その日が来る前に、3
最新 最初 🆕
#1 [愛華]
引き続きよろしくお願いします!


>>2その日が来る前に、

>>3その日が来る前に、2

>>4感想板

>>5アンカー


読んでもらえたら嬉しいです。
感想、アドバイス待ってます!

⏰:11/01/05 18:32 📱:840SH 🆔:22xhhoZo


#2 [愛華]
その日が来る前に、
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/11658/

⏰:11/01/05 18:34 📱:840SH 🆔:22xhhoZo


#3 [愛華]
その日が来る前に、2
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/11871/

⏰:11/01/05 18:35 📱:840SH 🆔:22xhhoZo


#4 [愛華]
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4782/

⏰:11/01/05 18:36 📱:840SH 🆔:22xhhoZo


#5 [愛華]
アンカー

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:11/01/05 18:39 📱:840SH 🆔:22xhhoZo


#6 [愛華]
-直純side-

⏰:11/01/05 22:46 📱:840SH 🆔:22xhhoZo


#7 [愛華]
ありがとう、好きだった。


その一言でいい。


また友達に戻れる。

白石は幸せになれる。



隆兄と………幸せになる。

⏰:11/01/06 15:51 📱:840SH 🆔:GihfELn6


#8 [愛華]
「おぃ品野ぉ。おまえ日曜日
空いてっか?合コンあんだよ。
お前いれば女の子集まるからさ」

クラスメイトが怠そうに
話しかけてきた。

………そんなひがむなよな。


「わりーな。俺日曜日は用事
あんだよ。すげー大事な」

「なに?白石とデートかよ?
うらやましいよなーあんな
可愛い子とつきあえてさぁ」

⏰:11/01/06 15:56 📱:840SH 🆔:GihfELn6


#9 [愛華]
「つきあってねーし。
デートでもないし」

「え、違うの?」


「…………『決別』、だよ」


「なに、意味わかんねぇな。
じゃ合コン来れないのかよ?」


「俺いても変わんねーよ。お前も鏡みてみろよ。けっこう
味のある顔してるから」

⏰:11/01/06 16:00 📱:840SH 🆔:GihfELn6


#10 [愛華]
「でも彼女できねんだよ……」

「元気だせって!!」

俺はクラスメイトの背中を
バンバンと叩き、前を向く。



……変わったな、俺。


自分でもわかるくらいの変化。


清々しい気持ちだった。

⏰:11/01/06 16:03 📱:840SH 🆔:GihfELn6


#11 [愛華]
俺を変えてくれたのは


天使みたいに笑う女の子。


苦しさと闘いながら


強く強く


光をくれた子。


俺もなにか与えられただろうか。

⏰:11/01/06 16:06 📱:840SH 🆔:GihfELn6


#12 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/01/06 16:07 📱:840SH 🆔:GihfELn6


#13 [愛華]
暑くなってきた昼の午後。


俺は墓参りにきていた。


母さんと、父さんの。





「…………久しぶり」


風が応えてくれた気がした。

⏰:11/01/06 16:09 📱:840SH 🆔:GihfELn6


#14 [我輩は匿名である]
ワロタw

⏰:11/01/06 23:10 📱:W53S 🆔:cYDuppDk


#15 [ゆん]
>>14
何が笑えるのか全く分からないんですけど。
この小説好きなのにそういうしょーもない書き込みはやめてください。
見ている人や作者さんの邪魔になります。

⏰:11/01/06 23:57 📱:SH001 🆔:vZBttPec


#16 [愛華]
>>15
ありがとうございます。
きっと色々な意見あるんだと
思います。でも最後まで書き上げたいと思いますので、
よろしくお願いします。

>>14
文章力なくて申し訳ないです。
アドバイスなどあれば感想板に
お願いします。

⏰:11/01/07 01:04 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#17 [愛華]
>>13


どこかで見てるんだろうか。
こんな情けない俺を見て
笑ってるんだろうか。



持ってきた花を添えて、
手を合わせる。




俺はいつからこんなに弱く
なったんだろう。

⏰:11/01/07 01:07 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#18 [愛華]
あいつと出会う前の俺は
もっと強かったように思う。

この世の何にも勝る気がした。


いや、強がってただけか。

失うものが何もなかった。
何もかもを失った後だったから。


ほんとにダサい。
弱くなってしまったのは
あいつのせいじゃなくて……
俺のせいだ。

⏰:11/01/07 01:13 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#19 [愛華]
「…………わかんねぇわ」



何をするべきか。
わからない。






『直純くんとつきあったら…



    どうする?』

⏰:11/01/07 20:36 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#20 [愛華]
知るかよそんなもん。






辛いにきまってんじゃん。


今すぐにでも奪いに行きてぇよ。


ほんとにただの自業自得、か。

⏰:11/01/07 20:50 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#21 [愛華]
直純の側にいてくれって
俺が頼んだのに。

そしていつか、直純と那佑が
一緒になること。


それも望んでたはずなのに。



何度同じことを考えたっけ。



俺はどうやったら強くなれる?
どうすれば立ち直れる?

⏰:11/01/07 20:58 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#22 [愛華]
「…………わかんねぇ…」


もう一度同じ言葉をつぶやく。


母さん。父さん。

教えてくれよ。


どうすればいい?



何度問い掛けても
強い風が吹くだけだった。

⏰:11/01/07 21:02 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#23 [愛華]
-那佑side-

⏰:11/01/07 21:02 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#24 [愛華]
日曜日がやってきた。


曇り、のち雨。


天気予報を聞いて少しだけ
気分が落ちた。


………雨かぁ。



鏡の前で笑ってみる。

⏰:11/01/07 21:21 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#25 [愛華]
「…………不細工な顔」


まるでこの世の終わりみたいな。そんな情けない顔してる。



クリスマスの朝もこうやって
鏡の前で笑ってみた。

あの時はもっと素敵に笑えた。



なのに今は………。

⏰:11/01/07 21:29 📱:840SH 🆔:ACJDVPUs


#26 [愛華]
そんなこと考えちゃダメだ。


あたしは直純くんと
つきあうんだから。


そうすれば…………みんな
幸せになるはずなんだから。


隆則がそう言ったんだから。




「あれ、那佑はやいのね」

⏰:11/01/08 00:01 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#27 [愛華]
「うわ!!お母さん!!
勝手に入ってこないでよ……」

「今日はなに?デート?」

「違うよ」

あたしがそういうと、お母さんは微笑んでみせた。



「………無理しないでね」


…………無理?

⏰:11/01/08 00:08 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#28 [愛華]
「無理なんてしてないよ?
最近調子もいいしさ」

「病気じゃなくって………


ま、いいんだけど………」

「………?なんかよくわかんないけど、わかったよ」


変なお母さん。
心配してくれてるんだろうけど…
お母さんに言うようなことでも
ないしなぁ………

⏰:11/01/08 00:17 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#29 [愛華]
「それじゃ、いってくるね」

「ん。いってらっしゃい」




外は蒸し暑かった。
風も吹いてないから余計に…


あ、そっか。もう梅雨だ。
最近一日一日が早過ぎて
そんなことさえ忘れてた。



……直純くん、もう来てるかな

⏰:11/01/08 00:23 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#30 [愛華]
ほんとにいいんだろうか。

こんな気持ちで直純くんと
つきあって………
直純くんは迷惑じゃないかな。



いや、今さら迷ったって
しかたないか………



空を見上げると今にも雨が
降りそうな感じだった。

………嫌な天気だなぁ……

⏰:11/01/08 21:07 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#31 [愛華]
街に出てたくさんの人に
紛れると、いろんな人たちの
声が頭に雑音として響く。


………気分が悪いなぁ……
うるさいし………



人ゴミはあまり好きじゃない。
こういうところを歩くときは
いつも隣に………



思い出しかけてやめた。

何考えてんだろ………馬鹿。

⏰:11/01/08 21:23 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#32 [愛華]
人ゴミにいたせいなのか、
気分が悪くなってきた。



ちょっと座って休もう。




あたしはゆっくりと近くの
ベンチに腰掛けた。



あ、ここ…………。

⏰:11/01/08 21:40 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#33 [愛華]
クリスマスの日。
隆則に指輪もらったとこだ。


血だらけで駆け付けてくれて。
約束してくれたっけ。


『必ずあたしのところに……


もどってきてね』



涙が止まらなかったあの日。

⏰:11/01/08 22:05 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#34 [愛華]
何年も前のことみたいだな。




あれ、あたし……………。







「あっれ〜君ひとり〜?」


「……………え?」

⏰:11/01/08 22:22 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#35 [愛華]
顔を上げると、男の人がふたり
立っていた。日焼けしていて
いかにも遊んでますって感じ。



「顔色悪いよ?なんかあった?」

「俺たちがなぐさめてあげる〜」

そう言って笑う男たち。


……うるさいな。どっかいってよ

⏰:11/01/08 22:27 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#36 [愛華]
「すいません、用事あるんで」

「そんなこと言わないでさー
お茶だけでもさ。ね?」

「……よく見るとかわいいじゃんこの子。ラッキー」


なにがラッキーなんだよ。


あたしは立ち上がって、ふたりと
は目を合わせずに方向転換した。

「ちょっと待ってってば〜」

⏰:11/01/08 22:40 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#37 [愛華]
一人の男が腕をつかむ。


「ちょっとしつこいですよ!」

「いーからさ。ちょっとこっち
行こうよ。ねっ?」


まずい………目、笑ってない。



「離してってば!!」

あたしは腕をはらって走る。
どうか追ってきませんように…!

⏰:11/01/08 23:03 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#38 [愛華]
「はははー待ってよー」


男たちは笑いながら、
追いかけてきた。



「はぁっはぁっはぁ………」


やばい。
こんなに走ったことなんか
何年ぶりだろうか。


息のしかたが……わからない。

⏰:11/01/08 23:12 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#39 [愛華]
人気のない路地にはいりこむ。


ここまで来れば………







ドクンッ





「………………はっ!?」

⏰:11/01/08 23:14 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#40 [愛華]
「はっはっ………やっ……」




違う。今までと違う。
体に力がはいらない。
苦しい。苦しい。苦しい……





「あ、いたいたー……」

「あれ、なんか様子………」

⏰:11/01/08 23:20 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#41 [愛華]
「や………助け………」


追いついた男たちに必死で
助けを求める。

もう目も見えない。


「………おい、やべーよ……」

「なんかヤバいって!!
行こうぜ!!」


パタパタ…………

走り去る足音が暗い路地に響く。

⏰:11/01/08 23:26 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#42 [愛華]
'






今までの発作と、違う。



感覚でわかる。




あたし…………死ぬんだ。

⏰:11/01/08 23:29 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#43 [愛華]
まだ、やってないこと。





いっぱいあったのに。




伝えてないことも、いっぱい。




手足の感覚も、もうないや。

⏰:11/01/08 23:31 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#44 [愛華]
なんか冷たい…………




なんだ、雨か。






今なら泣いてもばれないよね。




…………ばれないよね。

⏰:11/01/08 23:33 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#45 [愛華]
あたし、幸せだったかな。



誰かを幸せにできたかな。




雨が強くなってきた。




直純くん、まだ待ってるかな。

ごめんね。

⏰:11/01/08 23:37 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#46 [愛華]
神様。





苦しいのは嫌なんです。




でも、もしできるなら。


あの一瞬が戻るなら。


もう一度だけ、 あの手で。

⏰:11/01/08 23:41 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#47 [愛華]
強く、




強く、




強く。





抱きしめてください。

⏰:11/01/08 23:48 📱:840SH 🆔:VTNxykz.


#48 [愛華]
今日の更新分
>>30-48

感想、アドバイスあれば
感想板にて待ってます。

⏰:11/01/09 00:28 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#49 [愛華]
'









ここは、どこだろう?





真っ白だ。なにもない。

⏰:11/01/09 21:31 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#50 [愛華]
なんか苦しいけど…………


気のせいかな。






あたし、なんでここにいるの?




………………思い出せない。

⏰:11/01/09 21:40 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#51 [愛華]
ふ、と遠くを見つめた。




あれは…………




「………………隆則?」







隆則だ。

⏰:11/01/09 21:42 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#52 [愛華]
あたしは隆則のもとに走った。




「……………隆則っ!」





…………あれ。


隆則はなにか話しているけど
なにも聞こえない。
さわれない。

⏰:11/01/09 21:44 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#53 [愛華]
すぐそこにいるのに。



ガラスの壁があるみたい。



………あたしが見えないの?
目の前にいるのに。

声も聞こえないの?




「………隆則っ……隆則!」

⏰:11/01/09 22:09 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#54 [愛華]
ガラスの壁をどんどん叩く。


隆則はちっともあたしを見ない。



………ねぇ………見てよ。
あたしここにいるんだよ。



隆則………



「…………泣かないでよ、馬鹿」

⏰:11/01/09 22:18 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#55 [愛華]
隆則は泣いてた。



前にも見た。こんな夢。



夢?





これも……………夢?

⏰:11/01/09 22:25 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#56 [愛華]
夢ならいいのかな。




「…………隆則………
どうして泣いてるの、ねぇ…」




あたし、やだよ。
隆則が泣いてるのやだよ……




でも声は、 届かない。

⏰:11/01/09 22:54 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#57 [愛華]
目の前にいるのに触れられない。
目の前にいるのに話せない。




もう声は届かない。

届かないんだ…………。





もう抱きしめてなんてもらえない

⏰:11/01/09 23:01 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#58 [愛華]
あの病院で出会って




あなたに恋をした。



闇しかなかった私の毎日を
光で満たしてくれた。


いや、違うね。


隆則は私の光そのものだった。

⏰:11/01/09 23:04 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#59 [愛華]
「……………那佑………」




聞こえてるよ、隆則。



ありがとう。







「隆則。好きだよ。大好きだよ」

⏰:11/01/09 23:07 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#60 [愛華]
やっと聞こえた………隆則の声。




あたしの声は届いてる?




「那佑、もどってこい」


隆則が優しくあたしに言う。

いつのまにかガラスの壁は
なくなっていた。

⏰:11/01/09 23:09 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#61 [愛華]
涙でにじんでみえないよ。






「隆則………好き………好き…」


大好き。
それだけは言えるよ。


空回りしてばかりだったけど
やっぱり大好きなんだよ。


多分、これからもずっと。

⏰:11/01/09 23:12 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#62 [愛華]
戻りたい。あの場所に


帰りたい。あの場所で……





もう一度光が見たい。




あなたと一緒に



生きたい。

⏰:11/01/09 23:14 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#63 [愛華]
今日の更新

>>49-63

⏰:11/01/09 23:15 📱:840SH 🆔:Sc8ldkxg


#64 [愛華]
'








「…………那佑!!……」

「那佑!!…………那佑…!」



誰か、あたしを呼んでる?

⏰:11/01/10 17:08 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#65 [愛華]
目を開けると、目の前には
ぼんやりと二人の影が見えた。


「…………おとー…さん」

「那佑!!わかるか!!」


………ってことは……


だんだん視界がはっきりと
してきた。


「…………おかーさん……」

⏰:11/01/10 17:10 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#66 [愛華]
「那佑…………よかった……」


お母さんとお父さんは寄り添って
泣いていた。



あたし………生きてる。


まだ生きてた。



「那佑……あなた路地で
倒れててね。それで…………」

⏰:11/01/10 17:30 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#67 [愛華]
「隆則の声が聞こえたの……」


「え…………隆則…さん?」








隆則の声が聞こえてたんだ。
ずっと…………頭の中で。


もどってこいって言ってくれた。

⏰:11/01/10 17:41 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#68 [愛華]
「………………那佑?」



「…………え……」



愛しい声。
何度この声に救われただろう。




「………………隆則……?」

⏰:11/01/10 17:51 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#69 [愛華]
隆則は、 お母さんとお父さんの
後ろに立っていた。


すごく懐かしく感じるのは
なんでだろう。




「………隆則さんがね、那佑を
見つけて救急車を呼んでくれた
んだよ」


隆則が……………あたしを?

⏰:11/01/10 18:14 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#70 [愛華]
「…………那佑………」


隆則は一歩一歩あたしに
近寄ってきた。



「………………はは。また
泣いてるし…………」

「また、ってなんだよ」


隆則は涙をぬぐいながら言った。

そっか……泣いてたのは夢だった

⏰:11/01/10 18:29 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#71 [愛華]
「お母さん……二人にして」



お父さんとお母さんは病室から
でていった。




あたし、また戻ってこれた。

この場所にまた。



戻してくれたのは………。

⏰:11/01/10 18:39 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#72 [愛華]
「………隆則……………」


「お前心配かけてんじゃねーよ。
マジこっちが心臓止まるから」


「うん…………ありがとう」



隆則はゆっくりと椅子に腰掛けた



窓の外は少し明るかった。

夜が明ける。

⏰:11/01/10 22:09 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#73 [愛華]
「隆則………どうして、あたしを見つけられたの?」


「…………」


隆則は口を開こうとしない。



「隆則…………教えてよ」



隆則ははぁーっと息をはいてから
覚悟を決めたように話し始めた。

⏰:11/01/10 22:14 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#74 [愛華]
「……………止めに、いった」


…………止めに?あたしを?


「お前言っただろ。直純と
つきあったらどうするか、って。


俺 嬉しい なんて言ったけど。
嬉しいわけねぇじゃんか」



これは…………夢かな。
だとしたらあの夢の続き?

