その日が来る前に、3
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#327 [愛華]
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なん、だ、これ。
:11/02/07 21:09
:840SH
:I4D24sKM
#328 [愛華]
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脳が、拒否する。
考えることを。
認めることを。
どうして、今なん、だよ。
:11/02/07 21:14
:840SH
:I4D24sKM
#329 [愛華]
那佑が病院に戻ってから
4日目の夜中。
午前2時半。
那佑の母さんから電話が入った。
何を言われたのかは覚えてない。
ただ、移動中に何回もタクシーの運転手にどなったのは
なんとなく覚えてる。
:11/02/07 21:19
:840SH
:I4D24sKM
#330 [愛華]
思い出していたのは今までの
那佑との思い出。
…………やめろよ。
浮かんでくるなよ……
こんなのまるで…………
那佑が死んじまうみたいじゃんか
:11/02/07 21:21
:840SH
:I4D24sKM
#331 [愛華]
震える手を必死で抑えながら、
エレベーターがあるのも忘れ
階段で病室まで走った。
何を考えていたか。
それも覚えてない。
ただ、那佑が助かりますように。
それだけを祈ってたと思う。
俺は今、裏庭にいる。
那佑との始まりの、あの木の下。
:11/02/07 21:27
:840SH
:I4D24sKM
#332 [愛華]
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蒸し暑い、夜。
昼にはきれいな緑の葉も
夜には漆黒に塗り潰される。
:11/02/07 21:30
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:I4D24sKM
#333 [愛華]
「…………なにやってんだろ俺」
涙さえも出ない。
本当に一瞬の出来事だった。
頭に焼き付いて、消えない。
:11/02/07 21:47
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:I4D24sKM
#334 [愛華]
「……………タカ?」
消え入るような声。
心なしか震えてる。
「病室もどろう?とりあえずは
安定したっていうから……」
「………………」
「先生が………ご両親に話が
あるっていってたみたいでさ」
「………………」
:11/02/07 21:56
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:I4D24sKM
#335 [愛華]
暗くて見えないけれど、多分
泣きそうな顔してるんだろう。
いや、泣いてるかもしれない。
俺はゆっくりベンチに座った。
那佑とジュースで乾杯したっけ。
『赤と白が出会ったことに
かんぱーい!!』
:11/02/07 21:59
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:I4D24sKM
#336 [愛華]
「……那佑の、お母さんがね。
話ならタカにも一緒に聞いて
ほしいって言ってて…」
時刻は、午前4時。
「…………タカ」
「………………」
「なんか言ってよぉ………」
:11/02/07 22:04
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:I4D24sKM
#337 [愛華]
梓は、泣いていた。
静かに。
どうしてお前はそんなに
強いんだよ。
教えてくれよ。なぁ。
いつのまにか明るくなっていた。
:11/02/07 22:07
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:I4D24sKM
#338 [愛華]
「………那佑のとこ、行こ?」
「見れないよ」
たくさんの管に繋がれていた。
今にも消えそうな。
そんな呼吸をしていた那佑。
もう一度なんて見れない。
「話だって………聞けない」
余命?これからの治療法?
:11/02/07 22:25
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:I4D24sKM
#339 [愛華]
そんな話聞けない。
聞きたくない。
わかってた。
いつかこんな時が来るって。
でも、なんで今なんだよ?
俺は…………弱いから。
:11/02/07 22:43
:840SH
:I4D24sKM
#340 [愛華]
那佑の側にいたって。
どんなに祈ったって。
那佑を救う方法はわからない。
どうすればいいかわからない。
苦しみに、押し潰されそうだ。
:11/02/07 22:55
:840SH
:I4D24sKM
#341 [愛華]
「……………タカ………」
「梓。俺、どうすればいい?」
自分の弱さが嫌になる。
神様でも誰でもいい。
誰でもいいから。
那佑を連れていかないで。
:11/02/07 23:02
:840SH
:I4D24sKM
#342 [愛華]
「こんなとこでなにしてんの」
「…………え」
玄関から出てきたのは
那佑なんかなわけなくて。
ましてや神様なんかじゃなくて。
「直純……………」
「さっさと病室戻れよ。隆兄」
:11/02/07 23:06
:840SH
:I4D24sKM
#343 [愛華]
息をきらして、短パンにTシャツのままの直純。
よほど急いで来たんだろう。
「…………白石に会ったよ。
安定してるけど、いつまた急変
してもおかしくないんだって?
で、そんな時にあんたは
何やってんだよ?」
鋭くて、突き刺さるような言葉。
:11/02/07 23:11
:840SH
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#344 [愛華]
その通りだ。でも………
「………那佑の姿、見れない」
「見れなくても見ろよ。
最後かもしれねぇんだぞ」
「直純、あんたなに言って…」
「梓は黙ってろよ」
直純の言葉も。
するすると通り抜けてく。
心を強くえぐって。
:11/02/07 23:15
:840SH
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#345 [愛華]
「ぼろぼろな白石なんか
見たくないのかよ?」
「そんなんじゃねぇ」
「逃げてんだろ」
「てめぇ何言って………」
「現実見ねぇふりしてんなよ!」
見ない、フリ?
那佑を見ないふり………?
:11/02/07 23:18
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#346 [愛華]
「どんなに隆兄が辛くてもな。
今、この瞬間に端っこで
苦しんでんのは誰だよ?
闘ってんのは誰だよ?」
闘ってるのは誰?
俺?だとしたら何と?
……………違う。
闘ってるのは…………
:11/02/07 23:21
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#347 [愛華]
『生きたい』と言って泣いた。
今も苦しんでる那佑だ。
俺は拳をにぎりしめた。
涙がこぼれないように。
泣くな、泣くな。
:11/02/07 23:23
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:I4D24sKM
#348 [愛華]
「…………隆兄にしかできない
ことがあるだろ?」
「え…………」
直純はなんの迷いもないように
言い放った。
「白石に手術受けさせろ」
生きるか、死ぬか。
那佑が拒んだ手術。
:11/02/07 23:26
:840SH
:I4D24sKM
#349 [愛華]
「そんなの………」
「無理じゃないだろ?
もう死ぬか治るか、どっちか
しかないんだよ!
このまんま放置かよ?
そんなの白石がよくても
俺が許さねぇから」
那佑、わかってるお前?
お前の周りにはこんなにお前を
想ってくれてるやつがいるんだ。
:11/02/07 23:32
:840SH
:I4D24sKM
#350 [愛華]
「殴ってでも蹴り飛ばしてでも!白石に手術受けさせろよ!」
どうすればよかったかなんて
多分一生わからないけれど。
それでもこの過去を振り返って
後悔するのだけは嫌だ。
流した涙が無駄になるのは
もう嫌なんだ。
:11/02/07 23:35
:840SH
:I4D24sKM
#351 [愛華]
あふれる涙をぬぐった。
………大丈夫だ。
まだ、頑張れるだろ。
情けない顔してんな。
また君と笑いあうために。
一歩を踏み出す。
:11/02/07 23:43
:840SH
:I4D24sKM
#352 [愛華]
:11/02/07 23:45
:840SH
:I4D24sKM
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