Stay with me...
最新 最初 全 
#101 [愛華]
澄み渡るような青空
あたたかい陽射し
それはあたしには眩しすぎた。
「天宮ー!!はやくはやく!」
「はいはい」
誰かと出かけるなんて
何年ぶりのことなんだろう。
あたしは久しぶりの世界に
目を輝かせていた。
:11/02/24 20:01
:840SH
:BPvwoRDc
#102 [愛華]
「陽向さん、あまりはしゃぎ
すぎると疲れますよ……」
「疲れない疲れない!」
そういうあたしと天宮の手には
服や日常品などの荷物がいっぱい
といっても選んだのはほとんど
天宮なんだけれど……
下着などはさすがにひとりで
選んだ。
初めてすることのように新鮮で
嬉しくて楽しくてワクワクする。
:11/02/24 20:20
:840SH
:BPvwoRDc
#103 [愛華]
「ちょっと休みましょう、
陽向さんも疲れたでしょう?」
「えー疲れてないのに……」
「飲み物買ってきますから!
荷物お願いしますね」
天宮はそういってにっこり笑うと荷物を置いて走っていった。
……行っちゃった。
てか天宮が疲れてたんだな(笑)
道行くひとたちを見つめる。
:11/02/24 20:41
:840SH
:BPvwoRDc
#104 [愛華]
'
笑いながら、歩くひとたち。
幸せそうだなぁ。
これからの予定とか、ご飯を
何食べるのか、とか。
そんなことを話しながら
笑いあってるのかな……。
:11/02/24 20:55
:840SH
:BPvwoRDc
#105 [愛華]
それは日常に溢れてるけれど
あたしには手にできない
欲しくてももらえないものだった
あれ。声、が………。
ヒナタ………ドコニイル…?
:11/02/24 20:58
:840SH
:BPvwoRDc
#106 [愛華]
「………………っ」
「おーぃ、陽向さん!」
聞いたことある、声。
あたしを安心させる声。
あの人では…………ない。
大丈夫だよ、陽向………。
安心していいんだよ。
ここにあいつはいないんだよ。
:11/02/24 21:01
:840SH
:BPvwoRDc
#107 [愛華]
「………どうかしました?」
天宮はあたしの顔をひょいっと
覗きこむ。
「なんでもない!あ、コーラ
大好き。ありがとね」
「どういたしまして」
天宮はあたしにコーラを渡すと
隣の荷物をよけて座った。
「……何みてたんですか?」
:11/02/24 21:04
:840SH
:BPvwoRDc
#108 [愛華]
「ん、人を見てたの。
幸せそうだなって思って」
「そうですか………」
「ね、天宮」
「はい」
「あたしの名前ね、お母さんが
つけてくれたんだ……」
「……………」
あたしは空を見上げる。
そこにはいつだって太陽が
輝いている。見えなくたって
いつもそこにいる。
:11/02/24 21:10
:840SH
:BPvwoRDc
#109 [愛華]
「陽がいつもあたしに向かう
ように。あたしをいつも
照らしてくれるように、って」
毎日夢に見る。
お母さんが笑顔であたしを
迎えに来てくれる夢。
あいつから逃げるため……
そんなことよりも先に。
お母さんに会いたかったんだ。
「…陽は…向かわない日の
ほうが多いけれど………」
:11/02/24 21:17
:840SH
:BPvwoRDc
#110 [愛華]
「そんなことないですよ」
照り付ける陽射しに天宮が
重なる。
逆光で表情が見えない。
「…………いい名前ですね」
あ。笑ってた………。
天宮の笑顔はあたしをほわって
あたたかくさせる。
:11/02/24 21:32
:840SH
:BPvwoRDc
#111 [愛華]
ここにいるのは………天宮。
天宮だけ。だから大丈夫。
「…………ありがと」
あたしが微笑むと、天宮も
それに答えるように微笑む。
「ね、天宮の名前の由来は?」
「俺ですか?」
「うん、滝ってめずらしいし…」
:11/02/24 21:37
:840SH
:BPvwoRDc
#112 [愛華]
「んー…なんですかね?聞いた
ことないしわかんない」
「ふぅん……」
そういえば親と喧嘩してるん
だっけ………でも生活費は?
