その日が来る前に、3
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#50 [愛華]
なんか苦しいけど…………
気のせいかな。
あたし、なんでここにいるの?
………………思い出せない。
:11/01/09 21:40
:840SH
:Sc8ldkxg
#51 [愛華]
ふ、と遠くを見つめた。
あれは…………
「………………隆則?」
隆則だ。
:11/01/09 21:42
:840SH
:Sc8ldkxg
#52 [愛華]
あたしは隆則のもとに走った。
「……………隆則っ!」
…………あれ。
隆則はなにか話しているけど
なにも聞こえない。
さわれない。
:11/01/09 21:44
:840SH
:Sc8ldkxg
#53 [愛華]
すぐそこにいるのに。
ガラスの壁があるみたい。
………あたしが見えないの?
目の前にいるのに。
声も聞こえないの?
「………隆則っ……隆則!」
:11/01/09 22:09
:840SH
:Sc8ldkxg
#54 [愛華]
ガラスの壁をどんどん叩く。
隆則はちっともあたしを見ない。
………ねぇ………見てよ。
あたしここにいるんだよ。
隆則………
「…………泣かないでよ、馬鹿」
:11/01/09 22:18
:840SH
:Sc8ldkxg
#55 [愛華]
隆則は泣いてた。
前にも見た。こんな夢。
夢?
これも……………夢?
:11/01/09 22:25
:840SH
:Sc8ldkxg
#56 [愛華]
夢ならいいのかな。
「…………隆則………
どうして泣いてるの、ねぇ…」
あたし、やだよ。
隆則が泣いてるのやだよ……
でも声は、 届かない。
:11/01/09 22:54
:840SH
:Sc8ldkxg
#57 [愛華]
目の前にいるのに触れられない。
目の前にいるのに話せない。
もう声は届かない。
届かないんだ…………。
もう抱きしめてなんてもらえない
:11/01/09 23:01
:840SH
:Sc8ldkxg
#58 [愛華]
あの病院で出会って
あなたに恋をした。
闇しかなかった私の毎日を
光で満たしてくれた。
いや、違うね。
隆則は私の光そのものだった。
:11/01/09 23:04
:840SH
:Sc8ldkxg
#59 [愛華]
「……………那佑………」
聞こえてるよ、隆則。
ありがとう。
「隆則。好きだよ。大好きだよ」
:11/01/09 23:07
:840SH
:Sc8ldkxg
#60 [愛華]
やっと聞こえた………隆則の声。
あたしの声は届いてる?
「那佑、もどってこい」
隆則が優しくあたしに言う。
いつのまにかガラスの壁は
なくなっていた。
:11/01/09 23:09
:840SH
:Sc8ldkxg
#61 [愛華]
涙でにじんでみえないよ。
「隆則………好き………好き…」
大好き。
それだけは言えるよ。
空回りしてばかりだったけど
やっぱり大好きなんだよ。
多分、これからもずっと。
:11/01/09 23:12
:840SH
:Sc8ldkxg
#62 [愛華]
戻りたい。あの場所に
帰りたい。あの場所で……
もう一度光が見たい。
あなたと一緒に
生きたい。
:11/01/09 23:14
:840SH
:Sc8ldkxg
#63 [愛華]
:11/01/09 23:15
:840SH
:Sc8ldkxg
#64 [愛華]
'
「…………那佑!!……」
「那佑!!…………那佑…!」
誰か、あたしを呼んでる?
:11/01/10 17:08
:840SH
:xC/okvn6
#65 [愛華]
目を開けると、目の前には
ぼんやりと二人の影が見えた。
「…………おとー…さん」
「那佑!!わかるか!!」
………ってことは……
だんだん視界がはっきりと
してきた。
「…………おかーさん……」
:11/01/10 17:10
:840SH
:xC/okvn6
#66 [愛華]
「那佑…………よかった……」
お母さんとお父さんは寄り添って
泣いていた。
あたし………生きてる。
まだ生きてた。
「那佑……あなた路地で
倒れててね。それで…………」
:11/01/10 17:30
:840SH
:xC/okvn6
#67 [愛華]
「隆則の声が聞こえたの……」
「え…………隆則…さん?」
隆則の声が聞こえてたんだ。
ずっと…………頭の中で。
もどってこいって言ってくれた。
:11/01/10 17:41
:840SH
:xC/okvn6
#68 [愛華]
「………………那佑?」
「…………え……」
愛しい声。
何度この声に救われただろう。
「………………隆則……?」
:11/01/10 17:51
:840SH
:xC/okvn6
#69 [愛華]
隆則は、 お母さんとお父さんの
後ろに立っていた。
すごく懐かしく感じるのは
なんでだろう。
「………隆則さんがね、那佑を
見つけて救急車を呼んでくれた
んだよ」
隆則が……………あたしを?
