悪魔と天使の暇潰し
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#112 [匿名]
「あいつ何者だ?」
「さぁ?とりあえず追い掛けよう。」
ターゲットは駅に向かっていた。
さっき倒れた男の周りには、人が円を作って見ていた。交差点内だっていうのに、人はそこから退こうとしない。
何が起こっているのか分からない車の運転手は、何度もクラクションを鳴らしている。
騒がしい。
:11/06/01 14:56 :F06B :FrXz0ia2
#113 [匿名]
犬の像の前あたりで、ターゲットに追い付いた。
ターゲットの右には俺。左にはあいつ。自然な流れで隣を歩いた。
「何か用?」
最初に口を開いたのはターゲットだった。俺達二人の動きを把握していた。
「なんだ。わかっていたのか。」
あいつは微笑みを絶やさない。いや、そういう真顔なのかもしれない。
:11/06/01 14:58 :F06B :FrXz0ia2
#114 [匿名]
「なかなかやるじゃん。」
俺もターゲットに微笑みかける。頑張って。
「はい?二人が知り合いなのは分かってる。話声がさっきから聞こえていたからな。」
ああ。人混みでも俺達の言い合いは筒抜けだったらしい。
「そうじゃないよ。」
すかさずあいつが言う。
:11/06/01 14:59 :F06B :FrXz0ia2
#115 [匿名]
「お前だろ?あのオッサン刺したの。」
あいつが言う前に、そう言ってやった。
ターゲットは驚いた顔をした。まさかバレるとは思わなかったのだろう。
「何のこと?」
しらを切るのは当たり前だ。
「お前さ、初めてじゃないだろ?ああやって、人を殺すの。」
:11/06/01 15:02 :F06B :FrXz0ia2
#116 [匿名]
そう俺が言うと、
「でも誰かにバレたのは、今回が初めてでしょ?」
と、あいつもすかさず口をはさんだ。
「言ってる意味が良く分からないんだけど?」
鼻で笑うターゲットは、演技が上手い。
「大丈夫。少なくとも、こいつはお前の味方だ!」
言いながら、あいつの肩を後ろからポンと叩いた。隣にターゲットがいるから叩きづらい。
:11/06/01 15:05 :F06B :FrXz0ia2
#117 [匿名]
「そうだね。僕は君を守る資格がある。」
嫌な顔で俺を見た。
「何から?」
守ってもらわなくても、俺は一人で平気だ。と考えているのだろう。興味のない顔だ。
「悪魔から。」
あいつはそう言うと、ターゲットの顔の前に手を出して、その向こう側にいる俺を指差した。
:11/06/01 15:06 :F06B :FrXz0ia2
#118 [匿名]
指差した先を見るターゲットと、目が合う。
「そうそう、俺から。」
ひらひらと手をふってみせるが、ターゲットはすぐに俺から視線を外した。
「あんたら仲間同士じゃないの?」
「まさか!」
「ありえねぇ!」
俺達は同時に否定した。
:11/06/01 15:08 :F06B :FrXz0ia2
#119 [匿名]
「お二人は何者なの?」
「お前と同じようなもん。」
「僕は違うよ?」
ターゲットは俺達の顔を交互に見た。
「まあ、いい。俺の仕事の邪魔だけはするな。」
いつの間にか、ターゲットは殺人を認めたみたいだ。多分、俺達が無害だと感じたのかもしれない。
こんなに怪しいのに。
:11/06/01 15:09 :F06B :FrXz0ia2
#120 [匿名]
「人を殺す仕事?」
「ああ。」
「じゃあ俺も依頼していいか?」
このターゲットは、殺し屋のような感じだろう。
誰かがターゲットに、こいつを殺してくれ!と依頼する。高額の代金と引き換えに、ターゲットはその人物を殺す。
プロの人殺しだ。
:11/06/03 18:43 :F06B :yR80tUxE
#121 [匿名]
「俺は、全ての依頼を受ける訳じゃない。依頼がきてから、ターゲットを徹底的に調べる。」
殺す相手をターゲットと呼んでいるなんて、俺達とそっくりじゃないか。
「それで本当に殺す必要があると思えば殺す。その必要がないと思えば殺さない。依頼は受けない。」
「君と同じだ。」
俺にだけ聞こえる声で、あいつがボソッとつぶやいた。
:11/06/03 18:44 :F06B :yR80tUxE
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