悪魔と天使の暇潰し
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#109 [匿名]
下に降りると、そこは人混み。

ここは渋谷という所らしい。派手な格好をした若者がうようよといる。

「人混みは嫌いだ。」

俺の隣から聞き慣れた声。あいつもついてきていた。

「何で一緒なんだよ。」

「今回は一緒の方がいいと思ってね。」

表情を変えずに、人を上手く避けながら歩くあいつが、何だかむかつく。

⏰:11/06/01 14:51 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#110 [匿名]
こいつに構っていたら、ターゲットを見失ってしまう。それほどの人混みだったから、すぐに目線を前方に戻した。

人間5人分程先を歩くターゲットは、この人混みに慣れている様だ。


事件は突然だった。
きっと周りの人間は驚いただろう。

俺達の前にいた小太りなサラリーマンが倒れた。

⏰:11/06/01 14:53 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#111 [匿名]
落ちているゴミにつまずいたのではない。脂肪のついた腹が邪魔で、脚が絡まったわけでもない。


刺されたのだ。


綺麗に心臓を刺されている。もう死んだだろう。

ターゲットは人が刺されたというのに興味も示さず、さっきと変わらないペースで歩いて行く。

⏰:11/06/01 14:54 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#112 [匿名]
「あいつ何者だ?」

「さぁ?とりあえず追い掛けよう。」


ターゲットは駅に向かっていた。

さっき倒れた男の周りには、人が円を作って見ていた。交差点内だっていうのに、人はそこから退こうとしない。

何が起こっているのか分からない車の運転手は、何度もクラクションを鳴らしている。

騒がしい。

⏰:11/06/01 14:56 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#113 [匿名]
犬の像の前あたりで、ターゲットに追い付いた。

ターゲットの右には俺。左にはあいつ。自然な流れで隣を歩いた。


「何か用?」

最初に口を開いたのはターゲットだった。俺達二人の動きを把握していた。

「なんだ。わかっていたのか。」

あいつは微笑みを絶やさない。いや、そういう真顔なのかもしれない。

⏰:11/06/01 14:58 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#114 [匿名]
「なかなかやるじゃん。」

俺もターゲットに微笑みかける。頑張って。

「はい?二人が知り合いなのは分かってる。話声がさっきから聞こえていたからな。」

ああ。人混みでも俺達の言い合いは筒抜けだったらしい。

「そうじゃないよ。」

すかさずあいつが言う。

⏰:11/06/01 14:59 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#115 [匿名]
「お前だろ?あのオッサン刺したの。」

あいつが言う前に、そう言ってやった。

ターゲットは驚いた顔をした。まさかバレるとは思わなかったのだろう。

「何のこと?」

しらを切るのは当たり前だ。

「お前さ、初めてじゃないだろ?ああやって、人を殺すの。」

⏰:11/06/01 15:02 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#116 [匿名]
そう俺が言うと、

「でも誰かにバレたのは、今回が初めてでしょ?」

と、あいつもすかさず口をはさんだ。


「言ってる意味が良く分からないんだけど?」

鼻で笑うターゲットは、演技が上手い。

「大丈夫。少なくとも、こいつはお前の味方だ!」

言いながら、あいつの肩を後ろからポンと叩いた。隣にターゲットがいるから叩きづらい。

⏰:11/06/01 15:05 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#117 [匿名]
「そうだね。僕は君を守る資格がある。」

嫌な顔で俺を見た。

「何から?」

守ってもらわなくても、俺は一人で平気だ。と考えているのだろう。興味のない顔だ。

「悪魔から。」

あいつはそう言うと、ターゲットの顔の前に手を出して、その向こう側にいる俺を指差した。

⏰:11/06/01 15:06 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


#118 [匿名]
指差した先を見るターゲットと、目が合う。

「そうそう、俺から。」

ひらひらと手をふってみせるが、ターゲットはすぐに俺から視線を外した。


「あんたら仲間同士じゃないの?」

「まさか!」
「ありえねぇ!」

俺達は同時に否定した。

⏰:11/06/01 15:08 📱:F06B 🆔:FrXz0ia2


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