⏰:11/01/10 22:19 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#75 [愛華]
「だから…………止めにいった。
でも家に行ったらもういねーし。
探しにいったら……倒れてて」



隆則は、あたしが本当に
会いたい時いつも来てくれる。


それが叶わない時もあった。


でも………また自惚れていいの?

あたしの側にいてくれるって。
信じてもいいの?

⏰:11/01/10 22:34 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#76 [愛華]
苦しい夜は抱きしめてほしい。


嬉しい時は一緒に笑いたい。


悲しい時は一緒に泣いてほしい。


何度も思ったこの願いを


また、願ってみてもいいの?


もう正直になっていいの?

⏰:11/01/10 22:56 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#77 [愛華]
「………那佑。俺は………」

「すき」



やっぱり、大好き。
誰よりも大好き。
大好きより、もっともっとすき。




「隆則…………あたしダメだよ。やっぱりダメだ………」

⏰:11/01/10 23:05 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#78 [愛華]
「ダメって………」



隆則がいないと強くなれない。
隆則がいないとあたしじゃない。



「………隆則と、いたいよ」



今はそれだけでいい。

だからこの願いを、叶えて下さい

⏰:11/01/10 23:11 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#79 [愛華]
とめどなく溢れる涙を、
隆則は優しくぬぐってくれた。


ふわっと隆則のにおいがした。


ずっと求めていた隆則の腕。

この温もりがいつもあたしを
あたためてくれるんだよ。


隆則の腕に包まれたまま、
朝がきた。

⏰:11/01/10 23:15 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#80 [愛華]
「………あー…もういいや……」

「………どういう意味?」

「もう周りとかどーでもいい。
もうどっか行ったりすんな」




隆則が笑いながら言った。


だから、あたしも笑った。

⏰:11/01/10 23:48 📱:840SH 🆔:xC/okvn6


#81 [愛華]
「最初に約束破ったのは
隆則じゃん…………」


「それは言うなよ………」





光がまた足元を照らす。



20歳まで あと2年。

⏰:11/01/11 00:52 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#82 [愛華]
そんな言葉が頭をよぎった。


今はいい。


神様、お願いです。
隆則の側にいさせてください。


それ以外なにも望まない。
望みませんから。


隆則の腕のなかでひたすら願った

私はまた、幸せになれますか?

⏰:11/01/11 01:05 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#83 [愛華]
今日の更新分
>>64-83
感想まってます。

⏰:11/01/11 01:07 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#84 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/01/11 13:31 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#85 [愛華]
何度も何度も考えた。


直純の幸せを奪って

その罪から逃れるために

那佑を裏切った。




俺はどうしたら救われる?


心にぽっかり穴が空いたまま
ふさがることはなかった。

⏰:11/01/11 13:34 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#86 [愛華]
俺はこれからもこうして
生きていくのかよ。


そんなの耐えらんねぇよ。


自分の気持ちを隠したまま
直純と那佑の前で笑って……



つきあうことになった二人に
『おめでとう』なんて言えるか。



言えるわけねーじゃん。

⏰:11/01/11 13:37 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#87 [愛華]
そう。言えるわけない。






あぁ。俺は……もう。







那佑なしじゃ生きてけねーわ。

⏰:11/01/11 13:40 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#88 [愛華]
直純のこととか
そんなの全部なしにして考えた


やっぱり側にいたいって思う。








「……………いかなきゃ」


止めなきゃ。
直純のとこになんか…行かせない

⏰:11/01/11 13:49 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#89 [愛華]
ただそれしか考えてなかった。



それ以外は考えないように。


考えたらきっと止まってしまう。


だから、それだけを考えて。



走った。

⏰:11/01/11 13:56 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#90 [愛華]
家にいったら那佑はもう出た後。
那佑の母さんに挨拶だけして
すぐに飛び出す。

……初対面なのに、絶対変に
思われた……

でも今はどうでもいい。



直純と行くところなんか見当も
つかない。

それでも、探さなきゃいけない。

⏰:11/01/11 14:00 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#91 [愛華]
那佑。




那佑。




ごめん。ごめん。




俺には……お前がいればいい。
お前しかいらない。

⏰:11/01/11 14:06 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#92 [愛華]
それを 伝える。














「…………すき」

⏰:11/01/11 14:17 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#93 [愛華]
病室で那佑に言われた言葉。




やっと見つけた那佑はボロボロで
なにがなにやらわからないまま
救急車を呼んだ。



あとはあまり覚えてない。




ただ心を支配してたのは"恐怖”

⏰:11/01/11 14:24 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#94 [愛華]
那佑がいなくなったら



いなくなったら?









那佑が いなくなる。


初めて那佑の『死』を意識した。
死にそうなほど苦しくなった。

⏰:11/01/11 14:43 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#95 [愛華]
いやだ。


那佑が死ぬ?

認めてたまるか、そんなもん。




俺がそんなこと、させない。





だから、那佑。

側にいて。

⏰:11/01/11 14:54 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#96 [愛華]
「………周りとかどーでもいい。もうどっかいったりすんな」



もう離れることのないように。

強く抱きしめた。




…………まだ好きでいてくれた。


それがなにより嬉しかったから。
今度こそ守るって誓った。


朝の光が俺達を照らしていた。

⏰:11/01/11 21:00 📱:840SH 🆔:MVin1ViA


#97 [愛華]
この日のことを後悔する日が
来るかもしれない。


それでもいい。那佑がいる。



みっともないけど、それだけが
全てだった。



涙が止まらなくなるほどに


那佑は、 あたたかったんだ。

⏰:11/01/12 15:42 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#98 [愛華]
-那佑side-

⏰:11/01/12 15:43 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#99 [愛華]
「隆則!!それとって!!」

「なに、これ?」

「ちーがーう!!その隣!!」



あれから2日。


隆則とはつきあっていた頃と
なんら変わりなく過ごしていた。


まぁ病院で、だけど………。

⏰:11/01/12 15:46 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#100 [愛華]
「隆則くん、ごめんね。那佑の
わがままひどくて……」

「あー全然!慣れてますから」

「隆則そこは否定してよ!」


お母さんも相当隆則が気に入ったみたいで、隆則に母親がいない
ことを知って、まるで自分の
息子みたいに接してる。


やっぱり自分の母親と彼氏が
仲いいとうれしいもの。

⏰:11/01/12 15:51 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#101 [愛華]
お父さんは知らないけど(笑)


でもあたしの恩人ってことも
あって感謝はしてるみたい。



「じゃあ、那佑。帰るわね。
隆則くん那佑をよろしくね」

「はい」

「まったねー」


お母さんが帰ってふたりきりに
なると、さっきまで賑やかだった病室が急に静かになる。

⏰:11/01/12 15:54 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#102 [愛華]
誰かがいる時はいいけど、
ふたりになると………

離れていた時間があると
こうなっちゃうのかな。



「………那佑?どうした?」

「ん?なんでもないよ」



そんなことを考えてると、
隆則が心配そうにあたしの顔を
覗きこんだ。

⏰:11/01/12 15:58 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#103 [愛華]
「まーた変なこと考えてんの?」

「…………へ?」


隆則はあたしの隣にボスッと
腰を下ろした。



「……もうどこにも行かない」



もう、どこにも。


「ほんと?」

⏰:11/01/12 16:00 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#104 [愛華]
「ほんとだっつの」

「なら頭なでて」

「ん。いくらでも」



隆則はこうやってあたしの
不安をいつも壊してくれる。



いとも、簡単に。

⏰:11/01/12 16:13 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#105 [愛華]
「那ー佑ー!!」


バンッ!!とドアを開けて
入ってきたのは梓だった。


「あず………」

「大丈夫!?あたし話きいて
心臓止まりそうになったよ!」

「うん、わかったから……」


梓はあたしをぎゅーっと
抱きしめた。

⏰:11/01/12 16:24 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#106 [愛華]
梓には入院してから会って
いなかったけど隆則とのことは電話で話していた。


梓は「そっか」とだけ
言ってくれた。



多分、同じこと考えてたんだ。




直純くんのこと…………。

⏰:11/01/12 19:00 📱:840SH 🆔:grMj3a42


#107 [愛華]
「あ、タカ久しぶり!!」

「あ、うん」

「結局あんたはいっつも、いい
とこ持ってっちゃうんだね〜
憎いなぁ!!この!!」


そういって首をしめる梓。


「ちょ、苦しいから!やめろ!」

「あはははは!今度こそ、那佑を傷つけたら容赦しないから!」

⏰:11/01/13 18:45 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#108 [愛華]
梓、嬉しそうだな。


心配かけて、ごめんね。





「あ、タカ」

「ん?」






「…………直純、外にいるから」

⏰:11/01/13 18:50 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#109 [愛華]
「…………ん、わかった」




………え?なに………?
直純くんが……来てるの?




隆則はそういって病室から
出ていってしまった。


「梓………どういうこと?
直純くん、来てるの?」

⏰:11/01/13 20:59 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#110 [愛華]
「うん。一緒に来たよ」

「じゃああたしも話さなきゃ。あたし、直純くんに言わなきゃ
ならないことがあるの」

「それは那佑の心配すること
じゃないから大丈夫だよ」


梓はにこっと笑った。


意味がわかんないよ。
あたし直純くんにまだ謝ってない
ひどいこといっぱいしたのに。

怖くて、連絡もしてなかった。

⏰:11/01/13 21:03 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#111 [愛華]
「……………梓、あたしね…
あの日直純くんに言うつもり
だったんだよ」

「………何を?言ってごらん」




「………つきあおう って」




そのほうが幸せになれるかもって
信じたかったから。

⏰:11/01/13 21:07 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#112 [愛華]
「でもあたし………隆則が好きで
やっぱりダメで……それで…」


「だーいじょうぶ!!
那佑はなんも気にしないで。
あとはタカと直純の問題だから」


隆則と……直純くんの?
そこにあたしはいないの?



「タカだって男だもん。
けじめくらいちゃんとするよ
もちろん、直純もね」

⏰:11/01/13 21:22 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#113 [愛華]
梓はなにもかもわかってる
みたいだけど、あたしはなにも
わからない。



…………隆則と直純くんは
何を話してるんだろ………



「ほら、そんな顔しないの。
大丈夫だよ。またみんなで
笑えるから。ねっ」


梓がそういうと、本当にそう
なる気がした。

⏰:11/01/13 21:39 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#114 [愛華]
悩んで悩んで出した答え。


後悔はしてないけれど……
できるなら誰も傷つかない
ほうがいい。


そんなの無理だって知ってても
やっぱり思ってしまうんだ。



どうかまた、みんなで
笑えますように。


涙を流さないですみますように。

⏰:11/01/13 22:17 📱:840SH 🆔:1CBM2/bQ


#115 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/01/14 20:36 📱:840SH 🆔:7yGY5lfg


#116 [愛華]
ジリジリと蝉が鳴いてた。



もう夏なんだ。




「…………あ、直純いた」

「ん、きたきた!おせーよ!」


病院の中庭のベンチに直純は
座っていた。
だるそうに振り向く。

⏰:11/01/14 20:39 📱:840SH 🆔:7yGY5lfg


#117 [愛華]
長い時間ここにいたのか、
汗でびっしょりだ。



「あっちーなー……」

「どっか移動すっか?」

「いや。ここでいい。隆兄は?」

「俺もここでいいよ」


焼き付くような陽射しが、
今日は心地好く感じた。

⏰:11/01/14 20:43 📱:840SH 🆔:7yGY5lfg


#118 [愛華]
那佑の側にいる。


もう一度そう決心したときに
直純の顔が浮かんだ。


直純、ごめんな。

俺から那佑を手放したのに。



話さなくちゃ、と思った。
直純ともう一度。

直純も同じ気持ちだったんだな。

⏰:11/01/14 20:53 📱:840SH 🆔:7yGY5lfg


#119 [愛華]
「………梓から、聞いたよ。
白石と戻ったんだろ?」

「…………ああ」


決めていたとはいえ、
何を言えばいいんだろう。


でも………『ごめん』は
言うべきじゃない。

そう思った。




「………………よかったじゃん」

⏰:11/01/14 21:39 📱:840SH 🆔:7yGY5lfg


#120 [愛華]
コーラを飲み干しながら、
直純が小さな声で言った。


「…………悔しいけどさ。まぁ、しゃーないわな。オメデトウ」



「…………え」


「なに?罵られると思った?
漫画みたいに殴るとか?」

「いや……でもそれくらい
されるかも…………みたいな」

⏰:11/01/15 01:23 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#121 [愛華]
文句のひとつでも言えば
いいのに………。


なんで、何も言わないんだ?


俺は直純から那佑を奪った
のも同然なのに。



「なんで……なんも言わない?」

「なんだよ、言ってほしいの?」

⏰:11/01/15 01:27 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#122 [愛華]
そう言って笑った直純は
6年振りに再会した時とは全く
違う、真っ直ぐな目をしていた。


昔のころの、直純だった。




「…………あの日もさ、俺は
白石に告白だけして隆兄のとこ
行かせるつもりだったの!!」

「え…………えぇ!?」

⏰:11/01/15 01:30 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#123 [愛華]
「まぁ白石がまだ隆兄のこと
好きなのは知ってたし。

敵わねぇなーって思ったから。

まさかこんなふうになるとは
思ってなかったけど、結果は
同じだったんだよ。


よって、予想もしてたわけで。


そんなに傷ついてないっす。」


………嘘ついてんじゃねーよ…

⏰:11/01/15 01:33 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#124 [愛華]
でもそれは。


直純の俺のための強がりだって
わかってたから。


苦しくなった。


だから何も言わなかった。

言葉にはしないけど思う。


直純、 ありがとう。

⏰:11/01/15 01:34 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#125 [愛華]
「今度こそ!白石よろしく!」

「おぅ!まかせとけよ!」


そういって笑いあった。



こんな日が来るなんて、
思いもしてなかったな。


『隆則も直純くんも大切なんだ』



那佑の…………おかげだ。

⏰:11/01/15 01:37 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#126 [愛華]
「………それから、隆兄」

「なに?」




「…………白石に手術を決心
させられるのも…………


隆兄しかいないよ」




……………え?

那佑の………手術………?

⏰:11/01/15 01:39 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#127 [愛華]
一瞬なにを言われたのか
全く理解できなかった。


あんなに暑かったのに、今は
空気がひんやりする。





那佑の、手術?


なんだよそれ、聞いてねぇよ。

⏰:11/01/15 14:34 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#128 [愛華]
俺の表情で、直純は俺がなにも
知らないことを悟ったらしい。


「……そっか。隆兄まだ……」

「どーいうことだ?」

「いや、あの………」

「言えよ」


直純は しまった という顔を
している。

………直純が知ってて
俺は知らなかった那佑のこと。

⏰:11/01/15 14:42 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#129 [愛華]
「………多分、白石も言うのに
決心がいることだと思う。

ごめん。てっきりもう知ってる
と思ってたんだ。

俺からは………言えない」

「なんだよ、それ………」

「白石から隆兄が直接聞いてよ」



那佑から直接?

なんだよ……そんな、重要な
ことなのかよ………

⏰:11/01/15 15:43 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#130 [愛華]
心がモヤモヤとしたまま、直純と病室に戻った。





「…………直純くん!!」

「おー元気そうじゃん」

「うん!………日曜日、行け
なくってごめんね」


直純と那佑が笑って話してる。
嬉しいはずなのに………

俺の頭は別のことでいっぱいで。

⏰:11/01/15 15:47 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#131 [愛華]
「直純くん、それと………」

「隆兄とまたつきあいはじめ
たんだろ?よかったじゃん」


「…………うん。ありがとう」




「………ね、タカどしたの?」

直純と那佑の会話をぼーっと
しながら聞いていると、梓に
不思議そうに話し掛けられた。

⏰:11/01/15 15:51 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#132 [愛華]
「直純とちゃんと話したみたい
だね。一件落着だねー……」

梓は嬉しそうにつぶやいた。


一難去ってまた一難、が
正しい気がするんだけど……




「………さて、俺らは用事
あるからもう帰るわ」

「え、二人とももう帰るの?」

⏰:11/01/15 15:56 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#133 [愛華]
「直純?あたしもぉ?」

「いーから梓!帰んぞ!
白石また来るからな」

「う、うん…………」



どうやら直純が気をきかせた
らしいな。


2人で話せってことか……



「んじゃな!隆兄!白石!」

⏰:11/01/15 16:02 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#134 [愛華]
パタン…………



さっきまで騒がしかった病室が
一気に静かになる。



「隆則、座れば?」

「え、あぁうん………」


俺はいつも座る椅子に座った。

⏰:11/01/15 16:17 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#135 [愛華]
「直純くん、よかったねって
言ってくれた。嬉しい」

「そっか…………」


夏は日が長い。
チリチリ肌が焼けるような暑さ。



「………なぁ、那佑」

「んー?」


「………手術、受けるの?」

⏰:11/01/15 17:13 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#136 [愛華]
「…………え」


那佑の動きが止まった。



「……直純から少し話聞いた。
詳しいことは那佑から聞けって。な、手術ってなに?」


「……………」


那佑は下をむいたまま。
何か考えてるみたいだ。

⏰:11/01/15 17:18 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#137 [愛華]
「…………隆則、あのね……」


「うん?」








「……あたし、今のままだと20歳まで心臓もたないんだって。
手術受けないと………あと2年
しか生きられないんだって……」

⏰:11/01/15 17:23 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#138 [愛華]
那佑はなんでもないように、
でも少し悲しそうに言った。


どうしようもないんだから。

そう言っているようだった。




お前は諦めていたのかもしれない

諦めたくなくっても


頑張ることが怖かったんだな。

⏰:11/01/15 17:26 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#139 [愛華]
どうしたらその苦しみから
お前を救えるのか。


あの時の俺はわからなかった。





暑い暑い日だった。


俺達の最後の闘い。




長い夏が始まろうとしていた。

⏰:11/01/15 17:32 📱:840SH 🆔:4SniUugs


#140 [愛華]
-那佑side-

⏰:11/01/16 18:17 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#141 [愛華]
暑い暑い夏。


去年の夏も確かベッドの上。

来年は海へいきたい

とか思っていたっけ。



真っ青な空を見ながら、
そんなことを思い出していた。


来年は………あたしは
どこにいて、何をして、

誰といるんだろうか。

⏰:11/01/16 18:21 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#142 [愛華]
「…………あついなぁ……」


思わず口をついた。


壁にある鏡をなんとなく見ると
点滴されている自分の姿が映る。




………なんか、やだな。




病状は確実に悪化していた。

⏰:11/01/16 18:25 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#143 [愛華]
医者もお母さんもお父さんも。


何もいわない。


でも自分のことだよ。

自分が1番よくわかる。








多分、あたしはもう長くない。

⏰:11/01/16 18:27 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#144 [愛華]
何度も言われた。


『全力をつくす。必ず治して
みせるから、手術を受けてくれ』


お母さんお父さんにも
何度も説得された。




…………でも、無理なんだよ。
あたしには、無理だよ………。

⏰:11/01/16 18:29 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#145 [愛華]
死ぬことは怖い。

みんなに会えなくなるのは嫌。
でも。


手術に失敗してひとりで死ぬなら

みんなに見守られて死ぬ
ほうがいい。


あたしの笑顔がみんなの心に
残るように。


決して消えないように。

⏰:11/01/16 18:35 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#146 [しずく]
この話大好き!!
がんばって!!

