その日が来る前に、3
最新 最初 🆕
#418 [我輩は匿名である]
>>414




隆則はあたしの涙を指ですくうと
あたしを強い瞳で見つめる。



「もうひとつのほうの話ね?」

「なに…………?」



あたしの頬から手を離すと
ポケットからなにかを取り出す。

⏰:11/02/12 13:40 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#419 [我輩は匿名である]
隆則の手の中のそれは。
ちいさなちいさなしるし。












「手術が終わったら。


俺と結婚してください。」

⏰:11/02/12 14:06 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#420 [我輩は匿名である]
なんの迷いもない。


そこに存るのは


いつだってたったひとつだけの


大切な大切な気持ちでした。






神様、見ていますか?

⏰:11/02/12 14:30 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#421 [我輩は匿名である]
この人があたしの大切なひと。

命を懸けたっていい。


そう思えるくらい大切なひと。



きっと世界中であなただけ。






だから世界一のひとなんです。

⏰:11/02/12 14:36 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#422 [我輩は匿名である]
「…………っえっ…ひっ…」



「え、なんで泣くの………」




嬉しいんだよ、ばか。


隆則の肩に顔を埋める。



ぐちゃぐちゃな顔見られたくない

⏰:11/02/12 14:42 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#423 [我輩は匿名である]
涙が止まらなかった。





「………子供3人だっけ?」

「ん………」

「花見に祭に初詣……」

「ん………」



「全部終わったら行こう」

⏰:11/02/12 14:50 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#424 [我輩は匿名である]
隆則の涙はあたたかくて。






「約束な」

「うん」



全部終わったら
したいこと全部しよう。



それまで待っててね。

⏰:11/02/12 14:54 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#425 [我輩は匿名である]
左の薬指に指輪がはめられる。






「待ってるから。戻ってきて?」

「うん。約束する」



優しく唇が重なる。


これはお別れじゃないよ。

⏰:11/02/12 15:03 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#426 [我輩は匿名である]
いってきます、のキスだよ。





こんなこと言ったら怒るかな?



きっとあなたは怒るね。

でも言わせて。



あたしはあなたと出会えて
すごくすごく幸せでした。

⏰:11/02/12 15:06 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#427 [我輩は匿名である]
もし約束が守れなくても、


それだけは変わらない。



あなたもそうであってほしい。




想いは共に、胸の……中に。


あなたの明日が
私の明日と重なりますように。

⏰:11/02/12 15:09 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#428 [我輩は匿名である]
-隆則side-

⏰:11/02/12 21:10 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#429 [愛華]
その日は、


雲ひとつない晴天だった。



涼しくて、日差しが心地好い。
ムカつくぐらいにいい天気。

おまけに小鳥まで鳴いてた。



昨日はよく眠れた?那佑。

⏰:11/02/12 21:14 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#430 [愛華]
「んーいい天気だねぇ」

「緊張感なさすぎ、白石…」

「那佑らしくていーじゃん」


手術の直前だというのに、
楽しそうに談笑…………


俺はひとり入れないでいた。


「隆則、どしたの?暗っ」

「へ?いや寝不足でさぁ」

⏰:11/02/12 21:19 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#431 [愛華]
「あはは、ばっかだー」

「うるせ」


それを複雑そうな笑顔で見守る
那佑のご両親。

不安が伝わって来るようで
こっちまで緊張してくる。


那佑も口に出さないだけで
本当はそうなんだろうか。

不安じゃないわけないよな。

⏰:11/02/12 21:25 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#432 [愛華]
「………白石さん、そろそろ…」

「あ、はい」

「横になられていきますか?」

「………いえ、歩いていきます」


心臓がドクンと脈打った。

なんだよ、これ。

今さらこんな、………

那佑の瞳に迷いはないのに。

⏰:11/02/12 21:32 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#433 [愛華]
那佑はゆっくりベッドから、
点滴に気を遣いながら立ち上がる

その仕草がまた俺の不安を煽る。


「………よいしょっと」

「手、貸そうか?」

「んーん。一人で歩きたいの」


那佑は梓の言葉を断ると、
一人で歩きだした。

⏰:11/02/12 21:38 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#434 [愛華]
その歩く後ろ姿は凛としていて
本当に綺麗だった。



お前はいつからこんなに強く
なったんだろうか?


お前のために何度も泣いた俺は
強くなれたんだろうか?

今になってこんなことを思うのはやっぱり弱いのかもしれない。

それでもいい。

⏰:11/02/12 21:43 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#435 [愛華]
手術室の前まで来ると、那佑は
看護士の手を借りて横になった。



「………んじゃ、行くかぁ」

「那佑、待ってるからね」

「ありがとお母さん。お父さん」

「………頑張ってね」

「うん。頑張るよ、梓」

⏰:11/02/12 21:48 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#436 [愛華]
「が、んばっ……て」

「…言うならちゃんと言ってよ、直純くん………」



みんなに一言ずつ言い終えると、
那佑は俺のほうに向き直った。



………やばい、泣きそう。
でも那佑ですら泣いてないのに
泣くわけにはいかない。
かっこわるすぎる。

⏰:11/02/12 21:52 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#437 [愛華]
「………そんな顔すんな!!」

「わかってるよ」


強がってみたけど、上手く
言葉が出ないのがもどかしい。


いや、もう言葉はいらないんだ。



「待っててね、隆則」

「うん。待ってる。ずっと」

⏰:11/02/12 21:57 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#438 [愛華]
ずっと、待ってる。


ここで。




「隆則、手貸してくれる?」

「え?」

「これ、預かってて」


そう言って手渡されたのは
あの日渡した、指輪。

⏰:11/02/12 21:59 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#439 [愛華]
「戻ってきたらまたはめて
くれる?…………教会で!」

「…………わかった……」

「あ、最後にもうひとつ!」


那佑は思い出したように俺の
耳をぐいっと引っ張り、自分の
顔に近づけた。




「もしあたしがいなくなっても。隆則はこっち来ちゃダメだよ」

⏰:11/02/12 22:05 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#440 [愛華]
「……え…」

「生きるの。大事な人見つけてねんで幸せにしてあげんの!」


驚くほど小さくて、早口な。
きっと悩みに悩んで出した
那佑の言葉。


なんでこんなときまで、
後の俺の心配してんだよ?


馬鹿かよお前…………。

⏰:11/02/12 22:10 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#441 [愛華]
「………わかったよ……」

「返事が小さいですよ」

「わかったよ!!」

「ん、よろしい」


那佑は満足したように笑った。
その笑顔は少し淋しそうで。


後ろでは梓の嗚咽が聞こえる。



「………白石さん行きますね」

⏰:11/02/12 22:13 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#442 [愛華]
「はい」



白石の手が離れる。



扉が空いて、那佑が遠くなる。


その時間は一瞬にも感じられたし
まるで永遠のようにも感じた。


ただ、那佑が遠くて。

⏰:11/02/12 22:18 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#443 [愛華]
'







「…………いってきます!!」

そう言って那佑は満面の笑顔で
Vサインを突き出した。





その時の那佑の笑顔を
俺は一生忘れない。

⏰:11/02/12 22:20 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


#444 [愛華]
今日の更新分
>>418-444

とうとう明日で最後です。
大量更新になることが予想
されますが、最後までよろしく
お願いします!

感想よければ待っています。

⏰:11/02/12 22:29 📱:840SH 🆔:/rqsAvKY


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194