どうして喧嘩したんだろう…
あたし、天宮のこと知らない。
なにも、知らない………。
胸がちくんと痛んだ。
:11/02/24 21:50
:840SH
:BPvwoRDc
#113 [愛華]
「………天宮、あのさ…」
「はい?」
「天宮の家族って………その、
なんで喧嘩したの……?」
「あぁ…………それね」
天宮はすぅっと息を吐く。
「どーでもいい親子喧嘩ですよ」
線をひかれた気がした。
:11/02/24 21:59
:840SH
:BPvwoRDc
#114 [愛華]
なにかはわからないけれど
天宮とあたしの間にひとつの
壁があるような…………
当たり前、か。
知り合って間もないあたし達に
壁があるなんて当たり前。
どうすれば天宮のことを
心から信頼して、信頼して
もらえるようになるのかな…
あたしには、難しいよ………。
:11/02/25 20:50
:840SH
:.jQ6zlYk
#115 [愛華]
人を信頼するのに
時間は必要なんだろうか?
短い期間で築いた信頼関係は
浅いものでしかないのかな。
触れたら崩れ落ちるような。
だとしたら天宮を信頼したいと
願うあたし
お母さんに会いたいと願うあたし
どちらの願いが先に叶う?
:11/02/25 23:43
:840SH
:.jQ6zlYk
#116 [愛華]
あるいは…………
どちらも叶わない…………?
ヒナタ…………。
:11/02/25 23:44
:840SH
:.jQ6zlYk
#117 [愛華]
またあなた。
どうしてあたしを苦しめるの?
ごめんなさい。謝るから。
もう痛いのは嫌だよ………
ごめんなさい……ごめんなさい…
あたしの名前を呼ばないで。
:11/02/25 23:46
:840SH
:.jQ6zlYk
#118 [愛華]
ヒナタ………………
嫌だ……………
逃げなきゃ。
「………………いやぁっ!!」
:11/02/25 23:48
:840SH
:.jQ6zlYk
#119 [愛華]
飛び起きると、あたりは
真っ暗だった。
ここ………どこ?
あたしどうしてベッドに……
汗で体がベタベタする。
そうだ…………逃げなきゃ。
:11/02/25 23:49
:840SH
:.jQ6zlYk
#120 [愛華]
逃げなきゃ。逃げなきゃ。
ガチャン!
「………陽向さん、どうしたん
ですか?今2時ですよ…?
眠れないんですか?」
言葉の意味を理解できない。
:11/02/25 23:52
:840SH
:.jQ6zlYk
#121 [愛華]
あたしを見て驚いた顔をしてる。この男の人は…………
誰?
ガチャン!
「!!陽向さん、どこ行くの!」
:11/02/25 23:54
:840SH
:.jQ6zlYk
#122 [愛華]
逃げなきゃいけない。
その恐怖だけがあたしを支配する
ここはどこ?
あなたはだれ?
どうでもいい。
あいつが来る。逃げなきゃ。
「逃げなきゃいけないの!」
「陽向さん…!」
:11/02/25 23:58
:840SH
:.jQ6zlYk
#123 [愛華]
玄関を開けようとしたあたしの
手を男は必死で掴む。
「離してよぉ!!」
「陽向さ………」
「嫌ぁ!ごめんなさい…
ごめんなさ……ごめんなさい…」
「こっちむいて下さい!!」
あたしの顔を男は自分のほうに
向かせようとするけれど
あたしの体がそれを拒否する。
:11/02/26 00:03
:840SH
:f7sdRQ1I
#124 [愛華]
男の腕の中で暴れ続けるあたしはいつのまにか泣いていた。
「離して!いやぁ!!」
「…………俺を見ろよ!!」
体の震えが止まる。
男と視線が交わる。
:11/02/26 00:08
:840SH
:f7sdRQ1I
#125 [愛華]
不安そうな瞳であたしを強く
見つめるその人の頬には
あたしが引っかいたであろう
傷から血が流れていた。
この人を……知ってる。
あたしは知ってる。
「………………天宮…」
:11/02/26 00:10
:840SH
:f7sdRQ1I
#126 [愛華]
「……そうです。天宮ですよ」
天宮は微笑んだ。
「……はぁっはぁっはぁっ」
「大丈夫ですか!?」
呼吸が上手くできない。
やば………………まただ。
天宮はあたしを抱きかかえると
丁寧にリビングにつれてゆく。
:11/02/26 00:13
:840SH
:f7sdRQ1I
#127 [愛華]
天宮はあたしをソファに下ろすと
コップに水を汲んであたしの
もとに持ってくる。
「………飲めますか?」
「はっ……や……薬………」
「薬?薬があるんですか!?」
「部屋………」
意識が朦朧とする中で必死に
天宮に伝える。
:11/02/26 12:17
:840SH
:f7sdRQ1I
#128 [愛華]
'
あたし、なにやってんだろ。
一人で勝手に苦しんで……
天宮は…………
こんなあたしは嫌い……?