⏰:11/01/16 19:14 📱:PC 🆔:C.gezF26


#147 [愛華]
>>146 しずく様

ありがとうございます!
更新がんばります(^O^)/

⏰:11/01/16 19:29 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#148 [愛華]
>>145




ガラッ



「おぃーっす。起きろー」

「…………寝てないし」

「そう言うなって。ほら、
プリンあるからさー」

「やったー。隆則も食べよ」

「え、1つしか買ってねーよ」

⏰:11/01/16 20:53 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#149 [愛華]
いつもと同じように隆則が
来てくれた。


………あの日から。
隆則は前よりも頻繁に会いに
来てくれるようになった。





『あたし今のままだと、あと
2年しか生きられないんだ…』

『手術すれば…よくなるのか?』

⏰:11/01/16 20:56 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#150 [愛華]
『多分ね。でも成功する確率が
かなり低いんだって。だから
あたしは受けないよ』

『受けないって………』

『手術を受けなくたって、
他の方法があるはずだよ。
あたしは諦めない。

でも手術は………受けない』






隆則はなにも言わなかった。

⏰:11/01/16 21:00 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#151 [愛華]
何も変わらない。
前と同じ毎日。


でもあたしたちの頭から
病気のことが離れることはなく。





苦しみは心をむしばんでいく。

あたしはそれを隠すので
精一杯だったんだ。

⏰:11/01/16 21:23 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#152 [愛華]
「那佑?聞いてんの?」

「え、あぁ………何?」

「最近お前ぼーっとしすぎ」

「自覚ないけど……そう?」

「うん。体調どうだよ?」

「悪くないよ」


でも良くもない。
それが本音。
言えないけどね。

⏰:11/01/16 22:28 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#153 [愛華]
もう普通の生活はできないのかな
また誰かのために動くことは
できないんだろうか。



「………那佑、何考えてる?」

「ん?なんも」

「お前が1人で抱え込む問題
じゃないんだ。なんでも話せよ」


ありがたいのに………苦しい。

⏰:11/01/16 22:31 📱:840SH 🆔:82k1wrAk


#154 [愛華]
「……なーんでもなーいよ!!」


あたしはニヒッと笑った。


「あ、隆則!明日はさー売店の
イチゴチョコミルクバナナプリン買ってきて!!二つね!!」

「甘そうな名前だなおい……
つか俺はいらないっつの」

「違うよーあたしが二つとも
食べちゃうんだもーん」

⏰:11/01/17 14:38 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#155 [愛華]
『なんでもない』

が口癖になった気がする。


不安を口にすることすらも不安。


強がることが上手くなった。



最近よく思う。



明日もあたしは…………
ここに在られるんだろうか。

⏰:11/01/17 14:43 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#156 [愛華]
あたしが笑っている。
そこに隆則がいる。


そんな未来が上手く想像できない








「…………マジでヤバいかも」


あたしは本当に………
『諦めてない』の?

⏰:11/01/17 14:45 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#157 [愛華]
庭にある桜の木を見ると、
今までの隆則との想い出が
よみがえってくる。



……これって、余命が短い人間
にありがちなことのような……

ドラマとかでよく見るよなぁ。




なんて1人の病室で思って
笑ってたりする。

⏰:11/01/17 14:50 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#158 [愛華]
隆則といると安心する。

でもそれはあたしだけ。



隆則は不安なんだよね。


あたしはいなくなっちゃえば
それでおしまい。



でも隆則は………苦しみ続ける。

⏰:11/01/17 14:53 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#159 [愛華]
あ…………まただ。



涙が頬を静かにつたう。


隆則といる時は絶対に流さない
のに。1人の時に出るんだ。





………どうすればいい。

⏰:11/01/17 15:02 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#160 [愛華]
もし、あたしが死んだとして。


そのあとのあたしの記憶が
隆則を苦しめるのだとしても。




あたしは隆則の中に残りたい。


時々思い出してくれればいい。



そして笑ってくれればいい。

⏰:11/01/17 15:05 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#161 [愛華]
ぎゅうっと胸に手をあてる。


そして1つのことを決める。






やっぱり少し怖いけど。





あたしが隆則の記憶に残る。
1つの方法。

⏰:11/01/17 15:09 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#162 [愛華]
'








「…………え…外出許可…?」

「うん!!一泊二日だけどね」

「よく出たなー許可なんて…」

「最近調子そこまで悪くないし。贅沢言えないけどねー」

⏰:11/01/17 19:18 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#163 [愛華]
今、じゃなくてもいいのかも
しれない。

でもこれが最後になったり
したら……きっと後悔する。


あたしが上手に笑えるうちに。






「そっかーよかったな!!
家族で過ごすのか?」

⏰:11/01/17 19:20 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#164 [愛華]
嬉しそうに隆則が言う。


いつも通り、 なんだけど。






「………ううん、違うの」


「ん?なんだって?」



あたしは隆則のほうに向き直る。

⏰:11/01/17 19:22 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#165 [愛華]
「……………この日は。



隆則とずっと一緒にいたい」


「……………?」





「2日間…………隆則といる。
ずっといる。どこでもいいから」


だから。

⏰:11/01/17 19:25 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#166 [愛華]
「『なんとなく』じゃなくて…」




ずっと前の、隆則の言葉。




『こんななんとなくで那佑と
するのは嫌なんだよ』




なんとなく、じゃなくて…

⏰:11/01/17 19:28 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#167 [愛華]
「……………那佑?」





上手く言葉にできない。


なんか………顔あつい……




「……えと……あの、その……」


顔が熱くなるのがわかる。
あたし………何言ってんの…

⏰:11/01/17 19:32 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#168 [愛華]
頭が真っ白だ。
なんも考えられない。






「…………えっとね、つまり…」


「…………無理しなくていーよ」


隆則が静かに言った。

⏰:11/01/17 19:35 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#169 [愛華]
……………無理……?



隆則はあたしの言いたいことが
わかったのか、微笑んだ。



「………那佑のことだろーから
多分色々考えて、その答えに
なったんだろーけどさ。

そりゃ俺は嬉しいけど。


無理してる那佑と無理矢理
やるのはなんか違うだろ……?」

⏰:11/01/17 19:39 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#170 [愛華]
優しい隆則の声。あたしを
気遣ってくれてるのがわかる。



でも、あたしは………。





ゆっくり隆則に抱き着いた。
隆則の体温を確かめるように
腕に力をこめる。



「………無理なんかしてないよ」

⏰:11/01/17 19:51 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#171 [愛華]
「……………」


隆則は黙ったまま。



「無理なんかじゃない……!
無理なんかしてない……」



ぽろぽろ涙が流れる。


悲しいわけでもないのに。

⏰:11/01/17 19:53 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#172 [愛華]
隆則の呼吸が聞こえる。


無理なんかじゃ、ないよ……








「…………………いいの?」

「いい。隆則がいい。」


初めては隆則がいい。
隆則じゃなきゃやだ。

⏰:11/01/17 19:57 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#173 [愛華]
あたしはもう、いついなくなる
のかわからないから。

いつまで笑顔でいられるのか
自分でもわからないから。



だから、その前に…………





隆則と、結ばれたいの。

⏰:11/01/17 20:30 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#174 [愛華]
「………………うん」


隆則は優しくうなずいた。





時間が止まればいいって。
そう本気で願った。


でもそんなの叶うわけなくて。
まるであたしを嘲笑うかのように

時間は、過ぎていった。

⏰:11/01/17 21:01 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#175 [愛華]
今日の更新分

>>154-174

感想まってます。

⏰:11/01/17 21:51 📱:840SH 🆔:ZDXgRsOI


#176 [愛華]
「えぇ………!?」

「もう決めたの」


1泊2日の仮退院前日。
梓が久しぶりに病院に来た。
直純くんは補習だそうで……



「………タカの家で過ごすって……2日間?」

「だからそうだってば」

「へ…………へぇ……」

⏰:11/01/19 15:34 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#177 [愛華]
「へぇ………ってなによ」

「ま、まぁさ。タカも入院中の
彼女をその……どうもしないと
思うけど。でも一応男だし…?
てゆーか……………我慢?」

「我慢しなくてもいーの、もう」

「あ、そう。そりゃタカ喜ぶわ。




…………ってえぇ!?」

⏰:11/01/19 15:46 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#178 [愛華]
漫画みたいに飛びあがる梓。
なんて古典的な………


「それって……そういう意味?」

「そういう意味」

「タカはなんていったの?」

「うん、ってだけ言った」

「マジすか…………」

梓はぐったりうなだれた。

⏰:11/01/19 15:50 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#179 [愛華]
まぁ予想通りの反応だけど……


「…………でもなんで……今?」

梓は不思議そうに聞いた。


なんで今かって…………


今しかないからだよ。



「ちゃんと正式に退院してから
じゃダメなの?」

⏰:11/01/19 15:55 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#180 [愛華]
「………退院できるか……
わかんないもの」

「…………は?」

「これが最後の外出になるかも
しれないし………だから」



「なに…………それ?」


梓の声色が変わる。


「ごめん、なんでもない」

⏰:11/01/19 15:59 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#181 [愛華]
「なんでもなくないよ。
最後の外出ってどういう意味?」

「そのまんまだよ」

「なにそれ。退院できないって
あんた自分で認めてんの?」


梓の口調がきつくなる。


「そんな、ことない………」

「嘘。あんた今言ったじゃん。
諦めてんの?治らないって」

⏰:11/01/19 16:14 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#182 [愛華]
諦める。

治るわけないから、諦める。


「……諦めてなんか………」


その先が出なかった。


あたしは、闘うことに疲れた。

毎日たくさんの薬を飲んで

それでも良くなんかならなくて。

⏰:11/01/19 16:21 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#183 [愛華]
苦しくて、悲しくて。
あと2年もない。
そう思うと、ぷっつりと


なにかがきれた気がした。



あたしは……諦めてた。

だから焦ってた。


何かを残さなきゃって。


あたしはもう長くないんだから……………って。

⏰:11/01/19 16:26 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#184 [愛華]
「あたしもタカも直純も!!
那佑が治るって信じてるのに
あんたは諦めてんの?

それはあたしたちを裏切ってることになるんだってわかんない?」


「だってわかっちゃうんだ。
もう無理なんだって。
疲れたんだよ、もう……」



梓は泣いてた。

あたしの、せい。

⏰:11/01/19 16:31 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#185 [愛華]
こんなこと話すつもりなかった。
でも溜め込みすぎた不安は
無意識にもれてしまう。


「………………那佑」



「信じたいよ。治るって。
でも、あたしが死んだあとに
苦しむのは隆則なんだよ?

『もしあたしが死んだら』って
やっぱり考えちゃうよ……」


現実と理想。
理想を夢みて現実に苦しむ。

⏰:11/01/19 16:39 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#186 [愛華]
「…………タカに言えない
不安はあたしに出して。だから



もうそんなこと言わないで」

「梓…………」


梓の気持ちは痛いほどわかる。

でも不安とか、そんなものだけ
じゃないんだよ。


だからあたしは…安心が欲しい。

⏰:11/01/19 20:24 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#187 [愛華]
「さて、この話は終わり!!那佑わかった?わかったら返事!」

「あ………はい」


「うん!」


こんなに側にいるのにあたしは
梓にさえ全てを吐き出せない。

心配かけたくないから?


そんなのきれいごとだ。

⏰:11/01/19 20:38 📱:840SH 🆔:dBmqpBCQ


#188 [愛華]
不安を口に出すと自分が弱い
人間になった気がして。

自己嫌悪しちゃう。


それはまた周りの人たちに
迷惑をかけてることになるの?




強くなりたい。



強くなりたいよ……

⏰:11/01/20 01:11 📱:840SH 🆔:LqmMWU32


#189 [愛華]
拳をぎゅっと握りしめる。
梓の顔が見れない。


申し訳ない気持ちでいっぱいで
また苦しくなった。



「梓……………ごめんね」

「………それは何に対して?」



「話終わりって言って戻っちゃうんだけどさ……あたし諦め
てるなんて自覚なかったんだよ」

⏰:11/01/20 01:16 📱:840SH 🆔:LqmMWU32


#190 [愛華]
「うん」

「でもどうやったらここから
抜け出せるのかわかんなかった。
受け入れちゃってたのかも。
しょうがないのかなって」



梓はゆっくりしゃがんで
ベッドに座ってるあたしに
目線を合わせた。



「……あたし那佑が大好き。
だからいなくなったら困るの」

⏰:11/01/20 01:22 📱:840SH 🆔:LqmMWU32


#191 [愛華]
「いなくなったら……?」

「困るの!でもあたしがどんなに
祈ったって那佑が諦めたら
そこで終わっちゃうよ。



闘ってるのは那佑だけじゃ
ないんだからね。わかってる?」


梓の言葉が心を潤す。
あたしと同じくらい、梓も
苦しいんだ……。

⏰:11/01/20 01:28 📱:840SH 🆔:LqmMWU32


#192 [愛華]
不謹慎かもしれないけど、
嬉しかった。温かかった。



明日はあたしにとって特別な日
になる。きっと。


その記憶があたしにとっての
光になるのなら


あたしはまた闘えるかな。


「絶対治すから」って自信を
持って言えるようになるかな。

⏰:11/01/20 01:33 📱:840SH 🆔:LqmMWU32


#193 [愛華]
今日の更新分です。
多めに更新したのですが
文章おかしいところあったら
すいません………
感想待ってます。

>>176-193

⏰:11/01/20 01:36 📱:840SH 🆔:LqmMWU32


#194 [愛華]
あるひとはいいました。



幸せとは願うことであり、

その行為の核に

他者が存在することである。






隆則。

あたしの願いの中には
いつだって隆則がいたよ。

⏰:11/01/21 00:06 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#195 [愛華]
他者が存在する願い。
それは絶望の中で
強制されないにもかかわらず
誰もが持つものだ。


ゆえに、人間特有の行為である。


他者が干渉する人生を歩めば
願うことは当然のことなのだ。


たとえ叶わなかったとしても
それが消えることはない。

⏰:11/01/21 00:24 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#196 [愛華]
叶わなかった願いは記憶として
必ず残るからだ。

叶った願いは自分の一部として
やがて忘れてゆく。


量でいえば圧倒的に前者が
多いかもしれないが

量より質である。






あたしは本を閉じた。

⏰:11/01/21 00:29 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#197 [愛華]
『愛の蜘蛛の巣』
と表紙に書かれた本。


以前、送別祭の準備のときに
衣装部屋で見つけた台本の
小説バージョンらしい。



………こんな内容だったんだ…




気まぐれに病院内にある図書室
から借りた本。

⏰:11/01/21 00:36 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#198 [愛華]
あたしは冒頭部分で読む気が
失せてしまった。


流れからすると、この続きは
叶わなかった願いの質について
書かれてるみたいだ。



そんなの読みたくないっつの。




時刻は午前1時。

眠れない。

⏰:11/01/21 00:39 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#199 [愛華]
叶わない願いのほうが圧倒的に
多い。そんなの当たり前。



叶わないようなことだから、
願ってんじゃんか。



努力でなんとかなるようなこと
なら神様任せなんかにしない。


いるかいないかもわかんない
信用できない架空の人物に
頼るなんて馬鹿なことしない。

⏰:11/01/21 00:45 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#200 [愛華]
叶わない願いを神様に。






叶わない確率のほうが高くても



もし、叶ったら。



そんな奇跡を信じて願う。

⏰:11/01/21 02:00 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#201 [愛華]
何十個ものお願いをして
その中の絶対に叶いそうにない
願いが叶ったとしたら?





