その日が来る前に、3
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#350 [愛華]
「殴ってでも蹴り飛ばしてでも!白石に手術受けさせろよ!」





どうすればよかったかなんて
多分一生わからないけれど。


それでもこの過去を振り返って
後悔するのだけは嫌だ。


流した涙が無駄になるのは
もう嫌なんだ。

⏰:11/02/07 23:35 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#351 [愛華]
あふれる涙をぬぐった。



………大丈夫だ。


まだ、頑張れるだろ。



情けない顔してんな。




また君と笑いあうために。
一歩を踏み出す。

⏰:11/02/07 23:43 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#352 [愛華]
今日の更新分
感想待ってます。
>>327-352

⏰:11/02/07 23:45 📱:840SH 🆔:I4D24sKM


#353 [愛華]
-那佑side-

⏰:11/02/08 22:56 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#354 [愛華]
またあの夢なんだね。



隆則が泣いていて



あたしはどうすることもできず。



ただ、もがき苦しむ夢。


でも今度は夢じゃないの……?

⏰:11/02/08 22:59 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#355 [愛華]
'











目が覚めると、前にも見た天井。

薬のツンとする大嫌いな臭い。

⏰:11/02/08 23:01 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#356 [愛華]
しぶといね、あたしも…………



何回死にかけてんだか。




鼻に違和感があったので、
触ろうとしたけれど、
手に力が入らなかった。



………違う人の体みたい………

⏰:11/02/08 23:08 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#357 [愛華]
まぶたがすごく重くて。






あたし、生きてんのか。
まだ生きてんのか。



確実に命は擦り減ってるけど。
まだこらえつづけてるんだ。



手にぎゅっと力をいれた。

⏰:11/02/08 23:11 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#358 [愛華]
あたし、どうしたんだっけ……




あ、また発作おきたのか。
体の調子からいくと
けっこう危なかったっぽいな。




静まりかえった病室。

ここは天国なんかじゃないよね?

お願いだから、


誰か証明して……………。

⏰:11/02/08 23:14 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#359 [愛華]
今度は右手に力を入れた。






……………あれ?




ゴツゴツしてて大きくて。
それでもいつもあたたかい。


間違えるわけない。
あの手を。

⏰:11/02/08 23:18 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#360 [愛華]
私の右手を包んでるその手は。





「……………たか……の、り」






ツーッと一筋涙が流れた。


頬をつたい落ちたそれは
枕に小さなシミをつくった。

⏰:11/02/08 23:22 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#361 [愛華]
会いたかった。

会いたかったんだよ。


ずっとずっと会いたかった。




隆則はあたしの右手を握りしめ、その手に頬を寄せるようにして眠っていた。



寝息が伝わってくる。

⏰:11/02/08 23:24 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#362 [愛華]
「……………隆則?」

「………………」

「隆則…………」

「………………」


何回呼んでも起きない。


3回目に隆則を呼ぼうとした時。



「たか…………」

⏰:11/02/08 23:27 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#363 [愛華]
「……………ん……」

「わっ…………」



隆則は何も言わずに、
ムクッと起き上がった。



目は空いているけれど、
焦点があっていない。



ただ、その手は痛いほどに
あたしの右手を握りしめていた。

⏰:11/02/08 23:33 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#364 [愛華]
「隆則、手いたい………」

「え……………」




すごく久しぶりに言葉を
発した気がする。


そして………すごく久しぶりに
隆則を見たような気もする。



嬉しい。

⏰:11/02/08 23:41 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#365 [愛華]
「え、え……………那佑?」

「そ、そうだよ………」


隆則はパッと手を離すと
両手であたしの頬を包んだ。


さっきまで焦点があっていなかった瞳が真っ直ぐ私に向かう。



「那佑?那佑だよな?」

⏰:11/02/08 23:45 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#366 [愛華]
「だからそうだってば」

「そっか…………」

「うん。戻ってきたんだよ」


あたしが笑うと、隆則は
ホッとしたように手を離し、
今度はあたしの手を自分の頬に
持っていった。


隆則の頬はやっぱりあたたかくて
あたしは戻ってきたんだなって
実感させてくれた。

⏰:11/02/08 23:50 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#367 [愛華]
「…………よかった。
もう、戻ってこねぇかと思っ…」

「ばか。あたしはそんな簡単に
くたばりませんよーだ」


隆則は優しく笑いながら、
あたしの手のひらにキスをした。





神様、覚えていますか?

