悪魔と天使の暇潰し
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#319 [匿名]
それなのに今は――


「守さんの声、僕が変わりに聞いてきます!」

黙って下を向いてしまった私に、天使さんは力強く言った。

「聞く?」

「はい!それからでも遅くないと思いますから、だから、その…死ぬなんて今は考えないでください!…明後日!明後日に伝えに来ますから!」

「はい」

天使さんの必死さに圧倒されてしまった。

⏰:11/08/30 23:32 📱:F06B 🆔:2sQh1hF.


#320 [匿名]
「またすぐ意味わかんねぇ話信じて!ちょっと考えれば怪しいって思うだろうが、普通!」
そう怒鳴る守が頭に浮かぶ。

そう言われる度にシュンとして、そうだよね。と落ち込むのが私だったけれど、何故か今回は、でも!と反論出来る気がする。

私は信じる準備をしていた。
守の言葉を、私はすぐに守だと確信出来る。
守じゃない他の誰かの言葉なら、すぐに見抜く自信がある。

私は、守をただ信じて生きてきた。

⏰:11/08/30 23:34 📱:F06B 🆔:2sQh1hF.


#321 [匿名]
気が付くと、天使さんは居なくなっていた。きっと仕事に向かったのだろう。

そして天使さんの変わりに、悪魔さんが居た。

「あいつに騙されんなー」

そう言ってきた。

「やっぱ、知り合いなんですか?」

「…いや、知らねぇけど」

「そうですか」

「おう。ただ俺はあいつが嫌いだな!」

「何でですか?」

⏰:11/09/01 21:31 📱:F06B 🆔:.omrXM3k


#322 [匿名]
「なんか、なんかむかつく!」

悪魔さんの顔が、サッカーボールを取り上げられて、ふてくされた子供みたいになるので、私は思わず笑ってしまった。

「てめぇ何笑ってんだよ!」

「いえ、すみません」

私が謝ると、悪魔さんは見下す様に私を見た。

「とにかく、あいつの言葉に騙されんな!あいつは天使の仮面を被った冷血な天使みたいなもんだからな!」

「結局天使じゃないですか」

「…………」

⏰:11/09/01 21:33 📱:F06B 🆔:.omrXM3k


#323 [匿名]
ハッとした悪魔さんの反応がまたしても可笑しくて、私は笑うのを堪えきれなかった。

「てめぇ覚えとけよ!」

そう言って悪魔さんは去って行った。

どうやら天使さんと悪魔さんは、ぐるで何かを企んでいるわけではなさそうだ。


何だか最近、この不思議な二人に会ってから、自分の中の何かが少しずつ変化していっている気がする。

それが何なのか、本当に変化しているのか、自分でもよく分からないけれど。

⏰:11/09/01 21:34 📱:F06B 🆔:.omrXM3k


#324 [匿名]
でも確実に言える事は、私が今日笑えたという事。

天使さんの柔らかい笑顔を見た時と、悪魔さんの子供のような顔を見た時。


どうしてだろう?と悩みながら実家に向かったが、着く頃にも答えは全く出なかった。


「ただいまー」

鍵の閉まっていないドアを開け、誰の了承も無く玄関へと侵入した。実家の懐かしい香りを思いっきり吸い込み、いろいろと考える事を止めにしようと思った。

⏰:11/09/01 21:38 📱:F06B 🆔:.omrXM3k


#325 [隆平]
まってます!

⏰:11/09/07 10:41 📱:F09C 🆔:☆☆☆


#326 [匿名]
>>325隆平さん
どうもありがとうございます!遅くなってすみません。

⏰:11/09/09 10:21 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


#327 [匿名]
四日目




傷だらけで真っ白な守が目をつぶり寝ていた。いや、寝ていたのではない。寝ている様に死んでいたのだ。

守が死んだ。
理解は出来た。横になっている守は、もう二度と目を開けない。おはよう、と欠伸をする事もない。
笑う事も会話をする事も、もう出来ない。

だけど、受け止める事は出来なかった。心の何処かでこの事実を拒否している。

⏰:11/09/09 11:35 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


#328 [匿名]
「病院に運ばれて来た頃にはもう……」

医者が精一杯苦しみの表情を浮かべそう言った。

「…そうですか」

消える様な声で返事をしたのは母だ。医者との会話は全て母が対応してくれた。私はただ立ち尽くしていただけ。

「即死です」

医者の言葉が耳に響く。だけど頭に入って来ない。

私は無表情で守を見ている。涙は流れていないが、この病院前で母の胸を借り泣いた跡はしっかり残っている。

⏰:11/09/09 11:36 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


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