異種系バトルロワイヤル

そのころ、ミクは歩きながらさっきの状況のことを考えていた。

殺し合いですって!? ふざけてるのにもほどがあるわ…あたしはキャバクラでもＮｏ１の女よ…!

なんでこんなところに連れてこられなきゃいけないの…

高卒で夜の世界に入り、初めは風俗嬢だった自分をある日、あるホストが｢体を傷つけるのはやめよう｣と言ってあたしを変えてくれた…

あたしはキャバクラで必死に働き、いつしかＮｏ１にまで昇りつめた。

そのホスト、龍と一緒に住むようになってあたしの世界観は変わっていった。

龍の笑顔に癒され、たまに喧嘩はしたけれど、いつだって何気ない一言であたしの心を救ってくれた。

龍はホストクラブで、Ｎｏ１ではなかった。

たまにスネて喧嘩して帰ってきたり、でもそれも彼らしくて、誰かを愛しいって思えるなんて考えてもみなかった。

こんな毎日がずっと続けばいいのに…

だが、ある日龍の帰りを待ち夕飯の支度をしてるとき、アパートの玄関から凄い勢いで龍が飛び入ってきた。

龍がよろけてあたしの体にのッかかってきた時は、どうしたの?そんなに会いたかった?と、今ではなんて間抜けなことが思い浮かんだんだろうと思う。

あたしの肩にぐったりともたれかかり虫の息の龍の様子に驚く間もなく。
その玄関からガスマスクをした男たちが入ってきた。

｢龍!?どうしたの!? このひとたち誰なの!?｣

そしてヌルッとした感触にギョッとした。

自分の腕から手にかけて龍の血がべっとりとついていた。

｢…逃げろ、ミク｣

その瞬間龍の頭にプシュンッと、穴が開き、龍が絶命するのが分かった。

それからはその男たちに気絶させられ、あの部屋に連れていかれた。

いまになってだんだん思い出してきながら、ミクは涙をこらえながら歩き続けた。