Stay with me...
最新 最初 🆕
#101 [愛華]
澄み渡るような青空
あたたかい陽射し
それはあたしには眩しすぎた。





「天宮ー!!はやくはやく!」

「はいはい」


誰かと出かけるなんて
何年ぶりのことなんだろう。

あたしは久しぶりの世界に
目を輝かせていた。

⏰:11/02/24 20:01 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#102 [愛華]
「陽向さん、あまりはしゃぎ
すぎると疲れますよ……」

「疲れない疲れない!」


そういうあたしと天宮の手には
服や日常品などの荷物がいっぱい
といっても選んだのはほとんど
天宮なんだけれど……
下着などはさすがにひとりで
選んだ。


初めてすることのように新鮮で
嬉しくて楽しくてワクワクする。

⏰:11/02/24 20:20 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#103 [愛華]
「ちょっと休みましょう、
陽向さんも疲れたでしょう?」

「えー疲れてないのに……」

「飲み物買ってきますから!
荷物お願いしますね」


天宮はそういってにっこり笑うと荷物を置いて走っていった。


……行っちゃった。
てか天宮が疲れてたんだな(笑)

道行くひとたちを見つめる。

⏰:11/02/24 20:41 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#104 [愛華]
'






笑いながら、歩くひとたち。


幸せそうだなぁ。

これからの予定とか、ご飯を
何食べるのか、とか。

そんなことを話しながら
笑いあってるのかな……。

⏰:11/02/24 20:55 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#105 [愛華]
それは日常に溢れてるけれど
あたしには手にできない
欲しくてももらえないものだった







あれ。声、が………。





ヒナタ………ドコニイル…?

⏰:11/02/24 20:58 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#106 [愛華]
「………………っ」




「おーぃ、陽向さん!」



聞いたことある、声。
あたしを安心させる声。
あの人では…………ない。



大丈夫だよ、陽向………。
安心していいんだよ。
ここにあいつはいないんだよ。

⏰:11/02/24 21:01 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#107 [愛華]
「………どうかしました?」


天宮はあたしの顔をひょいっと
覗きこむ。


「なんでもない!あ、コーラ
大好き。ありがとね」

「どういたしまして」


天宮はあたしにコーラを渡すと
隣の荷物をよけて座った。


「……何みてたんですか?」

⏰:11/02/24 21:04 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#108 [愛華]
「ん、人を見てたの。
幸せそうだなって思って」

「そうですか………」

「ね、天宮」

「はい」

「あたしの名前ね、お母さんが
つけてくれたんだ……」

「……………」


あたしは空を見上げる。
そこにはいつだって太陽が
輝いている。見えなくたって
いつもそこにいる。

⏰:11/02/24 21:10 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#109 [愛華]
「陽がいつもあたしに向かう
ように。あたしをいつも
照らしてくれるように、って」


毎日夢に見る。
お母さんが笑顔であたしを
迎えに来てくれる夢。


あいつから逃げるため……
そんなことよりも先に。
お母さんに会いたかったんだ。


「…陽は…向かわない日の
ほうが多いけれど………」

⏰:11/02/24 21:17 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#110 [愛華]
「そんなことないですよ」


照り付ける陽射しに天宮が
重なる。
逆光で表情が見えない。



「…………いい名前ですね」




あ。笑ってた………。
天宮の笑顔はあたしをほわって
あたたかくさせる。

⏰:11/02/24 21:32 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#111 [愛華]
ここにいるのは………天宮。
天宮だけ。だから大丈夫。




「…………ありがと」

あたしが微笑むと、天宮も
それに答えるように微笑む。


「ね、天宮の名前の由来は?」

「俺ですか?」

「うん、滝ってめずらしいし…」

⏰:11/02/24 21:37 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#112 [愛華]
「んー…なんですかね?聞いた
ことないしわかんない」

「ふぅん……」


そういえば親と喧嘩してるん
だっけ………でも生活費は?
どうして喧嘩したんだろう…



あたし、天宮のこと知らない。
なにも、知らない………。



胸がちくんと痛んだ。

⏰:11/02/24 21:50 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#113 [愛華]
「………天宮、あのさ…」

「はい?」

「天宮の家族って………その、
なんで喧嘩したの……?」

「あぁ…………それね」


天宮はすぅっと息を吐く。


「どーでもいい親子喧嘩ですよ」



線をひかれた気がした。

⏰:11/02/24 21:59 📱:840SH 🆔:BPvwoRDc


#114 [愛華]
なにかはわからないけれど


天宮とあたしの間にひとつの
壁があるような…………


当たり前、か。
知り合って間もないあたし達に
壁があるなんて当たり前。



どうすれば天宮のことを
心から信頼して、信頼して
もらえるようになるのかな…

あたしには、難しいよ………。

⏰:11/02/25 20:50 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#115 [愛華]
人を信頼するのに
時間は必要なんだろうか?