:11/02/26 12:19
:840SH
:f7sdRQ1I
#129 [愛華]
そこにいるのは誰?
お母さんなの?
違う………この匂い……
甘くてあたたかいにおい。
この知らない町であたしに
安らぎをあたえてくれた。
:11/02/26 12:26
:840SH
:f7sdRQ1I
#130 [愛華]
誰でもよかったわけじゃない。
優しそうに笑うあなただから
抱きしめてくれたあなただから
「わがままを言ってもいい」
そう言ってくれたあなただから。
あたしは………
:11/02/26 12:30
:840SH
:f7sdRQ1I
#131 [愛華]
「……………ん…」
「陽向さん…俺ですよ。
わかりますか………」
目を開けるとそこには天宮の顔。
「天宮……だよね…」
「はい」
「ひざ枕……恥ずかしい…」
「今さら何言ってんですか」
:11/02/26 12:36
:840SH
:f7sdRQ1I
#132 [愛華]
安心したように笑う天宮。
それがあたしを安心させる。
時計を見ると2時半。
30分しか経っていなかった。
「薬……いつから飲んでたの?」
「半年くらい前………から
たまに。こうなった時に…」
「そうですか………」
「黙っててごめん………」
:11/02/26 12:44
:840SH
:f7sdRQ1I
#133 [愛華]
あたしは天宮の頬についた傷に
ゆっくりと触れる。
触れた瞬間、天宮が少しだけ
ピクッと反応した。
「………引っ掻いてごめん…」
「こんなのどーでもいいです」
握られるあたしの手。
近くで見る天宮はすごく綺麗な
顔をしていて不謹慎にも
かっこいいと思ってしまった。
あたし………は。
:11/02/26 12:51
:840SH
:f7sdRQ1I
#134 [愛華]
「天宮………?」
「なんですか?」
「あたしのこと、変だって
思った?おかしいやつだって」
「思うわけないでしょ」
「よかった………」
涙が自然に流れていく。
安心したのか、嬉しかったのか
自分でもわからないけれど……
:11/02/26 12:56
:840SH
:f7sdRQ1I
#135 [愛華]
「……陽向さん………」
天宮のおでことあたしのおでこがくっつく。
いつもなら怒るけれど、今は
それが嬉しい。
「………どっか行ったり
しないでくださいね……」
「はい…………」
天宮がいるという安心感から
だんだん眠くなってくる。
:11/02/26 15:21
:840SH
:f7sdRQ1I
#136 [愛華]
「天宮………あたし…ね」
「はい」
「天宮の………家族になりたい」
「……………」
「お母さんが見つかるまで。
その後は忘れたっていい。
天宮の……家族でいたい……
できるなら、忘れてほしくは
ないけれど………」
:11/02/26 15:24
:840SH
:f7sdRQ1I
#137 [愛華]
「………」
「天宮…ダメ………かなぁ…」
意識が夢の中へと飛んでゆく。
今なら………眠れる。
「……ダメなわけないだろ…
でも俺は…………」
スースー……
:11/02/26 15:28
:840SH
:f7sdRQ1I
#138 [愛華]
'
…………寝てるし……。
体の力が一気に抜けてゆく。
あどけない顔で眠る
俺の膝の上の小さな女の子。
:11/02/26 15:30
:840SH
:f7sdRQ1I
#139 [愛華]
頬にそっと手を触れると
驚くほど冷たかった。
彼女の心の傷は
俺が思ってるよりももっと
深いところにあって。
『家族になりたい』
それは俺を信頼しはじめた証。
なのに俺は面白くなく
思ってしまった。
:11/02/26 15:35
:840SH
:f7sdRQ1I
#140 [愛華]
「……馬鹿じゃねーの……」
もう一度彼女の額に頭をのせる。
いつか、伝わるだろうか。
「……………好きなんだよ…」
もうじっとなんてしてられない。
もう………我慢なんてできない。
:11/02/26 15:39
:840SH
:f7sdRQ1I
#141 [愛華]
第4章 -桃色革命-
:11/02/27 00:08
:840SH
:liply4fo
#142 [愛華]
きらめき出した日々は幸せで
あたしをいつも知らないところへ連れていってくれる。
初めてのことばかりで
そのどれもが嬉しかったけど。
1番嬉しかったのは
そこに天宮がいてくれたこと。
なんだよ。
:11/02/27 10:16
:840SH
:liply4fo
#143 [愛華]
「じゃーん!!」
「…………なにこれ……」
とあるいつもの日曜日の朝。
目の前には女子用の制服。
と、天宮の満面の笑顔。
これは………。
「……天宮、そーゆー趣味
あったなんて知らなかった…」
:11/02/27 10:24
:840SH
:liply4fo
#144 [愛華]
「はい?」
「コスプレとかそういう…」
「ち・が・い・ます!!これは俺じゃなくて陽向さんが着るの!」
そういってもう一度バッと制服を見せる天宮。
よく見ると胸のところに天宮の
制服と同じ校章がついている。
「学校……行きましょう!」
「はぁぁぁ!?」
:11/02/27 10:31
:840SH
:liply4fo
#145 [愛華]
「俺と同じ高校ですよ!不安なら俺がずっと側にいますし」
「いやいや…そんな問題じゃ
ないでしょ!あたし家出して
きてるんだよ?
