悪魔と天使の暇潰し
最新 最初 全
#158 [匿名]
「そうか。」
あいつがいつも通りの笑顔を向けた。
「今までどれくらいの人間を殺ったんだ?」
俺は聞いた。
「いちいち数えてねーからなぁ。」
そう言いながらも指を折って数えながら、
「50人以上かな〜。」
と、ターゲットは答えた。
それは多いのか少ないのか、俺には分からない。
「いつからこの仕事を?」
次はあいつが聞いた。
:11/07/05 12:19 :F06B :UHeZx4Ck
#159 [匿名]
「高2の時からだ。」
それは早いのか遅いのか、またしても俺は判断出来なかった。
「どうしてこの仕事をしようと思ったの?」
「金が欲しかったんだよ。」
「お金のためだけに、こんな危険な仕事を?」
「…ああ」
「よくやるねー!」
あいつは心から感心しているみたいだった。
「手っ取り早いし、俺には向いてる」
ターゲットは投げやりにそう言った。
:11/07/05 12:21 :F06B :UHeZx4Ck
#160 [匿名]
それからターゲットの酒を飲むペースが早くなってきた。
俺らもターゲットにつられて、何杯も飲んでしまった。
陽気になったターゲットは仕事の話は一切せず、俺達の事も深く追求しなくなった。そして無駄な話が続いた。
そうなると時間が過ぎるのは早くなり、気が付くと二時間が過ぎようとしていた。
どうでもいい話を人間とするのは、もう何十年ぶりだろう。病気の女をターゲットにした時の事を思い出した。
その時も俺はターゲットを追い込むどころか、毎日無駄な会話をしてしまった。
:11/07/05 12:25 :F06B :UHeZx4Ck
#161 [匿名]
そのせいで俺は人間に、しかもその時のターゲットに不思議な思いを抱いてしまった。
無邪気にくだらない話をするターゲットが、最後の最後で「生きたい」と泣いた。
俺は悪魔のくせに、その時のターゲットを死なせたくないと思ってしまった。
汚点だ。
汚点でしかないのに、嫌な思い出ではない。
不思議だ。
:11/07/05 12:37 :F06B :UHeZx4Ck
#162 [匿名]
それからすぐに俺とあいつは、ほろ酔いのターゲットを残して上に帰る事にした。
「ターゲット、何か隠してるよ。」
あいつが言った。
「何をだよ?」
「何を隠しているのかまだ分からないけど、金だけの為にこの仕事をしているとは思えない。」
確かに言われてみれば、そうなのかな?と思う。
「隠さなきゃいけない程、やばい事なのか?」
「さあ?…でもそうじゃなきゃ隠さないでしょう?」
:11/07/06 09:03 :F06B :H3vNfYmE
#163 [匿名]
「でも、悪い事をしてない奴は殺らないって言ってたから、悪い奴を懲らしめたいから、とかは?」
思い付いた事を言ってみた。
「うん。そこも引っ掛かるんだ。ターゲットの言ってる事は少し矛盾してる。」
矛盾?してたか?
「…まあ、いいや!面倒くせぇ事はお前に任せた!どーせいろいろ調べようとしてたんだろ?」
「ああ。明日は君一人で行ってくれ」
その方が自由に行動出来るな。どんな風にターゲットを追い込んで行こうか、考えるだけで楽しくなってくる。
:11/07/06 09:05 :F06B :H3vNfYmE
#164 [匿名]
三日目
今日、俺とあいつは別行動を取った。
あいつは俺達の世界と、人間のいる下の世界を行ったり来たりしながらターゲットの情報を収集する。
俺には、どんな理由でターゲットがこの仕事をしていようが、関係ない。俺はターゲットを自殺させる。それ以外に興味はなかった。
:11/07/10 20:41 :F06B :WIAx/Gv6
#165 [匿名]
ターゲットは今日も昼間は外に出て来なかった。
そして19時。辺りが薄暗くなってきた頃、ふらっと部屋着のまま外に出てきた。
寝癖がついたままだ。
早速俺は下に向かい、ターゲットの後を追ってみる事にした。
ターゲットは5分ほど歩き、そのままコンビニに入った。どうやら今日は仕事はないらしい。
:11/07/10 20:43 :F06B :WIAx/Gv6
#166 [匿名]
ターゲットはカップラーメンを大量にかごの中に入れている所。
「お前こんなんばっか食ってんのかよ?」
隣に立ち、色々な種類のカップラーメンを眺めながら話し掛けた。
「またお前かよ」
ため息をつき移動していった。俺に背を向けだるそうに歩いていたが、急に振り返り、
「あれ?今日相方いねーの?」
とキョロキョロしながら言った。あいつがいなく、俺一人だけな事に驚いた様子だった。
:11/07/10 20:46 :F06B :WIAx/Gv6
#167 [匿名]
「ああ。…いや相方じゃねーから!敵だ!敵!」
仲間と思われるとついむきになってしまう。あいつと俺は対極な存在なのに。
俺が必死に否定すると、ターゲットはうっすら笑った。
「ああ。分かった、分かったー」
なだめる様に言われ、カチンときた。が、抑えた。
これ以上怒鳴ったらターゲットはもっと俺を馬鹿にする。
「今日は仕事ねぇのか?」
怒りを抑えるのは、意外と難しい。
:11/07/10 20:48 :F06B :WIAx/Gv6
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194