短い期間で築いた信頼関係は
浅いものでしかないのかな。

触れたら崩れ落ちるような。



だとしたら天宮を信頼したいと
願うあたし

お母さんに会いたいと願うあたし


どちらの願いが先に叶う?

⏰:11/02/25 23:43 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#116 [愛華]
あるいは…………


どちらも叶わない…………?













ヒナタ…………。

⏰:11/02/25 23:44 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#117 [愛華]
またあなた。

どうしてあたしを苦しめるの?




ごめんなさい。謝るから。
もう痛いのは嫌だよ………





ごめんなさい……ごめんなさい…


あたしの名前を呼ばないで。

⏰:11/02/25 23:46 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#118 [愛華]
ヒナタ………………







嫌だ……………



逃げなきゃ。






「………………いやぁっ!!」

⏰:11/02/25 23:48 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#119 [愛華]
飛び起きると、あたりは
真っ暗だった。



ここ………どこ?


あたしどうしてベッドに……


汗で体がベタベタする。




そうだ…………逃げなきゃ。

⏰:11/02/25 23:49 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#120 [愛華]
逃げなきゃ。逃げなきゃ。




ガチャン!





「………陽向さん、どうしたん
ですか?今2時ですよ…?
眠れないんですか?」


言葉の意味を理解できない。

⏰:11/02/25 23:52 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#121 [愛華]
あたしを見て驚いた顔をしてる。この男の人は…………




誰?





ガチャン!



「!!陽向さん、どこ行くの!」

⏰:11/02/25 23:54 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#122 [愛華]
逃げなきゃいけない。
その恐怖だけがあたしを支配する


ここはどこ?
あなたはだれ?


どうでもいい。
あいつが来る。逃げなきゃ。



「逃げなきゃいけないの!」

「陽向さん…!」

⏰:11/02/25 23:58 📱:840SH 🆔:.jQ6zlYk


#123 [愛華]
玄関を開けようとしたあたしの
手を男は必死で掴む。


「離してよぉ!!」

「陽向さ………」

「嫌ぁ!ごめんなさい…
ごめんなさ……ごめんなさい…」

「こっちむいて下さい!!」

あたしの顔を男は自分のほうに
向かせようとするけれど
あたしの体がそれを拒否する。

⏰:11/02/26 00:03 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#124 [愛華]
男の腕の中で暴れ続けるあたしはいつのまにか泣いていた。


「離して!いやぁ!!」




「…………俺を見ろよ!!」



体の震えが止まる。


男と視線が交わる。

⏰:11/02/26 00:08 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#125 [愛華]
不安そうな瞳であたしを強く
見つめるその人の頬には
あたしが引っかいたであろう
傷から血が流れていた。



この人を……知ってる。



あたしは知ってる。





「………………天宮…」

⏰:11/02/26 00:10 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#126 [愛華]
「……そうです。天宮ですよ」


天宮は微笑んだ。



「……はぁっはぁっはぁっ」

「大丈夫ですか!?」


呼吸が上手くできない。
やば………………まただ。



天宮はあたしを抱きかかえると
丁寧にリビングにつれてゆく。

⏰:11/02/26 00:13 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#127 [愛華]
天宮はあたしをソファに下ろすと
コップに水を汲んであたしの
もとに持ってくる。



「………飲めますか?」

「はっ……や……薬………」

「薬?薬があるんですか!?」

「部屋………」

意識が朦朧とする中で必死に
天宮に伝える。

⏰:11/02/26 12:17 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#128 [愛華]
'






あたし、なにやってんだろ。

一人で勝手に苦しんで……



天宮は…………



こんなあたしは嫌い……?

⏰:11/02/26 12:19 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#129 [愛華]
そこにいるのは誰?



