悪魔と天使の暇潰し
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#322 [匿名]
「なんか、なんかむかつく!」

悪魔さんの顔が、サッカーボールを取り上げられて、ふてくされた子供みたいになるので、私は思わず笑ってしまった。

「てめぇ何笑ってんだよ!」

「いえ、すみません」

私が謝ると、悪魔さんは見下す様に私を見た。

「とにかく、あいつの言葉に騙されんな!あいつは天使の仮面を被った冷血な天使みたいなもんだからな!」

「結局天使じゃないですか」

「…………」

⏰:11/09/01 21:33 📱:F06B 🆔:.omrXM3k


#323 [匿名]
ハッとした悪魔さんの反応がまたしても可笑しくて、私は笑うのを堪えきれなかった。

「てめぇ覚えとけよ!」

そう言って悪魔さんは去って行った。

どうやら天使さんと悪魔さんは、ぐるで何かを企んでいるわけではなさそうだ。


何だか最近、この不思議な二人に会ってから、自分の中の何かが少しずつ変化していっている気がする。

それが何なのか、本当に変化しているのか、自分でもよく分からないけれど。

⏰:11/09/01 21:34 📱:F06B 🆔:.omrXM3k


#324 [匿名]
でも確実に言える事は、私が今日笑えたという事。

天使さんの柔らかい笑顔を見た時と、悪魔さんの子供のような顔を見た時。


どうしてだろう?と悩みながら実家に向かったが、着く頃にも答えは全く出なかった。


「ただいまー」

鍵の閉まっていないドアを開け、誰の了承も無く玄関へと侵入した。実家の懐かしい香りを思いっきり吸い込み、いろいろと考える事を止めにしようと思った。

⏰:11/09/01 21:38 📱:F06B 🆔:.omrXM3k


#325 [隆平]
まってます!

⏰:11/09/07 10:41 📱:F09C 🆔:☆☆☆


#326 [匿名]
>>325隆平さん
どうもありがとうございます!遅くなってすみません。

⏰:11/09/09 10:21 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


#327 [匿名]
四日目




傷だらけで真っ白な守が目をつぶり寝ていた。いや、寝ていたのではない。寝ている様に死んでいたのだ。

守が死んだ。
理解は出来た。横になっている守は、もう二度と目を開けない。おはよう、と欠伸をする事もない。
笑う事も会話をする事も、もう出来ない。

だけど、受け止める事は出来なかった。心の何処かでこの事実を拒否している。

⏰:11/09/09 11:35 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


#328 [匿名]
「病院に運ばれて来た頃にはもう……」

医者が精一杯苦しみの表情を浮かべそう言った。

「…そうですか」

消える様な声で返事をしたのは母だ。医者との会話は全て母が対応してくれた。私はただ立ち尽くしていただけ。

「即死です」

医者の言葉が耳に響く。だけど頭に入って来ない。

私は無表情で守を見ている。涙は流れていないが、この病院前で母の胸を借り泣いた跡はしっかり残っている。

⏰:11/09/09 11:36 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


#329 [匿名]
これは夢だとすぐに解釈出来た。今の私は、この部屋の上の方からあの頃の私を見ているからだろう。

私と母の二人が、死んだ守を見下ろしている。側には医者が一人だけいて、二人にいろいろと説明をしていた。

考えたくもない過去が、夢によって鮮明に思い出される。

私は夢の中で目を瞑り、必死に覚めろと唱えた。

次に目を開けると、そこは現実の世界で、私の目の前には実家の天井が広がっている。そう思い込みながら目を開けた。

⏰:11/09/09 11:39 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


#330 [匿名]
だけど私の期待は虚しく打ち砕かれた。

目を開けると、そこには守がいた。辺りは白い空間で守の他には何も存在していない。

「幸子、結婚しよう!」

目の前の守が満面の笑みでそう言った。この状況に覚えがある。

「幸子って名前はさ、幸せな子になりますようにって両親がつけてくれたんだろう?」

守がそう続けた。私はコクリと頷く。

「俺はさ、大切な人を守れる、強くて優しい男になるようにって親父が守ってつけてくれたんだ。俺、初めて幸子に会った時こいつを一生守る為に産まれてきたんだって本気で思ったよ」

守の口調は照れ臭そうで、私まで顔が赤くなったのを覚えている。

⏰:11/09/09 11:41 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


#331 [匿名]
「お前が幸せに生きていく為には、俺が守っていかなきゃ成り立たない!俺が幸せに生きていく為にもお前がいなきゃ駄目だ!」

守が深呼吸をする。

「……結婚しよう。俺がどうなろうと一生守ってやるから!お前から俺が見えなくなっても、ずーっと側にいてやるから!」

何度聞いても涙は溢れる。私は夢の中で何度も何度も頷いた。

守がいる。私の目の前にずっと会いたいと願った守がいる。

泣きながら私はありがとうと言った。あの日もそう言ったからだ。そうすると守が頭を撫でてくれる事を私は知っている。

⏰:11/09/09 11:45 📱:F06B 🆔:xAuKkfjA


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