それが幸せに繋がる。

と、思う。




多分。

⏰:11/01/21 02:05 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#202 [愛華]
「ばからし……………」





我ながら馬鹿みたいなこと
考えたな。


奇跡を信じる、とか。

ドラマかっつの。



神様なんか信じないよ。

⏰:11/01/21 02:07 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#203 [愛華]
今まで何回も神様にお願いして
裏切られてきたんだし。




目をつぶってると、ウトウト
まどろんできた。



………寝よう。
明日起きれなくなっちゃうし。


頭に最後に浮かんだのは隆則。


………おやすみなさい。

⏰:11/01/21 02:11 📱:840SH 🆔:FLDDbvz.


#204 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/01/22 00:01 📱:840SH 🆔:tdgufmR.


#205 [愛華]
それを望んでいなかった
わけじゃない。





『無理なんかしてない』



そういった那佑の瞳の奥に


強い決心が見えた気がして。


『時間がない』と言ってるようで

なにも言えなかった。

⏰:11/01/23 00:18 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#206 [愛華]
今まで怖かった。


大切で、大切すぎて。



その腕のなかに那佑を収めると


那佑が壊れてしまう気がした。



だから今まで、ずっと自分を
理性でおさえてた。

⏰:11/01/23 00:28 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#207 [愛華]
今じゃなくてもいい。

時間はあるんだから。

焦んなくてもいい。





…………時間?




焦ってるのは俺じゃなくて那佑。

⏰:11/01/23 00:32 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#208 [愛華]
那佑はどうして『時間がない』
なんて思ってるのか。


ないわけないだろ。


だからゆっくりでいいんだ。


そう言ってやりたかった。


でも俺は。



那佑を…………抱きたいって。

⏰:11/01/23 00:46 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#209 [愛華]
こんなこと言ったら、
怒られるかもしれないけどさ。


目の前で精一杯抱きしめて
くれてる那佑をかわいいと
思った。ちょっと震えてたけど。


那佑が何に焦ってるのかなんて
俺は知ってるんだろうけど…


今は知らないふりでいい。


本能に忠実なままでいい。

⏰:11/01/23 00:53 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#210 [愛華]
そう思った。



………俺ってダメなやつかな。







外は明るくなりはじめていた。

⏰:11/01/23 00:55 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#211 [我輩は匿名である]
あああああああーーー
頑張れぇぇぇぇぇぇーーって
あは
はよ下記な

⏰:11/01/23 01:53 📱:PC 🆔:SRQ4syZM


#212 [愛華]
>>211

んと……がんばりますね!
感想板のほうにもぜひ来て
下さい。ありがとうございます。

⏰:11/01/23 15:35 📱:840SH 🆔:1GT4RiK6


#213 [愛華]
>>210


-那佑side-

⏰:11/01/24 00:08 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#214 [愛華]
「んじゃ先生。いってきます」

「いってらっしゃい。
くれぐれも………」

「ハイハイ。運動は厳禁ね」

「それだけじゃないでしょ」

「…………なんだっけ?」

「ほら、もう忘れてるし!!」



久しぶりの、外の世界。

⏰:11/01/24 00:10 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#215 [愛華]
青空を直接見上げるなんて
本当に久しぶりなんだ。



「あ、思い出した!!薬ね!」

「毎朝忘れないでね。咳が
酷いときは別の薬あるから」

「はいはーい」



先生と別れを告げると、
お母さんがトイレから
戻ってきた。

⏰:11/01/24 00:15 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#216 [愛華]
「あ、お母さんおかえり。
先生いっちゃったよ」

「今あいさつしたから平気よ。
それより………


本当に大丈夫なの?
隆則くんのところで一泊する
なんて………」


「大丈夫だってば。納得して
くれたんでしょ、お父さんも」

「そりゃそうだけど………」

⏰:11/01/24 00:18 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#217 [愛華]
お母さんの顔から不安の色が
消えない。


「………お母さん。あたしだって『女の子』なんだよ?」



「……………万が一、なにか
あったらすぐ連絡してね?
夜にも電話すること。」


「うん。わかってるよ」


あたしはVサインを出した。

⏰:11/01/24 00:22 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#218 [愛華]
お母さんが心配でたまらないのは痛いほどにわかる。


でもお母さんとお父さんは、
あたしじゃなくて、隆則を
信頼してくれたんだよね。



それも嬉しいことだ。




「あ、もう出てたのか」


「隆則!!こんにっちはー♪」

⏰:11/01/24 00:25 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#219 [愛華]
お母さんと玄関の前にいると、
隆則が来た。


「こんにちは、隆則くん」

「こんにちは。遅れてすいませんでした」

「いいのよそんなの。今日と
明日、那佑をよろしくね」

「はい」


お母さんと隆則が話してる……
なんか変な感じするなぁ………

⏰:11/01/24 00:29 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#220 [愛華]
そういえば、あたしが倒れた時
って救急車呼んでくれたのは
隆則なんだったっけ………


あの時、隆則はお母さんたちと
何話してたんだろう?



「那佑さんとお付き合いさせて
もらってます」 とかかな…?



あ、でもあの時は別れたまま
だったし………

⏰:11/01/24 00:32 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#221 [愛華]
「…………なーゆ!行くぞ!」

「へぁ?あ、うん!」


ま、いっか。
あとで聞いてみよう。



「んじゃね、お母さん」

「うん。また明日」

「失礼します」


お母さんと別れると、たまらず
あたしは吹き出した。

⏰:11/01/24 00:34 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#222 [愛華]
「オイ、なに笑ってんの?」

「だって失礼します、とか!
隆則似合ってないんだもん」

「やかましい」


あ。


隆則と二人になると、急に
現実感が沸いてきた。




明日まで、隆則とずっと二人きりなんだ………ずっと。

⏰:11/01/24 00:37 📱:840SH 🆔:XeKd0N62


#223 [愛華]
あたしだってさ。
緊張しないわけじゃない。
初めてだし………女の子、だし。



そう。
明日まであたしは普通の女の子。


病気のことは考えなくていい。


隆則のことだけでいいんだよね。

⏰:11/01/25 20:42 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#224 [愛華]
「………たーかのり♪」

「え、なに急に。歩きにくいし」

「そう言うなって!」


あたしは隆則の腕にぎゅうっと
抱き着く。


隆則と並んで歩くのも久しぶり。


やっぱり………嬉しいな。

⏰:11/01/25 20:45 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#225 [愛華]
「あ、俺車取りに行かなきゃ」


歩きながら、隆則が思い出した
ようにいった。


「………車!?隆則、免許
なんか持ってたっけ?」

「うん。この前取った」

「え、車買ったの…?」

「うーん……と。もらった?」

「もらったぁ!?」

⏰:11/01/25 20:54 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#226 [愛華]
「うん」


いやいや………免許取ってた
ことも知らなかったし。

おまけに車もらった?

誰に?


「あたし知らないんだけど。
そんなこと聞いてないし……」

「あー免許取ったのは言い忘れ
てたんだけどさ。車もらったのは3年くらい前だから」

⏰:11/01/25 20:56 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#227 [愛華]
「3年………前?」

頭の中が?でいっぱいに
なっていると、いつの間にか
駐車場についていた。

そこにあった隆則の車は
フツーの車。


「……てか誰にもらったの?」

「あー…高校の時にケンカ
売られた族のやつに」


………………。

⏰:11/01/25 21:01 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#228 [愛華]
「まぁ俺も荒れてたし。

そしたらブッ飛ばしたやつが
族だかヤクザだかのお偉い人
だったみたいでさー。

組に入れとか言われて、断ったら
車やるから免許取ったら乗れって車くれたんだよ。

なんかよくわかんないけ……ど




って那佑どうした?」

⏰:11/01/25 21:17 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#229 [愛華]
「いや……なんかリアルすぎて。あたし若干ひいてるよ……」

「んなこと言ったって!!
返しようもないだろ今さら!
その時だって正直組入るの
断るので精一杯だったし!!」


ヤクザブッ飛ばしといて
何言ってんだか………。



でも。そっか。



あたし隆則の高校時代、
よく知らないんだ。

⏰:11/01/25 21:43 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#230 [愛華]
車に乗ると、新車特有の
シートのにおいがした。



「………あれ、新車?」

「んーみたいだな。乗ったの
昨日が初めてだし」

「大丈夫なのそれ………」


まだ知らない、隆則のこと。





知りたい。

⏰:11/01/25 21:51 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#231 [愛華]
「………さて、どこ行く?」

運転席に乗り込んだ隆則が
キーを差し込んだ。



「………どこでも、いいよ」

「行きたいとこあるだろ?
車だから遠出もできるけど」


久しぶりの外出だけど、

ほんとうはね。


隆則がいるならどこだっていい。

⏰:11/01/25 21:59 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#232 [愛華]
「………じゃあね、ドライブ」

「ドライブ?そんなんでいい?」

「うん。ぶらぶらするだけで」

「りょーかいしましたー」


ブゥン!!


「発進ー!!」


小さな子供みたいに。あの時のあたしはワクワクしてた。

⏰:11/01/25 22:03 📱:840SH 🆔:kjUW4466


#233 [愛華]
隆則といる時だけだよ。
あたしは子供に戻れる。


強がってばかりだったあの時。
甘えることを知らなかった
子供時代。


隆則は簡単にあたしの心を
持っていっちゃうんだよ。


それだけは
出会ったころと何も変わらない。

⏰:11/01/26 19:57 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#234 [愛華]
「ねー隆則」

「んー?」

「隆則の高校時代ってどんなの?あたし知らないんだよねー」

「え?俺の話聞きたいの?」

「うん!!ダメ?」

「ダメじゃねーけど……
聞いてもつまんねーよ多分」

「それでもいーいーの!」

「えー……」

⏰:11/01/26 20:04 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#235 [愛華]
隆則は嫌そうな顔だ。


あ。ケンカばっかだったって
言ってたし……嫌な過去なのかな



「……高校、嫌だったの?」

「嫌っつーか…つまんなかった。金髪だから目立ってたしさ。
友達っつー友達も誨ぐらいしか
いなかったしなぁ。」

「高校の時から金髪だったの?」

⏰:11/01/26 20:26 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#236 [愛華]
「うん。なんかカッコつけたい
時期とかだったんじゃん?

あとは大体、那佑の想像通り
だと思うけど」

「ケンカばっかしてたの?」

「まーね。俺強かったよ〜」


隆則は笑いながら言った。



…………なんか、オトナ。

⏰:11/01/26 21:56 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#237 [愛華]
「…………隆則と、もっと前に
会いたかったなぁ………」

「え、なんで」

「なんとなく」

「なんだそりゃ」

「…………」

「なんだそりゃ」

「なんで2回言うのさ」

「いや、意味わからんから」

「………うん。そっか……」

⏰:11/01/26 22:03 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#238 [愛華]
「一人で納得すんなっつの!」


………なんか、もったいない。
そう思ったんだ。
あたしが知らない隆則の部分が
いっぱいありすぎて。


隆則に出会ってなかった時間が
もったいなかったなって。



そんなこと言えるわけないけど。

⏰:11/01/26 22:16 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#239 [愛華]
「それよりさ、今看板で
ナントカ海岸って書いてたよ!」

「海岸?海ってことか?」

「行きたい!!海!!」

「海ぃ?行きてーの?」

「行きたい!行きたいっす!」

「わかったわかった」


隆則はあたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

⏰:11/01/26 22:53 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#240 [愛華]
「………へへっ」

「なに笑ってんだよ」

「もー隆則だいすきー」

「……知ってるってば」




こんな穏やかな時間を


あとどれくらい過ごせる……?



考えようとしてやめた。

⏰:11/01/26 22:58 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#241 [愛華]
………なに考えてんの。


今日はそんなことは
考えないって決めたじゃん。




窓の外に海が見えてきた。


太陽の光を反射して、
キラキラしてる。



…海ってこんな綺麗だったっけ。

⏰:11/01/26 23:09 📱:840SH 🆔:xNQnfUXU


#242 [愛華]
そんなことを考えながら
海を眺めていた。

でも1時間ほど走っても、
ナントカ海岸、なんて文字の
書かれた看板は見えない。



「ねー隆則ーなんか遠くない?
通りすぎたりとかしちゃった?」

「俺に言われてもなぁ………
すぐ横に海あんのにまだ先
なんかな?」

⏰:11/01/27 23:04 📱:840SH 🆔:DBi3AEWQ


#243 [愛華]
今さら引き返すのもなんか嫌。


途中でお昼を食べ、再出発。




海沿いに走るのも飽きてきた頃。
看板が見えた。



「…………あ、隆則!今看板に
『金城海岸100キロ』って!」

「100キロぉ!?遠っ!!」

⏰:11/01/27 23:09 📱:840SH 🆔:DBi3AEWQ


#244 [愛華]
「この際だから行こうよ!」

「………俺はいいけどさぁ」


隆則はふぅ、と息をついた。



「………疲れたの?運転」

「いや、別に?」

「かわったげよーか」

「ばーか」

⏰:11/01/27 23:12 📱:840SH 🆔:DBi3AEWQ


#245 [愛華]
あ、なんか………


隆則やっぱりオトナ。


あたしが子供になったの?

それとも隆則が大人になったの?



どっちにしても……



隣にいるのに遠い。

そんな気がした。

⏰:11/01/30 18:54 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#246 [愛華]
そりゃあたしみたいな我が儘で
自己中な女の子と付き合えば、
誰だって大人になるのかも。


おまけに病気もち。



隆則の笑顔はまるで子供を
なだめるような感じだった。




……………気がする。


とか思っちゃうあたしが子供。

⏰:11/01/30 18:58 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#247 [愛華]
「…………那佑ー?なした?
急に黙りこんで……」

「チョコで酔った………」

「え?コレお酒はいってた?」

「なんか味変だったもんー」

「てゆーかお前酒弱いの?」

「その前にあたし未成年」

「がーき。今どきみんな飲む
だろー。子供だなー」


………トドメをあんたが刺すか。

⏰:11/01/30 19:06 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#248 [愛華]
なんなんだよー…



もやもやする。



なんでこんな日にこんなこと
考えちゃうんだろう?

なんかネガティブになってる…




今日は楽しくいたいのに。

⏰:11/01/30 21:40 📱:840SH 🆔:JIvfWBzg


#249 [愛華]
どれくらい時間が過ぎただろ。



なんとなく、さみしかった。



切なくて、もどかしくて。



隆則との距離。たった数十センチ


それがすごく遠く感じて。

⏰:11/02/03 20:42 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#250 [愛華]
あたしは病気になってから、
弱くなったみたいだね。

強くなりたいけれど……




距離を感じる度にあなたが
足りなくなってしまう。



それは……わがままなのかな。

⏰:11/02/03 20:44 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#251 [愛華]
たとえばあたしが隆則と
出会わなかったとして。



ひとりでこの日を迎えたとして。



あたしは、何を思っただろう?


隆則じゃない、誰かほかのひとを見つけられたの?


未来に絶望したりしてない?

⏰:11/02/03 20:50 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#252 [愛華]
そんなことあるわけない。



今のあたしは隆則がつくって
くれたんだよ。


隆則がいなきゃ生きてゆけない。


隆則は側にいるけれどー……



それでも足りなくなるのは


あたしがおかしいのかな。

⏰:11/02/03 21:01 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#253 [愛華]
'







「……………那佑ー起きろー」





「…………へぁ………ん……」

⏰:11/02/03 21:07 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#254 [愛華]
「お前ねー寝てんなよ……」

「あたし………寝てた?」



いつの間にか寝てたらしい。
昨日寝なかったせいか………


てゆーかこんな日に昼寝って…



「あたし変な顔してなかった?」

「あーヨダレふいてやった」

⏰:11/02/03 22:19 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#255 [愛華]
「うそばっかついて……」

「わはは。ほら。外見てみ」




あたしは窓の外に目をやった。
まだまどろむ目をこする。





「……………すご……」


それしか言葉が出なかった。

⏰:11/02/03 22:22 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#256 [愛華]
最後に海を見たのは
確か6歳の時。

お父さんとお母さんと一緒に
海に入って遊んだ。



少し寒かったけど、嬉しくて。

楽しくて。


こんな幸せが続くって信じた。



幼かった、あの頃。

⏰:11/02/03 22:29 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#257 [愛華]
「隆則!!早く早く!!」

「そんな急いで転ぶなよー」



隆則が呆れたように笑う。


あたしは波打際まで走った。




……冷たい。海の水って冷たい。

⏰:11/02/03 22:32 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#258 [愛華]
夕陽が海に沈んでいた。

映画とかで見慣れた感じ。


でもその景色は言葉が出ない
くらいに綺麗で。



夕陽ってほんとに海に沈むんだ…



なんて馬鹿なこと考えた。

⏰:11/02/03 22:34 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#259 [愛華]
「………隆則、ありがと」

「なにが?」

「連れて来てくれて。海見たの
10年ぶりくらいだから嬉しい」

「あー…俺もそんくらいかな…」

隆則はニッと笑った。




たまらなく、愛しいひと。

⏰:11/02/03 22:38 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#260 [愛華]
「ひといねーなぁ」

「もう夕方だしねー……」


あたしたちは砂の上に座った。
長い時間車に乗っていたので、
砂がやわらかく感じた。


あたたかかった。





「………綺麗だ、ね」

「うん。ありがたいわ」

⏰:11/02/03 22:44 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#261 [愛華]
「ありがたいってなに?」

「俺前までは景色とか見て
感動することとかないって
思ってたからさー…」

「なるほどー心が荒んでたのね」

「うるせーな!」


2人で声を上げて笑った。


笑い声は波の音に消えていった。

⏰:11/02/03 22:51 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#262 [愛華]
幸せだな。あたし。



でも、もしもあたしが。





病気じゃなかったら?