:11/01/10 18:14
:840SH
:xC/okvn6
#70 [愛華]
「…………那佑………」
隆則は一歩一歩あたしに
近寄ってきた。
「………………はは。また
泣いてるし…………」
「また、ってなんだよ」
隆則は涙をぬぐいながら言った。
そっか……泣いてたのは夢だった
:11/01/10 18:29
:840SH
:xC/okvn6
#71 [愛華]
「お母さん……二人にして」
お父さんとお母さんは病室から
でていった。
あたし、また戻ってこれた。
この場所にまた。
戻してくれたのは………。
:11/01/10 18:39
:840SH
:xC/okvn6
#72 [愛華]
「………隆則……………」
「お前心配かけてんじゃねーよ。
マジこっちが心臓止まるから」
「うん…………ありがとう」
隆則はゆっくりと椅子に腰掛けた
窓の外は少し明るかった。
夜が明ける。
:11/01/10 22:09
:840SH
:xC/okvn6
#73 [愛華]
「隆則………どうして、あたしを見つけられたの?」
「…………」
隆則は口を開こうとしない。
「隆則…………教えてよ」
隆則ははぁーっと息をはいてから
覚悟を決めたように話し始めた。
:11/01/10 22:14
:840SH
:xC/okvn6
#74 [愛華]
「……………止めに、いった」
…………止めに?あたしを?
「お前言っただろ。直純と
つきあったらどうするか、って。
俺 嬉しい なんて言ったけど。
嬉しいわけねぇじゃんか」
これは…………夢かな。
だとしたらあの夢の続き?
:11/01/10 22:19
:840SH
:xC/okvn6
#75 [愛華]
「だから…………止めにいった。
でも家に行ったらもういねーし。
探しにいったら……倒れてて」
隆則は、あたしが本当に
会いたい時いつも来てくれる。
それが叶わない時もあった。
でも………また自惚れていいの?
あたしの側にいてくれるって。
信じてもいいの?
:11/01/10 22:34
:840SH
:xC/okvn6
#76 [愛華]
苦しい夜は抱きしめてほしい。
嬉しい時は一緒に笑いたい。
悲しい時は一緒に泣いてほしい。
何度も思ったこの願いを
また、願ってみてもいいの?
もう正直になっていいの?
:11/01/10 22:56
:840SH
:xC/okvn6
#77 [愛華]
「………那佑。俺は………」
「すき」
やっぱり、大好き。
誰よりも大好き。
大好きより、もっともっとすき。
「隆則…………あたしダメだよ。やっぱりダメだ………」
:11/01/10 23:05
:840SH
:xC/okvn6
#78 [愛華]
「ダメって………」
隆則がいないと強くなれない。
隆則がいないとあたしじゃない。
「………隆則と、いたいよ」
今はそれだけでいい。
だからこの願いを、叶えて下さい
:11/01/10 23:11
:840SH
:xC/okvn6
#79 [愛華]
とめどなく溢れる涙を、
隆則は優しくぬぐってくれた。
ふわっと隆則のにおいがした。
ずっと求めていた隆則の腕。
この温もりがいつもあたしを
あたためてくれるんだよ。
隆則の腕に包まれたまま、
朝がきた。
:11/01/10 23:15
:840SH
:xC/okvn6
#80 [愛華]
「………あー…もういいや……」
「………どういう意味?」
「もう周りとかどーでもいい。
もうどっか行ったりすんな」
隆則が笑いながら言った。
だから、あたしも笑った。
:11/01/10 23:48
:840SH
:xC/okvn6
#81 [愛華]
「最初に約束破ったのは
隆則じゃん…………」
「それは言うなよ………」
光がまた足元を照らす。
20歳まで あと2年。
:11/01/11 00:52
:840SH
:MVin1ViA
#82 [愛華]
そんな言葉が頭をよぎった。
今はいい。
神様、お願いです。
隆則の側にいさせてください。
それ以外なにも望まない。
望みませんから。
隆則の腕のなかでひたすら願った
私はまた、幸せになれますか?
