*トワイライト・ゾーン*
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#1 [スピーディー]
第一章
第1部 旅立ち
第2部 試煉の道
第3部 二つの世界の激突
>>2 感想板
:11/02/21 23:22
:SH07B
:☆☆☆
#2 [スピーディー]
:11/02/21 23:22
:SH07B
:☆☆☆
#3 [スピーディー]
第1部 旅立ち
:11/02/21 23:25
:SH07B
:☆☆☆
#4 [スピーディー]
20××年9月15日、海堂ユータという名の少年が、陸と海とが接する砂浜に立っていた。
:11/02/21 23:28
:SH07B
:☆☆☆
#5 [スピーディー]
ジ―ンズのポケットに両手をつっこんで、おだやかな波をみつめている。
:11/02/21 23:30
:SH07B
:☆☆☆
#6 [スピーディー]
12歳にしては、背が高い。
潮風が長すぎるくらいの茶色の髪を吹きあげ、すけるように白い額をあらわにした。
:11/02/21 23:31
:SH07B
:☆☆☆
#7 [スピーディー]
この3ヶ月間ずっと、彼の頭をかきみだしているもやもやが、いまも胸にわだかまっていた。
:11/02/21 23:34
:SH07B
:☆☆☆
#8 [スピーディー]
いまから3ヶ月前、彼の母は東京のアパートの家を出、あわただしく家具を売り払ったり、不動産業者との交渉もそこそこに、
:11/02/21 23:36
:SH07B
:☆☆☆
#9 [スピーディー]
ニューヨ―クに移って、アパートを借りた。
だが、こんどはそのアパートも出て、ニューハンプシャ―州のささやかな海浜にあるこの静かな避暑地へと逃れてきたのだった。
:11/02/21 23:38
:SH07B
:☆☆☆
#10 [スピーディー]
生活の規則正しさは、いまやユ―タの世界からは消滅していた。
:11/02/21 23:40
:SH07B
:☆☆☆
#11 [スピーディー]
毎日の生活は、いま目の前にある海のように、波立ち揺れ動いているように思えた。
:11/02/21 23:41
:SH07B
:☆☆☆
#12 [スピーディー]
母はユ―タの手を引きずるようにして、何かから逃げまわっているようだ。
:11/02/21 23:42
:SH07B
:☆☆☆
#13 [スピーディー]
いったい、どうしてなんだろう。
ひとけのない浜辺の左のほうに目をやり、つぎには向きを変えて、右のほうをながめた。
:11/02/21 23:44
:SH07B
:☆☆☆
#14 [スピーディー]
左手のほうには、古びたいまや稼働していない遊園地があった。
いまは鼓動を止めた心臓のようにひっそりやすんでいる。
:11/02/21 23:47
:SH07B
:☆☆☆
#15 [スピーディー]
棒漠としたくもり空を背景にそそりたつ、ローラ―・コ―スタ―の骨組みが、木炭でえがいた線画のように見えていた。
:11/02/21 23:49
:SH07B
:☆☆☆
#16 [スピーディー]
あの下に、友だちになったばかりのトニ―・パ―カ―がいるはずだが、いまは彼のことを考える心のゆとりはなかった。
:11/02/21 23:51
:SH07B
:☆☆☆
#17 [スピーディー]
ここに着いた日、ユ―タはレンタカーから降りると、荷物をなんとかしてもらいたがっている母顔色を無視して、周りを見渡した。
:11/02/21 23:54
:SH07B
:☆☆☆
#18 [スピーディー]
「トランクを開けて、バッグを出してよ」と、母が声をかけた。
「このくたびれたお婆さんは、はやくチェックインして、飲み物にありつきたいんだから」
:11/02/21 23:56
:SH07B
:☆☆☆
#19 [スピーディー]
「マティーニだね」
とユ―タが言った。
「そんなときは、『まだそんな歳じゃないよ』って言うものよ」
車の座席から、降り立ちながら、母が言った。
:11/02/21 23:58
:SH07B
:☆☆☆
#20 [スピーディー]
「まだそんな歳じゃないよ」
母はきらりと光る目でユ―タをにらんだ
―20年にわたるB級映画の女王だった、元女優 海堂ナオコのあの目だった。
:11/02/22 00:01
:SH07B
:☆☆☆
#21 [スピーディー]
彼女は背をしゃんと伸ばして、
「ここなら大丈夫よ、ユ―タ。 ここはいいところなんだから。」
:11/02/22 00:02
:SH07B
:☆☆☆
#22 [スピーディー]
カモメがホテルの屋根の上を舞った。
「当分はうるさい電話から解放されるわね」
「そうだね」
母はナオト叔父さんから逃げたがっているのだ。
:11/02/22 00:05
:SH07B
:☆☆☆
#23 [スピーディー]
亡くなった夫の共同経営者とのいざこざから逃れて、いまはマティーニを飲んでベッドにもぐりこみ、頭からフトンをかぶってしまいたいのだ…。
:11/02/22 00:07
:SH07B
:☆☆☆
#24 [スピーディー]
(ママ、いったいどうしたっていうの?)
