その日が来る前に、3
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#250 [愛華]
あたしは病気になってから、
弱くなったみたいだね。
強くなりたいけれど……
距離を感じる度にあなたが
足りなくなってしまう。
それは……わがままなのかな。
:11/02/03 20:44
:840SH
:a8wAIOCc
#251 [愛華]
たとえばあたしが隆則と
出会わなかったとして。
ひとりでこの日を迎えたとして。
あたしは、何を思っただろう?
隆則じゃない、誰かほかのひとを見つけられたの?
未来に絶望したりしてない?
:11/02/03 20:50
:840SH
:a8wAIOCc
#252 [愛華]
そんなことあるわけない。
今のあたしは隆則がつくって
くれたんだよ。
隆則がいなきゃ生きてゆけない。
隆則は側にいるけれどー……
それでも足りなくなるのは
あたしがおかしいのかな。
:11/02/03 21:01
:840SH
:a8wAIOCc
#253 [愛華]
'
「……………那佑ー起きろー」
「…………へぁ………ん……」
:11/02/03 21:07
:840SH
:a8wAIOCc
#254 [愛華]
「お前ねー寝てんなよ……」
「あたし………寝てた?」
いつの間にか寝てたらしい。
昨日寝なかったせいか………
てゆーかこんな日に昼寝って…
「あたし変な顔してなかった?」
「あーヨダレふいてやった」
:11/02/03 22:19
:840SH
:a8wAIOCc
#255 [愛華]
「うそばっかついて……」
「わはは。ほら。外見てみ」
あたしは窓の外に目をやった。
まだまどろむ目をこする。
「……………すご……」
それしか言葉が出なかった。
:11/02/03 22:22
:840SH
:a8wAIOCc
#256 [愛華]
最後に海を見たのは
確か6歳の時。
お父さんとお母さんと一緒に
海に入って遊んだ。
少し寒かったけど、嬉しくて。
楽しくて。
こんな幸せが続くって信じた。
幼かった、あの頃。
:11/02/03 22:29
:840SH
:a8wAIOCc
#257 [愛華]
「隆則!!早く早く!!」
「そんな急いで転ぶなよー」
隆則が呆れたように笑う。
あたしは波打際まで走った。
……冷たい。海の水って冷たい。
:11/02/03 22:32
:840SH
:a8wAIOCc
#258 [愛華]
夕陽が海に沈んでいた。
映画とかで見慣れた感じ。
でもその景色は言葉が出ない
くらいに綺麗で。
夕陽ってほんとに海に沈むんだ…
なんて馬鹿なこと考えた。
:11/02/03 22:34
:840SH
:a8wAIOCc
#259 [愛華]
「………隆則、ありがと」
「なにが?」
「連れて来てくれて。海見たの
10年ぶりくらいだから嬉しい」
「あー…俺もそんくらいかな…」
隆則はニッと笑った。
たまらなく、愛しいひと。
:11/02/03 22:38
:840SH
:a8wAIOCc
#260 [愛華]
「ひといねーなぁ」
「もう夕方だしねー……」
あたしたちは砂の上に座った。
長い時間車に乗っていたので、
砂がやわらかく感じた。
あたたかかった。
「………綺麗だ、ね」
「うん。ありがたいわ」
:11/02/03 22:44
:840SH
:a8wAIOCc
#261 [愛華]
「ありがたいってなに?」
「俺前までは景色とか見て
感動することとかないって
思ってたからさー…」
「なるほどー心が荒んでたのね」
「うるせーな!」
2人で声を上げて笑った。
笑い声は波の音に消えていった。
:11/02/03 22:51
:840SH
:a8wAIOCc
#262 [愛華]
幸せだな。あたし。
でも、もしもあたしが。
病気じゃなかったら?
今までにも何度も考えたっけ。
:11/02/03 22:54
:840SH
:a8wAIOCc
#263 [愛華]
もっと幸せになれたかも。
苦しむこともなかった。
それでもあたしは。
この病気のおかげで隆則に会えた
あぁ……………あたしは。
:11/02/03 22:55
:840SH
:a8wAIOCc
#264 [愛華]
「………………隆則」
「ん?」
「約束、絶対守ってね。」
『あたしがいなくなる時、
泣かないで。その時だけは……
…………絶対に』
:11/02/03 22:58
:840SH
:a8wAIOCc
#265 [愛華]
「絶対に絶対に守って。」
あたしはゆっくり隆則の目を
見つめる。
そして、手を握りしめる。
その目で、腕で。
いっぱいの幸せをあたしにくれた
:11/02/03 23:01
:840SH
:a8wAIOCc
#266 [愛華]
あたしはもうすぐいなくなる
かもしれないけれど。
もう、充分だよ。
一生ぶんの幸せをもらったよ。
だからお願い。
あたしが死んじゃう時は
「またね」って笑ってね。
:11/02/03 23:06
:840SH
:a8wAIOCc
#267 [愛華]
「………那佑、なした……?」
期待することはもうやめた。
『諦めない』なんて
きれいごとはもういい。
現実をただ一点に見つめる。
『あたしはいなくなる』
という事実。
:11/02/03 23:10
:840SH
:a8wAIOCc
#268 [愛華]
「………今日だけは。病気のこと忘れようって思った。
でも無理だった。
あたしはそんなとこまできてる。
隆則も、気づいてるでしょ?