お母さんなの?



違う………この匂い……


甘くてあたたかいにおい。


この知らない町であたしに
安らぎをあたえてくれた。

⏰:11/02/26 12:26 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#130 [愛華]
誰でもよかったわけじゃない。


優しそうに笑うあなただから
抱きしめてくれたあなただから


「わがままを言ってもいい」


そう言ってくれたあなただから。



あたしは………

⏰:11/02/26 12:30 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#131 [愛華]
「……………ん…」

「陽向さん…俺ですよ。
わかりますか………」


目を開けるとそこには天宮の顔。



「天宮……だよね…」

「はい」

「ひざ枕……恥ずかしい…」

「今さら何言ってんですか」

⏰:11/02/26 12:36 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#132 [愛華]
安心したように笑う天宮。
それがあたしを安心させる。


時計を見ると2時半。
30分しか経っていなかった。



「薬……いつから飲んでたの?」

「半年くらい前………から
たまに。こうなった時に…」

「そうですか………」

「黙っててごめん………」

⏰:11/02/26 12:44 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#133 [愛華]
あたしは天宮の頬についた傷に
ゆっくりと触れる。
触れた瞬間、天宮が少しだけ
ピクッと反応した。


「………引っ掻いてごめん…」

「こんなのどーでもいいです」


握られるあたしの手。
近くで見る天宮はすごく綺麗な
顔をしていて不謹慎にも
かっこいいと思ってしまった。


あたし………は。

⏰:11/02/26 12:51 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#134 [愛華]
「天宮………?」

「なんですか?」

「あたしのこと、変だって
思った?おかしいやつだって」

「思うわけないでしょ」

「よかった………」


涙が自然に流れていく。

安心したのか、嬉しかったのか
自分でもわからないけれど……

⏰:11/02/26 12:56 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#135 [愛華]
「……陽向さん………」


天宮のおでことあたしのおでこがくっつく。
いつもなら怒るけれど、今は
それが嬉しい。



「………どっか行ったり
しないでくださいね……」

「はい…………」


天宮がいるという安心感から
だんだん眠くなってくる。

⏰:11/02/26 15:21 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#136 [愛華]
「天宮………あたし…ね」

「はい」



「天宮の………家族になりたい」

「……………」

「お母さんが見つかるまで。
その後は忘れたっていい。
天宮の……家族でいたい……


できるなら、忘れてほしくは
ないけれど………」

⏰:11/02/26 15:24 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#137 [愛華]
「………」

「天宮…ダメ………かなぁ…」


意識が夢の中へと飛んでゆく。
今なら………眠れる。



「……ダメなわけないだろ…
でも俺は…………」




スースー……

⏰:11/02/26 15:28 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#138 [愛華]
'








…………寝てるし……。


体の力が一気に抜けてゆく。


あどけない顔で眠る
俺の膝の上の小さな女の子。

⏰:11/02/26 15:30 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#139 [愛華]
頬にそっと手を触れると
驚くほど冷たかった。


彼女の心の傷は
俺が思ってるよりももっと
深いところにあって。



『家族になりたい』

それは俺を信頼しはじめた証。

なのに俺は面白くなく
思ってしまった。

⏰:11/02/26 15:35 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#140 [愛華]
「……馬鹿じゃねーの……」