⏰:11/02/08 23:54 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#368 [愛華]
きっと毎日、何千何万という人があなたに願いを託すのだろう
けれど。


その中で私の願いは届いてる?



信じない、なんて言わない。
だって私はこうやってここに
戻ってこれたんだから。





だから贅沢をいうならば。
ずっとここにいたいです。

⏰:11/02/08 23:59 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#369 [愛華]
それからは忙しかった。


お母さんとお父さんが泣いて。

検査を受けて。


そして、次にまたいつ発作が
起こるかわからないことを
告げられた。



なんとなくわかってたから、
何も言わなかった。

⏰:11/02/09 00:05 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#370 [愛華]
何を感じることもなくて。



気がつくと、
目覚めてから5日たっていた。




『次』って……いつだろ?
そんなことばかり
考えていた気がする。



隆則は、そんなあたしを朝から晩まで一緒にいて支えてくれた。

⏰:11/02/09 00:11 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#371 [愛華]
なんでもないように過ぎる時間



これからもこんな風に
あたしの残り時間は減っていく。



ここに戻ってこれたことが
すごくすごく嬉しいのに


未来が見えない不安に
あたしは限界を感じていた。

光が遠すぎて………見えない。

⏰:11/02/09 00:17 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#372 [愛華]
隆則。
今考えてみてもさ。


あたしに希望を与えるのも
絶望を与えるのも


全部隆則だったんだよ。


それが、嬉しかったよ?




涼しくなりはじめた日
運命を決めたのもあなたでした。

⏰:11/02/09 00:20 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#373 [愛華]
今日の更新分です。
>>353-372

⏰:11/02/09 00:22 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#374 [愛華]
-隆則side-

⏰:11/02/09 22:37 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#375 [愛華]
那佑がまた戻ってきた。


嬉しかった。
もう会えないかも、って
眠る度に考えたから。


これはきっと、神様がくれた
最後のチャンス。



これが最後だから
俺のできることをしなさいって。

そう言ってる気がした。

⏰:11/02/09 22:40 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#376 [愛華]
那佑。


お前が何考えてるのか
俺は知らないけど。


俺は俺ができる精一杯のこと。
それをやる。



俺のすべてを懸けて。


泣いてもいいから。
どうか最後まで聞いて。

⏰:11/02/09 22:43 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#377 [愛華]
-那佑side-

⏰:11/02/09 22:43 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#378 [愛華]
夏が終わりを告げていた。




目覚めてから1週間たちました。



自分が自分じゃなくなっていく
感覚。


何かを考えるのも
めんどくさくなっていた。

⏰:11/02/09 22:46 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#379 [愛華]
このままでいい。



隆則が側にいて。

あたしの最期を見てくれるなら
それでいいよ。


それがあたしが望んでいた
最期なんだから。


未来を見透かすのはやめよう。


涙を流すことにも飽きたね。

⏰:11/02/09 22:49 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#380 [愛華]
あたしはゆっくりと起き上がり
深呼吸した。




……………お風呂入りたい。


自分にもまだ人間らしい感情が
残っていたことを知り、
なんとなく嬉しい。



テーブルに置いてあるケータイがぴかぴか点滅していた。

⏰:11/02/09 22:52 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#381 [愛華]
-新着メール3件-




『今日はテストがあったよ。
やばい。英語はできたよー。
なんか食べたいものある?
明日3時ごろに行くね』


梓からだ。
ケータイには梓がお守りだと
言ってあたしにくれた
小さなストラップが揺れてる。


『那佑が元気になりますよーに』

⏰:11/02/09 22:56 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#382 [愛華]
そう書かれた紙が、お守りの中に入っていた。

すごく嬉しかった。



もう1件は直純くんから。


『学校疲れた(´ε`)
これありえなくね?明日、梓と
一緒に持っていくから』

下には真っ赤な色のカップが
写った写メ。

⏰:11/02/09 23:03 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#383 [愛華]
『キムチプリン』と書かれていて唐辛子の絵が書いてある。


……直純くんらしいな。

すごく自然に笑顔がにじみ出た。



最後の1件。





『4時ごろ行く。寝るなよ?』

⏰:11/02/09 23:09 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#384 [愛華]
たったそれだけの文章。


もう慣れたことなのに、
いつだって嬉しくなるの。



「あ、もう4時になる……」


もっと早くにメールに気づけば
よかった。


あたしはくしで長い髪をとかし
鏡で身嗜みを確認する。

⏰:11/02/09 23:13 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#385 [愛華]
好きなひとの前ではやっぱり
かわいくいたいけれど。

