#521 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/19 20:20
:Android
:A4ZzuHng
#522 [○○&◆.x/9qDRof2]
:22/10/19 20:21
:Android
:A4ZzuHng
#523 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/20 09:32
:Android
:nvDpRiyU
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