もう一度彼女の額に頭をのせる。
いつか、伝わるだろうか。





「……………好きなんだよ…」




もうじっとなんてしてられない。
もう………我慢なんてできない。

⏰:11/02/26 15:39 📱:840SH 🆔:f7sdRQ1I


#141 [愛華]
第4章 -桃色革命-

⏰:11/02/27 00:08 📱:840SH 🆔:liply4fo


#142 [愛華]
きらめき出した日々は幸せで
あたしをいつも知らないところへ連れていってくれる。


初めてのことばかりで
そのどれもが嬉しかったけど。



1番嬉しかったのは
そこに天宮がいてくれたこと。





なんだよ。

⏰:11/02/27 10:16 📱:840SH 🆔:liply4fo


#143 [愛華]
「じゃーん!!」

「…………なにこれ……」




とあるいつもの日曜日の朝。
目の前には女子用の制服。


と、天宮の満面の笑顔。


これは………。


「……天宮、そーゆー趣味
あったなんて知らなかった…」

⏰:11/02/27 10:24 📱:840SH 🆔:liply4fo


#144 [愛華]
「はい?」

「コスプレとかそういう…」

「ち・が・い・ます!!これは俺じゃなくて陽向さんが着るの!」


そういってもう一度バッと制服を見せる天宮。
よく見ると胸のところに天宮の
制服と同じ校章がついている。


「学校……行きましょう!」

「はぁぁぁ!?」

⏰:11/02/27 10:31 📱:840SH 🆔:liply4fo


#145 [愛華]
「俺と同じ高校ですよ!不安なら俺がずっと側にいますし」

「いやいや…そんな問題じゃ
ないでしょ!あたし家出して
きてるんだよ?

保護者だっていないし
身分証明書だってないし……」

「それなら問題ないですから」

「問題ありまくりだってば!」

「陽向さん………」


う……なぜ悲しそうな顔をする!

⏰:11/02/27 13:55 📱:840SH 🆔:liply4fo


#146 [愛華]
「………俺を信じて?」

「う………あ……」



天宮は汚くなった。
こんなウルウル顔でこんなこと
言われて……断れるわけない。
それを天宮はよーく知ってる。



「で……でもなんで今さら?
あたし中学もまともに行って
ないのに………」

⏰:11/02/27 13:58 📱:840SH 🆔:liply4fo


#147 [愛華]
「それでも陽向さん、勉強
できるじゃないですか。よく
俺の宿題手伝ってくれるし…」


確かにあたしは前の家にいた頃
中学校には行かずずっと家にいた
それでも勉強はしたかったので
家事の合間をぬって一人で
勉強していた。そのおかげか、
それなりに勉強はできる。


「で………でも…」

「学校行きたいでしょ……?」

⏰:11/02/27 16:23 📱:840SH 🆔:liply4fo


#148 [愛華]
学校。友達。
それはいつだってあたしの
夢で、憧れで………。




「………うん…行きたい…」



「……じゃあ行きましょう!」



あたしがそう言うと
天宮はにっと笑った。
本当に嬉しそうだなぁ……。
天宮が嬉しそうだとあたしも
嬉しくなってくるから不思議。

⏰:11/02/27 16:49 📱:840SH 🆔:liply4fo


#149 [愛華]
それにしても学校かぁ……。
なんか緊張するなぁ……
でも天宮がつくってくれた機会
を無駄にするわけにはいかない。



「天宮ありがとうね。学校にまでいかせてくれて………」

あたしは自分の制服をぎゅっと
胸に抱きながら言った。



「……半分は、俺の為なんで」

「え?」

⏰:11/02/27 16:56 📱:840SH 🆔:liply4fo


#150 [愛華]
「……昼間、さびしいでしょ!」




さびしい?誰が?

………あ、あたしか!
昼間淋しがってるあたしを
気遣ってくれたんだ……。

天宮、やっぱり優しいな。



「……うん、昼間ひとりで
寂しいんだよね。だから
学校行けて嬉しい!!」

⏰:11/02/27 17:04 📱:840SH 🆔:liply4fo


#151 [愛華]
「……………」

「…?天宮どうしたの?」

「陽向さん、わかってない…」

「え?わかってるよ!気遣って
くれたんだよね?

……………違うの?」

「いや、いいですいいです!!
さ、朝ご飯にしましょう!」


天宮は何かをふっ切るように
凄まじいスピードで朝ごはんを
作り始めた。

⏰:11/02/27 17:08 📱:840SH 🆔:liply4fo


#152 [愛華]
味噌汁のいいにおいがしてきた頃
後ろから天宮のため息と共に

「道のりは長いなぁ……」

という言葉が聞こえた。


その言葉の意味をあたしは
まだ、知らない。






学校生活が始まります。

⏰:11/02/27 17:12 📱:840SH 🆔:liply4fo


#153 [愛華]
'










