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#312 [愛華]
「え………この女なの?」
舐めるようにあたしを見回す
3人の女子生徒。
その視線が気持ち悪い。
「あの………なにか?」
「あんたさぁ、羽田陽向でしょ」
「そうだけど……」
「不正転入したってほんと?」
体がドクンと脈打った。
:11/03/22 20:26
:840SH
:1HSINVcg
#313 [愛華]
この人たちは………噂を
信じているんだ。
わかってはいたけど目の前で
言われるとやっぱり辛い。
「……そんなの嘘だよ」
「とぼけないでよ。あんた
天宮校長の親戚なんでしょ?
あんたみたいなやつ、この
高校に入れるわけないじゃん」
「なに、それ………」
:11/03/22 20:36
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:1HSINVcg
#314 [愛華]
「努力もなしにこの高校にコネで入ったとか恥ずかしくないの?
笑えないんだけど」
この人たちは。
あたしの何を知ってるんだろう。
何も言えなかった。
全てが否定された気がした。
:11/03/22 22:55
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:1HSINVcg
#315 [愛華]
毎日ただ家の中で過ごす日々。
暴力に耐えながら必死で毎晩
勉強した。ただ、ひたすら。
それをいつか活かせるのか、
なんて見えない未来に怯えて。
そんなあたしの、
何を知ってるというんだろう。
「……………」
「なんとか言いなさいよ!」
:11/03/22 22:58
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:1HSINVcg
#316 [愛華]
ガリッ!
「………った……」
一人の女子があたしを突き飛ばす
突き飛ばされた拍子に、
爪があたしの首に刺さったようで血が飛び散った。
「………あ、やば……」
白いブラウスが赤く染まった。
……天宮に後で謝らなきゃ。
:11/03/22 23:03
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:1HSINVcg
#317 [愛華]
「……そろそろ行こうよ。
なんかちょっとまずいし…」
女子たちはパタパタとドアに
走ってゆく。
あたしはそれを見ることもなく
ただ手でぎゅっと首を抑える。
すると、ドアが開く音と共に
ついさっきまで頭に想い浮かべて
いた人の声がした。
「なにがまずいんですか?」
:11/03/22 23:07
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#318 [愛華]
’
…………え。
「あ、ここにいたんですか」
「天宮……なんで……」
天宮はあたしの質問には答えずに
あたしから女子たちに視線を
移した。
:11/03/22 23:10
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:1HSINVcg
#319 [愛華]
「……あんたら、2組の女子
だよな。陽向さんに何か用?」
「いや、あの………」
天宮はもう一度あたしに視線を
移した。いつもの、微笑み。
「……陽向さん、教室に
戻ってて?俺もすぐ行くから」
「………わかっ……た」
あたしは首から手は離さずに、
ドアとは反対の方に走った。
:11/03/22 23:14
:840SH
:1HSINVcg
#320 [愛華]
どうして、来たんだろう……。
首のケガ見えてしまったかも
しれない。
さっきいつもの微笑みの後に
一瞬見えた冷たい目。
あれは天宮が怒っている証拠。
さっき教室で言ったことを
怒ってるのかもしれない。
というかそれしか考えられない。
目が熱くなってきた気がした。
:11/03/22 23:18
:840SH
:1HSINVcg
#321 [愛華]
’
俺はふーっと長い息をはく。
怒りを吐き出すように。
心を、落ち着けるように。
「……で?陽向さんになんの用」
:11/03/22 23:20
:840SH
:1HSINVcg
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