悪魔と天使の暇潰し
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#67 [匿名]
浮気男はターゲットを見下し、冷たい視線を向けたまま淡々と語る。
「もう俺に迷惑かけるのは、やめてくれ。」
嫌味な程にゆっくりと話す浮気男は、最後に勝ち誇った顔をした。
そんな顔が出来るのも、あと1日くらいだろう。
俺は悪魔だ。悪い事をした奴を放っておいたらいけない義務がある。
:11/05/17 13:21 :F06B :S1r7CZM.
#68 [匿名]
ターゲットは何も言わずに下を向いたままその場を離れた。
唇を噛みしめ涙を堪えているのが分かる。
ゆっくりと歩いていく。
悲しいのか、悔しいのか、俺には判断出来ない。ただ、歩いていく姿に気力は感じられなかった。
「久しぶりにちょっと苛立ったかもしれない。」
「珍しいな、俺もだ。」
あいつと同じ事を考えるなんて滅多にない。
:11/05/17 13:23 :F06B :S1r7CZM.
#69 [匿名]
四日目
ターゲットは高いビルの屋上にいた。
まだ陽が登ったばかりの午前5時。たまに車の通る音がするくらいで、とても静かだ。
きっとターゲットは昨日の出来事があり、眠れなかったのだろう。
化粧はボロボロで、髪の毛もぐしゃぐしゃだった。
:11/05/19 10:30 :F06B :1nNFFqE2
#70 [匿名]
もう俺のやることはないな。何をしてもターゲットは死ぬだろう。
「僕が行って何か変わるかなー?」
ターゲットが自殺をしようとしているのに、隣の天使は悠長なことを言っている。
「余裕だな。おめぇもうすぐ負けんだぞ!?」
:11/05/19 10:35 :F06B :1nNFFqE2
#71 [匿名]
「そしたらそしたで、君が僕を上回ったって事じゃないか。君は、僕に勝ってほしいの?」
ギクリとする。
そんなはずがあるわけないだろう。俺はこいつに勝ちたい。
そう思い込ませた。
「ふざけた事言うな。早く行かねーとターゲット死ぬぞ?」
ふわっと笑ってあいつが下に向かった。
:11/05/19 10:38 :F06B :1nNFFqE2
#72 [匿名]
ターゲットはビルの屋上から、ただ遠くを見ていた。
「何をしてるの?」
そこにあいつが現れた。
さも偶然来て、飛び降りようとする女を前に驚いている演技をしている。
「…あなたは。」
いつの間にか知り合いになっていたのか。
:11/05/19 10:42 :F06B :1nNFFqE2
#73 [匿名]
「なにがあった?」
あいつは泣きそうな顔でターゲットに語りかけた。
「私は誰にも必要とされてないのよ!生きてても誰も喜ばない!」
ターゲットは泣き出した。ぐちゃぐちゃだった顔がもっとひどくなる。見ていられないな。
「だからもう死ぬの!」
ジャンプするみたいに足に力が入る。
:11/05/19 10:45 :F06B :1nNFFqE2
#74 [匿名]
「待て!」
あいつが叫ぶ。
「何があったかは分からない!無理に聞こうとも思わない!」
全部知ってるくせに。
「ただ、君が死ぬのは嫌だよ!僕は悲しい。君がこの世からいなくなったら、悲しむ人は沢山いる!僕もその中の一人だ。」
これは愛の告白か?
「一緒に生きよう?」
最後に優しく語りかけられたターゲットは、すぐに飛び降りる事を辞めた。
:11/05/19 10:46 :F06B :1nNFFqE2
#75 [匿名]
ぐちゃぐちゃな顔であいつに抱きつき、声をあげながら泣いている。
「もっと早くあなたに会っていれば…」
そう言い、また嘘泣きみたいに泣き始めた。
まさかこんなに簡単に自殺を辞めてしまうとは思わなかった。
本当に人間の女は何を考えているのか理解出来ない。
あと1日、時間はあるけど俺はもう諦めていた。このターゲットはもう死ななくていい。
:11/05/19 10:49 :F06B :1nNFFqE2
#76 [匿名]
五日目
それにしても、何故あんなにも簡単にターゲットは自殺を辞めたのか、俺には理解出来なかった。
「そんなの簡単だよ。」
あいつの説明ではこうだった。二日目、三日目とあいつはターゲットに会いに行った。
二日目は突然降った雨を利用し、ターゲットと同じ場所で雨宿りをした。偶然を装い、降られちゃいましたね。と話し掛けた。
:11/05/20 11:32 :F06B :GlDLFNtM
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