有空
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#273 [y]
第十話
:11/12/31 21:34
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:eggYM8pE
#274 [y]
朝起きて、まず水を飲む。
口が冷えてすっきりする。
グラスを流し台におく。
そういえば…。
俺が割ったグラスは達也さんのお気に入りだった。
−これで飲むのが最高にうまいからお前に貸してやるよ。
働きだしたころ、そう言って渡されたグラスだった。
…どこに売ってるんだろ
:12/01/01 13:31
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:UT/envRs
#275 [y]
探すこと丸1日。
すっかり日が暮れてしまった。
某有名ブランド食器店から雑貨屋さんまで探してみたけれど…。
『…全っ然、みつかんねぇ…』
どーしよう。
あれがないと達也さんと仲直り出来ない気がする。
でも、どこで売っているのかきいちゃだめだと思う。
どーしよー、どーしよー、どーしよー…
:12/01/01 13:34
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:UT/envRs
#276 [y]
-幸-
『こーちゃぁん…』
槙原は9時過ぎに俺の家にやってきた。
「な、なんだよ」
『疲れたぁ』
テーブルにくたっと突っ伏している。
:12/01/01 13:45
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:UT/envRs
#277 [y]
「それはそれはお疲れ様です。
何してたんだよ。」
本当にぐったりしてて体調が悪いんじゃないかと心配になる。
『…グラス探してたの』
顔を上げる槙原。
そっとおでこにふれてみるけれど熱はないようだ。
:12/01/01 13:49
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#278 [y]
「グラス?」
『深い藍色なんだけど角度によって七色にきらきらひかるやつー。』
…藍色できらきら?
なんかそれしってるよ。
…たしか
食器棚の奥の方を探る。
「これか?」
:12/01/01 13:50
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#279 [y]
俺が差し出したグラスをぼーっとしばらく見つめている槙原。
だんだん目が輝きだす。
『これ!!!!え、なんで?
どこで売ってんのこれ!』
「確か、限定のなんかで…
もう売ってないんじゃないか?」
そう言うと槙原はあからさまにがっかりした。
:12/01/01 13:52
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#280 [y]
『売ってないんだ…』
「…これやろうか?」
『え?』
「これやるよ。
今日ずっと探してたんだろ?」
『でも、限定なんでしょ?
先生のなくなっちゃうじゃん。』
「どーせ使ってなかったし。やるよ」
コツンとテーブルの上におく。
『やったぁ、先生ありがとう、愛してる』
:12/01/01 13:58
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#281 [y]
無邪気に笑う槙原。
このグラスがよっぽど大事だったみたいだ。
「そのかわり…新学期授業をさぼらないこと。約束だ。」
『…うーん。…わかった。』
「微妙な返事だな」
『へへっ先生ありがとう』
:12/01/01 14:00
:SH04B
:UT/envRs
#282 [y]
「飯できたぞ…」
ラーメンをもっていくと、槙原はテーブルに突っ伏したまま寝ていた。
嬉しそうにグラスにほっぺにくっつけて。
ふっ、可愛い奴。
なんとなく、こいつがモテる理由わかったかも。
顔が整っててスタイルがいいってだけじゃなくて、内面的な理由。
:12/01/01 14:04
:SH04B
:UT/envRs
#283 [y]
こいつ可愛いんだ。
癒し系っていうの?
のんびりしゃべって、人懐っこくて、ガキみたいに素直に笑ったり悲しんだりする。
母性本能くすぐられるんだろうな。
じっと見つめていると槙原の頭に異変を感じる。
髪の毛をさぐる。
:12/01/01 14:05
:SH04B
:UT/envRs
#284 [y]
『…ん?あれ…寝てたー?』
「あー、わりぃ。起こしちゃったな。
…てか、槙原、脱色した?」
『?』
眠そうに目を擦っている槙原に問う。
「髪の毛…てっぺんのほうだけ黄色い。
…お前、もしかして自毛金髪か?」
『?うん』
:12/01/01 14:08
:SH04B
:UT/envRs
#285 [y]
「自毛なら自毛って言えよ!!!」
わしゃわしゃと頭をかきあげる。
本当に均一に金髪になっていた。
『…俺言ったよ?
言ったけど信じてくれなかったじゃんー』
確かに…。
「自毛登録しろよなー…」
『なにそれ』
「自毛だよっていう登録だよ。
…とりあえず、ラーメン伸びるし食え」
:12/01/01 14:13
:SH04B
:UT/envRs
#286 [y]
「外国の血、混ざってたりすんの?」
ふたりでラーメンをすする。
熱くて中々すすえない猫舌な俺。
『うーん、そんなかんじ?』
「へぇー…そういえば名前も日本人ぽくないもんな」
『俺の名前知ってんの?』
槙原の箸が止まる。
:12/01/02 16:20
:SH04B
:BPg/S1S6
#287 [y]
「そりゃ担任が知らねぇわけねえだろ。
"ありく"、空が有るって書いて"有空"。」
空中に箸で文字を書く。
『…。』
「"ありく"だけど"アリック"って発音すんの?」
『…どっちでもいいよ』
:12/01/02 16:23
:SH04B
:BPg/S1S6
#288 [y]
「へーぇ、いい名前だよな、有空。
空が有るって当たり前だけど、へこんだ時とか空が綺麗だったら元気出るじゃん?