保護者だっていないし
身分証明書だってないし……」
「それなら問題ないですから」
「問題ありまくりだってば!」
「陽向さん………」
う……なぜ悲しそうな顔をする!
:11/02/27 13:55
:840SH
:liply4fo
#146 [愛華]
「………俺を信じて?」
「う………あ……」
天宮は汚くなった。
こんなウルウル顔でこんなこと
言われて……断れるわけない。
それを天宮はよーく知ってる。
「で……でもなんで今さら?
あたし中学もまともに行って
ないのに………」
:11/02/27 13:58
:840SH
:liply4fo
#147 [愛華]
「それでも陽向さん、勉強
できるじゃないですか。よく
俺の宿題手伝ってくれるし…」
確かにあたしは前の家にいた頃
中学校には行かずずっと家にいた
それでも勉強はしたかったので
家事の合間をぬって一人で
勉強していた。そのおかげか、
それなりに勉強はできる。
「で………でも…」
「学校行きたいでしょ……?」
:11/02/27 16:23
:840SH
:liply4fo
#148 [愛華]
学校。友達。
それはいつだってあたしの
夢で、憧れで………。
「………うん…行きたい…」
「……じゃあ行きましょう!」
あたしがそう言うと
天宮はにっと笑った。
本当に嬉しそうだなぁ……。
天宮が嬉しそうだとあたしも
嬉しくなってくるから不思議。
:11/02/27 16:49
:840SH
:liply4fo
#149 [愛華]
それにしても学校かぁ……。
なんか緊張するなぁ……
でも天宮がつくってくれた機会
を無駄にするわけにはいかない。
「天宮ありがとうね。学校にまでいかせてくれて………」
あたしは自分の制服をぎゅっと
胸に抱きながら言った。
「……半分は、俺の為なんで」
「え?」
:11/02/27 16:56
:840SH
:liply4fo
#150 [愛華]
「……昼間、さびしいでしょ!」
さびしい?誰が?
………あ、あたしか!
昼間淋しがってるあたしを
気遣ってくれたんだ……。
天宮、やっぱり優しいな。
「……うん、昼間ひとりで
寂しいんだよね。だから
学校行けて嬉しい!!」
:11/02/27 17:04
:840SH
:liply4fo
#151 [愛華]
「……………」
「…?天宮どうしたの?」
「陽向さん、わかってない…」
「え?わかってるよ!気遣って
くれたんだよね?
……………違うの?」
「いや、いいですいいです!!
さ、朝ご飯にしましょう!」
天宮は何かをふっ切るように
凄まじいスピードで朝ごはんを
作り始めた。
:11/02/27 17:08
:840SH
:liply4fo
#152 [愛華]
味噌汁のいいにおいがしてきた頃
後ろから天宮のため息と共に
「道のりは長いなぁ……」
という言葉が聞こえた。
その言葉の意味をあたしは
まだ、知らない。
学校生活が始まります。
:11/02/27 17:12
:840SH
:liply4fo
#153 [愛華]
'
「天宮!!どう、似合う?」
着るのに少し時間がかかった制服でくるっとまわって見せる。
ちょっとだけ大人になれた気分。
:11/02/27 21:53
:840SH
:liply4fo
#154 [愛華]
「うん、よく似合ってますよ」
「ちゃんと見てないじゃん〜」
「見てますって!」
焼きたてのパンをかじると
鏡の自分を見つめる。
「緊張しますか? 」
「んー特にしてないよ?」
「あれ、意外ですね…」
「だって天宮がいるもん」
:11/02/27 22:05
:840SH
:liply4fo
#155 [愛華]
そう言って振り向くと、天宮の
顔が少しだけ赤くなっていた。
「……そーゆーかわいいこと、
学校で他のやつに言わないで
くださいね」
……かわいい?