:11/01/11 01:05
:840SH
:MVin1ViA
#83 [愛華]
:11/01/11 01:07
:840SH
:MVin1ViA
#84 [愛華]
-隆則side-
:11/01/11 13:31
:840SH
:MVin1ViA
#85 [愛華]
何度も何度も考えた。
直純の幸せを奪って
その罪から逃れるために
那佑を裏切った。
俺はどうしたら救われる?
心にぽっかり穴が空いたまま
ふさがることはなかった。
:11/01/11 13:34
:840SH
:MVin1ViA
#86 [愛華]
俺はこれからもこうして
生きていくのかよ。
そんなの耐えらんねぇよ。
自分の気持ちを隠したまま
直純と那佑の前で笑って……
つきあうことになった二人に
『おめでとう』なんて言えるか。
言えるわけねーじゃん。
:11/01/11 13:37
:840SH
:MVin1ViA
#87 [愛華]
そう。言えるわけない。
あぁ。俺は……もう。
那佑なしじゃ生きてけねーわ。
:11/01/11 13:40
:840SH
:MVin1ViA
#88 [愛華]
直純のこととか
そんなの全部なしにして考えた
時
やっぱり側にいたいって思う。
「……………いかなきゃ」
止めなきゃ。
直純のとこになんか…行かせない
:11/01/11 13:49
:840SH
:MVin1ViA
#89 [愛華]
ただそれしか考えてなかった。
それ以外は考えないように。
考えたらきっと止まってしまう。
だから、それだけを考えて。
走った。
:11/01/11 13:56
:840SH
:MVin1ViA
#90 [愛華]
家にいったら那佑はもう出た後。
那佑の母さんに挨拶だけして
すぐに飛び出す。
……初対面なのに、絶対変に
思われた……
でも今はどうでもいい。
直純と行くところなんか見当も
つかない。
それでも、探さなきゃいけない。
:11/01/11 14:00
:840SH
:MVin1ViA
#91 [愛華]
那佑。
那佑。
ごめん。ごめん。
俺には……お前がいればいい。
お前しかいらない。
:11/01/11 14:06
:840SH
:MVin1ViA
#92 [愛華]
それを 伝える。
「…………すき」
:11/01/11 14:17
:840SH
:MVin1ViA
#93 [愛華]
病室で那佑に言われた言葉。
やっと見つけた那佑はボロボロで
なにがなにやらわからないまま
救急車を呼んだ。
あとはあまり覚えてない。
ただ心を支配してたのは"恐怖”
:11/01/11 14:24
:840SH
:MVin1ViA
#94 [愛華]
那佑がいなくなったら
いなくなったら?
那佑が いなくなる。
初めて那佑の『死』を意識した。
死にそうなほど苦しくなった。
:11/01/11 14:43
:840SH
:MVin1ViA
#95 [愛華]
いやだ。
那佑が死ぬ?
認めてたまるか、そんなもん。
俺がそんなこと、させない。
だから、那佑。
側にいて。
:11/01/11 14:54
:840SH
:MVin1ViA
#96 [愛華]
「………周りとかどーでもいい。もうどっかいったりすんな」
もう離れることのないように。
強く抱きしめた。
…………まだ好きでいてくれた。
それがなにより嬉しかったから。
今度こそ守るって誓った。
朝の光が俺達を照らしていた。
:11/01/11 21:00
:840SH
:MVin1ViA
#97 [愛華]
この日のことを後悔する日が
来るかもしれない。
それでもいい。那佑がいる。
みっともないけど、それだけが
全てだった。
涙が止まらなくなるほどに
那佑は、 あたたかったんだ。
:11/01/12 15:42
:840SH
:grMj3a42
#98 [愛華]
-那佑side-
:11/01/12 15:43
:840SH
:grMj3a42
#99 [愛華]
「隆則!!それとって!!」
「なに、これ?」
「ちーがーう!!その隣!!」
あれから2日。
隆則とはつきあっていた頃と
なんら変わりなく過ごしていた。
まぁ病院で、だけど………。
:11/01/12 15:46
:840SH
:grMj3a42
#100 [愛華]
「隆則くん、ごめんね。那佑の
わがままひどくて……」
「あー全然!慣れてますから」
「隆則そこは否定してよ!」
お母さんも相当隆則が気に入ったみたいで、隆則に母親がいない
ことを知って、まるで自分の
息子みたいに接してる。
やっぱり自分の母親と彼氏が
仲いいとうれしいもの。
:11/01/12 15:51
:840SH
:grMj3a42
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