悪魔と天使の暇潰し
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#181 [匿名]
「で?お前の知り合いか?」

コンビニを出た時から、視線は感じていた。

「さあ?よくわかんねぇ」


俺の知り合いなわけがないし、完全にターゲットの知り合いな事は間違いないはずだが、後ろにいて顔が見えないせいか、ターゲットも誰だか分からずにいる。



つけられた。

最初は2、3人だったが、コンビニから遠くなるにつれ人数は増えている様子だ。

多分後ろに10人はいる。

⏰:11/07/14 12:33 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#182 [匿名]
「お前を恨んでる奴なんて死ぬ程いるんだろうなー」

冗談を言ってみた。でも実際に狙われると、冗談が冗談じゃなくなってしまうみたいだ。


「うるせぇな。ダッシュで逃げるか戦うか」

現に張本人は笑っていない。

俺達が歩いている場所はコンビニのある大通りを一本奥に入った人通りの少ない道だ。

ターゲットの家までは走って一分でつける距離。


この道の始まりと終わりに、立入禁止の標識があるのか?と疑えるほど、一般人がいなかった。

⏰:11/07/14 12:36 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#183 [匿名]
「逃げるのも大変そうだ」

前から仲間らしい大群が俺達の方へ向かって来るのが見えた。

10人はいるように見える。って事は後ろも合わせて20人?

「お前って疫病神だな」

と、ターゲットが言う。

「まぁ悪魔だからな、否定できねぇ。だけど俺の悪運は強い!」

「なら隙を見て逃げろよ。どうせこいつらの標的は俺だろ?」

ターゲットが首を鳴らす。喧嘩の前の威嚇なのか、逃げる前の準備運動なのか、どちらにも見えた。

⏰:11/07/14 12:38 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#184 [匿名]
「いや、俺は逃げねぇよ?」

カッコつけんなよ!とターゲットが俺を睨んだ。

「今ここでお前に死なれちゃ困んだよ。…明後日自殺してもらうんだからなー」

冗談に聞こえないように、真顔でターゲットを見た。

「どっちみち俺は死ぬしかねーのか?」

「ああ。そういう事になる」

「だったら今殺されても俺からしたら変わんねぇな?自分で命を捨てるより、誰かに殺られる方が、意外にマシかも」

ターゲットが鼻で笑う。

⏰:11/07/14 12:43 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#185 [匿名]
「うるせぇ!ごちゃごちゃ言ってねぇで生きやがれ!」

ターゲットの意外な言葉に上手く返せなかった俺は、生きやがれ!と悪魔らしからぬ事を叫んでいた。

「お前意味わかんねぇな」

ターゲットは我慢できずに噴き出した。


「とにかくお前は死なせねぇ!借りもあるしな!」

「借り?俺は何もしてねぇぞ?」


「プリン二つ」

⏰:11/07/14 12:44 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#186 [匿名]
「プリン?」

「さっき買ってくれただろ?」

「は?」

ターゲットの持つビニール袋を指差してやると、ターゲットは中を覗いた。

カップラーメンの山の一番上に、仲良く並んだプリンが二つ、ターゲットを見上げている。

「いつの間に!」

やっぱりターゲットは気付いていなかった。となると、俺がさっき言った事は強ち的外れでもなかったのかもしれない。

⏰:11/07/14 12:48 📱:F06B 🆔:mPWudR..


#187 [匿名]
「おい!お前だな!」

ターゲットが俺とプリンを睨み、俺が笑っていると、後ろから図太い声が聞こえた。

二人同時に振り返り、つけてきていた連中を見ると、黒いスーツを着た見事に柄の悪い男達だった。

一番前にいるのは30代前半くらいのスーツ男。その後ろに20代であろうスーツ男達が10人ほど立っている。

どう見ても健全なサラリーマンには見えない。


「お前だよな?俺の女に手出した奴はよ!」

ターゲットはそう言ったスーツ男を、目を細めながら見た。

⏰:11/07/16 00:10 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#188 [匿名]
「何の事だか全然わからねーな。人違いじゃねーのか?」

嘘をついている様には見えない。

「とぼけんじゃねーぞ!」

後ろにいる男が言った。

「防犯カメラにもお前がしっかり写ってんだ!」

一人の男が俺達に近づき、ポケットから紙を取り出した。

なんだか警察みたいだな。


見てみると、今言っていた防犯カメラの映像のコピーだった。

その防犯カメラがある店の中に入ろうとしている男女がいて、よーく見ると男の方がターゲットそっくりだった。

⏰:11/07/16 00:13 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#189 [匿名]
「お前にそっくりだなー」

俺が紙の中の男を指差す。

「ああ。これは俺だな」

ターゲットは頷いた。

「あ!思い出した!あの時の子だ!いやー!まさかあんたみたいなおっかない彼氏がいたとはなー。分かってたら誘ってなかったよ」


ターゲットはこんな状況なのに、ヘラヘラと笑った。

「この女を誘ってどこに行ったんだ?」

素朴な疑問を口にしただけなのに、スーツの男達から殺気を感じた。


「どこって、女を誘う理由なんて一つしかねぇだろ?ホテルだよ、ホテル」

⏰:11/07/16 19:37 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


#190 [匿名]
ターゲットが答えると、スーツ男達の殺気は強くなった。怖い怖い。


「お前最低だな」

「しょーがなかったんだって。一仕事終えた後だったんだけど、ちょっとしたミスがあって、そこに泊まらなきゃいけなくなったんだよ」

「一人で泊まれば良かったんじゃねーのか?」

「男一人で泊まるなんて怪しすぎるだろ!ただでさえ治安の悪い場所だったんだ」

「でもやる事やったんだろ」

「やらねーよ」


「嘘つけ!」

俺達の会話にスーツ男が入ってきた。かなり興奮している。

⏰:11/07/16 19:39 📱:F06B 🆔:k3oDghFM


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