「天宮!!どう、似合う?」

着るのに少し時間がかかった制服でくるっとまわって見せる。

ちょっとだけ大人になれた気分。

⏰:11/02/27 21:53 📱:840SH 🆔:liply4fo


#154 [愛華]
「うん、よく似合ってますよ」

「ちゃんと見てないじゃん〜」

「見てますって!」



焼きたてのパンをかじると
鏡の自分を見つめる。


「緊張しますか? 」

「んー特にしてないよ?」

「あれ、意外ですね…」

「だって天宮がいるもん」

⏰:11/02/27 22:05 📱:840SH 🆔:liply4fo


#155 [愛華]
そう言って振り向くと、天宮の
顔が少しだけ赤くなっていた。


「……そーゆーかわいいこと、
学校で他のやつに言わないで
くださいね」


……かわいい?
単に天宮がいると安心 って意味で言っただけなんだけど。


「天宮以外の人に言うわけ
ないじゃん、そんなこと」


「〜〜陽向さん、それどういう
つもりで言ってんですか!?」

⏰:11/02/27 22:11 📱:840SH 🆔:liply4fo


#156 [愛華]
天宮がずいっと顔を近づける。


はい、きた。この距離。
しかも後ろにはソファで
逃げられないときた。


「だから近いんだってば!
何回言ったらわかんの!?」

「………あの夜は怒んなかった
くせに………」


天宮がチッと舌うちする。
……なんかキャラ違くない?

⏰:11/02/27 22:16 📱:840SH 🆔:liply4fo


#157 [愛華]
「ちょ、何あの夜って……」

「『家族になりたい』って
言ってくれたあの夜は、近づいたって怒んなかったのに、
今日は怒るんですか!?」

な、なんかいつもと違う…


「あ、あの時はあの時でしょ!
いいから離れろ!!」



ドゴッ!!


気持ちいい朝に気持ちいい
衝撃音が響いた。

⏰:11/02/27 22:23 📱:840SH 🆔:liply4fo


#158 [愛華]
なりゆきで決まった高校転入。


それは嬉しかったけれど
それよりも…………


『天宮がおかしい』。


学校行きを言い出したことも、
最近の態度も………

ただの気のせいかな?


そんなことを考えてるうちに
今日は初登校の朝です。

⏰:11/02/27 22:39 📱:840SH 🆔:liply4fo


#159 [愛華]
今日の更新分です。
>>141-159

⏰:11/02/27 22:42 📱:840SH 🆔:liply4fo


#160 [愛華]
駅から歩いて5分。
そこに『円(まどか)高校』はある
天宮が毎日通う高校だ。




「で、デカイ高校だね……」

ずーんとたたずむその高校は
威風堂々といったかんじで
迫力っていうかオーラがある。


「どこもこんなもんですよ。
建ってからかなり経ちますけど」

⏰:11/02/28 19:26 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#161 [愛華]
「え、校舎は綺麗だけど……」

「一回建て替えてるんです。
裏に旧校舎があるんですけど
あまり近寄らないで下さい」



天宮があたしの前を歩きながら
言う。………機嫌悪いなぁ。
今朝からずっとだ。
殴ったこと怒ってんのかな…




広い廊下に二人の足音が響く。
その音がなんか淋しかったり。

⏰:11/02/28 19:30 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#162 [愛華]
「………天宮ぁ、怒ってる?」


そう聞いた瞬間、
天宮の足がピタッと止まる。


「……俺が?どうして?」

「なんか最近おかしかったしさ。………あたしなんかした?」

「………」

「学校行くの決めたのも……
なんかあたしが気をつかわせっ」

「んなわけないでしょ馬鹿」

⏰:11/02/28 19:42 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#163 [愛華]
あたしの言葉はさえぎられ、
それと同時に天宮の手により
あたしの頬がみょんと伸びた。



「あまみひゃ……いひゃひ…」

「陽向さんが学校行きたいん
じゃないかなって俺が勝手に
おせっかいやいただけ!
最近変だったのは……

まぁ俺の個人の事情だから!
わかった?ほら行きますよ」

「へぁ………」

⏰:11/02/28 20:09 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#164 [愛華]
あたしの頬はしゅるしゅると縮み
今度は天宮の手があたしの手に
伸びた。
ぎゅっと手が握られる。


「…これから校長にあいさつに
行きますから。」

「校……長?」

「陽向さんをこの高校に入れる
のを認めてくれた人ですよ」


校長先生があたしを?
………っていうか。

⏰:11/02/28 20:16 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#165 [愛華]
「天宮、手………」

「陽向さんフラフラどっか
行きそうだからね」


フラフラって………
猫じゃないんだから。



繋いだ手から伝わる天宮の体温は
あたしをひどく緊張させる。


今日から1日じゅう天宮が
一緒なんだ………。

⏰:11/02/28 20:23 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#166 [愛華]
「こ、校長ってどんなひと?
あたしの事情知ってるの?」

あたしが焦ったように聞くと、
天宮が少し顔を歪めた。


「あー…一応話しましたよ。
どんなひとかっていうと……
まぁ会えばわかりますよ…」


……ん?なんか……昔から
よく知ってるみたいな雰囲気。



「…………天宮校長、滝です。
失礼します。」

⏰:11/02/28 20:31 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#167 [愛華]
天宮………校長………



『天宮』ぁ!?