…あれ?…俺だけ?」
俺は空が大好きだ。
だから槙原の名前を初めてみたとき少し感動した。
どういった意味が込められているのか、気になっていた。
『先生もへこむときあるんだ』
:12/01/02 21:03
:SH04B
:BPg/S1S6
#289 [y]
「そりゃー、ねぇ…うちのクラスには自由気ままな問題児がいるんですもの」
『あー…隆之介ね!』
ラーメンを食べ終えタバコに火をつける槙原。
「…お前のことじゃ槙原有空!!
タバコ没収!」
どかっと一発かましてからタバコを取り上げる。
:12/01/02 21:04
:SH04B
:BPg/S1S6
#290 [y]
『いってぇ…!!』
涙目で見上げてくる。
「先生の前で堂々と吸うなよ。
禁煙しろっ」
『先生も吸ってるくせに』
「先生は大人だからいいのー!
ほら、ガムあげるからこれで禁煙しなさい」
テーブルにおいてあったブラックガムのボトルを槙原の頭の上におく。
:12/01/02 21:06
:SH04B
:BPg/S1S6
#291 [y]
『えー…これ辛くてたべれない。』
「ブラックガムたべれないような子供がタバコ吸うなよ!!」
『むぅ』
「…もう良い子は帰って寝る時間だからそろそろ帰れよ?」
時間は11時過ぎ。
俺が帰れと言った所でこいつが帰る訳ないのは、今までの経験上知っている。
でも、今日は違った。
:12/01/02 21:07
:SH04B
:BPg/S1S6
#292 [y]
『…あ、やっべぇ!
俺グラス届けなきゃ!』
そういって立ち上がる槙原。
携帯と財布をポケットに突っ込みグラスを持つ。
「ちょっとまてよ。
こんな時間に中学生がうろついていいのかなー?」
でていこうとする槙原の腕を掴む。
:12/01/02 21:08
:SH04B
:BPg/S1S6
#293 [y]
『先生は俺のやること全てを否定するんだね…』
悲しそうな目で見つめられる。
「いやいや、そうじゃなくて、明日にしろよ!
夜にうろつくなって!」
『だって達也さん昼間起きてないんだもん。』
は?タツヤさん?
俺の手の力が緩んだ隙に槙原は逃げ出した。
:12/01/02 21:10
:SH04B
:BPg/S1S6
#294 [y]
「あ、おいこら!まて!」
『へへっ先生グラスありがとうね!
おやすみなさーい』
玄関までドタバタと追いかけっこをして結局逃げられた。
…ちくしょう。
今度会ったら叱らなきゃな。
:12/01/02 21:11
:SH04B
:BPg/S1S6
#295 [y]
-マキ-
裏口からそっと倉庫にはいる。
ここにはお酒やあたらしいグラスがおいてある。
「マキ?」
振り返るとお酒のはいったケースを持った達也さん。
『げ』
そっと入ったのにいきなり達也さんと遭遇するっていう…。
気まずい。
:12/01/04 00:35
:SH04B
:P9F6v3c.
#296 [y]
「どうした?今日シフト入ってなかっただろう?」
いたって普通の達也さん。
『…グラス、割ったやつ持ってきた。
…割っちゃってごめんなさい。』
「あ?あー…、怒ってねぇよ。
俺も言い方悪かったしな…ちょっと話そうや」
そういって空き箱を並べて席を作る達也さん。
:12/01/04 00:37
:SH04B
:P9F6v3c.
#297 [y]
『いや、もう良い子は寝る時間だから帰んなきゃ。』
「こんな時だけ子供ぶんなよー。」
腕を捕まれ強引にすわらされる。
「んー…、今の気分はこれかな?」
達也さんは、棚からボトルを取り出して俺が持ってきたグラスにつぐ。
『…。』
このグラス洗ってあんのかな…
:12/01/04 00:39
:SH04B
:P9F6v3c.
#298 [y]
「…グラスよく見つけたな、限定物だったろ?」
『担任の先生が持ってやつくれた。』
お酒を一口飲むと甘ったるい味が広がる。
「お前、先生と仲いいんだ」
『ん〜…、仲いいかな?』
「なーんだそれ」
はははと笑い声をあげる達也さん。
なんだかご機嫌?
俺の飲みかけをゆっくりと飲む。
うん、間接ちゅーだね。
:12/01/04 00:41
:SH04B
:P9F6v3c.
#299 [y]
『マンションが一緒でさ、遊びに行ったらご飯作ってくれるし、ちょっと間抜けだけどいい人。
先生だけどさ、先生ぽくないし、それにさー…』
小百合さんには話さないからついいっぱい話してしまった。
こーちゃんのいいところはたくさんあるんだ。
:12/01/04 00:43
:SH04B
:P9F6v3c.
#300 [y]
「…お前に、そういう存在があるなら安心した。」
こーちゃんについてある程度しゃべり終えると頭をぐしゃぐしゃに掻き回された。
「有空…、あんまり小百合さんに依存すんなよ。」
達也さんはつぶやくように言う。
返事をする気分にはなれないので、もう一口お酒を飲んでごまかした。
:12/01/04 00:47
:SH04B
:P9F6v3c.
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