今までにも何度も考えたっけ。

⏰:11/02/03 22:54 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#263 [愛華]
もっと幸せになれたかも。

苦しむこともなかった。



それでもあたしは。




この病気のおかげで隆則に会えた




あぁ……………あたしは。

⏰:11/02/03 22:55 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#264 [愛華]
「………………隆則」

「ん?」






「約束、絶対守ってね。」





『あたしがいなくなる時、
泣かないで。その時だけは……


…………絶対に』

⏰:11/02/03 22:58 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#265 [愛華]
「絶対に絶対に守って。」



あたしはゆっくり隆則の目を
見つめる。


そして、手を握りしめる。



その目で、腕で。



いっぱいの幸せをあたしにくれた

⏰:11/02/03 23:01 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#266 [愛華]
あたしはもうすぐいなくなる
かもしれないけれど。



もう、充分だよ。


一生ぶんの幸せをもらったよ。




だからお願い。

あたしが死んじゃう時は

「またね」って笑ってね。

⏰:11/02/03 23:06 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#267 [愛華]
「………那佑、なした……?」



期待することはもうやめた。
『諦めない』なんて
きれいごとはもういい。


現実をただ一点に見つめる。



『あたしはいなくなる』


という事実。

⏰:11/02/03 23:10 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#268 [愛華]
「………今日だけは。病気のこと忘れようって思った。

でも無理だった。

あたしはそんなとこまできてる。


隆則も、気づいてるでしょ?
あたしには時間がないの」



口に出すのが辛かった『事実』

⏰:11/02/03 23:12 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#269 [愛華]
「なに………それ」

隆則の瞳には色がなかった。


悲しみも苦しみも。なにもない。



わかってるよ。
同じ気持ちなんだよ。




「ごめんね…………隆則」

⏰:11/02/03 23:15 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#270 [愛華]
涙を流すことにも慣れた。



自分を受け入れなきゃ。





「………あたしはもうすぐ…」



次の言葉は出なかった。

⏰:11/02/03 23:18 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#271 [愛華]
やわらかくてあたたかい
隆則のぬくもりが一瞬で
あたしを包み込んだ。








「…………なに弱ってんの?
んなもん誰がきめたんだよ?」


隆則はあたしを抱きしめたまま
うなるように声を出す。

⏰:11/02/03 23:21 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#272 [愛華]
波の音が消えた。




「…………隆則…………」



「勝手なこと言ってんな。
お前後悔するぞ、絶対。

お前の寿命なんて誰がどこで
きめたんだよ?自分が生きたい
だけ生きれよ!」


まっすぐな、言葉。

⏰:11/02/03 23:25 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#273 [愛華]
苦しいほどに、心にしみる。


じわじわ、広がってく。






「あたし、は…………隆則を
幸せにはできな……もしれない」

「俺はもう幸せだからいい。
お前の番だろーが今は。俺が
ちゃんと幸せにしてやるから」

⏰:11/02/03 23:27 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#274 [愛華]
言葉になっていないのに、
ちゃんと聞き取ってくれる。




「ちゃんと泣け。なんで
頼らないんだよ?不安なら
いくらでも言ってやるから。



お前はいなくならない」



ほら。また。
あたしを期待させるんだね。

⏰:11/02/03 23:30 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#275 [愛華]
なんの根拠もないくせに。

わたしはあなたの言葉に
期待を抱いてしまうの。



大切なものを見つけると
ひとは欲深くなる。


それを生きる力に変えるのは
あたしにとってはすごく
難しかったんだよ。


それでも、力になる。

⏰:11/02/03 23:33 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#276 [愛華]
明日を生きる、あたしの。





「………苦しいよ………」

「うん」

「辛いんだよ…………」

「うん」

「どうしてあたしなの?」

「うん」

⏰:11/02/03 23:35 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#277 [愛華]
隆則の手は、震えていたね。

いや、震えてたのはあたしかも。




「隆則…………やだよ……」

「うん」



「生きたい…………」


死にたくない、じゃなくて。

⏰:11/02/03 23:42 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#278 [愛華]
生きたい。



それだけ。





神様なんか信じない。

願ったりしないよ。



ただ、思うだけだよ。

⏰:11/02/03 23:44 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#279 [愛華]
「こわい………やだ………」

「…………ん。」




隆則は抱きしめる手に力を込める






「………俺もこえーや」

⏰:11/02/03 23:45 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#280 [愛華]
神様なんか、信じないから。


心に思うだけ。





隆則の側で生きたいです。




叶うなんて期待は、しない。


絶対に、してやるもんか。

⏰:11/02/03 23:48 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#281 [愛華]
辛かった。

苦しかった。

だから、生きたかった。

いつだって願ったことは
ただひとつ。


「ただ一人誰かの為に生きたい」

それが君なんだと信じた。

18歳の夏。

⏰:11/02/03 23:52 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#282 [愛華]
今日の更新分

>>249-282


久しぶりの大量更新なので
文章おかしいかもしれないです。すいません……

感想待っています。

⏰:11/02/03 23:54 📱:840SH 🆔:a8wAIOCc


#283 [愛華]
'









ずっとずっと夢見てた。


あたしは、女の子として。

普通の女の子として生きれるのか

⏰:11/02/04 21:11 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#284 [愛華]
大切なひとを見つけて


キスをして



…………ひとつになって。






そんな幸せを手に入れられるのか

病気になってからも考えた。

⏰:11/02/04 21:13 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#285 [愛華]
あたたかいあなたの腕の中で

あたしはそんな昔のことを
思い出していたんだよ。






今日あたしは。


あなたとひとつになれます。

⏰:11/02/04 21:15 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#286 [愛華]
'







「…………ひっ……」



首に隆則の熱を感じた。

チクリとした痛み。


熱くて、でも優しい。

⏰:11/02/04 21:31 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#287 [愛華]
「…………しるし」


隆則は優しく笑いながら言った。



ゆっくりベッドが沈んだ。




隆則に見下ろされてる……


なんか、変な感じ。

⏰:11/02/04 21:36 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#288 [愛華]
震えてるのが自分でわかった。





「……………こわい?」

「大丈夫。へいき」

「無理してんなら………」


あたしは思い切り隆則を
抱きしめた。


「いいの」

⏰:11/02/04 21:38 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#289 [愛華]
いいんだ。


隆則なら。



きっと、大丈夫だから。



そうでしょう?





「…………馬鹿」

⏰:11/02/04 21:47 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#290 [愛華]
「馬鹿ってなにさ。隆則もだよ」

「俺が馬鹿?」

「…………隆則、熱い」



隆則はゆっくりキスしてくれた。


少しタバコのにおいがした。

それすらも安心する。

⏰:11/02/04 21:50 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#291 [愛華]
「いんじゃん?馬鹿で」

「うん。そーだね」




あたしは



隆則の



隆則のすべてで



幸せになれるの。

⏰:11/02/04 22:05 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#292 [愛華]
幸せだった。

きっと、こんな幸せな夜は
初めてだったよ。



隆則もそうだったのかな?


だと嬉しいな。



まるで宝物にさわるみたいに
不器用な手であたしに触れる。

愛しい手。

⏰:11/02/04 22:25 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#293 [愛華]
暗い闇の中でいつも
あなたの声がしていた。

あたしの名前を呼んで
笑顔で手をふってくれる。



ずっと前から
こうなることは決まっていた。



そんな気がするの。


そう信じたいの。

⏰:11/02/04 22:52 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#294 [愛華]
隆則。


大好きなんかじゃない。



愛してるよ。


ずっとずっと愛してるよ。






長くて、温かくて。
少しだけ切ないような。
幸せな夜が明けようとしていた。

⏰:11/02/04 22:56 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#295 [愛華]
今日の更新分

>>283-295
感想待ってます。

⏰:11/02/04 22:59 📱:840SH 🆔:Hg7.qx02


#296 [我輩は匿名である]
'









太陽は東から昇る。

そして西に沈む。


当たり前のような

神様がずっと昔に決めた決まり。

⏰:11/02/05 22:39 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#297 [我輩は匿名である]
きっと誰もが感じている。

そんなの当たり前だって。


でもあたしは違ったんだ。


太陽が昇って沈むまで
明日への恐怖に怯えていた。

光を見ることが怖かった。

なのに夜の闇にも怯えていた。


居場所がどこにもなかった。

⏰:11/02/05 22:47 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#298 [我輩は匿名である]
まぶしいのは嫌い。

自分がどんなに醜い心をしてるか
全て照らされてしまうから。


でも暗いのも嫌い。

自分がどこにいるかわかんなくて
闇にのまれそうになるから。




じゃああたしは、


どこに在ればいい?

⏰:11/02/05 22:52 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#299 [我輩は匿名である]
そんなあたしを連れ出してくれた





隆則。





自分の中のぜんぶが
あなたでうめつくされた。

⏰:11/02/05 23:02 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#300 [我輩は匿名である]
光がこんなに心地好いなんて
知らなかった。

夜がこんなに穏やかだったなんて知らなかった。


全部隆則が教えてくれた。


言葉にできないくらいに
温かくて、楽しくて。


つまりね。




幸せなの。

⏰:11/02/05 23:08 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#301 [我輩は匿名である]
'









あたしは大好きなぬくもりを
隣で感じながら目を覚ました。


いつもと違うにおいがした。


それが嬉しかった。

⏰:11/02/05 23:16 📱:840SH 🆔:qulkQi8.


#302 [愛華]
名前なくてすみませんでした。
全部愛華が書いたものなので
疑問に思った方がいたら
申し訳ありませんでした。
更新します。

⏰:11/02/06 12:19 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#303 [愛華]
…………なんだろ?



横を見ると、そこには
目をつぶったままあたしの
頭をなでている隆則がいた。




だからあたたかかったんだ……



そうだ、あたし昨日………

⏰:11/02/06 12:21 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#304 [愛華]
昨日のことを思い出し、一人で
赤面する。体温が上がるのが
自分でもわかった。


………ひゃー……


なんか……すごい恥ずかしい…





「………なんだ、起きてたのか」

隆則がゆっくり目を開けた。

⏰:11/02/06 12:24 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#305 [愛華]
「あ…………おはよ、う……」

「うん。おはよ」


隆則はにっこり笑った。
すごく優しい笑顔。


その視線の先には………



「あ、あんま見ないで……」


あたしはシーツで自分の体を
ぐるぐる巻きにした。

⏰:11/02/06 12:29 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#306 [愛華]
は、恥ずかしい…………!!



「………え、今さら恥ずいの?
んなことしなくても昨日……」

「あーうるさいうるさい!」

「思い切り見ちゃっ……」

「お願いだからやめて!!」


一晩明けると恥ずかしさが
一気にこみあげてきた。

⏰:11/02/06 12:32 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#307 [愛華]
「ぷはっ……わかったよ」

「………もー……」

「叶わないなーほんと……」


隆則はあたしをぎゅうっと
抱きしめた。



「かわいすぎ」

「そ……そう言われましても…」

二人で迎える朝はまぶしくて。

⏰:11/02/06 12:36 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#308 [愛華]
「隆則、寝癖ついてる」

「ん、ほんと?」


あたしはシーツから手を出して
隆則の髪にちょいっと触れた。



あれ、今までこんなに近くで
隆則の顔を見たことあったっけ?


びっくりするくらい綺麗な顔
してるなー……

⏰:11/02/06 12:39 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#309 [愛華]
「……………へへっ」

「なーに笑ってんの」

「だって寝癖とか
かわいんだもん」


そう言うと隆則は少し顔を
しかめた。面白くなさそう。


「かわいいとか嬉しくない」

「えーほめてるのになぁ」

「んなこと言ってるとベッドから落としちまうぞ」

⏰:11/02/06 12:44 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#310 [愛華]
「ちょ、今動けないんだけど!」

「自分でぐるぐる巻きに
なったんだろ………馬鹿か」



あ、そうでした………。



枕もとの時計を見ると、
9時をまわっていた。


今日、また戻らなきゃ
いけないんだ…………。

⏰:11/02/06 13:01 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#311 [愛華]
変なの。


昨日まで不安でたまらなかった。



「生きたい」なんて隆則に
泣きついて。


隆則はなにも言わずに
ただ抱きしめてくれてたけど…


それだけで私の力になったよ。

⏰:11/02/06 13:08 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#312 [愛華]
大丈夫。



もう、怖くないよ。






「隆則」

「ん?」

「キスして」

⏰:11/02/06 13:16 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#313 [愛華]
隆則は一瞬びっくりした顔をして
あたしを真っ直ぐに見つめると
ゆっくり唇を重ねた。





今までできっと、

1番幸せなキス。




唇が離れると淋しさを感じた。

⏰:11/02/06 13:19 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#314 [愛華]
「…………足りないの?」

「…………」


あたしはその気持ちを悟られて
しまったようで………

それをごまかすようにもう一度
隆則にキスをした。



甘くて、ちょっと苦くて。



知らないうちに涙が流れた。

⏰:11/02/06 13:23 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#315 [愛華]
隆則はあたしの涙をぬぐい、
目にキスをしてくれた。


「………なんで泣いてるの」

「言ったら馬鹿にされる」

「しないよ。言ってみ?」



あたしは涙もろくなった。
でもね、またこんな風に
あなたの前で泣きたい。


「…………幸せすぎて………」

⏰:11/02/06 13:28 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#316 [愛華]
「……………なんだそりゃ…」


隆則はあたしのまぶたに唇を
つけたままつぶやいた。

くすぐったい。









「…俺も、今なら泣けっかも」


震える声でそう言った。

⏰:11/02/06 13:33 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#317 [愛華]
あなたもあの時幸せだったの?

そんなこと聞けなかったけれど

あの時のあたしは確かに。



全力で幸せだったの。



『幸せってなに?』


いつか直純くんは言っていた。

⏰:11/02/06 13:35 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#318 [愛華]
きっと一生わからない。


わからないから生きるの。



その日が来る前に、


頑張って幸せになろうって


あなたが隣にいるから思えるの。


この日々をいつか思い出して

⏰:11/02/06 13:40 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#319 [愛華]
そして笑いあうために。





神様。

もしいるのなら。


もう一度信じてみていいですか?


奇跡は存在するのだと。

願いは叶うのだと。

⏰:11/02/06 13:43 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#320 [愛華]
明日は決して見えないけれど。

それでも道しるべはあるの。


向こうで待っていてくれる人が
いるから………

あたしは胸張って進めるの。



信じることは簡単じゃない。

それでも強さになるから。


あなたはあの日
そう言いたかったのでしょうか。

⏰:11/02/06 14:00 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#321 [愛華]
長くなったので一旦きります。
>>302-321

夜にまた更新します。
感想あれば、待っています!