ガチャ………



「おーよく来たね。滝。それと
…………陽向ちゃん、だね」


「へ…………は……」

⏰:11/02/28 21:57 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#168 [愛華]
優しそうな瞳に低い声。
少しだけヒゲが生えてるけど…
でもそっくりだ。この人は……



「陽向さん、紹介しますね。
円高校校長の天宮篠。
俺の父さんでもあります。」

「滝がお世話になってまっす!
ささ、座って座って!!」


天宮父に誘導され、お客用の
椅子に滝とふたり並んで座る。


校長って……天宮のお父さん
だったのか………。

⏰:11/02/28 22:05 📱:840SH 🆔:u./89UKY


#169 [愛華]
それにしても似てるな……
鼻とか目とか。


「…えーっと…羽田陽向ちゃん。転入テストは合格です。
今日からよろしくね!」

「転入テスト……ってこの前
家で受けたやつ……?」

「そうそう!それそれ!
陽向ちゃん学力的になんの
問題もないってことだから!」


そういって天宮父は笑った。
この人が………あたしを…。

⏰:11/03/01 16:54 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#170 [愛華]
「……あ、の…………
ありがとうございました。」

「へ?」

「こんなあたしが……学校に
入るのを認めてくださって。
天宮…くんにも……いつも
すごくお世話になってます」


天宮父がキョトンとあたしを
見つめる。



……あれ?あたしなんか
変なこと言ったかな……!?

⏰:11/03/01 16:57 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#171 [愛華]
「………そっかぁ…君が……」

「え?」

「あ、いやいやなんでもない!」

天宮父は笑いをこらえるように
下を向いている。



「……父さん、陽向さんの
クラスは……」

「あ、うん。お前のいうとおり
同じクラスにしといたから」

「ありがとうございます」

⏰:11/03/01 17:01 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#172 [愛華]
天宮が頭を下げたので、
あたしも慌てて頭を下げる。



……なんか、親子って感じが
あまりしないな……。
どっちかというと、天宮が
それを拒んでいるような……。



「はは、お礼なんていいよ。
あ、そういえば陽向ちゃんさぁ
滝に変なことされてない?」


「「は?」」

⏰:11/03/01 17:06 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#173 [愛華]
天宮とあたしの声が重なった。


「へ、変なことって……」

「いやー滝はこう見えて
すごい僕に似てるからねぇ。」


こう見えて…って見たまんま
そっくりですけど。


「滝が小学生の頃もさぁ、
僕が必死にエロ本隠しても
滝いっつも見つけちゃうの」

「………はい!?」

⏰:11/03/01 17:12 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#174 [愛華]
「だから陽向ちゃんも、なにか
盗られてるかもしれないよ?
例えば……………

下着と「はは、何言ってんですか」



天宮が天宮父の言葉に被せる
ようにして笑った。



あ、冗談……?
でも滝の笑い声がなんか
冷たいような……気のせい?

⏰:11/03/01 17:19 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#175 [愛華]
「陽向さん、俺少し校長と話が
あるので学校好きに見て
回ってて下さい」

「あ、うんわかったよ」

「では、またあとで」



あたしはもう一度天宮父に
礼をして、校長室を出た。





ふー……なんか緊張したなぁ。

⏰:11/03/01 17:26 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#176 [愛華]
それにしても、天宮のお父さんがこの高校の校長だったとは。

あたしは少しだけ寒い廊下を
歩きながら天宮父を思い出す。


……顔は似てるけれど、中身は
正反対だよね………。


だって天宮は普段あんな冗談
言ったりしないし。
いつだって真面目だし。


あれ、そういえば天宮って………
確か家族と喧嘩して家出したって言ってたよね………?