あたしには時間がないの」
口に出すのが辛かった『事実』
:11/02/03 23:12
:840SH
:a8wAIOCc
#269 [愛華]
「なに………それ」
隆則の瞳には色がなかった。
悲しみも苦しみも。なにもない。
わかってるよ。
同じ気持ちなんだよ。
「ごめんね…………隆則」
:11/02/03 23:15
:840SH
:a8wAIOCc
#270 [愛華]
涙を流すことにも慣れた。
自分を受け入れなきゃ。
「………あたしはもうすぐ…」
次の言葉は出なかった。
:11/02/03 23:18
:840SH
:a8wAIOCc
#271 [愛華]
やわらかくてあたたかい
隆則のぬくもりが一瞬で
あたしを包み込んだ。
「…………なに弱ってんの?
んなもん誰がきめたんだよ?」
隆則はあたしを抱きしめたまま
うなるように声を出す。
:11/02/03 23:21
:840SH
:a8wAIOCc
#272 [愛華]
波の音が消えた。
「…………隆則…………」
「勝手なこと言ってんな。
お前後悔するぞ、絶対。
お前の寿命なんて誰がどこで
きめたんだよ?自分が生きたい
だけ生きれよ!」
まっすぐな、言葉。
:11/02/03 23:25
:840SH
:a8wAIOCc
#273 [愛華]
苦しいほどに、心にしみる。
じわじわ、広がってく。
「あたし、は…………隆則を
幸せにはできな……もしれない」
「俺はもう幸せだからいい。
お前の番だろーが今は。俺が
ちゃんと幸せにしてやるから」
:11/02/03 23:27
:840SH
:a8wAIOCc
#274 [愛華]
言葉になっていないのに、
ちゃんと聞き取ってくれる。
「ちゃんと泣け。なんで
頼らないんだよ?不安なら
いくらでも言ってやるから。
お前はいなくならない」
ほら。また。
あたしを期待させるんだね。
:11/02/03 23:30
:840SH
:a8wAIOCc
#275 [愛華]
なんの根拠もないくせに。
わたしはあなたの言葉に
期待を抱いてしまうの。
大切なものを見つけると
ひとは欲深くなる。
それを生きる力に変えるのは
あたしにとってはすごく
難しかったんだよ。
それでも、力になる。
:11/02/03 23:33
:840SH
:a8wAIOCc
#276 [愛華]
明日を生きる、あたしの。
「………苦しいよ………」
「うん」
「辛いんだよ…………」
「うん」
「どうしてあたしなの?」
「うん」
:11/02/03 23:35
:840SH
:a8wAIOCc
#277 [愛華]
隆則の手は、震えていたね。
いや、震えてたのはあたしかも。
「隆則…………やだよ……」
「うん」
「生きたい…………」
死にたくない、じゃなくて。
:11/02/03 23:42
:840SH
:a8wAIOCc
#278 [愛華]
生きたい。
それだけ。
神様なんか信じない。
願ったりしないよ。
ただ、思うだけだよ。
:11/02/03 23:44
:840SH
:a8wAIOCc
#279 [愛華]
「こわい………やだ………」
「…………ん。」
隆則は抱きしめる手に力を込める
「………俺もこえーや」
:11/02/03 23:45
:840SH
:a8wAIOCc
#280 [愛華]
神様なんか、信じないから。
心に思うだけ。
隆則の側で生きたいです。
叶うなんて期待は、しない。
絶対に、してやるもんか。
:11/02/03 23:48
:840SH
:a8wAIOCc
#281 [愛華]
辛かった。
苦しかった。
だから、生きたかった。
いつだって願ったことは
ただひとつ。
「ただ一人誰かの為に生きたい」
それが君なんだと信じた。
18歳の夏。
:11/02/03 23:52
:840SH
:a8wAIOCc
#282 [愛華]
今日の更新分
>>249-282久しぶりの大量更新なので
文章おかしいかもしれないです。すいません……
感想待っています。
:11/02/03 23:54
:840SH
:a8wAIOCc
#283 [愛華]
'
ずっとずっと夢見てた。
あたしは、女の子として。
普通の女の子として生きれるのか
:11/02/04 21:11
:840SH
:Hg7.qx02
#284 [愛華]
大切なひとを見つけて
キスをして
…………ひとつになって。
そんな幸せを手に入れられるのか