単に天宮がいると安心 って意味で言っただけなんだけど。
「天宮以外の人に言うわけ
ないじゃん、そんなこと」
「〜〜陽向さん、それどういう
つもりで言ってんですか!?」
:11/02/27 22:11
:840SH
:liply4fo
#156 [愛華]
天宮がずいっと顔を近づける。
はい、きた。この距離。
しかも後ろにはソファで
逃げられないときた。
「だから近いんだってば!
何回言ったらわかんの!?」
「………あの夜は怒んなかった
くせに………」
天宮がチッと舌うちする。
……なんかキャラ違くない?
:11/02/27 22:16
:840SH
:liply4fo
#157 [愛華]
「ちょ、何あの夜って……」
「『家族になりたい』って
言ってくれたあの夜は、近づいたって怒んなかったのに、
今日は怒るんですか!?」
な、なんかいつもと違う…
「あ、あの時はあの時でしょ!
いいから離れろ!!」
ドゴッ!!
気持ちいい朝に気持ちいい
衝撃音が響いた。
:11/02/27 22:23
:840SH
:liply4fo
#158 [愛華]
なりゆきで決まった高校転入。
それは嬉しかったけれど
それよりも…………
『天宮がおかしい』。
学校行きを言い出したことも、
最近の態度も………
ただの気のせいかな?
そんなことを考えてるうちに
今日は初登校の朝です。
:11/02/27 22:39
:840SH
:liply4fo
#159 [愛華]
:11/02/27 22:42
:840SH
:liply4fo
#160 [愛華]
駅から歩いて5分。
そこに『円(まどか)高校』はある
天宮が毎日通う高校だ。
「で、デカイ高校だね……」
ずーんとたたずむその高校は
威風堂々といったかんじで
迫力っていうかオーラがある。
「どこもこんなもんですよ。
建ってからかなり経ちますけど」
:11/02/28 19:26
:840SH
:u./89UKY
#161 [愛華]
「え、校舎は綺麗だけど……」
「一回建て替えてるんです。
裏に旧校舎があるんですけど
あまり近寄らないで下さい」
天宮があたしの前を歩きながら
言う。………機嫌悪いなぁ。
今朝からずっとだ。
殴ったこと怒ってんのかな…
広い廊下に二人の足音が響く。
その音がなんか淋しかったり。
:11/02/28 19:30
:840SH
:u./89UKY
#162 [愛華]
「………天宮ぁ、怒ってる?」
そう聞いた瞬間、
天宮の足がピタッと止まる。
「……俺が?どうして?」
「なんか最近おかしかったしさ。………あたしなんかした?」
「………」
「学校行くの決めたのも……
なんかあたしが気をつかわせっ」
「んなわけないでしょ馬鹿」
:11/02/28 19:42
:840SH
:u./89UKY
#163 [愛華]
あたしの言葉はさえぎられ、
それと同時に天宮の手により
あたしの頬がみょんと伸びた。
「あまみひゃ……いひゃひ…」
「陽向さんが学校行きたいん
じゃないかなって俺が勝手に
おせっかいやいただけ!
最近変だったのは……
まぁ俺の個人の事情だから!
わかった?ほら行きますよ」
「へぁ………」
:11/02/28 20:09
:840SH
:u./89UKY
#164 [愛華]
あたしの頬はしゅるしゅると縮み
今度は天宮の手があたしの手に
伸びた。
ぎゅっと手が握られる。
「…これから校長にあいさつに
行きますから。」
「校……長?」
「陽向さんをこの高校に入れる
のを認めてくれた人ですよ」
校長先生があたしを?
………っていうか。
:11/02/28 20:16
:840SH
:u./89UKY
#165 [愛華]
「天宮、手………」
「陽向さんフラフラどっか
行きそうだからね」
フラフラって………
猫じゃないんだから。
繋いだ手から伝わる天宮の体温は
あたしをひどく緊張させる。
今日から1日じゅう天宮が
一緒なんだ………。
:11/02/28 20:23
:840SH
:u./89UKY
#166 [愛華]
「こ、校長ってどんなひと?
