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#232 [愛華]
皐月ちゃんはそう言うと、
真剣な眼差しでスプーンを使いケーキの修正を始めた。
……見れば見るほど女の子だなぁ
かわいいし男の子には見えない。
「……ねぇ、皐月ちゃん」
「うん?なぁに?」
ケーキから目を離さずに
返事をする皐月ちゃん。
:11/03/08 22:17
:840SH
:Cm3N/Fw6
#233 [愛華]
「皐月ちゃんって昔から
そうなの?」
「へ?」
「あ、だから…その、女の子として生きてきたのかなぁって」
「あぁ…そーいうわけじゃない。中学生からかなぁ……」
「へぇ……そうなんだぁ…」
皐月ちゃんはケーキを見つめた
まま、話を続ける。
:11/03/08 22:21
:840SH
:Cm3N/Fw6
#234 [愛華]
「…でもさ、周りって冷たいの。みんなあたしを気持ち悪がって離れていっちゃった」
「………え…」
「離れていかなかったのは
滝と要だけ。あたしにはあの
二人がいればそれでいいの。
すごく………感謝してる」
悲しそうに笑う皐月ちゃんは
さっきの女の子らしい雰囲気とはまるで違って。
すごく綺麗な女の人だった。
:11/03/08 22:27
:840SH
:Cm3N/Fw6
#235 [愛華]
「この学校であたしを男だって
知ってるのは滝と要と陽向だけ!だからね……
陽向と友達になれたのすっごい
うれしかったんだよ?」
「…………ありがとう…」
「さ、ケーキ仕上げちゃお」
隣から皐月ちゃんの鼻歌が
聞こえる。
……あたし今。
嬉しくて泣きそうだった。
:11/03/08 22:31
:840SH
:Cm3N/Fw6
#236 [愛華]
そっかぁ。
天宮はやっぱり昔から
誰にでも優しかったんだね。
なんだか少し誇らしくなる。
天宮、ケーキ喜んでくれるかな。
あたしがラッピングにケーキを
包んでいると、隣の班から
声が聞こえた。
「……だ、大丈夫かなぁ…」
「大丈夫だよ!天宮優しいもん」
:11/03/08 22:38
:840SH
:Cm3N/Fw6
#237 [愛華]
「甘いもの好きかなぁ…」
「受けとってくれるよ!」
友達から励まされながら
輪の中心にいる女の子は頬を
赤く染めながら俯いていた。
……あの子。天宮が好きなんだ。
だから、ケーキを渡すんだ。
:11/03/08 22:44
:840SH
:Cm3N/Fw6
#238 [愛華]
天宮を、好き。
天宮にもいつか彼女ができて。
その娘を抱きしめて。
キスをして。
あたしが邪魔になって……。
「あ!ねぇねぇ、皐月ちゃんに
陽向ちゃん。二人天宮と仲いい
じゃん?天宮って甘いもの
好きかな?」
「滝は好きだと思うけど…。
ね、陽向!」
:11/03/08 22:50
:840SH
:Cm3N/Fw6
#239 [愛華]
「あ……うん。多分…」
「本当?よかったぁ。あのさ、
羽田さんって天宮の家に住んでるんだよね?なんで?」
「え………」
な、なんでって言われても…
本当のことなんて言えないよ。
「許嫁とか、そんなかんじ?」
「ま、まさか!!違うよ!!」
:11/03/12 00:36
:840SH
:0WJzdUcA
#240 [愛華]
あたしが咄嗟にすごい勢いで
否定すると、その様子をキョトンとした目で皆が見つめる。
「……え、えっとあの………
遠い親戚みたいな感じで。
天宮は……家族っていうか…」
「そうなんだ!よかったぁー」
喜びながら赤くなる女の子は
本当にかわいくって。
あぁ…本当に天宮が好きなんだ。
:11/03/12 00:39
:840SH
:0WJzdUcA
#241 [愛華]
あ………まただ。
この胸がしまる感じ。
多分あたし、妬いてる。
家では天宮の優しさを独り占め
できているのに、学校では
知らない天宮が多すぎて。
同じような優しさを他の女の子
にも見せているのかな、とか
思うと心がモヤモヤする。
大好きなお兄ちゃんに
妹が妬くような。
そんなつまらない独占欲。
:11/03/12 00:45
:840SH
:0WJzdUcA
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