涙の空と風の憧憬
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#1 [◆H1vWl/awPk]
遠い昔━━━
神が地と空と海を作り、そこに生命の種を落とした。
種は地と海に根付き、成長してやがて小さな蕾を宿した。
蕾は開花し、地と海に多種多様の生命が溢れた。
神は喜び、更なる進化を求め地上にありとあらゆる物を造り落として行く━━━
知恵、火、欲、言葉…etc
神は地上に散った生命達が更なる楽園を自ら築くと信じていた。
:11/03/22 23:13
:F906i
:438fqs.E
#2 [◆H1vWl/awPk]
しかし━━━
神の思いとは裏腹に……
一つの生命が神が落とした物を独占したのだ。
その生命は神が落とした物で新たな力を造り、地上を我が物顔で歩き始めた。
反する生命を新たな力で根絶やしながら彼らは歩き続ける。
我らこそ楽園の主だ!
我らが作った楽園こそが神が求めた楽園なのだ!!
ならばこそ我らが神ではないのか!?
誰かがそう呟いた。
いつかは知らない。
誰かも知らない。
:11/03/22 23:18
:F906i
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#3 [◆H1vWl/awPk]
しかし━━
神はそれらを許さなかった。神は怒り、彼らを根絶やす為に8つの使徒を造り地上に送り込んだ━━━
*
*
*
:11/03/22 23:29
:F906i
:438fqs.E
#4 [◆H1vWl/awPk]
タカタッ…
草原を駆ける蹄の音
タカタッタカタッ…
1人の青年が馬の背に乗り野を駆ける
タカタッタカタッタカタッ…
━━行き先は?
決まってるだろ
そんなの風の吹くままさ
第一話『風の民 フィル』
:11/03/22 23:30
:F906i
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#5 [◆H1vWl/awPk]
僕はこの時が一番好きだ。
愛馬のラカに乗り野を駆けるこの時が━━
風が僕達を包み、そよ風が草を優しく撫でて、まるで波打った様な草原を僕達は自由に泳ぎ回る。
風と共に生きる僕達民族にとってこの時間こそ最高の喜びなんだ。
「ラカ……気持ちいいな…………」
あぁ、ずっとこんな時が続けばいいな━━━
:11/03/22 23:48
:F906i
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#6 [◆H1vWl/awPk]
「この大バカ者がぁッツ!!!!!」
ゲンコツを貰いズキズキする頭。
「今日が何の日か忘れとったんかッツ!?」
二度目のゲンコツ。
僕を叱りつけた挙げ句、二度のゲンコツを繰り出すこの老人こそ風の民の長であり、偉大な風の大賢者であるフード様です。
:11/03/23 00:01
:F906i
:zg3ASMGk
#7 [◆H1vWl/awPk]
「全く……この弟子ときたら………」
そして、頭に二度のゲンコツを貰い耐え難い頭痛に苦しむ僕はフード様の弟子、賢者見習いのフィル。
フード「……フィルよ。貴様はいつまで子供のつもりなんだ?」
フード様は幼少の頃に両親を亡くした僕を引き取り、賢者として育ててくれている。
親であり、師でもある彼に僕はいつも叱られ、時にはゲンコツを貰っている。
:11/03/23 00:10
:F906i
:zg3ASMGk
#8 [◆H1vWl/awPk]
しかし、いくら幼少の時からゲンコツを貰っていても痛いものは痛い。
慣れれるならそうしたいが、そうもいかない。
フィル「つ、つい…風と戯れてしまいまして…………」
思考回路が痛みによって遮られているのがよく解る。少しはマシな言い訳も出来ただろうに………
フード「それが子供だと言っておるんじゃッツ!!!!」
フード様から本日三度目のゲンコツ。
:11/03/23 00:19
:F906i
:zg3ASMGk
#9 [◆H1vWl/awPk]
さすがに頭を抱え、正座した膝の上に頭を落とした。
痛いなんてものじゃない。頭痛を超えた何かを知り、僕は先程感じていた苦しみなど何ともない可愛いものだと思った。
フード「はぁ……全く………」
フード様は1人愚痴り、僕の前に座った。
注がれる視線が大きな家である筈のフード様の部屋を小さな物だと誤認させた。
:11/03/23 00:33
:F906i
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#10 [◆H1vWl/awPk]
今にもドーム状の壁が圧縮して、フード様と僕だけの空間を作る為に迫ってきそうで怖かった。
フード「…………」
フィル「…………」
沈黙が続く、、、