あたしの事情知ってるの?」
あたしが焦ったように聞くと、
天宮が少し顔を歪めた。
「あー…一応話しましたよ。
どんなひとかっていうと……
まぁ会えばわかりますよ…」
……ん?なんか……昔から
よく知ってるみたいな雰囲気。
「…………天宮校長、滝です。
失礼します。」
:11/02/28 20:31
:840SH
:u./89UKY
#167 [愛華]
天宮………校長………
『天宮』ぁ!?
ガチャ………
「おーよく来たね。滝。それと
…………陽向ちゃん、だね」
「へ…………は……」
:11/02/28 21:57
:840SH
:u./89UKY
#168 [愛華]
優しそうな瞳に低い声。
少しだけヒゲが生えてるけど…
でもそっくりだ。この人は……
「陽向さん、紹介しますね。
円高校校長の天宮篠。
俺の父さんでもあります。」
「滝がお世話になってまっす!
ささ、座って座って!!」
天宮父に誘導され、お客用の
椅子に滝とふたり並んで座る。
校長って……天宮のお父さん
だったのか………。
:11/02/28 22:05
:840SH
:u./89UKY
#169 [愛華]
それにしても似てるな……
鼻とか目とか。
「…えーっと…羽田陽向ちゃん。転入テストは合格です。
今日からよろしくね!」
「転入テスト……ってこの前
家で受けたやつ……?」
「そうそう!それそれ!
陽向ちゃん学力的になんの
問題もないってことだから!」
そういって天宮父は笑った。
この人が………あたしを…。
:11/03/01 16:54
:840SH
:jrKBKrFM
#170 [愛華]
「……あ、の…………
ありがとうございました。」
「へ?」
「こんなあたしが……学校に
入るのを認めてくださって。
天宮…くんにも……いつも
すごくお世話になってます」
天宮父がキョトンとあたしを
見つめる。
……あれ?あたしなんか
変なこと言ったかな……!?
:11/03/01 16:57
:840SH
:jrKBKrFM
#171 [愛華]
「………そっかぁ…君が……」
「え?」
「あ、いやいやなんでもない!」
天宮父は笑いをこらえるように
下を向いている。
「……父さん、陽向さんの
クラスは……」
「あ、うん。お前のいうとおり
同じクラスにしといたから」
「ありがとうございます」
:11/03/01 17:01
:840SH
:jrKBKrFM
#172 [愛華]
天宮が頭を下げたので、
あたしも慌てて頭を下げる。
……なんか、親子って感じが
あまりしないな……。
どっちかというと、天宮が
それを拒んでいるような……。
「はは、お礼なんていいよ。
あ、そういえば陽向ちゃんさぁ
滝に変なことされてない?」
「「は?」」
:11/03/01 17:06
:840SH
:jrKBKrFM
#173 [愛華]
天宮とあたしの声が重なった。
「へ、変なことって……」
「いやー滝はこう見えて
すごい僕に似てるからねぇ。」
こう見えて…って見たまんま
そっくりですけど。
「滝が小学生の頃もさぁ、
僕が必死にエロ本隠しても
滝いっつも見つけちゃうの」
「………はい!?」
:11/03/01 17:12
:840SH
:jrKBKrFM
#174 [愛華]
「だから陽向ちゃんも、なにか
盗られてるかもしれないよ?
例えば……………
下着と「はは、何言ってんですか」
天宮が天宮父の言葉に被せる
ようにして笑った。
あ、冗談……?
でも滝の笑い声がなんか
冷たいような……気のせい?
:11/03/01 17:19
:840SH
:jrKBKrFM
#175 [愛華]
「陽向さん、俺少し校長と話が
あるので学校好きに見て
回ってて下さい」
「あ、うんわかったよ」
「では、またあとで」
あたしはもう一度天宮父に
礼をして、校長室を出た。
ふー……なんか緊張したなぁ。
:11/03/01 17:26
:840SH
:jrKBKrFM
#176 [愛華]
それにしても、天宮のお父さんがこの高校の校長だったとは。
あたしは少しだけ寒い廊下を
歩きながら天宮父を思い出す。
……顔は似てるけれど、中身は
正反対だよね………。
だって天宮は普段あんな冗談
言ったりしないし。
いつだって真面目だし。
あれ、そういえば天宮って………
確か家族と喧嘩して家出したって言ってたよね………?
:11/03/01 17:36
:840SH
:jrKBKrFM
#177 [愛華]
見た感じ、喧嘩してる雰囲気は
なかったけど………。
じゃあ何が原因で天宮は
家を出たんだろうか……?