人がたくさん死んだ。
この世界の半分は死で成り立っているのだ。
頭上でカモメが啼き叫んだ。
:11/02/22 00:10
:SH07B
:☆☆☆
#25 [スピーディー]
(これまでは厄介なことが起こると、とにかくお爺ちゃんがなんとかしてくれたんだ)
だが、そのお爺ちゃんも死んだ。
その死を知らせる声は、いまも電話線の向こうで鳴り響いているように思えた。
:11/02/22 00:12
:SH07B
:☆☆☆
#26 [スピーディー]
トニ―・パーカ―と出会うまでのユ―タは、毎日ホテルで、まるで居眠りする犬のように、時の過ぎるのも意識せず、ただぶらぶらとすごしていた。
:11/02/22 00:18
:SH07B
:☆☆☆
#27 [スピーディー]
毎日の生活が夢の中のようで、すべてが朦朧とぼやけていた。
12歳のユ―タにとって、することが何もないというのは恐ろしいことだった。
:11/02/22 00:21
:SH07B
:☆☆☆
#28 [スピーディー]
そして気がついてみると、ユ―タは海辺に立っていた。
ここへやってきた記憶もなく、そもそも何をしにきたのかもわからなかった。
:11/02/22 00:22
:SH07B
:☆☆☆
#29 [スピーディー]
あの夜母と二人で観ていたテレビもろくに覚えていない。
「あっちこっち動きまわったから、疲れちゃったのね、きっと」
と、母が煙草をふかぶかと吸い、吐き出した煙をすかして彼のほうを見やりながら言っていた。
:11/02/22 00:25
:SH07B
:☆☆☆
#30 [スピーディー]
「あなたに必要なのは、当分ゆっくりすることよ、ユ―タ。 ここはいいところよ。のんびり寛ぎましょう」
母がにっこり笑いかけた。
:11/02/22 00:27
:SH07B
:☆☆☆
#31 [スピーディー]
電話が鳴ったのは、ユ―タが寝ようと思って立ちあがったときだった。
:11/02/22 00:29
:SH07B
:☆☆☆
#32 [スピーディー]
ナオト叔父さんは、とうとう居所をつきとめていた。
ユ―タはつっ立ったまま、母の顔から血の気が退いていくのを見ていた。
:11/02/22 00:30
:SH07B
:☆☆☆
#33 [スピーディー]
彼女はほとんど一語も発せず、ただ最後に、ささやくような声で、
「知らせてくれてありがとう、ナオト」
と言って、受話器を置いた。
:11/02/22 00:33
:SH07B
:☆☆☆
#34 [スピーディー]
そのあとユ―タのほうを向いた母の顔は蒼白で、これまで以上に老け込んで見えた。
「しっかりしなければだめよ、ユ―タ。 いい?」
:11/02/22 00:34
:SH07B
:☆☆☆
#35 [スピーディー]
ユ―タは自分がしっかりできる自信はなかった。
「今日の午後、東京でお爺ちゃんが轢き逃げ事故で、亡くなったのよ」
:11/02/22 00:36
:SH07B
:☆☆☆
#36 [スピーディー]
体の中から空気が抜き取られてしまったような感じがして、ユ―タは喘いだ。
「散歩中に、ヴァンにはねられたんですって。 目撃者の話では、黒い車だったそうだけど、わかってるのはそれだけ…それっきり」
:11/02/22 00:40
:SH07B
:☆☆☆
#37 [スピーディー]
母は泣きだした。
それにつられて、ユ―タも泣き出していた。
それが3日前のことだった。
それがユ―タには、遠い昔のように思えた。
:11/02/22 00:41
:SH07B
:☆☆☆
#38 [スピーディー]
ユ―タの父が死に、お爺ちゃんが死に、いままた、母が死にかけているようだ。
このビ―チにも死は押しかけてきていて、そいつがナオト叔父さんの声で電話で話しかけてくる。
:11/02/22 00:45
:SH07B
:☆☆☆
#39 [スピーディー]
死はあらゆるもののなかに入りこみ、潮風にのって匂ってくる。
ユ―タは怖かった。
:11/02/22 00:46
:SH07B
:☆☆☆
#40 [スピーディー]
カモメが灰色の空を声もなく飛び交っていた。
浜辺の重苦しい静けさも、空の灰色も、母の目の下にひろがってゆくクマのように、死を暗示しているように思われた。
:11/02/22 00:49
:SH07B
:☆☆☆
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