その日が来る前に、3
最新 最初 🆕
#363 [愛華]
「……………ん……」

「わっ…………」



隆則は何も言わずに、
ムクッと起き上がった。



目は空いているけれど、
焦点があっていない。



ただ、その手は痛いほどに
あたしの右手を握りしめていた。

⏰:11/02/08 23:33 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#364 [愛華]
「隆則、手いたい………」

「え……………」




すごく久しぶりに言葉を
発した気がする。


そして………すごく久しぶりに
隆則を見たような気もする。



嬉しい。

⏰:11/02/08 23:41 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#365 [愛華]
「え、え……………那佑?」

「そ、そうだよ………」


隆則はパッと手を離すと
両手であたしの頬を包んだ。


さっきまで焦点があっていなかった瞳が真っ直ぐ私に向かう。



「那佑?那佑だよな?」

⏰:11/02/08 23:45 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#366 [愛華]
「だからそうだってば」

「そっか…………」

「うん。戻ってきたんだよ」


あたしが笑うと、隆則は
ホッとしたように手を離し、
今度はあたしの手を自分の頬に
持っていった。


隆則の頬はやっぱりあたたかくて
あたしは戻ってきたんだなって
実感させてくれた。

⏰:11/02/08 23:50 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#367 [愛華]
「…………よかった。
もう、戻ってこねぇかと思っ…」

「ばか。あたしはそんな簡単に
くたばりませんよーだ」


隆則は優しく笑いながら、
あたしの手のひらにキスをした。





神様、覚えていますか?

⏰:11/02/08 23:54 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#368 [愛華]
きっと毎日、何千何万という人があなたに願いを託すのだろう
けれど。


その中で私の願いは届いてる?



信じない、なんて言わない。
だって私はこうやってここに
戻ってこれたんだから。





だから贅沢をいうならば。
ずっとここにいたいです。

⏰:11/02/08 23:59 📱:840SH 🆔:RObCb5To


#369 [愛華]
それからは忙しかった。


お母さんとお父さんが泣いて。

検査を受けて。


そして、次にまたいつ発作が
起こるかわからないことを
告げられた。



なんとなくわかってたから、
何も言わなかった。

⏰:11/02/09 00:05 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#370 [愛華]
何を感じることもなくて。



気がつくと、
目覚めてから5日たっていた。




『次』って……いつだろ?
そんなことばかり
考えていた気がする。



隆則は、そんなあたしを朝から晩まで一緒にいて支えてくれた。

⏰:11/02/09 00:11 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#371 [愛華]
なんでもないように過ぎる時間



これからもこんな風に
あたしの残り時間は減っていく。



ここに戻ってこれたことが
すごくすごく嬉しいのに


未来が見えない不安に
あたしは限界を感じていた。

光が遠すぎて………見えない。

⏰:11/02/09 00:17 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


#372 [愛華]
隆則。
今考えてみてもさ。


あたしに希望を与えるのも
絶望を与えるのも


全部隆則だったんだよ。


それが、嬉しかったよ?




涼しくなりはじめた日
運命を決めたのもあなたでした。

⏰:11/02/09 00:20 📱:840SH 🆔:GPZpAJBk


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194