廊下を行くあてもなく進んで
いると、授業開始のベルが
学校中に響き渡った。
:11/03/01 17:43
:840SH
:jrKBKrFM
#178 [愛華]
'
「いやぁ、陽向ちゃんは
純粋ですごくいい子だ……」
「………いい子だ………
じゃねぇ!!くそ親父!!」
:11/03/01 17:46
:840SH
:jrKBKrFM
#179 [愛華]
「うひゃぁ、恐いねぇ〜」
俺はこれでもかって程に
親父をにらみつける。
「つーか俺、あんたのエロ本の
隠し場所なんか知らねぇし!
勝手に話をつくって話すな!」
「えー嘘じゃないのに〜」
甘えたように声を出す。
これが自分の父だなんて……
情けなくて仕方がない。
:11/03/01 17:52
:840SH
:jrKBKrFM
#180 [愛華]
コーヒーを1口飲むと、
その苦味が怒りを少し中和した。
「………礼は言っとく。
陽向さんのことありがとうな」
「はは、そりゃあね。他でもないお前の頼みですから。
ちょっとは無理しますよ」
「ん。ありがとう」
「どういたしまして」
:11/03/01 17:59
:840SH
:jrKBKrFM
#181 [愛華]
にっこり笑いながら紅茶を
すする。父さんは甘党だ。
「……しかしねぇ。家飛び出して
何やってんのかと思ってたら…
まさか女の子と一緒に
暮らしてるなんてなぁ……」
「……………」
「その様子だと、まだ手は
出してないみたいだな?」
「………は?何いって…」
:11/03/02 14:48
:840SH
:HjyICsOQ
#182 [愛華]
「あ、正しくは『出したいけど
出せない』……って感じか?」
「なんであんたにそんなこと
言わなきゃなんないんだよ!」
「はは、図星だな!やるなぁ滝!
女の子見る目あるよお前」
「黙れクソ親父!!」
ムカつく!!なんだかんだ
言ってもやっぱ父なわけで。
離れていても考えてることは
お見通しなわけで……。
:11/03/02 15:03
:840SH
:HjyICsOQ
#183 [愛華]
父さんは椅子に座ったまま
のけ反るように天井を見上げる。
「……でもそれはちょいとさ、
陽向ちゃんにとっちゃ酷
なんじゃないの?」
「…………酷?」
俺が聞き直すと、俺を見ないまま父さんは続ける。
「だって陽向ちゃんは滝のこと
家族みたいに思ってるんでしょ」
:11/03/02 15:09
:840SH
:HjyICsOQ
#184 [愛華]
グサッ…………
「陽向ちゃんからしたらさぁ、
滝の気持ちはいい迷惑じゃん。
てゆーか滝の気持ち知ったら
安心して一緒にいれないよね」
グサグサッ…………
自分が今まで見ないふりを
していたことを見事に
撃ち抜かれた気がした。
:11/03/02 15:13
:840SH
:HjyICsOQ
#185 [愛華]
『家族になりたい』
陽向さんはそう言った。
つまりそれは………
俺を『そういう目』でしか
見れないということ。
それを根本から覆すにはそれ
相応の努力が必要なわけで。
「…………はぁ〜……」
俺はため息をつきながら
机に頭をコツンとつける。
:11/03/02 15:18
:840SH
:HjyICsOQ
#186 [愛華]
「なに?落ち込んでんの?」
「違う。後悔してる。
間違えた………」
「間違えた?なにを?」
父さんは興味津々というように
身を乗り出して俺の言葉を待つ。
「…………出会った頃。
とにかく怖がらせないように、
信頼してもらえるように…って
そればっか考えて接したこと。
………をすげぇ後悔してる」
:11/03/02 15:26
:840SH
:HjyICsOQ
#187 [愛華]
「ふぅん……」
「家族として接したことなんか
一回もないんだけどなぁ…」
そこまで話してハッとした。
なんでこんなこと話してんだ。
「まぁ父さんは応援するよ。
愚痴りたくなったらおいで」
「もう来ないし。」
ハハハッと笑いあう。
:11/03/02 15:31
:840SH
:HjyICsOQ
#188 [愛華]
「……………母さん、元気?」
俺が静かにそう聞くと、父さんは
少し悲しそうな顔をして
「元気すぎて迷惑なくらいだよ」
と笑った。
元気すぎて迷惑って。
意味わかんないし。
でも一応笑っておいた。
:11/03/02 15:36
:840SH
:HjyICsOQ
#189 [愛華]
コーヒーが飲み終わったのと
ほぼ同時に授業終了のベルが
なったので俺は立ち上がった。