病気になってからも考えた。
:11/02/04 21:13
:840SH
:Hg7.qx02
#285 [愛華]
あたたかいあなたの腕の中で
あたしはそんな昔のことを
思い出していたんだよ。
今日あたしは。
あなたとひとつになれます。
:11/02/04 21:15
:840SH
:Hg7.qx02
#286 [愛華]
'
「…………ひっ……」
首に隆則の熱を感じた。
チクリとした痛み。
熱くて、でも優しい。
:11/02/04 21:31
:840SH
:Hg7.qx02
#287 [愛華]
「…………しるし」
隆則は優しく笑いながら言った。
ゆっくりベッドが沈んだ。
隆則に見下ろされてる……
なんか、変な感じ。
:11/02/04 21:36
:840SH
:Hg7.qx02
#288 [愛華]
震えてるのが自分でわかった。
「……………こわい?」
「大丈夫。へいき」
「無理してんなら………」
あたしは思い切り隆則を
抱きしめた。
「いいの」
:11/02/04 21:38
:840SH
:Hg7.qx02
#289 [愛華]
いいんだ。
隆則なら。
きっと、大丈夫だから。
そうでしょう?
「…………馬鹿」
:11/02/04 21:47
:840SH
:Hg7.qx02
#290 [愛華]
「馬鹿ってなにさ。隆則もだよ」
「俺が馬鹿?」
「…………隆則、熱い」
隆則はゆっくりキスしてくれた。
少しタバコのにおいがした。
それすらも安心する。
:11/02/04 21:50
:840SH
:Hg7.qx02
#291 [愛華]
「いんじゃん?馬鹿で」
「うん。そーだね」
あたしは
隆則の
隆則のすべてで
幸せになれるの。
:11/02/04 22:05
:840SH
:Hg7.qx02
#292 [愛華]
幸せだった。
きっと、こんな幸せな夜は
初めてだったよ。
隆則もそうだったのかな?
だと嬉しいな。
まるで宝物にさわるみたいに
不器用な手であたしに触れる。
愛しい手。
:11/02/04 22:25
:840SH
:Hg7.qx02
#293 [愛華]
暗い闇の中でいつも
あなたの声がしていた。
あたしの名前を呼んで
笑顔で手をふってくれる。
ずっと前から
こうなることは決まっていた。
そんな気がするの。
そう信じたいの。
:11/02/04 22:52
:840SH
:Hg7.qx02
#294 [愛華]
隆則。
大好きなんかじゃない。
愛してるよ。
ずっとずっと愛してるよ。
長くて、温かくて。
少しだけ切ないような。
幸せな夜が明けようとしていた。
:11/02/04 22:56
:840SH
:Hg7.qx02
#295 [愛華]
:11/02/04 22:59
:840SH
:Hg7.qx02
#296 [我輩は匿名である]
'
太陽は東から昇る。
そして西に沈む。
当たり前のような
神様がずっと昔に決めた決まり。
:11/02/05 22:39
:840SH
:qulkQi8.
#297 [我輩は匿名である]
きっと誰もが感じている。
そんなの当たり前だって。
でもあたしは違ったんだ。
太陽が昇って沈むまで
明日への恐怖に怯えていた。
光を見ることが怖かった。
なのに夜の闇にも怯えていた。
居場所がどこにもなかった。
:11/02/05 22:47
:840SH
:qulkQi8.
#298 [我輩は匿名である]
まぶしいのは嫌い。
自分がどんなに醜い心をしてるか
全て照らされてしまうから。
でも暗いのも嫌い。
自分がどこにいるかわかんなくて
闇にのまれそうになるから。
じゃああたしは、
どこに在ればいい?
:11/02/05 22:52
:840SH
:qulkQi8.
#299 [我輩は匿名である]
そんなあたしを連れ出してくれた
隆則。
自分の中のぜんぶが
あなたでうめつくされた。
:11/02/05 23:02
:840SH
:qulkQi8.
#300 [我輩は匿名である]
光がこんなに心地好いなんて
知らなかった。
夜がこんなに穏やかだったなんて知らなかった。
全部隆則が教えてくれた。
言葉にできないくらいに
温かくて、楽しくて。
つまりね。
幸せなの。
:11/02/05 23:08
:840SH
:qulkQi8.
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