… 極楽(18禁)愛戯 …

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「……っ」

何度も凛は記憶を失いそうになりながらベッドに沈んでは､また起き上がり､求め合い…そんな時間が夕方まで続いた｡

「……凛」

散らかったベッドと山のように散らばるティッシュの数々｡ふたりとも拾うこととか忘れ､ただ抱き合ってしばしの眠りにつく｡

─……

目覚めたら都会なのになぜだか鳥の囀りが聞こえた｡凛がゆっくり目をあけると､龍は目をつぶったままあたしの髪の毛で遊んでいる｡

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「りゅう……？」

凛は体を動かせないまま､彼の名前を呼ぶ｡

「…凛､起きてたんだ｡おはよ……体大丈夫か？」

疲れてない？といって軽く唇をあわせる龍に凛は昨夜のことを思い出してドキマギする｡

「ん…大丈夫っ///」

「今更照れるなよ｡」

"俺のこと欲しい"て言ったくせに､と耳元で囁くと意地悪そうにほほえむ｡

「……だって……」

欲しかったもん///

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あたしと龍はその日ふたりで夜までベッドでゴロゴロした｡ふたりとも､休みをあわせてたから､翌日の夕方まで一緒に時間を過ごせる｡

「…スーパー､一緒にいこうよ☆」

ご機嫌な調子で､スウェットに着替えながら､龍は言う｡あたしは"うん"と答えると､龍は子供みたいに無邪気に笑う｡

「早く着替えよっ♪」

龍は裸のあたしを起こそうとする｡胸元を隠して顔を真っ赤にするあたしに龍が気づいて笑う｡

「もう隅々まで見てるってば! …てまだ慣れないか｡じゃ向こうで待ってるよ｡」

と頭を撫で撫ですると龍は気をきかせて台所にむかった｡

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ジーパンとシャツを着るとリビングに行く｡くつろぎながら､テレビを見る龍を後ろから抱きしめると､にこおっと微笑んで龍はあたしの頬にキスをする｡

「…いこっか｡」

グラサンをかけて玄関にむかう｡お揃いのクロックスを履いて､手をつないだまま外に出る｡

「なに作るの？」

「龍は何食べたいの？」

「…俺はまだ凛食べたい…」

「バカ……」

手を繋いでぶらぶらさせながら､スーパーに向かう普通のカップル｡

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ふたりともただ広いこの土地にいれば､ただの平凡なカップル｡でも､ふたりにはそれぞれ事情があって…夜の仕事を始めて…接客のために自分を偽ってお金をもらってる｡

ただ幸せになりたいだけなのに…とふたりはこの小さな幸せを小さな手と手で繋げながら互いに思った｡

「……手巻き寿司たべてえ」

突然龍が言った｡

「……小さい時によくお袋が作ってくれてたから……」

少し切なそうに言った｡

なんだか深く聞いちゃいけない気がして､あたしは黙り込んでしまった｡

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「手巻き寿司なら……」

龍が買い物かごをもってあたしの後ろをウロウロしてる｡

「シーチキン!」

「…なんか意外かも｡龍ってトロとかいくらって言うと勝手に予想してた｡」

くすくす笑うと龍は少し拗ねた顔してわざと手に高いトロをとる｡

「うそうそっ」

あたしはシーチキンを手にとってかごにいれる｡ふたりで他愛もない話して､ケラケラ笑って､買い物袋をひとつずつ持つと､帰り道もしっかり手を繋いで帰る｡

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「……あ」

携帯の着信をみて龍が､"ちょっとごめん"とあたしから離れた｡

基本休みの日は連絡を取らない龍を珍しいとは思いながらも､あたしはまっすぐの道をゆっくり歩く｡

「………」

すぐに用は済んだようだけど､龍は少しもどかしい顔をしてた｡なんか､凄く難しそうな顔｡

「……龍､あたしには言いたくなったら､なんでも言ってね｡あたし､ちゃんと聞くから｡ひとりでため込んじゃだめだよ？」

というと黙って龍はうなずいたけど､あたしに何か言うことはしなかった｡

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寿司米をつくるために､キッチンで色々準備をするあたしを放って､龍はソファでじっとテレビ一点を見つめて無表情のままご飯の時間を待った｡

いつもなら､"作るのみてる"とか無邪気に言ってあたしのじゃまばかりするのに……

「できたよ？」

ずらっとテーブルに色んな種類をならべて､龍にシーチキンときゅうりとたまごを入れてあげる｡

「はいっ」

「ん……」

ありがとうって意味なんだろう｡そのまま口に入れると､龍は一時停止する｡

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ポロリ､と涙がこぼれた｡

それがあまりにもきれいであたしが見とれてしまうくらい｡龍は一粒流したとおもったら､涙が止まらなくなった｡

「……だせっ……」

手で涙を拭う｡

「龍……」

あたしは席を離れて､龍をぎゅうっと抱きしめた｡

「……俺ってほんと最低だよな､本当に……」

というと肩をただ揺らした｡

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──…

少し落ち着いた龍の手を握りながら､あたしはただ龍が言葉を発するのを待った｡

「…あのさ…」

龍の過去と告白｡

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