悪魔と天使の暇潰し
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#115 [匿名]
「お前だろ?あのオッサン刺したの。」
あいつが言う前に、そう言ってやった。
ターゲットは驚いた顔をした。まさかバレるとは思わなかったのだろう。
「何のこと?」
しらを切るのは当たり前だ。
「お前さ、初めてじゃないだろ?ああやって、人を殺すの。」
:11/06/01 15:02 :F06B :FrXz0ia2
#116 [匿名]
そう俺が言うと、
「でも誰かにバレたのは、今回が初めてでしょ?」
と、あいつもすかさず口をはさんだ。
「言ってる意味が良く分からないんだけど?」
鼻で笑うターゲットは、演技が上手い。
「大丈夫。少なくとも、こいつはお前の味方だ!」
言いながら、あいつの肩を後ろからポンと叩いた。隣にターゲットがいるから叩きづらい。
:11/06/01 15:05 :F06B :FrXz0ia2
#117 [匿名]
「そうだね。僕は君を守る資格がある。」
嫌な顔で俺を見た。
「何から?」
守ってもらわなくても、俺は一人で平気だ。と考えているのだろう。興味のない顔だ。
「悪魔から。」
あいつはそう言うと、ターゲットの顔の前に手を出して、その向こう側にいる俺を指差した。
:11/06/01 15:06 :F06B :FrXz0ia2
#118 [匿名]
指差した先を見るターゲットと、目が合う。
「そうそう、俺から。」
ひらひらと手をふってみせるが、ターゲットはすぐに俺から視線を外した。
「あんたら仲間同士じゃないの?」
「まさか!」
「ありえねぇ!」
俺達は同時に否定した。
:11/06/01 15:08 :F06B :FrXz0ia2
#119 [匿名]
「お二人は何者なの?」
「お前と同じようなもん。」
「僕は違うよ?」
ターゲットは俺達の顔を交互に見た。
「まあ、いい。俺の仕事の邪魔だけはするな。」
いつの間にか、ターゲットは殺人を認めたみたいだ。多分、俺達が無害だと感じたのかもしれない。
こんなに怪しいのに。
:11/06/01 15:09 :F06B :FrXz0ia2
#120 [匿名]
「人を殺す仕事?」
「ああ。」
「じゃあ俺も依頼していいか?」
このターゲットは、殺し屋のような感じだろう。
誰かがターゲットに、こいつを殺してくれ!と依頼する。高額の代金と引き換えに、ターゲットはその人物を殺す。
プロの人殺しだ。
:11/06/03 18:43 :F06B :yR80tUxE
#121 [匿名]
「俺は、全ての依頼を受ける訳じゃない。依頼がきてから、ターゲットを徹底的に調べる。」
殺す相手をターゲットと呼んでいるなんて、俺達とそっくりじゃないか。
「それで本当に殺す必要があると思えば殺す。その必要がないと思えば殺さない。依頼は受けない。」
「君と同じだ。」
俺にだけ聞こえる声で、あいつがボソッとつぶやいた。
:11/06/03 18:44 :F06B :yR80tUxE
#122 [匿名]
認めたくないが、俺と同じだと思った。
「でも一応聞いてやるよ。誰を殺して欲しい?あ、金が払えなきゃ、論外だけど。」
俺はあいつの真似をして、ターゲットを指差した。
「お前だ。」
ターゲットは俺を睨んだ。
その目線に答えるべく、俺も睨もうとしたが、笑いが込み上げてきて上手く出来なかった。
人間の余裕が無くなる瞬間が、堪らなく好きだから。
:11/06/03 18:45 :F06B :yR80tUxE
#123 [匿名]
「五日間。ターゲットを徹底的に調べる。答えが出るのは今日を入れて五日後だ。」
面白い。
これは偶然かな?暇潰しと似すぎている。
俺達のターゲットは、自分自身を調べる。調べると言うか、自問自答だ。自分が死ぬべき人間か、自分に問いかける。きっと。
それからすぐターゲットと俺達は別れた。
久しぶりに楽しい五日間が送れそうだ。
:11/06/03 18:47 :F06B :yR80tUxE
#124 [匿名]
二日目
夜の10時。ターゲットがマンションから出てきた。殺し屋らしくない、綺麗で高いマンションだ。
今日のターゲットも、スーツを着ていた。昨日と違うのは黒縁眼鏡をかけていること。
「これから仕事か?」
マンションの入り口の前で待ち伏せしていた俺は、ターゲットの姿が見えるとすぐに声をかけた。
「やっぱ仕事をするのは夜なんだね。」
当たり前のようにあいつもいる。
:11/06/06 17:15 :F06B :jgpAfPWE
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