悪魔と天使の暇潰し
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#189 [匿名]
「お前にそっくりだなー」

俺が紙の中の男を指差す。

「ああ。これは俺だな」

ターゲットは頷いた。

「あ!思い出した!あの時の子だ!いやー!まさかあんたみたいなおっかない彼氏がいたとはなー。分かってたら誘ってなかったよ」


ターゲットはこんな状況なのに、ヘラヘラと笑った。

「この女を誘ってどこに行ったんだ?」

素朴な疑問を口にしただけなのに、スーツの男達から殺気を感じた。


「どこって、女を誘う理由なんて一つしかねぇだろ?ホテルだよ、ホテル」

⏰:11/07/16 19:37 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#190 [匿名]
ターゲットが答えると、スーツ男達の殺気は強くなった。怖い怖い。


「お前最低だな」

「しょーがなかったんだって。一仕事終えた後だったんだけど、ちょっとしたミスがあって、そこに泊まらなきゃいけなくなったんだよ」

「一人で泊まれば良かったんじゃねーのか?」

「男一人で泊まるなんて怪しすぎるだろ!ただでさえ治安の悪い場所だったんだ」

「でもやる事やったんだろ」

「やらねーよ」


「嘘つけ!」

俺達の会話にスーツ男が入ってきた。かなり興奮している。

⏰:11/07/16 19:39 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#191 [匿名]
「俺の女は、気が付いたら寝ちゃってたみたいで、起きたら裸だったの。って泣きながら言ってきたんだぞ!!」

スーツ男は今にも殴りかかってきそうな勢いだ。


「は?お前の女が勝手に服脱いだんだぞ?裸で俺にまとわりついてきて、うぜぇから眠らせたんだ。何で俺が無理矢理〜みたいになってんだよ!」


「本当かー?」

腕を組み、探るようにターゲットを見た。

「当たり前だろ!誰があんなブスと!…あ、やべ」

口が滑った。とターゲットが下を出す。

⏰:11/07/16 19:41 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#192 [匿名]
失言を誤魔化す様に、ターゲットは手を振りながらヘラヘラと笑っている。

そんなターゲットを見て、スーツ男は真っ赤な顔をして怒った。目は血走っている。

「殺せ!」


スーツ男が命令をすると、前から、そして後ろから、男達が足早に近寄ってきた。

「こんな所で俺達を殺したら、すぐに捕まるぞ?ここは住宅街だ」

ターゲットの言う通りだ。物音がすれば、住人が窓から外の様子を窺うだろう。

物騒な雰囲気を察したら、被害が及ばないように警察を呼ぶに違いない。

⏰:11/07/19 19:46 📱:F06B 🆔:hKY5.7Lg


#193 [匿名]
「連れてけ!」

スーツ男は叫んだ。

そんなに大声で叫ぶなんて自ら警察を呼んでくれ!と言ってる様なものだ。

この集団はきっと、馬鹿の集まりだ。


同情すら感じた俺は、素直にこのスーツ男達の言う事を聞いて車に乗り込んだ。

ターゲットも呆れた顔で、周りのスーツ男達を眺めている。


「拷問かなー?俺痛いの嫌いなんだよな」

ターゲットはずっとこの調子だ。

⏰:11/07/19 19:48 📱:F06B 🆔:hKY5.7Lg


#194 [匿名]
しばらくして車が止まった。外を見ると古いビルが建っている。

ガラスは所々割れて、看板のような物がいくつか落ちていた。

もう何年も使われず、取り壊す事もされなかったビルだ。

周りは工場がいくつかあるくらいで、人の気配は感じなかった。


スーツ男達と雰囲気がぴったりで、何故か笑えた。きっとあからさますぎて現実ではなく、ドラマでも見ているような気分になったからだろう。

これで綺麗な部屋に連れて来られても、それもそれだが。

⏰:11/07/19 19:51 📱:F06B 🆔:hKY5.7Lg


#195 [匿名]
俺達は前後左右囲まれながら無理矢理ビルの中に入れられた。

中はそこらじゅうが土や砂で汚れている。

机や棚などは何もなく、ただ広いだけの空間だった。


「ここで俺達は殺されるのか。周りには何もないし、ちょっと叫んでも誰も助けには来てくれなさそうだな」

殺される気なんて無いくせに、ターゲットはわざとらしくそう言った。


「ああ、そうだ。若いのに残念だったなー」

ターゲットの演技にも気が付かず、スーツ男は意気揚々と笑っている。

⏰:11/07/20 14:54 📱:F06B 🆔:Vta.hKMw


#196 [匿名]
スーツ男を筆頭に、こいつらは正真正銘の馬鹿だ。ただ強面なだけで、頭の悪い連中だ。

こんな奴に殺されるなんて屈辱を味わったら、死んでも死にきれない。


「さあ、殺せ!好きなだけ痛め付けていいぞ!」

スーツ男は両手を広げ、高らかに笑った。

それが合図だったかのように、スーツ男達がナイフやバットを持ち、俺達にゆっくり歩み寄って来る。

拳銃を持っている様子がないのが、唯一の救いかもしれない。

⏰:11/07/20 14:58 📱:F06B 🆔:Vta.hKMw


#197 [匿名]
「どうする?」

俺があいつに聞いた。

「どうするもなにも、今から作戦会議する時間なんてねーぞ。こういう時は殺られる前に、殺るだけだ!」

そうターゲットが言うと同時に、どこから出したのか、ナイフを構え出した。


「お前いつの間に!?」

身体検査をする事もなく、手足を縛る事もなく、俺達が自由に動ける状態にしたままだったのだから、ターゲットの反抗は安易に想像出来たはずだ。

それなのに、スーツ男達の反応は想定外の事が起きた!という反応だった。

⏰:11/07/20 15:00 📱:F06B 🆔:Vta.hKMw


#198 [匿名]
「おい、俺にも何か武器くれよ!」

いくらなんでも死ぬまで人間を殴ったりはしたくない。そんな悪趣味は俺にはない。

「しょーがねーな。」

ほらっとターゲットがナイフを放り投げた。仕事がないのに二本も隠し持っているとは、殺し屋は大変だ。

「やるぞ!」

スーツ男達が武器を見て立ち止まり戸惑っている今、こっちから仕掛けた方が有利になる。

とりあえず刺されないようにしよう。俺は刺されても死なないんだから、こんな所でターゲットに、その点を怪しまれたくはない。

⏰:11/07/20 15:08 📱:F06B 🆔:Vta.hKMw


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