⏰:11/03/01 17:36 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#177 [愛華]
見た感じ、喧嘩してる雰囲気は
なかったけど………。



じゃあ何が原因で天宮は
家を出たんだろうか……?





廊下を行くあてもなく進んで
いると、授業開始のベルが
学校中に響き渡った。

⏰:11/03/01 17:43 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#178 [愛華]
'










「いやぁ、陽向ちゃんは
純粋ですごくいい子だ……」


「………いい子だ………


じゃねぇ!!くそ親父!!」

⏰:11/03/01 17:46 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#179 [愛華]
「うひゃぁ、恐いねぇ〜」


俺はこれでもかって程に
親父をにらみつける。


「つーか俺、あんたのエロ本の
隠し場所なんか知らねぇし!
勝手に話をつくって話すな!」

「えー嘘じゃないのに〜」


甘えたように声を出す。
これが自分の父だなんて……
情けなくて仕方がない。

⏰:11/03/01 17:52 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#180 [愛華]
コーヒーを1口飲むと、
その苦味が怒りを少し中和した。




「………礼は言っとく。
陽向さんのことありがとうな」

「はは、そりゃあね。他でもないお前の頼みですから。
ちょっとは無理しますよ」

「ん。ありがとう」

「どういたしまして」

⏰:11/03/01 17:59 📱:840SH 🆔:jrKBKrFM


#181 [愛華]
にっこり笑いながら紅茶を
すする。父さんは甘党だ。



「……しかしねぇ。家飛び出して
何やってんのかと思ってたら…
まさか女の子と一緒に
暮らしてるなんてなぁ……」

「……………」

「その様子だと、まだ手は
出してないみたいだな?」

「………は?何いって…」

⏰:11/03/02 14:48 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#182 [愛華]
「あ、正しくは『出したいけど
出せない』……って感じか?」

「なんであんたにそんなこと
言わなきゃなんないんだよ!」

「はは、図星だな!やるなぁ滝!
女の子見る目あるよお前」

「黙れクソ親父!!」


ムカつく!!なんだかんだ
言ってもやっぱ父なわけで。

離れていても考えてることは
お見通しなわけで……。

⏰:11/03/02 15:03 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#183 [愛華]
父さんは椅子に座ったまま
のけ反るように天井を見上げる。



「……でもそれはちょいとさ、
陽向ちゃんにとっちゃ酷
なんじゃないの?」

「…………酷?」

俺が聞き直すと、俺を見ないまま父さんは続ける。


「だって陽向ちゃんは滝のこと
家族みたいに思ってるんでしょ」

⏰:11/03/02 15:09 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#184 [愛華]
グサッ…………



「陽向ちゃんからしたらさぁ、
滝の気持ちはいい迷惑じゃん。

てゆーか滝の気持ち知ったら
安心して一緒にいれないよね」


グサグサッ…………


自分が今まで見ないふりを
していたことを見事に
撃ち抜かれた気がした。

⏰:11/03/02 15:13 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#185 [愛華]
『家族になりたい』


陽向さんはそう言った。
つまりそれは………
俺を『そういう目』でしか
見れないということ。


それを根本から覆すにはそれ
相応の努力が必要なわけで。



「…………はぁ〜……」


俺はため息をつきながら
机に頭をコツンとつける。

⏰:11/03/02 15:18 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#186 [愛華]
「なに?落ち込んでんの?」

「違う。後悔してる。
間違えた………」

「間違えた?なにを?」


父さんは興味津々というように
身を乗り出して俺の言葉を待つ。


「…………出会った頃。
とにかく怖がらせないように、
信頼してもらえるように…って
そればっか考えて接したこと。

………をすげぇ後悔してる」

⏰:11/03/02 15:26 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#187 [愛華]
「ふぅん……」

「家族として接したことなんか
一回もないんだけどなぁ…」


そこまで話してハッとした。
なんでこんなこと話してんだ。



「まぁ父さんは応援するよ。
愚痴りたくなったらおいで」

「もう来ないし。」


ハハハッと笑いあう。

⏰:11/03/02 15:31 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#188 [愛華]
「……………母さん、元気?」


俺が静かにそう聞くと、父さんは
少し悲しそうな顔をして

「元気すぎて迷惑なくらいだよ」

と笑った。


元気すぎて迷惑って。
意味わかんないし。

でも一応笑っておいた。

⏰:11/03/02 15:36 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#189 [愛華]
コーヒーが飲み終わったのと
ほぼ同時に授業終了のベルが
なったので俺は立ち上がった。