「あ、授業出るの?」
「いや、陽向さん迎えに行って帰る
明日から授業はいるわ」
「わかった。またな」
「うん」
陽向さん、どこにいんのかな…
:11/03/02 15:45
:840SH
:HjyICsOQ
#190 [愛華]
そんなことを考えながら
ドアに手をかけると、後ろから
父さんに呼び止められる。
「………滝!」
「ん?まだなんかある?」
「……陽向ちゃん、可愛いから
ボケッとしてるともってかれる
かもよ。学校には敵なんか
いくらでもいるんだからな」
「…………余計なお世話だ」
:11/03/02 15:50
:840SH
:HjyICsOQ
#191 [愛華]
ガチャン………
ドアを閉める音が響いた。
今の言葉が
あながち間違いではないような
気がしてならない。
そんな俺の不安がすぐに
当たることになるなんて
この時は知る由もなかった。
:11/03/02 16:07
:840SH
:HjyICsOQ
#192 [愛華]
'
「…………ここはどこだ…」
あっちこち見て回っていたら
校長室がどこなのか忘れて
しまった。第一、この学校
広すぎ…………。
:11/03/03 19:49
:840SH
:9/37jmN2
#193 [愛華]
教室もいくつか見たけれど、
中では当たり前のように生徒
たちが勉強していて、
あたしもそこに加われるんだって思うとなんだか嬉しかった。
「……確か2階だったっけ…」
お城にあるような螺旋状の階段をゆっくりと上がっていく。
慣れるまで時間かかりそ……。
……天宮、話終わったのかなぁ…
:11/03/03 20:00
:840SH
:9/37jmN2
#194 [愛華]
そんなことを考えながら階段を
上り終え、角を曲がると
遠くに人が座っているのが見えた
あれ?今授業中なのに……
天宮………じゃないよね。
その人は体育座りで膝に顔を
埋めていて表情が見えない。
どうやら女の子みたいだ。
:11/03/03 21:23
:840SH
:9/37jmN2
#195 [愛華]
そぉーっと近づく。
あたしには気づいてないみたい。
「……………あの……」
「んぁっ!」
「ひっ!!」
女の子はガバッと立ち上がった
と思うと、あたしに
抱き着いてきた。
その間、わずか2秒。
:11/03/03 21:27
:840SH
:9/37jmN2
#196 [愛華]
「ちょっ、なにすんですか!」
び、びっくりしたぁ!
寝ぼけてんの、このひと!?
あたしは腕を離そうとするけど
力がハンパなく強い!
全然離れないし!!
「は、離れてよ!!てゆーか…」
「見ない顔だね。転校生?」
:11/03/03 21:31
:840SH
:9/37jmN2
#197 [愛華]
女の子が顔をあげる。
か………かわいい……。
フワフワの髪に綺麗な目。
いかにも女の子って感じ。
でも、あれ…………?
なんかさっき違和感が………。
…って今はそれどこじゃなくて!
:11/03/03 21:34
:840SH
:9/37jmN2
#198 [愛華]
「……あ、の……とりあえず
離れてもらっても………」
「あ、ごめんね!あたしさぁ
誰にでも抱き着いちゃうクセ
あってさぁ!ほんとごめん!」
す、すごいクセだな………。
やっと離れた女の子をじっくり
見ても、やっぱりかわいい。
色白いし……モテそう……。
「……あの、名前は……」
:11/03/03 21:43
:840SH
:9/37jmN2
#199 [愛華]
「東谷皐月(あずまやさつき)。
あなたの名前は?」
きょるんとした目で聞く。
「あたしは、羽田陽向。んと、
今日からこの学校でお世話に…
なることに、なりまして……」
な、なんか同じくらいの歳の
女の子と話すのなんか久しぶりで話しかたがわからない……。
合ってんのかな、これで……?
「フフッ。陽向ちゃん今日から
よろしくね!」
:11/03/03 21:52
:840SH
:9/37jmN2
#200 [愛華]
「よ、よろしくね!」
皐月ちゃんがにっこり笑いながら右手を差し出したので、
あたしは戸惑いながら握る。
うわぁ、嬉しいなぁ……。
あくしゅなんて初めて……。
あたしが感動に浸っていると、
あたしの手を握ったまま、
笑顔で皐月ちゃんがつぶやく。
「…………C♪」
:11/03/03 21:56
:840SH
:9/37jmN2
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194