⏰:11/02/06 14:03 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#322 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/02/06 20:08 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#323 [愛華]
俺のすぐ側で

「苦しい」と言って泣いてくれた


強がってばかりだった君が

久しぶりに見せてくれた弱さ。



どうしようもないくらい嬉しくて

どうしようもないくらい愛しい。

⏰:11/02/06 20:12 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#324 [愛華]
那佑の体は驚くほど細くて。

そして、冷たかった。




今までどんなことをこの体で
感じてきたんだろう。

きっと俺じゃ一生かかっても
理解できない、そんな思い。



それでも分け合うことはできる。

⏰:11/02/06 20:27 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#325 [愛華]
震える手を握りしめた。
俺の全部が伝わるように。



こんな理不尽な運命を呪った
日もあったけれど


それでも今、ここで。


「幸せだ」と泣いている。



ひとって幸せな時も
涙出るんだ。

⏰:11/02/06 20:57 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#326 [愛華]
なんてことを泣きながら
笑っている那佑を見て思った。



絶対に、離さない。

絶対にずっと側にいる。


そう自分に誓った。






那佑の容態が急変したのは
それから4日後のことだった。

⏰:11/02/06 21:04 📱:840SH 🆔:KxCQl9Ns


#327 [愛華]
'

















なん、だ、これ。

⏰:11/02/07 21:09 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#328 [愛華]
'









脳が、拒否する。

考えることを。

認めることを。



どうして、今なん、だよ。

⏰:11/02/07 21:14 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#329 [愛華]
那佑が病院に戻ってから
4日目の夜中。

午前2時半。



那佑の母さんから電話が入った。




何を言われたのかは覚えてない。

ただ、移動中に何回もタクシーの運転手にどなったのは
なんとなく覚えてる。

⏰:11/02/07 21:19 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#330 [愛華]
思い出していたのは今までの
那佑との思い出。



…………やめろよ。
浮かんでくるなよ……



こんなのまるで…………




那佑が死んじまうみたいじゃんか

⏰:11/02/07 21:21 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#331 [愛華]
震える手を必死で抑えながら、
エレベーターがあるのも忘れ
階段で病室まで走った。



何を考えていたか。
それも覚えてない。



ただ、那佑が助かりますように。

それだけを祈ってたと思う。



俺は今、裏庭にいる。
那佑との始まりの、あの木の下。

⏰:11/02/07 21:27 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#332 [愛華]
'















蒸し暑い、夜。

昼にはきれいな緑の葉も
夜には漆黒に塗り潰される。

⏰:11/02/07 21:30 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#333 [愛華]
「…………なにやってんだろ俺」





涙さえも出ない。




本当に一瞬の出来事だった。



頭に焼き付いて、消えない。

⏰:11/02/07 21:47 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#334 [愛華]
「……………タカ?」


消え入るような声。
心なしか震えてる。



「病室もどろう?とりあえずは
安定したっていうから……」

「………………」

「先生が………ご両親に話が
あるっていってたみたいでさ」

「………………」

⏰:11/02/07 21:56 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#335 [愛華]
暗くて見えないけれど、多分
泣きそうな顔してるんだろう。

いや、泣いてるかもしれない。




俺はゆっくりベンチに座った。


那佑とジュースで乾杯したっけ。




『赤と白が出会ったことに
かんぱーい!!』

⏰:11/02/07 21:59 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#336 [愛華]
「……那佑の、お母さんがね。
話ならタカにも一緒に聞いて
ほしいって言ってて…」



時刻は、午前4時。




「…………タカ」

「………………」




「なんか言ってよぉ………」

⏰:11/02/07 22:04 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#337 [愛華]
梓は、泣いていた。

静かに。


どうしてお前はそんなに
強いんだよ。



教えてくれよ。なぁ。




いつのまにか明るくなっていた。

⏰:11/02/07 22:07 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#338 [愛華]
「………那佑のとこ、行こ?」

「見れないよ」


たくさんの管に繋がれていた。
今にも消えそうな。
そんな呼吸をしていた那佑。


もう一度なんて見れない。



「話だって………聞けない」


余命?これからの治療法?

⏰:11/02/07 22:25 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#339 [愛華]
そんな話聞けない。


聞きたくない。




わかってた。
いつかこんな時が来るって。


でも、なんで今なんだよ?




俺は…………弱いから。

⏰:11/02/07 22:43 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#340 [愛華]
那佑の側にいたって。


どんなに祈ったって。




那佑を救う方法はわからない。



どうすればいいかわからない。



苦しみに、押し潰されそうだ。

⏰:11/02/07 22:55 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#341 [愛華]
「……………タカ………」


「梓。俺、どうすればいい?」



自分の弱さが嫌になる。


神様でも誰でもいい。

誰でもいいから。





那佑を連れていかないで。

⏰:11/02/07 23:02 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#342 [愛華]
「こんなとこでなにしてんの」

「…………え」



玄関から出てきたのは
那佑なんかなわけなくて。
ましてや神様なんかじゃなくて。




「直純……………」

「さっさと病室戻れよ。隆兄」

⏰:11/02/07 23:06 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#343 [愛華]
息をきらして、短パンにTシャツのままの直純。
よほど急いで来たんだろう。



「…………白石に会ったよ。
安定してるけど、いつまた急変
してもおかしくないんだって?


で、そんな時にあんたは
何やってんだよ?」


鋭くて、突き刺さるような言葉。

⏰:11/02/07 23:11 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#344 [愛華]
その通りだ。でも………



「………那佑の姿、見れない」

「見れなくても見ろよ。
最後かもしれねぇんだぞ」

「直純、あんたなに言って…」

「梓は黙ってろよ」


直純の言葉も。
するすると通り抜けてく。

心を強くえぐって。

⏰:11/02/07 23:15 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#345 [愛華]
「ぼろぼろな白石なんか
見たくないのかよ?」

「そんなんじゃねぇ」

「逃げてんだろ」

「てめぇ何言って………」


「現実見ねぇふりしてんなよ!」


見ない、フリ?


那佑を見ないふり………?

⏰:11/02/07 23:18 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#346 [愛華]
「どんなに隆兄が辛くてもな。
今、この瞬間に端っこで
苦しんでんのは誰だよ?

闘ってんのは誰だよ?」






闘ってるのは誰?

俺?だとしたら何と?



……………違う。

闘ってるのは…………

⏰:11/02/07 23:21 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#347 [愛華]
『生きたい』と言って泣いた。





今も苦しんでる那佑だ。





俺は拳をにぎりしめた。
涙がこぼれないように。


泣くな、泣くな。

⏰:11/02/07 23:23 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#348 [愛華]
「…………隆兄にしかできない
ことがあるだろ?」

「え…………」


直純はなんの迷いもないように
言い放った。





「白石に手術受けさせろ」



生きるか、死ぬか。
那佑が拒んだ手術。

⏰:11/02/07 23:26 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#349 [愛華]
「そんなの………」

「無理じゃないだろ?
もう死ぬか治るか、どっちか
しかないんだよ!

このまんま放置かよ?
そんなの白石がよくても
俺が許さねぇから」



那佑、わかってるお前?



お前の周りにはこんなにお前を
想ってくれてるやつがいるんだ。

⏰:11/02/07 23:32 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#350 [愛華]
「殴ってでも蹴り飛ばしてでも!白石に手術受けさせろよ!」





どうすればよかったかなんて
多分一生わからないけれど。


それでもこの過去を振り返って
後悔するのだけは嫌だ。


流した涙が無駄になるのは
もう嫌なんだ。

⏰:11/02/07 23:35 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#351 [愛華]
あふれる涙をぬぐった。



………大丈夫だ。


まだ、頑張れるだろ。



情けない顔してんな。




また君と笑いあうために。
一歩を踏み出す。

⏰:11/02/07 23:43 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#352 [愛華]
今日の更新分
感想待ってます。
>>327-352

⏰:11/02/07 23:45 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#353 [愛華]
-那佑side-

⏰:11/02/08 22:56 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#354 [愛華]
またあの夢なんだね。



隆則が泣いていて



あたしはどうすることもできず。



ただ、もがき苦しむ夢。


でも今度は夢じゃないの……?

⏰:11/02/08 22:59 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#355 [愛華]
'











目が覚めると、前にも見た天井。

薬のツンとする大嫌いな臭い。

⏰:11/02/08 23:01 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#356 [愛華]
しぶといね、あたしも…………



何回死にかけてんだか。




鼻に違和感があったので、
触ろうとしたけれど、
手に力が入らなかった。



………違う人の体みたい………

⏰:11/02/08 23:08 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#357 [愛華]
まぶたがすごく重くて。






あたし、生きてんのか。
まだ生きてんのか。



確実に命は擦り減ってるけど。
まだこらえつづけてるんだ。



手にぎゅっと力をいれた。

⏰:11/02/08 23:11 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#358 [愛華]
あたし、どうしたんだっけ……




あ、また発作おきたのか。
体の調子からいくと
けっこう危なかったっぽいな。




静まりかえった病室。

ここは天国なんかじゃないよね?

お願いだから、


誰か証明して……………。

⏰:11/02/08 23:14 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#359 [愛華]
今度は右手に力を入れた。






……………あれ?




ゴツゴツしてて大きくて。
それでもいつもあたたかい。


間違えるわけない。
あの手を。

⏰:11/02/08 23:18 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#360 [愛華]
私の右手を包んでるその手は。





「……………たか……の、り」






ツーッと一筋涙が流れた。


頬をつたい落ちたそれは
枕に小さなシミをつくった。

⏰:11/02/08 23:22 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#361 [愛華]
会いたかった。

会いたかったんだよ。


ずっとずっと会いたかった。




隆則はあたしの右手を握りしめ、その手に頬を寄せるようにして眠っていた。



寝息が伝わってくる。

⏰:11/02/08 23:24 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#362 [愛華]
「……………隆則?」

「………………」

「隆則…………」

「………………」


何回呼んでも起きない。


3回目に隆則を呼ぼうとした時。



「たか…………」

⏰:11/02/08 23:27 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#363 [愛華]
「……………ん……」

「わっ…………」



隆則は何も言わずに、
ムクッと起き上がった。



目は空いているけれど、
焦点があっていない。



ただ、その手は痛いほどに
あたしの右手を握りしめていた。

⏰:11/02/08 23:33 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#364 [愛華]
「隆則、手いたい………」

「え……………」




すごく久しぶりに言葉を
発した気がする。


そして………すごく久しぶりに
隆則を見たような気もする。



嬉しい。

⏰:11/02/08 23:41 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#365 [愛華]
「え、え……………那佑?」

「そ、そうだよ………」


隆則はパッと手を離すと
両手であたしの頬を包んだ。


さっきまで焦点があっていなかった瞳が真っ直ぐ私に向かう。



「那佑?那佑だよな?」

⏰:11/02/08 23:45 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#366 [愛華]
「だからそうだってば」

「そっか…………」

「うん。戻ってきたんだよ」


あたしが笑うと、隆則は
ホッとしたように手を離し、
今度はあたしの手を自分の頬に
持っていった。


隆則の頬はやっぱりあたたかくて
あたしは戻ってきたんだなって
実感させてくれた。

⏰:11/02/08 23:50 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#367 [愛華]
「…………よかった。
もう、戻ってこねぇかと思っ…」

「ばか。あたしはそんな簡単に
くたばりませんよーだ」


隆則は優しく笑いながら、
あたしの手のひらにキスをした。





神様、覚えていますか?

⏰:11/02/08 23:54 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#368 [愛華]
きっと毎日、何千何万という人があなたに願いを託すのだろう
けれど。


その中で私の願いは届いてる?



信じない、なんて言わない。
だって私はこうやってここに
戻ってこれたんだから。





だから贅沢をいうならば。
ずっとここにいたいです。

⏰:11/02/08 23:59 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#369 [愛華]
それからは忙しかった。


お母さんとお父さんが泣いて。

検査を受けて。


そして、次にまたいつ発作が
起こるかわからないことを
告げられた。



なんとなくわかってたから、
何も言わなかった。

⏰:11/02/09 00:05 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#370 [愛華]
何を感じることもなくて。



気がつくと、
目覚めてから5日たっていた。




『次』って……いつだろ?
そんなことばかり
考えていた気がする。



隆則は、そんなあたしを朝から晩まで一緒にいて支えてくれた。

⏰:11/02/09 00:11 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#371 [愛華]
なんでもないように過ぎる時間



これからもこんな風に
あたしの残り時間は減っていく。



ここに戻ってこれたことが
すごくすごく嬉しいのに


未来が見えない不安に
あたしは限界を感じていた。

光が遠すぎて………見えない。

⏰:11/02/09 00:17 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#372 [愛華]
隆則。
今考えてみてもさ。


あたしに希望を与えるのも
絶望を与えるのも


全部隆則だったんだよ。


それが、嬉しかったよ?




涼しくなりはじめた日
運命を決めたのもあなたでした。

⏰:11/02/09 00:20 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#373 [愛華]
今日の更新分です。
>>353-372

⏰:11/02/09 00:22 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#374 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/02/09 22:37 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#375 [愛華]
那佑がまた戻ってきた。


嬉しかった。
もう会えないかも、って
眠る度に考えたから。


これはきっと、神様がくれた
最後のチャンス。



これが最後だから
俺のできることをしなさいって。

そう言ってる気がした。

⏰:11/02/09 22:40 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#376 [愛華]
那佑。


お前が何考えてるのか
俺は知らないけど。


俺は俺ができる精一杯のこと。
それをやる。



俺のすべてを懸けて。


泣いてもいいから。
どうか最後まで聞いて。

⏰:11/02/09 22:43 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#377 [愛華]
-那佑side-

⏰:11/02/09 22:43 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#378 [愛華]
夏が終わりを告げていた。




目覚めてから1週間たちました。



自分が自分じゃなくなっていく
感覚。


何かを考えるのも
めんどくさくなっていた。

⏰:11/02/09 22:46 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#379 [愛華]
このままでいい。



隆則が側にいて。

あたしの最期を見てくれるなら
それでいいよ。


それがあたしが望んでいた
最期なんだから。


未来を見透かすのはやめよう。


涙を流すことにも飽きたね。

⏰:11/02/09 22:49 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#380 [愛華]
あたしはゆっくりと起き上がり
深呼吸した。




……………お風呂入りたい。


自分にもまだ人間らしい感情が
残っていたことを知り、
なんとなく嬉しい。



テーブルに置いてあるケータイがぴかぴか点滅していた。

⏰:11/02/09 22:52 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#381 [愛華]
-新着メール3件-




『今日はテストがあったよ。
やばい。英語はできたよー。
なんか食べたいものある?
明日3時ごろに行くね』


梓からだ。
ケータイには梓がお守りだと
言ってあたしにくれた
小さなストラップが揺れてる。


『那佑が元気になりますよーに』

⏰:11/02/09 22:56 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#382 [愛華]
そう書かれた紙が、お守りの中に入っていた。

すごく嬉しかった。



もう1件は直純くんから。


『学校疲れた(´ε`)
これありえなくね?明日、梓と
一緒に持っていくから』

下には真っ赤な色のカップが
写った写メ。

⏰:11/02/09 23:03 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#383 [愛華]
『キムチプリン』と書かれていて唐辛子の絵が書いてある。


……直純くんらしいな。

すごく自然に笑顔がにじみ出た。



最後の1件。





『4時ごろ行く。寝るなよ?』

⏰:11/02/09 23:09 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#384 [愛華]
たったそれだけの文章。


もう慣れたことなのに、
いつだって嬉しくなるの。



「あ、もう4時になる……」


もっと早くにメールに気づけば
よかった。


あたしはくしで長い髪をとかし
鏡で身嗜みを確認する。

⏰:11/02/09 23:13 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#385 [愛華]
好きなひとの前ではやっぱり
かわいくいたいけれど。

今のあたしでは難しいね。
大分痩せたしなぁ………。


隆則はそんなこと気にしない
んだろう。でもやっぱり
女の子だから。



もうすぐいなくなるとしても
最後まで女の子だから。


隆則だけの女の子でいたいから。

⏰:11/02/09 23:18 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#386 [愛華]
あたしはベッドで隆則が来るのをいつものように待っていた。




運命とはタイミング。
カチツと音をたてて。
一瞬で変わってゆく。

いいほうにも悪いほうにも
それは神様の気まぐれで。



きっとあの日の運命もあなたの
気まぐれで決まったのかな。

⏰:11/02/09 23:23 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#387 [愛華]
今日の更新分
>>374-387
感想待っています。


多分、今週末までに本編は
終わると思います。
超長編になってしまいましたが
応援してくださってる皆様、
改めて本当に感謝感謝です…


最後までよろしくお願いします!

⏰:11/02/09 23:30 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#388 [愛華]
'






「うーっす。あ、起きてた!」

「隆則が寝るなって言ったん
じゃんかよーばか」

「ははは」


バイトから真っ直ぐきた感じで
額には汗がにじみでていた。

⏰:11/02/11 10:02 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#389 [愛華]
変なの。

いつもどおりに隆則が来ただけ
なのに……………

なんだか懐かしい気がするのは
どうしてだろう?



「バイトから真っ直ぐ来たの?」

「そ。疲れたよー」


いつもと同じ、はずなのに……

⏰:11/02/11 10:05 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#390 [愛華]
今日の空気はなにか違った。


なんだろ?
なんか嫌な予感がするよ………



微妙な空気の違いをあたしが
感じとったことに気づいたのか
隆則はいつもよりも多く、
あたしに笑いかけていた。



安心させようとしてくれてた
んだよね。きっと。

⏰:11/02/11 10:09 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#391 [愛華]
世間話もほどほどに、
隆則が急にあたしに言った。



「具合どうだ?」




これも、いつもと同じセリフ。
なのに今日はいつもと重みが
全然違う気がした。



茶化しちゃいけない気がした。

⏰:11/02/11 10:12 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#392 [愛華]
ベッドがぎしぎしときしむ。
その音が妙に耳に響く。




「絶好調ですよーだ」

「ほんとに?」




あ、今…………。



空気が冷える感覚。

⏰:11/02/11 10:16 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#393 [愛華]
なに?なに?



こわい。こわいよ。



隆則は真っ直ぐにあたしを
見つめる。


強い決意のようなものが見える。



「今日は重大な話がありますっ」

⏰:11/02/11 10:20 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#394 [愛華]
「重大な………はなし?」

あたしが聞き直すと、隆則は
またにっこり笑ってVサインを
出した。


「ふたつ。話があるから。
聞いてくれるか?」



聞きたくない。


でもそれは声にならなくて。
頭の中は嫌なことしか思い
浮かばなくて。

⏰:11/02/11 10:26 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#395 [愛華]
「……………」

「那佑。俺を見て」


あたしも隆則がしてくれたように真っ直ぐと隆則を見つめる。




「…………いいよ」


「うん。ありがとな」


わしわしとあたしの頭をなでる。

⏰:11/02/11 10:29 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#396 [愛華]
この手さえあれば。
なんでものりこえてゆける。

そんな気がするよ。








「じゃーひとつめの話」

「うん」

隆則は座っていた椅子から、
あたしのいるベッドに移った。

⏰:11/02/11 10:33 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#397 [愛華]
空けていた窓から、夕方特有の
涼しくて少ししょっぱい風が
はいってくる。





優しくて、切なくて、でも
あたたかくて、さみしい。







「那佑、手術受けよう」

⏰:11/02/11 10:37 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#398 [愛華]
'






手術?





