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#333 [愛華]
「……あたし、最近すごい
不安だったんだよ……」


知らないうちに涙が流れる。
それは留まることを知らずに
天宮の制服をぬらしてゆく。


「学校にも慣れてきて……
ちょっとずつ人とも話せるようになってきたのに。
天宮はずっと不機嫌だし……」

「…………」

「天宮と一緒に喜びたかった
のに………寂しかったよ」

⏰:11/03/23 22:42 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#334 [愛華]
天宮の背中に手をまわして
その存在を確かめるように
抱きしめる。


「陽向さん……ごめんね」

「ううん。天宮が嫌なら……
あたし松矢君とは話さないよ。」

「え……」

「あたしにとっては。
松矢君より天宮が大事だから」


あたしがそう言うと、
天宮は少し何かを考えてから
体を引き離した。

⏰:11/03/23 22:50 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#335 [愛華]
それが少しさみしかった。


「……松矢と普通に話しても
大丈夫ですよ」

「天宮もう怒らない?」

「はい。」


あたしが微笑むと
天宮もゆっくり微笑んでくれた。


「あ……あともうひとつ
聞きたいことがあるの」

⏰:11/03/23 22:54 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#336 [愛華]
「なんですか?」

「その………あたしはもう。
天宮の家族になれたのか、な?」



確かめたかったこと。
天宮を信頼しはじめて。
家族になりたいと願った。

大事にしてくれてるのは
充分わかっているけれど
やっぱり不安でたまらなくて。


天宮にとって……あたしは何?

⏰:11/03/23 22:57 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#337 [愛華]
「………家族になるには、
血の繋がりが必要です。でも
そんなものがなくたって……

俺にとって陽向さんは
ただひとりの大切な人です」

「…………!!」


「今までどんなに陽向さんが
辛かったのか、頑張ってきたか。

自惚れかもしれませんが
俺が1番わかっているつもりです

……だから泣くのは俺の前で
だけにしてくださいね」

⏰:11/03/23 23:01 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#338 [愛華]
胸のくもりが晴れてゆく。
あたしのことをちゃんと、
わかってくれる人がいる。


なんて心強い、そして安心する。



お母さんに向かう気持ちとは
ちょっとだけ違う。

優しくて、心地好くて、
ちょっとだけ切なくなったり
胸が苦しくなるこの気持ち。


なんて名前の気持ちなのかな。

⏰:11/03/23 23:06 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#339 [愛華]
ふと上を見ると、太陽は西に
傾き空を赤く染めていた。


「……さ、帰りましょうか。
陽向さんの傷の手当しなきゃ」

「お願いします……。
あ、そういえばさっき女子たちと何話してたの?」

「あーちょっと怒りました。
多分噂もじきに消えますよ!」

「よかったぁ……」


あたしがホッとしていると
天宮がにっこり笑いながら
あたしの頭をなでる。

⏰:11/03/23 23:14 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#340 [愛華]
あ……今気づいた。


天宮の甘いにおいって
あの裏庭の花のにおいだ。


鞄を取りに行ってくる、と
言い残して教室に戻った天宮。

さっきまで天宮がいた場所は
やっぱり甘い香りがした。

……裏庭に通おうかな。


ってあたし変態みたいだ……。

ひとりで自己嫌悪している間も天宮の甘い香りは消えなかった。

⏰:11/03/23 23:24 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#341 [愛華]








教室で鞄をとって陽向さんを
迎えに行こうとした時。

階段にあまり今会いたくない
人物を見つけた。


「………松矢……」

「あれ、天宮まだ居たんだ」

⏰:11/03/23 23:26 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


#342 [愛華]
そう言ってニッと笑う松矢は
男の俺から見ても男前。


「……誰か待ってるのか?」

「んー別に。」

「そっか。じゃあな」

それだけ言って松矢を通り過ぎ
階段を降りはじめると、
上からまるで図ったような
松矢の言葉が聞こえた。


「……陽向ちゃんには俺のが
合ってると思うけど」

⏰:11/03/23 23:31 📱:840SH 🆔:gWV8zvo6


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