異種系バトルロワイヤル

｢なにか喋ってよ! ねえ!男でしょ、しっかりしてよ!｣

うっせ―な、何度も答えてんじゃん!…心の中でだけど…

そもそも女とこんなに密着して会話なんてしたことないことに気付いたヨウは、チャンスだと思い、勇気を出して口を開いた。

｢…お、男だからって、関係ない…よ｣

なに言ってんだ僕―ッ!最悪だ!最初の一言が、こんなセリフなんて…

するとマイはムッとした顔をした｡

｢なにそれ―、女の子を守るのが男の役目じゃん｣

｢いや、僕、別に｣

｢…もしかして、あたしウザイ?｣

ヨウは首を激しすぎるくらい横に振った。

それを見て、マイがプッと吹き出し笑い始めた。
｢そんなに首振らなくても! え、じゃあなに?あたしのこと気になってるの?｣
顔を赤らめるヨウ｡

｢もしかして、女の子の免疫がないとか?｣

｢…う、ん｣

｢へ―、でもあたし草食系あんま好きじゃないんだよね｣

｢いや、別に僕は…あの｣
｢あたし、マイ｡よろしく｣

どうもこの子、苦手だな―と思いながらもヨウも答えた。

｢僕は、ヨウ…ていいます｣

｢敬語じゃなくていいじゃん、この際｣

｢う、うん｣

｢てか、一体なんなんだろうね…拉致られてくる前の全然記憶がないんだけど…」

｢僕…も」

嘘だ、僕は少なくとも覚えていた。オナニ―していたなんて言えない。

｢あの、マイ…ちゃんは、殺し合いとか信じる…の?｣
｢ん―、なんか状況もまだ理解出来ないからわかんないや｣

それはそうだろう、だが、さっきのヤクザとオカマのひとたちの様子を見た限り、今頃もしかしたら…

その時だった。

前方の草むらからガサガサと何かが近づいてくる音がする。

｢なに? なんなの…？」

怯えるマイになんの言葉もかけられないヨウ｡