頭が真っ白になった。

どうして、そんなこと………

⏰:11/02/11 10:39 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#399 [愛華]
何度も堅く拒んだ。

絶対に嫌だったの。


手術室の中でひとりで死を
迎えるなんて絶対に。



隆則はそれを知ってるのに


今さらどうして……………?


どうしてそんなこと言うの?

⏰:11/02/11 10:42 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#400 [愛華]
「……なに言ってんの?
するわけないじゃん手術なんか」

「今のまんまじゃダメだ」

「今のままでいいよ」


声が震える。


隆則はわかってくれてると
思ってた。

話ってそれなの……?

手術を受けろって話?

⏰:11/02/11 14:16 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#401 [愛華]
「俺は、いやだよ」



隆則はゆっくり、あたしを
なだめるような口調で言った。



「隆則………あたしだって
自分がいなくなるのやだよ」


目を合わせられない。
悪いことをしてるような気分
になってしまう。

⏰:11/02/11 14:21 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#402 [愛華]
「那佑。ダメだよ」

「やだ。やだよ………」


涙があふれそうだ。


だって嫌なんだよ。
こわいんだよ。


自分から死へ向かう。

そんな気がしてこわいの。

⏰:11/02/11 14:50 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#403 [愛華]
「俺の目見て………」

「やだ!手術は受けない!!
そんな話なら帰ってよ!
聞きたくない!」


隆則は泣き叫ぶあたしの手を
思い切りひっぱると、
自分のほうに抱き寄せた。


小さいあたしの体は全部
隆則の中におさまる。



このあたたかさが今は残酷だよ。

⏰:11/02/11 14:56 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#404 [愛華]
「はなしてよ!!」

「那佑、泣いてもいいから聞け」



隆則の声、震えてる。


隆則も、泣いてるの?


何回あたしのせいで泣いたの?


一緒に泣いてくれたこともあった

⏰:11/02/11 14:59 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#405 [愛華]
今もあたしのせいで………




「……俺の両親が死ぬときさ。


「…………ん」



「直純は俺に『助けて』って
言ったんだ。でも俺は医者
なんかじゃない。無力だった。


どうすることもできなかった」

⏰:11/02/11 15:03 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#406 [愛華]
「自分の無力さを呪った。
直純が苦しんでた時も、俺は
何もできなかったし、

あげくの果てに逃げた。」



隆則は自分の過去を悔いてる。
他人からみればどうしようも
ないことだったとしても、


隆則にはそうじゃないんだ。
今も責め続けてるんだ。

⏰:11/02/11 15:09 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#407 [愛華]
「もうやだ。だいじなやつが
どっかいくのも。
なんもできないのもやだ」



まるで小さい子供がおねだり
するみたいに。

強くあたしを抱きしめる。




苦しくて、怖くて。


あたしは、どうすればいい?

⏰:11/02/11 15:12 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#408 [愛華]
「こわ、い…………
会えないのこわい………」

「わかってる。でも大丈夫。
成功したって失敗したって
ずっと一緒にいてやるから」

「それって………」

「俺が一緒に死んでやる」

「馬鹿すぎ…………」


進むべき道はあるのに。
踏み出せない。

ゴールがあるのかないのかさえ
わからない道を進むのがこわい。

⏰:11/02/11 15:17 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#409 [愛華]
「那佑、夢教えて」



あたしを抱きしめて、肩に顔を
埋めたまま隆則が言う。




あたしの、夢………?



「………バケツプリン食べる」

「まだ食べてなかったのか」

⏰:11/02/11 15:21 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#410 [愛華]
「うん」

「あとは?」



前までは何も望まないはずだった
でも今は………




「学校卒業してね」

「うん」

「振袖とか着てね」

「うん」

⏰:11/02/11 18:44 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#411 [愛華]
「夏は祭に行って花火見たい」

「ん………」

「一緒にプールも行きたいし
お花見もしてみたいよ。
初詣も行きたい………」





行きたいところ、したいこと
まだまだたくさんあるの。


その全部を

隆則と、過ごしたいんだ……

⏰:11/02/11 18:48 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#412 [愛華]
ああ、あたしはまだ。


満足なんかしてないよ。


まだまだ足りないよ。






「……おっきな家におっきな犬。カッコイイ犬がいい」

「……………」

⏰:11/02/11 18:50 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#413 [愛華]
「………子供は、3人。
男の子ふたりと女の子。」

「……………ん……」










「………隆則の、お嫁さんに
なりたいよ…………」


あたしは、欲張りですか?

⏰:11/02/11 18:53 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#414 [愛華]
生きたいのに、手術はこわい。


やるせない思いは涙となって
あたしの中から溢れてゆく。





「…………那佑。」

「ん……」


隆則はあたしを離すと、
真っ正面に向き直った。

⏰:11/02/11 18:55 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#415 [愛華]
いったんきります。

>>388-414

⏰:11/02/11 18:57 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#416 []
うわあ
めちゃ良いところで切りますね…
続き気になる
主さん応援してます

⏰:11/02/11 23:07 📱:F09A3 🆔:C76X2MNo


#417 [愛華]
>>416

ありがとうございます!
がんばりますね!

⏰:11/02/11 23:30 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#418 [我輩は匿名である]
>>414




隆則はあたしの涙を指ですくうと
あたしを強い瞳で見つめる。



「もうひとつのほうの話ね?」

「なに…………?」



あたしの頬から手を離すと
ポケットからなにかを取り出す。

⏰:11/02/12 13:40 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#419 [我輩は匿名である]
隆則の手の中のそれは。
ちいさなちいさなしるし。












「手術が終わったら。


俺と結婚してください。」

⏰:11/02/12 14:06 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#420 [我輩は匿名である]
なんの迷いもない。


そこに存るのは


いつだってたったひとつだけの


大切な大切な気持ちでした。






神様、見ていますか?

⏰:11/02/12 14:30 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#421 [我輩は匿名である]
この人があたしの大切なひと。

命を懸けたっていい。


そう思えるくらい大切なひと。



きっと世界中であなただけ。






だから世界一のひとなんです。

⏰:11/02/12 14:36 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#422 [我輩は匿名である]
「…………っえっ…ひっ…」



「え、なんで泣くの………」




嬉しいんだよ、ばか。


隆則の肩に顔を埋める。



ぐちゃぐちゃな顔見られたくない

⏰:11/02/12 14:42 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#423 [我輩は匿名である]
涙が止まらなかった。





「………子供3人だっけ?」

「ん………」

「花見に祭に初詣……」

「ん………」



「全部終わったら行こう」

⏰:11/02/12 14:50 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#424 [我輩は匿名である]
隆則の涙はあたたかくて。






「約束な」

「うん」



全部終わったら
したいこと全部しよう。



それまで待っててね。

⏰:11/02/12 14:54 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#425 [我輩は匿名である]
左の薬指に指輪がはめられる。






「待ってるから。戻ってきて?」

「うん。約束する」



優しく唇が重なる。


これはお別れじゃないよ。

⏰:11/02/12 15:03 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#426 [我輩は匿名である]
いってきます、のキスだよ。





こんなこと言ったら怒るかな?



きっとあなたは怒るね。

でも言わせて。



あたしはあなたと出会えて
すごくすごく幸せでした。

⏰:11/02/12 15:06 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#427 [我輩は匿名である]
もし約束が守れなくても、


それだけは変わらない。



あなたもそうであってほしい。




想いは共に、胸の……中に。


あなたの明日が
私の明日と重なりますように。

⏰:11/02/12 15:09 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#428 [我輩は匿名である]
-隆則side-

⏰:11/02/12 21:10 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#429 [愛華]
その日は、


雲ひとつない晴天だった。



涼しくて、日差しが心地好い。
ムカつくぐらいにいい天気。

おまけに小鳥まで鳴いてた。



昨日はよく眠れた?那佑。

⏰:11/02/12 21:14 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#430 [愛華]
「んーいい天気だねぇ」

「緊張感なさすぎ、白石…」

「那佑らしくていーじゃん」


手術の直前だというのに、
楽しそうに談笑…………


俺はひとり入れないでいた。


「隆則、どしたの?暗っ」

「へ?いや寝不足でさぁ」

⏰:11/02/12 21:19 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#431 [愛華]
「あはは、ばっかだー」

「うるせ」


それを複雑そうな笑顔で見守る
那佑のご両親。

不安が伝わって来るようで
こっちまで緊張してくる。


那佑も口に出さないだけで
本当はそうなんだろうか。

不安じゃないわけないよな。

⏰:11/02/12 21:25 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#432 [愛華]
「………白石さん、そろそろ…」

「あ、はい」

「横になられていきますか?」

「………いえ、歩いていきます」


心臓がドクンと脈打った。

なんだよ、これ。

今さらこんな、………

那佑の瞳に迷いはないのに。

⏰:11/02/12 21:32 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#433 [愛華]
那佑はゆっくりベッドから、
点滴に気を遣いながら立ち上がる

その仕草がまた俺の不安を煽る。


「………よいしょっと」

「手、貸そうか?」

「んーん。一人で歩きたいの」


那佑は梓の言葉を断ると、
一人で歩きだした。

⏰:11/02/12 21:38 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#434 [愛華]
その歩く後ろ姿は凛としていて
本当に綺麗だった。



お前はいつからこんなに強く
なったんだろうか?


お前のために何度も泣いた俺は
強くなれたんだろうか?

今になってこんなことを思うのはやっぱり弱いのかもしれない。

それでもいい。

⏰:11/02/12 21:43 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#435 [愛華]
手術室の前まで来ると、那佑は
看護士の手を借りて横になった。



「………んじゃ、行くかぁ」

「那佑、待ってるからね」

「ありがとお母さん。お父さん」

「………頑張ってね」

「うん。頑張るよ、梓」

⏰:11/02/12 21:48 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#436 [愛華]
「が、んばっ……て」

「…言うならちゃんと言ってよ、直純くん………」



みんなに一言ずつ言い終えると、
那佑は俺のほうに向き直った。



………やばい、泣きそう。
でも那佑ですら泣いてないのに
泣くわけにはいかない。
かっこわるすぎる。

⏰:11/02/12 21:52 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#437 [愛華]
「………そんな顔すんな!!」

「わかってるよ」


強がってみたけど、上手く
言葉が出ないのがもどかしい。


いや、もう言葉はいらないんだ。



「待っててね、隆則」

「うん。待ってる。ずっと」

⏰:11/02/12 21:57 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#438 [愛華]
ずっと、待ってる。


ここで。




「隆則、手貸してくれる?」

「え?」

「これ、預かってて」


そう言って手渡されたのは
あの日渡した、指輪。

⏰:11/02/12 21:59 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#439 [愛華]
「戻ってきたらまたはめて
くれる?…………教会で!」

「…………わかった……」

「あ、最後にもうひとつ!」


那佑は思い出したように俺の
耳をぐいっと引っ張り、自分の
顔に近づけた。




「もしあたしがいなくなっても。隆則はこっち来ちゃダメだよ」

⏰:11/02/12 22:05 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#440 [愛華]
「……え…」

「生きるの。大事な人見つけてねんで幸せにしてあげんの!」


驚くほど小さくて、早口な。
きっと悩みに悩んで出した
那佑の言葉。


なんでこんなときまで、
後の俺の心配してんだよ?


馬鹿かよお前…………。

⏰:11/02/12 22:10 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#441 [愛華]
「………わかったよ……」

「返事が小さいですよ」

「わかったよ!!」

「ん、よろしい」


那佑は満足したように笑った。
その笑顔は少し淋しそうで。


後ろでは梓の嗚咽が聞こえる。



「………白石さん行きますね」

⏰:11/02/12 22:13 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#442 [愛華]
「はい」



白石の手が離れる。



扉が空いて、那佑が遠くなる。


その時間は一瞬にも感じられたし
まるで永遠のようにも感じた。


ただ、那佑が遠くて。

⏰:11/02/12 22:18 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#443 [愛華]
'







「…………いってきます!!」

そう言って那佑は満面の笑顔で
Vサインを突き出した。





その時の那佑の笑顔を
俺は一生忘れない。

⏰:11/02/12 22:20 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#444 [愛華]
今日の更新分
>>418-444

とうとう明日で最後です。
大量更新になることが予想
されますが、最後までよろしく
お願いします!

感想よければ待っています。

⏰:11/02/12 22:29 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#445 [愛華]
人生なにがあるかわからない。

それでも生きてる。

多分明日も生きてる。


生きてる意味とか、そんな
小難しいものを探してるうちに
すぐに明日はやってくる。



だから俺は生きるよ。


何よりも大事なひとのために。

⏰:11/02/13 10:57 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#446 [愛華]
'










「…………おそっ……」


約束の時間から20分。
あたしのイライラは最高潮。

⏰:11/02/13 11:00 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#447 [愛華]
携帯を取り出すと、打ち慣れた
番号に電話をかける。
イライラしすぎて、何度も
打ち間違えた。



「…………もしもし…」

「もしもしじゃないですよ…
誨さん今どこですか!?」

「渋滞に引っ掛かっちゃって…」


よりによってこんな日に……
なにやってんだろあの人。

⏰:11/02/13 11:04 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#448 [愛華]
「あたし、那佑のお母さんに
手伝い頼まれてるから先に行ってますけどいいですか?」

「梓、そりゃないでしょう…
俺、道知らないんだもん…」

「なんとかしなさい」



ブチッ


あたしは一方的に電話をきると
急いでバスに乗り込んだ。

⏰:11/02/13 11:10 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#449 [愛華]
誨さんはいつのまにかあたしを
呼び捨てにするようになった。


嬉しいようなムカつくような…
てか、告白の返事結局もらって
ないしね。ふざけんなっつの。





あれから、2年たったね。
今日もあの日みたいな晴天。


あたしはバスの窓から空を
眺めていた。ずっと。

⏰:11/02/13 11:17 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#450 [愛華]
「あ、梓ちゃん!」

入口のところで、那佑のお母さんが手をふってるのが見えた。


「こんにちは。遅れてしまって…すいませんでした」

「いいのよ、そんなの。
2階にいるから…いってあげて」

「…………はい」


あたしは強く頷くと、ホールにあるでっかい階段に向かう。

⏰:11/02/13 11:22 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#451 [愛華]
階段を上がる間、あたしは
今まで感じたことのない寂しさをすぐ側で感じていた。



大切なひとの大切なひと。
いつからかあたしにとっても
大切なひとになった。


あんたはあたしを優しいと
言ったけれど、それは違うよ。


那佑が、優しすぎるから。
ひねくれてる自分が馬鹿みたいに思えたんだよ。

⏰:11/02/13 11:28 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#452 [愛華]
あたしは今すごく幸せです。








那佑も今幸せですか?






ガチャ…………
あたしはゆっくりドアを開けた。

⏰:11/02/13 11:29 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#453 [愛華]
目に1番に飛び込んできたのは
純白のドレス。

それに身を包んでいるのは……




「………梓!!びっくりした!」


「那佑………めちゃくちゃ綺麗」

「ありがとーへへ」

⏰:11/02/13 11:33 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#454 [愛華]
あたしはわけもわからず、
泣きたい気分になった。

そんなあたしを見て、那佑は
にっこり微笑む。



「………おめでとう!!」

「へへ………照れますねー」



那佑も泣きそうな顔してるけど
メイクが崩れるので、必死で
我慢してるみたいだ。

⏰:11/02/13 11:36 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#455 [愛華]
那佑の細い肩がチョコンと
出された、キラキラと宝石が
ちりばめられたドレス。


それを着ている那佑は本当に
幸せそうだった。


今まで頑張ったねって
抱きしめてあげたかった。



でもそれはあたしの役じゃない。
たまらなく悔しかったり。

⏰:11/02/13 11:40 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#456 [愛華]
「………タカは?もう見た?」

「さっきお披露目したの!!
そしたら直純くんと一緒に
顔真っ赤にして
どっかにいっちゃった。
あたしに見とれたんじゃないの?なんてねー」


…あながち、それは嘘じゃない
ような気がするな………

タカ、直純。
気持ちはわかるよ。

この那佑を見たら大抵の男は
真っ赤になっちゃいますって。

⏰:11/02/13 11:46 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#457 [愛華]
「………タカも大変かなー
結婚してから……」

「え?なにが?」

「綺麗な奥さん持っちゃうと
気が気じゃないんじゃない?」

「まさか。むしろあたしが不安」

「はい?」

「隆則、フラフラ浮気しそう…」


タカに断じてそれはない!
そう言おうとするとドアが開いた

⏰:11/02/13 11:50 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#458 [愛華]
ガチャッ



「てめーマジふざけんなよ!」

「いててて!冗談だろー!!」

「お前の場合、冗談に
聞こえないんだよボケ!!」

「新郎がそんなんでいいのか!」

取っ組み合いをしながら転がるようになって入ってきたのは
タカと直純だった。

⏰:11/02/13 11:54 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#459 [愛華]
「ちょっとなにやってんのタカ」

「梓!来てくれてありがとうな」

「な・に・を・やってんの!?
直純、あんたも!!」


直純は大袈裟に痛がりながら、タカから離れると首を鳴らす。


「………俺が今からでも白石
ねらっちゃおっかなー愛人枠で。…………って言ったらコレ」

⏰:11/02/13 11:59 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#460 [愛華]
「もう白石じゃねーし。愛人枠ってなんだよ!!」

「隆兄が与えられない温もりを
俺が補ってあげるの!」

「ふっっざけるなー!!」

タカが叫んだと同時にまた
取っ組み合いが始まった。



あー…。こんな日に……。
でもこれは直純なりの優しさ。
緊張してガチガチになってる兄をなんとかしようとしてる。

⏰:11/02/13 12:04 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#461 [愛華]
…………多分。
ちょっとぐらい本気が入って…………………ないよね、うん。




一時期は周りを巻き込みながら
憎んで、憎まれて………
2人の間に壊せない壁があって。もう昔みたいには戻れない。
そう思い悩んだ夜もあった。



でも今は違うね。
二人の未来にはお互いの姿がある

⏰:11/02/13 12:14 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#462 [愛華]
もう、離れたりしない。




那佑、あんたの周りには
いいひとがいっぱいだね。


幸せだね。





あたしは、幸せだよ。
那佑が幸せなら幸せなの。

⏰:11/02/13 12:17 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#463 [愛華]
自分以外の誰かの幸せを
こんなに嬉しく思うのは

那佑に出会ってからだね。


自分にとって大事な人ができて
その人の幸せを願って


あたし、優しくなれた。





でも、願わくば……………

⏰:11/02/13 12:19 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#464 [愛華]
「おぃーっす!!」

「おー!!誨!!」

「誨さん、ちわーっす」


誨さんは急いできたらしく、
汗でびしょびしょだ。



「……あれ、直純。お前誨と
面識あったっけ?」

「面識もなにもメル友だよ」

「はぁぁ!?」

⏰:11/02/13 12:22 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#465 [愛華]
「へへー仲良しだよな、俺ら!」

「な、なんで?いつの間に?」

「「ないしょー」」


タカが頭をひねらせていると、
誨さんはあたしと那佑のもとに
やってきた。



「那佑ちゃん綺麗だねー!!
本当におめでとう!!」

「ありがとうございます!!
次は誨さんですよ。」

⏰:11/02/13 12:25 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#466 [愛華]
「ん?うん」


………?なんの話?