今のあたしでは難しいね。
大分痩せたしなぁ………。


隆則はそんなこと気にしない
んだろう。でもやっぱり
女の子だから。



もうすぐいなくなるとしても
最後まで女の子だから。


隆則だけの女の子でいたいから。

⏰:11/02/09 23:18 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#386 [愛華]
あたしはベッドで隆則が来るのをいつものように待っていた。




運命とはタイミング。
カチツと音をたてて。
一瞬で変わってゆく。

いいほうにも悪いほうにも
それは神様の気まぐれで。



きっとあの日の運命もあなたの
気まぐれで決まったのかな。

⏰:11/02/09 23:23 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#387 [愛華]
今日の更新分
>>374-387
感想待っています。


多分、今週末までに本編は
終わると思います。
超長編になってしまいましたが
応援してくださってる皆様、
改めて本当に感謝感謝です…


最後までよろしくお願いします!

⏰:11/02/09 23:30 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#388 [愛華]
'






「うーっす。あ、起きてた!」

「隆則が寝るなって言ったん
じゃんかよーばか」

「ははは」


バイトから真っ直ぐきた感じで
額には汗がにじみでていた。

⏰:11/02/11 10:02 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#389 [愛華]
変なの。

いつもどおりに隆則が来ただけ
なのに……………

なんだか懐かしい気がするのは
どうしてだろう?



「バイトから真っ直ぐ来たの?」

「そ。疲れたよー」


いつもと同じ、はずなのに……

⏰:11/02/11 10:05 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#390 [愛華]
今日の空気はなにか違った。


なんだろ?
なんか嫌な予感がするよ………



微妙な空気の違いをあたしが
感じとったことに気づいたのか
隆則はいつもよりも多く、
あたしに笑いかけていた。



安心させようとしてくれてた
んだよね。きっと。

⏰:11/02/11 10:09 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#391 [愛華]
世間話もほどほどに、
隆則が急にあたしに言った。



「具合どうだ?」




これも、いつもと同じセリフ。
なのに今日はいつもと重みが
全然違う気がした。



茶化しちゃいけない気がした。

⏰:11/02/11 10:12 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#392 [愛華]
ベッドがぎしぎしときしむ。
その音が妙に耳に響く。




「絶好調ですよーだ」

「ほんとに?」




あ、今…………。



空気が冷える感覚。

⏰:11/02/11 10:16 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#393 [愛華]
なに?なに?



こわい。こわいよ。



隆則は真っ直ぐにあたしを
見つめる。


強い決意のようなものが見える。



「今日は重大な話がありますっ」

⏰:11/02/11 10:20 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#394 [愛華]
「重大な………はなし?」

あたしが聞き直すと、隆則は
またにっこり笑ってVサインを
出した。


「ふたつ。話があるから。
聞いてくれるか?」



聞きたくない。


でもそれは声にならなくて。
頭の中は嫌なことしか思い
浮かばなくて。

⏰:11/02/11 10:26 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#395 [愛華]
「……………」

「那佑。俺を見て」


あたしも隆則がしてくれたように真っ直ぐと隆則を見つめる。




「…………いいよ」


「うん。ありがとな」


わしわしとあたしの頭をなでる。

⏰:11/02/11 10:29 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#396 [愛華]
この手さえあれば。
なんでものりこえてゆける。

そんな気がするよ。








「じゃーひとつめの話」

「うん」

隆則は座っていた椅子から、
あたしのいるベッドに移った。

⏰:11/02/11 10:33 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#397 [愛華]
空けていた窓から、夕方特有の
涼しくて少ししょっぱい風が
はいってくる。





優しくて、切なくて、でも
あたたかくて、さみしい。







「那佑、手術受けよう」

⏰:11/02/11 10:37 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#398 [愛華]
'






手術?





頭が真っ白になった。

どうして、そんなこと………

⏰:11/02/11 10:39 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#399 [愛華]
何度も堅く拒んだ。

絶対に嫌だったの。


手術室の中でひとりで死を
迎えるなんて絶対に。



隆則はそれを知ってるのに


今さらどうして……………?


どうしてそんなこと言うの?

⏰:11/02/11 10:42 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


#400 [愛華]
「……なに言ってんの?
するわけないじゃん手術なんか」

「今のまんまじゃダメだ」

「今のままでいいよ」


声が震える。


隆則はわかってくれてると
思ってた。

話ってそれなの……?

手術を受けろって話?

⏰:11/02/11 14:16 📱:840SH 🆔:zJ6xm7Y6


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