「あ、授業出るの?」

「いや、陽向さん迎えに行って帰る
明日から授業はいるわ」

「わかった。またな」

「うん」


陽向さん、どこにいんのかな…

⏰:11/03/02 15:45 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#190 [愛華]
そんなことを考えながら
ドアに手をかけると、後ろから
父さんに呼び止められる。



「………滝!」

「ん?まだなんかある?」


「……陽向ちゃん、可愛いから
ボケッとしてるともってかれる
かもよ。学校には敵なんか
いくらでもいるんだからな」



「…………余計なお世話だ」

⏰:11/03/02 15:50 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#191 [愛華]
ガチャン………



ドアを閉める音が響いた。


今の言葉が
あながち間違いではないような
気がしてならない。


そんな俺の不安がすぐに
当たることになるなんて


この時は知る由もなかった。

⏰:11/03/02 16:07 📱:840SH 🆔:HjyICsOQ


#192 [愛華]
'








「…………ここはどこだ…」


あっちこち見て回っていたら
校長室がどこなのか忘れて
しまった。第一、この学校
広すぎ…………。

⏰:11/03/03 19:49 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#193 [愛華]
教室もいくつか見たけれど、
中では当たり前のように生徒
たちが勉強していて、
あたしもそこに加われるんだって思うとなんだか嬉しかった。





「……確か2階だったっけ…」



お城にあるような螺旋状の階段をゆっくりと上がっていく。
慣れるまで時間かかりそ……。

……天宮、話終わったのかなぁ…

⏰:11/03/03 20:00 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#194 [愛華]
そんなことを考えながら階段を
上り終え、角を曲がると
遠くに人が座っているのが見えた


あれ?今授業中なのに……



天宮………じゃないよね。



その人は体育座りで膝に顔を
埋めていて表情が見えない。


どうやら女の子みたいだ。

⏰:11/03/03 21:23 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#195 [愛華]
そぉーっと近づく。
あたしには気づいてないみたい。



「……………あの……」

「んぁっ!」

「ひっ!!」


女の子はガバッと立ち上がった
と思うと、あたしに
抱き着いてきた。

その間、わずか2秒。

⏰:11/03/03 21:27 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#196 [愛華]
「ちょっ、なにすんですか!」


び、びっくりしたぁ!
寝ぼけてんの、このひと!?


あたしは腕を離そうとするけど
力がハンパなく強い!
全然離れないし!!


「は、離れてよ!!てゆーか…」

「見ない顔だね。転校生?」

⏰:11/03/03 21:31 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#197 [愛華]
女の子が顔をあげる。


か………かわいい……。



フワフワの髪に綺麗な目。
いかにも女の子って感じ。




でも、あれ…………?
なんかさっき違和感が………。


…って今はそれどこじゃなくて!

⏰:11/03/03 21:34 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#198 [愛華]
「……あ、の……とりあえず
離れてもらっても………」

「あ、ごめんね!あたしさぁ
誰にでも抱き着いちゃうクセ
あってさぁ!ほんとごめん!」


す、すごいクセだな………。


やっと離れた女の子をじっくり
見ても、やっぱりかわいい。

色白いし……モテそう……。


「……あの、名前は……」

⏰:11/03/03 21:43 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#199 [愛華]
「東谷皐月(あずまやさつき)。
あなたの名前は?」

きょるんとした目で聞く。


「あたしは、羽田陽向。んと、
今日からこの学校でお世話に…
なることに、なりまして……」


な、なんか同じくらいの歳の
女の子と話すのなんか久しぶりで話しかたがわからない……。
合ってんのかな、これで……?


「フフッ。陽向ちゃん今日から
よろしくね!」

⏰:11/03/03 21:52 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


#200 [愛華]
「よ、よろしくね!」


皐月ちゃんがにっこり笑いながら右手を差し出したので、
あたしは戸惑いながら握る。


うわぁ、嬉しいなぁ……。
あくしゅなんて初めて……。

あたしが感動に浸っていると、
あたしの手を握ったまま、
笑顔で皐月ちゃんがつぶやく。



「…………C♪」

⏰:11/03/03 21:56 📱:840SH 🆔:9/37jmN2


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194