那佑は意味ありげに微笑むと、
まだ首を傾げてるタカのもとに
歩いていった。



「……ずいぶん遅かったですね」

「うん。渋滞だけじゃなくて
誰かさんに置いてかれたせいで
道もわかんなくってさぁ」

⏰:11/02/13 12:27 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#467 [愛華]
嫌味言うのほんっっとに
得意だよね、このひと。



「…………嬉しい?」

「なにがですか?」

「隆則と那佑ちゃんの結婚」

「当たり前じゃないですか」

このひと、まだあたしがタカの
こと好きだとでも思ってるの?

あたしはあんたが好きだって
言っただろーが!!

⏰:11/02/13 12:30 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#468 [愛華]
………三年くらい前だけど。




「…………じゃ、するか」

急に誨さんがポツリと言った。


「なにを?」

「結婚式」

「誰と誰の」

「俺と梓の」

⏰:11/02/13 12:32 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#469 [愛華]
………………………。



「なんですかその冗談」

「え、真面目だけど……」


なに言ってんの、このひと。



「いろいろ順番吹っ飛ばし
すぎじゃないですかね?」

「え、そう?………そっか」

⏰:11/02/13 12:34 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#470 [愛華]
前からだけど、このひとの考え
ってほんとにわからない。

冗談でもそんなこと言わないで。
あたしは傷ついちゃうから。




「……誨さんはどーせ……」

「ん?」

「どーせあたしなんか見てない。
親友の幼なじみとしてからかって遊んでただけでしょ?
わかってるけどさぁ………」

⏰:11/02/13 12:38 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#471 [愛華]
わかってるけど。
こんな男を好きになった自分に
腹がたつ。腹がたつ!!


「……結婚とかは彼女に
言わなきゃダメですよ」


ほら。あたしは強いから。
強がることなんて簡単なの。


「え、なに言ってんの?」



誨さんはわけがわからないと
言ったように首を傾げる。

⏰:11/02/13 12:41 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#472 [愛華]
「俺の彼女って梓でしょ?」





………………は?




「………なに、それ……」

「え、わかってなかっ…た?」

誨さんは驚いた顔で停止。

え、え…………なにそれ?

⏰:11/02/13 12:44 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#473 [愛華]
「あたし、彼女……?誨さんの」

「そう。だから梓って呼ぶようにしてたんだけど………」

「だ、だって!!なんも
言ってくれなかったし……」

「言わなくてもわかるだろ!」

「言ってくれなきゃわからん!」


あたしは……ずっと悩んで
たのに!!三年ずっと!!

⏰:11/02/13 12:47 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#474 [愛華]
「言わなきゃわからん!」

あたしはもう一度繰り返す。


誨さんは顔を真っ赤にして、
あたしの目を見つめた。


「見えてんのは梓だけ。
だから結婚を前提に…………
つつつつつきあってください」





…………つ、多過ぎ………。

⏰:11/02/13 12:49 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#475 [愛華]
しかも超早口。







「………俺ださくない?
ずっと俺だけがつきあってる
気でいたんだよ………」

「あたしだってダサいです。
ずっと片思いだと思ってました」


二人で笑いあった。

⏰:11/02/13 12:52 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#476 [愛華]
どちらからともなく、手を繋ぐ。



「…………縁起いいね」

「なにがですか?」

「親友の結婚式に告白成功!」

「馬鹿ですね……いつもながら」

「クールですね…いつもながら」


大好きなひとの手は
こんなにも暖かい。

⏰:11/02/13 12:55 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#477 [愛華]
願わくば………あたしの願いも
どうか叶えてください。



そう願う夜ももう終わり。



次の願いは。
誰かのためじゃなくて
自分のためじゃなくて


二人で願えたらいいね。


あたしはそんな未来はそう
遠くない気がして
幸せな未来を、垣間見ていた。

⏰:11/02/13 13:01 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#478 [愛華]
長くなったので
いったんきります
大量更新すいません……

>>445-477

⏰:11/02/13 13:03 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#479 []
まだ終わってほしくない
ずっと読みたいよ

⏰:11/02/13 15:34 📱:F09A3 🆔:Ui/LtYtU


#480 [愛華]
>>479

そんな風に言ってくださって
嬉しいです。
ありがとうございます!

⏰:11/02/13 15:49 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#481 [愛華]
>>477






あの日の願いを
あなたとの約束を



私は今日果たそうとしています。



たくさんの人にかこまれて。

⏰:11/02/13 15:51 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#482 [愛華]
隆則。



苦しいとき、悲しいとき
嬉しいとき、楽しいとき
寂しいとき、切ないとき


一緒にいてくれてありがとう。


そして、これからも。


隆則が泣きたいときは
あたしが側にいるからね。

隆則が、そうしてくれたように。

⏰:11/02/13 15:59 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#483 [愛華]
初めての出会いは春でした。


桜の木の下で一緒に泣いて
くれたね。嬉しかったよ。



純さん?天国から見てる?

私、今日お嫁さんになるよ。


夢に出てきて、励ましてくれた
こともあったよね。

ありがとう。

⏰:11/02/13 16:03 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#484 [愛華]
クリスマスには約束をした。
指輪で誓いをたてた。


信じることが怖かったあたしは
『約束』でしか安心できなくて。
すごくすごくうれしかった。



そして春が来る前に
初めての別れを知った。


大切なものを失う痛みには
慣れているはずだったのに

やっぱり痛かったよ。

⏰:11/02/13 16:07 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#485 [愛華]
苦しくて、苦しくて。



それでもどうしようもないくらい好きで。大好きで。


隆則じゃなきゃダメだった。



追いかけてきてくれて
ありがとう。

あの時の隆則の気持ち、
今ならよくわかるから。

⏰:11/02/13 16:15 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#486 [愛華]
だから別れを告げた隆則を
責めたりなんかしないよ。


隆則は直純くんもあたしも
守りたかったんだよね。


優しい隆則が、あたしは好きだよ


ありがとう。
あたしの元に戻ってきてくれて。

⏰:11/02/13 16:20 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#487 [愛華]
初めて隆則とつながったのは夏。

幸せすぎて涙が出たよ。


あなたと1つになれたことが
女の子として。

1番嬉しかったの。




私の季節の全てには
いつも当たり前のように
隆則がいた。

⏰:11/02/13 16:27 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#488 [愛華]
手術の直前。


大切な人を見つけて、なんて
かっこつけたけど


本当はすごく嫌だったよ。
ないしょだけどね。


でも今は。

隆則を幸せにできるのは
あたしだけなんだって


胸張って、言えます。

⏰:11/02/13 16:30 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#489 [愛華]
きっと私を幸せにできるのも


世界中で隆則だけだから。




だからずっと側にいてね。

約束だよ。



それが、わたしの全てです。

⏰:11/02/13 16:33 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#490 [愛華]
「…………なに考えてんの?」

「ん?ちょっとね」

「なにそれ、教えろよ」

「………今までのこといろいろ
思い出してたの。
長かったなぁって」


あたしがそう言うと、隆則は
嬉しそうに微笑んで、背筋に
力をいれた。


「……これからも長いぞ?」

⏰:11/02/13 16:36 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#491 [愛華]
「そうだね。嬉しいね」

「うん」

「てか隆則さ、指輪交換の時
手震えてたでしょ?」

「げ、ばれてたの…?」

「うん。笑いそうになった」

「緊張してたんだよ!那佑だってヴァージンロード歩いてる時
泣きそうになってたじゃん」

「見てんじゃないわよ!!」

「えぇ!そんな無茶苦茶…」

⏰:11/02/13 16:41 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#492 [愛華]
「……そろそろ参りましょうか」

牧師さんが申し訳なさそうに
微笑みながら言う。
おかしくてたまらない
といった顔をしている。


「みなさんお待ちですよ」


「………はい」


あたしは隆則の手に組まれている手に少しだけ力をいれる。

⏰:11/02/13 16:47 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#493 [愛華]
「………んじゃ」

「行きますか」



ギィ……………




扉が開くのと同時にたくさんの
花が降ってきた。
待ちわびたと言うような歓声。
鳴り響く鐘の音。


たくさんの、笑顔。

⏰:11/02/13 16:51 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#494 [愛華]
「那佑おめでとーっ!!」



………梓、泣きすぎじゃん。
いつもあたしの幸せを1番に
祈ってくれてた。

今度は梓も幸せになってね。


何も言わないで、ただ力一杯
拍手をおくってくれてる
直純くん。

いっぱい傷つけてごめんね。
何度もあなたの優しさに
助けられたよ。

⏰:11/02/13 16:54 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#495 [愛華]
あなたは、大切なひとです。
これからも。




笑顔でちょっと遠慮気味に
寄り添いながら見つめる
お父さんとお母さん。


いつもあたしの意思を尊重
してくれてありがとう。
傷つけあった日々もあったけど

あたしは二人から産まれてこれて

すごくすごく、幸せです。

⏰:11/02/13 16:57 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#496 [愛華]
「…………隆則、すごいね」

「ん?」


「あたしは、幸せものだ……」



大好きな人たちがいて
支えられて。


今のあたしがいるんだ。


そして隣にはあなたがいて。

⏰:11/02/13 16:59 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#497 [愛華]
「そうだな。俺も。」




空が綺麗だった。
空気がスンとしてて
息をすいこむと
体の奥がひんやりとした。




「……これから頑張ろうね」

「うん。二人で頑張ろうな」

⏰:11/02/13 17:06 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#498 [愛華]
「二人じゃないよ?」

「え?あ、そうだな。
梓や直純もみんな一緒に……」

「いや、そうじゃなくて」

「はい?」



そして、あたしたちの間には。



「3ヶ月。だそうです」

⏰:11/02/13 17:08 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#499 [愛華]
「あ、そうですか……………




…………………ってえぇ!?」



これ以上ないってくらいの
リアクション。


「いつ!?いつわかったの!?」

「2週間くらい前かな」

「言えよその時に!」

⏰:11/02/13 17:11 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#500 [愛華]
「だってどーせなら特別な日に
言いたいなって思ったんだもん」

「マジかよ〜……」

「あれ、嬉しくない?」

「嬉しいにきまってんじゃん!」


隆則は満面の笑顔であたしを
思い切り、でも優しく
抱きしめた。

⏰:11/02/13 17:14 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#501 [愛華]
「だからね、二人じゃないよ。
三人で頑張るんだよ!」

「そうだな。頑張んなきゃな」




「おーい、二人とも!!
こっちおいでよー!!」


遠くからシャンパンを飲み過ぎて少し酔っ払い気味の梓が叫ぶ。

………梓お酒弱いくせにー…

⏰:11/02/13 17:19 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#502 [愛華]
「今いくよー!」

あたしがそう言って階段を
降りようとすると、目の前に
手が差し出された。



「………妊婦さんなんだから」

「えーまだ大丈夫だよ」

「いいから!」

「はいはい」

あたしはその手をとって
階段を一緒に降りていく。

⏰:11/02/13 17:24 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#503 [愛華]
'









「……………」

「ん?那佑どうした?
急に止まったりして」

「んーん。なんでもない!」

⏰:11/02/13 17:27 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#504 [愛華]
聞こえた気がしたの。



あたしと、隆則と。
そしてその間にはあたしたちの
大切な宝物。

三人で手を繋いで歩く。
その道に響く
重なる足音。
途切れることがないその音は


明日のあたしたちの胸に
ずっと、永遠に。



End

⏰:11/02/13 17:37 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#505 [愛華]
>>481-504

今日の更新分
>>445-504


アンカー
>>1-50
>>50-100
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300
>>300-350
>>350-400
>>400-450
>>450-500
>>500-550

⏰:11/02/13 17:51 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#506 [愛華]
こんにちは、愛華です。
長かった『その日が来る前に、』
もとうとう終わりを迎えました。


知らず知らずのうちに
こんなに長くなってしまい……

ついてきて下さった読者の方々
本当にありがとうございました!

何回言っても足りません。

⏰:11/02/13 17:58 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#507 [しずく]
おつかれさまです!!
感動しました〜^-^

⏰:11/02/13 18:03 📱:PC 🆔:EIRL11zg


#508 [愛華]
ここで物語は終わりますが
いつかその後の話とか
書きたいな、と思っています。


隆則のことなので子供産まれてもいろいろ苦労しそうだし。
那佑も変な意地はって隆則を
困らせるだろうし。



人生は本当に何があるか
わかりません。

それはこの物語で伝えたかった
ことにも繋がります。

⏰:11/02/13 18:04 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#509 [愛華]
この物語から何かを感じて
くれたら嬉しいです。



最後にもう一度。
今まで応援してくださった方々
本当にありがとうございました!

⏰:11/02/13 18:07 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#510 [愛華]
>>507 しずく様

今まで御愛読ありがとう
ございました!

⏰:11/02/13 18:10 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#511 [あゆみ]
一気に全部読みました

何回泣いたことやら...
胸がぎゅーって
痛くなったり
ドキドキで

ホントおもしろかったです

違うお話や
結婚後のお話や
2人の間に産まれた
子供を主人公に
また物語書いてください

楽しみにしています

⏰:11/02/13 21:22 📱:P08A3 🆔:x9jbdniQ


#512 [愛華]
>>511 あゆみ様


今まで応援してくださって
ありがとうございました!!

次回作は実はもう何を書くか
決めているんですが、
あゆみさんがいうように
二人の子供の話とかもいつか
書いてみたいな、と思います。

次回作でまた会えたら
嬉しいですo(^-^)o

⏰:11/02/13 21:58 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#513 [D]
感動の超大作が終わって、
淋しい気持ちもありますが、
楽しんで読んでました。

また次回作期待しております

⏰:11/02/13 22:36 📱:N03A 🆔:Ufye4hbk


#514 [愛華]
>>513 D様


楽しんで読んでくださって
とても嬉しいです!

次回作もよろしく
お願いします(^-^)/

⏰:11/02/13 22:58 📱:840SH 🆔:DGZtWYG.


#515 [みるく]
ずっと読んでました!このお話大好きでした(^^)次回作と続編楽しみにしてます。書き始めたらここにもURL載せてください☆

⏰:11/02/14 00:11 📱:P02A 🆔:☆☆☆


#516 [愛華]
>>515 みるく様

今まで読んでくださって
本当にありがとうございました!

次回作はいつ書きはじめるかは
まだ未定ですが、その時には
ここにものせますね。

次回作でも会えたら嬉しいです!

⏰:11/02/14 00:24 📱:840SH 🆔:Q9lPggD2


#517 []
すごく良かったです
また次も楽しみにしてます

⏰:11/02/14 00:31 📱:F09A3 🆔:3xMDuoO2


#518 [愛華]
>>517

今までありがとうございました。
次回作もよろしくお願いします!

⏰:11/02/14 01:29 📱:840SH 🆔:Q9lPggD2


#519 [愛華]
また小説書きはじめました。
読んでくださると嬉しいです!

Stay with me...
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/12111/

感想板も新しくたてましたので
気軽に来て下さると嬉しいです!

⏰:11/02/16 20:23 📱:840SH 🆔:30baR7.c


#520 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/19 20:20 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#521 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-30

⏰:22/10/19 20:20 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#522 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>480-510

⏰:22/10/19 20:21 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


#523 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/20 09:32 📱:Android 🆔:nvDpRiyU


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