フード様の目つきを想像すると頭を上げる事が出来ず、息苦しい時間が続いていた。
でも━━
どんなに怒られても、どんなに殴られても僕はフード様を親として、師として絶対の信頼と尊敬の念を持っている。
:11/03/23 00:45
:F906i
:zg3ASMGk
#11 [◆H1vWl/awPk]
何故なら僕はフード様から一度も
「いらない」
「出ていけ」
そんな言葉を掛けられた事が無いからだ。
親のいない子供にとって、居場所を作られた子供にとってその言葉はあまりに残酷………。
だけど━━
フード様は当たり前の様に、我が子の様に、僕を育ててくれたし修行も積んでくれた。
風と共に生きる意味、風が示す場所、
だから僕は少しでもフード様に近付きたくて、風の賢者になる為に必死に修行に明け暮れたんだ。
:11/04/01 23:11
:F906i
:eTYc8/aQ
#12 [◆H1vWl/awPk]
その中で上手く出来ずに落ち込む事もたくさんあったし、怒られる事もそれ以上にあった。
でもそんな時━━
落ち込んでる時、怒られた時、いつもフード様の笑顔が僕を励ましてくれた。
その笑顔だけで、また元気になれるのだからフード様の言うとおり、確かに僕は大バカ者かもしれない、、、、
━━━しばらくの沈黙の後
俯いたままの僕が恐る恐る顔を上げるとそこには、怒った後に見せる…いつものあの笑顔がそこにあった。
:11/04/01 23:13
:F906i
:eTYc8/aQ
#13 [◆H1vWl/awPk]
フード「このバカ者が……」
フード様が呆れた様な笑顔で僕にそう呟いた。
「フード様、その笑顔はずるいですよ」
声に出さず、困った笑顔でそう応える。
フード「ふぅ……もぅよいわ、下がれ。次期にカメジデ様が参られる。それまでに用意してまいれ。」
フィル「はい!!」
僕は勢い良く立ち上がりフード様の部屋を飛び出し、自分の部屋に駆け込んだ。
:11/04/01 23:13
:F906i
:eTYc8/aQ
#14 [◆H1vWl/awPk]
第二話『旅立ち』
:11/04/01 23:15
:F906i
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#15 [◆H1vWl/awPk]
窓とベットと机と大きな本棚。それしか無いのが僕の部屋。
フード様のドーム状の大きな家に僕のドーム状の部屋をくっつけた、まるでそれは北の国ではポピュラーな物である雪だるまの様な構造をしている。
そして、床一面に散乱した本。大きな本棚に入りきらない本達があちらこちらに散らばっている……
フィル「…………」
お世辞にも綺麗とは言えないその部屋で、僕は荷物を整理し始めた。
:11/04/01 23:16
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#16 [◆H1vWl/awPk]
━━今日
僕は旅に出ます。
しかし、一体何がいるんだろうか?
フード様と幾らか旅に出た事はありますが、それもそんなに遠くない場所で、主に風と触れ合う事を目的としていたので…………
今回の旅は大変大きなものらしく、とても1日やそこらでは済まない様なのです。
何故なら……
かの有名な大魔法使いであるカメジデ様が僕を旅のお供として、選んだからです。
:11/04/01 23:17
:F906i
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#17 [◆H1vWl/awPk]
大魔法使いとして有名でありながらその所在はいつも知れず、根無し草の様に旅をされているそうで、カメジデ様が書かれた冒険記は彼が生きている唯一の証拠みたいな物だそうで。
しかし、そこに描かれる冒険路はこの世の物とは思えない様な話ばかりで、僕はその冒険記を読む度にワクワクしていた。
そんな冒険家のカメジデ様と旅をするのだからこそ何を持って行くべきかを迷う。
ドラゴンが出たりするのだろうか?魔物が出たりするのだろうか?
かの冒険記を思い浮かべながら僕は何が必要かを考え始めた。
:11/04/01 23:19
:F906i
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#18 [◆H1vWl/awPk]
フィル「う〜〜ん……」
頭を捻る僕に一筋の光が差した。
フィル「あっ!!そうだ!」
それは、カメジデ様の冒険記を読み直す事。
そこには今までの魔物達との死闘が描かれているから自ずと何が必要なのか解ると言う事だ。
そうと決まれば、後は……
辺りに散らばる本に視線を移す。
フィル「………どこに置いたっけかなぁ?」
:11/04/01 23:20
:F906i
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